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螺線飛行時間型質量分析装置

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Academic year: 2021

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

螺線飛行時間型質量分析装置

著者 吉田 武尚, 福田 和悟

雑誌名 奈良教育大学紀要. 自然科学

巻 17

号 2

ページ 131‑136

発行年 1969‑01‑31

その他のタイトル Spiral Time‑of‑Flight Mass Spectrograph

URL http://hdl.handle.net/10105/3163

(2)

奈良教育大 第17巻第2号〔自然)昭和44年

Bull. Nara U. EducりVol. 17, No. 2. (Nat,), 1969

螺線飛行時間型質量分析装置

吉 田 武 尚・福 田 和 悟

(奈良教育大学技術教室) (大阪産業大学物理教室) (昭和43年6月29日受理)

Spiral Time‑of‑Flight Mass Spectrograph

Takehisa YOsIDA and Yasunori HUKUDA

(Department of Technology, Nara University of Education, Nara, Japan) (Department of Physics, Osaka Industrial Univercity, Osaka, Japan)

(Received June 29, 1968)

In this paper a non‑magnetic spiral flight type mass spectrograph is proposed. In this spectrograph, an ion beam is entered a point of radius r in a concentric cylindrical space at an angle甲With the axis and. flies along a spiral obit of radius r by relative of the balance between a centrifugal force and a centripetal force due to a static electric field. In the earlier case, we reported a spiral time‑of‑flight mass spectrograph in which the

bunching effect in a velocity‑modulated ion beam was used and an ion flight distance was stretched by the use of a solenoidal magnet. This technique provided a reduction of a drift space.

The present type, proposed in this paper, also aims at the reduction of a drift space. Explanation for the equilibrium obit condition and several necessary problems in connection with the time‑of‑flight mass spectrometer are discussed.

緒      畠

(3)

前回,当紀要に報告した「螺線飛行時間型質量分析計」はソレノイド磁界を用いることによ ら,イオンを螺線飛行させ,走行空間の縮小から小型化高感度化を目的とするものであった.本 報告はイオンを螺線飛行させ,走行空間の縮小を試みる目的は同じであるが,ソレノイド磁界を

用いないことにある.図1のような同心h円筒状導体を用いた同心円筒状空間にイオンが半径rの 点に軸方向に対して甲なる傾きをもって入射するとすれば,回転に要する安定軌道条件式(3)を 与えることにより,イオンは螺線飛行を行なう.この螺線飛行をn回転することにより,走行距 離は22倍に増す.したがって走行距離は犠牲にせず走行空間の縮小(小型化)となる.この原理

を飛行時間型質量分析計として検討を加えた.

131

(3)

ユ32 富 田 武 尚・福 田 和 悟

電界加速飛行時間形の概略を直進型で説明する,電界によりイオンの等エネルギ加速を行なう と,各イオンの得る速度はそれぞれm/eによって異なる.イオンの質量m,電葡e,加速後の速 度V,加速電圧をⅤとすれば, 1/2mz>2‑eVとなる.これより v‑‑¥/2V'e/mである.等エネル ギ加速の後電界のない(自由)空間を一定距離飛ばして,これをコレクタに集めると,各イオン のコレクタ到達時間はそれぞれm/eによって異なる.飛行距離をL,飛行時間をTとすれば T‑y%v一仇/e となり m/eの平方根に比例した時間に到達することがわかる.

Vz

I̲̲̲̲ノ /

/ J L‑‑̲̲

イオン.軌道(走行空間)

第1園.同心円筒型分析計

(電極) ト円筒状導体

原         理

図1は装置の構成図である.同心円筒状空間のrの点にイオンがVなる速度で軸に対して甲な る傾きをもって入射するものとすれば,回転に要する安定軌道条件を与えることにより,イオン は安定な螺線軌道上を飛行する. 2枚の円筒電極の半径をそれぞれ**i, r2とし,雨円筒間の電

位差をVa,イオンをVなる速度にするための加速電圧をⅤα,回転速度をve,軸方向の速度を 甘Zとすると,イオンが回転に要する条件は遠心力と求心力との釣合から

mvg%    1    Vd

= e

となる.ここで

また

/サ(ra/ ri)

等と:遠心力, eE‑e ÷・

vg=^v sin<p> vz‑vcos甲 として式(1)に代入すると

2V* sin甲ご

となる.したがって式(2)は

V*

iJsTi rO

/ft(rs / r2)sirup

vd

iJs% n) :求心蝣>J

(1)

(2)

(3)

(4)

螺線飛行時間型質量分析装置 133

式(3)がすなわち回転に要する安定軌道条件式であり,質量mに無関係である.

次にイオンがコレクターまで安定軌道条件にしたがって螺線軌道上を走行するならば,走行の 距離(入射点からコレクターまでの螺線走行距離)をLcとして走行に要する時間Tは

T‑

走行距離Lcをイオンの回転半径rで表わせば式(4)は

・‑÷・市・n

2nr

となる.ここで

Le‑雷・n, r:回転半径, n:回玩数

したがって,イオンの速度をv‑i/2eV*,元 とすれば式(5)は次式のようになる r‑¥

TH:

コ̀・rォ コ・T′?・ ∫1/iO

(4)

(5)

( o)

この方式を飛行時間型として用いると同じ時刻に走行空間に入射きれた全ゆる質量のイオンはそ れぞれのイオンの速度に応じて,次々と軽いものからコレクターに飛び込んでくることになる.

数   値   例

プロトンおよびエレクトロンの質量をmp, mtとしてイオンの到達時刻Toは,M‑mi/me , P‑mv/meから mi ‑MPmeと置いて

To‑V 2 eVamm

‑ 27U

2r.n simp

p^^^I^^^^^^^^^^B^^^^^^^^^^^^^^^^^sl閥 享ノ..… c‑;/.‑・一‑ 二.二三s//? c     、′'V..

VM

= 4.53895×10‑ ×」二一一・n・‑;=

sirup V 7a (7)

となる.ここで

e‑1.602Xl0 " (coulowbs)

」‑1.8361×103

me‑9.1066×10‑31 (kg)

r,甲, Vaをそれぞれ一定とみなせば,時刻 Toは質量Mの平方根に比例することになる. rを meters, Vaを volts単位で表わし,求(7)についての数値は図2である.

(5)

134 吉 田 武 尚・福 田 和 悟

Di

I3

.4

5

6

T o= 4ー53895 ×10▼4I X 表 裏悪 甲ニ=30 ー

r= 0 .0 15 (m

I

Ⅴα= 50 V ), n= 10

J V α= 100 (V ),

Ⅴα= 200 (V ), V α= 500 (V ),

(

i

Ⅴα= 50 (V ), n去 1

Ⅴα= 100 V ), V α= 200(V ),

Ⅴα= 500 (V ),

I I I I 日 l l . . 一 一一一一l ,J, 一 一 7 日 一一

1n 100 1000 M

第2図 質量数と走行時問の関係

分   解   能

走行時闇の測定で質量数の測定とすることに置き換えることができる.式(7)より AT。と Toとの比はすなわち

(6)

螺線飛行時間型質量分析装置 J r..    J.v

T..こ    M

T

IKH

(8)

従って質量数の識別を行なうことができる.ここでr,甲, Ⅴαを一定とみなしている.ここで理 想的な安定軌道上を走行するとすれば式(8)は常に成立し, △MとMが比例することになる.〜

価のイオンで考えるならばM‑100のところでAM‑ 1であるためにはbT。/T。 ‑1/200であ る.以上は理想的な考えを基にした場合であるが,実際にはイオンビームに拡がりがあることか らその拡がりについて次に検討する.

イオンビームの拡がり

イオンが入射点において,スリットから出る時に0の拡がりをもってr点に入射する場合,回 転半径が一定であっても入射点で軸方向に幅をもつことからピッチCが異なり, n回転を行なう と走行距離Lcが大きく異ってくることになる サ‑1として正軌道のピッチをL,軸とのなす 角を甲,またずれた軌道ピッチをL′,軸とのなす角をpJとすればその差AEはすなわち

&t‑cot <p'‑cot (p,  ((p'‑<p‑6)       ( 9)

となる.甲′を変数として展開した数値が図3である.

第3園 ピッチのずれAe と開き0 との関係

考       琴

以上のように,この螺線飛行時間型質量分析計は走行空間の縮小より小型化への目的に価する ものである.しかし,製作上軸方向に対して正確に甲の傾きをもたせることはかなりむずかしい

(7)

136 吉 田 武 尚・福 田 和 悟

ように思われる.またイオンビ‑ムにおいて,スリットを小さくすることが望ましいが,反面イ オンの利用率が恵くなる.これに対してイオンの利用率を良くしようとすればスリットを大きく することであるが,スリットを大きくすればイオンビームに鉱がりをもつことになる.そのため にイオンビームが半径方向にも厚みを持ち回転半径の大きいものと小さいものとで走行距離に差 が生じ,コレクタに到達する時間が異ってくることになる.このように,スリット構造,コレク タ構造,イオンの利用率や円筒内へのイオンの入射方法等今後の問題として残されている.けれ ども磁界を用いないということから操作が簡単であり,小型化高感度化への目的は他の飛行時間 型質量分析計と比較すれば最も興味ある事実である.

以上述べてきたことから,この方式は尤大な装置を用いなくても実現できると考えられる.こ の装置全体からながめるといくつかの問題点があるが,現代の工作技術を利用すれば,スリット 構造,コレクタ構造やイオンの入射角度等は解決できると思う.また問題点をなくすことはむず かしいが装置の改良を重ねることにより精度を上げることができると思う.

この方式の利点としては磁界を用いる必要がないばかりでなく,走行距離(Lc ‑ 2nrn)の増 大はnを増すことにより容易に大きくすることができる.そして原理が簡単であることから電極 構造も比較的簡単である点に注目できる.今後実験と共に性能の向上,付属機能の開発や測定記 録等について研究を進めて行きたいと思う.終りに常に筆者等の研究に御支援下さる大阪大学産 業科学研究所松尾研究室,楠氏に感謝します.

(1)江副・林:質量分析, 12, 45(1959) (2)富田:質量分析, 29, 45 (1965)

(3)富田:奈良教育大学紀要, 16(2) (1968) (4) R.H. PANTEL :IRE, January, 39 (1961)

( 5) Louis A. PIPES : Applied mathematics for enginers and physiests. McGRAW‑HILL

参照

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