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雑誌名 東京家政大学生活科学研究所研究報告

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Academic year: 2021

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自主研究 糸つむぎ等による造形ワークショップの 実践と教育的意義の考察

著者 田中 千賀子, 岡本 恵

雑誌名 東京家政大学生活科学研究所研究報告

巻 39

ページ 95‑96

発行年 2016‑07

出版者 東京家政大学生活科学研究所

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009994/

(2)

糸つむぎ等による造形ワークショップの実践と教育的意義の考察

̶ 95̶

《自主研究》

糸つむぎ等による造形ワークショップの実践と教育的意義の考察

田中千賀子 *  岡 本   恵 *

A Practical Report of Educational Significance of Spinning Workshop

Chikako TANAKA, and Megumi OKAMOTO

1. は じ め に

本研究は、生活に不可欠な衣食住のうち「衣」に着目 し、糸つむぎによる造形ワークショップを実践し、参加者 に対する学習の効果や、教育上の意義について考察するも のである。現在アクティブ・ラーニングが推奨されるな か、学習者の主体的な学びを促進するために、日常生活に おいても個々の興味、関心を引き出し、援助していくこと が求められる。造形ワークショップは、作品の完成度の高 さや目的達成だけに焦点を絞らず、制作のプロセスにおい て、ひとりひとりの気づきや学びを引き出せるもので、ま さにこうした学習者の主体性を尊重できる活動として期待 されるものである(文献1))。そこで本研究では、素材に 五感をつかって触れあい、糸や布を用いて、自らの手でモ ノを作り上げていくような、「衣」に関わる造形ワーク ショップを企画し、実施と考察をおこなった。

2. 方   法

造形ワークショップを2回実施し、素材に触れ、糸をつ むぐ体験などにおける制作プロセスを重視した活動をおこ なった。活動の評価については、参加者や保護者に対する アンケートやインタビュー、また活動を促進するファシリ テータへのインタビューを参考にした。こうした意識調 査、活動や完成作品の記録については、主に田中千賀子が 担った。また活動中に参加者にアドバイスしたり、援助し たりするファシリテータ役は、主に岡本恵が担った。岡本 は、造形表現学科織物研究室の助教としてテキスタイルな どを専攻する一方で、2014年度の温故知新プロジェクト では結城紬に関する研究をすすめてきた(文献2))。

第1回目は「つむぎワークショップ」で、4月30日に東

京家政大学「森のサロン」にて、幼児約20名と保護者に 対して実施した。羊毛を材料にして感触などを味わいなが らアクセサリーなどをつくった。当日は、森のサロンのス タッフにも補助をお願いした(図1)。

第2回目は「藍染め&納涼空間つくり」で、8月22日 に長野県東御市梅野記念絵画館でのアートプロジェクト

「アートチャレンジ&スケッチ大会」の一環としておこ なった。来場者に手ぬぐいなどを藍染めしてもらい、それ を飾って空間を作り上げた。当日は、造形表現学科2年生

の2名に補助をお願いした(図2、図3)。

3. 考   察

つむぎワークショップにおいては幼児には感覚としての 記憶をあたえ、保護者には日常生活において身近にある道 具や衣服に対する興味を喚起させることができたと考え る。ワークショップ実施後の保護者に対するアンケートで は、はじめておこなったことに対する驚き、子どもが楽し

〔東京家政大学生活科学研究所研究報告 第39集,p. 95〜96, 2016〕

* 東京家政大学(Tokyo Kasei University)

図1 森のサロンでのつむぎワークショップ

図2 屋外での藍染めワークショップ

(3)

田中千賀子 岡本 恵

̶ 96̶ そうな姿がみられてよかったという感想のほか、保護者自 身もまたはじめておこなったことに対して驚き、楽しめた という感想が複数みられた。ファシリテータの視点から も、保護者が興味をもって取り組むことが、子どもの活動 への関心を高め、促進するために有効であることが確認さ れた。幼児に対するワークショップでは、安全に関する配 慮を道具、環境の面で十分に整えれば、積極的にチャレン ジさせ、活動を促進させることが可能であることが確認で きた(成果発表1))。

「藍染め&納涼空間つくり」では、自然豊かで開放感の

ある屋外で実施することによって、藍染め作品を使った空 間が即興的につくりあげられた。普通の作品作りには無い 臨場感によって参加者の関心を高めたと考えられる。また スタッフとして参加した学生は、自分の発言や態度で、参 加者の活動の仕方が変わることを実感し、いかに参加者の

楽しみや喜びを引き出せるかを考慮することが出来たと述 べており、ファシリテーションに対する理解が進んだと考 えられる(成果発表2))。

活動当初は、参加者本人に対する学びの効果を考察する ことが主な目的であったが、活動を重ねる中で、ファシリ テータの能力の変化や保護者の役割重要性などを確認でき たことは特筆すべきである(成果発表3))。主体的な学習 を支えるために、学習者を取り巻く周辺の教育者の質的向 上、環境の整備は不可避である。ワークショップの実施を 重ね、実践者、教員、保護者などのファシリテータ能力が 向上していくことは、こうした教育体制つくりの意味でも 結果的に教育上の意義をもつと考えられる。

成 果 発 表

1)(口頭発表)田中千賀子「美術教育からみる〈幼〉と〈老〉」

総合人間学会第10回大会(於津田塾大学)2015年6月.

2)(報告書)田中千賀子,岡本 恵「幼児に対する造形ワーク ショップ「藍染め&納涼空間つくり」『造形と教育武蔵野美 術大学大学院「教育学研究」ゼミナール報告書』第9号,武 蔵野美術大学教職課程 高橋陽一研究室,2016年1月.

3)(報告書)田中千賀子「幼児の造形ワークショップにおける ファシリテータの変化―つむぎワークショップ,藍染&納涼 空間つくり―」『大学造形美術教育研究』第14号,全国大学 造形美術教育教員養成協議会,2016年3月.

文   献

1)高橋陽一編,川本雅子,杉山貴洋,高橋陽一,田中千賀子執 筆:造形ワークショップ入門.武蔵野美術大学出版局,p. 91

(2015).

2)岡本 恵,大木敦子:紬と紡ぎ―結城紬にみる手つむぎの特 徴とファイバーアートへの展開―.東京家政大学生活科学研 究所研究報告,第38集,p. 93–97(2015).

図3 藍染め作品で納涼空間つくり

参照

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