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〈論 説 〉
国連平和維 持活動 の発展 と現段階
一 「人 間 の安 全 保 障 」 的 「平 和 活 動 」 の模 索 一
中 山 雅 司
目 次 は じめ に
1。 国連平和 維持 活動 の誕生 と形成 (1)集 団安 全保 障体制 の挫折 とPKOの
誕生
(2)PKOの 基 本原 則の確 立 2.冷 戦 の終結 とPKOの 発展
(1)内 戦型紛争 とPKO
(2)PKOの 複合 化 と第二世 代 のPKO 3.平 和強 制 との結 合 とPKOの 変質
(1)拡 大PKOと 非強制 原則 の動 揺 (2)自 衛 原 則へ の回帰 とそ の他 の問題 4.ブ ラ ヒミ ・レポ ー トとPKOの 現段 階 おわ りに 一 「人 間の安 全保 障 」 的 「平 和
活動 」 の模索 一
は じめ に
冷戦 終 結 後 、今 日に至 る まで の 「国 際 の 平 和 と安 全 の維 持 」(憲 章 第1条1 項)の 分 野 にお け る 国連 の 活 動 は 、試 行 錯 誤 の連 続 とい って よい。 冷 戦 の 終 結
に伴 う大 国 協調 、 と くに米 ソ協 調 は 、安 保 理 の活 性 化 を もた ら し、 国連 は 、 安 保 理決 議 を通 じて世 界 各地 で 頻発 す る地 域 ・民族 紛 争 に対 して積 極 的 な介 入 を 行 う よ うに な った 。 も っと も、 それ は 国連 が 創 設 当初 想 定 しなが ら機 能 麻 痺 に 陥 って い た集 団安 全 保 障 体 制 が単 純 に本 来 の機 能 を取 り戻 した とい う も の で は なか った。 国連 に よ る軍 事 的 強制 措 置 の手 段 と して構 想 され た 国連 軍 は、 冷 戦 後 も結 成 され る こと は な く、実 際 に 実現 をみ た の は安 保 理 決 議 の 授権 をえ た 多 国籍 軍 の派 遣 と い う形 で あ った。 しか し、 紛 争 解 決 や 安 全 保 障 の 分 野 にお け る 国連 の活 躍 に、 国際 社 会 か ら大 き な期 待 が 寄 せ られ た こ とは確 か で あ った 。
他 方 、冷 戦 期 に誕 生 し、慣 行 が 積 み 重 ね られ て きた 国連 平 和 維 持活 動 、 いわ ゆ るPKO(Peace‑keepzngOperations)が 冷 戦 後 急 速 な拡 大 をみ せ 、 発 展 を 遂 げ た ことが も うひ とつ の特 徴 と して あげ られ る。 これ も安 保 理 の活 性 化 と決
して 無 関 係 で は ない 。 しか し、PKOは 後 に述 べ る よ う に、 冷 戦 期 に集 団 安 全 保 障 シス テ ム と い う 「平和 強 制 」 が 立 ち往 生す る さ なか 、苦 肉 の策 と して生 み 出 され た 文 字 通 り 「平和 維 持 」 活 動 で あ る。 した が って 、 か りに、 多 国籍 軍 と い う形 で あれ 、冷 戦 の終 結 に よ り国連 が 国際 紛 争 の場 面 に お い て本 来 の機 能 を 回復 した と い うので あれ ば 、 少 な くと もそ の代 替 的 、 あ るい は補 完 的措 置 と し て のPKOの 役 割 は 終 え る こと に な って も よい は ず で あ る。 しか し、む しろ 冷 戦 後 、PKOは 量 的 に も質 的 に も飛躍 的 な拡 大 をみ せ た 。 こ こ にPKO独 自の積 極 的 な存 在 意 義 を 見 いだ す こ とが で き る。 質 的 拡 大 は 、 いわ ゆ る 「第 二世 代 の PKO」 と い う言 葉 を生 ん だ 。 カ ンボ ジ ア で の 包 括 的 和 平 プ ロセ ス に関 わ った UNTAC(国 連 カ ンボ ジ ア暫 定 機 構)に 代 表 さ れ る いわ ゆ る複 合 型PKOの 成 功 は 、 冷 戦 後 のPKOへ の期 待 を膨 らませ た。
しか し、 それ が さ らに 「平 和 強 制 」 と混 同 され る に至 ってPKOは 大 き な挫 折 と危 機 に直 面 す る こ とに な る。1992年 、 国 連 の ガ リ事 務 総 長 が 「平 和 へ の 課 題 」 で 提 唱 した い わ ゆ る平 和 強 制 部 隊(peace‑enforcementunits)の 具 体 化 と して 、 ソマ リア内 戦 に際 して派 遣 され たUNOSOMIIの 失 敗 お よび撤 退 の 問題 で あ る。 この 事件 以 降 、 ア メ リカを は じめ とす る大 国 はPKOの 派遣 に慎 重 な姿 勢 を と る よ う に な り、PKOに 対 す る 国際 社 会 の関 心 は急 速 に冷 め て 、 90年 代 半 ば を境 にPKOは 一 気 に縮 小 の方 向 に 向か う こと に な る。 しか し、 こ
z)
こ数 年 、 国 際社 会 の関 心 と い う振 り子 は 、 再 びPKOに 揺 れ 戻 して い る。 コ ソ ボや 東 テ ィモ ー ル で の 国連 に よ る大 が か りな暫 定 統 治 や シ エ ラ ・レオ ー ネ 、 コ ン ゴへ のPKOの 派遣 、 展 開 に よ って 、PKOへ の関 心 と期 待 は 再 び 高 ま りっ っ あ る。 この よ う な流 れ と時 を 同 じ く して 、 冷 戦 後 のPKOを 総 括 し、 改 革 を 勧 告 す る報 告 書 が2000年8月 、 国 連 安保 理 お よ び総 会 に提 出 され た 。 いわ ゆ る、 「ブ ラ ヒ ミ ・レポ ー ト」 で あ る。 この改 革勧 告 書 は、PKOの 現 段 階 を知 る 上 で 有 益 で あ る。
最 近 、 コ ソボへ のNATOに よ る空 爆 や 、 昨年(2001年)9月11日 に発 生 し た 同時 多 発 テ ロに対 して米 英 が行 った ア フ ガ ン報復 攻 撃 な どにみ られ る よ うに 、 武 力 行使 に際 して国 連 を 回避 した り、 安保 理 の 明確 な授 権 を欠 いた ま ま 自衛 権 の名 の も とに武 力行 使 が行 わ れ る とい う、 国 連 の権 威 や 国際 法 を著 しく傷 っ け
2)
る よ う な 例 が 目 に っ く。 しか し、 国 連 が 「平 和 強 制 」 へ の コ ン トロ ー ル を 失 い
国連平和維持活動の発展 と現段階69
っ つ あ るか の よ うに もみ え るそ の 一方 で 、紛 争 後 の コソボ や 東 テ ィモ ー ル の よ う に 「平和 維 持 」 や 「平 和 構 築 」 の 分 野 にお い て は 、 国 連 に 一 定 の役 割 と期 待 を担 わ され て い る状 況が あ る。 その 限 りにお いて、 国連 はか ろ う じて命脈 を保 っ て い る と さえ い え るのか も しれ ない。 しか し、む しろ こ こか ら国連 を 中心 と し た、 よ り 「人 間 の安 全 保 障 」 的 な国 際社 会 に お け る 「平 和 活 動」 の ひ とつ の道 筋 が 見 え て くるよ うに も思 わ れ る。 いず れ にせ よ 、 平和 や 人 道 、正 義 の実 現 を 目的 と した軍 事 的強 制 措 置 が 、 結果 と して人 間 の生 存 や 尊厳 を侵 害 す る とい う 避 けが た い パ ラ ドックス と デ ィ レンマ が一 層 顕 著 と な りっ っ あ る21世 紀 初 頭 の世 界 にあ って 、 よ り暴 力 的 で ない 平和 秩 序 の構 築 は 、 人類 に と って の重 要 課 題 のひ とっ で あ る。
本 稿 で は 、 この よ う な問題 意 識 に立 ち 、最 初 にPKOが 誕 生 した経 緯 お よ び 基 本 原 則 に っ い て確 認 す る。 っ ぎ に 、 そ れ をふ ま え た う え で 、PKOめ 複 合 化 お よ び平 和 強 制 との結 合 とい う二 つ の観 点 か ら、 冷 戦 後 のPKOの 変 容 と問 題 点 につ い て検 討 す る。 そ して 、 ブ ラ ヒ ミ ・レポ ー トに も とつ い て 、PKOの 現 段 階 と課 題 につ い て 検 討 す る。 最 後 に 、 「人 間 の安 全 保 障 」 の 視 点 か ら、 平 和 強 制 、 な か ん ず く軍 事 的 強 制 措 置 と の 対 比 に お け る い わ ゆ る 「平 和 活 動 」
(UnitedNationspeaceoperations)の 意 義 に つ い て考 察 す る。
1.国 連 平和 維持 活動 の誕生 と形成
(D集 団安 全 保 障 体 制 の挫 折 とPKOの 誕 生
国連 の 前 身 で あ る国際 連 盟 が 第二 次 世 界 大 戦 を阻 止 で き な か った こ と の反 省 の う え に創 設 され た 国連 に と って、機 構 の第 一 の 目的 と され た 「国際 の平 和 と 安 全 の維 持」 を いか に実 効 的 に実現 して い くか は、 国連 の存 立 そ の も の に も関 わ る重 大 な 問題 で あ った。 憲 章 は 、「国際 の平 和 お よ び 安 全 の 維 持 に関 す る主 要 な責 任 を安 全保 障 理 事 会 に負 わ せ る も の と し」(第24条1項)、 上 記 の 目的 達 成 の た め に 、「平 和 を破 壊 す る に至 る虞 の あ る国 際 的 の 紛争 又 は事 態 の 調 整 又 は解 決 」 にっ い て は 、第6章 に も とつ く平和 的 手 段 に委 ね る こ と を予 定 し、
「平 和 に対 す る脅威 、平 和 の破 壊及 び侵 略 行 為 に関す る行 動 」 にっ い て は 、武 力 に よ る威 嚇 又 は 武 力 の行 使 の禁 止 を前 提 に(第2条4項)、 第7章 の も と で
非 軍 事 的 、軍 事 的 措 置 を柱 とす る強 制 措 置 を と る こ とを構 想 した。 後 者 が いわ ゆ る集 団安 全保 障体 制 で あ る。 勢 力均 衡 方 式 に代 わ る国 際安 全 保 障 シ ス テ ム と して 国際 連 盟 の も とで採 用 され た 同 シ ス テ ムが 十 分 に役 割 を果 たせ なか った経 験 か ら、 よ り強 力 な シス テ ム を構 想 した 国連 に と って、 常 任理 事 国 の特 権 的 地 位 の 問題 な どは あ った もの の 、大 国一 致 に よ る集 団安 全 保 障体 制 発動 へ の期 待 は大 き か った と い って よ い。 しか し、東 西冷 戦 の深 刻 化 の も とで 大 国一 致 原 則 は逆 に 裏 目に 出 る形 と な った 。 米 ソ対 立 を直 接 反 映 した 両 国 に よ る拒 否 権 の応 酬 に よ り安 保 理 は機 能 せず 、 集 団安 全保 障体 制 は 当初 の期 待 とは 裏腹 に、 冷戦 期 の 諸 紛 争 に対 して なん ら効 果 的 な対 応 が で き な い事 態 に陥 った。PKOは こ の よ う な なか誕 生 した 。
PKOの 起 源 は 、 安 保 理 の事 実 調 査 委 員 会 の活 動 と して設 置 され た 国連 指 揮 下 の軍 事 要 員 に よ る調 査 委 員 会 が 発展 した 、1948年 の 国連 パ レス チ ナ 休 戦 監 視 機 構(UNTSO)や 、1949年 の 国 連 イ ン ド ・パ キ ス タ ン 軍 事 監 視 団 (UNMOGIP)な ど に遡 る。 しか し、PKOが 注 目を浴 び る先 例 とな った の は 、
3)
1956年 、 ス エ ズ 動 乱 に 際 し て 総 会 決 議 に よ っ て 設 置 ・派 遣 さ れ た 国 連 緊 急 軍 (UNEFI)の 時 で あ る。 「国 連 平 和 維 持 活 動(peace‐keepingoperations)」
が 国 連 の 用 語 と し て 一 般 化 した の は 、UNEFの 活 動 を め ぐ っ て の1962年 の
「国 連 の あ る種 の 経 費 」 に 関 す る 国 際 司 法 裁 判 所(ICJ)の 勧 告 的 意 見 で あ る
4)
と さ れ る が 、 そ の 後 、1960年 の コ ン ゴ 紛 争 に 派 遣 さ れ た 国 連 軍(ONUC)、
1964年 、 キ プ ロ ス 内 戦 に対 して 派 遣 され た 国 連 キ プ ロス平 和 維 持 軍(UNFICYP)、
1973年 の 第 二 次 国 連 緊 急 軍(UNEFII)、1978年 、 南 レバ ノ ン に 派 遣 され た 国 連 暫 定 軍(UNIFIL)な ど の 設 置 ・派 遣 に よ り 、PKOは 国 連 の 重 要 な 活 動 と
5)
して定 着 して い った の で あ る。集 団安 全 保 障 体 制 め挫 折 を受 け て 国連 の実 践 過 程 の なか で 生 み 出 され 、実 績 を重 ね て い ったPKOは 、 ま さ に冷 戦 の 産 物 と も い え る平 和 分 野 にお け る国 連 活動 の 典型 で あ った 。
(2)PKOの 基 本 原 則 の 確 立
6)
と ころ で 、PKaの 憲 章 上 の 法 的 根 拠 にっ いて は 諸説 が あ るが 、本 来PKOは 憲 章 が 当 初 想 定 した活 動 で は な い こ とか ら、 憲 章 上 はPKO自 体 に関 す る 明示 的 な 規 定 は お か れ て い な い 。 そ の こ とか ら、PKOの 憲 章 上 の 地 位 に っ い て
国連平和維持活動の発展 と現段階71
「6章 半 」 で あ る とい う言 い方 が よ くな され て きた 。 す なわ ち、6章 は 紛 争 の 平和 的 解 決 に関 す る規 定 で あ り、7章 は強 制 的 措 置 に関 す る規 定 で あ るが 、 そ の中 間 に位 置 す る活 動 で あ ると い う意 味 で そ の よ う に言 わ れ て きた ので あ る。
しか し、PKOは そ の活 動 の 性 質 に お い て、 は た して二 つ の章 の 中 間 に位 置 づ け られ る も の で あ ろ う か 。 す な わ ち 、 憲 章 第6章 に も とつ く活 動 は 、 一 般 に peace‑一一making、 す なわ ち 「平 和 創 造 」 に関 す る活 動 で あ り、第7章 に も とつ く活 動 は 、peace‑‑enforcement、 す なわ ち 、「平 和 強 制 」 に 関す る活 動 で あ る が 、PKOは 、非 強 制 的 な活 動 と強 制 的 な活 動 の 両 者 を併 せ 持 っ 半 強 制 的 な活 動 と い う こ とに な る ので あ ろ うか 。 この こ とは 、Paoの 本 質 に絡 む 問 題 で あ る。 そ こで 、PKOと は どの よ う な活 動 を指 す の か にっ い て 、最 近 のPKOの 発 展 にっ いて検 討 す る前提 と して も、 そ の活 動 の本 来 の意 味 内容 にっ い て確 認 し
てお く必要 が あ ると思 わ れ る。
一 般 的 な定 義 に した が うな らば、PKOと は、 「国 際 平和 を脅 か す 地 域 的 な 紛 争 や 事 態 に対 して 、 国連 が 関係 国 の 要 請や 同意 の下 に 、 国連 の権 威 を象 徴 す る 一 定 の軍 事組 織 を現 地 に駐 留せ しめ 、 これ らの軍 事 機 関 に よ る第 三 者 的 ・中 立 的役 割 を通 じて 、地 域 紛 争 や 事 態 を平和 的 に 収拾 す る こ とを 目的 と した 国連 活
の
動 」 の こ とで あ る。す なわ ち、PKOと は 、伝 統 的 に は 、安 保 理(ま た は 総 会) の決 議 に基 づ き、 国連 が 停 戦 合 意 の成 立後 、 紛争 当事 者 の 問 に立 って 、停 戦 や 軍 の撤 退 の 監視 を行 う こと に よ り事 態 の沈 静 化 や 紛 争 の再 発 防止 を 図 り、 紛 争
8)
当事 者 に よ る対 話 を通 じた 紛 争 解 決 を 支援 す る こ とを 目的 と した 活 動 で あ る。
こ こで用 い られ る軍 事 組 織 は、 非 武 装 の軍 事 監 視 団 と軽 武 装 で緩 衝 地 帯 へ の駐 留 に よ り停 戦 の 確保 な どを 任 務 とす る平 和 維 持 軍(PKF)か ら構 成 され る 。 そ の任 務 は 、停 戦 の監 視 、 兵 力 の引 き離 し、 軍 隊撤 退 の監 視 な どで あ り、 紛 争 そ の もの の解 決 を任 務 とは しない 、 ま さ に 「平 和 維 持 」(peace‐keeping)活 動 で あ る。 した が って 、6章 の紛 争 の解決 そ の もので は な い。 他 方 、7章 の 「平 和 強 制 」 と 同様 に 軍事 的 組 織 が 用 い られ る活動 とい う意味 で 「6章 半 」 と よば れ る こと には そ れ な りの理 由が あ る とい え るが 、 そ の 本質 は あ くま で 非強 制 、 中立 で あ り、 侵略 者 や平 和 の破 壊 を行 う者 に対 して強 制 力 ない し制 裁 を加 え る こ と に よ って平 和 の 回復 を 目指 す こ とを 本 質 的 要 素 とす る第7章 の集 団 安 全 保 障 とは 性 格 を異 にす る。 そ の点 か らす る な らば 、PKOは 、6章 と7章 の 中 間
に 位 置 づ け られ る よ り は 、 む し ろ 第6章 の 延 長 線 上 に 発 展 した 制 度 と 見 る の が 適 当 で あ り 、peace‑makingとpeace‑‑keepingは 共 通 の 基盤 に 立 っ て い る と い
9)
え る。
こう した性 格 を受 け、 平和 維 持 活 動 は そ の実 践 過 程 にお い て い くっ か の重 要 な基 本 原 則 を確 立 して きた 。 それ は 、 上 述 の 定義 の な か に も的確 に含 まれ て い るが 、非 強制 性 、 中立 性 、 国際 性 と い う三 つ の原 則 と して集 約 で き る。 非 強 制 の原 則 は 、軍 事組 織 の介 在 は関 係 当事 国、 と くに受 け入 れ 当事 国 の 同意 を前 提 と しなけ れ ば な らない と い う 同意 原 則 、 また 、武 器 の使 用 につ い ては 、 自衛 目 的 に限 られ なけれ ば な らな い こと をそ の 内容 とす る。 また 、 中 立 性 の 原則 と し て は 、受 け 入れ 国 の 内政 に干 渉 して は な らず 、紛 争 当事 者 に対 して中 立 的立 場 を保 つ こ と と併 せ 、部 隊 派 遣 国か ら利 害 関係 国や 安 保 理 常 任 理事 国 の よ う な大 国 は 原則 と して 除 かれ る とい う考 え 方 を 内容 とす る。 国際 性 とは 、 国連決 議 に よ って設 置 され 、 国連 の指 揮 統 括 の も と にお かれ る部 隊 で あ る と い う こ とで あ る。 冷 戦 期 を 通 じて 形 成 さ れ た 以 上 の よ う な任 務 、 お よび 行 動 原 則 を有 す る PKOを 一 般 に伝 統 的PKO、 も し くは 第一 世 代 のPKOと よぶ 。
2.冷 戦 の 終 結 とPKOの 発 展
(D内 戦 型 紛 争 とPKO
さ て 、冷 戦期 にそ の 原 型 が 形 作 られ たPKOは 、冷 戦 終 結 後 、 量 的 に も質 的
1Q)
に も大 き な変化 をみ せ る こと に な る。 これ ら冷 戦 後 のPKOを 称 して 、第 二 世 代 のPKOと よぶ こ とが 一 般 で あ る。 第 一 世 代 のPKOと 区 別 して第 二世 代 の PKOと よ ばれ る理 由は 、 冷 戦 期 、冷 戦 後 とい う期 間 に よ る区 別 とい う よ りは 、
と くに そ の質 的 な変 化 に よ る も の で あ る。 量 的 な面 で は 、 冷 戦 の終 結 に伴 い PKOの 数 が 飛 躍 的 に増 大 した こ とが あ げ られ る。1948年 以 降 、 今 日まで 合 計 55件 のPKOが 設 立 され て い るが 、 そ の う ち42件 が 冷 戦 終 結 直 前 前 期(1988 年)以 降 に設 立 され てお り、 この デ ー タが 数 的拡 大 を何 よ りも物 語 って い る。
そ して 、2002年8月31日 現 在 、15のPKOが 展 開 中 で 、約90力 国か らお よ
ユ1)
そ45,000人 の軍 事 ・警 察 要 員 が 派 遣 され て い る。 この45,000人 とい う派 遣 人 数 に象 徴 され るよ う に、 冷 戦 後 、PKOが 大 型 化 した点 も重 要 な特 徴 で あ る。
国連平和維 持活 動 の発 展 と現段 階73
冷 戦 期 に は 、 コ ン ゴ国 連 軍(ONUC)の よ う に2万 人 規 模 の 部 隊 が 派 遣 さ れ た 例 を 除 い て は 、 通 常 、 数 百 人 規 模 の 単 位 で あ った が 、 冷 戦 後 に は 、 国 連 カ ンボ ジ ア 暫 定 機 構(UNTAC)の 約2万 人 、 旧 ユ ー ゴ に お け る 国 連 保 護 軍
(UNPROFOR)の 約4万5千 人 、 第 二 次 国 連 ソ マ リア 活 動(UNOSOMII) の 約2万8千 人 、 最 近 の 国 連 シ エ ラ ・ レオ ー ネ ・ ミ ッシ ョ ン(UNAMSIL)の
1万2,500人 、 国 連 東 テ ィモ ー ル 暫 定 行 政 機 構(UNTAET)の 約1万 人 な ど、
12)
大 型 化 して い る こ とが わ か る。 この よ う なPKOの 数 や 規 模 が 拡 大 した 理 由 と して は 、冷 戦 終結 を 背景 とす る平 和 分 野 で の 国 連 に対 す る期 待 の 高 ま り、 そ し て 、手 続面 で安 保 理 にお い て常 任 理 事 国の 合 意 が得 られ や す くな った こ とが ひ とっ あげ られ るが 、 そ れ 以 上 に 、 冷 戦 の 終 結 に 伴 う地 域 紛 争 の 多 発 に よ って PKOの 必 要 性 が 増 した こ とで あ る。
しか し、 冷戦 後 のPKOを 特 徴 づ け る の は そ の 質 的 変 化 で あ る。 そ の 質 的 変 化 に よ り根 本 的 な影 響 を与 えた の は、 冷 戦後 の 紛 争形 態 が 国 家 間紛 争 か ら国 内
13)
紛 争 へ と比重 を移 した点 で あろ う。 ち なみ に 、現 在 展 開す る15のPKOの う ち、
5件 は90年 代 以 前 か ら継 続 して い る もの で あ るが 、90年 代 以 降 に 開始 され た 10件 の う ち 国家 間紛 争 に 関 連 して 派 遣 され た もの は2件 だ け で 、残 り8件 が
24)
国 内紛争 に関わ って派 遣 され て い る もの で あ る。 す なわ ち 、紛 争 当事 者 間 で 紛 争 解 決 の た め の合 意 が な され る前 に派遣 され 、停 戦 が 維 持 され てい る問 に 、紛 争解 決 の た め の状 況 が創 り出 され る ことが 期 待 され て い た 従 来 のPKOに 比 し、
冷 戦 後 は 、 内戦 の終 結 を受 け て紛争 当事 者 が 合 意 した 「包括 的 和 平協 定 」 の実 施 にPKOが 組 み 入れ られ る よ う に な った た め に 、従 来 の 軍 事 的 役 割 に政 治 的
15)
役 割 が 結 び き 、PKOに 多 様 な任 務 が 期 待 され る よ う に な った ので あ る。 この 第 二 世 代 のPKOの 特 徴 をひ と こ と で言 い表 す な らば 、任 務 の多 様 化 と い う こ
と に な ろ う。 第 二 世 代 のPKOが 別 称 、多 機 能 型 、 な い しは複 合 型PKOと も よばれ るの は 、 この点 か らで あ る。 したが って、 国家 間 の停 戦 監 視 等 を主 な任 務 と した:=世 代 のPKOに 比 して 、 そ の任 務 内 容 お よ び基 本 原 則 の 点 に お い て 、従 来 通 り維 持 、継 続 され る部 分 が あ る一 方 で 、 修 正 、 変 容 を迫 られ る部 分
も出 て くる こと に な った 。
と こ ろで 、Paoの 多様 化 は さ らに、 ①PKOの 複 合 化 現 象 と、 ② 平 和 強 制
ユ6)
との結 合 現 象 と して特 徴 づ け られ る。 そ こで 、 この ① お よび ② の 特 徴 にっ い て
具 体 例 もあ げ て 、 さ らに検 討 を行 う こ とにす る。
(2)PKOの 複 合 化 と第 二 世 代 のPKO
PKOが 和 平 プ ロセ ス に組 み 込 まれ た こと に よ り、PKOの 任 務 は大 幅 に増 大 す る こ とに な った。 具 体 的 には 、 従 来 の停 戦 の監 視 、兵 力 撤 退 や 兵 力 引 き離 し の監 視 、緩 衝 地 帯 の監 視 等 の任 務 に加 え 、選 挙 監 視 ・管 理 や 人 権 状 況 の監 視 、 地 雷 除 去 、 武 装 解 除 の監 視 、武 ・器 の回 収 ・保 管 ・破 棄 、人 道 援 助物 資 の輸 送 支 援 、難 民 帰 還 支 援 、人 道 的支 援 、 文 民警 察 支援 、 国家 警 察 設 立 支援 、 国 内秩 序 の維 持 、 立 法 ・行政 ・司 法 の設 立 、復 興 開 発 支援 等 、様 々 な役 割 を 担 う よ うに
17)
な った の で あ る 。 ま た 、 任 務 の 拡 大 に よ っ て 、 人 員 面 で も従 来 の 軍 事 要 員 に加 え 、 文 民 警 察 官 や 各 種 専 門 家 等 の 文 民 要 員 が 重 要 な役 割 を 担 う よ う に な った 。 こ れ ら の こ と は 、PKOが 「平 和 創 造 」(peace‑making)お よ び 「平 和 構 築 」
(peace‑‑building)の 機 能 と 不 可 分 に 結 び っ い て 、 国 連 が 一 国 へ の 行 政 関 与 を 行 う よ う に な った こ と を 意 味 す る。
こ の 「平 和 創 造 」、 「平 和 構 築 」 の 概 念 は 、1992年6月 、 国 連 の ガ リ事 務 総 長 がPKO強 化 に 関 す る報 告 書 と して 提 出 した 「平 和 へ の 課 題 」(AnAgenda
forPeace)の な か で 明 らか に され て い る。 こ の な か で ガ リ事 務 総 長 は 、PKO を ① 「予 防 外 交 」(preventivediplomacy)、 ② 「平 和 創 造 」、 ③ 「平 和 維 持 」、
④ 「紛 争 後 の 平 和 構 築 」(past‑conflictpeace‑‑buiiding)の 四 段 階 か ら な る 一 連 の プ ロ セ ス と して 再 構 成 した 。 後 に 述 べ る ブ ラ ヒ ミ ・ レポ ー トに お け る概 念 と の 比 較 対 照 の た め に 、 「平 和 へ の 課 題 」 に お け る定 義 を こ こ で 確 認 して お く こ と にす る。 まず 、 「予 防 外 交 」 と は 、 「当 事 者 問 の 争 い の 発 生 や 現 に 存 在 す る 争 い の 紛 争 へ の 発 展 を 防 ぐ と と も に 、 紛 争 が 発 生 した 場 合 の 拡 大 を 防 止 す るた
ユ9)
め の行 動 」 と され る。 平 和創 造 にっ い て は 、憲 章 第6章 に代 表 され る 「紛 争 の
20)
平和 的 解 決 」 を0般 に意 味 し、 ガ リ事 務 総 長 も、 「主 と して 国連 憲 章 第6章 で 想 定 され て い る平和 的 手 段 を通 じて、敵 対 す る 当事 者 間 に合 意 を取 りっ け る こ
21)
と を い う」 と定 義 す るが 、 平 和 創 造 の 箇 所 で 後 にふ れ る 「平 和 強 制 部 隊 」 (peace‑enforcementunit)の 利 用 を提 案 す る な ど 「平和 強 制 」 との混 同が み られ る。 こ の よ うに 、場 合 に よ っては 平和 強制 に よ ってで も和 平 をっ くりだ す こと を提 案 した こ とは 、 ガ リ事 務 総 長 の構 想 の主 要 な関 心 が ① の 予 防外 交 や ②
国連平和維持活動の発展 と現段階75
の平和 創 造 にお かれ て い た こ とを うか がわ せ る もので あ る。 また 、 平和 構築 は、
「紛 争 の再 発 を 防 ぐた め に平 和 を強 化 、 固定 化 す るの に役 立 っ 構 造 を確 認 し、
22)
支援 す る行 動 」 で あ り、 そ の活 動 は 、経 済 社 会 的 ・人 道 的 な性 質 を有 す る も の とな る。
と ころ で 、 国 連 の行 政 関与 は 、1962年 か ら63年 にか け て 西 イ リア ンを め ぐ るオ ラ ンダ ・イ ン ドネ シ ア 間 の紛 争 処 理 のた め に設 置 され た 国連 暫 定 統 治 機 関
(UNTEA)の よ う に 冷 戦 期 の しか もPKOの 初 期 の 段 階 に もみ られ るが 、 冷 戦 後 は 、 そ の よ う な活 動 が 顕 著 で あ る。 そ の最 初 と して は、1989年 か ら90年
に か け て、 ナ ミ ビアの独 立 に際 して派 遣 され た 国連 ナ ミ ビア独 立 支 援 グ ル ー プ (UNTAG)が あ げ られ るが 、 選 挙 監 視 を主 な任 務 と した 限 定 的 な もの で あ っ た。 そ の 点 で 、1992年 か ら93年 に か け て の 国連 カ ンボ ジア 暫 定 機 構(以 下 、 UNTAC)は 、 そ の 規 模 にお い て も任 務 の 多様 性 にお い て も本 格 的 な 国連 に よ る行 政 関 与 で あ った 。 さ らに、 国 連 モ ザ ン ビー ク活 動(ONUMOZ)、 国連 エ ル サ ルバ ドル監 視 団(ONUSAL)、 最近 の例 と して 、 国 連 コソボ 暫 定 行 政 ミ ッ シ ョン(UNMIK)、 国 連 東 テ ィモ ー ル暫 定 行 政 機 構(UNTAET)等 が あ げ ら れ る。 しか し、UNTACの 行 政 関 与 が 現 地 の行 政 機 構 の存 在 を前 提 と した も の で あ り、 国連 が 現 地 の行 政 に 直接 タ ッチす る まで に は至 らなか った の に対 し、
コ ソボ の ケ ー ス は 、UNTEA以 来 、 国連 が 直 接 に行 政 を執 り行 う こと に な った
23)
初 め て の ケ ー ス で あ る。 これ ら多 機i能型PKOは 、冷 戦 後 のPKOの 主 流 を な す に至 った と い って もよ い で あ ろ うが 、確 認 す べ きは 、任 務 の 多様 化 に よ って 伝 統 的PKOは そ の基 本 的 性格 に い さ さ か の変 更 も生 じる こ とは な い とい う点
z¢)
で あ る。 そ の意 味 で は 、本 当 の 質 的 変 化 はっ ぎ に述 べ る拡 大PKOに お い て で あ った と い って よ い。
3.平 和 強 制 との 結 合 とPKOの 変 質
(1)拡 大PKOと 非 強 制 原 則 の動 揺
内戦 型 紛 争 へ のPKOの 参 加 は、PKOの 複 合 化 だ けで な く強 制 的 任 務 を も与 え られ たPKOを 登場 させ る こ と に な った。 す なわ ち、 平和 強 制 との 結 合 現 象 で あ る。 民族 や 宗教 等 の 問題 が 複 雑 に絡 み 合 い根 深 い憎 悪 が横 た わ る よ う な 内
戦 へ のPKOの 関与 は 、様 々 な難 しい 問題 を提 起 す る こ と に な る。 す なわ ち 、 紛 争 の 主 体 が 国家 で は な い内戦 型 紛争 の場 合 、 紛 争 当事 老 が二 者 に限 られず 複 数 の 武 装 グル ー プが複 雑 な利 害 関係 の も とで 対 立 してい た り、そ れ らす べ て の 紛 争 当事 者 の合 意 が え られ な い場 合 もあ り、 国際 法 が遵 守 され に く く停 戦合 意
253
やPKOの 受 け入 れ 同意 が 破 られ る場 合 も あ る。 さ らに、 国 家 制 度 そ の もの が 崩 壊 して い る国家 構造 崩 壊型 紛 争 の ケ ー ス も存 在 す る。 こ うい った 状 況 の も と にお い て は 、 ジ ェノサ イ ドや 重大 な人権 侵 害 が行 わ れ る こ とも十 分 予 想 され う る。 そ の よ う な事 態 へ の対 処 と して行 わ れ る人 道 援 助 活 動 の保 護 をPKOが 担 う よ うな場 合 、武 装勢 力 の 妨害 や 抵 抗 を排 除す るた め に、 憲章 第7章 に も とづ き武 力行 使 の権 限 まで がPKOに 付 与 され る とい う こ とが み られ る よ うに な っ た 。 す なわ ち 、「平 和 維 持 」 と 「平和 強 制 」 の結 合 で あ る。 そ して 、部 隊 構 成
も強 制 力 の行 使 と い う任 務 遂行 の性 質上 、従 来 の 中 小 国や 非 同盟 国中 心 の部 隊 構 成 か ら安 保 理 常 任理 事 国を含 む大 国 中心 へ と変化 す る よう に な った 。 この傾 向 は 、 少 な く と も90年 代 半 ば まで は続 くこと に な る。 この よ う な強 制 的 な権
26?
限 を与 え られ たPKOを 第二 世 代 のPKOと して扱 う もの もあ るが 、 「第 三 世 代
27)
のPKO」 とか 「拡 大PKO」 とよぶ 場 合 もあ る。
と こ ろで 、PKOへ の 武 力行 使 の容 認 は 、実 は冷 戦 期 に そ の例 が み られ る。
1960年 の コ ン ゴ紛 争 は 内戦 型 紛争 で あ った が 、 これ に派 遣 され たONUCは 、 当初 伝 統 的PKOの 基 本 原 則 に 沿 っ て派 遣 され たPKOで あ った 。 しか し、 や が て 国 内 紛 争 に巻 き込 まれ るに 至 り、 事 態 を打 開 す る た め に安 保 理 は1961年
2月21日 、 コ ン ゴ国 連 軍 に 内 戦 防 止 のた め武 力行 使 を含 む す べ て の適 切 な措
置 を と る こ とを承 認 した 。 さ らに、 同年11月24日 、 外 国軍 事 要 員 排 除 目的 の
29?
必 要 な武 力 行 使 の権 限 も付 与 す る決 議 を採 択 した 。 しか し、UNUCは 、 安 保 理 決 議 に よる武 力行使 権 限 の授 権 が 自衛 の範 囲 を逸 脱す るものか どうか を め ぐ っ
て大 きな論 議 を よ び、 各 方面 か らの批 判 に さ らされ た 。 この経 験 をふ まえ て 、 冷 戦 期 のPKOは 再 びUNEFで 形 成 され た基 本 原則 に立 ち返 る こ とに な った の
で あ る。
こ の タ イ プのPKOが 冷 戦 後 、 再 び試 され る こ と に な る。 先 に述 べ た 、 ガ リ 事 務 総 長 の 「平 和 へ の課 題 」 の なか で提 唱 され た いわ ゆ る平 和 強 制 部 隊構 想 で
あ る。 彼 は 、憲 章 第43条 に も とつ く国連 軍 が す ぐに は実 現 しな いで あ ろ う こ
国連平和維持活動 の発展と現段階77
とか ら、 そ れ に代 わ って 第40条 の暫 定 措 置 で発 動 され る重 武 装 の 平 和 強 制 部
ラ
隊 の利 用 を提 案 した。 さ らに 、彼 は、 軍 事 力 を含 む 平 和 創 造 と平 和 維 持 の 間 に
31)
は境 界 線 は存 在 しないか も しれ ない と も述 べ て い る。 こ の平 和 強 制 部 隊 の具 体
32)
的 な実 験 場 と な った のが い わ ゆ る ソマ リア 内 戦 で あ った。1992年 、 大 規 模 な 内戦 に よ って無 政 府 状 態 と な り、 飢 餓 が 深 刻 化 し大 量 の難 民 が 流 出す る ソマ リ
33)
ア の事 態 に際 し、安 保 理 は 「平 和 に対す る脅威 を構 成す る」 と認 定 し、 当初 従 来 型 のPKOと してUNOSOMIを 派遣 した が 、事 態 が打 開 で き な い とみ るや 米
34}
軍 主 導 の多 国籍 軍(UNITAF)を 派 遣 した 。UNOSOMIIは 、 こ のUNITAFの 任 務 を引 き継 ぐも の と して安保 理 に よ って設 置 、 派 遣 され た部 隊 で あ り、平 和 強 制 部 隊 の構 想 が 実践 面 で 適用 され た もの とされ る。 部 隊 に は停 戦 監 視や 人 道 援 助 の た め の安 全 確保 に加 え て 強制 的武 装 解 除、 責 任 者 の逮 捕 等 の任 務 が与 え られ 、 これ ら任 務 の遂 行 の た め に第7章 に も とつ く武 力 行 使 の権 限が 与 え られ
35)
た 。 そ の結 果 、「第 二 次 ソ マ リア活 動 は 、 もは や 伝 統 的 なPKOで は な く、 平
3&)
和 強制軍へ と変 質 した」 ので あ る。 しか し、その結果 、最大 の武装勢 力 アイデ ィー ド派 との 間で 抗 争 と な り、 国連 は 内戦 に巻 き込 まれ て米 軍 等 に多 数 の犠 牲 者 を 出 し、 国連 の活 動 は信 頼 と正 当性 を失 って撤 退 を 余儀 な くされ た ので あ る。
ま た 、実 際 に は武 力行 使 は行 わ れ なか ったが 、1992年 、 ボ ス ニ ア ・ヘ ル ツ ェ ゴ ビナ に派 遣 され た 国連 保 護軍(UNPROFOR)の 事 例 も 、第7章 の も とで 武 力行 使 の権 限 が付 与 され た 点 で は共 通 す る。 この場 合 は 、別 の 意 味 で 内戦 へ の PKOの 介入 の 難 しさ を痛 感 させ る もの で あ った が 、 ソ マ リア の ケ ー ス と並 ん で 、 や は り冷 戦 後 のPKOの 失 敗 例 と してa,に あ げ られ る も の で あ る。 これ につ い ては 、 っ ぎの箇 所 で あ らた め てふれ る こ とにす る。
(2)自 衛 原 則 へ の 回 帰 とそ の他 の 問題
1995年1月 、 ガ リ事 務 総 長 は、 「平 和 へ の課 題 一 追 補 」 を発 表 した 。 そ の なか で 、 ソマ リアお よ び ボ ス ニ ア ・ヘ ル ツ ェ ゴ ビナ で のPKaに つ い て っ ぎ の よ う に総括 して い る。 「三 つ の と くに重 要 な原 則 は 、 当事 者 の 同 意 、 公 平 性 、 そ して 自衛 以 外 の 武 力 の非 行 使 で あ る。 最 近 の成 功 と失敗 に つ いて の 分 析 は 、 成 功 した 場 合 は み な これ らの原 則 が 尊 重 され てお り、 あ ま り成 功 しなか った 活
37)
動 で は 尊 重 さ れ て い な い こ と を 明 らか に して い る 」 「ソ マ リア と ボ ス ニ ア ・へ
38)
ル ツ ェ ゴ ビナ の事 例 は この点 で教 訓 的 で あ る」 「現 実 に は、 平和 維 持 活 動 に と っ て 、既 存 の構 成 、軍 備 、兵 姑 支 援 お よ び配 備 が そ れ を用 い る可能 性 を否 定 す る 場 合 に 、 武 力 行使 を要 請 す る こ とほ ど危 険 な ことは ない。 平 和 維 持 の論 理 は 、 強制 の 場 合 とは ま った く異 な る政 治 的 ・軍 事 的 前 提 か ら発 してお り、 強制 の 力 学 は 平 和 維 持 が 促 進 しよ う とす る政 治 的過 程 とは相 容 れ な い。 この二 つ の 区別 を曖 昧 にす る ことは 、 平 和 維持 活 動 の 実行 可能 性 を損 な い、 そ の要 員 を危 険 に
39)
さ らす こ と に な る」 「平 和 維 持 と(自 衛 以外 の)武 力 行 使 は、 代 替 手 法 とみ な され るべ きで 、 あ る も のか ら別 の もの へ の容易 な移 行 を可 能 にす るひ とつ の連
るゆ
続 体 の 隣接 点 と み な して は な ら ない 」。 この 報告 書 にお い て ガ リ事 務 総 長 は 、 ソマ リアお よび ボス ニ アで のPKOの 失 敗 を認 め 、軌 道 修 正 を行 った ので あ る。
す なわ ち、PKOと 平 和 強 制 はそ れ ぞ れ 異 な る考 え方 に よ って立 っ 別 個 の機 能 で あ っ て、PKOに 強 制 力 を 付 加 し、 自衛 の範 囲 を こえ た 武 力行 使 を行 う こ と
は 「制 度 と しての独 自性 を失 う」 こ と に な り、「PKOに と って の 自殺 行為 を い
の
み す る」 こ とが 確 認 され た ので あ る。 そ の結果 、 自衛 原 則 の点 にお い て、伝 統 的PKOに 回帰 した とみ て よ い。 しか し、 ソマ リアや ボ ス ニ アで の 苦 い経 験 が PKOへ の 深 い失 望 感 を もた ら し、90年 代 半 ば を境 にPKOの 活 動 は 縮 小 の 一 途 を た どる こ とに な った ので あ る。
と ころ が 、99年 以 降 、 コ ソボ を は じめ シ エ ラ レオ ーネ 、 東 テ ィモ ー ル 、 コ ン ゴに お い て大 規 模 なPKOが 展 開 され る よ う に な り、 再 びPKOへ の関 心 が 復 活 しつ つ あ る。 自衛 原則 との 関連 で ふ れ てお く必要 が あ る と思 わ れ る の は、
これ ら四つ のPKOと も憲章 第7章 に 言及 した安 保 理 決 議 を根 拠 と して い る点 で あ る 。 この こ とは 、PKOに 再 び 自衛 原 則 を超 え る強 制 力 を 与 え よ う とす る もの な ので あ ろ うか 。 後 に述 べ る ブ ラ ヒ ミ ・レポ ー トとの 関連 で み る な らば 、 少 な くと も 自衛 の範 囲 を超 え るよ う な 「平 和 強 制 」 の役 割 を期 待 す るも ので は な く、PKO要 員 の安 全 の確 保 と任 務 遂 行 の妨 害 の 排 除 の た め の十 分 な 自衛 能 力 を与 え る こと に よ って、抑 止 効果 を期 待 した も の と考 え るべ きで あ ろ う。 し か し、 そ の よ う な第7章 に も とつ く権 限 が 自衛 概 念 の範 疇 に と どま る もので あ
るか どうか と い う問 題 は生 じる。 そ して 、 そ の前 提 と して 自衛 の 意 味 お よび 内 容 が 問題 と な る。 自衛 の意 味 と して は 、一 般 にPKO要 員 の生 命 と身 体 、 仲 間 の隊 員 お よ び保 護 を委 ね られ た 人 の 防護 な らび に 自 らの,,屯 地 ・護 送 団・車 両 ・
国連平和維持活動の発展 と現段階79
銃 を守 るた め の武 器 の使 用 と い う狭 義 の 自衛 概 念 と 、PKOの 任 務 の遂 行 を妨 げ よ う とす る武 力手 段 に よ る試 み に対 す る抵 抗 まで も含 め る広義 の 自衛 概 念 が
42)
あ るが 、広 義 の 自衛 概 念 に よ る な らば 第7章 に基 づ く権 限 も一応 自衛 の範 囲 内
43}
と い う こ とに な る と考 え られ るの で は ない か。
また 、PKO自 体 の問題 で は な いが 、 冷 戦 後 、PKOは 多 国 籍 軍 や 地 域 的 機i関 な どとの協 力 の うえで 、任 務 を遂行 す る場 合 が よ くみ られ る。 ソマ リア に お け るUNITAFや ボ ス ニ ア にお け るNATOな どは そ の例 で あ り、 コ ソボ にお け る コソボ 軍(KFOR)とUNMIK、 東 テ ィモ ー ル に お け る東 テ ィモ ー ル 多 国籍 軍
(INTERFET)とUNTAETの 関係 も 同様 で あ る。 しか し、 難 しい問 題 も生 ず る。 ボ ス ニ ア ・ヘ ル ツ ェ ゴ ビナ に派 遣 され たUNPROFORそ の も の は従 来 型
ぬ ラ
のPKOと して派 遣 され た が 、情 勢 の 悪化 に伴 い 、 安保 理 はUNPROFORの 任 務 につ い て、安 全 地 域 の保 護 の た め に第7章 の も とで 武 力行 使 を含 む あ らゆ る
45)
必 要 な措 置 を と る権 限 を追加 した。 ただ し、 そ の権 限 は あ くまで 「自衛 の行 動 と して」 と る こ とを許 可 され た もの で あ った 点 で 、 自衛 原 則 を超 え る も ので は なか った と一 応 言 う こ とが で き る。 しか し、UNPROFORと 併 行 して 派 遣 さ れ たNATOに よ る空 爆 に よ っ て セ ル ビア 人 勢 力 の 反 発 を よ び 、 そ の 結 果 UNPROFORが 報 復 の 対 象 と な り、PKO要 員 が 拘 束 され る とい う 問題 が 起 き た 。
さ らに 、PKOの 課題 と して は 、 そ れ が 関 与 す る こ とに よ る場 合 だ けで は な く、 関与 しない こと に よ る問題 に つ い て も考 え なけ れ ば な らない 。 ル ワ ンダの 悲 劇 は それ を象 徴 す る もの で あ った。 ル ワ ンダで の 大量 虐殺 とい う事 態 に対 し 国連 が何 ら有 効 な手 だ てを講 じる ことが で き なか った こ とは 、 ソマ リアや ボ ス ニ ア の 問題 とあ わ せ てPKOへ の 失 望 を加 速 させ る こ と と な った。 これ は人 道 的 介入 の 問題 と して も活 発 な議 論 が あ る と ころ で あ るが 、 い ずれ にせ よ内 戦 や それ に伴 う人 道 的 危機 へ の的 確 な対 応 が いか に難 しい か を示 す もの で あ る。
の
4.ブ ラ ヒ ミ ・ レポ ー トとPKOの 現 段 階
以 上述 べ て きた よ う に冷 戦 後 のPKOは 、 そ の 発 展 と と も に試 行 錯 誤 を 重 ね て きた と い って よ い。 そ の よ う な なか 、2000年3月 、 ア ナ ン事 務 総 長 は 、 諮
PeaceOperations)を 設 置 し、 冷 戦 後 のPKOを 総 括 し、 そ の 改 革 と今 後 の 強 化 策 に っ い て ま と め る よ う 指 示 した 。 そ の 報 告 書 が 、2000年8月21日 、 事 務
47}
総 長 に提 出 され公 表 され た。 この報 告 書 は 、 アル ジ ェ リア の元 外 相 で 同委 員会 の 委 員 長 を 務 め たL・ ブ ラ ヒ ミの 名 前 か ら、 一 般 に 「ブ ラ ヒ ミ ・レポ ー ト」
4$)
(以 下 、 レポ ー ト)と よ ば れ て い る 。PKOに っ い て の 包 括 的 な 検 討 と 約60の 勧 告 を 行 っ た 同 レポ ー一トは 、2000年9月 の 国 連 ミ レニ ア ム ・サ ミ ッ トに 提 出 さ れ 、 加 盟 各 国 か ら大 筋 で 支 持 さ れ た 。 レポ ー トを 受 け て 、 事 務 総 長 は 勧 告 を
49)
実 施 す るた め の実 施 計 画 案 を提 出、 これ に も とづ き現 在 国連 で議 論 が行 わ れ て い るが 、す で に実 施 に移 され て い る もの もあ る。
レポ ー トに お い て、 まず 注 目され るの は 、① 紛 争 予 防 と平 和創 造 、② 平 和 維 持 、 ③ 平 和 構 築 の 三 つ の 要 素 か ら な る 活 動 を 「国 連 平 和 活 動 」(United Nationspeaceoperations)と よび 、PKOを そ の一 連 の 活 動 と して位 置 づ け
50)
よ う と して い る点 で あ る。 レポ ー トは 、 「「国連 平 和 活 動 」 と い う表 現 が公 式
Si)
文 書 に使 用 され た最 初 の例 」 とされ るが 、 前述 の 「平 和 へ の課 題 」 で類 型 化 さ れ た これ らの概 念 が 、 冷 戦 後 の一 連 のPKOの 実 践 過 程 の なか で 定 着 し、 整 理 され て 、発 展 したPKOが 紛 争解 決 プ ロセ ス の諸 段 階 に 関 わ る包 括 的 な 「平 和 活 動 」 と して理解 され る よ うに な った とみ る こ とが で き る。 紛 争 予 防 は 、紛 争 が顕 在 化 す る前 に、平 和 創 造 は 、紛 争 発 生 後 に外 交 努 力や 調 停 を通 じて紛争 の 解 決 を 目指 して行 われ る非 軍 事 的 な措 置 の こ とで あ る。 これ に は、 国連 を は じ め 、 各 国 政 府 や 地 域 的 機 関 、NGOな ども関 与 す る こ とが考 え られ る。 平 和 維 持 は 、伝 統 的PKOの 任 務 と して形 成 され て きた 軍事 部 門 に よ る停 戦 監視 や 兵 力 引 き離 しな どが 主 な任 務 と な るが 、 レポ ー トで注 目され るの は、 そ れ が 「冷 戦 後10年 の 間 に 内 戦 後 の危 険 な状 況 に お い て 平 和 構 築 の た め に軍 事 要 員 と文 民要 員 が 協 力 して行 う複 合 的 なモ デ ルへ と進 化 しっ っ あ る」 と述 べ て い る こ と
52)
で あ る。 そ して 、冷 戦 後s伝 統 的PKOが 多 機 能 型(複 合型)PKOへ と発展 し た こ と を ふ ま え て 、 多 機 能 型PKOに 期 待 が 寄 せ られ て い る。 こ の こ と は 、 PKOに 対す る平 和構 築 へ の役割 が 高 ま った ことを 意味 す る。す なわ ち、 レポ ー トで最 も重 視 す るのが 平 和構 築 で あ る。 それ は 、複 雑 な利 害 が絡 んだ 内戦 型 紛 争 に お い て は 、紛 争 終 結 後 の停 戦 監 視 のみ で は 問題 の解 決 には な らず 、紛 争 の
国連平和維持活動 の発展 と現段階81
当事 者 の最 終 的 な和 解 と紛 争 原 因 の根 絶 のた め に は 、 国 家 の再 建 とい う平和 構 築 の 作 業 が 不 可 欠 と な るか らで あ る。 レポ ー トで は 、 平 和 構 築 にっ い て 、 「紛 争 終 結後 に平 和 の基 礎 を再 構 築 し、そ の基礎 の う え に 単 に戦 争 が存 在 しない だ け で は ない 、 それ 以 上 の も の を構 築 す る手 段 を提 供 す る活動 で あ る」 と定 義 し
53}
て い る。 そ して、 この平 和構 築 に は、 武 装 勢 力 の市 民社 会 へ の復 帰 や 法 の 支 配 (現 地 警 察 の訓 練 と再 編 成 、 司法 制度 改 革 等)、 人権 侵 害 の監 視 や 人 権 教 育 を 通 じて の人 権 の尊 重 の促 進 、 民主 化 支 援(選 挙 支 援 や 報 道 の 自由 の支 援)な ど
54)
が含 まれ る。
そ れ で は 、平 和 維 持 と平 和 構 築 の関 係 にっ い て、 レポ ー トは どの よ うに 考 え て い るの で あ ろ うか 。 レポ ー トで は、 平和 維 持 に あた る者 と平 和 構 築 に あ た る 者 は、複 合 的 な活 動 にお い て は不 可 分 で あ り、 平 和 構 築 は平 和 維 持 が なけ れ ば 活 動 を行 え ない し、 平 和 維 持 の業 務 は 、 平和 構 築 が 達 成 され な けれ ば終 わ らな
55)
い と述べ て い る。 す なわ ち、 政 治 的 、 社 会 的 、 経 済 的 変 革 の た め の平 和 構 築 に あた っては 、現 地 の安 全 な環 境 を確 保 す る こ と、す なわ ち平 和 維 持 が 重 要 な役 割 を担 う こ とに な るので あ る。 それ は 、 と くに 内 戦終 結 後 の平 和 構 築 に あ た っ
ては 、和 平合 意 が 一旦 成 立 して も紛 争 当事 者 に よ って破 られ る場 合 も予想 され 、 そ の よ う な状 況 にお い ては 停 戦 合 意 を当事 者 に遵 守 、履 行 させ なが ら平 和 構 築
を推進 す る こ とが 求 め られ るか らで あ り、 よ って平 和 維 持 と平和 構 築 は 密 接 に
56}
連 携 を は か りなが ら並 行 して行 われ る こ とに な るの で あ る。 こ の こ とは 、 武 器 の 使用 につ い て十 分 な 自衛 の 能 力 を与 え なけれ ば な らない と い う考 え 方 に結 び っ くこ と に な る。 レポ ー トで は 、一 旦PKOが 派 遣 さ れ た な らば 、 そ の任 務 は 確 実 かっ 成 功 裏 に遂 行 され なけ れ ば な らない と した うえ で 、和 平 合 意 を 暴 力 を
も って破 ろ う とす る勢 力 に対 しては確 固 た る交 戦 規 則(rulesofengagement)
に よ って、PKO部 隊 が 要 員 お よび 任 務 を守 る能 力 と権 限 を 与 え られ なけ れ ば
おの
な らない と述 べ て い る。
そ れ で は 、伝 統 的PKOに お い て形 成 され 、 ソ マ リア の 失 敗 を受 け て再 び確 認 され た 基 本 原 則 にっ い て どう考 え られ て い る ので あ ろ うか 。 レポ ー トで は 、
「委 員 会 は、 紛 争 当事 者 の 同 意 、 中 立性 、 自衛 の 場 合 に 限 った 武 力 の 行 使 が
5$)
PKOの 確 立 した 原 則 で あ る こ と にっ い て 、 これ に 同意 す る」 とは っ き り と基 本 原 則 の維 持 を確 認 して い る。 した が って 、PKOの 派 遣 は 当事 者 の 同 意 に も
とつ い て 行 わ れ 、武 力 の 行使 はPKO要 員 お よ びそ の保 護 の も とに あ る者 の安 全 の確 保 、 お よび和 平 合 意 の 実施 とい う任 務 を妨 害 しよ う とす る者 に対 して 、 これ を排 除す るた め に 自衛 の範 囲 内で認 め られ る こと に な る と考 え られ る。 そ の点 で 、 「平 和 強 制 」 とは 一 線 を画 そ う と して い る とみ る こ とが で き よ う。 そ の証 拠 に 、「平和 へ の課 題 」 で 平 和 創 造 の な か に混 在 して いた 平 和 強制 の 機 能 は 、 レポ ー トにはみ られ な い。 また 、 レポ ー トで は 、 国連 は 戦 争 を行 う もの で は な く、 強制 行 動 が必 要 な場 合 、 国連 は一 貫 して そ の任 務 を、 憲章 第7章 の も とで安 保 理 に よ って授 権 され た 多 国籍軍(自 発 的 に行 動 す る 国hの 連 合)に 委
59?
ね て きた こ と を指摘 して い る。
しか し、 内 戦終 結 後 にお け る平 和 構築 とい う難 しい任 務 で あ る とは い え 、武 力行 使 の 権 限 の 強化 が はた して 自衛 の範 囲 を逸 脱 す る も ので は な いの か どうか に っ い て は さ らに慎 重 な議 論 が な され るべ きで あ ろう。 事 務 総 長 も実 施 計 画 の なか で 、武 力 行 使 に 関す る委 員 会 の勧 告 は 、PKOが 紛 争 当事 者 の 同 意 の も と に展 開 す る場合 にのみ 適 用 され る。 した が って、 勧 告 の いか な る部 分 も国連 が 戦 闘機 関 に な る こ とを 意 味 した り、PKO要 員 に よ る武 器 の使 用 に 関 す る原 則 を根 本 的 に 変 更す る もの で は な い。 交戦 規 則 は個 別 の ミ ッシ ョンご と に作 られ
so)
る べ き で あ る と釘 を さ して い る 。
以 上 の よ う な コ ンセ プ トに も とつ くPKOを 迅 速 か っ 効 果 的 に 展 開 す る た め に 、 レポ ー トは 、 緊 急 展 開 能 力 の 向 上 と人 材 確 保 に っ い て の 具 体 的 な 提 案 を し て い る 。 これ ま で 、 短 期 間 でPKOを 展 開 で き な い こ と に対 す る 指 摘 に 応 え よ う とす る も の で あ る 。 レポ ー トに よれ ば 、 迅 速 か っ 効 果 的 な展 開 能 力 に っ い て 、 伝 統 的 なPKOに っ い て は30日 以 内 、 多 機 能 型PKOに っ い て は90日 以 内 と設 定 し 、 各 国 の 要 員 を 登 録 し て お く 国 連 待 機 制 度(TheUnitedNations
StandbyArrangementsSystem)の 強 化 の た め に 加 盟 国 へ の協 力 を よ び か け
61)
て い る。 また 、 緊急 展 開要 員 と して、要 請 か ら7日 以 内 に派 遣 で き る軍 事要 員 お よび 文 民 警 察 官各100人 程 度 を待 機 要 員 と して確 保 す る こ とや 、 各 国が 文 民 警 察 官 の 事 前 登 録 リス トを作 成 す る こ とを奨 励 、 速 や か に派 遣 で き る文 民専 門
62}
家 の候 補 者 リス トの作 成 な どにつ いて も提 案 して い る。 さ らに、 平和 活動 に参 加す る事 務 総長 特 別 代 表 や 軍 事 部 門 の 司令 官 、文 民警 察 の部 長 な どの 幹部 候 補 者 にっ い ての待 機 制度 の確 立 にっ い て も勧 告 して い る。 これ らに関 して、現 在 、
国連平和維持活動の発展 と現段階83
国連 事 務 局 を 中心 に登 録部 隊 の利 用 可 能 性 に関 す る四半 期 ご との報 告 制 度 、 部 隊所 有装 備 品 に関 す る詳細 な了解 覚 え書 き を含 む 新 た な登 録 の段 階 設 定 、 軍 事 部 門待 機 制 度 ハ ン ドブ ックの作 成 な ど、 国連 待 機 制 度 の強 化 に っ い て推 進 中 で あ り、2002年8月 現 在 、74力 国 が 本 件制 度 に参 加 し、18力 国が 参 加 の意 図 を
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表 明 してい る(日 本 は 未参 加)。 ま た 、 幹 部 候 補 者 リス トお よ び軍 事 要 員 リス トにっ い て、各 国 に登 録 者 の推 薦 を依 頼 中で あ り、文 民警 察 官 や文 民専 門家 の
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リス ト作成や文民警察官 の訓練標準化 の作業 も行われ てい る。
その他、 これ まで曖 昧で不 明確で あ った安保理決議 の明確化 や、事務 総長 が 部隊派遣 の見通 しを確 認す るまではPKOを 設 置す る安保理 決議 の採 択 を留保
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す る こと な どにつ い て もふ れ て い る。 これ にっ い て は、 安 保 理 と要 員 派 遣 国 と の協 議 の重 要 性 が 認 識 され 、安 保 理 と要 員 派 遣 国 との協 力 原 則 、要 員 派 遣 国会
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合 の形態、手続 き等を決定す る安保理決議が採択 され、安保理 と要員派遣 国の 協 力の新 た なメカニズム と してPKOに 関す る安保 理作業部 会 を活用す る こと
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とす る安 保 理議 長 ノー トが 採 択 され た 。 また 、 事 務 総 長 や 事 務 局 の権 限 強 化 に っ い て も さ ま ざ ま な 勧 告 を行 っ て い る が 、 た と え ば 、 緊 急 対 応 の た め に 、 PKO派 遣 が は っき り した 段 階 で 行 財 政 問 題 諮 問 委 員 会 の 承 認 を え て 、安 保 理 決 議 採 択 前 に事 務 総長 に5千 万 ドルの 支 出権 限 を与 え る こと な どを勧 告 して い
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る。
いず れ にせ よ 、 レポ ー トで 示 され た 改革 構 想 が どこまで 実 現 す るか どうか は 、 加 盟 国 の協 力 と事務 局 の努 力 にか か ってい る とい って よ い。 レポー トは最 後 の 章 の 「実施 へ の 課題 」 の なか で っ ぎ の よ うに述 べ て い る。 「改 革 は 、 加 盟 国 が 本 気 に な って実行 しよ うと しな い限 り実現 しない で あ ろ う。私 た ちは 、 ま た 、 事 務 局 改 革 が事 務総 長 と幹 部 職 員 に よ って積 極 的 に推 進 され 実施 され る こ とを
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信 じる も の で あ る」。
お わ りに 一 「人 間 の安 全 保 障 」 的 「平 和 活 動 」 の 模 索 一
これ までみ て きた よ う に、 国 連 の 平和 維 持 活 動 は 、東 西 冷 戦 に よ る集 団安 全 保 障 の機 能麻 痺 の なかで 誕生 し、実践 の なか で試行 錯 誤 を繰 り返 しなが ら発 展 、 定 着 し今 日に至 って い る。 と くに 、冷 戦 終 結 後 の浮 沈 は激 し く、PKOは 飛 躍
に よ る挫 折 を経 て縮 小 、 そ して こ こ数 年 、再 び 国際 社 会 の関心 を 取 り戻 しっ っ あ るか の よ う に もみ え る。 しか し、2000年5月 、 シエ ラ レオ ネ に派 遣 され た PKF兵 士500人 が 、 シエ ラ レオ ネ の反 政 府 勢 力 に拘 束 され る事 件 が発 生す る な ど、世 界 各 地 に展 開 され るPKOは 、 困 難 な任 務 と も向 き合 い なが ら 「平 和
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活 動 」 に 従 事 して い る 。PKO要 員 の 安 全 確 保 の 問 題 、 最 近 顕 著 な 先 進 国 の PKO離 れ や 文 民要 員 の 不 足 な どに 代 表 され る人 的 資 源 の確 保 、財 政 的 基 盤 の 問題 な ど、PKOは さ ま ざ ま な課 題 を抱 え て い る。 ブ ラ ヒ ミ ・レポ ー トに集 約 され る今 後 のPKO改 革 が どこ まで 進 展 す るか を見極 め る に は 、 も う少 し時 間 を要 す るで あ ろ う。
こ の よ う な現 状 に照 らす な らば 、世 界 各 地 で 発 生 す る紛 争 のす べ て に対 し PKOを 展 開 す る とい う こと は不 可 能 で あ ろ う し、 また適 切 で も ない で あ ろ う 。 PKOが 平 和 強 制 の 任 務 まで 請 け 負 う こ との難 しさ は、 コ ン ゴや ソ マ リア の例 が示 す と お りで あ る。 した が って 、 紛争 の種 類 や 性 質 、 段 階 、状 況 に応 じて 、 平和 回復 のための強制的措置 とヲ巨強制的措 置・また・軍事的措置 と非軍事的措 置 とい うオ プ シ ョンを選 択 的 に用 い る こ とが 、 よ り現 実 的 で あ り効 果 的で あ ろ
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う。 よ って 、 強制 力 を伴 う軍 事 的 措 置 にっ い て は、 多 国籍 軍 に委 ね ざ るをえ な い場 合 もあ るか も しれ ない し、 経 済 制裁 や 戦争 犯 罪 法 廷 に よ る戦争 犯 罪 者 の裁 判 な どの 非 軍 事 的強 制 措 置 が 有 効 な場 合 もあ るで あ ろ う。 と くに、長 年 の懸 案 で あ り悲 願 で あ った 国際 刑 事 裁 判 所 が よ うや く発 足 した 現 在 、 戦争 犯 罪 者 を法 の 下 に公 正 に裁 判 に よ って裁 くことは 、復 讐 の連 鎖 を断 ち切 るうえ か らも今 後 一 層重 要 と な って こ よ う。 いず れ にせ よ 、「平 和 維 持 は 、 「平 和 創 造 」 や 「平 和 強 制 」 の機 能 と同様 、決 して紛 争 解 決 の万 能 薬 で は な く、 それ ぞ れ に長所 と と
も に 欠 陥 や 限 界 を もっ 制 度 で あ る こと を認 め るべ き」 で あ り、「これ らの機 能 を如 何 に使 い分 け、 そ れ ぞれ の持 ち味 を活 か す よ う活用 す るか と い う、選 択 の
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問 題 」 と い う こ とに な るで あ ろ う。 そ れ で は 、PKOの 持 ち味 は何 か。 それ は 、 基 本 原 則 に集 約 され て い る とい って よ い。 す で に述 べ た と ころで あ るが 、 非 強 制 性(同 意 原 則 お よ び 自衛原 則)、 中 立 性 、 そ して 国際 性 で あ る。 そ の 意味 で 、 試 行 錯 誤 は あ ったが 、 ブ ラ ヒ ミ ・レポ ー トで この基 本 原 則 を確 認 した こと は重 要 で あ る。 そ して、 あ え て端 的 に述べ る な らば 、 これ らの基 本原 則 に立 脚 しつ