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文化多様性と世界文化遺産の保護

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(1)佛 教 文 化学 会紀 要. 第14号. 平 成17年11月. 文化多様性 と世界文化遺産の保護 張. 忠. 翻 訳:大 正大学綜合 佛教研 究所講 師. 一. 志 牛. 黎濤. 文化 多様性 と世界文化遺産保護の定義. ユ ネ ス コ は 文 化 遺 産 の 保 護 に つ い て 、 文 化 多様 性 お よ び 対 話 と責 任 で あ る と定 義 して い る。 われ わ れ に と っ て 文 化 遺 産 の 保 護 とは 、 各 国 文 化 の 独 自性 を 保 護 す る こ とで あ り、 国 際 社 会 との 対 話 と交 流 に よ っ て 、 相 互 間 の 理 解 と疎 通 を 強 化 し、 文 化 遺 産 を 後 世 に伝 え、 後 世 の 人 々 に 幸 福 を もた ら す 責 任 を 負 うこ とで あ る 。 ユ ネ ス コ は20世 紀80年 代 以 降 、 世 界 文 化 発 展 委 員 会 の 報 告 書‑『 れ の 創 造 性 の 多 様 化 』(1996年)、 年 ・2000年)等. われわ. ユ ネ ス コ の 『世 界 文 化 報 告 書 』(1998. の 専 門 委 員 会 と文 化 多 様 の 討 議 報 告 書 を通 じて 、 観 念 と理. 念 の 角 度 か ら、 文 化 多 様 性 の 保 護 と促 進 を 重 視 して い る。 特 に9.11事 件 が 発 生 した2001年 後 、 ユ ネ ス コ は 『文 化 多 様 性 に関 す る グ ロー バ ル 声 明 』 を 採 択 した 。 こ の 声 明 は 、 世 界 各 国 か ら新 た な 道 徳 規 準 を提 唱 す る文 書 で あ り、 斬 新 的 な 法 律 基 準 を策 定 した 文 書 だ と され て い る 。 文 化 多様 性 の声 明 は 、 世 界 の どの 様 な 国 家 に とっ て もい え る が 、 各 国 の 文 化 伝 統 が 時 間 の推 移 に伴 っ て 変 化 す る。 こ れ ら の変 化 は 、 文 化 の 繁 栄 と 滅 亡 が 含 ま れ て い る 。 そ れ は 、 す な わ ち 自然 界 の 人 類 ・動 物 ・植 物 と同 じ よ うに私 た ち 人 類 は 、 地 球 に 共 同 に 存 在 して い る とい う こ とが 言 え る。 そ の た め、 文 化 多 様 性 の 保 護 は 全 人 類 の 共 同責 任 だ と言 え る。 文 化 多 様 性 を保 護 す る た め の 努 力 は 、 文 化 分 野 にお け るユ ネ ス コの も っ と も重 要 な活 動 だ と言 え る。 具 体 的 に は 、 文 化 遺 産 の 保 護 、 自然 遺 産 の保 護 、 無 形 文 化 遺 産 の保 護 に分 け る こ とが で き る 。 更 に各 国 の 交 流 と対 話 、 お よ び 各 国 の 文 化 芸 術 表 現 の保 護 に よ っ て 、 人 類 の 創 造 力 と文 化 産 業 を発 展 させ よ う と して い る 。. 1.

(2) 2. 二. 文化遺産保護の具体 的範囲. 人 々 は 以 前 、 文化 遺 産 の 保 護 に触 れ る と古 い 遺 跡 や 古 代 の 教 会 や 建 築 、 ま た は 古 代 の 一 部 の 物 品 な ど しか思 い 浮 か べ な か っ た 。 しか し、21世 紀 に 入 っ て か らは 文 化 遺 産 に対 す る意 識 と評 価 に 重 要 な 変 化 が 見 られ る よ うに な っ た 。 文 化 遺 産 は 、 歴 史 学 者 ・考 古 学 者 ・芸 術 家 ・建 築 士達 の 特 許 で な くな り、 よ り広 い 範 囲 の 文化 財 の範 疇 に な っ た の で あ る。 例 え ば 、 重 要 な 石 碑 に対 す る認 識 は 、 石 材 自体 の価 値(歴 値 を含 む)だ. 史 性 ・真 実 性 ・芸 術 性 な どの価. け で な く、 石 碑 と関係 の あ る建 築 ・花 園 ・都 市 ・区 域 に 拡 大. す る よ うに な っ た の で あ る 。 そ の た め 、 す べ て の 価 値 あ る文 物 は 、 社 会 お よび 他 の 記 念 物 と共 に存 在 す る文 化 財 だ と認 識 す る こ と が で き る。 も ち ろ ん 、 一 つ の 文 物 に対 す る研 究 を無 限 の 文 献 の研 究 に拡 大 で き る こ とを忘 れ て は な らな い 。 文 化 遺 産 に 対 す る概 念 の 変 化 に伴 っ て 、 各 国 は重 要 な 価 値 の あ る古 代 文 物 ・古 代 遺 跡 ・古代 都 市 ・古 代 景 観 に 対 す る 保 護 活 動 の 度 合 を 強 化 す る よ う に な っ た 。 特 に 、 現 代 的 な 都 市 を 建 設 す る 過 程 に お い て は 、 如 何 に して 重 要 価 値 の あ る古 代 建 築 を保 存 し、 新 た な価 値 を創 造 す る か に つ い て 十 分 に 考 慮 す べ き で あ る。 これ は 世 界 各 国 が 直 面 して い る普 遍 的 な 問題 で あ る。 これ に は 、 フ ラ ンス の パ リの 保 護 、 お よび ヨー ロ ッパ の 城 砦 の 保 護 な ど参 考 に値 す る実 例 が 沢 山 あ る 。 イ コモ ス(ICOMOS)の. 規 定 に よ る と、 文 化 遺 産 の保 護 範 囲 に は 、 一. 般 的 に周 辺 環 境 の 整 備 お よび 緩 衝 地 帯 の 保 護 な ど含 ま れ る 。 例 え ば 、 日本 の 富 士 山 が 世 界 自然 遺 産 の 申告 で落 選 した こ と は 、 この 事 柄 を 物 語 っ て い る。 具 体 的 に 言 う と、 富 士 基 地(自. 衛 隊 演 習 場)・ ゴ ル フ場 ・ゴ ミ廃 棄 場. の 処 理 、 そ れ に保 護 範 囲 の確 認 遅 延 な ど が 、 遺 産 申 告 活 動 に 大 きな 影 響 を 及 ぼ した の で あ る 。. 三. 文化遺産保護活動に関する理念 と職責. ユ ネ ス コの 『世 界 文 化 自然 遺 産 公約 』 お よ び 国 際 憲 章 や 国 際 規 則 の文 化 遺 産 ・自然 遺 産 ・環 境 景 観 の 事 実 性 ・完 全 性 に 関 す る 論 述 と規 定 は 、 中 国 の 「元 の よ うに修 復 」 とい う文 物 修 復 基 準 と完 全 に 合 致 して い る(100年.

(3) 文化 多様性 と世界文化遺産の保護 ほ ど前 に 梁 思 成 氏 が 提 唱)。 世 界 遺 産 の 確 定 基 準 は 、 歴 史 ・芸 術 ・科 学 と い う三 大 価 値 を踏 ま え て 、 視 野 を 開拓 し、 認 識 を向 上 させ 、 内容 を豊 富 に す る こ と を各 国 に要 求 して い る。 規 則 と方 式 を審 議 評 定 す る過 程 に お い て 、 世 界 遺 産 委 員 会 は長 期 的 な観 測 制 度 を確 立 し、 世 界 文 化 遺 産 の 保 護 活 動 と管 理 活 動 に科 学 的 シ ス テ ム を 完 備 し、 そ れ を 提 供 した 。 そ れ に よ っ て 、 世 界 の 多 く の 文 化 ・自然 遺 産 の 地 に お い て 、 私 達 は そ こ の 住 民 た ち と親 し くつ き あ い 、 良 い 関 係 に な る こ と に よ り、 文 化 遺 産 の保 護 意 識 も また 高 ま り、 環 境 が さ らに 美 し くな る の で ある。 カ ン ボ ジ ア の ア ン コ ー ル ワ ッ ト、 日本 沖 縄 の首 里 城 、 スペ イ ン の グ ラナ ダ な どが そ うで あ る。 こ の こ とか ら、 世 界 遺 産 は所 在 国 お よび 各 国共 通 と い う二 重 性 が あ る こ とが わ か る。 世 界 遺 産 は 人 類 文 明 と生 存 環 境 の共 同 財 産 で あ り、 所 在 国住 民 が 文化 多 様 性 を保 存 す る貴 重 な 資 源 な の で あ る 。 そ の た め、 一 つ の 国 が 保 有 す る世 界 文 化 と世 界 自然 遺 産 は 、 あ る 意 味 で は 、 人 類 の 文 明進 展 に対 す る貢 献 だ と言 え る。 これ は、 遺 産 保 有 国 の 社 会 文 明 程 度 と総 合 国 力 水 準 を反 映 して い る の で あ る 。 この ほ か 、 世 界 遺 産 は 国家 の 利 益 と世 界 の平 和 に 関 わ る こ とに な る。 一 部 多 国 間 に跨 る プ ロジ ェ ク ト、 国 境 地 帯 の 遺 跡 及 び 各 民 族 や 各 宗 教 の 紛 争 は 、 い ず れ も 各 国 の 注 目 を集 め る こ とに な る。 そ の た め 、 文 明 社 会 で は理 念 と職 責 を遵 守 す る こ と を、 期 待 か つ 要 望 して い る。 中 国 と朝 鮮 の 高 句 麗 世 界 文 化 遺 産 に 関 す る 申告 は 、 ま さ に こ う した理 念 に基 づ い て 推 し進 め ら れ て い る。. 四. 有 形 文 化 遺 産 に 関 す る 無 形 方 式 と概 念 文 化 遺 産 は 、過 去 と現 在 に生 き る文 化 多様 性 の 主 た る表 現 形 式 の存 在 で. あ る。 文 化 遺 産 は ま た 、 無 形 文 化 財 の 保 護 とい う時 代 的 背 景 の 下 で 、伝 統 生 活 方 式 あ る い は 民 間 伝 説 方 式 とい う無 形 方 式 に よ っ て 、 そ の 概 念 を 表 現 して い る 。 現 在 、 古 代 建 築 と古 代 遺 跡 の 無 形 内 容 は極 めて 豊 富 多 彩 で あ る。 土 着 民 に つ い て 言 えば 、石 塊 や 木 片 が宗 教 信 仰 の根 本 な の で あ る 。 ま た 、 都 市 ・ 自然 ・景 観 ・境 界 ・標 識 ・地 名 な どの 具 体 的 な 結 び 付 き も 、 一 種 の 無 形 方. 3.

(4) 4. 式 の 存 在 な の で あ る 。 突 き詰 め て 言 え ば 、 文 化 遺 産 の 識 別 ・保 護 ・修 復 ・ 管 理 、 さ らに 人 々 の記 憶 な ど も、 す べ て 無 形 文 化 遺 産 な の で あ る 。 ユ ネ ス コ は2003年10月17日 、 無 形 文 化 財 の保 護 に関 す る国 際 公 約 を採 択 した 。 こ の公 約 は 、 伝 統 文 化 ・土 着 文 化 ・祭 祀 遺 跡 ・各 国 の 古 代 建 築 ・文 化 景 観 な どの 建 築 表 現 に つ い て 、 い ず れ も特 別 か つ 明確 な 規 定 を 設 け て い る。 この ほ か 、 一 部 の 国 際 法 律 文 書 も 、 人 々 の 無 形 形 式 に よ る 文 化 遺 産 保 護 を支 持 して い る。 例 え ば 、 我 々 の 言 語 ・伝 統 芸 術 ・特 別 知 識 例 えば 舞 踊 歌 曲 ま た は食 品 な ど の 文 化 表 現 も無 形 文 化 遺 産 の 形 に含 ま れ る こ と に な る 。 こ こ で 、 中 日韓 三 国 の 無 形 文 化 遺 産 の状 況 を か い つ ま ん で 紹 介 す る。2001 年5月18日. 、 ユ ネ ス コは 韓 国 の 宗 廟 の儀 礼 と礼 樂 、 中 国 の 毘 曲 、 日本 の能. 楽 を 無 形 文 化 財 に 指 定 した 。2003年11月7日 PANSORI歌. 、 ユ ネ ス コ は また 韓 国 の. 舞 、 中 国 の 古 琴 、 日本 の 人 形 浄 瑠 璃 文 楽 を無 形 文 化 財 に 指. 定 した の で あ る。. 五. 危機に瀕す る世界文化遺産. 危 機 に瀕 す る世 界 文 化 遺 産 を 保 護 す る活 動 が 、1960壮 代 か ら開 始 され る よ うに な っ た 。 当時 、 エ ジ プ トで は ア ス ワ ン ダ ム の建 設 に よ っ て 、 大 量 の 文 化 遺 産 が水 中 に埋 没 され た 。 そ の た め 、 ユ ネ ス コ は エ ジ プ トの 文 化 遺 産 を救 うた め の 国 際 救 助 活 動 を繰 り広 げ た 。1966壮 、 イ タ リア の ベ ニ ス で 水 害 が発 生 した 。 ユ ネ ス コ は再 び ベ ニ ス を救 うた め の 国 際 救 助 活 動 を繰 り広 げ る よ う全 世 界 に呼 び か け た 。 世 界 各 国 の 有 識 者 は 、 この2回. の 世 界 文化. 遺 産 を 救 うた め の 活 動 を 通 して 、 人 為 災 害 と 自然 災 害 が 文 化 遺 産 に も た ら す 脅 威 を認 識 し、 積 極 的 な 文 化 遺 産 保 護 活 動 を 繰 り広 げ る よ うに な っ た の で あ る。 そ して 、 ユ ネ ス コ の提 唱 に よ り、‑972年 に 『世 界 文 化 自然 遺 産 保 護 公 約 』 が策 定 され た の で あ る。 長 年 来 、世 界 文 化 遺 産 保 護 活 動 は大 きな 成 果 を 勝 ち取 って 、新 た な世 界 文 化 遺 産 が著 し く増 大 した 。 しか し、 文 化 遺 産 保 護 は未 だ に厳 しい 情 勢 に 直 面 して い る 。 一 部 の 文 化 遺 産 は 確 実 に 保 護 され る よ うに な っ た が 、 数 多 くの 文 化 遺 産 は 自然 環 境 の 汚 染 、 人 為 的 な 略 奪 、 武 装 衝 突 、 過 度 の 観 光 開 発 、都 市 建 設 の 加 速 、 そ れ に各 種 の 自然 災 害 に よ って 危 機 に瀕 して い る と 言 え る。.

(5) 文化多様性 と世界文化遺産 の保護 1979年 か ら現 在 に か け て 、 ユ ネ ス コ が 新 た に 認 定 した35ヵ 所 の世 界 遺 産 に は 、19ヵ 所 の 世 界 文 化 遺 産 が 含 まれ 、 そ の 大 部 分 は発 展 途 上 国 に集 中 し て い る 。 そ の 内 訳 は、 ア ジ ア が6ヵ 所 、 ア メ リカ が1ヵ 所 、 ヨー ロ ッパ が 3ヵ 所 、 ア フ リカ が5ヵ. 所 、 ア ラブ 地 区 が4ヵ 所 で あ る。 必 要 な 資 金 支 援. と技 術 保 障 が欠 乏 す る た め 、 発 展 途 上 国 の 文 化 遺 産 は 、 先 進 国 の 文 化 遺 産 と比 較 す る と、 よ り厳 しい 脅 威 に 曝 され て い る。 参 考 の た め、 こ こで は い くつ か の 特 別 な 事 例 を ご紹 介 す る 。 非 主 権 国 家 が提 出 した絶 滅 に瀕 した 文 化 遺 産 所 在 地 。 ヨル ダ ン は1980年 、 エ ル サ レム の 旧市 街 地 と 旧城 壁 を 申請 した 。 こ こ は ユ ダ ヤ 教 ・キ リス ト 教 ・イ ス ラム 教 の聖 地 で 、 も っ とも 危 険 な地 区 で あ る の で 、1982年 に世 界 文 化 遺 産 に 指 定 され た 。 カ ン ボ ジ ア の ア ン コー ル ワ ッ トは 、1992年 に 危 機 に瀕 し た文 化 遺 産 に列 記 され た が 、2004年 に 解 除 され た 。 こ れ は 極 め て 幸 運 な例 だ と言 え る。 ア フガ ニ ス タ ン のバ ミヤ ン峡 谷 とイ ラ クの ア シ ュ古 城 は 、2003年7月. に. テ ロ リズ ム撲 滅 戦 争 の た め危 機 に瀕 した 文 化 遺 産 に列 記 され た。 イ ラ ン の バ ム 地 区 は 地 震 に よ っ て 文 化 遺 産 が 著 し く破 壊 され た た め 、 2004年7月. に 危 機 に瀕 した 文 化 遺 産 に列 記 され た 。 これ と同 時 に 、 ドイ ツ. の ク ロー ン教 会 堂 も付 近 に近 代 的 な 建 物 が 建 造 され た た め 、 危 機 に瀕 した 文 化 遺 産 に列 記 され た 。. 六. 日本の世界文化遺産機構の活動に参加する様子 と現状 日本 の 国 会 は1992年6月. 決 定 は 、1992年9月. 、 ユ ネ ス コ関 連 協 定 へ の 参加 を決 定 し た。 この. に 発 効 した 。 こ の 年 、 日本 は 法 隆 寺 ・姫 路 城 ・屋 久. 島 ・白神 山 を文 化 遺 産 あ る い は 自然 遺 産 と して ユ ネ ス コ に 申 告 した 。 こ の 申告 は 、1993年 に 認 可 され た 。 これ は 、 ユ ネ ス コ が 同 時 に認 可 した 一 国 に お け る も っ と も 多 くの 世 界 遺 産 で あ る。 現 在 ま で に 、 ユ ネ ス コ が 認 可 した遺 産 地 は 合 計788ヵ 所(文 所 、 自然 遺 産154ヵ 所 、 両 方 あ る 遺 産23ヵ 所)で. 化 遺 産611ヵ. あ る 。 そ の 中 に は 、 日本. の 文 化 遺 産 と 自然 遺 産 が10ヵ 所 ほ ど含 ま れ て い る。 世 界 遺 産 委 員 会 は1972年11月. に創 設 され 、1975年 に締 約 国 に よ って 認 可. され た 。 現 在 は 合 計178ヵ 国 が 参 加 し て い る 。 主 な 締 約 国 は 、 ア メ リカ. 5.

(6) 6. (1973年. に 参 加 、 一 時 期 辞 退 、2004年. カ ナ ダ(1974年 加)、. に 参 加)、. イ タ リ ア(1978年. に 復 帰)、 フ ラ ン ス(1975年. ドイ ツ(1976年. に 参 加)、. (1984年 に 参 加)、 中 国(1985年. に 参 加)、. に 参 加)、 イ ン ド(1977年. ギ リ シ ャ(1981年. に 参 加)、 韓 国(1988年. に 参 加)、 に 参 加)な. に参. イ ギ リス どで あ. る。. ユ ネ ス コ と世 界 遺 産 委 員 会 の本 部 は フ ラ ン ス の パ リに設 置 され て い る。 現 在 の 議 長 国 は 中 国 で 、 来 年7月. か ら は 南 ア フ リカ が 議 長 国 とな る 。. ご在 席 の 方 は 、 ほ とん ど仏 教 信 仰 者 だ と思 う。 そ の た め 、 こ こ で去 年 中 国 の蘇 州 世 界 遺 産 会 議 に お い て 日本 の 紀 伊 霊 場 お よび そ の 参 道 が世 界 遺 産 に指 定 され た 意 義 につ い て ご紹 介 した い 。 日本 の紀 伊 霊 場 お よび そ の 参 道 は 、 フ ラ ンス 南 部 地 区 とス ペ イ ン北 部 地 区 の 天 主 教 霊 場 お よ び そ の参 道 と 同 じ類 型 の 世 界 遺 産 で あ る。 と くに 高 野 山 の 真 言 宗 道 場 は 、 日本 の 弘 法 大 師 お よ び 中 国 の密 教 と密 接 な 関 係 が あ る寺 院 が 建 立 され て い る。 も ち ろん 、 そ こ に は 日本 の伝 統 神 社 や 自然 崇 拝 の 多 様 性 文 化 も保 存 され て い る 。 日本 は 今 後 、 古都 鎌 倉 ・彦 根 城 ・平 泉 中 尊 寺 ・石 見 銀 山 な ど を世 界 文 化 遺 産 に 申 告 す る計 画 が あ る よ うだ 。 こ の 中 で は、 古都 鎌 倉 ・平 泉 中尊 寺 が 世 界 遺 産 に 認 可 され る可 能 性 が大 き い と思 わ れ る 。. 七. 中国の世界文化遺産保護状況. 1972年11月16日. 、 フ ラ ンス のパ リで 開 かれ た 第17回 ユ ネ ス コ会 議 で 『世. 界 文 化 自然 遺 産 保 護 公 約 』 が 採 択 され て 以 来 、 世 界 遺 産 の保 護 活 動 と 申告 活 動 の影 響 が 日増 し に拡 大 す る よ うに な っ た 。 そ れ ま で は 、 ほ とん どの 国 が 世 界 遺 産 を 申告 しな か っ た が 、 現 在 は 多 くの 国 が積 極 的 に 世 界 遺 産 を 申 告 す る よ うに な っ た 。 これ は 自然 と 自分 自身 の 国 が創 造 した 文 化 の 価 値 に 対 す る認 識 が 深 ま っ た こ とを 反 映 す る も の で あ り、歴 史 的 な進 歩 だ と言 え る 。 中 国 は 『世 界 文 化 自然 遺 産 保 護 公 約 』 に 参加 して 以 来 、 世 界 文 化 遺 産 に 対 す る保 護 活 動 を 非 常 に重 視 し、積 極 的 に 参加 す る よ うに な っ て き た 。 中 国 は、 文 化 遺 産 の 保 護 に 大 き く寄 与 した 国 の 一 つ だ と言 え る 。 中 国 は 世 界 四 大 文 明 を 持 つ 古 い 国 で 、 約200万 年 前 の 旧石 器 時 代 に 人 類 活 動 の 遺 跡 が 発 見 され て い る 。 長 期 に わ た る歴 史 過 程 に お い て 、 中 国 の先 住 民 は勤 労 と英 知 に よ って 輝 か しい 中 華 文 明 を創 造 した 。 数 え切 れ な い ほ.

(7) 文化多様性 と世界文化遺産の保護 どの 歴 代 の貴 重 な 文 物 は 、 世 界 を驚 嘆 させ て い る。 国 家 文 物 局 の 統 計 に よ る と、 中 国 で は す で に 地 上 と地 下 の移 動 不 可 能 な 文 物 が40万 ヵ所 、 収 蔵 可 能 な 文 物 が1260万 件 以 上 も発 見 され て い る。 ま た 、 国 家 ク ラ ス の 重 要 文 物 保 護 部 門 が1271ヵ 所 、 一 級 行 政 区 ク ラ ス の 文 物 保 護 部 門 が7000ヵ 所 以 上 、 二 級 行 政 区 ク ラス と三級 行 政 区 ク ラ ス の 文 物 保 護 部 門 が6万. ヵ所 以 上 も設. 置 され て い る 。 歴 史 価 値 ・科 学 価 値 ・芸 術 価 値 に 基 づ い て 、 文 物 は 貴 重 文 物 と一 般 文 物 に 分 類 され 、 貴 重 文 物 は ま た 、 一 級 ・二 級 ・三 級 に 分 類 され る。 総 じて い え ば 、 中 国 の 文 物 は 世 界 文 化 遺 産 の 重 要 な構 成 部 分 だ と言 え る。 『世 界 文 化 自然 遺 産 保 護 公 約 』 は 、 世 界 遺 産 の保 護 につ い て 明確 な 規 定 を設 け て お り、 各 締 約 国 も 承 諾 して い る。 そ れ は 、 「国 内 の 文 化 遺 産 と 自 然 遺 産 の 確 定 ・保 護 ・保 存 ・展 示 ・保 留 は 、 主 に所 有 国 の 責 任 で あ る 。 各 国 は全 力 を尽 く して 自国 資 源 を最 大 限 に利 用 す べ き で あ る 。 必 要 が あ れ ば 国 際 援 助 と国 際 協 力 を 要 請 す べ き で あ る」。 これ は 国 際 的 な 確 約 で あ り、 各 締 約 国 は 厳 格 に遵 守 す べ きで あ る。 中 国 は20年 来 、 国 内 に 分 布 す る 文 化 遺 産 を保 護 す る た め 、5回. に わ た っ て 全 国 重 点 文 物 保 護 部 門 を公 布 し、. 101ヵ 所 の 歴 史 文 化 都 市 を 確 定 す る と共 に 、177ヵ 所 の 国 家 景 勝 地 、153ヵ 所 の 国 家 自然 保 護 区 、44ヵ 所 の 国 家 地 質 公 園 、342ヵ 所 の 国 家 森 林 公 園 を 画 定 して きた 。 中 国 で は 、 世 界 遺 産 委 員 会 に よ っ て合 計30ヵ 所 が 世 界 文 化 遺 産 や 世 界 自然 遺 産 に指 定 され て い る。 1982年 に 発 布 され た 『中 華 人 民 共 和 国 文 物 保 護 法 』 は 、 文 物 保 護 に 関 す る中 国 最 初 の 法 律 で あ る。 この 法 律 は2002年10月. に修 訂 され た 際 、 文 物 保. 護 に関す る 「 保 護 中 心 ・救 助 第 一 ・適 切 利 用 ・管 理 強 化 」 とい う16字 か ら な る活 動 方 針 を 明確 に した 。 同 時 にす べ て の 遺 産 所 在 地 の 管 理 活 動 に対 し て 政 府 主 導 ・属 地 管 理 ・部 門 協 力 ・公 衆 参 与 の 監 督 管 理 メ カ ニ ズ ム を確 立 し、 社 会 各 方 面 が遺 産 保 護 活 動 に参 与 す る よ うに した 。 この ほ か 、 文 物 窃 盗 ・文 物 密 輸 を厳 し く取 締 る 面 で も 、 厳 格 な 規 定 を策 定 した 。 総 体 的 に 見 る と、 中 国 の文 化 遺 産 保 護 活 動 は 法 制 化 ・科 学 化 を 基 礎 と し て お り、 ユ ネ ス コ を 初 め世 界 各 国 との 幅 広 い協 力 を踏 ま えて 、 文 物 保 護 レ ベ ル を著 し く向 上 した 。 2005年10月 、 ユ ネ ス コ主 催 の 世 界 古 代 遺 跡 会 議 が 中 国 の 西 安 で 開 催 され る。 この 会 議 に は、 世 界 各 国 の1000人 近 く の 専 門 家 や 学 者 が 出席 す る こ と. 7.

(8) 8. に な っ て い る。 会 議 の 開 催 に よ っ て 、 中 国 の 世 界 文 化 遺 産 保 護 活 動 は さ ら な る発 展 を 遂 げ る もの と確 信 し て い る。. (駐 日中 国 大 使 館 文 化 担 当). 参考文献 ア メ リカ 内 政部 編 、2004、 『 共 同の 大 地 』、 ア メ リカ 国 家 公 園管 理 局 出版 植 木 行 宣 著 、2005、 『世 界 の無 形 文 化 遺 産保 護 制 度 の 将来 』 国際 協 力 共 同編 、2000、 『敦煙 莫 高 窟 保護 総 体 計 画 』、 中 国 中国 建 築歴 史研 究 所 ・ア メ リ カガ ッテ ィー 研 究 所 ・オー ス トラ リア遺 産 委 員 会 ・敦 煙 研 究 院 国際 古 跡 遺跡 委 員 会 編 、2004、 『 古 跡 と遺跡 』、国 際 古跡 遺 跡 理 事 会 国連 世 界 遺 産委 員 会 編 、2003、 『 世 界 遺 産評 論 』、 ユ ネ ス コ 出版 国連 国 際 博物 館 協 会 編 、2004、 『 国 際 博物 館 』、ユ ネ ス コ出版 中 国世 界 遺 産委 員 会 編 、2004、 『 世 界 遺 産‑中 国 』、 中 国 文物 出版 社 出版 中 国考 古 学 会編 、2004、 『考古 』、 中国 文物 研 究 所 出 版 中 国古 建 築研 究 所 編 、2003、 『中国 建 築 芸術 史』、 中国 文物 出版 社 出版 中 国文 物 学 会編 、2004、 『文物 天 地 』、 中 国文 物 出版 社 出版 中 国社 会 科 学 院編 、2004、 『考古 学 報 』、 中 国社 会 科 学 院 考古 研 究 所 出版 中 国 国家 文 物 局編 、2004、 『 世 界 遺 産 リス ト』、 中国 文 物 報 社 中 国文 化 遺 産編 集 委 員 会 編 、2004、 『中国 文化 遺 産 』、 中 国 文物 報 社 中 国 国家 文 物局 編 、2004、 『中 国文 物 古跡 保 護 準 則 』、 中 国 古跡 遺 跡 保 護協 会 中 国建 築 歴 史研 究 所 編 、2001、 『 高 句 麗 王城 ・王 陵 ・貴 族墓 葬 保 護 計 画 お よび 実 施 』、 中 国建 築 研究 院建 築 歴 史研 究 所 日本 文 化 庁 文化 財 部 監 修 、2005、 『 文 化 財 』、(株)日. 本 第 一 法規. 日本 文 化 庁 文化 財 部 監 修 、2004、 『 文 化 財 保護 綱 要 』、(株)日 渡辺 明義 著 、2005、 『 奈 良 文 書 と大 和 宣 言 』. 本第一法規.

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