西松建設技報 VoL22 U.D.C. 624.131.54:625.42
地下駐車場掘削に伴 う営業地下鉄線の浮 き上が りの検討 と施工 S t udyonBe ha v iorofExi s t i ngSubwa y
unde rt hel nf l ue nc eofUnde r g r oundPa r ki ngLotExc a va t i on.
和 田 淳 * JunWada 原 田 晋二 **
ShinjiHarada
今井 田 善光* *
Yoshimitsulmaida 後 藤 裕 明 * HirOakiGoto
要 約
本工事 は開削工法 に よる地下駐車場建設工事 であ る.開削延長 の直下 に少 ない離 隔で営 業地 下鉄線 が平行 してい た こ とか ら,地下鉄 の リバ ウ ン ドに よる浮 き上が りに対 して事前 に予 測解 析 を行 い,管理値 を設 けて計 測施工 を行 った.施工途 中に二次管理億 を超 える浮 き上が り量 が 計 測 され たが ,施工手順 を変更 す る こ とに よって浮 き上が り量 を抑 えた.実測 された地下鉄 の 浮 き上が り量 の最大値 は予測値18.4mmに対 して15.2mmであ った.
目 次
§ 1.は じめ に
§
2.
工事概 要§3.土質
§4.予測解析
§5.計測管理
§6.計測結果お よび解析億 との比較
§7.おわ りに
§1.はじめに
大阪市 の中心 を南北 に走 る谷 町筋 は都市計 画法 に基づ く駐車場整備 地区 となってお り,本工事 は大阪市駐車場 基本計画の一環 として地下駐車場 を建設する ものである.
当該 工 区 の直下 には営業 中の地下 鉄谷 町線 (外 径
≠
6800)が掘削延長方向 に平行 している.掘削底面 と地下 鉄 シール ドとの碓隔ほ本体部 で約8.3m〜5.5mとなってお
り,リバ ウ ン ドに よる地下鉄へ の影響が懸念 された.
そ こで本工事 で は事前 に リバ ウン ドに よる地下鉄へ の 影響 を予測 し,計測施工 によ り安全性 を確認 の上で掘削
串土木設計部設計課
**関西 (支)谷 町 (也)
を完了 させ た.
本文で はこの予測解析結果 と計測管理計 画 な らびに計 測結果 を報告す る.
$2. 工事概要
本工事 は本体部 延長約168m,幅23.9m,高 さ8.90m,入路 部 延長約117m,幅4.Son,高 さ3.90111の機械式2層構造 の地 下駐車場 を開削工法 に よ り建設す る ものである.
既 設 地 下鉄谷町線 との位 置 関係 とあ わせ て平 面 図 を 図‑ 1,縦断図 を図‑2,代表横 断図 を図‑3に示す.
・工 事 名 谷 町筋地下駐車場建設工事
・事業主体 大阪市道路公社
・工事場所 大阪市 中央 区谷 町1丁 目‑2丁 目 (谷町筋)
・工 期 平成7年12月28日〜平成11年2月26日
・
構 造 鉄筋 コンク リー ト造 地下1階・憾三牽形式 機械式 2層
・建築面積 約5,400m2
§ 3. 土質
土
層構 成 は上部GL‑9.00111付 近 まで シル ト質主体 に よ る盛 土層 ,約6.00mの砂 磯層 をは さんでGL20mまで軟69
地下駐車場掘削に伴 う営業地下鉄線の浮 き上が りの検討 と施工 西松廷設技報 Vol.22
図‑1 掘 削平面 図
l 29000I 167660
l
lt6770F E
塾 ミ書 聖 L≒
地 下 鉄 】】 Lrlr∽r)rl 3C一〇 図‑ 2 掘 削縦 断地下鉄谷町線 (図シ‑ル ド)∩ ▼〇〇寸丁 天 満 橋 駅
24
4
70l l層名一(m)N倍値変(N死塀数/mm=)\位 h1
くつI Its 9.I24 180 Gt
# ‑ ‑ ‑
‑
‑
Tsg 6.047 353
【 喜 RCセ1グメン、 衆ド 3500 ll̲I
;I ∽ (内径 ¢62CX))
「 5900 Oc14.2 8 600
千 Os 2.547 353 rJp′I l∠1 lHヽ
Osc8̲236 270
図‑3 掘 削横 断図 (代表断面)
弱 な沖積層 , それ以深 は天満層 お よび大 阪層 群 に属 す る 洪積層 となってい る. これ らの層 は砂 質土 と粘性 土層 と が互層状 に成層 してお り,層厚 お よび連続性 は良好 で土 層 の傾斜 はほぼ水平 であ る.
$4. 予測解析
駐車場掘 削 に よる影響 は3次元 の挙動把握 が必 要 とな るが ,検 討 の煩 雑 さ等 を避 け るため,横 断方 向 と縦 断方 向それぞれの2次元解析 を行 い,地下鉄 シール ドの挙動
予
測 を行 った.4‑ 1 横 断方向の検討
横 断 方 向 の検 討 は2次 元 弾 性FEM解 析 を用 い て行 っ た.図
‑4
に示す メ ッシュモデ ルにおいて掘 削範 囲の要素応 力 を100%解 放 させ ,線 材 と して評 価 した地下鉄 シ ール ドの変位 お よび応力状態 を求 め た.
一般 に除荷 時 の地盤変形係 数 (E)は我荷 時 のEを
N
値 か らE=2.5N (N/mm2) と した ときの2
倍‑ 4倍 とされて い るが ,今 回のFEM解析 で は近傍 工事 の実績 を参考 に3 檀 (E=2.5NX3)を採用 した.解析 に用 いた各層 の変形係 数 を含 めた地盤 の物性値 を 秦 ‑1に示す . なお,地下鉄 シール ドの応 力照査 は慣用 計算法 で求 め た現状応力 に,FEM解析 か ら求 めた掘 削 に
よる増加応力 を重 ね合 わせ た.
図‑ 5,図‑ 6に変位解析結果 を示す.
4‑2
縦断方 向の検討縦 断方 向の検討 は地下鉄 シール ドを弾性床 上 の梁 と し て評価 し,除荷荷 重 を上 向 きに作用 させ た. なお,梁材 の鉛 直 方 向地盤 反 力係 数
( Kv )
は最 大 変位 がFEMに よ る地 下鉄 シー ル ドの 最大 変位 量 (18.4mm)と一 致 す る よ うに求 め た.図‑ 7に検討 モデル を示す .検 討 は
図‑8
に示す3
つ の施工段 階 につ いて と全掘削 した場合 の4ケース につ いて行 った.図‑ 9に変位 ,図‑10に曲げモ ー メ ン ト,図‑11に せ ん断力 の解析結 果 を示 す . なお,曲げ照査 は リング間 継 手 断面 につ いて行 い, リング間継手 ボル トを鉄筋 とみ な した円環 断面 と して評価 した. またせ ん断照査 につ い ては リング間継手 ボル トが仝 せ ん断力 を負担 す る もの と
した.
4‑3
応 力照査結果横 断方 向お よび縦 断方 向の検 討 に よる地 下鉄 シール ド の発生 断面 力 お よび応 力度照査結果 を表 ‑
2
,表‑3
に 示す .発 生応力度 は, いず れ も長期 の許容値 は超 える も のの短期 の許容値 は満足 した.西松廼設技報 VoE22
̲ ̲̲→さ1111 ‑ 二!Lplll . り 心 l
メッシュ領域は,問'iEシール ドより左右'45亡 方向包含 し,下方は3D以上とした
図‑ 4 メ ッシュモ デ ル リバウンド査‑254転
図‑5 変位図 (メ ッシェ全体 図) 基本ステ ップ図
STEP3
地蒜 1i、∵,:JrL二
Lりト【lIll
L
!
>=
地下駐車場掘削に伴 う営業地下鉄線の浮 き上が りの検討 と施工
図 ‑ 6 変位図 (地下鉄 シール ド 部 )
312αⅩ) 地下鉄シ‑ル ド
Gl=6.12m28=3SOX1O7kN/m2J=2.60m4)
ヰ 天満橋駅部 Kv=75(X氾kN/m2 図‑ 7 矧 折方 向 の モ デル図
表‑ 1 解析 に用 い た地盤 の物性倦
土層 N値 湿潤重恩 粘着力 内部摩擦角 変形係数 (kN扉 ) (kN血2)
( o )
(叩mm2)As 24 17.0 29 180
Tsg 47 21.0 42 353 Oc1 8 16.5 81 60 0∫ 47 20.0 42 353 Oc2 14 18.0 75 105 Osc 36 20.0 42 270 Dc‑5 21 17.0 200 158 Ds‑6 50 21.0 40 375 Dc‑6 18 16.5 170 135
荷 重 図
い}八\
. hい り mr l h l L l 。 O k N J r n } x 1 0 m 7 6 8 m‑ 7 7 5 L N j m
H j O k M 筑 T l 】 l 0 こ く 3 0 8 k h N ′ l 川 X 6 8 m ‑ ‡ 3 J O k N ′ m
王 室 王
室 重 要
19恥NrrlJx柑4rrLX68nl
さ134DkN/Ill 1()帆NmtXSOm/t68rn n=】03〔枚N′m
図‑ 8 検討 ステ ップと荷重図
71
地下駐車場掘削 に伴 う営業地下鉄線の浮 き上 が りの検討 と施工
Lt STEPl ・*ST EPS
図‑ 9 変位 図
・ISTEPl★ STEP3 I+sTEP2◆ 皇紀 別 1̀榊「】ニ7260
̲T̲.̲こ.. r
図‑10 r鋸 デモ ー メン ト図
STEPi* STEPS
日約 15(1 :桝I
図‑11せ ん断力図 秦‑ 2 断面力計算結果
検 討 MmaX(kN.m) N(
k N )
Smax
(k N )
横断方向 63.4 17.1
‑
縦断方向 7260 ‑ 2780 表‑ 3 応力照査結果 (N/mm2)
検 討 圧縮応力度コンクリート 鉄筋.引張応力度 せん断応力度ボルト ボルト 横断方向 11<22.5 191<210 ‑
秦‑4 地下鉄の浮き上がり管理値
確硝l1段階 棟削傑 管理限界値 一次管理値 二次管理値
(m) (解析値 mm)(解附直×050mm)(角抑千倍 ×0.75mm)
2次掘削 4.0 6.5 3.3 4.9 3次掘削 6.0 9.9 5.0 7.4 4次掘削 9.0 15.4 7.7 ll.6
※最終床付時の管理限界値は縦断方向の検討でリング間ボル ト のせん断応力度が長期の許容値に達する値
§ 5. 計測管理
予測解析結果で は掘削 による地下鉄へ の影響 は少 ない こ ととなった. しか し予測解析 と実施工 における不確定 要素 の存在 は否定 で きない こ とか ら,実施工 で は図‑12 凡例 に示す各項 目に関 して地下鉄 シール ドの挙動 観測 を 実施 しなが ら施工 を進 めた.特 に地下鉄 シール ドの浮 き 上が りにつ いては厳 しい管理値 (秦 ‑4)を設 け,図‑14
に示す計測管理 フロー に従 って安全施工 に努 めた.
図‑12に計 測器配置縦 断図 ,図‑13に計 測 配置横 断
西松建設技報 Vol.22
図 を示す.
§ 6
.計測結果および解析値 との比較
実 施工 で は,図‑15に示 す手順 で掘 削 を進 め た.計 測結果 は,step‑1の掘 削状況 において,測点N0.5が最大 値13.2111mを示 した. この時点 で2次 管理値 の96%の浮 き上 が り量 が 記 録 され た . この結 果 を うけ て ,次 の step‑2,3の掘 削時 においては,測点N0.6が2次 管理値 を オーバーす ることが予想 されたため,実施工 では,浮 き 上が りを極力抑 える ように,南北両方向か ら中央 に向か って25mずつ掘削床付 を行 い,均 しコンク リー トを打設
して荷重 をもどす ように順次施工 を行 った.
測 点No.5お よびN0.6の経 時変化 グラフを図‑16に示 す . 掘 削 完 了 時 で の 浮 き上 が り量 は 下 り線 で 最 大 15.2mmを記録 した. これ は, 2次管理億 を1.4mmオー バーし,管理限界値 の890/.を示す結果 となった.また,捕 削完 了時での縦 断方 向の浮 き上が り量の グラフを図‑17
に示す.横 断方向FEM解析 による地下鉄浮 き上が り量予 測値 (18.4mm)と実測値 (15.2mm)は, ほぼ等 しい値 であ った. したが って,当初設定 した地盤 の変形係数設 定値 (E̲‑25NX3)は妥 当であ った もの と考 える.
しか しなが ら
,縦
断方 向の予測解析 による変位分布 と 実測 された変位分布 を比較す る と,測点3,4,5に違 いがみられた.
これは予測解析 の作用荷重 について掘削底面か ら地下 鉄 シール ドまでの維隔 による分散効果 を表現 してい なか っ た こ と が 原 因 と 考 え ら れ る . ブ ‑ シ ネ ス ク (Boussinesq)の荷 重分散 を考慮 した と き,除荷 荷重 は 図‑18の よ うになる. この荷 重分 散 を考慮 す る と,変 位 の相違 は解消 され,実際の地f鉄 シー)i,ドにおいては 図‑11の よ うな極端 なせ ん断力 は生 じてい なか った も の と考 え られ る. また,掘 削 途 中 に測 点
6
直上 の掘 削 (4ブ ロ ック)がGL‑2.Om程 度 で あ るの に対 し,浮 き上 が り量がFEM解析 におけるGL5.0111‑6.0m掘削時相 当 ま で発生 したが, この こ とも分散効果 に よって隣接す る3 ブ ロ ックの掘 削 (GL‑8.0111)の影響 を受 けていた もの と 考 え られる.計測 と しては浮 き上が り計測 の他 に3次元測定 システ ム を用 いた トンネル内空変位測定 と層別沈下計 を用 いた 地盤 の リバ ウ ン ド測 定 を行 った.測 定結 果 をそ れぞ れ 図‑19,図‑20に示す .内空変位 測定結 果 につ いて は FEM解析結果 の変形 モー ドとよ く一致 した. また層別沈 下計計測結果 については北側測点 において地f鉄 の浮 き 上が り測定結果 とほぼ一致 した反面,南側測点 について は計測機器の不具合のため地下鉄付近の地盤 はほ とん ど
リバ ウン ドしていない結果 となった.
西松建設技報 VoE,22 地下駐車場掘削 に伴 う営業地下鉄線の浮 き上 が りの検討 と施工
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斑 匿 地 下鉄 谷町 線 ̲〟
天満橋駅 ̲‑■■一一●一一■一一■‑
̲ ‑ ● ■ 一 一 ■ ‑ 】 ‑ ■ 一 一 ● ‑
A 塾 7 8 9 ̲JN ‑‑.一一一・一.一、 101 2 3 4 5 茎
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Dc 5go
; Dc 5張i
i関電 シール ド
▽ :水盤式沈下計 (固定式)(2×2‑4) 隠 :固定式傾斜計 (5×2‑10)
㊨ :温度計 (5×2‑iO) A :層別沈下計 (7×2‑14)
㊨ :内空変位測点 (8×2‑16)
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地下鉄谷町線 「o
威c.0層64〜5'6'JS5●3'が 聖喜こ)、=ヽ 壁 ‑i‑O645毒4電
ル ド谷町線655'3◆0'図‑13 計測器配置横断図
図‑12 吉1便り器配置縦断図
図‑14 許描 け管理 フロー
73
地下駐車場掘削 に伴 う営業地 下鉄線 の浮 き上 が りの検討 と施工
画 】 南 側
/ ′ ′
図 ‑15 施工 ス テ ッ
プ 図
艶三重組15と旦最経睦変比
1 i 1
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E4‑16 測点No.5、N0.6の経時変化
図‑18 ブ‑シ
ネ ス ク の 荷 重 分 散
図図‑19 3次元計測 システム測定結果
西松建設技報 Vol.22
図‑20 層別沈f計測完結呆
§7. おわ りに
本工事では営業地下鉄 に対 して十分 な安全性 を確保す るため,特 に浮 き上が りに関 して予測値 を管理限界億 に 設定 し, リアルタイムで厳 しく管理 した.その結果,施 工手順 の変更 といった対応 を早めにとることがで き,也 下鉄 の営業 に影響 を与 えることな く,無事掘削 を完了す ることがで きた.
浮 き上が り実測値 と予測値 においては叢大使 について ほぼ一致 をみたが,除荷荷重の考 え方 に課題が残 った.
本工事 のFEM予測解析 における除荷時の変形係数 は近 傍工事実績 を参考 に我荷時の3倍 とした. しか し,設定 値 によっては予測結果が大 きく異 な り,予測値 を小 さ く 見積 もる可能性 を含 んでいるため,地盤の物性値の設定 には注意 を要す ることを痛感 した.
この報告書が今後の類似工事 に役立てば幸 いである.
参考文献
1)深い掘削土留工設計法 :日本鉄道技術協会,1993.
2)トンネル標準示万雷 (シール ド編) 同解説 :土木学 会,1996.
3)掘削 に よる リバ ウン ド現象 と構其柱 の浮 き上が りお よび沈下 :基礎工No.9,1993.
4)直積基礎 で支持 された高層建物 の施工時 における支 持地盤鉛直変位 について :第28回土質工学研究発表 会,1993.
5)営業線直下大規模 開削工事 に伴 う軌道仮受 け工 の挙 動計測 について :第10回建設マ ネジメン ト問題 に関 す る研究発表 ・討論会講演集,1992.