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都市住民による高齢者の見守り−ネットワークの展 開と支援−

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都市住民による高齢者の見守り−ネットワークの展 開と支援−

著者 野? 瑞樹

学位授与大学 東洋大学

取得学位 博士

学位の分野 社会福祉学

報告番号 32663甲第382号 学位授与年月日 2015‑03‑25

URL http://id.nii.ac.jp/1060/00007157/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

i

2014 年度

東洋大学審査学位論文

都市住民による高齢者の見守り

-ネットワークの展開と支援-

福祉社会デザイン研究科 社会福祉学専攻 博士後期課程

3 年 4710110003 野﨑 瑞樹

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i

都市住民による高齢者の見守り-ネットワークの展開と支援-

目次

序章 研究背景

序 -1. 高齢者の見守りが必要とされる社会・・・・・・・・・・・・・・・ 1

1) 高齢化の進行と孤立 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2) 個人に対する見守りの必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3) 地域課題における見守りの必要性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 4) 見守り支援が期待される専門機関・専門職・・・・・・・・・・・・・・・・・7

序-2. 本論の目的と研究方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

1) 目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

2) 研究方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

第1章 見守りの概念と実践および研究課題

1-1. 見守りの概念と定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

1) 見守りの定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 2) 見守りの主体・対象・目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 3) 見守りの方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 4) 本論における住民による見守り ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

1-2. 地域における見守り支援ニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

1) 見守りにおける地域の範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 2) 地域特性と見守り専門職の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 3) 見守り関係・近隣の支援ニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 4) コミュニティソーシャルワークとの関連・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 5) 見守りの政策的視点と専門職への期待・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

1-3. 見守り支援の専門職(神戸市を中心に) ・・・・・・・・・・・・・・ 26

1) 神戸市における見守り専門職の配置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 2) 神戸市における見守り専門職の支援内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・27

(4)

ii

3) 神戸市における見守り専門職の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

1-4. 見守りとネットワークの研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

1) ネットワークの捉え方と見守りの検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 2) 地域支援のネットワーク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 3) 見守りネットワーク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

1-5. 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

第2章 住民による高齢者の見守りの個人内の段階

2-1. 問題と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

1) 住民による見守り ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

2) 見守りにおける困難 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

2-2. 方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

1) 手続き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

2) 調査内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

3) 倫理的配慮 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38

4) 分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

2-3. 結果 1 単純集計と基本属性による見守り意識の比較 ・・・・・・39

1) 分析枠組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

2) 単純集計の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

3) 年齢層による見守り項目の比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

4) 住居による見守り項目の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45

5) 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

2-4. 結果 2 見守りの段階的検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47

1) 分析枠組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47

2) 見守り段階の項目整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

3) 見守り段階のパターンと特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

4) 見守りの段階と各要因との関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51

5) 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53

2-5. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55

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iii

第3章 住民による高齢者の見守りの地域資源の活用

3-1. 問題と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 3-2. 方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58

1) 調査地域の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

2) 調査対象者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

3) 調査手続き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

4) 分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

5) 倫理的配慮 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

3-3. 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60

1) 小カテゴリの内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

2) グループごとの特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62

3) カテゴリからみた全体の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63

3-4. 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65

1) 住民構成とそれぞれへの見守りの可能性・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 2) S町の課題からみた支援可能性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67

3-5. 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68

第4章 住民による高齢者の見守りにおける専門職支援と困難

4-1. 問題と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71

1) 見守りを支援する専門職・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71 2) 見守り専門職の支援内容と困難・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72

4-2. 方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73

1) 調査内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73 2) 調査の対象と手続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・74

3) 解析方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76

4-3. 結果 見守り専門職の支援と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・76

1) 回答者の基本属性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76 2) 担当業務の認識と実践・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78 3) 支援内容の実践程度による因子分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79 4) 見守り支援における困難・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81

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iv

5) 実践因子および困難の基本属性による比較・・・・・・・・・・・・・・・・・82

4-4. 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83

1) 地域見守り支援における支援内容の明確化・・・・・・・・・・・・・・・・・83 2) 見守り専門機関としてのシルバー交番・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 3) 見守り支援における困難と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84

4-5. 小括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85

第5章 住民による高齢者の見守りにおける専門職の住民支援

5-1. 問題と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 5-2. 方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87

1) 手続き・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87 2) 調査内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88 3) 倫理的配慮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89 4) 分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89

5-3. 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89

1) 見守りのしくみの分類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89 2) 見守りの支援内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94 3) 見守りのしくみごとの支援の特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101

4) 機関内・機関間連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103

5-4. 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106

1) 住民調査(2章 質問紙・3章 グループインタビュー)との関係・・・・・・106

2) 専門職調査(4章 質問紙)との比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107

5-5. 小括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 110

第6章 地域住民による高齢者の見守り

6-1. 見守りネットワークの展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112

1) 住民意識からみた見守りネットワーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114 2) 地域と見守りネットワークとの接点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115 3) 住民による見守りネットワークの対象者支援への活用・・・・・・・・・・・・117 4) 専門職の機関内外との連携の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121

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6-2. 住民支援の重要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 122

1) 住民支援のニーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・122 2) 見守りネットワークにおける住民支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 3) 対象者支援の見守りネットワークへの応用・・・・・・・・・・・・・・・・125

6-3. 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・127

1) 住民による見守りネットワーク研究の意義・・・・・・・・・・・・・・・・・127 2) 結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131

終章 今後の課題 133

引用文献・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・137

資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・147

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1

序章 研究

背景

序-1. 高齢者の見守りが必要とされる社会

高齢者の見守りが必要とされる背景には,高齢化と単身化の進行により心身ともに虚弱 化した,孤立しがちな高齢者の生活を支えるという「個人の問題」があげられる。何かが あった時に本人や家族だけでは対処できないこと,すなわち孤立死のリスクが高まること,

また判断力が低下して犯罪に巻き込まれやすいことなど,危機介入が必要な状況が起こり やすくなる。本人や家族の不安とともに,近隣の高齢者を個別に心配することが起きる。

一方でこのような高齢者が増えると,身近に火事や犯罪が起こる可能性が高まり,住民た ちにとって「地域自体が住みづらくなっていくこと」が考えられる。不安解消のために心 配な人を監視,排除するかもしれない。しかし住民たちが高齢化し「いつかは自分も」と いう思いや「住み慣れた地域で安心して暮らしたい」という希望が実感されるようになる と,見守りは広がる。

1) 高齢化の進行と孤立

東日本大震災のあった2011年を表す漢字は「絆(きずな)」であった。大災害を受ける ことで,これまで関係の希薄化が叫ばれ続けてきたわが国の人々は,つながりの大切さや 助け合うことを意識することとなった。多くの国民が「絆」を意識する一方で,大都市,

特に団地等では,孤立しその果てに死亡する人が後を絶たない。報道では「ひとり団地の 一室で(常盤平団地の孤独死)」(NHK2005),「無縁社会(無縁死)」(NHK 2010),「足立区 111歳白骨化男性高齢者の発見」(日本経済新聞 2010),「新宿区アパート火災による身元 不明独居高齢者の死亡」(日本経済新聞 2011)など,死亡してもなお誰からも認識されな い孤立した人々が取り上げられている。

こういった孤立(に関連する)問題が生起する背景には,近年の非婚率の上昇,離婚の 増加,経済不況による離職等により,単身で生活する人が増加しているという世帯構成の 変化がある。高橋(2011:687)は国土交通省による 2050 年までの世帯類型別世帯数の 将来予測をあげ,今後単身世帯はますます増大し,その半数が高齢者世帯になることを指 摘している。河合(2009)によれば,ひとり暮らし高齢者の出現率が高い市区町村は,① 島嶼,②過疎地,③大都市であるが,大都市では近年急増しており,人口5万人以上の市 区町村でひとり暮らし高齢者の出現率を見ると,大阪・東京が多い。また,斎藤(2011)

は,今後 50 年の間に,三大都市圏周辺のベッドタウンを中心に,家族支援を期待できな

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い,地縁もない単身・夫婦のみ高齢者が激増すると予想している。

2013年9月の総務省統計局の人口推計では,わが国の高齢化率は25%と4人に1人が 高齢者となった。永く生きる高齢者が多くなっていることは事実であり,子ども世代だけ でなく,高齢者自身のライフスタイルも多様化しており,子どもと同居しない,世話にな りたくないという人もいる。夫婦で生活している場合もあるが,一方が亡くなったり,病 気等で施設や病院に入所したり,離死別することにより,独居高齢者は急増している。そ の場合,介護が必要な状態になっても,家族による介護は望めず(望まず),独居等を継続 すれば,症状等の急変により孤独・孤立死して発見される可能性もある。また,高齢者を 狙った犯罪も多発しており,振り込め詐欺など,ニュースで聞かない日はほとんどない。

また,独居高齢者かどうかは,住民票の記録によって確認することができそうであるが,

実状と異なることもしばしばある。そのため多くの地方自治体では,2010(平成 22)年 の厚生労働省の指針により全国的に行われた高齢者の全数実態把握調査から,健康状態等 についてスクリーニングして,健康・生活上のリスクやサービス利用状況の把握につとめ ている。一方で,同居者がいるからこそ生じる高齢者虐待の問題もある。家の外からは見 えず,入り込めばプライバシーの侵害になるため,危険が生じていても確認することが難 しい。直接的な虐待だけでなく,高齢者自身が利用できるサービスを家族が拒否すること もある。また,家族側に重度の障害があって,介護者であった高齢者が亡くなると,障害 のある家族も亡くなって発見されることがある(毎日新聞2012.3.22)。

しかし人々の生活には,家の中に入らなくても声や物音,ドアの開閉の様子や郵便物な ど,近隣で気づくことができる情報があり,異変に気づけば緊急介入することが可能にな ると考えられる。したがって,独居でも高齢者のみでも家族や親族がいる場合でも,隣近 所によって生活の様子を気にかけ,異変があればしかるべき機関等に連絡することが期待 される。大島(1999:11)は,ソーシャルワークが必要とされるようになった理由のひと つとして,「これまでの家族や親戚,地域で問題発生時に知恵を出し合って乗り切ってきた 生活問題が,どうしようもない社会的な問題として出現しはじめたから」と述べている。

見守りの必要性はまさにこのような生活や地域の変化により生じてきたものであり,ソー シャルワークが展開されるべき課題である。以下ではこのような見守りが必要とされる背 景となる事象について,個人と地域の2点から検討する。

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3 2) 個人に対する見守りの必要性

まず,世帯状況の変化による孤立やそれに伴う高齢者の不安について検討する。東京都

「2010(平成 22)年度東京都福祉保健基礎調査 高齢者の生活実態」(2011)によれば,

都内の65歳以上の在宅高齢者のうち,「ひとり暮らし世帯」は18.9%,夫婦ともに65歳 以上の「高齢夫婦のみ世帯」は38.1%で,その他(きょうだい等と同居)を含めた高齢者 のみ世帯の合計は55.3%である。その中で未婚・離別・死別を合わせた「配偶者なし」が 36.0%であり,今後は独居高齢者が急増し,中でも未婚の男性高齢者が増加するという(国 立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」2009)。都市部は,高度経済成 長期の就職に伴って転入した人が多く,その世代が高齢化している。土地や家は高値であ るため,狭く,子ども世帯と同居することは難しい。また,高度経済成長期に建設された 公営・公団住宅は,一世代のみの契約であるため,二世代で居住していても,親世代が亡 くなれば退出しなければならない。建物の都合や高齢者の未婚・離婚の増加も加わって,

独居・夫婦のみ世帯が増加していると考えられる。

「ひとり暮らし」であることだけで孤立しているとはいえないが(黒岩2010),「ひとり 暮らし」世帯は他の世帯類型と比較して孤立する可能性が高いことがわかっている。ひと り暮らし高齢者は,血縁・地縁ともに交流が低い傾向にあり,子どもがいない割合が高く,

子どもがいても交流頻度は低くて,近隣づきあいがない割合が高い(北村2011)。また,

東京都監察医務院「事業概要」において,東京23区内で自宅で死亡した65歳以上でひと り暮らしの人は,2010(平成22)年に2,913人であり,2007(平成19)年から2,000人 を超えて増加している。内閣府(2009)「高齢者の地域におけるライフスタイルに関する 調査」(全国60歳以上の男女対象)では,孤独死(誰にも看取られることなく亡くなった あとに発見される死)を身近な問題と感じる人の割合は,全体で4割を超え,単身世帯で は6割を超えている。

さらに,内閣府(2011)「高齢者の経済生活に関する意識調査」(全国 55 歳以上の男女 対象,60歳以上の集計)では,会話の頻度は,9割が毎日会話しているが,ひとり暮らし

の20%以上(男性28.8%,女性22.0%)が2,3日に1回以下であった。また,困ったと

き(病気のとき,電球交換,庭の手入れなど)に頼れる人がいない人の割合は全体で2.4%

であるが,ひとり暮らしの男性は20.0%と高かった。小谷(2012)によれば,高齢者は日 常生活での心配事の中で「家族や自身の健康」と並んで,「ひとり暮らしになること」や「病 気などのときに面倒をみてくれる人がいないこと」をあげていた。また,高齢者自身が孤

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独死する可能性について,「あるかもしれない」が,「可能性はほとんどない」を上回り,

特にひとり暮らし世帯で「あるかもしれない」が過半数を占め,孤立死を身近な問題とし て考えていることがわかった。また,対象高齢者の 8 割近い人は,「孤独死はかわいそう な最期だ」と思っており,孤独死したくないという思いや不安がうかがえる。すなわち,

「ひとり暮らしになること」および「病気などのときに面倒をみてくれる人がいないこと」

は「孤独死」につながると考えられており,孤立した場合の危機的な状況においてサポー トが得られないことが問題とされている。東京都の調査(2011)では,高齢者に対する必 要な施策や支援として考えられていることは,年金等の社会保障制度と介護および施設の 充実に関するものが4割以上と高かったが,「ひとり暮らし高齢者に対する支援」が50%

以上と高く,現在の独居高齢者の心配や自身がひとり暮らしになった場合の不安などが反 映されていると考えられる。

このような独居・高齢者のみの世帯の増加とサポートの必要性が生起している一方で,

専門機関や専門職は個々の生活問題の発生を捉えることについて,東京都(2011)の高齢 者を例に見ると,9割弱が要介護認定を申請しておらず,全体の1割が認定を受けている 状況にある。認定を受けている者のうち,要支援1・2が39.6%で,最も重い要介護5は

5.7%である。日常生活支援サービスを利用している人は6.2%にとどまり,ほとんどの人

は利用していない。このデータから,多くの高齢者は介護保険内外のサービスを利用する ことなく,自立生活が可能であると考えることができるが,サービスが必要であっても本 人は利用方法がわからず未申請で,専門職が把握できていないケースがあることが考えら れる。把握できていない高齢者が,死後かなりの時間が経過して発見されたり,病気や障 害が重篤化したりすることが起こるため,地域包括支援センターを中心とした全数実態把 握調査のフォローアップにより,必要な人に必要なサービスが届く体制づくりが急がれて いる。すなわち個別の高齢者の命や生活を守るために,見守りが必要とされていると考え られる。

3) 地域課題における見守りの必要性

個別の高齢者の支援という意味だけでなく,地域において見守りが必要な理由は,個々 の住民が高齢化して虚弱化していくことによって地域の様子が変わるという地域課題への 対応のためと考える。すなわち見守りの必要性は,個人の問題だけではなく,地域の課題 でもある。高齢者の地域生活における現状について東京都調査(2011)では,高齢者が希

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望する高齢期の住まいは,在宅が73.8%と高く,高齢者向け住宅に「入居したいとは思わ ない」人が多かった(62.9%)。その理由として,持ち家処分や賃貸への抵抗だけでなく,

「地域に愛着がある」(67.6%),「新たな環境は不安」(23.5%)が高かった。地域への愛 着や環境移行の不安をよそに,都内にある公営住宅は,近年老朽化による建て替えが始ま り,移住を余儀なくされ,コミュニティが崩壊した地域もある(例:桐ヶ丘団地)。高齢者 やその家族の問題だけでなく,長年居住してきた地域や建物の要因で移住せざるを得ない 可能性も考えられる。また,東京都(2011)の近所づきあいの程度は,「お互いに訪問し あう」,「立ち話する程度」が 62%と,近所で認識し合っている関係が多い。しかし,「あ いさつする程度」,「つきあいがない」が37%であり,近隣関係がほとんどない人が4割近 くいることも明らかである。内閣府(2010)の「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調 査」(全国 60 歳以上の男女対象)の近所づきあいは,全体では「親しく付き合っている」

(51.0%)人は東京都調査よりも少なく,「あいさつ程度」が43.9%,「つきあいがほとん どない」は 5.1%であった。しかしその中でも,ひとり暮らしの男性は「つきあいがほと んどない」が17.4%と高く,逆にひとり暮らしの女性は「親しくつきあっている」が60.9%

と最も高かった。また,東京都の調査(2011)では,地域とのつながりについて,「以前 と比較して弱くなっている」が35%,「以前と変わらず弱い」が27.1%,「以前と変わらず

強い」が 18.1%であった。「弱い・弱くなっている」が合わせて 6割以上であり,高齢者

の方々はひとりまたは夫婦のみになっても,住み慣れた地域で近隣との関係を維持しなが ら生活することを望んでいるが,地域も近隣との関係も変化してきており,難しくなって いると考えられる。

また,孤立者の多いコミュニティは,コミュニティの統合力・団結力が衰退し,自殺が 増加し(後藤2011),さらに,個人の攻撃性や暴力傾向を高め,集団に対する攻撃性とな って犯罪率が高くなる(浦,2009)という。また,孤立した高齢者の生活は,個人だけで なく身近な環境の悪化を招く可能性がある。小川(2010)は,生活後退(ゴミ屋敷・セル フネグレクト等)が現れる高齢者世帯に孤立傾向が見られることを指摘している。また,

孤立死について高橋(2011)は,人に看取られない死は発見が遅れると死体の腐乱を招き,

近隣に大きな迷惑を与え,借家の場合は家主にとって後始末や次の借り手の入居を阻害し,

経済的損失を与えるという。したがって,孤立はサポートを得られない等の本人の生活困 難に関する問題だけでなく,その周囲の人々やコミュニティにも問題を生じさせる可能性 がある。

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近隣に高齢の方が居住している場合,しばらく顔を見ないと心配になる。火事の心配,

ゴミ屋敷化などの生活破綻,孤立死等が近隣に与える影響から,「迷惑である」と思われた り,高齢独居であることで孤立死リスクが高いと偏見をもたれたりすることも考えられる。

また,認知症や精神障害等で暴れたり奇声を発することがあると「危険人物」と認識され,

近隣は不安を感じる。このように独居や高齢者のみ世帯や生活能力が低下した高齢者の増 加によって住民が地域を住みづらいと感じるようになると,心配な対象を迷惑な存在とし て監視するようになる。見守りは監視ではないが,ポジティブであれネガティブであれ,

きっかけは自身の地域生活への心配,すなわちまちを守る地域課題としての認識であるか もしれない。高齢化や単身化に伴う課題を,心配な対象である個人の問題だけではなく地 域課題として捉え,住民自らが主体的に解決していく手段として住民による見守り(活動)

は有効と考えられる。

住民による見守りが求められる理由として,住民間ではお互いの日常がわかるというこ と,住民誰もが見守り対象者になりうること,専門職には限界があること,地域で共通理 解すべき課題があることなどがあげられる。すでに専門職による個別の見守りは数量的に も時間的にも困難であり,今後も支援対象者は増え続けるばかりである。地域は住民間で 日常がわかることが最大のメリットであり,情報の宝庫である。日常がわかれば異変も感 じやすく,早期発見のセンサーとなる。

しかしコミュニティの希薄化や崩壊が叫ばれて久しく,全国の市区町村では「福祉社会 の創造」や「地域の福祉力向上」に向けた意見が交わされ,高齢者の孤独死防止をきっか けとしたミーティングや会合を,全市(区町村)的に実践しているものもあれば,部分的 に行っているものもある(例:埼玉県行田市など)。一方で目的や対象者はそれぞれ異なる が,「高齢者安否確認比較.COM」(2012)などのサイトでは全国自治体の見守りに関する取 り組みが比較できるようになっており,高齢者,特に独居高齢者の見守りへの関心は高い。

また,定年退職等で時間に余裕ができたことなどをきっかけに,安心できる町にしたい,

地域に貢献したいという思いから見守り意識が生じる場合がある。それぞれの世帯で世帯 員が減少し,加齢とともに虚弱化していく中で,自身が健康を害した時などちょっとした 手助けが得られないことも想定され,「いつかは自分も」と考える人もいる。高齢者自身も 不安に感じ,独居高齢者に対する施策支援が必要と考えていて,関心が高いことは事実で ある。見守りや孤独死が他人事ではなくなってきており,これらの意識化によって近隣を 気にかけるようになり,やがて異変に気づくようになると考えられる。しかし,それは自

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然発生しないため,住民による見守りは単に向こう三軒両隣の再現ではなく,新たな地域 関係と専門職との関わりづくりが含まれていると考えられる。

以上のように,特に大都市におけるひとり暮らし高齢者世帯が増加するに伴い,近隣と つきあいのない,困ったときに頼りになる人のいない,孤立した状態の高齢者が少なから ず存在することが明らかになった。要介護認定が未申請あるいはサービス利用がなければ,

専門職にはどのような状態にあるのか把握できない。高齢者本人も在宅で生活を継続した いと思うが独居生活に不安があり,どこに何を相談すればよいのかわからない。近隣も心 配な人がいると監視,排除しがちになる。高齢者を含む住民が安心して生活を継続するこ とができるように,住民自らが負担なく関わることができる見守り(活動)が効果的であ ると考える。その方法として住民による見守りが適切と考えるが,その実現のためには高 齢者個人にも住民にも支援が必要と考える。

4) 見守り支援が期待される専門機関・専門職

地域で生活する高齢者に関する支援が期待されるのは地域包括支援センターである。地 域包括支援センターは2006 年の介護保険制度改正で設置され,社会福祉士,保健師,主 任ケアマネジャーの三職種を配置している。地域包括支援センターは,介護予防マネジメ ント,アウトリーチ機能をもった総合相談機能と困難事例への対応,ケアマネジャーへの スーパービジョン機能,地域サポートの活性化とネットワーク化支援など一連のサービス 調整・開発・連携機能,さらに権利擁護の機能など,特に地域社会を基盤としたいわゆる コミュニティソーシャルワークの展開が期待されている(宮城 2007:1152)。地域に関わ る支援として,東京都は2010(平成22)年度から地域包括支援センターに見守り専門部署を 設けるシルバー交番事業(東京都 2010)を展開した。神戸市や東京都北区等では,地域 包括支援センターに見守り専門職を配置して見守りの強化に取り組んでいる。高山(2011)

は,地域包括支援センターが「地域包括ケアのコーディネート」を担う機関として期待さ れており,専門機関等のネットワークのみならず支援を必要としている地域住民の身近に 存在する人々のネットワークを構築することが求められていることを紹介している(図序 -1)。

東京都(2013)の『高齢者等の見守りガイドブック』は見守りを,地域住民や各種事業 者が日常生活・業務の中でいつもと違うと感じた場合に相談機関に相談する「緩やかな見 守り」と,定期的な安否確認や声掛けを必要な人に担当を決めて行う「担当による見守り」

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と,困難なケース等に対して地域包括支援センターやシルバー交番の専門職が行う「専門 的見守り」に分けている。この3つを見守りのしくみ,すなわち生活圏(地域住民や孤立 高齢者),見守り専門機関・専門職(地域包括支援センター等),行政,その他対応専門機 関の関係に重ね合わせると図序-1のようになる。この中で見守り専門機関は,誰もが生活 上利用・交流しうる地域(生活圏)に対して,孤立防止の意識づけや見守りのサポート,

異変や困りごとの相談・通報先,情報の授受先としての地域への働きかけをする役割を担 う。孤立高齢者が専門的介入を必要とする場合には直接対応し,その他専門機関等に連携 する。また,行政,その他専門機関からの通報を受けたり,必要な情報収集をしてアセス メントし,サービスなどにつないだりする。小林(2011)は東京都調布市の地域包括支援 センターにおける事例において,専門職が地域住民や事業者等の通報者に対して,その後 どのような対応をしたか知らせていることを紹介している。情報のフィードバックは見守 りに協力した人々が安心して見守り活動を実践し,住民間の共感や理解を深めることにつ ながる重要な役割である。このように,多くの役割を担い柔軟な対応が求められる見守り 専門機関・職は,見守りのしくみの要と言える。

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また,地域住民による見守りの実現には,地域組織化や住民活動を支援する地域福祉の 展開や,地域を基盤としたコミュニティソーシャルワークの実践が有効である。大橋

(2007:24-27)によれば,わが国における地域福祉の展開は,1990年の福祉関係八法改 正において,“地域住民の理解と協力”の必要性がうたわれ,2000年の社会福祉事業法か ら社会福祉法に改正・改称されて明確化した。その中で,「近隣住民等によるソーシャルサ ポートネットワークを組織化し,活用し,必要なサービスを提供し支援する活動を含む」

とし,それは福祉サービスを必要としている人に対する「福祉アクセシビリティ」ととも に「ソーシャルサポートネットワーク」を構築することであり,それを推進するコミュニ ティソーシャルワーク実践がポイントになると述べている。地域福祉で言う「地域」とは,

基礎自治体である市区町村を基盤とし,心理的アイデンティティのもてる地域,サービス を利用できる地域を指す。地域の範囲は多様であるが,厚生労働省(2008)「これからの 地域福祉のあり方に関する研究会報告書」では,住民が見守りを行う圏域を最小の班や組 として基礎自治体の範囲までを5層に分けており,住民による見守りを働きかける範囲の 参考になる。

また,コミュニティソーシャルワーク(牧里2007:712-713)は,専門職の地域社会へ のアウトリーチを促進し,他方,住民のボランティアとしての福祉への参加・参画を推進 する手法と述べている。生活課題や生活問題の解決を地域社会の住民集団が連帯・団結し て解決していく手法は,人々の生活が労働面,消費面においても共通する基盤そのものを 共有していなければ困難としている。コミュニティソーシャルワークは,都市化し多様化 した個人主義的な現代社会における新しい実験的・開拓的要素を内包した問題解決方法の 一つであり,テーマ型の住民組織化と地縁型の住民組織化を重ね合わせていくことが,こ れからの地域援助技術に求められているという。住みづらさを感じ始めた住民が地域課題 に対応しようと地域で見守りをしようとしているのを支援することは,まさにコミュニテ ィソーシャルワークの展開といえる。

コミュニティソーシャルワークの中核的な担い手として,大阪府は社会福祉協議会を中 心にコミュニティソーシャルワーカー(CSW)を配置しており(大阪府福祉部2011),ほ ぼ同じ意味で東京都等では地域福祉コーディネーターという名称が使われ,モデル事業に おける配置からエリアを拡大している(例:豊島区,練馬区,文京区など)。コミュニティ ソーシャルワーカーには,問題を抱えている個人に対する支援だけでなく,相互の見守り

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10

の担い手となる地域住民を支援し地域づくりをしていくことが求められている。コミュニ ティソーシャルワーカーに限らず,社会福祉協議会は地域住民の活動支援やボランティア の活用を担ってきたため,子どもから高齢者まで視野に入れた地域住民や事業者等による 見守りの推進を行ってきている(例えば大垣市,新宿区,文京区など)。これらの事業が連 携することで,地域で行う見守りが効果的に展開すると考えられる。

序 -2. 本論の目的と研究方法

1) 目的

本論では,高齢者の見守りの必要性から全国に展開されつつある見守りのしくみの中で,

地域住民による見守りを中心にその構造と力動的関連性について検討し,住民が見守りを するネットワークの課題と支援可能性について検討することを目的とする。見守りのネッ トワークは,地域の状況,地方自治体(行政)のビジョンおよび体制,地域・地区の文化 的背景等によって大きく影響を受けるものであり,地域特性に合った方法を模索し,発展 させていく必要があるものと考えられる。本論では,東京都内を対象とした調査を中心に,

地域住民による見守りを促進・阻害する要因について検討し,求められる専門職支援と見 守りネットワークの展開可能性を議論する。なお,東京都における調査を中心とすること から,論文の表題を「都市住民による」と限定して表現することとした。

2) 研究方法

(1) 地域住民に対する見守り質問紙調査 東京都A区

地域住民による日常的な見守りと地域組織による見守りを展開しつつある地域を対象に,

見守り活動に参加している住民339名に質問紙調査を実施した。調査内容は,望ましい見 守り方法,見守りへの参加希望,近所づきあい等に関するものであり,12箇所の町会・自 治会の協力を得て,2013年1月中旬から2月中旬に行った。

(2) 地域住民に対するフォーカスグループインタビュー 東京都A区S町

東京都A区の長年居住している人が多い戸建て住宅地域の住民に対して,日常生活の中 でどのようなつながりを持っているのか,見守りについて何を課題として考えているのか 等についてフォーカスグループインタビューを行った。調査は5グループ35名の町会役 員に対して,2012年4月下旬から6月中旬に実施した。

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(3) 専門職に対する高齢者等地域見守り質問紙調査 東京都内・都下

東京都内・都下のすべての地域包括支援センター,在宅介護支援センター,シルバー交 番事業所(全517か所)に対して,見守り支援に関する質問紙調査を実施した。調査内容 は,全国各地で地域包括支援センター等に配置された見守り専門職,およびコミュニティ ソーシャルワーカーによって行われている見守り支援を項目化して,「担当業務であるか」

と「どの程度実践しているか」をたずねた。また,先行研究を参考に,見守り実践を行う 上での不安についてたずねた。調査は2013年7月下旬から8月中旬に行った。

(4) 専門職に対する個別インタビュー調査 東京都

東京都内・都下において,見守りのしくみづくりに従事している専門職に個別インタビ ュー調査を行った。対象者は地域包括支援センターにおいて見守り支援に従事している人,

並びに社会福祉協議会において地域福祉コーディネーターとして見守りのしくみづくりを 展開している人,計 11 名である。地域住民との関係づくりと活動支援,地域特性との関 連についてたずねた。調査は2013年6月から2014年2月にかけて実施した。

本論の構造は図序-2のとおりである。

序章では,見守りの必要性,特に住民による見守りの必要性,現状,課題について提起 する。1章では,本論における見守りの定義,すなわち住民による見守りの定義とそれに 関連するしくみや専門職に関する研究動向について文献を用いて検討する。また,住民に よる見守りを捉える方法としてネットワーク研究を概観し,適用可能かどうか検討する。

2章,3章では見守りに関心を持ち始めた住民の見守りに対する意識から,住民による 見守りの可能性と課題について実証的に明らかにする。4章では個別の対象者支援と同時 に住民に対する支援も期待される専門職の支援実態と課題について明らかにする。さらに 5章では住民による見守りに対する支援を実践している専門職による,多様な住民に対す る支援と課題について明らかにする。

最後に6章では,4つの実証研究で得られた結果から,住民による見守りがネットワー ク化されていくプロセスと専門職の支援について総合的に考察する。

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高齢化 単 身化 孤立

に駒噛

<第l章 先 行 研 究 >

O概念・定義

O見守りの主体・対象 目的・方 法 地 域の支援ニーズ 専門職支援と課 題

。ネッワークとの関連 見守り

専門職 支援

論文の 構造

<第2 住民質問紙調査>

個人内からみた見守り 契機・意識・行動

<第3 住 民クルーフ.

インタビュー>

地域単位でみた見守り 地域資源,支 援

<第4 専門職質問紙調査>

個別・地 域関係・地域活動 自治体 圏 域Lおける

支援活動

図序‑2本論の構造

<第5 専門職 インタビュー>

住 民への (動きかけ 専門職支援

<第6 総合考察>

地域住民Lこよる見守り ネ汁ワークの展開

住民支援の重要性 方法と課題

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13

第1章 見守りの概念と実践および研究課題

本章では1-1.から1-3.において,見守りに関連する諸研究および実践事例をレビューし,

見守りの定義,実践,課題等から住民による見守りの実態と支援について検討する。1-4.

では見守りのネットワークを検討する上で,これまでのネットワーク研究との接点につい て検討する。

1-1. 見守りの概念と定義

1) 見守りの定義

CiNii Articlesで“見守り”,“高齢者”をキーワードに検索すると(2014.12.15現在), 396件の論文・記事が抽出され,そのうち約半数はIT・ICTやセンサー等を用いた見守り に関するものである。地域関係の脆弱さを補いプライバシーの問題を回避する IT 等は見 守りに役立つツールとなり得るが,人の動きや機器の利用等の指標による安否確認のみを 目的としている。したがって見守りの補助的機能として活用できるが,生活における変化 や危機的状況の判断はできず,判断は周囲の人々によって行われるものと考えられる。そ こで本章では人による見守りに関する論文,記事をレビューする。

見守りを操作的に定義している先行研究によれば,村上(2009)は「見て状況を確認し,

その情報を活用して緊急時の対応や支援を提供すること」,堀(2011)は「在宅の高齢要 援護者の安全な生活の実現を目的として,地域主体の協働によって行われる安否確認を中 心とした取り組み」としている。神崎(2013)は,地域で暮らす高齢者の見守り概念につ いて哲学的立場に基づく分析を行い,先行因子,属性,帰結から「高齢者の心情や状況を 考慮した距離を保持して,観察や測定による安否確認をすることや住民や機関が協力して 対象を把握すること」と定義している。これらの定義にはいくつかの行為が含まれており,

①見て安否確認すること,②見守ることで発見した危機的状況(情報)をしかるべき機関 に知らせること,③機関等によって危機的状況への対応・支援を行うことである。野中ら

(2012)は東京都大田区の見守りネットワークみま~もについて報告し,近隣の「気づき のネットワーク」と専門職による「対応のネットワーク」に分けてネットワークの構築を 検討し,気づきのネットワークには支援の必要な高齢者を地域包括支援センターに繋げる 機能を含んでいるという。気づくには「平常時」と「変化」がわかること(小林2011:304), すなわち日常性が必要で,知らせるには変化に対する危機意識があり,知らせる先を知っ

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14 ている上で行動する力が必要である。

表 1-1 “見守り”の英訳

著者(刊行年) 日本語 英語 見守りの主体・方法

八巻(2004)

峯本(2005)

鈴木・酒井(2005)

藤井(2007)

峯本(2008)

村上(2009)

桝田・金谷ら(2009)

桝田・大井ら(2009)

前原・川井(2010)

峯本(2010)

前原ら(2011)

舛田ら(2011)

松本・佐藤(2011)

市田ら(2012)

神崎(2013)

見守り 地域見守り 見守り 見守りサービス 地域見守り 見守る 見守り 見守り

地域見守り活動 地域見守り 地域見守り組織 見守り

見守りサービス 見守り体制 見守り

safety check friendly visiting long-term watching watch service

watching over by the community watch, behold, observe

under watch under watch

community watch activity

community watch over the elderly watch group

community supportive network the life-confirming service watch framework

monitoring

地域住民,緊急通報 地域住民等 水道使用量 電話,緊急通報等 地域住民等 住民,電話,機器等 地域住民等 地域住民等 地域住民等 地域住民等 住民組織 住民組織

行政(住民・事業者)

住民,行政等 住民,専門職,機器等

(年代順・アルファベット順に記載 筆者作成)

また,“見守り”を主題やキーワードに用いて英訳が記されている先行研究を見ると,表 1-1のように多様である。“見守り”という言葉は極めてあいまいで,単数あるいは複数の 行為を指す場合もあれば,気に掛ける関係性ができている状態を表す場合もあり,状況に よって使い分けられるものと考えられる。本論では住民による見守りに焦点をあてるが,

これに近い言葉を探すと,オクスフォード現代英英辞典(Hornby, A. S. & Crowther, J.

1995)によれば,“neighborhood watch”という項目に,“a scheme in which a group of people living in an area watch each other’s houses regularly to discourage anyone from trying to enter them illegally.”とある。“neighborhood watch”は近隣住民間における見 守りとして近い意味であると考えられ,表1-1 の他の住民による見守りにも“watch”が 用いられることが多いが,“watch”は「凝視」や「見張る」,「注意して見る」意味をもつ ため,「監視」のようなイメージを抱く。本論では日常性のある地域住民による見守りに注 目しており,その“見守り”は何か特別な「支援」をするわけではないが気に掛けている という意味で“support”や“care”の方が適するように感じられる。日常生活において不 安や心配のある独居や高齢者のみ世帯を中心とした人々を気にかけて,異変が生じた場合 には気づき,連絡する。特別に個人的,情緒的な関係があるわけではなくても,日常的で

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15

生活情報が豊富な生活における気づきを重視していることから,“care about”が最も近い と考える。

2) 見守りの主体・対象・目的

高齢者の見守り活動について,日常生活における見守りに関わる主体を具体的に見ると,

まず,見守る-見守られる側のどちらも含まれる,そこに住んでいる住民が存在する。個々 の住民はそれぞれ,年齢,家族形態,近隣関係の有無,社会経済的状況などが異なり,多 様である。また,住民間の地縁を基盤とした活動組織としての町会・自治会や各種クラブ,

ボランティアグループなどがある。日常生活域には,商店やスーパー・コンビニエンスス トアの店員,新聞・郵便物の配達員,ライフライン事業者等,生活上関わりのある民間事 業者が存在する。さらに,専門的関わりが必要な特定の人に対して,民生委員や地域包括 支援センター,行政専門職(生活保護ケースワーカー,保健師等)や機関が関わる場合が ある。日常生活域を中心としたこれらの主体が,近所づきあい等の生活上の関わりや業務 を介して異変や危険を察知して,専門職や機関に連絡して対応することで見守りとして機 能すると考えられる。堀(2011)は(1)住民,(2)行政・関係機関,(3)事業者,松原(2004)

は民間セクターと公的セクターに分類し,いずれも多様な主体の役割分担や協働によって 見守りが展開されるという。表1-1の文献における主体もこの分類のいずれかに含まれて いるが,中でも日常性を備えた地域住民や住民組織の活動への期待が大きい。

また,見守りのしくみが機能するためには,見守り対象者やサービスの内容の位置づけ の明確化が一つの課題となっている(松原2004)。見守り対象者を独居高齢者や高齢要援 護者とするところが多いが,村上(2009)は独居高齢者だけでなく,昼間独居高齢者,高 齢者のみ世帯,高齢者虐待の可能性,障害者,その他要支援住民などが対象として考えら れると述べている。また,神戸市における実践でも,地域見守り活動が全市展開された際 に,単身高齢者だけでなく独居でない高齢者世帯を対象として,活動を拡大・進展させた

(松原2004)。この対象の拡がりは,高齢者の孤立死防止等を目指す見守りが,地域の見

守りに発展し,個に限定された問題が地域へと拡大して捉えられるプロセスを示している と考えられる。

一方で,すべての独居・高齢者のみ世帯が見守り対象というわけではなく,援護を要す る対象であるかどうかを判断することも行われている。神戸市の単身高齢者の見守り指標

(落合 2007)では,「健康状態に関して」,(1)たいした病気や障害などもなく,普通に

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16

生活している,(2)何らかの病気や障害などがあって,ほとんど家の中にいる,「介護保 険サービス等の利用」について,(1)介護保険サービス等の訪問サービスを利用している,

(2)介護保険サービス等の訪問サービスをまったく利用していない,「家族・近隣との関 係」について,(1)日頃より,頻繁に訪問・連絡がある,(2)ほとんど訪問・連絡はない という3点から,すべて(2)である場合は定期的に見守りが必要と判断し,(1)がひとつでも ある場合は当面は見守りは不要としている。また,山田(2011)は広島市中区における見 守り緊急度別対応について,第1段階「毎日誰かと会話する」場合は,当面遠くから様子 見する,第2段階「1週間に2・3回誰かと会話する」場合は,近所の人が様子見に心がけ る,第3段階「1週間誰とも会話しない」場合は,定期的に訪問・安否確認の電話を実施 するというように,対象高齢者の状況に応じた見守りの方法を決めている。さらに,高村 ら(2011)は東京都墨田区における見守りが必要な高齢者の支援の緊急度を判断する「見 守りトリアージ」を設定し,重度(早急な介入が必要),中度(常時の見守りが必要),軽 度,非該当のいずれかの判断によって,見守り対象の選定だけでなく,危機介入を含む適 切な対応と必要な連携を図っている。これらの基準は,地域住民等の非専門的レベルにお いて,誰もが異変に気付き,安否確認し,情報を提供したその先にある専門的な対応を確 信させるものであり,迅速に対応可能なネットワークとして機能するために必要と考えら れる。したがって,住民からの情報を収集し(「情報収集システム」),分析・対応する(「分 析・対応システム」)(村上2009)ためのこれらの基準や指標の設置と運用は,単に見守り の対象を決めることではなく,住民と専門職・機関や行政をつなぐ重要なツールになると 考えられる。

見守りの目的として村上(2009)は,見守りの対象,機能,手段類型から整理し,高齢 者の情報収集を主目的として,直接的手段と間接的手段に分類している。堀(2011)は,

前掲の主体と活動内容,活動目的から整理し,安否確認を中心的機能として,実態把握や 交流・参加の場づくりを含めて類型化している。見守りは,日常の見守りによる個別の支 援が必要な人の発見と,専門職による介入,介入後の対象の状況の把握の見守りなどさま ざまな様相があり,どこでも出発点となり得,循環すると考えられる。また,見守る目的 や異変があった場合に対応する目的ばかりではなく,見守り活動を通じて地域の関係づく りが進展することも期待でき,この場合,見守りの目的は地域づくりになる。序章で述べ たように,見守りが必要とされる背景には自身の生活する地域を守り作っていくことが含 まれるため,特に地域住民による見守りの目的を考える場合には,いずれの目的も含意さ

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17 れるものと考えられる。

3) 見守りの方法

見守りの方法として,村上(2009)は,直接的手段を能動的見守り(訪問・電話等)と 受動的見守り(サロン等),間接的手段を二次的見守り(新聞,郵便,電気,サービス等)

と日常的見守り(家族,近隣等)に類型化し,各手段ともメリット・デメリットがあると 述べている。神戸市では民生委員やボランティア等の住民による訪問や居場所づくりが活 発であり,村上のあげたいずれの見守りも住民組織や事業者によって行われている。堀

(2011)は見守りの活動内容を,狭義の見守り活動として安否確認,広義の見守り活動と して基盤づくりをする実態把握,普及啓発,取組体制の構築,最広義の見守り活動として 交流・参加の場づくりとして整理している。これらの見守り活動には,活動の目的や主体 としての専門職と地域住民が混在している。白澤(2013:76)は対象者の特性や担い手の 特性によって方法が異なり,通りすがりに明かりや郵便物をチェックする「遠い見守り」

から,決まった曜日の訪問を行う「手厚い見守り」まで多種多様であると述べている。『高 齢者等の見守りガイドブック』(東京都福祉保健局2013)には,見守りの方法として,緩 やかな見守り,担当による見守り,専門的な見守りの3つが記されており,このうち地域 住民が担うことが可能であるのは,緩やかな見守りと担当による見守りである(表1-2)。

表 1-2 見守りの方法

見守りの方法 活動内容 主体 方法

緩やかな見守り 日常生活における気づき 近所づきあい

日常業務

地域住民 事業者等

外から気にかける,生 活上の声かけ,電話,

訪問,サロン運営 担当による見守り 見守り活動(定期的・組織的)

サービス提供・業務遂行時の意識的 な見守り

町会・自治会,ボランテ ィアグループ,協定事 業者,NPO 等

担当・定期的な電話,

訪問 サロン運営 専門的見守り 包括・居宅介護事業所,介護サービ

ス,民生委員等による見守り・対応

専門職・専門機関,行

電話,訪問,緊急通報

→連携・対応

(東京都福祉保健局(2013)を参考に,筆者作成)

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18

住民による見守りは,好意的とは限らないが何らかのきっかけによって心配な人を気に するようになって,日常的に気に掛け始めることが重要である。小林(2011)は,近隣で は日常的に接する機会があるからこそ,いつもと違うという異変に気づくことを指摘した。

この日常との違いに「気づくこと」が,住民による見守りの一つの機能である。しかし,

異変に気づいただけでは安否もわからず支援が必要でも対応ができないので,気づいた住 民本人が確認・援助するか,専門機関に相談・通報することが必要になる。「相談・通報す る」ことがもう一つの機能である。「気づくこと」は認知レベルであり,「相談・通報する」

ことは行動レベルである。「気づき」をすぐに「相談」できる場合もあれば,「気づいて」

もなかなか「相談・通報する」ことができない場合もある。「面倒に巻き込まれるのではな いか」と恐れたり,プライバシーに立ち入ったことを非難されたりする可能性があるため,

地域住民による見守りや助け合いが難しくなっている(小林 2013:164)。見守りの認知 レベルが行動レベルに達しにくい要因として,「相談・通報先がわからない」,「異変と思っ たことが間違いだったらどうしよう」「余計なことをしたと言われる」などの迷いや葛藤が あると考えられる。これらの要因は地域差や個人差,その場の状況や時期の問題もあるが,

誰もが感じる不安であり,見守りの仕組みづくりをしていく中で根本的な問題となる。専 門職の仕事としてではなく,自ら手を上げたボランティアでもなく,一般の住民が日常生 活の中でたまたま気づいたことをだれかに通報するというのはハードルが高い行動であろ う。

住民が見守りにおいて気づき行動する要因を考える際に,社会心理学における援助行動 の知見を参考にすることができる。清水(2001)によれば,援助行動は援助する人,援助 される人,状況等の要因によって影響を受けるとされる。状況として,援助が必要な事態 かどうかがあいまいであると,明確であるよりも援助されにくいことがわかっている。見 守りの場合,この援助の必要性のあいまいさが行動の生起に大きく関わると考えられる。

また被援助者が「わからない人」である場合は,援助が必要かどうか判断しにくく,援助 行動に結びつかない可能性が高い。住民による見守りは直接援助することが目的ではない が,異変を感じたときに,援助が必要かどうかわからなくても,専門職や機関に連絡が届 くような方法が求められる。

4)本論における住民による見守り

以上のように見守りの定義は多様であるが,本論では主体に関わらず自分を含め誰かを

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19

見守ろうとする取り組みとして,その中でも特に見守る人・見守られる人を含む地域住民 を主体とした見守りに注目する。具体的な方法(活動内容)は,家の外から窓の開閉や電 灯,洗濯物や郵便物等に異変があるか気にかけること,電話や訪問によって安否を確認す ること(担当制/不特定,定期/不定期等),サロンの開催に伴う欠席者への連絡・安否確 認等である。地域住民による見守りは,日常生活における関係性を基盤とした「気づき」

と「(専門職・機関に)連絡すること」で役割を果たすものと定義する。さらに専門職は,

個別の連絡を受けて対応することと,住民の見守り活動そのものおよび活動を開始・促進 する支援を含めて見守り支援を行うものと捉えることとする(図序-1参照)。

本論における地域と見守りとの関係を図1-1に示す。「地域(ネットワーク)」は住民間 の関係で,見守りをしない関係も含む。都市社会学等では,この地域住民のつながりこそ ネットワークと呼ぶことが多い。しかし,本論では地域のネットワークにはアプローチせ ず,誰かが誰かを見守るという目的のあるものを「見守りネットワーク」とする。そのた め,地域(ネットワーク)と見守りネットワークは並列ではない。見守りネットワークの うち「住民による見守りネットワーク」は地域住民が見守りをするネットワークであり,

地域と見守りネットワークの重複部分,すなわち訪問や通報などの明確な見守り行為だけ でなく,見守りをしようとする意識や気づきまで含むものと考える。

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