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静岡県在住スモン患者の現状調査

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Academic year: 2021

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(1)

A. 研究目的

スモン検診を通して、 静岡県在住スモン患者の現状 と療養上の問題点を把握し、 今後の患者指導、 恒久対 策、 高齢化対策に生かしていくことを目的とする。 ま た、 スモン検診に、 若手医師、 看護師やリハビリテー ションスタッフが参加することにより、 スモンを風化 させないことも目的とした。

B. 研究方法

静岡県在住スモン患者を対象とした。 静岡県には、

静岡県スモン友の会に所属している患者と、 他県の患 者会に所属している患者がいるが、 静岡県スモン友の 会より、 検診参加の呼びかけを行った。 検診は静岡県 全体を対象として、 静岡県静岡市でおこなった。 また、

在宅訪問検診希望者には患者宅での訪問検診をおこなっ た。 検診では、 スモン臨床調査個人票に基づき、 医師 の問診・診察、 保健師または MSW の面接、 血液・尿・

心電図、 骨密度などの検査、 および、 希望者にはリハ ビリ指導をおこなった。 終了後、 患者と検診スタッフ とで交流会をおこなった。 検診のまとめは医師・保健 師・MSW でおこなった。

C. 研究結果

今 年 度 の 検 診 参 加 者 は 11 名 で 、 男 性 2 名 、 女 性 9 名であった。 年齢は 53 歳から 93 歳で、 平均 77.5 歳で あった。 静岡市での地区検診受診者全員が既参加者で あった。 在宅訪問検診は 1 名で、 昨年度、 初めて検診 に参加した患者である。 静岡県スモン友の会の所属は 9 名であった。 なお、 検診参加者数は昨年よりも 2 名 減少した。 過去の検診受診者数の推移は図 1に示した。

平成 20、 21 年以降、 徐々に減少し、 今年度は 11 名で あった。 静岡県スモン友の会の会員数は、 発足時 112 名であったが、 平成 29 年 12 月には、 存命患者数は 26 名となった。

スモンの主な症状の検診結果については、 図 2に示 す。 眼症状では、 「大見出しが読める」 6 名、 「細かい 字も何とか読める」 5 名であった。 歩行は、 「車椅子」

と 「つかまり歩き」 がそれぞれ 1 名、 「杖歩行」 2 名、

― 103 ―

静岡県在住スモン患者の現状調査

溝口 功一 (国立病院機構 静岡医療センター 神経内科)

寺田 逹弘 (国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 神経内科) 杉浦 明 (国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 神経内科) 小尾 智一 (国立病院機構 静岡てんかん・神経医療センター 神経内科)

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図 1 検診受診者数の推移

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図 2 主な身体所見と障害度

(2)

「かなり不安定」 1 名、 「やや不安定」 4 名、 「ふつう」 2 名であった。 10m 歩行速度では、 10 秒未満 6 名、 10 秒以上 20 秒未満 1 名、 20 秒以上 3 名であった。 異常 知覚では、 高度 3 名、 中等度 5 名、 軽度 2 名、 なし 1 名であった。 Barthel Index では、 8 名が 100 点であり、

85 点が 2 名、 15 点が 1 名で、 在宅訪問検診の患者で あった。 障害度は 「重度」 1 名、 「中等度」 5 名、 「軽 度」 5 名で、 障害要因としては、 「スモン+併発症」

が 8 名、 「スモン」 単独は 3 名であった。 併発症は、

骨関節系が最も多かった。 なかでも、 骨折は過去の骨 折も含めると 7 名で、 骨折部位は脊椎 2 名、 上肢 4 名、

下肢 2 名であった。 膝関節症は 6 名に認められた。 骨 吸収のマーカーである TRACP-5b を測定したところ、

高値を示したのは女性 2 名であった。 年齢補正した骨 密度の計測結果では、 明らかな骨粗鬆症を疑わせる患 者はいなかった。 骨関節系以外の併発症は、 白内障 7 名、 高血圧・糖尿病・シェーグレン症候群が、 それぞ れ 2 名であった。 また、 心筋梗塞 (ペースメーカー挿 入後) および甲状腺機能低下症がそれぞれ 1 名に認め られた。

介護保険の申請をしているのは 4 名で、 要支援 1 が 1 名、 要支援 2 が 2 名、 要介護 3 が 1 名であった。 (表 1) 介護については、 「おおむね妥当」 が 2 名で、 「高 い」 と 「低い」 がそれぞれ 1 名であった。 医師意見書 は 「日頃から診察してもらっている医師」 3 名、 「専 門医」 1 名に記載してもらっていた。 利用しているサー ビスは、 訪問介護 (家事援助) 1 名、 デイサービス 1 名、 「利用なし」 が 1 名であった。 要介護 3 の 1 名は、

介護付き有料老人ホームに入所していた。

今後の介護等に対する不安は 6 名で感じており、 そ

の要因は、 「介護者の高齢化」 と 「適当な介護者がい ない」 がそれぞれ 3 名で、 「介護者の疲労や健康状態」

と 「介護費用負担が重い」 がそれぞれ 1 名であった。

「不安がない」 は、 若年スモンの患者と、 独居のため 方針が決まっている患者の 2 名であった。 また、 3 名 は 「わからない」 との回答であった。 さらに、 今以上 に介護が必要になった場合では、 「いずれは施設入所」

が 4 名、 「介護サービスを使い自宅で暮らす」 が 3 名 であった。

今年度、 在宅訪問検診をおこなった患者は 85 歳女 性で、 昨年度初めて検診に参加した方であった。 平成 28 年 5 月に転倒し、 右大腿骨・右足を骨折し、 近医 にて手術を受けた。 その後、 希望するリハビリテーショ ンが受けられないため、 相談があり、 昨年度、 訪問検 診をおこなった。 その後、 リハビリテーション病院に 入院し、 約 3 ヶ月間のリハビリテーションを受けた。

退院後、 近医での通院リハビリテーションを受けなが ら、 介護付き有料老人ホームで生活をしている。 今年 度、 訪問検診をおこなったが、 昨年度と比較して、 移 動に介助が必要ではあるものの、 数メートルの歩行が 可能となっていた。 神経学的にも、 わずかではあるが、

下肢筋力が改善し、 それとともに、 生活全般に意欲的 な印象がうかがえた。

D, E. 考察および結論

静岡県スモン友の会は、 発足当時の患者数は 112 名 で、 存命中の患者は 26 名である。 患者会との話し合 いでは、 集団での検診を静岡市 1 カ所にしたこともあ り、 在宅訪問検診を増やしていく方針であるが、 希望 者がなく、 増加していないのが現状である。 今後、 在 宅訪問検診を増やしていく努力をする必要性を感じて いる。

検診参加者の症状は、 ほぼ昨年と変わっていない。

しかし、 10 m 歩行の結果からは、 10〜20 秒の患者が 減少し、 10 秒以内と 20 秒以上に 2 分されており、 中 等度障害の患者が減少している印象である。 全国的に は、 軽症者の割合が増えているとの報告1)があるもの の、 母集団が少なく、 ほぼ毎年検診を受診している患 者であるため、 大きな変化がないのかもしれない。 併 発症についても、 ほぼ例年通りであった。

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表 1 家族構成と利用サービス

(3)

介護保険については、 今年度も 4 名と変化がなかっ た。 むしろ、 介護保険を申請し、 デイサービスなどを 利用するよう促した患者もいた。 Barthel Index の結 果からみても、 検診に受診できる程度の日常生活状況 であるため、 介護保険の申請や、 申請しても介護サー ビスの利用が進まないのかもしれない。

今後の生活については、 不安を訴える患者は 6 名で、

その要因としては、 介護者の高齢化と適当な介護者が いないがそれぞれ 3 名という結果であった。 適当な介 護者がいないと回答した患者のうち 2 名は独居生活者 であった。 介護者の高齢化と回答した患者は、 こども あるいは兄弟が主たる介護者となっており、 患者自身 の高齢化を反映しているものと考えられる。 今後の生 活場所については、 3 人以上の家族と生活している患 者では、 「自宅で介護を受けながら」 という回答者が 多く、 独居あるいは夫婦二人暮らしでは、 施設入所と いう回答が多かった。 患者自身が希望する施設入所が できるかなど、 今後、 見守って行く必要があると感じ た。

静岡県での検診には、 例年、 看護師、 リハビリテー ションスタッフにできるだけ参加してもらい、 スモン の患者さんと、 直接、 接してもらうことも目標として いる。 昼食を一緒に摂りながら、 スモン発症当時のこ となどを話していただくことが、 看護師やリハビリテー ションスタッフにスモンという歴史を感じてもらうこ とが、 医療者としての経験に有用であると考えられた。

I. 文献

1 ) 小長谷正明, 久留聡, 藤木直人, ほか. 平成 28 年度検診からみたスモン患者の現況, 厚生労働科学 研究費補助金 (難治性疾患等克服研究事業 (難治性 疾患政策研究事業)) スモンに関する調査研究 平 成 28 年 度 総 括 ・ 分 担 研 究 報 告 書 , pp 27-49, 2017 年 3 月

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参照

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