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日本の積雪堆積環境データーベースについて

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(1)

日本の積雪堆積環境データーベースについて

著者 石坂 雅昭, 小林 敏一

雑誌名 富山市科学文化センター研究報告

18

ページ 31‑42

発行年 1995‑03‑25

URL http://repo.tsm.toyama.toyama.jp/?action=repos itory̲uri&item̲id=658

(2)

日本の積雪堆積環境データーベースについて*

石 坂 雅 昭 富山市科学文化センター

小 林 敏 一 富山コンピュータ専門学校

〒930富山市奥田町9‑34

DataBaseofSnowCoverEnvironmentsinJapan

MasaakilSHIZAKA ToyamaScienceMuseum

ToshikazuKOBAYASHI ToyamaComputerVocationalSchool 9‑34,Okuda,ToyamaCity,Toyama,930Japan

AdatabaseofsnowcoverenvironmentsinJapanisconstructedusingmeshclimaticdata developedbyJapanmeteorologicalagency・Thedatabaseincludethefollowingitems,iea coderelatedtolocationofareglononlkmmeshmap,snowtypesandclimaticelementso;

meshclimaticdatainthewinterseason.Typesofsnowcoverareclassifiedintofour categories(Ishizaka,1995).Thevarewetsnow,drysnow,Intermediatesnowanddepthhoar type、TheclimaticelementsaremonthlvmeantemDerature(average,minimum,and maximumrespectively),monthlvmaximumsnowdepthandmonthlyaverageamounto#

precipitationbetweenDecemberandMarch,Moreover,averagealtitudeofeverylkm meshregionareaddedinthetables,

Wecouldderiveusefulinformationaboutsnowcoverenvlronmentsfromthedatabase・

Thereforethedatabasewillbeofuseinmanypartsofactivities,forexampledefenseso章 snowdisasters,usageofsnowandplanningofinventsinthewinterseason,Themesh climaticmapsofcharacteristicsofsnowcoverenvironmentsinJapanshowninthisarticle isoneofthefruitfulresultsofutilizationofthisdatabase,

Keywords:meshclimaticdata,wetsnow,drysnow,snowtype,regionalcharacteristics

日本列島の積雪地域の堆積環境を雪質という観点から検討し,雪質を加えて雪環境データーベ ースを構築作成した。雪質はその地方に特徴的な積雪の質をもって代表させた。すなわち,日本 の積雪地帯の堆積環境を「湿り雪地域」「乾き雪地域」「しもざらめ雪地域」,そして,湿り雪地域 と乾き雪地域の中間的な性格を有する「中間地域」の四つの地域に区分した。この区分の際には,

気象庁が国土情報整備事業により作成した全国1kmメッシュの気候値を使い,区分の基準とな る気候値を定め,このメッシュ気候値を利用して,全国の未観測地点の雪質を推定した。この結 果,全国の積雪地帯について,1キロメッシュの単位で雪質が求められた。これらの雪質のデー タに,その他の雪環境を規定すると考えられる積雪深,気温,降水量,さらに標高などの地形デ ータを加えて雪環境データベースを作成した。データベースは,雪対策,雪利用,雪のイベント

*富山市科学文化センター研究業績第153号

3Z

(3)

石 坂 雅 昭 ・ 小 林 敏

などに対する有用な情報を提供できることが期待できる。ここでは,データベースの概要とそ 三 から得られた日本の雪質地図について述べる。

キーワード:雪質,湿り雪,乾き雪,メッシュ気候値,積雪地域特性

は じ め に

日本列島の日本海側は,冬季には寒冷な大陸と暖流の 流れる日本海の影響をうけ,世界でも有数な積雪地帯と なっている。また,この特殊な地理的条件は,日本列島 の特に北緯40度以南の東北,北陸,山陰の平野部を,比 較的温暖な気温のもとで多量の雪が降る世界でも珍しい 地 域 と し て 特 徴 づ け て い る 。 そ こ で , こ の よ う な 温 暖 な 気候下で降り積もる雪を,寒冷な北海道などの雪と区残 して,「暖候地積雪」あるいは,「暖地性積雪」と呼ぶこ とがある(伏見,1983)。こうした世界的に見ても特殊な 積雪地域を含めて,南北に長く,気温差の大きい日本列 島の積雪の堆積環境は多様である。そのため,積雪の諸 '性質を知るために,日本の各地で定点観測や広域の積雪 調査が数多く行われてきた。例えば,中村(1979)は,

日本列島の北から南の4都市と蔵王の山岳地帯でのほぼ 同時期の積雪断面観測から,南北の気温差による積雪の 層構造の違いを示している。河島他(1987)は,1986年 2月に日本海沿岸地域で広域の積雪同時観測を行い,日本 海平野部の積雪の定量的な堆積環境区分を行っている。

北 海 道 の 積 雪 の 地 域 特 性 に つ い て は , 秋 田 谷 ・ 遠 藤

(1980,1982)が特にしもざらめ雪の発達する地域に注 目して,数年間にわたる調査の結果から明らかにしてい る。また,東北地方では,犬丸他(1993),梶川・武田

(1986),卜蔵(1989),佐藤・道上(1972)の調査など が,また,新潟平野では,和泉(1982)及び武田(1994)

などの広域の調査や林業試験場十日町試験地防災第一研 究室(1987),長岡雪氷防災実験研究所(国立防災科学技 術センター,1984)などの定点観測などがある。

一方,対馬(1984)は,積雪内の雪質に注目して,地 理的,気候的な観点から,北海道をしもざらめ雪としま

り雪で,東北地方をしまり雪とざらめ雪で,北陸地方を ざらめ雪で特徴づけ,日本の積雪の地域的な特徴をこの

3タイプに分けている。

これらの広域での積雪特性を明らかにする諸研究では.

積雪特性を観測などから求める場合は,その結果が定量 的で具体的であるという利点を持ちながらも,その地域 や時間が限られるために,気候的な特徴を抽出するにい たらない場合が多く,また一方,気候的,あるいは地理 的に見たときは,生活実感を反映したわかりやすさがあ るが,積雪特性の客観的な基準がないという問題を含ん でいた。

そこで,筆者の一人石坂は,「暖候地積雪」を「湿り雪」

と呼び,湿り雪が支配的な地域を「湿り雪地域」として.

その他の「乾き雪地域」を含め,日本における積雪の堆 積環境の気候的な区分を行った(石坂,1995)。その際,

気象庁が国土情報整備事業により作成した全国1kmメ

表 l 積 雪 の 堆 積 環 境 の 区 分 と そ の 推 定 法

区 分

湿り雪地域

中間地域

乾 き 雪 地 域

し も ざ ら め 雪 地 域

定 義 | 積 雪 層 構 造 の 特 徴 ( 厳 冬 期 ) | 主 な 変 態 過 程 | 気 候 値 か ら の 推 定 全期間をとおして積雪

のほぼ全層 が 水 を 含 む 湿った状態で経過する 積雪地域。

その冬の気温によって 湿り雪になったり乾き 雪になったりする地域=

積 雪の全 層 が 厳 冬期 に はほぼ乾 い た 状 態で 経 過 す る 積 雪 地 域

しもざらめ雪が発達す る積雪地域。

雪温は特に冷え込んだ日の表 面付近以外は,全層0℃で推 移し,上部融雪水によるざら

め化が激しい。

その冬の気温によって湿り雪 の特徴を持ったり,乾き雪の 特徴を持ったりする。

雪温はマイナスのことが多く、

乾きこしまり雪,乾きしまり 雪の層が長く保存される。

積雪内の温度勾配が大きく,

しもざらめ雪が発達し,脆弱 な積雪を形成。

32

温暖変態 (全冬期間)

温 暖 変 態 (高温時〉

寒冷変態 (低温時〉

寒冷変態 (厳冬期〉

温 度 勾 配 に よ る 寒冷変態

(厳冬期〉

1月の平均気温>0.3.亡

0.3.C>1月の平均気温>−1.1°C

1月の平均気温く−1.1℃

1月と2月の平均気温の平均が負 R=().339(H1/T)L21.(H2)021 R<8(kg)の地域

ここで,H1:1月と2月の晶深祇雪の平均値 I‑I2:2月と3月の最深祇雪の平均値 T:1月と2月の平均気温の平均の絶対値

(4)

ツシュの気候値を使った。その詳細は,別の文献(石坂.

1995)に譲るとして,ここでは,メッシュ気候値を使っ て求めた日本の雪質分布の概略を示しながら,合わせて その際に使ったデータベースについて述べる。このデー タベースは,本論でも述べるように,積雪のみならず,

雪国の冬の環境を考える場合に利用価値が高いとものと 考えられる。日本の積雪の堆積環境の気候的な区分も,

大きくみればこのデータベースから得られる情報の一つ にすぎないともいえる。したがって,今後はこのデータ ベースを使って,積雪地帯の冬の環境を考えるのに有用 な情報を探っていきたいと考えている。

積 雪 の 堆 積 環 境 の 気 候 区 分 の 方 法

データベースを特徴づける重要な要素である雪質は,

積雪の堆積環境の気候的な区分に基づいて,その地方の 積雪の質の特徴を表したものである。日本の積雪地帯に ついて,1キロメッシュの単位で,積雪量や気温の他に この雪質が付与される点が,本データベースの特徴であ る。堆積環境の気候区分は,石坂(1995)が求めた表l に示したものである。以下にその概略を述べる。

雪は一冬季を通じてさまざまな気温のもとで降り積も る。例えば北海道は気温が低いため,乾いた雪で特徴づ けられるとしても,冬の始まりの雪はまだ気温が高く北 陸の湿った雪の様相を呈する。したがって,その地域の 積雪の特性を考えるには,ある時期の積雪の性質ではな く,一冬季を通じた積雪の性質を特徴づけなければなら ない。そこで,まず温暖な気候帯で雪が降る「湿り雪地 域」を「一冬季を通じて,積雪のほぼ全層が水を含み,

温暖変態過程が支配的な積雪で特徴づけられる地域」と 定義する。すなわち,湿り雪地域の積雪は,その地方が 1年の中で最も寒い時期でも,雨や日射,あるいは気温 の影響により,積雪の上面から積雪内部に水が浸透し,

積雪全層が0℃に保たれている。上部からの融雪は,雨 が降るか降らないかを含め主に気温によって左右され,

雪の深さには直接影響されないと考えられる。次に,こ れより気候的に寒冷な地域を「乾き雪地域」とする。た だし,乾き雪地域の中でも,寒冷で雪が比較的少なくし もざらめ雪がよく発達する地域を「しもざらめ雪地域」

とした。しもざらめ雪地域の推定法は,秋田谷・遠藤

(1982)が求めた推定式に,気候値を代入したものから 求めた。ただし,彼らの式には,2月末の積雪が変数と してはいっているが,気候値にそのような値はないので.

2月の最深積雪と3月の最深積雪の平均値を代わりに用 いた。また,積雪観測による湿り雪地域と乾き雪地域の 境界の気温の推定および,メッシュ気候値が含む誤差を

0,ざ‐

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考慮して,湿り雪から乾き雪の境界領域として両者の「中 間地域」を設けている。湿り雪地域と乾き雪地域,およ び中間地域は,1月の平均気温の気候値を使って区分し たが,その値は中部地方の積雪調査(黒田・石坂,1988)

によって求めたものである。

以上の定義からわかるように,これらの地域区分は雪 質で表現された冬の気候区分と言える。したがって,「湿 り雪地域」は,「湿り雪気候区」と言いかえることも可能 であるが,一般の気候区のように1年を通じての気候的 な特徴ではないので,ここではそう呼ばなかった。

メ ッ シ ュ 気 候 値 に つ い て

メッシュ気候値は,国土庁がまとめた国土数値情報を もとに,未観測点の気候値を推定したものである(気象 庁観測部,1988)。基礎資料は,観測地点の気候値(累年 平均値)と地形因子である。観測された気候値と観測点 の地形因子を数量化したものの問で多変量解析を用いて 重回帰式を求め,他の未観測点に適用したものである。

その作成原理は,上記の文献よりとって図1に示した。

時間スケールの短い,時,日,あるいは旬単位の気象値 は,地形の影響よりも,その時の気圧配置や擾乱の規模 経路などの影響されやすいのに対して,長い期間の累年 平均としての気候値は,地形要因によって説明しやすい という点を考慮して作成されたものである。地図上での

観測点のあるメッシュ 観測点のないメッシュ

気象観測価

(気候値)

地 形 の 特 徴 (地形因子〉

地形の特徴 (地形因子)

関係式 (軍Inl帰式}

任意メッシュに適用国|

画 1

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気 候 値

図lメッシュ気候値の作成原理(気象庁観測部(1988)より〉

(5)

石 坂 雅 昭 ・ 小 林 敏 一

値は,統計処理による未観測地での気候値の推定なので。

例えば気温で0.5〜0.6℃程度の誤差を含むことや,

山岳部に観測点が少ないことなどの問題点をもっている ことを考慮しなければならない。しかし,現状では未観 測点の気候値に関する均質で一定のレベルの精度を持つ データである(気象庁観測部,1988)ので,現時点では、

この気候値が日本の気候を数量的に把握するもっとも標 準的なものと考えられる。

位置は,国土数値情報の「標準メッシュ体系」によって いる。すなわち,一定の緯度経度で地域を網の目のよう に区分する方法であり。経度差1度,緯度差40分で区画

したのが第一次メッシュであり,それを縦横8等分した ものが二次メッシュ,三次メッシュはさらにそれを10等 分した区画である。一次区画は,日本の中央部で80km×

80km,二次区画は,10km×10km,さらに三次メッシュ では,1km×1kmの区画になり,8桁のコードで3次メッ シュまでの区画を指定する方法がとられている。気候値 は,この三次メッシュの単位で未観測地点の月平均気温 や最深積深などが求められている。ただ,メッシュ気候

デ ー タ ベ ー ス の 構 造

図2は,データベースの構成の概略を示したものであ

デ ー タ

認i職職雛

メッシュ気候値(12,1,2,3月

(平均気温,最高気温,

最低気温,月最深積雪)

メッシュ標高データ(全国)

デ ー タ ベ ー ス 化

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図 2 デ ー タ ベ ー ス と そ の 周 辺 系

34

(6)

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画湧垂蝉画幽調

画辱垂理室唖幹

匡騨垂嘩唾出騨

翠謹室出塞幽諦

垂嘩垂宰唾壁毎

垂錘塞翠審理毎

厘唖垂函垂唖韓

垂斡垂嘩函範毎

垂率垂蝉垂麺諒

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唾嘩唾出垂嘩臨

画蝿垂埠亜蝉韓

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唾湧垂蝉唾塑稗

皿率垂唾壷牽露

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田醒唾唾垂翠密

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図 3 デ ー タ ベ ー ス の 構 造

る。データベースには,三次メッシュの単位,すなわち 1キロメッシュの単位で,地点コード,そこでの気候値 の情報,さらに本研究で得られた雪質の区分,標高デー タ な ど が 納 め ら れ , U N I X 上 の デ ー タ ベ ー ス ソ フ ト

(imfomix)を用いて検索が行われるようになっている。

基本的な問い合わせは,unix上で行われるが,後で 示す雪質分布図などの画像出力は,データベース上での 検 索 に よ っ て 得 ら れ る デ ー タ 群 を ハ イ パ ー カ ー ド に よ っ てパソコン上に画像情報として出力させたものである。

データベースに取り込まれている要素は,気候値として.

12月から3月までの各月の最深積雪,最低,最高,平均気 温の各月の平均,月降水量などであり,これに雪質情報 と地点標高が加えられている。これらの要素が,全国の 1キロメッシュ単位の地点ごとに求められ,各レコード を形成している。その構成は,図3に示したとおりであ る。本データベースでは,雪質の情報と他の数値情報乞 全国1キロメッシュ単位で参照することが可能であり,

日本の雪環境の特徴を明らかにする上で,有力な手段と なり得るものである。次に,その利用例を示す。

して示してある。すなわち,1キロメッシュごとの値25 個をひとまとめにして,その中で一番多い雪質でその地 域を代表させた。しかし,しもざらめ雪地域は,特に本 州 に お い て 盆 地 な ど の 狭 い 地 域 に と び と び に あ ら わ れ る ので,上のような表記では,かなりの部分が消えてしま う。そこで,しもざらめ雪地域だけは,その分布の様子 を見るために,5キロにまとめられた中に1カ所でもし もざらめ雪地域があれば,そこはしもざらめ雪をもって 代表させた。ただし,メッシュ気候値のうち,月最深積 雪の気候値は,図中に示したように,九州,四国の全域.

東海・関東の大部分,紀伊半島などが,気候値算出の対 象外地域(気象庁観測部,1989)となっているので,こ れらの地域は除外されている。また,対象地域は,12月 から3月のいずれかの月の最深積雪の気候値が,10cm以 上の値をもつ地域とした。積雪を小さい値にしたのは,

寒 冷 で 雪 の 少 な い し も ざ ら め 雪 地 域 を 明 ら か に す る た め で あ る 。 図 4 − 2 か ら 図 4 − 5 ま で は , 5 キ ロ に ま と め ず,1キロメッシュの単位で表現したものであり,かな

り細かい範囲の雪質の違いがわかる。

日本全体で見ると,日本海側の湿り雪地域は,平野で は 庄 内 平 野 よ り 北 に は ま と ま っ て は 分 布 し な い 。 こ れ よ り北では,本庄市から秋田市の海岸部にわずかにみられ いったんとぎれて,男鹿半島の海岸部に分布する。男鹿 半島より北には湿り雪地帯は陸部にはなく,北海道の渡 島大島に分布するのみである。男鹿半島及び大島は,対 馬暖流の影響をうけていると推定される。こうした特殊 な島をのぞくと,湿り雪地帯は,北緯40.以南に限られ 南 に い く に し た が い そ の 分 布 も 山 間 部 に 広 が っ て い く こ デ ー タ ベ ー ス の 利 用

1.日本の雪質分布図

データベースを利用して,日本の積雪の気候的な特性 を 考 え た 雪 質 分 布 を 求 め た の が 図 4 − 1 か ら 図 4 − 5 で ある。図4−1は,既に石坂(1995)が発表したものと 同 一 の 日 本 の 全 体 の 分 布 を 表 し た も の で あ る 。 メ ッ シ ュ 気候値は,ほぼ1キロ四方の範囲で個別の気候値が求め られているが,ここでは5キロ四方をまとめて一区画と

3E

地域コード 平均気温

12

最高気温

12

最低気温

最 深 積 雪

12

降 水 量

12

標 高 雪 質

(7)

凡 例

繍禰湿り雪地域

職3乾き雪地域 蕊蕊中間地域

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石 坂 雅 昭 ・ 小 林 敏 一

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図4−1メッシュ気候値をもとに推定した日本の積雪の堆積環境

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1キロメッシュ単位で求めた雪質分布(北海道)

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石 坂 雅 昭 ・ 小 林 敏 一

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図 4 − 3 1 キ ロ メ ッ シ ュ 単 位 で 求 め た 雪 質 分 布 ( 東 北 琴

39 凡 例

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石 坂 雅 昭 ・ 小 林 敏 一

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134

図 4 − 5 1 キ ロ メ ツ シ ユ 単 位 で 求 め た 雪 質 分 布 ( 山 陰 琴 凡 f l

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中 間 地 世

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(12)

この場合は簡単に,同じ雪質をもちほぼ同じぐらいの積 雪におおわれる地域とする。すなわち,富山市は湿り雪 地域に属するので,湿り雪地域に属して,かつ富山市と

1月の最深積雪がほぼ同じ地域を探すという場合を考え てみよう。富山市の1月の最深積雪の気候値はおよそ70 cmであるから,ここでは幅をもたせて,積雪が50〜100 cmとしてみる。すなわち,データベース上から,雪質が 湿り雪で,かつ1月の月最深積雪が上記の値を選ぶので ある。図5はその結果選ばれた地域を地図上に示したも のである。このようにして,富山市と同じ雪問題が生じ るだろうと予想される地域を具体的に絞り込むことが定 能になる。その結果,例えば雪の少ない新潟市のほとん どは,この範晴に入らないことなどがわかる。同じよう とがわかる。しもざらめ雪地域が広く分布するところは

北海道の東部の十勝,釧路,網走,および勇払平野であ る。本州では,長野県の軽井沢を含む佐久地域に比較的 広い分布域がある。また,狭い分布は他の盆地にも見ら れる。北海道の内陸では,上川盆地と富良野盆地,本州 では,岩手県の北上盆地,山形盆地,松本盆地,その他 長野県や山梨県に散在している。

2.類似した雪環境の地点の分布を求める

データベースの利用の他の例として,類似した雪環境 の地点の分布を求めた例を示す。例えば富山市と同じ雪 環 境 を 持 つ 地 域 を 日 本 の 積 雪 地 帯 方 か ら 選 ぶ と い う こ と

を考えてみる。雪環境をどのように定義するかによるが.

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富山市と同じ雪環境と推定される地域

データベース上で,湿り雪地域で1月の最深積雪が50〜100cmの地域を検 索したもの。

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(13)

石 坂 雅 昭 ・ 小 林 敏 一

な雪環境を持つ地域は,災害の問題でも,また雪利用の 点でも,雪祭りなどのイベントを行う点でも,共通の議 論が可能になる。すなわち,このような数値情報によっ て,きめの細かい雪対策が可能になるのである。

データベースの利用としては,この他,雪質の地域残 の積雪の荷重などを観測値と比較して推定したり,同じ 雪質の地域の中での積雪量の差を検出したりすることも 可能である。

ま と め

メッシュ気候値を利用して,雪質を含めた日本の積雪 の堆積環境をデータベース化した。雪の堆積環境のうち 雪質については,「乾き雪地域」,「湿り雪地域」,及び「し もざらめ雪地域」,及び湿り雪と乾き雪の「中間地域」の 計四つに分けた。このデータベースを用いて,日本雪質 分布図や類似雪環境地域の推定などが行えることを示し た。気候値をもとにした雪環境データベースは,長い年 月 に わ た る そ の 地 方 の 雪 環 境 を 対 象 に し て い る こ と に な るので,その地方の自然条件と人間生活などを考える上 で重要な役割を果たすことが期待できる。また,災害や 雪の利用についても,同じような雪環境のところでは,

同じような対策や試みが可能になることを考慮すると,

本データベースを利用して,対策や取り組みを同じよう にできる地域を即座に抽出することが可能である。この ように本データベースから得られる有用な情報はここで 示した例に限らずまだ多くあると考えられるので,今後 とも有用な情報の抽出に取り組んでいきたいと考えてい

謝 辞

メッシュ気候値の利用にあたっては,川嶋浩二氏をは じめ気象庁観測部にお世話になった。国道41号線に沿う 積雪調査は,富山市教育センターの黒田久喜氏と共に行 ったものである。図表の作成については,富山市科学文 化センターの石井佐代子氏に協力していただいた。以上 の方々に心から感謝申し上げる。なお,この研究の一部 は , 文 部 省 科 学 研 究 補 助 金 ( 奨 励 研 究 ( B ) 課 題 番 号 01916014)から支出された。

文 献

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秋田谷英次・遠藤八十一,1982.北海道内平地における積 雪特性,昭和54〜56年度北海道大学特定研究経費研 究成果報告書,1−17.

42

秋田谷英次他,1993.中国黒竜江省夢北県の積雪と気象観 測,低温科学物理篇,52,51‑61.

卜蔵健治,1989.青森県の降雪,積雪特性に関する研究,雪 氷,51,49‑54・

遠藤八十一・秋田谷英次,1983.札幌市の平地積雪断面測 定資料報告昭和57‑58冬期,低温科学物理篇(資料 ),42,17

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12.

参照

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