東京都区部 東京都区部 東京都区部
東京都区部における における における における避難場所 避難場所 避難場所の 避難場所 の の の圏域分析 圏域分析 圏域分析 圏域分析
荒木 優・玉川 英則
An analysis about allocation of evacuation sites for major areas in the 23 special wards of Tokyo
Yu ARAKI and Hidenori TAMAGAWA
Abstract Abstract Abstract
Abstract : : : : This study aims to analyze current district allocation from the view point of evacuation distance and facility capacity. In addition, we attempt comparison with voronoi diagram.
The result shows that expansion of available area in small evacuation sites for major areas contribute not only facility capacity but also evacuation distance.
Keywords Keywords Keywords
Keywords :避難場所 (evacuation sites for major areas) ,地区割当 (district allocation) ,ボロノイ図 (voronoi diagram)
1 1
1 1. . . .はじめに はじめに はじめに はじめに
東京都では,主に大震災時の市街地大火から都民 の生命を守るため,東京都震災予防条例第
37
条に より区部における避難場所が指定されている.避難場所指定の考え方は,次の通りである.
(ア)周辺市街地大火による輻射熱(2,050kcal/㎡
h)
に対し,安全を確保できる有効面積があること(イ)震災時に避難者の安全を著しく損なうおそれ のある施設が,避難場所内部に存在しないこと
(ウ)収容人員に対して,避難場代内の建物,道路,
池などを除き,利用可能な避難空間として,原則と して
1
人当たり1
㎡を確保できること(エ)避難場所ごとの地区割当計画の作成に当たっ ては,町丁,町内会,自治会区域を考慮すること
なお,候補地選定の目安として,短辺
300m,面
積10ha
よりもそれぞれ大きな値をとることが挙げ られる.避難場所等の全体計画については,市街地状況の 変化及び人口の増減などを考慮し,概ね
5
年ごとに 見直しが行われている.現在の計画は,平成14
年12
月に見直し改定を行ったものである.現在のところ,東京都区部において,避難場所は 荒木:〒192-0364 東京都八王子市南大沢
1-1
首都大学東京大学院都市環境科学研究科 都市システム科学専攻 博士前期課程
Department of Urban System Science,
Graduate school of Urban Environmental
Sciences, Tokyo Metropolitan University.
E-mail : [email protected]
地区内残留地区
18
箇所を含む188
箇所あり,地区 ごとに固有の近隣避難場所を割り当てる「地区割当」が定められている.つまり,避難場所ごとに避難圏 域を設定しているということである.
ところで,最近隣距離に基づいた圏域にボロノイ 分割がある.このボロノイ分割を,避難場所へ適用 して分析した事例として,及川(1985)や相馬(2004) の研究が挙げられる.
本研究では,東京都区部における避難場所の現行 の地区割当に対して,避難距離,施設容量の面から 実証的な分析を行うこととする.併せて,地区割当 に対し,避難場所を母点としたボロノイ分割を設定 し,双方の比較を試みる.
2 2
2 2. . . .研究方法 研究方法 研究方法 研究方法
平成
14
年12
月に見直し改定が行われた,東京都 区部全域の避難場所を対象にして,GISを用いて分 析を行う.避難場所の圏域として,現行の地区割当と避難場 所を母点とした面ボロノイ図を考える.地区割当は,
原則として町丁目を単位とするが,主要道路・鉄道 等の境界を考慮し,町丁目が分断される地区もある.
本研究では,地区割当,ボロノイ分割ともに,町丁 目を単位として,町丁目の重心が圏域に含まれるか 否かを分類の基準とする.
避難距離は,町丁目重心と避難場所重心の直線距 離とする.ただし,避難場所が河川であるものにつ いては,細長い形状のため,重心間距離を避難距離 とするのは妥当でない地区が存在してしまう.その ため,避難場所が河川の地域は,100m おきにバッ ファを取り,町丁目重心が含まれた段階を避難距離 とする.なお,地区内残留地区については,その地 区の避難距離を
0
とした.町丁目ごとの避難人口は,昼間人口,夜間人口の 大きい方の値を取る.避難場所ごとの避難人口は,
圏域内の町丁目の避難人口の総和とする.
3 3
3 3. . . .避難距離 避難距離 避難距離 避難距離に に に基 に 基 基 基づく づく づく分析 づく 分析 分析 分析
333
3...1.111....地区割当地区割当地区割当地区割当
地区割当における,町丁目ごとの避難場所までの 避難距離を図
1
に示す.地区割当決定の目安となる2km
以内の地区が2870
町丁目(91.3%)・1191万3
千人(92.1%)
,2km
を超える地区が273
町丁目(8.7%)
・101
万8
千人(7.9%),遠距離避難となる3km
を超える地区が51
町丁目(1.6%)・18万人(1.4%)存 在することがわかった.333
3...2.222....ボロノイボロノイボロノイボロノイ分割分割分割分割
ボロノイ分割における,町丁目ごとの避難場所ま での避難距離を図
2
に示す.避難距離が2km
以内の 地区が3089
町丁目(98.3%)・1273
万7
千人(98.5%),2km
を超える地区は54
町丁目(1.7%)・19万4
千人(1.5%), 3km
を超える地区は2
町丁目(0.06%)・5千 人(0.04%)存在することがわかった.333
3...3.333....地区割当地区割当地区割当地区割当ととととボロノイボロノイボロノイボロノイ分割分割分割の分割のの比較の比較比較 比較
距離帯別に町丁目数を集計したものを図
3
に示す.地区割当よりボロノイ分割の方が,避難距離の大き い町丁目数が少ない傾向が見て取れる.
また,町丁目ごとに(地区割当における避難距離)
-(ボロノイ分割における避難距離)を算出したもの を図
4
に示す.地区割当とボロノイ分割とで避難場 所の変更がない地区は,2220 町丁目(70.6%)・952 万5
千人(73.7%)であった.一方で,地区割当からボ ロノイ分割に変更することで,避難距離が短縮した 地区は,831町丁目(26.4%)・304万3
千人(23.5%) であった.特に1000m
以上短縮する地区は,199 町丁目(6.3%)・72万5
千人(5.6%)であった.なお,地区割当に対し,ボロノイ分割の方が避難距離の大 きくなる地区が存在する.これは,作成したボロノ イ図が面ボロノイ図であることと,避難距離を避難 場所と町丁目の重心間距離で取っていることに起因 する.
続いて,避難場所ごとに,人口による重みつき平 均避難距離
D
iを求めた.Diは以下の式による.i k k
i
P
d p D
∑ ×
=
(避難圏域内町丁目)D
i:i番目避難場所の平均避難場所距離P
i:i番目避難場所の避難人口d
k:避難圏域内k
番目町丁目の避難場所距離町丁目別避難距離
255 627
972 674
342 222
51 255
698 1211
710
215
52 2
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
0 1-500 501-1000 1001-1500 1501-2000 2001-3000 3001- 避難距離(m)
町丁 目数
地区割当 ボロノイ分割
避難場所別平均避難距離
34 93
33
8 2 0
23 121
24
2 0 0
0 20 40 60 80 100 120 140
1-500 501-1000 1001-1500 1501-2000 2001-3000 3001- 平均避難距離(m)
避難 場所 数
地区割当 ボロノイ 分割
p
k:避難圏域内k
番目町丁目の避難人口地区内残留地区を除く
170
箇所の避難場所の平均 避難距離について,地区割当,ボロノイ分割双方に おける距離帯別の避難場所数を集計したものが図5
である.地区割当に対し,ボロノイ分割では避難距 離が小さい避難場所,及び避難距離が大きい避難場 所の数が減少し,避難距離が均等化する様な傾向に あることが見て取れる.4 4 4
4. . . .施設容量 施設容量 施設容量に 施設容量 に に に基 基 基づく 基 づく づく づく分析 分析 分析 分析
避難場所における施設容量の評価基準として,避 難人口の
1
人当たり面積を用いる.地区割当決定の 目安は,避難人口の1
人当たり面積は1
㎡以上であ り,通常2
㎡以上が望ましいとされる.地区内残留地区を除く
170
箇所の避難場所につい て,地区割当,ボロノイ分割における避難場所の1
人当たり面積をそれぞれ図6,図 7
に,双方の避難 場所別避難人口の1
人当たり面積別に避難場所の数 図1 地区割当
避難距離図
2 ボロノイ分割
避難距離図
4 地区割当-ボロノイ分割
避難距離比較図
3 避難距離と町丁目数
図
5 平均避難距離と避難場所数
を集計したものを図
8
に示す.1 人当たり面積が1
㎡を下回るのは,地区割当においては
18
箇所,避 難人口78
万7
千人(6.1%)であり,一方ボロノイ圏域 においては44
箇所,避難人口308
万人(23.8%)に上 る.本研究で設定したボロノイ圏域は,距離の最適 化を図ったもので,施設容量を考慮していない.そ のため,ボロノイ圏域においては,1人当たり面積 1㎡を下回る地区が多くなる結果となった.地区割当における1人当たり面積を基準に,大・
中・小それぞれ3つの避難場所を表
1
に示す.避難場所別避難人口の一人当たり面積
18
75 77
44 46
80
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
0-1.0 1.0-2.0 2.0-
一人当たり面積(㎡/人) 避難
場所 数
地区割当 ボロノイ分割
5 5 5
5. . . .おわりに おわりに おわりに おわりに
本研究では,東京都区部における避難場所の現行 の地区割当に対して,避難距離,施設容量の面から ボロノイ分割との比較を交えて分析を行った.結果,
9
割強の人口が2km
以内に避難場所を割り当てられ ていることが分かった(逆に言うと,1割近くの人口 が2km
を超えるとも捉えられる)。また2
割強の人 口が最近隣ではない避難場所の指定を受けている.これは,施設容量を考慮され,避難場所の有効面積 が狭小であるためと考えられる.
以上より,避難場所の有効面積が狭小であるため,
地区割当においてその圏域を小さくせざるを得ない 避難場所の有効面積を拡大していくことが,避難距 離の短縮にも有効であると考えられる.
参考文献
及川清明(1985)面的施設配置の圏域構成に関する幾 何学的研究,「都市計画学会学術研究論文集」,20,
91-96
相馬絵美・川村信也・橋本雄一(2004)積雪地域にお ける都市内避難場所の空間構造-札幌市中心部を事 例として-,「地理情報システム学会講演論文集」,
13,91-96
図
8 1
人当たり面積と避難場所数 図6
地区割当における避難場所別
1
人当たり面積図
7 ボロノイ分割における
避難場所別
1
人当たり面積表1 避難場所を1人当たり面積の大きさから分類
避難場所名 利用区名 総面積(㎡) 避難有効面積(㎡) 避難人口 平均避難
距離(㎡) 1人当たり
面積(㎡) 避難人口 平均避難
距離(㎡) 1人当たり 面積(㎡) 大井ふ頭一帯 品川区・大田区 5,183,000 2,850,100 83,829 2,042 34.00 67,934 1,740 41.95 江戸川南部一帯 江戸川区 2,974,800 1,923,000 137,499 1,523 13.99 132,081 1,419 14.56
晴海地区 中央区 1,034,300 500,000 42,916 748 11.65 47,208 598 10.59
上野公園一帯 台東区・荒川区 680,300 420,800 249,017 1,433 1.69 146,524 1,069 2.87
昭和女子大学一帯 世田谷区 258,700 120,200 64,901 731 1.85 69,375 747 1.73
都営高砂団地一帯 葛飾区 137,000 72,800 25,956 577 2.80 95,283 1,092 0.76
清澄庭園 江東区 81,000 23,800 26,794 546 0.89 27,175 501 0.88
戸越公園一帯 品川区 62,600 9,400 12,291 317 0.76 144,553 1,054 0.07
両国地区 墨田区 211,200 64,800 72,972 739 0.89 108,828 737 0.60
地区割当 ボロノイ分割