微積分III演習(2) 配布日:2007年12月12日
微積分 III 演習
−
(2)上限・下限,数列の収束・発散 − 担当:佐藤 弘康
例題
2.1.集合
A =
½ 0,1
2,2
3, . . . ,n−1 n , . . .
¾
の上限,下限,最大値,最小値がどうなっているか考察せよ.
解
.任意の
nに対して,
0≤ n−n1(等号成立は
n= 1のとき)だから,
0が
Aの最小値に なることは明らか(つまり
0は下限でもある).
また,
n−n1 = 1− 1n < 1であり,
1nはいくらでも小さくできるから,
Aの上限は
1で あると推測される.このことを背理法を使って厳密に証明してみよう.上限が
1でないと 仮定すると,
i) ∃a∈A : a > 1
(
1より大きい
Aの元
aが存在する) ,または
ii) ∃ε >0 ∀a ∈A : 1−ε ≥a
(任意の
a∈Aに対して
1−ε ≥aが成り立つような
ε >0が存在する)
のうち,少なくともどちらか一方が成り立つ.条件
i)が成立しないことは明らか.条件
ii)は任意の
n∈Nに対して
1−ε≥ n−n1が成り立つことを意味している.しかし,これ を計算すると
n≤ 1εとなり,これはアルキメデスの原理
(A)に矛盾する.以上のことか ら,
supA= 1であることが示された.
任意の
n∈Nに対して
n−n1 6= 1だから
1は最大値にはならない.
問題
2.1.次の集合の上限,下限,最大値,最小値がどうなっているか考察せよ.
(1)
円周率の少数第
n位までの値を
anとおくとき,
{a1, a2, . . . an, . . .} (2)二乗したものが
2以下となる有理数全体の集合
(3)
½n2+n n2+ 1
¯¯¯¯ n= 1,2,3, . . .
¾
問題
2.2.集合
Aのすべての元
aについて
a < bならば,
supA ≤bとなることを示せ.
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例題
2.2. limn→∞
1
n2 = 0
を証明せよ.
数列の収束「
limn→∞an =a」の定義は「任意の
ε >0に対して,ある
nε ∈Nが存在 し,
n≥nεならば
|an−a|< ε」が成り立つことである.つまり
∀ε >0 ∃nε ∈N:n≥nε =⇒ |an−a|< ε.
したがって,勝手に与えた
εに対し,
nε ∈Nをどう定めたらよいのかを考えればよい.
¯¯ 1
n2 −0¯¯< ε
を解くと,
n >1/√ε
だから,
nε= [1/√ε ] + 1
とすればよいことがわか る
(ただし,
[k]は
kを越えない最大の整数
).また,
nεの選び方は一意的ではないので,
「
1/√ε
より大きい自然数を
1つ選び,それを
nεとおく」としてもよい(このような
nεの存在性はアルキメデスの原理により保証される).
証明
.任意の
εに対し,
nε = [1/√ε ] + 1
とおくと,
n≥ nεを満たす
n ∈ Nに対して
n >1/√ε
だから,
¯¯¯¯ 1 n2
¯¯¯¯< ε.
したがって,
1/n2は
0に収束する.
問題
2.3.次の数列が収束するか発散するかを調べよ(
ε-N論法を用いて証明せよ) .
(1) limn→∞(√
n+ 1−√ n) (2) lim
n→∞
µ n
n+ 1 + n+ 1 n
¶
(3) lim
n→∞
µ
2n+ 1 2n
¶
(4) lim
n→∞
12+ 22+. . .+n2 n3
(5) lim
n→∞(−1)n
問題
2.4. 2つの数列
{an},
{bn}に対し,
(1)
数列
{an+bn}が収束するならば,
{an},
{bn}は共に収束するか?
(2)
数列
{an·bn}が収束するならば,
{an},
{bn}は共に収束するか?
注意:この2つの主張の逆は常に成り立つ(教科書p.246,定理7.3参照).
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例題
2.3.数列
{an}が
aに収束するとき,
nlim→∞
a1+a2+. . .+an
n =a
を証明せよ.
解
.仮定から,
ε > 0が任意に与えられたとき,
nε ∈ Nを適当にとると,
n ≥ nεでは
|an−a|< ε
が成り立つので
An =a1+a2+. . .+ann
=a1+a2+. . .+anε−1
n + anε +. . .+an n
=a1+a2+. . .+anε−1
n + (n−nε+ 1)a
n + (anε −a) +. . .+ (an−a) n
( = A(1)n +A(3)n +A(3)n
とそれぞれおく
).ここで,
A(1)nの分子は
nに依らないので,
n→ ∞のとき
0に近づく.つまり「
∃n0ε ∈N : n≥n0ε =⇒ |A(1)n |< ε」.
A(2)n = (n−nnε+1)a =a− a(nεn−1)
より,
n→ ∞のとき
aに近づく.つまり「
∃n00ε ∈N : n≥n00ε =⇒ |A(2)n −a|< ε」.
A(3)3
については
|A(3)3 | ≤ (n−nε+ 1)ε
n ≤ε.
以上のことから,
n≥max{nε, n0ε, n00ε}に対して
|An−a|< ε+ε+ε = 3ε
となり,
Anが
aに収束することが証明された.
問題
2.5.数列
{an}が
aに収束するとき,
nlim→∞
a1+ 2a2+. . .+nan
1 + 2 +. . .+n
は収束するだろうか.収束する場合は極限を求め,例題
2.3を参考にして証明せよ.
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問題
2.6. an >0 (n= 1,2, . . .),
limn→∞an+1an =r
であるとき,
(1) r <1
のとき,数列
{an}は
0に収束することを示せ.
(2) r >1
のとき,
{an}の極限はどうなるか考察せよ.
実数の連続性に関する命題
¶ ³
(M)
上(下)に有界な非減少(非増加)数列は極限値を持つ.
(A)
任意の実数
K >0に対して,
n > Kとなる自然数
nが存在する.
(W)
実数の集合
A 6=∅が上(下)に有界ならばその上限
supA(下限
infA)が 存在する.
(B-W)
数列
{an}が有界ならば,その適当な部分列
{ank}は極限をもつ.
(C)
コーシー列は極限をもつ.
(K) an ≤ bn (n = 1,2, . . .)
を満たす単調増加列
{an}と単調減少列
{bn}が任 意に与えられたとき,すべての閉区間
[an, bn]に含まれる実数
xが存在する.
(D) {A, B}
がデーデキント切断ならば, 「
Aは最大値を持ち,
Bは最小値を持 たない」かまたは「
Aは最大値を持たず,
Bは最小値を持つ」のどちらか一方 が成り立つ.
µ ´
6