昭和大学保健医療学雑 誌 第
10号
2012E 霊置薗
妊婦が経験するストレッサーとストレス反応 およびコーピングの関連性
湯舟邦子
昭和大学保健医療学部看護学科
要 ヒ 日 = ー
妊娠期におけるストレスを把握することは、母体の健康管理に不可欠なものといえる。 そこで、
メンタルヘルスケアを確立する 一環として、妊娠期において経験するストレスはどのようなもので あるか、妊娠期におけるストレッサーに着目した検討結果を報告する 。結果として、多くの妊婦が 経験する項目として「 病院の長い待ち時間 J 「つわりによる吐き気」「夜中の睡眠中断 J 「 体調が悪いと
きの家事や育児」「戸外でのレジャーやスポーツの制限 J 「 夫婦の性生活の変化」「子育てに不安を感 じるような犯罪報道」「予想以上の出費」など本人の身体的な変化はもちろんのこと、妊婦を取り巻 く生活要因、社会的要因、経済的要因など多岐にわたる要素が含まれていた。
Key Word :妊婦、ストレッサー
緒 日
女性の妊娠・分娩・産樗の過程は、生涯の中 で重大なライフイベントであり、女性自身充実感 や喜びにも満ちている期間である 。一方、妊娠す ることによっておこるホルモンバランスの変動や 腹部の増大による身体的変化
1) が、病的な状態を 招くようなストレス反応を引き起こす の ことにも 直面する 。 さらに、産後うつ病やマタニテイブルー スは、妊婦だけでなく児にも悪影響を与え、配偶 者への心理的負担になり改善すべき重要な課題と
なっている 。こうした産後うつ病やマタニテイブ ルースには、妊娠期のストレスが影響すること、
妊娠期からの継続した心理的支援が周産期の女性 の心理的安定と児に対する愛着の促進につなが るの ことを示唆する報告もある 。 したがって、妊 娠期におけるストレス状態の詳細を把握すること は、母体の健康管理に不可欠なものといえる 。そ こで、メンタルヘルスケアを確立する 一環として、
妊娠期において経験するストレスはどのようなも のであるか、妊娠期におけるストレッサーに着目
した検討結果を報告する。
方 法
1 . 対 象
本研究の対象者は都内の産婦人科外来を有す る中核病院 2 病院および個人病院 1 病院を受診し た、妊娠分娩異常や妊娠合併症を持たない妊娠 3 ヶ月から 8 ヶ月の妊婦で、本調査に同意が得ら れた 3 4 5 名であった。
2 . 自記式調査票
使用した調査票は、属性(年齢、妊娠月数等) 、 ストレ ッ サ一、コーピング、ストレス反応等で構 成されている自記式のものであ った。ストレッ サーの評価には、妊娠期間中に妊婦が経験するで あろう 5 0 項目について経験の有無を尋ね、各設 問について あった を 1 点、 なかった を O 点と
っ ο
1よ
し、得=点イヒした 。ストレスコーピングおよびスト レス反応は、信頼性妥当性が検討されている既存 尺度を使用した。コーピングおよびストレス反応 はそれぞれ 4 つの下位尺度で構成されている 。そ れらのうち、今回、ストレス反応は「 抑 うつjと「不 安 J の 2 つの下位尺度を用いた。
3 . 解析方法
妊婦がどのようなストレッサーを経験している のかについて検討した。多くの者があるストレツ サ一を
ば、ス トレ ス経験の平均値は 0 . 5 と認められなく なる 。そこで、 5 0 項目のス トレ ッサー 有無( 1 、 0 ) の平均値の期待値を 0 . 5 とした l サンプルの
t検 定を用いて検討した。さらに、ストレッサーの経 験と年齢の関係について P e a r s o n の相関係数を用 いて検討・した。更に、ストレッサーの経験とスト レ ス反応との関連について、ストレッサ ーおよび 年齢を説明変数とした重回帰分析( S t e p w i s e ・ 法 ) を行った。以上の解析には統計パッケージ SPSS ( V e r . 1 8 . 0 J )を使用した。
結 果
1 .対象者の属性について
本研究の対象者の属性を表 1 に示した。 この 表に示したように対象者の年齢は 1 8 歳から 4 3 歳 で、平均年齢は 3 0 . 4 ± 4 . 6 歳であ った。対象者の 妊娠月数は 4 ヶ月か ら 9 ヶ月であり、平均は 7 . 0 ±
1 . 6 月であ った 。妊娠回数は 1 回の者が最も多く、
全体の 6 2 . 6% ( n = 2 1 6 )を占め、次に 2 回の者が 2 6 . 7% と 、 1 〜 2 回の者で全体の 8 9 . 3 % を占めて いた。なお、最多は 7 回 ( n = 2 )であった。
表 1 研究対象者の属性
妊娠回数 度 数 %
1 2 1 6 6 2 . 6 2 9 2 2 6 . 7 3 2 8 8 . 1
4 7 2
7 2 0 . 6
よ 口
』計 3 4 5 1 0 0
‑ 1 4‑
2 . ストレッサー経験の平均値に関する検討 5 0 項目のストレッサーの経験率 (表 2 )を見る と、低い項目は「助産師 ・ 看護師の無神経な言動」
「持病の悪化」「自分や赤ちゃんに対する夫の無関 心」「 医師 ・助産師・看護師と自分との考え方の 食い違い J 「予定日の変更 J 「保健指導による生活 上の制限 J 「 相談したいのに相談相手がいない」等 であ った。他方経験率の高い項目は 「病院の長い 待ち時間 J 「つわりによる吐き気」「夜中の睡眠中 断 J 「 体調が悪いときの家事や育児 J 「 戸外でのレ ジャーやスポーツの制限」「夫婦の性生活の変化」
「 子育てに不安を感じるような犯罪報道」 「 予想以 上の出費」などであ った 。
さらにス トレ ッサ ーの経験と年齢の関係につい て P e a r s o n の相関係数を用いて検討した(表 3 ) 。 年齢と有意な相関性を示したストレッサーは、 「 妊 娠による退職j「予想外の体型の変化」 「 おし ゃ れ をしたいのにおしゃれができない」「たばこが吸 いたいのに吸えない J 「 子育てに不安を感じるよ うな犯罪報道 J 「 予想以上の 出 費 J 「 生活 リ ズムの 変化 」および「いつ異常に去るかわからない胎児の 成長」 であった。
3 . ストレッサーとストレス反応の関連性について
ストレッサーとストレス反応の関連性について
検討した(表 4 ) 。 抑うつにおいて選択された項目
は標準化係数の絶対値の大きさ順に「つわりによ
る吐き気 J 「たばこが吸いたいのに吸えない」 「 夫
と 一緒に行動ができない」 「 慢性的な疲れ」「予想
以上の通院回数 J 「 いつ異常になるのかわからな
い妊娠中の体の調子 J 「生活リズムの変化 J 「 予定
日の変更 」 が係数の値が大きかった。同様に不安
へは、「いつ異常になるのかわからない妊娠中の
体の調子」 「 たばこが吸いたいのに吸えない J 「 良
い母親になるべきだという使命感 J 「生活リズム
の変化」「相談したいのに相談相手がいなしづ 「 年
齢 J 「 妊娠に対する周囲の大きな期待 J 「陣痛の始
まりが想像できない」「予定日の変更」であった 。
昭和大学保健医療学雑誌 第
10号
2012表 2 妊娠期間中のストレッサ ー経験の有無の平均値
N M E A N S D p valu
自
28
) 病 院 の 長 い 待 ち 時 間
345 0.896 0.306 0.0001)
つ わ り に よ る 吐 き 気
345 0.812 0.392 0.0001 2
) 夜 中 の 睡 眠 中 断
345守 。
751 0.433 00001 5
) 体 調 が 悪 い と き の 家 事 や 育 児
345 0.751 0.433 0.000 27) お 胞 が 大 き い こと に よ る 行 動 範 囲 の 減 少
345 0.748 0.435 0.000 26) 戸 外 で の レ ジ ャー や ス ポ ー ツ の 制 限
344 0.738 0.440 0.0008
) 夫 婦 の 性 生 活 の 変 化
341 0.698 0.460 0.00039
) 子 育 て に 不 安 を 感 じ る よ う な 犯 罪 報 道
345 0.690 0.463 0.00041)
予 想 以 上 の 出 費
345 0.675 0.469 0.00043
) 慢 性 的 な 疲 れ
345 0.655。
.476 0.0001 7
) パ ス や 電 車 を 譲 っ て も ら え な い
344 0.651 0.477 0.00046 )主主:. :舌リコて.L.JT> 豆~1 ヒ
345 0.641 0.481 0.00040
) 子 育 て に 不 安 を 感 じ る よ う な 環 境 問 題 の 情 報
345 . 0.626 0.485 0,000 50) 分 娩 が 進 む 聞 の 自 分 が 想 像 で き な い
345 0.597 0.491 0.000 14) お し ゃ れ を し た い の に お し ゃ れ が で き な い
344 0.576。
.495 0.005 49) 陣 痛 の 始 ま り が 想 像 で き な い
345 0.533 0.500 0.216l l)
熟 睡 で き な い
345 0.522 0.500 0.42045
) い つ 異 常 に な る か わ か ら な い 妊 掘 中 の 体 の 嗣 子
344 0.509 0.501 0.747 37) 母 親 と し て 行 動 し な け れ ば な ら な
L、とし、う使命感
345 0.507 0.501 0.788 16)良男室主セ
bヲ十重E1=女寸す
rる朱リ
F艮 345 0.481。
.500守 。
48525
) 友 人 と の 交 流 減 少
345 0.458 。0.499 0.11913
) 予 想 外 の 体 型 の 変 化
343 0.458 0.499 0.11836
) 良 い 母 親 に な る べ き だ と い う 使 命 感
344 0.395 0.490 0.000 21) お 酒 を 飲 み た い の に 飲 め な い
345守 。
380苧 。
486 0.000 24) 妊 娠 に 対 す る 周 囲 の 大 き な 期 待
345 0.374宇 。
485 0.0005
〕虫壬娠による退耳哉
345 0.354 0.479 0.00042
) 予 想 外 の 産 前 ・ 産 後 の 準 備
345 0.354 0.479 0.00010
) 予 想 以よ の 体量 増 加
344 0.349 0.477 0.00034
)守予莞昌見よ」ニ
I二王を し、島壬
9辰英男良男
345 0.330 0.471 0.000 48) い つ 異 常 に な る か わ か ら な し 、 胎 児 の 成 長
343 0.309 0.463 0 00019
)予想外!こ 邑 立つ ほ 据 綿 や シ ミ
345 0.293 0.456 0.00030
〕 医 師 の 不 十 分 な 説 明
345 0.290 0.454 0.00035
)失と一 緒 に 行 動 でき な い
344 0.256 0.437 0.0004
) 耐 え ら れ な い 身 体 の か ゆ み
345 0.229司 。
421。 町
000 38) 父 親 に な る こ と を 意 識 し て し 、 な し 、 夫 の 態 度
345 0.226 0.419 0.00044
) 予 想 以 上 の 通 院回 数
344 0.221 0.415 0.0002
) 寝 返 り が で き な い ほ ど の 腰 痛
345 0.217 0.413 0.0003
) 不 快 感 の あ る む く み
345 0.200 0.401 0.00029
) 助 産 師 や 看 護 師 の 不 親 切 な雷 勤
345 0.168。
375 0.00032
) 医 師 の 無 神 経 な言 動
344 0.151 0.359 0.00022
) た ば こ が
q及 い た い の に 吸 え な い
345 0.145 0.353 0.000 23)相言炎
L..I:二
L、 の に 祖 意 見 相 手 が し、 なし、
345 0.142 0.350 0.000 20) 保 健 指 導 に よ る 生 活 上 の 制 限
345 0.133 0.340 0.00047
) 予 定 自 の 変 更
345 0.128 0.334 0.00033
) 医 師 ・ 助 産 自 市 ・ 看 極 師 と 自 分 と の 考 え方 の 食
L、 遣 し 、
345 0.125 0.331 0.000 7〕 自 分 や罪 ち ゃ ん に 対 す る 央 の 無 関 心
345 0.122 0.327 0.0009
) 持 病 の 悪 化
344 0.110 0.314 0.0006
) 車 ま
9后 iこよる酉 c a
車去臨
345 0.090。
286 。00031)
助 産 師 ・ 看 護 師 の 無 神 経 な 言 動
345 0.090 0.286 0.000 18)つらし、の!こ居室宵
ηf木目隠カfと才
1なし、
344 0.081 0.274 0.0001
サ ン プ ル の 統 計量 (検定 値 =
O.5)各 段 聞 に 対 し て 、 経 験 し た は
1.経 験 し な か っ た は
0と コー デ イ ン ゲ し た 。
ph u
表 3 年齢と出来事の経験の関係について
r p
つ わ り に よ る 吐 き 気
ー0.042 0.447寝 遅 り が で き な い ほ ど の 腰 痛
‑0.003 0.962不 快 感 の あ る む く み
0.035 0.519耐 え ら れ な し 、 身 体 の か ゆ み
‑0.040 0.466y̲.
壬
9辰 に よ る i 屋耳殻
‑0.135 0.013妊 娠 に よ る 酉 己 置 転 換
0.035 0.522自 分 や罪 ち ゃ ん に 対す る 央 の 無 関 心
‑0.028 0.615夫 婦 の f 生 生活 の 棄 化
0.028 0.606持 病 の 悪 化
‑0.070 0.200予 想 以 よ の 体重 増 加
‑0.160 0.003熟 睡 で き な し 、
‑0.033 0.547夜 中 の 唾 眠 中 断
0.069 0.209予 想 外 の 体 型 の 変 化
‑0.099 0.069お し ゃ れ を し た し 、 の に お し ゃ れ が で き な し 、
‑ 0.115 0.035体 罰 が 悪 し 、 と き の軍 事 や 育 児
0.063 0.252間 企 や 外 企 に 対 す る 制 限
0.096 0.080ノ〈スや電 車を 諮 っ て も ら え砕 い
0.026 0.628て コらし、。コ
Iこ居室宵 t r f 木日 i ヨカ
fと才、え
j;l,、
一0.012 0.827予 想 外
Iこ 目 立 つ 妊 娠 線 や シ ミ
0.009 0.864イ 呆 健 指導 に よ る 生 活 上 の 制 限 。 圃
097 0.077お 酒を 欽 み た い の に 飲 め な い
‑0.029 0.593T
こ
l<fこ カ可及し、
Tこし、 σ )(こ
q及 え右 よ し 、
‑0.157 0.004本 自室 炎 し た し 、 の に 相 霊 剣 目手 がし、な ι 、
0.061 0.263妊 娠 に対 す る 周 囲 の 大 きな 期 待
0.052 0.346友 人 と の 主 流 減 少
‑0.098 0.072F タ1ドてき0コレ三:; ャ一ー セ~A.オf一一 ツ σコ爺IJ
R艮
0.089 0.104お 腹 が 大 き い
ζと に よ る 行 動 範 囲 の 減 少
0.069。
.209病 院 の 長
L、 待 ち 時 間
0.084 0.126AA 居l'£ 自市セb窄詰笠宮市 σ〉弓::;:~見 1:;JJ な言n助
0.013 0.1312痘
£15市 σ コ司=→ー づ士えよ
E免号月
0.000 0.996助 産 自 市 看 謹 宮 市 の 無 神経 な 言 動 一
0.044 0.421医 師 の 無 神 経 な雷 動
‑0.007 0.900医 師 ・ 助 産 師 看 護師 と 自 分 との 考 え 方 の 童 し 、違
L、
‑0.009 0.866亨
L完
gιA」
LIこ差是 し、主 壬合辰其月区司
‑0,006 0.919夫 と 一 一 緒 に 行 動 で き な し 、
0.032 0.564良 し 、 母 親 ! こ な る べ き だ と し 、 う 使 命 感
‑0.048 0.379母 親 と し て 行 動 し な け れ
lまならなし、とし、う使命感
‑0.009 0.870父 親
l二 な る こ とを 意 識 し て い な し 、 去 の 態 度
‑0.095 0.082子 育 て に 不 安 を 感 じ る よ う な 犯 罪 報道
0.133 0.015子 育 て に 不 安 を感 じ る よ う な環 境 問 是亙の情 報
0.064 0.241守ユ充畏長
i」 ニ
0コ
!±l霊堂 ‑0.122 0.026予 想 外 の産 前・ 産 後 の 準 備
‑0.057 0.295慢 性 的 な 疲 れ
0.062 0.257予 想 以 よ の 通 院 回 数
‑0.014 0.804い つ 異常 に な る か わ か ら な い 妊 娠 中 の 体 の 調子
‑0002 0.971宝 生
3舌リコぐL. σ コ
m:1ヒ
0.11 7 0.031予 定 日 の 変更
0.022 0.690い つ 異 常 に な る か わ か ら な い 胎 児 の 成 長
‑0.116 0.033陣 痛 の 始ま り が 想 イ象で き な い
‑0.019 0.733分 娩 が進 む 聞 の 自 分 が 想 像 でき な い
0.014 0.804r
: 年 齢 と 出 来事 の 経験 の 有 無 と の
Pearsonの 相 関 係 数 p:~.Jt 言 十今主白勺 窄Z 主主差是右;;a 克三 〈胃司イ員引
n=336
Fhu E4
昭和大学保健医療学雑誌第
10号
2012表 4 ス卜レッサーとストレス反応
説明変数 標準化係数
t値 有意確率 誤差済み
R'(定数)
19‑779 0.000慢性的な疲れ
0286 5.687 0.000夫と一緒に行動できない
0.161 3.389 0.001予定日の変更
0.151 3.176 0.002たばこが吸いたいのに吸えない
0.142 3.017 0.003 0.253いつ異常になるかわからない妊娠中の休の諒 子
0.127 2.516 0.012予想以上の通院回数
0.117 2.426 0.016つわりによる吐き気
0.112 2.377 O.Q18生活リズムの変化
0114 2.305 0.022( 定数)
9.566 0.000たばこが吸いたいのに吸えない
0.146 2.962 0.003相談したいのに相談相手がいない
0.135 2.668 0.008妊 娠! こ対する周囲の大きな期待
0.126 2.509 0.013良い母親になるべきだという使命感
0.144 2.913 0.0040.222
いつ異常になるかわからない妊娠中の体の調 子
0.191 3.804 0.000生活リズムの変化
0.134 2.679 0.0〔JS予定日の変更
0.113 2.332 0.020陣痛の始まりが想像できない
0.118 2.415 O.Q16年齢
0.126 2.587 0.010目的変数
抑うつ
不 安
考 察
対象者の属性を検討すると、対象である妊娠月 数は 4 ヶ月から 9 ヶ月と、妊娠期間中をほぼ網羅
していた 。従って、本研究からは、妊婦が妊娠期 間中に経験するストレッサーとストレス反応およ びコーピングの全体的な様子を捉えることが出来 るものと考えられた。
まず妊婦がどのようなストレ ッ サーを経験して いるのかに着目し、ストレッサーの経験平均を統 計学的に検討したところ多くの妊婦が経験する 項目として「病院の長い待ち時間 J 「つわりによる
吐き気」「夜中の睡眠中断 J 「 体調が悪いときの家 事や育児」「戸外でのレ ジャ ーやスポーツの制限」
「夫婦の性生活の変化 J 「子育てに不安を感じるよ うな犯罪報道」「予想以上の出費」など本人の身体 的な変化、妊婦を取り巻く 生活要因、 社会的要因、
経済的要因など様々な要素が含まれていることが 分かつた。
次に、ストレッサーの経験がストレス反応に結 びつくのか否か、ストレッサーの経験とストレ ス反応の関連性について検討した。ストレス反 応(抑うつ ・ 不安)を目的変数とし、ストレッサー を説明変数とした重回帰分析を行い、説明変数を S t e p w i s e ¥:去によって変数選択を行った。 こうし て、選択された項目がストレス反応に関与する項
目であると考えるとともに、標準化係数の絶対値 が大きい項目ほどストレス反応への関連が強いと 解釈することができる。その結果、抑うっと不安
において共通して選択された項目、それぞれ独自 に認められた項目があった。共通した項目は「た ばこが吸いたいのに吸えない」「いつ異常になる のかわからない妊娠中の体の調子」「生活リズムの 変化」「予定日の変更」の 4 項目であった。なお、
「予定日の変更」 の標準化係数は負の値が得られ、
分娩予定日の変更は不安、抑うつを軽減するとの 結果を得た。その他の項目については、標準化係 数が正値、すなわち経験した場合にストレス反応 が強くなると解釈することができた。なお、抑う つへは「夫と一緒に行動ができない j が関与してい る 。これは、抑うつの緩和には夫がキ ー パーソン であるからと考えられる 。次に不安に寄与する項 目として、 「 良い母親になるべきだという使命感」
「 相談したいのに相談相手がいない j 「年齢」「妊 娠に対する周囲の大きな期待 J 「陣痛の始まりが 想像できない j があった。妊婦の年齢が高いほど メンタルケアが必要で、あることを意味する 。「 陣 痛の始まりが想像できない」が妊婦の不安となっ ていることを重要視し、陣痛に関する情報提供の 必要性を再認識する 必要がある。また、妊婦が「妊 娠に対する周囲の大きな期待」に対して不安感を 持つことや、 「 相談したいのに相談相手がいなしづ
ヴtE
ム
との孤立感が不安を増強させることを考え、対応 策を考える必要があることが示唆された。妊娠 期は ,些細なことに不安や焦り,悩み等が生じて、
敏感で感情が高揚し情動の変動が起こりやすく、
妊娠に伴い種々の問題が生じていると考えられる
4
) 本研究でもこれを裏付けした結果が示された。
今後、こうした事実を踏まえて、助産師として妊 娠期のメンタルケアをおこなうことが必要である
と考える。
也土
Jllロ
=E
.<岡
:』多くの妊婦が経験する項目として「病院の長い 待ち時間j「つわりによる吐き気 J 「夜中の睡眠中
断」「体調が悪いときの家事や育児j「戸外でのレ ジャーやスポーツの制限」「夫婦の性生活の変化」
「子育てに不安を感じるような犯罪報道」「予想以 上の出費」など本人の身イ本的な変化はもちろんの こと、妊婦を取り巻く生活要因、社会的要因、経 済的要因など多岐にわたる要素が含まれているこ
とが明らかになった。
文 献
1 ) Leader S J , e t a l : New I n t e g r a t i a l C l i n i c a l N u r s i n g . 1 8 2 1 8 9 , 医学書院,東京, 1 9 8 4 . 2 ) Bad 王 stormMB: S t r e e d u r i n g pregnancy
and s p o n t a n e o u s premature l a b e r . J Psy c h o s o m a t i c O b s t e r i c s and G y n a e c o l o g y , 2 : 4 1 1 ‑ 4 1 4 , 1 9 8 3 .
3 ) 佐藤喜根子、佐藤祥子:妊娠期からの継続し た心理的支援が周産期女性の不安・抑うつ に及ぼす効果母性衛生、 5 1
(1) :2 1 5 ‑ 2 2 5 , 2 0 1 0 .
4 ) 九嶋勝司、村井慾努、佐藤俊昭:妊産婦の心 理的研究
(1)妊婦の情動的特性 、精神 身体医学、 6 :3 2 3 7 , 1 9 6 6 .
OD
唱EA
昭和大学保健医療学雑誌第
10号
2012The a s s o c i a t i o n o f t h e s t r e s s o r which a p r e g n a n t woman e x p e r i e n c e s and a s t r e s s r e a c t i o n and t h e c o p i n g
Kuniko YUBUNE
Department o f N u r s i n g , S c h o o l o f N u r s i n g and R e h a b i l i t a t i o n S c i e n c e s , Showa U n i v e r s i t y
Abstract
I t may b e s a i d t h a t i t i s i n d i s p e n s a b l e f o r m o t h e r ' s body h e a l t h c a r e t o g r a s p s t r e s s i n t h e pregnancy p e r i o d . T h e r e f o r e , t h e s t r e s s o r t o e x p e r i e n c e a s a p a r t t o e s t a b l i s h m e n t a l h e a l t h c a r e i n t h e p r e g n a n c y p e r i o d i s what k i n d o f t h i n g o r r e p o r t s t h e e x a m i n a t i o n r e s u l t t h a t p a i d i t s a t t e n t i o n t o a s t r e s s o r i n t h e p r e g n a n c y p e r i o d . As a r e s u l t , a wide v a r i e t y o f e l e m e n t s s u c h a s " n a u s e a d u e t o t h e morning s i c k n e s s " , " a m i d n i g h t d i s r u p t i o n o f s l e e p " , " h o u s e w o r k and c h i l d c a r e when I was i l l ‑ c o n d i t i o n e d " , " t h e l i m i t o f l e i s u r e and s p o r t s i n t h e o p e n a i r " , t h e c h a n g e
" c r i m e news t h a t f e l t u n e a s i n e s s f o r c h i l d c a r e " o f t h e s e x l i f e o f t h e c o u p l e " , a l i f e f a c t o r t o s u r r o u n d t h e e x p e c t a n t mothers n o t t o m e n t i o n a p h y s i c a l change o f t h e p e r s o n h i m s e l f i n c l u d i n g " m o r e t h a n e x p e c t e d e x p e n d i t u r e " , a s o c i a l f a c t o r , a n e c o n o m i c f a c t o r were i n c l u d e d a s t h e i t e m which many p r e g n a n t women e x p e r 色 nced i n 冗 h el o n g w a i t i n g t i m e o f t h e h o s p i t a l "
目Key Word : p r e g n a n t woman, s t r e s s o r
円 叫︐
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