2018年の不確実性と向き合う
ETFを活用したグローバル投資戦略
楽天証券株式会社|2017年11月
楽天証券経済研究所 チーフグローバルストラテジスト
香川 睦
1. 2018年に向けた不確実性と
内外マーケット見通し
2.ETFを活用したグローバル投資戦略
(1)長期グローバル投資の継続
(2)IT業界のスーパーサイクル
(3)インド経済の高成長期待
<本日のポイント>
2018年に向けた不確実性と
内外マーケット見通し
外国株式、為替、国内株式の推移
(注:外国株式=MSCI Kokusai指数(日本を除く世界株式指数)、円通貨指数=日経円通貨指数) (出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月20日))
2018年に向けた不確実性と市場見通し
外国株式、為替、国内株式の推移
(注:外国株式=MSCI Kokusai指数(日本を除く世界株式指数)、予想EPSはBloomberg集計による予想平均) (出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月20日))
新年に向け「ブラックスワン」は現れる?
(注)「ブラックスワン指数」=SKEW Index(オプション市場(CBOE)での「株価大幅下落確率÷株価大幅上昇確率」) (出所)Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月20日)
新年も警戒したい
「ABCDEリスク」
(出所:各種報道や分析より楽天証券経済研究所作成(2017年11月時点))A
American Yield
(米金利の上昇加速)
米国の政策金利や長期金利の上昇が加速すれば、米国経済
のみならず、新興国の経済や通貨に影響を与えるだろう。
B
Brexit Pandemic
(EU離脱の感染)
フランス大統領選(5月)、ドイツ総選挙(9月)、イタリア
総選挙(18年春)を経て、反EU勢力が再台頭するか。
C
China Risk
(中国危機の再燃)
民間債務拡大、不動産バブル、若年失業者増加などが不安要
因。共産党大会以降の政治・経済政策の変化に要注意。
D
Donald Trump
(トランプ大統領の暴走)
税制改革の後ずれ、債務上限問題、保護主義など外交面の
暴走、ロシア疑惑を発端とする弾劾リスク等は波乱要因。
E
East Asian Crisis
(東アジアの地政学リスク)
北朝鮮の挑発に対する米国の軍事行動や第2次朝鮮戦争リス
ク。中国やロシアを介しての交渉も(新・ヤルタ会談?)
実質GDP成長率
(前年比)
実績
国(地域)名
2016年
2017年
2018年
2017年
2018年
世界全体
3.2
3.6
3.7
0.1
0.1
米 国
1.5
2.2
2.3
0.1
0.2
ユーロ圏
1.8
2.1
1.9
0.4
0.3
日 本
1.0
1.5
0.7
0.3
0.1
中 国
6.7
6.8
6.5
0.2
0.3
ASEAN5
4.9
5.2
5.2
0.2
0.0
ロシア
–0.2
1.8
1.6
0.4
0.2
インド
7.1
6.7
7.4
-0.5
-0.3
ブラジル
–3.6
0.7
1.5
0.5
-0.2
IMFによる最新世界経済見通し(2017年10月)
予想(IMF)
前回(2017年7月)
予想からの修正幅
(注:IMF(国際通貨基金)「World Economic Outlook」(17年10月発表)より楽天証券経済研究所作成)
世界経済は緩やかなペースで成長する見込み
日経平均に上値余地はあるのか?
(注:日経平均予想=予想EPS×想定PER、予想EPS(1株当り利益)は市場予想平均) (出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月20日))
日経平均予想=日経平均の予想EPS×想定PER
「金融相場」から「業績相場」への移行が続くか
10
(出所:日米欧中央銀行、Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月20日))
ETF投資戦略
(1)長期グローバル投資の継続
(2)IT業界のスーパーサイクル
(3)インド経済の高成長期待
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年9月末))
日本を除く世界株(外国株)の長期実績を知る
TOPIX(日本株式)
12
(出所:IMF(国際通貨基金)の長期経済見通し(2022年迄)より楽天証券経済研究所作成)
「不都合な真実」(内外の成長格差)を知る
13
(出所:IMF(国際通貨基金)の調査・見通しより楽天証券経済研究所作成)
2022年までの長期実質成長率を展望する
(1)長期グローバル投資の継続
IMF(国際通貨基金)による長期実質成長率見通し
実質GDP成長率
2017年
2018年
2019年
2020年
2021年
2022年
(前年比)
(予想)
(予想)
(予想)
(予想)
(予想)
(予想)
日 本
1.5%
0.7%
0.8%
0.2%
0.7%
0.6%
米 国
2.2%
2.3%
1.9%
1.8%
1.7%
1.7%
ユーロ圏
2.1%
1.9%
1.7%
1.6%
1.5%
1.5%
中 国
6.8%
6.5%
6.3%
6.2%
6.0%
5.8%
インド
6.7%
7.4%
7.8%
7.9%
8.1%
8.2%
ASEAN5
5.2%
5.2%
5.3%
5.3%
5.3%
5.3%
ブラジル
0.7%
1.5%
2.0%
2.0%
2.0%
2.0%
ロシア
1.8%
1.6%
1.5%
1.5%
1.5%
1.5%
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成)
外国株式に分散投資できるETF(参考情報)
(1)長期グローバル投資の継続
外国株式型ETF(円建て/ドル建て)
10月20日 時点 ETF(上場投信)名称 ベンチマーク 運用 直近価格 取引 運用総額 経費率 1年前比 (運用目標) 会社 単位 (百万) (年率) 騰落率1581 iシェアーズ 先進国株ETF MSCIコクサイ指数 ブラックロック 7,100 円 1 187.0 円 0.25% 29.3%
1680 上場インデックスファンド海外先進国株 MSCIコクサイ指数 日興AM 2,360 円 10 12,133 円 0.25% 29.1% 1550 MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場 MSCIコクサイ指数 三菱UFJ投信 2,299 円 10 8,055 円 0.25% 30.7%
1557 SPDR S&P500 ETFトラスト S&P500指数 ステートストリート 28,860 円 1 下記参照 円 0.09% 30.5%
SPY SPDR S&P500 ETFトラスト S&P500指数 ステートストリート 255.79 ドル 1 250,623 ドル 0.09% 19.6%
IVV iシェアーズ・コアS&P500 ETF S&P500指数 ブラックロック 257.53 ドル 1 131,172 ドル 0.04% 19.7% VOO バンガードS&P500ETF S&P500指数 バンガード 234.99 ドル 1 76,123 ドル 0.04% 19.6% QQQ パワーシェアーズQQQトラスト・シリーズ1 ナスダック100指数 インベスコ 148.31 ドル 1 52,844 ドル 0.20% 26.0%
VGT バンガードIT(情報技術)ETF MSCI US・IT株指数 バンガード 156.89 ドル 1 15,396 ドル 0.10% 31.5% 世界株式
(日本含む) VT バンガード・トータル・ワールド・ストックETF FTSE Global バンガード 71.95 ドル 1 9,642.1 ドル 0.11% 19.5%
新興国株 VWO バンガードFTSEエマージング・マーケッツ FTSEエマージング
マーケッツ指数 バンガード 44.63 ドル 1 65,277.1 ドル 0.14% 17.3% *「1581」と「1557」は、米国上場ETFを東証に上場した預託証券(重複上場)。 通 貨 東 証 N Y S E 上 場 投資 対象 コード 先進国株 (日本除く) 米国株式 通 貨
「第4次産業革命」の波に乗る高成長期待
S&P情報技術(IT)指数とは、S&P500指数を
構成する米国の大手企業500社のうち、情報技術分
野の企業で構成される時価総額加重平均指数。
ビッグデータ、クラウド、IOT、AI・ロボティクス、
半導体など成長期待が強い分野の銘柄で構成される。
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月13日))(2)IT業界のスーパーサイクル
17
CAMBRIC=IT業界における「7種のメガトレンド」(略称)
C = クラウド・コンピューティング
A = AI(人工知能)
M = モビリティ
B = ビッグデータ
R = ロボティクス
I = IOT
C = サイバーセキュリティー
第4次産業革命を牽引する「CAMBRIC」
(2)IT業界のスーパーサイクル
IT業界の予想利益が急拡大している
(注:各株価指数ベースの予想EPS(1株当り利益)は、Bloomberg集計による12ヵ月先予想EPS平均) (出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月13日))(2)IT業界のスーパーサイクル
1 AAPL アップル 38.0% 2 GOOG アルファベット 28.5% 3 MSFT マイクロソフト 25.0% 4 FB フェイスブック 51.7% 5 V ビザ 38.8% 6 INTC インテル 9.6% 7 CSCO シスコシステムズ 11.0% 8 ORCL オラクル 27.1% # S&P情報技術の上位銘柄 年初来騰落(注:VGT=米国上場のドル建てETF(上場投信)「Vanguard Information Technology ETF」) (出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月17日))
(2)IT業界のスーパーサイクル
米IT業界に分散投資できるETF(参考情報)
米国IT(情報技術)株価連動型ETFの概略 コードとファンド名 VGT 取引所コード US 運用純資産(億ドル) 153.96 直近価格(ドル) 156.89 最低投資額($/概算) 156.89 売買口数(20日平均) 385,691 経費率(対NAV) 0.10%ベンチマーク MSCI US IT 運用・管理会社 Vanguard Group
年初来騰落率 29.1% 1年総収益率(年率) 33.0%
(出所:国連による調査・予想(2015年)より楽天証券経済研究所作成)
インドの総人口は2025年前後に中国を上回る
インドの1人当り所得は成長余地が大きい
(出所:IMF(国際通貨基金)の調査より楽天証券経済研究所作成)
ナレンドラ・モディ首相(1950年グジャラート州生れ、政治学修士)
*グジャラート州知事(2001~14年)として構造改革と高成長に成功。
*大手投資銀行は2013年、モディ氏を「次期首相に最も適任」と賞賛。
*2014年5月の総選挙でモディ氏が率いるインド人民党(BJP)が圧勝。
*首相就任後、新自由主義政策(小さな政府、規制緩和、民営化)を推進
海外からの投資(外資導入や技術移転)を拡大させる
ための経済政策は「モディノミクス」と呼ばれている。
(1)高速鉄道網や道路網などインフラ整備を推進
(2)規制緩和、税制改革、デジタル化で事業環境改善
(3)偽札・脱税を撲滅する目的で「高額紙幣廃止」
(出所:インド政府HP、JETRO、各種報道などより楽天証券経済研究所作成)モディ首相が進める構造改革に高い評価
(3)インド経済の高成長期待
(出所:国際協力銀行「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告-2016年度海外直接投資アンケート結果」より楽天証券経済研究所作成)
日本企業が「長期投資先」として有望視する国
「長期的(今後10年程度)有望事業展開先国・地域(国内企業に対する調査)」
<国際協力銀行>
2016年
⇦
2015年
2016年
2015年
2016年
364社
2015年
301社
1
-
1
インド
62.1%
54.8%
226
165
2
↖
3
中国
39.3%
34.9%
143
105
3
↙
2
インドネシア
37.6%
36.2%
137
109
4
-
4
ベトナム
32.7%
27.2%
119
82
5
-
5
タ イ
24.5%
23.3%
89
70
6
↖
8
メキシコ
16.2%
16.6%
59
50
7
-
7
ミャンマー
15.9%
18.9%
58
57
8
↖
9
米 国
15.1%
14.3%
55
43
9
↙
6
ブラジル
13.2%
20.3%
48
61
10
↖
11
フィリピン
9.1%
10.0%
33
30
順位
国(地域)名
得票率(%)
回答社数
(3)インド経済の高成長期待
(出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017年10月20日、週次))
(3)インド経済の高成長期待
インド株式に分散投資できるETF(参考情報)
上場市場 NYSE 東証 東証 シンボル/コード EPI 1678 1549 ETF(ファンド名) ウィズダムツリー インド株 NEXT FUNDS インド株 日興 インド株 ETF
直近価格 26.25 158.00 1,498.00 取引通貨 ドル 円 円 売買単位(口数) 1 100 10