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平成25 年12月25日

本事業の内容(報告書類、事例)は、以下のホームページから閲覧・検索していただけます。 (公財)日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業トップページ:http://www.med-safe.jp/ ○報告書類・年報:http://www.med-safe.jp/contents/report/index.html ○ 医 療 安 全 情 報 :http://www.med-safe.jp/contents/info/index.html ○ 公開データ検索:http://www.med-safe.jp/mpsearch/SearchReport.action

医療事故防止事業部

公益財団法人日 本医療機能評価機構

医療事故情報収集等事業

第35回 報 告 書

( 平 成25年7月 ∼9月 )

(2)

はじめに ……… 1 第35回報告書の公表にあたって ……… 3 医療事故情報収集等事業について ……… 5

I

医療事故情報収集等事業の概要

………

45

1 医療事故情報、ヒヤリ・ハット事例収集の経緯 ……… 45

2 医療事故情報収集・分析・提供事業の概要 ……… 47

【1】事業の目的 ………47 【2】医療事故情報の収集 ………47 【3】医療事故情報の分析・公表 ………48

3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業の概要 ……… 49

【1】事業の目的 ………49 【2】ヒヤリ・ハット事例情報の収集 ………49 【3】ヒヤリ・ハット事例情報の分析・提供 ………51

報告の現況

………

52

1 医療事故情報収集等事業 ……… 52

2 医療事故情報収集・分析・提供事業 ……… 53

【1】登録医療機関 ………53 【2】報告件数 ………55 【3】報告義務対象医療機関からの報告の内容 ………59

3 ヒヤリ・ハット事例収集・分析・提供事業 ……… 78

【1】登録医療機関 ………78 【2】全医療機関の発生件数情報報告 ………80 【3】事例情報参加登録申請医療機関の報告件数 ………85 【4】事例情報参加登録申請医療機関からの報告の内容 ………89

(3)

医療事故情報等分析作業の現況

………

106

1 概況 ……… 106

【1】分析対象とするテーマの選定状況 ……… 106 【2】分析対象とする情報 ……… 107 【3】分析体制 ……… 107 【4】追加調査 ……… 107

2 個別のテーマの検討状況 ……… 108

【1】血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連    した医療事故 ……… 108 【2】医療機関と薬局の連携に関連した医療事故 ……… 140

3 再発・類似事例の発生状況 ……… 201

【1】概況 ……… 201 【2】「湯たんぽ使用時の熱傷」(医療安全情報 No. 17)について ……… 204 【3】   共有すべき医療事故情報「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)」    (第9回報告書)について ……… 212

参考 医療安全情報の提供

………

229

【1】事業の目的 ……… 229 【2】主な対象医療機関 ……… 229 【3】提供の方法 ……… 229 【4】医療安全情報 ……… 230

(4)
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はじめに

公益財団法人日本医療機能評価機構 理事長 井原 哲夫 本財団は公益財団法人として、国民の医療に対する信頼の確保および医療の質の向上を図ることを 目的として、病院機能評価事業や医療事故情報収集等事業など様々な事業を運営し、医療の質をでき るだけ高く保ち、安心・安全な医療を提供するために、それらの事業に継続して取り組んでおります。  医療事故情報収集等事業では、収集した医療事故等の情報やその集計、分析結果を定期的な報告書 や年報として取りまとめるとともに、医療安全情報を作成し、毎月1回程度公表を行うことで、医療 従事者、国民、行政機関等広く社会に対して情報提供を行っております。その上で、医療安全情報に ついては医療安全の直接の担い手である医療機関により確実に情報提供が行えるよう、希望する病院 にファックスで直接提供する事業を行っております。医療安全情報は平成23年2月から全国の約6 割の病院に提供するまで拡大しています。 本事業は開始後9年が経過しました。この間、医療安全の推進のため、平素より本事業において医 療事故情報やヒヤリ・ハット事例等の情報の提供にご協力いただいております医療機関の皆様や、関 係者の皆様に深く感謝申し上げます。 本事業における報告書の公表は今回が35回目になります。今回は平成25年7月から9月までに ご報告いただいた医療事故情報とヒヤリ・ハット事例の報告をとりまとめたものです。また、本報告 書に掲載しております医療安全情報はこれまで85回の情報提供を行ってきたもののうち、平成25年 7月から9月に提供した No. 80から No. 82を掲載しております。 これまでに公表した報告書に対しては、医療事故の件数や内容に関するお問い合わせや報道など多 くの反響があり、医療安全の推進や医療事故防止に関する社会的関心が依然として高いことを実感し ております。 今後とも、本事業や病院機能評価事業などの様々な事業を通じて、国民の医療に対する信頼の確保 と、日本の医療の質の向上に尽力して参りたいと考えておりますので、ご理解とご協力を賜りますよ う宜しくお願い申し上げます。

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第35回報告書の公表にあたって

公益財団法人日本医療機能評価機構 特命理事 野本 亀久雄 本事業の運営にご理解、ご協力いただき感謝申し上げます。本事業は開始後9年が経過しました。 この間、本事業に対する医療機関の皆様の反応には大きな変化があったと考えています。事業開始当初 には、報告した事例をどのように活用されるのかわからない、という不安を感じておられた医療機関が 多かったように記憶しています。しかし最近では、収集した情報をもっと使いやすい形で提供して欲し いといったご要望が増えてきており、これは事業開始当初とは異なる大きな変化であるととらえていま す。その結果、皆様ご存じのとおり、報告書や年報は次第に内容の濃いものになるとともに、医療安全 情報の提供を行い、さらに後述するWebを活用した情報提供も開始しております。それらの情報を基 盤に、参加して下さっている医療機関の方々に有用な情報としてお返しすることによって、経験したこ とのないタイプの医療事故の実態も理解することが可能となり、具体性をもった医療事故防止が可能と なるようです。 本事業は、多くの医療機関のご協力を得て、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を幅広く収集する ことが基盤となっております。本事業にご参加いただいている医療機関の皆様には、我が国で初めての 試みとして開始された本事業の円滑な運営に関し、ご支援、ご協力いただいておりますことに心より感 謝申し上げます。また、一層充実した情報を全国の医療機関や広く国民に還元できるよう、引き続き、 報告範囲に該当する医療事故情報やヒヤリ・ハット事例が発生した場合は、適切にご報告いただきます よう宜しくお願い申し上げます。 さて、今回は平成25年7月から9月までにご報告いただいた医療事故情報と、ヒヤリ・ハット事例 のご報告をとりまとめた第35回報告書を公表いたします。今回の個別のテーマとしては、「血液浄化療 法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故」を取り上げました。本報 告書においては、7月22日から9月16日までの報告システム停止期間の影響により、報告事例の件数 が少なく、対象期間内に収集した事例情報から事例を分析する作業を行うことができなかったため設定 しておりません。そこで当事業部で運営している薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の成果を引用し、 「医療機関と薬局の連携に関連した医療事故」について分析を行いました。さらに、本報告書が対象とす る平成25年7月から9月に提供した、医療安全情報の No. 80から No. 82も掲載しております。 これらの内容を含め、本事業の現況について、第19回報告書から担当部長による解説の頁を、私か らのご挨拶の頁に引き続いて設けております。その頁をお読みいただくことにより、本事業を支えておら れる参加医療機関の皆様に、本事業の最新の状況をお知らせできるものと考えております。そのような 本報告書の内容を、医療機関において、管理者、医療安全の担当者、医薬品の安全使用のための責任者、 医療機器の安全使用のための責任者及びその他の職員の皆様の間で情報共有していただくことにより、 医療安全推進にお役立て下されば大変幸いに存じます。 国民の医療に対する信頼を回復し、その信頼を保っていくためには、医療の安全性を向上させる取り 組みを永く続けていくことが必要であると考えておりますので、私共の事業を通じて、個々の医療事故 防止を超えて、医療に関わる人々の誇りとなるような旗印を作りたいと念願しています。そのために、 9年以上の実績を持つ本事業は、報告を定着させていく時期から、報告された情報を活用していく時期 に移行していかねばならないと考えております。 今後とも本事業の運営主体として、我が国の医療事故防止、医療安全の推進に資するよう、報告書の 内容充実と、層有効な情報提供に取り組んでまいりますので、皆様のご理解とご協力を心よりお願い申 し上げます。

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医療事故情報収集等事業について

∼第35回報告書の内容を中心に∼

公益財団法人日本医療機能評価機構 執行理事 兼 医療事故防止事業部長 後  信 1 はじめに 平素より、本事業の運営にご理解、ご協力いただき、深く感謝申し上げます。また、7月に発生い たしました、本事業のサーバに対する不正アクセスにより、約2ヶ月間ホームページの運用を停止し たために、皆様にご迷惑やご心配をおかけしましたことをあらためてお詫び申し上げます。そのため に、本報告書が対象としている7∼9月の報告件数が減少しており、集計表等にも影響を与えており ます。しかし、システム復旧以降は順調に報告がなされており、現在では、むしろ通年で昨年を上回 る報告件数が見込める状況にまで回復致していることもあわせてご報告いたします。このことは、事 業に参加していただいている皆様の、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例報告に対する変わらぬ意識 の高さを示すものであるとともに、我が国に報告制度が定着していることのあらわれであると考え、 心より感謝しております。 さて今回は、平成25年7月から9月までにご報告いただいた医療事故情報とヒヤリ・ハット事例 のご報告をとりまとめた第35回報告書を公表いたします。報告書の内容を十分ご参照いただき、安 全管理を担当とする方を中心に、それぞれの医療機関の実情に即した有用な部分を院内で周知してい ただければ幸いに存じます。 また、医療を受ける立場でこの報告書や本事業のホームページをご覧の皆様におかれましては、医 療事故やそれに至る前に防止できたヒヤリ・ハット事例の種類や内容、医療機関や医療界が再発防止 に向けて取り組んでいる姿を、ご理解いただければ幸いに存じます。 さらにこのたびの公表にあたり、医療事故情報収集等事業やそれに関連する事業の現況について、 以下にご紹介させていただきます。 2 第35回報告書について 1)図表∼参加登録申請医療機関数の内訳∼ 第22回報告書から、参加登録申請医療機関数の内訳を示す図表を追加しております(52頁)。 医療事故情報を報告している医療機関数、ヒヤリ・ハット事例を報告している医療機関数、重複 を除いた事業参加医療機関数などをお示ししています。本事業に参加している医療機関数は、34 回報告書に記した数より少し増えて平成25年9月30日現在で1,358医療機関となりました。 また、この図表の内容は、本事業の参加状況を示す基本的な内容であることから、ホームページの 「参加登録医療機関一覧」において随時情報を更新してお示ししています(http://www.med-safe. jp/contents/register/index.html)。

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した。内訳は、報告義務対象医療機関から468件、参加登録申請医療機関、つまり任意で参加し ていただいている医療機関から35件のご報告をいただきました。前年同期には、814件の報告 をいただきましたので311件少なくなりました。この大幅な減少の原因は、7月下旬から9月中 旬までの長期にわたるシステム停止によるものです。同時にシステムが停止していた期間の事例は、 システム再稼動後に、順調に報告されており、時期四半期(10∼12月)は相当な増加となる見 込みであるとともに、通年では昨年の過去最高の件数であった2,882件をさらに今年も更新す る見込みです。したがって、本稿執筆時点の状況から判断すると、従来どおり、報告件数の増加の 傾向が続いているものと考えています。また、引き続き医療事故を報告することが次第に定着して きているために、事業開始以降最近まで医療事故の報告件数が増加し続けてきたものと考えていま す。このたびのシステム停止の影響が最小限にとどまり、現在では再び多くの報告をいただいてい ることからも、報告が定着してきているものと考えています。そのように、十分報告がなされるよ うになった段階で、特定の種類の医療事故がいくつも減少して行くことが観察されると望ましいと 考えておりますとともに、そのためにも有用な事例の報告、分析、情報提供という改善サイクルを 回し続けることが重要です。医療を取り巻く環境が厳しくなっているという指摘が多くなされる中 で、医療事故やヒヤリ・ハット事例の報告をいただいている医療機関の皆様のご協力に心より感謝 申し上げますとともに、今後とも、本報告書中の、「Ⅰ−2 医療事故情報収集・分析・提供事業 の概要【2】医療事故情報の収集」に掲載している報告範囲(47∼48頁)を今一度ご確認いた だき、該当事例を、我が国の医療安全の推進のためにご報告していただければ幸いに存じます。 全ての事業参加医療機関にとって 、 報告範囲に該当する事例が発生したことを把握すること、そ の事実を重要な情報を漏らさず整理すること、これを報告できる形にまとめること、報告すること、 これらのことを行い、質の高い報告を継続的に行うことは、決して容易なことではないと考えてお りますが、本事業に参加することで、先述したような、事実を把握する能力や報告する能力が高ま ることや、医療機関というひとつの組織体として医療安全を重視した運営方針を決断したり職員に 説明したりするための有用な資料とすることができること、などが期待できます。このことは、医 療機関の医療安全推進だけでなく、我が国の医療安全の底上げを図ることになるものと考えられま すので、何卒宜しくお願いいたします。 3)任意参加医療機関からの報告件数∼任意参加医療機関からの報告を期待しています∼ 任意参加の医療機関から報告される医療事故の件数については、報告義務が課せられている医療 機関のそれに比べ随分少ない現状が事業開始後長く続いたあと、平成22年は521件と、それま での約3倍程度に増加しました。しかし、平成23年は316件、平成24年は347件にとどま りました。4∼6月期の報告件数が87件で、本報告書が対象としている7∼9月期は、システム 停止の影響が大きく、35件です。任意参加の医療機関数は685施設に増加しており、そのこと は院内だけでなく全国の医療安全を推進する本事業へのご協力の意思のあらわれと考えられ大変あ りがたく思っております。そして、「参加」していただく段階の次は、「報告」の段階です。昨年の 報告件数をみると、私どもの取り組みを含め、この「報告」の段階の取り組みがいまだに不十分で あると考えられます。

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任意で参加されている医療機関からの報告件数が、報告義務が課せられている医療機関からのそ れよりも随分少ないことは、報告に対する意識の違いを示しているとも考えられ、本事業の運営会 議でも指摘されているところです。また、私が依頼講演に対応するたびに、出席者の皆様に、この 点についてご説明とご協力を依頼しています。同時に、報告件数の増加は、医療機関や医療界の中に、 医療事故情報を外部報告することについて十分な動機が成熟してこそ、件数だけでなく質の高い内 容の報告がなされるという考え方も併わせてご説明しています。つまり、報告件数が少ないことを 問題視するあまり、国がいたずらに報告義務を拡大したり、罰則を課したりする方法で達成される ものではないと考えています。 医療事故報告件数は、医療界が医療安全に積極的に取り組んでいる姿勢が評価されるひとつの目 安になると思われます。その件数に、報告義務が課せられている医療機関と任意で参加されている 医療機関の間に大きな差があることは、必ずしも日常の診療現場の医療安全の努力の実態を反映し ていないのではないかと考えられます。そこで、任意で参加されている医療機関の皆様におかれま しては、報告範囲に該当する事例の適切なご報告に引き続きご協力いただきますように、宜しくお 願いいたします。   表1 医療事故の報告件数 参加形態 年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年 25年 (1 ∼ 9 月) 報告義務 報告件数 1,114 1,296 1,266 1,440 1,895 2,182 2,483 2,535 1,909 医療機関数 272 273 273 272 273 272 273 273 274 任意参加 報告件数 151 155 179 123 169 521 316 347 192 医療機関数 283 300 285 272 427 578 609 653 685 4)報告の現況 「Ⅱ 報告の現況」に示している多くの図表の数値には、毎回大きな変化は見られない傾向にあ ります。本事業は、変化がある場合もない場合も、医療事故やヒヤリ・ハットの現状を社会に継続 的に示し、医療の透明性を高めることに寄与していくことも本事業の役割と考えており、継続して 図表を掲載し、結果をお示ししています。 また、「事故調査委員会設置の有無」「当事者の直前1週間の勤務時間」「発生場所」「事故調査委 員会設置の有無」「事故の概要×事故の程度」など、報告書に掲載していない図表が、ホームページ (http://www.med-safe.jp/contents/report/html/StatisticsMenu.html)に掲載されていますので、ご 参照ください。

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「報告書・年報」のページの 「集計表(Web 掲載分)」をクリック 四半期毎の表(2013年分) 四半期毎の表(2012年分) 年報の表(2012年分) 5)個別のテーマ(108∼200頁) 今回の個別テーマとしては、「血液浄化療法(血液透析、血液濾過、血漿交換等)の医療機器に関連し た医療事故」「医療機関と薬局の連携に関連した医療事故」を取り上げました。通常であれば、この他に 7月から9月に報告された重要な事例をテーマとして設定し、同種事例を過去に遡って、つまり、後方 視的に分析したテーマを設定していますが、今回は7月から9月にシステムが停止していたために、事 例数が少なかったことと、サーバを稼動させて通常のように事例を分析する作業を行うことができなかっ たため設定しておりません。そこでこの機会を利用して、従来から課題であった「医療機関と薬局の連 携に関連した医療事故」を取り上げることとしました。本事業部では、医療事故情報収集等事業のほかに、 薬局で発生・発見したヒヤリ・ハット事例を収集する「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」を実 施しています。その中で、収集された事例や分析結果をみますと、患者にとっては処方から調剤、投薬 という一連の過程にあって、組織の違い、処方せんの作成に関する問題、コミュニケーションの問題、 医薬品の名称類似の問題など、様々な要因によってエラーが発生しており、これらの内容や改善策に関し、 医療機関と薬局との共通理解が形成されることが大変重要であると考えてきました。今年度の後半には、 医療機関と薬局とが参加できる研修会でこの課題を取り上げることも予定していますので、その際の資 料とする意味も込めてこのテーマを取り上げたものです。

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表2 分析テーマ一覧 ①前方視的分析を行うテーマ (テーマを設定後、事例を1年間報告していただき分析するテーマ) ・血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故 ②後方視的分析を行うテーマ (1∼3月に報告された事例の中からテーマを設定し、同種事例を過去に遡って活用し分析するテーマ) ・なし(7∼9月のシステム停止の影響による) ③その他のテーマ ・医療機関と薬局の連携に関連した医療事故 テーマ分析の概要を次に紹介します。 ①血液浄化療法(血液透析、血液濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故  (108∼139頁) 本テーマは、33回報告書から4回にわたり取り上げているテーマであり、今回が3回目になりま す。血液浄化療法は、血液を体外で循環させ、血液中の病因や関連した物質について、半透膜を介し て濾過したり、あるいは材料表面へ吸着したりすることによって除去をする治療法であり、血液濾過 や血漿交換があります。血液浄化療法の対象疾患は、急性腎不全、慢性腎不全はもとより除去対象と なる物質の種類の増加と選択可能な除去手段が増加したことにより、腎以外の臓器不全や多臓器不全、 薬物中毒、さらに自己免疫疾患と多岐にわたっています。そのため、関わる医療者も専門医や透析室 スタッフのみならず、専門以外の内科医や入院病棟スタッフなど多様になっています。 そのような状況にあって、血液浄化療法の実施にあたっては、使用する血液回路、ダイアライザな どの血液浄化器、透析液供給装置などの装置に関する医療事故やヒヤリ・ハット事例が報告されてい ます。関係団体の調査によると、平成23年末の慢性透析患者数は約30万人であり、患者数の推移 が増加傾向にあることから、血液浄化療法を受ける患者数も増加していることが推測できます。この ように対象患者数の増加が予想されることや、血液浄化法により治療を受ける患者の疾患や病態その もののリスクが高いことから、今後も血液浄化法に関する医療事故が増加しうると考えられ、テーマ として取り上げました。 血液浄化療法(血液透析、血液濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故の内容としては、 「バスキュラーアクセス」「血液回路」「血液浄化器等(ダイアライザやフィルタ等)」「装置」の事例 が報告されていますが、これらのうち今回は報告件数が最も多かった「血液回路」と「血液浄化器等 (ダイアライザ、フィルタ等)」に関する事例をテーマとして取り上げました。まず、「血液回路」の事 例の内容をみると、「接続部の緩み・はずれ」「意図しない回路の閉鎖及び開放」「血液回路からの血液 の漏れ及び空気の混入」などの事例がありました。具体的に回路の例を図示したり、その中の接続部 を示したりしてわかりやすく解説しています。また、「接続部の緩み・はずれ」を防止するために、現 在では、ルアーロック式製品が製造・販売されています。「接続部の緩み・はずれ」の事例の多くはルアー ロック式製品でしたので、ルアーロック式製品が普及しているものと考えられると同時に、ルアーロッ ク式製品の使用方法が「接続部の緩み・はずれ」の発生要因となっていることが考えられました。そこで、 ルアーロック式製品による接続のイメージを実際の製品を用いてカラー写真で示しています(122 ∼123頁)。ルアーロック式製品の構造には、ロックするコネクターが動くものと動かないものとが あり、それによって接続の操作が異なります。また、接続時の動きはスリップイン(はめこみ)とルアー

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事例をみると、背景・要因としては、不慣れな医療者による装着や、ダイアライザの種類を同定しに くい管理方法、などが挙げられました。事例の中には、夜間に臨床工学技士が不在の状況で回路交換 の準備を行った際に、持続血液濾過器を装着すべきところ膜型血漿分離器を装着して血圧の低下をき たし、翌日に死亡した事例も報告されました。そこで、改善策としては、夜間の臨床工学技士不在を 解消することなどが報告されています。 血液浄化法装置の回路の組み立てにエラーが生じると、回路の緩みやはずれ、血液の漏出、意図し ない生命に危険を及ぼす可能性があることから、報告された事例の背景・要因や改善を、日々の診療 や看護、血液浄化装置の取り扱いなどの参考にしていただければ幸いです。 図2 ルアーロック式コネクターの接続方法(ロックするコネクターが動くもの) <正しい手順> 1. スリップイン(はめ込み)する 2. ルアーロック(ねじ込み)する <誤った手順> 1. スリップイン(はめ込み)しないで 2. ルアーロック(ねじ込み)する ② 医療機関と薬局との連携に関連した医療事故(140∼200頁) 医療機関と薬局との分業が進み、外来患者に交付する処方せんの多くや、退院する患者の処方せん は、薬局で調剤され、薬が交付されています。そして処方される医薬品には、ハイリスク薬なども含 まれることから、医療機関における処方せんの作成及び、薬局における処方せんの監査などの調剤時 の確認や適切な疑義照会が適切になされることが、医薬品による医療事故の防止のために重要と考え られます。患者にとってはこれらの処方から投薬までの過程は一連の流れですが、実際には、医療機 関と薬局との間で、人や組織が異なることにより、エラーを発見できなかったり、エラーを発見する

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ための情報が不足していたりした事例が報告されています。本事業の第25∼28回報告書では、分 析テーマとして「薬剤の施設間等情報伝達に関する医療事故」を取り上げました。そして、医療機関 −薬局間だけでなく、他施設−当該施設間、部門・部署間、診療科間、診療科−部署間などの、施設 や部署・部門、診療科の間でやり取りされる医薬品に関する情報が、様々な媒体により伝達され、そ れが①伝達されなかった事例、②誤った情報が伝達された事例、③情報伝達が途絶した事例、④伝達 された情報が誤解された事例が報告されていることを示しました。その中で、医療機関−薬局間の事 例は2件あり、それらの内容は、「処方せんの製剤量と有効成分量とを誤解した事例」「薬局の誤調剤 の事例」でした。情報伝達の媒体はいずれも処方せんであり、処方せんの内容が薬局において誤解さ れた事例でした。 そこで本報告書では、引き続き報告されている医療機関と薬局との連携に関する医療事故情報を分 析することとしました。医療事故事例には、「医療機関で正しい処方せんが作成されたが薬局で調剤の 誤りがあった事例」と「医療機関で誤った処方せんが作成されそれに基づき薬局で調剤された事例」 とがありました。特に後者の事例における、意図した処方と誤った処方の組み合わせをみると、医療 事故に至っていることからも、その大半はハイリスク薬の組み合わせの事例でした。また処方せんが 誤っていたけれども疑義照会がなされなかった事例が29事例中20例と大半を占めていましたので、 疑義照会がなされなかった事例で報告された改善策には、医療機関と薬局との連携の強化や連携のた めのシステム作りを挙げるものがありました。このことから、医療機関が薬局の業務について一層理 解を深めることが重要と考えられました。 そこで次に、本報告書を参照される医療機関などの皆様に、薬局の業務や機能についてご説明し、 薬剤の医療事故防止のために薬局に必要な情報や疑義照会への対応の重要性を理解していただくため に、薬局における処方せん受付から調剤、交付及び会計までの業務の流れや、疑義照会がなされる業 務段階を図示して解説しました。また、処方せんや患者インタビューなどを通じて薬局が入手し、薬 局において記録、保管されている患者情報などについても、医療機関が薬局の業務をあまり理解して いない中で、薬局には多くの患者情報が記録、保管されていることを示すために、健康保険法に基づ く保険医療療養担当規則に定められている処方せんの様式に記載されている患者情報や、調剤業務の ひとつである、患者に対するインタビューで聴取するアレルギー歴や副作用歴、併用薬剤などの情報、 薬剤服用歴(薬歴)に記載されている事項などを具体的に示しました。 さらに、医療機関と薬局との連携を深めるために、現在では医療機関向けには十分な情報発信がで きていない、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「報告の現況」の「疑義照会」部分や、テー マ分析の中の「疑義照会に関するヒヤリ・ハット事例」「お薬手法及び薬剤情報提供書に関するヒヤリ・ ハット事例」の分析結果に学ぶことが有用であると考えられることから、「疑義照会に関するヒヤリ・ ハット事例」のうち「用法変更」「用量変更」の事例の分析を、直近の分析結果である、平成24年年 報から改変して掲載しました。「報告の現況」の「疑義照会」部分の集計結果である「疑義があると判 断した理由」からは、薬局が処方せんのエラーを発見する際は、処方せんのみで発見できる事例は少 なく、薬歴やインタビューの内容を活用してエラーを発見していることが分かります。また、疑義照 会の結果、「薬剤変更」や「薬剤削除」となる事例が多いことも示しました。 また、参考として、平成23年年報から「薬剤削除」の事例の分析を、平成22年年報から「分量変更」 の事例の分析を、平成21年年報から「薬剤変更」の事例の分析を、それぞれ改編して掲載しました。 それらの事例の内容や分析結果をみると、医療機関が薬局に提供すべき具体的な情報や疑義照会の意 義がよく分かり、双方の連携の重要性を改めて示す内容になっているものと考えられました。

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かれては、このような事例や分析結果を参考にしていただき、日常診療における処方や監査の体制、 疑義照会への対応に役立てていただければ幸いです。 図3 薬局における調剤業務 ಣᣇ䈞䉖 ⇼⟵ᾖળ ᛩ⮎ 㽲ಣᣇ䈞䉖ฃઃ 䋨䌆䌁䌘䈏వⴕ䈚䈩ㅍઃ䈘䉏䉎䈖䈫䈅䉍䋩 㽳ᖚ⠪䈎䉌䈱ᖱႎ෼㓸䋨䉟䊮䉺䊎䊠䊷䋩䈭䈬 㽴⮎೷᦯↪ᱧ䋨⮎ᱧ䋩 䈱⏕⹺䇮䈍⮎ᚻᏭ䈱⏕⹺ 㽵ಣᣇ⋙ᩏ 㽶᦯↪䈜䉎ක⮎ຠ䈱⺑᣿䇮ᖱႎឭଏ䋨ᓟ⊒ක⮎ຠ䈮㑐䈜䉎ౝኈ䉕฽䉃䋩 㽷⺞೷ౝኈ䈱⏕⹺ 㽸⺞೷⸳⸘䊶⺞೷ 㽹⺞೷䈚䈢ක⮎ຠ䈱⺑᣿ 㽺ක⮎ຠ䈱੤ઃ䇮૶↪ᣇᴺ䈱⏕⹺䇮䈍⮎ᚻᏭ䈱䋨䉲䊷䊦䈱䋩੤ઃ 㽻ળ⸘ 䋨ᔅⷐᤨ䋩⇼⟵ᾖળ ⮎ዪ ⺞೷ ක≮ᯏ㑐 ಣᣇ ᖚ⠪䊶ኅᣖ ౝ᦯䈭䈬 ᖱႎ෼㓸 䋨䉟䊮䉺䊎䊠䊷䋩 6)再発・類似事例の発生状況(201∼228頁) 第17回報告書まで掲載していた「共有すべき医療事故情報」や、今までに提供した医療安全情報の いくつかは、一度情報提供しても、実際には引き続き類似事例が報告されている現実があります。そこ で、「Ⅲ - 3 再発・類似事例の発生状況」では、再び報告があった事例を取り上げ、情報提供前や提供後、 そして現在に至るまでの類似事例の発生件数やその推移、それらの類似事例について医療機関から報告 された具体的な改善策などの内容を掲載しています。 202∼203頁には、過去に提供した「医療安全情報」や「共有すべき事例」「個別のテーマ」の中から、、 本報告書が対象とする本年7∼9月に報告された再発・類似事例の一覧を掲載しています。7∼9月に は長期間にわたりシステムが停止し、その影響で報告件数が減少していますが、その中で「医療安全情報」 の再発・類似事例の件数は、「注射器に準備された薬剤の取り違え」「抜歯部位の取り違え」「PTPシー トの誤飲・PTPシートの誤飲(第2報)」「膀胱留置カテーテルによる尿道損傷」が3件、その他は 1∼2件でした。 次に「共有すべき医療事故情報」の再発・類似事例の件数は、「施設管理の事例」が7件と多く、ついで 「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)」と「病理検体に関する事例」が6件、「体内にガーゼが遺残し た事例」が5件、「ベッドからベッドへの患者移動に関連した事例」「ベッドのサイドレースや手すりに 関連した事例」「歯科診療の際の部位間違いに関連した事例」が4件などでした。

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最後に「個別のテーマの検討状況」の再発・類似事例の件数は、すべて1件ずつの報告でした。 それらの中から今回取り上げたのは、 「湯たんぽ使用時の熱傷」(医療安全情報No.17)(204∼211頁) 「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)」(第11回報告書)(212∼228頁) です。概要を次に示します。 ①「湯たんぽ使用時の熱傷」(医療安全情報 No. 17)(204∼211頁) 医療安全情報 No. 17(平成20年4月提供)では、療養上の世話において湯たんぽを使用した際に、 患者の身体に湯たんぽが接触し熱傷をきたした「湯たんぽ使用時の熱傷」を取り上げました(医療安全 情報掲載件数6件 集計期間:平成18年1月∼平成20年2月)。その中で、事例が発生した医療機 関の取り組みとして、「湯たんぽを使用する際は、身体から離して置く。」ことなどを紹介しています。 さらに第23回報告書においても、分析対象期間内に類似事例が報告されたことを受け、「再発・類似 事例の発生状況」(第23回報告書:122∼124頁 平成22年年報:345∼347頁)の項目に おいて事例の概要、背景要因などを取りまとめました。その後も、毎年1∼3件の報告がなされていま すので、このたび、本報告書分析対象期間(平成25年7月∼9月)においても類似の事例が 1 件報告 されたことを受け、再び取り上げたものです。 取り上げた5事例について、熱傷が発生した直前の患者の状態を分析したところ、患者の意識ははっ きりしていますが、外部の刺激を皮膚、粘膜などの組織にある受容器の興奮により感じる体性感覚が低 下していた状態である「下肢障害」や「上肢障害」の項目や、患者が傾眠、混迷、昏睡など意識レベル が低下していた状態である「意識障害」の項目が多く選択されていました。また、5事例すべてにおい て「意識障害」または「下肢障害」が選択されていました。このように、意識障害や体性感覚の低下し ている患者は特に熱傷の危険性を考慮し、適用や使用方法、観察時間などを検討して患者に使用するこ との重要性が示唆されました。 熱傷を生じた主な背景・要因をみると、湯たんぽを患者に使用した医療者が、身体に直接湯たんぽ を接触させた事例や、直接接触する可能性ができる状態であった事例がありました。それらは、短時間 なので安全と判断して湯たんぽを患者に接触させて使用したり、医療者が湯たんぽをセッティングした 際には、患者に触れていなかったけれども、その後患者が体を動かして湯たんぽに足を接触させて使用 したことが推測される事例でした(14頁、表3)。医療安全情報 No. 17の医療機関の取り組みに挙 げられているように「湯たんぽを使用する際には、患者から離して置く」ように使用することが重要と 考えられました。 また、熱傷の事例の中には、低温熱傷の事例が含まれていました。熱傷は熱源の温度が深く関わり ますが、たとえ低温であっても、熱源である湯たんぽとの接触が長くなると患者の接触部位の知覚の低 下が起こり低温熱傷を起こす可能性があります。そこで、低温熱傷について、独立行政法人製品評価技 術基盤機構から平成21年11月に公表された「低温やけど」の事故防止の注意喚起の内容を紹介しま した。 今回の事例の分析においても、医療安全情報 No. 17(平成20年4月提供)で紹介した、事例が発 生した医療機関の取り組みである、「湯たんぽを使用する際は、身体から離して置く。」ことなどの対策 を周知することが重要であると考えられました。医療機関におかれましては、本分析や、これまでに提 供した医療安全情報などを参考にしていただき、湯たんぽによる熱傷の防止に努めて頂ければ幸いです。

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事例1 ・ 患者は湯たんぽを麻痺側の冷感が強いため、足を 乗せることがあった。 接触できる状態であった ・麻痺側であり、疼痛の訴えはなかった。 事例2 ・ 看護師は、湯たんぽはバスタオルで二重に巻き、 寝衣の上から直接右背部に当てるようにした。 バスタオルで二重に巻いて接触させた 事例3 ・ 看護師は湯たんぽを足元にセットする際に、腹臥 位の状態である患者の足の上に一旦置いた。 直接の接触があった ・湯たんぽは患者の足元から離して置いた。 事例4 ・湯をいれた氷嚢は患者の足元から離して置いた。 離して置かれていた 事例5 ・ 患者の家族が湯たんぽを足元に置いて帰り、医療 者は湯たんぽの使用を知らなかった。 不明 ②共有すべき医療事故情報「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)」(第9回報告書)  (212∼228頁) 「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)」は、第9回報告書対象分析期間(平成19年1月∼3 月)において、療養上の世話以外の熱傷に関連した事例が報告され、「共有すべき医療事故情報」とし て取り上げました。なお、本報告書では「熱傷に関する事例(療養上の世話以外)」を、患者の治療・ 処置の過程において発生する熱傷とし、療養生活において発生する清拭や飲食などの場面における熱 傷と区別しています。本事業では、これまでに、熱傷に関する事例(療養上の世話以外)に関連した 事例の中から、一層注意喚起をするために、医療安全情報「電気メスによる薬剤の引火」(No. 34)、 「MRI検査時の高周波電流のループによる熱傷」(No. 56)、「電気メスペンシルの誤った取り扱いに よる熱傷」(No. 59)、「手術中の光源コードの先端による熱傷」(No. 70)を作成し情報を提供して きました。このたび、本報告書分析対象期間(平成25年7月∼9月)においても、熱傷に関する事例(療 養上の世話以外)に関連した類似の事例が6件報告されたため、本報告書で取り上げたものです。 熱傷に関する事例には様々なものがあることから、平成22年から本報告書分析対象期間に報告さ れた事例は67件あり、熱傷に関連した医療機器や薬剤等および、発生場所と事例の内容を概観しま した。事故の発生場所をみると、「手術室」が多くを占め、「電気メスペンシルの誤った取り扱いによ る熱傷」「電気メスによる薬剤の引火」「手術中の光源コードの先端による熱傷」「ドリル使用時の熱傷」 「バイポーラ使用時の熱傷」「レーザー使用時の熱傷」「対極板や電極に関連した熱傷」「薬剤による熱傷」 などがありました。具体的には次の事例などがありました。 ・電気メスで凝固止血を行っていたところ、吸引管が口唇上下に接触して熱傷を生じた。 ・ウエルパス、ハイポアルコール、酸素使用時の電気メス使用を契機として発火した。 ・ 内視鏡手術時に光源コードのライトを点灯した状態でシーツの上に置いたため、接触部が溶け、 高温によって皮膚に熱傷を生じた。

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・抜歯の際、使用したマイクロドリルが過度に加熱した。 ・バイポーラーの柄が非絶縁性であり、患者の口角に接触した。 ・気管内腫瘍にYAGレーザー焼灼術を施行中、急に発火した。 ・砕石位の手術の際、対極板(金属、アース)を左臀部に貼付した際、すき間が生じた。 ・生理食塩水と取り違え液状フェノールの染みたガーゼで創部を拭いた。 さらに事例のうち、熱傷の原因が発火であることが明記されている事例が9件あり、それらは、電 気メスによる薬剤の引火、レーザー使用時の発火、石油ベンジン使用時の発火、バイポーラーの使用 時に発火、酸素投与中の鍼灸時の発火の事例でした。具体的には次の通りです。 ・ウエルパス、ハイポアルコール、酸素使用及び電気メス使用による発火した。 ・エタノール及び電気メス使用による発火した。 ・電気メスで切開する際、消毒液に含有されるアルコールに着火した。 ・ ステリクロンRエタノール液0.5(0.5%クロルヘキシジン入り、アルコール83%入り)に て皮膚を消毒後、閉創しようとしたが、一部出血があっため、電気メスを使用した際に、創の上 においたガーゼに引火した。 ・パワースターバイポーラシザースを収納しているビニル製収納袋から発火した。 ・気管内腫瘍をYAGレーザー焼灼術を施行中、急に発火した。 ・純酸素で換気を行っているタイミングで気管内レーザー焼却を始め、気管内で発火した。 ・ 創部に貼用していたテープをはがした後、石油ベンジンを浸したガーゼでテープ糊を除去してい た際、突然、そのガーゼが発火した。 ・酸素カヌラを額にずらし鍼灸治療をしていた際に、髪に引火した。 このように、手術室などで、様々な医療機器や医療材料とそれらの使用に関して熱傷が生じており、 それらの中には発火が原因となった事例もありました。目的とした医療が実施されて治療の効果が現 れる一方で、思いがけず熱傷が生じることとなり、その治療が必要となる事態を防ぐために、これら の事例や分析は、医療現場にとって重要な内容であると考えられます。さらに、発火を原因とする事 例は、施設の火災にもつながりかねないものと考えられます。したがって、医療機関におかれましては、 本分析や、これまでに提供した医療安全情報などを参考にしていただき、手術室などにおける熱傷や 発火の事例の防止に努めていただければ幸いです。

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機器 医療機器 電気メス 18 光源(キセノン光源、腹腔鏡の光源、シュトルツ光源、 5    光源付きレトラクタ、光源コード) ドリル(マイクロドリル(歯科)、TPSドリル(歯科)、手術用ドリル) 3 歯科用機器(超音波スケーラ、切削器具用ハンドピース) 2 バイポーラー 3 超音波式ギプスカッタ 2 高周波手術装置 レーザー 2 パルスオキシメータのセンサ 1 アキュラス(眼科用手術装置) 1 ハイパーサーミア治療装置 1 ライトガイド 1 赤外線照射(歯科) 1 人工呼吸回路の熱線 1 パラフィン浴装置 1 鍼灸治療の針 1 その他(滅菌された開胸器が熱かった) 1 医療機器以外 ドライヤー(合成皮膚表面接着剤の乾燥に使用) 1 薬剤 手術創部洗浄液・還流液(高温) 3 石油ベンジン(静電気による発火) 1 電撃傷 14 機器 医療機器 MRI 5 焼灼穿刺針 4 電極パッド 3 除細動器 1 対極板 1 化学熱傷 3 薬剤 フェノール 1 水酸化カリウム 1 水酸化ナトリウム溶液 1 放射線熱傷 1 機器 医療機器 UVB照射用装置 1 合 計 67

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3 ホームページの改修と検索機能の向上 1)事例検索に要する時間の短縮 本事業のホームページの「公開データ検索」のボタンをクリックすると、図4の画面が現れます。 このページ上で、医療事故情報やヒヤリ・ハット事例を閲覧することができます。また、図の下方 にボタンがあり、選択した事例を「XML」「PDF」「CSV」の3つのファイル形式でダウンロー ドすることが可能です。このような事例を参考に、安全な診療、看護、調剤などのマニュアルの整 備や医薬品の表示の改善、医療安全分野の医学的、工学的な研究が行われています。また、医療事 故が発生した場合に、類似事例を閲覧することで、患者の病状の推移や治療方法などの点で参考に なります。 以上の機能は、本事業に参加しておられる医療機関や研究者の皆様、またその他多くの皆様より、 報告書に掲載される事例が多くなり内容も豊富になっているため、Webを活用した事例の閲覧や 検索ができるシステムの開発を望む声を多くいただいてきたことに対応したものです。そしてこの 検索ページでは、本稿執筆時点で医療事故情報約9,900件とヒヤリ・ハット事例約24,000 件が検索できます。しかし、データベースを構築している機器の性能のために、検索速度が遅いと いうご意見をいただいていました。そのため、平成24年度のシステム改修として、新しい機器を 導入しましたので、今年度はこれまでとは比較にならないくらいの速度で検索が終了するようにな りました。 ご報告いただいた情報をこのような形で公表し、それが適切に活用されることによって医療提供 の仕組みやモノの改善が進み、その成果が実感されることによりさらに報告が定着する、といった 医療安全の好循環が生じ、医療界だけでなく我が国の社会において重要な機能として定着していく ことを願っております。

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キーワードの入力 ファイル形式毎のダウンロードボタン 事例概要の選択 2)ホームページの機能追加 本事業のホームページに、①「分析テーマ」と②「再発・類似事例の発生状況」のボタンを追加 しました(図5)。

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図5 本事業のホームページ ①「分析テーマ」のボタン ②「再生・類似事例の発生状況」のボタン 図5の①のボタンをクリックすると、第1∼35回報告書で取り上げた分析テーマについて、テー マのタイトルと該当するページのPDFファイルを閲覧することができます。 図6 分析テーマのページ 第34回報告書 分析テーマ テーマ部分のPDFファイル 第33回報告書 分析テーマ 事業開始後、第1∼35回報告書に掲載したテーマの一覧を次に示します。

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2013 年 146 医療機関と薬局の連携に関連した医療事故 第34回 145 血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故 144 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に 関連した医療事故 143 リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事例 142 胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例 第33回 141 血液浄化療法(血液透析、血液透析濾過、血漿交換等)の医療機器に関連した医療事故 140 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に 関連した医療事故 139 アドレナリンの希釈の呼称に関連した事例 2012 年 第32回 138 MRI検査に関連した医療事故 137 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に 関連した医療事故 136 脳脊髄液ドレナージ回路を一時的に閉鎖(クランプ)したが、適切に開放されなかった事例 135 院内において加工し使用した医療材料や医療機器に関連した医療事故 第31回 134 MRI検査に関連した医療事故 133 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、再開等)での観血的医療行為に 関連した医療事故 132 膀胱留置カテーテル挿入の際、尿流出を確認せずにバルーンを膨らませ尿道損傷を起こした事例 131 採血時、他の患者の採血管を使用した事例 第30回 130 MRI検査に関連した医療事故 129 自己管理薬に関連した医療事故 128 患者持参薬が院内不採用であることに気付かず、薬剤の頭3文字検索で表示された他の薬剤を 処方した事例 127 組み立て方を誤った手動式肺人工蘇生器を使用した事例 126 東日本大震災による影響を一因とした事例 第29回 125 MRI検査に関連した医療事故 124 自己管理薬に関連した医療事故 123 医薬品添付文書上【禁忌】の疾患や症状の患者へ薬剤を投与した事例 122 臨床化学検査機器の設定間違いに関連した事例 2011 年 第28回 121 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故 120 自己管理薬に関連した医療事故 119 術後患者の硬膜外腔に持続注入すべき薬剤を静脈に注入した事例 118 研修医が単独でインスリンの単位を誤って調製し患者に投与した事例 第27回 117 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故 116 自己管理薬に関連した医療事故 115 NICUにおける薬剤の希釈に関連した事例 114 抗リウマチ目的の methotrexate 製剤を誤って連日投与した事例 第26回 113 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故 112 食事に関連した医療事故 111 画像診断報告書の内容が伝達されなかった事例 110 薬剤処方時の検索結果としての画面表示に起因した医療事故 第25回 109 薬剤の施設間等情報伝達に関連した医療事故 108 食事に関連した医療事故 107 医療用照明器の光源により発生した熱傷に関連した医療事故 106 集中治療室(ICU)の入室時の薬剤の指示に誤りがあった事例

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2010 年 第24回 105 病理に関連した医療事故 104 食事に関連した医療事故 103 散剤の薬剤量間違い 102 気管内吸引時使用した気管支吸引用カテーテルに関連した医療事故 第23回 101 病理に関連した医療事故 100 食事に関連した医療事故 99 薬剤内服の際、誤ってPTP包装を飲んだ事例 98 予防接種ワクチンの管理に関する医療事故 97 透析患者に禁忌の経口血糖降下薬を処方した事例 第22回 96 病理に関連した医療事故 95 MRIの高周波電流ループによる熱傷 94 救急カートに準備された薬剤の取り間違い 93 持参薬の同系統代替薬を処方した際の医療事故 92 経過表画面の薬剤量を見間違え、ヘパリンを過量投与した医療事故 第21回 91 病理に関連した医療事故 90 放射線検査に関連した医療事故 89 皮下用ポート及びカテーテルの断裂に関連した医療事故 88 注射器に分割した輸血に関連した医療事故 2009 年 第20回 87 化学療法に関連した医療事故 86 その他の薬剤に関連した医療事故 85 人工呼吸器に関連した医療事故 84 電気メス等に関連した医療事故 83 B型肝炎母子感染防止対策の実施忘れ(HBワクチン接種等) 82 凝固機能の管理にワーファリンカリウムを使用していた患者の梗塞及び出血 第19回 81 薬剤に関連した医療事故 80 人工呼吸器に関連した医療事故 79 ベッドなど病室の設備に関連した医療事故 78 放射線検査に関連した医療事故 77 生殖補助医療に関連した医療事故 76 妊娠判定が関与した医療事故 第18回 75 化学療法に関連した医療事故 74 その他の薬剤に関連した医療事故 73 人工呼吸器に関連した医療事故 72 電気メスなどに関連した医療事故 71 手術・処置部位の間違いに関連した医療事故 70 貯血式自己血輸血に関連した医療事故 69 全身麻酔におけるレミフェンタニル使用に関連した医療事故 第17回 68 薬剤に関連した医療事故 67 医療機器の使用に関連した医療事故 66 ベッドなど病室の設備に関連した医療事故 65 患者取り違えに関連した医療事故

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2008 年 61 ベッドなど病室の設備に関連した医療事故 第15回 60 薬剤に関連した医療事故 59 医療機器の使用に関連した医療事故 58 リハビリテーションに関連した医療事故 57 輸血療法に関連した医療事故 56 手術における異物残存 第14回 55 薬剤に関連した医療事故 54 医療機器の使用に関連した医療事故 53 リハビリテーションに関連した医療事故 52 輸血療法に関連した医療事故 第13回 51 薬剤に関連した医療事故 50 医療機器の使用に関連した医療事故 49 小児患者の療養生活に関連した医療事故 48 リハビリテーションに関連した医療事故 47 輸血療法に関連した医療事故 2007 年 第12回 46 薬剤に関連した医療事故 45 医療機器の使用に関連した医療事故 44 小児患者の療養生活に関連した医療事故 43 リハビリテーションに関連した医療事故 第11回 42 薬剤に関連した医療事故 41 医療機器の使用に関連した医療事故 40 医療処置に関連した医療事故 39 小児患者の療養生活に関連した医療事故 第10回 38 薬剤に関連した医療事故 37 医療機器の使用に関連した医療事故 36 医療処置に関連した医療事故 35 小児患者の療養生活に関連した医療事故 第9回 34 薬剤に関連した医療事故 33 医療機器の使用に関連した医療事故 32 医療処置に関連した医療事故 31 検査に関連した医療事故 2006 年 第8回 30 薬剤に関連した医療事故 29 医療機器の使用に関連した医療事故 28 医療処置に関連した医療事故 27 検査に関連した医療事故 第7回 26 薬剤に関連した医療事故 25 医療機器の使用に関連した医療事故 24 医療処置に関連した医療事故 23 患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故 22 検査に関連した医療事故 第6回 21 薬剤に関連した医療事故 20 医療機器の使用に関連した医療事故 19 医療処置に関連した医療事故 18 患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故 第5回 17 薬剤に関連した医療事故 16 医療機器の使用に関連した医療事故 15 医療処置に関連した医療事故 14 患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故

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2005 年 第4回 13 手術における異物残存 12 薬剤に関連した医療事故 11 医療機器の使用に関連した医療事故 10 医療処置に関連した医療事故 第3回 9 手術における異物残存 8 薬剤に関連した医療事故 7 医療機器の使用に関連した医療事故 6 医療処置に関連した医療事故 第2回 5 手術における異物残存 4 薬剤に関連した医療事故 3 医療機器の使用に関連した医療事故 第1回 2 手術等における異物残存 1 医療機器の使用に関する事故 次に図5の②のボタンをクリックすると、第18∼35回報告書で取り上げた、「再発・類似事 例の発生状況」のテーマについて、テーマのタイトルと該当するページのPDFファイルを閲覧 することができます。 図7 再発・類似事例の発生状況のページ 第34回報告書 再発・類似事例の発生状況 該当ページのPDFファイル 第33回報告書 再発・類似事例の発生状況 第18回報告書から開始した「再発・類似事例の発生状況」で掲載した内容を次に示します。

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2013 年 61 「湯たんぽ使用時の熱傷」(医療安全情報 No. 17)について 第34回 60 「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 10)について 59 共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」 (第13回報告書)について 第33回 58 「製剤の総量と有効成分の量の間違い」(医療安全情報 No. 9)について 57 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について 56 共有すべき医療事故情報「ベッドのサイドレールや手すりに関連した医療事故」 (第13回報告書)について 2012 年 第32回 55 「清拭用タオルによる熱傷」(医療安全情報 No. 46)について 54 「併用禁忌の薬剤の投与」(医療安全情報 No. 61)について 第31回 53 「グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔」(医療安全情報 No. 3)について 52 「輸液ポンプ等の流量の確認忘れ」(医療安全情報 No. 13)について 51 共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」 (第13回報告書)について 第30回 50 「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」(医療安全情報 No. 33)について 49 「抜歯部位の取り違え」(医療安全情報 No.47)について 第29回 48 「薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 4)について 47 「未滅菌の医療材料の使用」(医療安全情報 No. 19)について 46 「皮下用ポート及びカテーテルの断裂」(医療安全情報 No. 58)について 2011 年 第28回 45 「入浴介助時の熱傷」(医療安全情報 No. 5)について 44 「『スタンバイ』にした人工呼吸器の開始忘れ」(医療安全情報 No. 37)について 43 「PTPシートの誤飲」(医療安全情報 No. 57)について 第27回 42 「電気メスによる薬剤の引火」(医療安全情報 No. 34)について 41 共有すべき医療事故情報「施設管理の事例」(第11回報告書)について 40 共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」(第15回報告書)について 第26回 39 「製剤の総量と有効成分の量の間違い」(医療安全情報 No. 9)について 38 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について 37 共有すべき医療事故情報「ベッドのサイドレールや手すりに関連した事例」 (第13回報告書)について 第25回 36 「薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 4)について 35 「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 11)について 34 「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」(医療安全情報 No. 33)について 33 「清拭用タオルによる熱傷」(医療安全情報 No. 46)について 2010 年 第24回 32 「インスリン含量の誤認」(医療安全情報 No. 1)について 31 「人工呼吸器の回路接続間違い」(医療安全情報 No. 24)について 30 共有すべき医療事故情報「眼内レンズに関連した事例」(第15回報告書)について 第23回 29 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について 28 「湯たんぽ使用時の熱傷」(医療安全情報 No. 17)について 27 共有すべき医療事故情報「ベッドからベッドへの患者移動に関連した医療事故」 (第13回報告書)について 26 共有すべき医療事故情報「ガーゼが体内に残存した事例」(第14回報告書)について 第22回 25 「ウォータートラップの不完全な接続」(医療安全情報 No. 32)について 24 「未滅菌の医療材料の使用」(医療安全情報 No. 19)について 23 「アレルギーの既往がわかっている薬剤の投与」(医療安全情報 No. 30)について 22 共有すべき医療事故情報「酸素ボンベ残量の管理に関連した事例」(第17回報告書)について 21 共有すべき医療事故情報「口頭での情報伝達の間違いが生じた事例」(第13回報告書)について 第21回 20 「抗リウマチ剤(メトトレキサート)の過剰投与に伴う骨髄抑制」(医療安全情報 No. 2)について 19 「薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 4)について 18 「手術部位の左右間違い」(医療安全情報 No. 8)について 17 共有すべき医療事故情報「歯科診療の際の部位間違いに関連した事例」(第15回報告書) について 16 共有すべき医療事故情報「施設管理」(第11回報告書)について

(29)

2009 年 第20回 15 「製剤の総量と有効成分の量の間違い」(医療安全情報 No. 9)について 14 「処方入力の際の単位間違い」(医療安全情報 No. 23)について 13 「ガベキサートメシル酸塩使用時の血管外漏出」(医療安全情報 No. 33)について 12 共有すべき医療事故情報「電話による情報伝達間違い」(第10回報告書)について 11 共有すべき医療事故情報「セントラルモニター受信患者違い」(第16回報告書)について 第19回 10 「グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔」(医療安全情報 No. 3)について 9 「間違ったカテーテル・ドレーンへの接続」(医療安全情報 No. 14)について 8 「注射器に準備された薬剤の取り違え」(医療安全情報 No. 15)について 7 「処方表記の解釈の違いによる薬剤量間違い」(医療安全情報 No. 18)について 6 共有すべき医療事故情報「セントラルモニター受信患者違い」(第16回報告書)について 第18回 5 「MRI検査室への磁性体(金属製品など)の持ち込み」(医療安全情報 No. 10)について 4 「誤った患者への輸血」(医療安全情報 No. 11)について 3 「伝達されなかった指示変更」(医療安全情報 No. 20)について 2 「口頭指示による薬剤量間違い」(医療安全情報 No. 27)について 1 共有すべき医療事故情報「禁忌食品の配膳間違い」(第15回報告書)について また、ホームページの「報告書・年報」のボタンを押すと、図8の画面が開きます。従来、この 画面の上方に、報告書類・年報の「本文検索」及び「集計表の検索」と、「集計表のWeb掲載分」 の閲覧ができるリンクを設定していましたが、これらをボタンのデザインに変更し、さらに「分析 テーマ」と「再発・類似事例の発生状況」のボタンも併せて設置しました。 図8 報告書・年報のページに新設したボタン

1. 検索  ①本文検索  ②集計表検索 2. 閲覧  ③集計表(Web 掲載分、報告書非掲載分を含む)  ④分析テーマ  ⑤再発・類似事例の発生状況

(30)

医療事故情報収集等事業では、平成17年年報より英訳版を作成し、ホームページを通じて公表し たり、海外からの訪問者の方々に差し上げたりして、事業の内容や成果の周知に活用してきました。 本年3月28日に、平成23年年報の英訳版である、「Project to Collect Medical Near-Miss/Adverse Event Information 2011 Annual Report」を公表いたしました。この内容は、ホームページで閲覧、 ダウンロードできるとともに検索のページ(報告書類・年報検索 Full Text Search:http://www. med-safe.jp/reportsearch/SearchReportInit)より、英語による検索が可能です。

そ の よ う な 情 報 発 信 を 続 け て お り ま し た と こ ろ、 平 成 2 2 年 9 月 に 台 湾 の Taiwan Joint Commission より「2010 International Patient Safety Reporting System Conference(2010 病人安全 通報國際研討會 ) in Taiwan」に、また、平成23年11月には中華人民共和国衛生部より「2011 China-ASEAN Forum on Reform and Administration of Public Hospitals」にご招待を受け、本事業や 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業、産科医療補償制度について講演させていただきました。ま た、平成23年6月5日には、東京大学と King s College London(英国)の医療安全及び医療サー ビスの質に関する研究センター(Patient Safety and Service Quality Research Centre, PSSQ, King s College London)が共同し東京大学で開催された、日本と英国の医療安全推進活動の状況に関する ワークショップ(東京大学医学部附属病院・22世紀医療センター主催、東京大学大学院医療安全 管理学講座共催)である「国際会議報告∼医療安全推進日英共同ワークショップ∼ Anglo-Japanese collaboration for Improving Patient safety」や、平成24年9月12日に、東京大学政策ビジョン研 究センターの主催により開催された国際シンポジウム「立場や価値観の違いを超えて 患者の安全の ための合意形成を考える」でも講演させていただきました。それらの機会に、各国の特に先進的で指 導的な医療機関や大都市の医療機関では、同じような取り組みを行っていることや、相互に参考とす べき情報が多いことが改めてよく分かりました。 そこで現在では、本事業の年報の英訳版だけでなく、医療安全情報の英語版も作成して、それらを 海外に向けて情報提供しています。本年3月には、新たに医療安全情報 No. 60∼71の英語版を公 表しました。それらは、本事業のホームページの英語のページ(http://www.med-safe.jp/contents/ english/index.html)に掲載しておりますので、機会がありましたらご活用いただければ幸いに存じま す。No. 72以降の医療安全情報も英訳作業が終了次第公表の予定です。

また、平成22年11月に、カナダの Canadian Patient Safety Institute (cpsi-icsp) がWHOと行う 共同プロジェクトである「Global Patient Safety Alerts」において、本事業の成果物を世界的に共有す ることのご依頼をいただいたことから、そのプロジェクトを通じた情報発信も続けています。同プロ ジェクト「Global Patient Safety Alerts」のホームページの協力団体には、本財団の名称を掲載してい ただいており、同時に、医療安全情報英語版へのリンクを作成していただいています。さらに最近では、 同ページに付された、アラートのキーワード入力による検索機能や、分野別のアラートの閲覧機能に よっても本財団の医療安全情報が検索、閲覧可能になりました(図9,10)。これにより、本事業の 英語のホームページの他に、「Global Patient Safety Alerts」のページの協力団体のページや検索機能 を通じて、医療安全情報英語版の内容が世界から閲覧されることとなっています。

(31)

図9 Canadian Patient Safety Institute(cpsi-icsp)のホームページ 協力国リスト 医療安全情報 (英語版)の 国際的な共有

Japan,Australia,

Canada,Denmark,

Hong Kong,

England and Wales,

European Union,

United States

(32)

「MRI」と入力

JCQHCの 医療安全情報 No. 10 「MRI検査室への磁性体 (金属製品など)の持ち込み」

参照

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