• 検索結果がありません。

九州大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "九州大学学術情報リポジトリ"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ニューラルネットとファジィの融合化技術 : NN→

ファジィ・ファジィ→NN

高木, 英行

松下電器産業株式会社中央研究所

http://hdl.handle.net/2324/4481564

出版情報:pp.1-13, 1990-10. 関西情報センター バージョン:

権利関係:

(2)

「ニューラルネットとファジィの融合化技術ー N N→ファジィ・ファジィ→N N  ‑」

1. 導入

この融合化技術の応用先としては、やはりファジィ の場合では制御への応用が早かったので、ファジィ推 論ヘニューラルネット (NN)を持ち込んだ場合が一 番多いようです。このことを、今の飯田さんのお話の ようなところに近づけて説明しますと、会話の中の表 現にファジィ的言語が使われていることを考えてみて ください。。例えば「大きく」とか「もっと…とか」

と言った場合です。これらの表現を単にシンボルとし て扱うのであれば、ただ単にそれは1対1の意味で処 理すればいいのですが、これらの表現に対するレスボ ンスを作ろうとすれば、 「大きい」と「非常に大きい」

というのは1対1のシンボルではなくて、程度ぐあい を考慮して何かしないといけないわけです。その程度

ぐあいを扱おうとすると、

そのアナログ的な部分が定義されておかないと使えな いわけで、この扱いのところにファジィとかN Nなど が使われてくるということになります。

今日は英語の資料が多くなりまして見にくいのです が、なるべく日本語の方も入れるようにします。

1.  1 融合化技術の究極のイメージ

私がどのような最終的イメージを持っているかと言 いますと、 「使っているうちに使いやすくなってくる」

というようなイメージの製品のようなものです。例え ばエアコンがあるとします。エアコンはルールベース システムで制御されており、例えば「温度が高くなっ てきたらもっとパワーを上げる」というようなルール が適用されているとします。しかし、 「温度が高くな ってきたら」、 「暑くなってきたら」という感覚は、

一人ひとりによって違うわけです。

ところが工場から出すときには、温度の特性に対し て「暑い」という概念はこのぐらいであるというメン バーシップ関数を標準設定して出荷するのです。この 関数は人に依存するわけで、使っているうちに少しづ つ変わってきてほしい、私なりの調整をしてほしい、

というようになると思います。

制御の場合はわかりやすいと思うのですが、最終的 にはこの考えを機械とやりとりしているうちに、使っ ている人が持っている感覚に機械が適応するようにし てやると、機械を相手にしているのではなくて、人間 を相手にしているような柔らかさみたいなものを感じ てくるのではないかと思うのです。そういうインター

松下電器産業j

中央研究所 電子機器基礎研究所 主任研究員 高 木 英 行 氏

フェース上の人間の柔らかさ、柔軟さみたいなものを 何とか出したい、柔軟さを出すためにはどんなものが 今現状の技術としてあるだろうかということを考える と、ファジィとかN Nとか旧来のAIであるとか、知 識処理ですね、そういうところがなんとなく使えそう な技術であると考えられるわけです。

それを順番に目的のところでしゃべるのですが、そ れぞれの技術にはそれぞれの特徴があるわけで、どれ がいいとか競争をするのではなくて、いいところはい いところなりに使いましょう、という考え方です。

まず最初に目的を話させていただきまして、融合化 技術というのはどんなものか、具体的に融合化技術と いうのはどう作られるのかということをお話させてい ただきます。その次に融合化技術の現状をお話します。

今までに報告されています融合化技術はあまりにもた くさんありますので、詳細は今お手持ちの資料を見て いただきまして、そのうちの適当なところをばらぱら とお話します。最後に、この融合化研究というのは今 後どちらの方向に進んでいくのだろうか、現在何が足 りないのだろうかということを話させていただきます。

2. 融合化技術の目的

2.  1 三技術の歴史 2. 1. 1 ファジィ理論の歴史

まず最初に、歴史的なお話をさせていただきます。

ファジィというのは'65年にザディー教授の論文 から始まったと言われていますが、概念的には' 3 0  年代からあったという話も、この夏に、飯塚で開かれ

ましたニューロとファジィの国際会議でありました。

最初の頃はあいまいという言葉自体に問題がありま して、ファジィという言葉を英語を母国語とする人が 聞きますと、本来の「ボケた」というような意味がど うしても付いてしまいますので、なかなか見向きもさ れない。日本だったらよかったかも知れないですが、

論理を信奉する国のアメリカで発表しても誰も相手に してくれないという状態がずっと続きました。

'7 0年代の終わりから実際の適用例が出始めた。

なんとなくうまくいっているというところから、目が ちょっと変わってきました。特に日本の方で、例えば 仙台の地下鉄とか、現在のように家電まで各社が競争 して入ってくるようになりますと、何か違うというよ うな見方が、逆に世界の方に与えています。

ただ、日本の場合は工学者がファジィをやっていま

(3)

すが、中国などでは数学屋さんがファジィをやってい ます。国によって違うみたいですね。融合化技術の研 究をやっていますのは日本が一番盛んです。これはフ ァジィも従来のAIもN Nも全部盛んであるからです。

アメリカの場合ですと、ファジィの方の力が相対的に 弱いので、融合化というものがなかなか出てこないの です。中国はN Nにも興味を持っているのですが、な にせ計算機パワーがかかる問題ですから、まだ立ち上 がりがそこまでいっていないのが現状です。

2.1. 2 N Nの歴史

一方N Nというのは、最初のニューロンのモデルか ら出発して、バーセプトロ ンで研究のビークになりま した。しかし、あれはどうもこれぐらいしか能力が無 いという話でポシャッてしまって、それ以後は細々と 続いていた研究がまた最近のN Nプームで華々しくな

ってきた。

2. 1. 3 A Iの歴史

従来のAIの場合ですと、最初の期待はずっと高か ったですね。どんどん伸びて第五世代だとかいう話に なってくると、一般の人たちも関心を持ってきて、さ らに盛り上がった。

昔はエキスパートシステムというのは、プロトタイ プとしては山とできたけれど実用化は非常に少なかっ た、という批判が非常に多かったのですが、現在はあ まりやかましく言われなくなりました。その代わりに、

実用化レベルのものが非常に増えてきているようです。

日経AIが毎年1月号に特集で、アンケート調査を出 していますが、この調査を見ると実用化の数が変わっ てきています。 2、3年前の論文や解説記事を見ると、 実用化が少ないという批判がたくさんあったのが、今 はそのようなことはもう言えなくなってきたという感

じがしています。

それともうひとつ、 N Nとかファジィとかいった別 の技術が出てきていますので、そういうの知識表現と か知識獲得の方へ影響を及ぼしています。

2.  2 競合か協調か?

ここで見ていただきたいのは現在の状態です。現在 は三者三様に全部花が開いているということ、ここか 強調したいところです。

そうすると、どういうことが起きるかというと、ひ とつのタスクに対して、みんな適用されてくるような 形ができてくるわけです。例えば証券運用の面で言い ますと、野村証券さんは大阪大学と一緒になって、従 来のエキスパー トシステムで攻めてきたわけです。ま た山一証券さんはファジィ推論でいっています。 N N では大和証券、日興証券で、 NECや富士通と一緒に やっておられます。これは今日の話題とは違うのです が、日興証券さんはまた、広中平佑さんを呼んできて 数学モデルでアプローチしている。テレビのC Mでも

出ていますので、御存知かと思いますが。

このようにひとつのタスクに対して、従来のAIも やるしニューラルもやるし、ファジィもやる。これを 競争していると見るか、どう見るかですね。これは競 争しているというよりも、それぞれの技術にはそれぞ れいい点があると見ると協力者になりうるのではない かと思うわけです。

2. 2. 1 三技術の性格

そこで、それぞれの技術をもう 1回、個々に見てみ ましょう。

従来のアルゴリズム、例えば事務計算とか数学モデ ルとかOAのプログラムとか、そういうプログラムの ものはすべてが論理がわかっていますから、 weI I  の領域ですね。それに対して知識処理とかファジィと かN Nというのは人間っぽいものを目指そうとしてい ますので、ちょっと i1 1の世界があるわけです。そ のモヤッとした世界の中でも、従来の知識処理という のは論理構造がはっきりとしたものを対象としていま すので、モヤッの中でも結構we1 1の世界ですね。

それに対してファジィとかN Nはモヤモヤという世界 なのです。その中でもファジィロジック、ロジックと ついているように論理が柱です。モヤモヤモヤのN N

とちょっと論理性が見えるものと、ちょっと性格が違 うわけです。

2. 2. 2 三技術の長所

さらに個々の長所を見てみますと、旧来のA I、こ こでAIと言っているのは知識工学的なものだけを指 しているわけですが、現在の知識工学というものは、

これらをも包含したような方向へ進んでいきますので、

わざわざ旧来のと断わったような付け方をしています が、歴史と投入された研究者のパワーが違いますから、

こちらの方が知識表現の扱い方に対して一日の長があ るわけです。

ファジィの方は何がいいかと言うと、我々人間が日 常生活で使っているようなファジィ変数、例えば形容 詞みたいなものですね、そういうものを使って知識表 現ができるという点にあります。私がこのファジィ論 理で一番いいと思っていることは、論理とあいまいさ を切り分けたというところです。論理というのは、例 えばファジィ推論などを見ていただきますと、論理と いうのはルールで表されています。あいまいさという のはメンパーシップ関数で表されるわけです。従来の エキスバートシステムですと、うまくいかない場合は、

ルールをいくらでもチューニングしたり作りなおした りしました。でもファジィの場合はそうではありませ ん。論理はもう触る必要はないわけです。それは不変 のものであるから。

ところがあいまいさの部分がそこに含まれているか ら、この部分はチューニングしないといけない。チュ ーニングすべきものはあいまいさのメンバーシップ関

(4)

数だけであるわけです。従来のものは、例えば熟練者 の動作をなんとかするエキスパートシステムを作った 場合に、その熟練者の持っているはっきりした論理の 部分と、モヤッとした、こうやってやればいいのだと いう部分があるにもかかわらず、モヤッとした部分ま でルールで対処しようと無理をしているから、ルール そのものに論理とあいまいさとが混じってしまい、結 局チューニングには論理も変えなければいけませんで

した。この点に問題があったわけです。

それからもうひとついい点は、通常のエキスパート システムというのはルールが20 0、 30 0というの が結構ざらだと思いますが、それをファジィ推論に置 き換えますと、ルールが約10分の1にすることがで きる点です。これは置き換えた人の話によりますが。

2 0、 30のルールであれば、我々の把握できる範囲 にあるのです。それが20 0、 30 0もあったら、我 々の頭の中に入らないわけです。全体が捉えられやす いということになります。

なぜ10分の1まで減るかと言うと、これはまた後 でも出てくるかも知れませんが、例えば「温度が高け れば」ということに対して、従来のやり方では何度か ら何度まではどうする、何度から何度まではどうする といったように、細かく分けざるを得なかったからで す。

N Nでは何が一番いいかと言いますと、非明示的な 知識を学習機能によって自動獲得できるという点が一 番大きいと思います。

今見ていただきましたように、 N N、ファジィ、従 来の知識工学的なものというのは、性格も違うし長所 も違う。だから柔軟な知的処理というものを目指すた めには、これらが協力し合って、新しい融合化技術と して仲間として使おう。どれがいいとか悪いとか、競 合者としてではなくて、いいところは使う、各技術が 重複しているこの辺によさそうな技術が存在しうると

いうのが最終結論です。

2. 2. 3 融合化技術の適用領域

以上が目的ですが、もうひとつ目的っぼいところを お話したいと思います。

この図がすべてを物語っていると思います。我々が 何かさせたい仕事があるとします。それは制御でもい いし、 パターン認識でもいいし、何か他の仕事でもい いのですが、そういうタスクがあるとします。もしそ のタスクの論理がはっきりわかっているのならば、ル ールベースとか知識ベースといったシステムで対処す るのが一番いいと思います。逆に、その論理は全然わ からないがデータだけはただあるというような問題で あるならば、それはN Nのようなデータによって駆動 されるシステム、 data‑basedsystemというか、 data‑ driven systemというようなシステムで対処するのが一 番いいと思います。

でも大抵の場合はこの中間の領域ですね。ある部分 はなんとなく分かるけれども、ある部分は分からない というのがほとんどではないかと我々は思うわけです。

このような場合、こちらのルールベースシステムでや ると、どうしてもあいまいなところが表現しきれなく て、ルールを一所懸命作り直すということになります

し、こちらのN Nである程度論理がわかっているとこ ろまでやろうとすると、時間がかかり無駄なことがあ る。本質的な論理が表現できないという問題がその中 心にある。ですから、融合化技術として両方が使える。

論理も扱えるし、データの中に表現されている非明示 的な知識も扱えるというような、そういう技術が必要 になってくるわけです。それが融合化技術が目指して いるものだと考えられます。

後者の例を述べますと、パターン認識の場合に、大 ざっぱにはこういうふうに分かれているらしいという ことが我々にわかったとしたら、これは明示的な知識 ですね。この境界分離の線がどうなってというような 具体的なところはデータにしかわからないわけで、つ まり言葉で表現できないわけで、このような非明示的 な部分はN Nのようなものにやらせればいい。

それから例えば、彫刻する人がいて、非常に上手な 名人芸の人がいるとします。その名人芸の人はどう削 ったらいいかという大ざっぱなところの説明はできる と思いますが、具体的な部分になりますと、こうすれ ばいいのだということを口ではよく説明できないわけ です。習字でもそうですね。うまい字をどうやって害 いたらいいのですかと聞かれた時に、 一所懸命その持 ち方はこうでと、論理で表現できる場合もあるけれど、

その説明は書道の習得の極一部でしかなくて、それを 聞いただけで我々がじょうずな字は書けるようにはな らないいわけです。しかし、こうやって害けばいいと 言ってその人が上手に書いたデータはあるわけです。

例えば座標データだとか、圧力とか。したがって、こ うすればいいと口で説明できた明示的な知識と、その 人が実際に動かして得られたデータに含まれる非明示 的な知識と、両方が扱えればもっとすんなり知識処理 ができるだろうと思うわけです。

そのために両方の知識が扱えるシステム、 論理も扱 えるしデータも扱えるシステムが必要になってくると 思います。これが融合化システムです。

3. 融合化技術のレビュー

お手持ちの資料1の中にはN N十ファジィ、 N N + エキスパートシステムという2つの融合化の各方法が 章を分けて入れてあります。 今日はこのうちN N十フ

ァジィのところだけをお話させていただきます。

3.  1 融合化の接点

(5)

N Nとファジィはどこが似ていて、どこが違うか。

ファジィ理論というのはいろいろな側面があり、その 代表的な理論は、ファジィ論理とファジィ測度とファ

ジィ集合と言われています。このうちファジィ集合は すべての基本に位置付けられています数学的背景で、

このファジィ集合があちこちの分野にくっついてでき た理論・技術はファジィの冠を持ったいろいろな表現 をされています。ファジィ論理というのは論理学と結 びついたファジィ理論の一部で、論理性が一番の長所 です。一方N Nは学習機能が一番の長所です。ここが、

N Nとファジィの違うところです。

また似ている点もあります。シグモイド関数に代表 されるN Nの出力特性はこのような形をしていますが、

この形状とメンバーシップ関数の形が何となく似てい ますね。共に0から1までのアナログ値で連続的に表 現されていますね。もう 1つ、演算にも似た点があり

ます。 N Nですと積和演算をやります。入力信号と重 み係数との積和演算をしたあと全部を加算して出力を 決めるのですが、ファジィの演算にも同じアナロジ一 があって、入力値とメンバーシップ値との積算をした あと全部を加えて最終出力を求める演算をします。こ れら2点が似ているところです。

では具体的にどうやって融合化するかという話です が、今の似ているところをォーバーラップさせて融合 化技術を作るか、違っているところをうまく両方合わ せ持つようにするかです。この似ている部分と言いま すのが、 N Nですとシグモイド関数、ファジィですと メンバーシップ関数ですから、この 2つを共通点とし てくっつけるというのがひとつの方法です。

ニューロンの場合ですと、入力にシナプスの重みを 積算されてここで加算される。それに対してファジィ の場合は、先ほどと同じ入力Xlがファジィルールベ ースシステムに入力されますと、 Xlに対する各ルー ルのメンバーシップ値で重み付けされて、つまり掛け 算ですね、それらがmax演算で全部足し合わされま す。このようなアナロジーがありますから、ここをう

まく融合点にする研究もあります。

以上で1. 1の目的、そして、どの様に融合技術を 作るか、という話を終わります。次は現状がどうなっ ているかというお話をさせていただきます。

3.  2 初期の融合化研究

今、接点というお話をしました。初期の融合化研究 はどんなものがあったか。 最初の研究は' 74年の二 ューロンモデルに始まります。ニューロンのモデルに ファジィを導入したものです。一番最初のニューロン モデルは'43年のMcCulloch‑Pittsのモデルなのです が、 このモデルには2値のステップ関数が入っていま

した。1か0かというニューロンのモデルだったので すが、この関数をなめらかにしたというのが' 74年

のモデルで、 O lまでの連続値をとるようになった という点にファジィの概念が入ってきました。

最近はN Nをファジィの方へ持ってくる研究がほと んどなのです。でも最初の頃は、逆にファジィを神経 生理の方へ持ってきていたというのが現状と違って、

ちょっと面白いところです。神経生理というのは直接 的には皆さん方に関わりがないと思いますので、 3番 から話したいと思います。

3.  3 メンバーシップ関数の設計

融合化研究で一番多いのがこの 3番のところです。

ファジィは'65年から始まって以来、応用分野へも うまく展開されているのですが、生まれた当時から問 題点がありました。それは、メンバーシップ関数とい うのはあいまいな部分を表現するのですよ、とは言っ てきたわけですが、ではそれをどうやって決めたらい いのですか、という話は全然解決されませんでした。

このことを言い始めると、そこから一歩も前に進めな くなってしまうので、初めにメンバーシップ関数あり き、という立場で理論は全部進められて来ましたし、

現在までの応用展開もその立場でやってきたわけです。

極端な言い方をすると、メンバーシップ関数の設計論 というのはタプーというか、そういうことを言ったと ころでどうしようもない、というようなことがあって、

やられてこなかったわけです。

ところがN Nみたいにデータから学習機能で特性を 決められる技術が出てきますと、実際の熟練者が動か しているデータに合わせる、チューニングさせるよう なこともできるようになります。このメンバーシップ 関数の設計にN Nを使った研究が多く出始めました。

3. 3. 1 2値論理とファジィ論理

まずファジィというお話をします。ファジィ制御が 一番イメージに合うと思っていただいていいですが、

一般のルールベースシステムというものがどういうも のかということを一言で言いますと、センサからの入 カで構成される入力空間があります。この入力空間を 如何に分けるか、ということがルールベースシステム の一番の本質です。入力空間のこの領域に入力がある 場合には1番目のルールが働いて、この領域の時には 2番目のルールが適用されて、というように場合分け して対処する、これがルールベースシステムです。

従来の知識工学で使われていました2値論理とファ ジィ論理とはどこが違うかと言うと、場合分けした領 域ルールが適用される領域、がはっきりクリスプに 分けられたものか、あるいは境界付近をどちらでもい ぃ、つまりルール1もルール4も両方とも適用される ような領域を許すか許さないか、この点が違っていま す。

例えば「温度か高い時は(X)の処理をする」 という 場合を考えてみましょう。 「もし 30度以上ならば

0

(6)

〇する」のルールに対して、 29. 9999度でもこ のルールはいっさい適用されない。 このようにパシッ と分けるのが2値論理です。一方、だいたい30度だ ったら1だけど、29. 9999だったら0. 9 9 9  9ぐらいの適用でこのルールが適用される、というの がファジィ論理に基づいた推論で、どの程度属するか

という度合がメンバーシップ関数です。

3. 3.  2 非線形メンバーシップ超曲面

従来のファジィ制御の場合は、 これらの変数毎にメ ンバーシップ関数を設計していました。温度が低くて かつ湿度が低いならばルール1を適用してとか、温度 が低くてかつ湿度が高ければルール2を適用して、と いうように、変数毎に独立に設計されたメンバーシッ プ関数を組み合わせてルール毎のサプ空間を決めてお

りましたので、各サプ入力空間はこのような超直方体 になります。多次元入力空間を超直方体に場合分けす るのが従来のファジィ制御のルール分割でした。

でもこちらの方が自然だと思いませんか。温度の変 化に伴って湿度も影響を受けますから、この図のよう な非線形な関係を表わすルール分割の方が実体に即し ているのではないかと思います。ところがこういう設 計はできなかった。なぜできなかったかと言うと、人 間の経験・感覚だけでは多次元空間上の超曲面という 複雑な設計か難し過ぎますし、温度が低い領域という ように単純に言葉で表せません。少なくとも言葉で「

暑い」とか「低い」とか言っている限りにおいては、

こういう設計は絶対にできません。この温度という 1 次元だけを考えても、このような場合分けを何という 言葉で表現していいか、言いようがないですね。 「低 い」とは言えるけれども、この領域に対応する表現は できないですから。このような超曲面を表現しようと 思いますと、 N Nの非線形性の力を借りないとできな いわけです。この考えが、後でお話するN N駆動型,

N Nをファジィ推論導入しようという話、につながり ます。

3. 3. 3 N N駆動型ファジィ推論

ルールベースシステムとは、というお話をしました が、その核心は入力空間をいかに分けるか、という話 でした。このルール分割の際に、非線形な領域に分け

られるとさらによかったわけです。

そこでここにN Nを導入します。入力空間上のルー ル領域をこのN Nで分けさせるのです。するとこの N Nは非線形に領域を分割します。しかもこの N Nは、

「どこのルールに属するか」という 1つの数字を出力 するのではなくて、 「1番目のルールには9割ぐらい 属して、 2番目のルールに3割ぐらい属して・・・」とい

うような、あいまいなというか中間的な属し方を出力 します。ですからこれを使えば、ファジィ集合的に入 カ空間を分けることもできるし、かつ非線形に入力空 間を分けることもできる。先ほどの問題がすべて解決

できるわけです。

以上は IFの場合のN N処理です。 TH E Nの場合 はN Nでやってもいいし、他の処理方法でもいいので すが、この、入力空間をN Nでファジィルール分割す るということがN N駆動型ファジィ推論の本質なので す。そうすれば入力変数の温度が

00

で湿度が△△と 入って来るとこのN Nはそれぞれのルールにどの程度 属するかということをファジィ的に出力します。この 動作については後でもう少し詳しくお話したいと思い

ます。

今のが融合化の第1番目の例です。ルールベース論 理的にはファジィ推論をやるのですが、そこの入力空 間の分け方のところにN Nを使うことによって従来の ファジィ推論ではできなかったことができるようにな ったわけです。

3. 3. 4 メンバーシップ関数の簡易チューニング法 それからこれは、もう少し簡易的な方法で、三菱さ んがやられたものです。この部分がなければ、従来の ファジィ制御そのものです。温度なり湿度なりという 各入カベクトルが入ってきて、ルール1番目はここが 働く、ルール2番目はここが働く、ルール3番目はこ

こが働きます。従来の認知論理の場合ですと、このル ールの中で最も強いものを競合解析して、そのうちの 1つのルールが有効になるのですが、ファジィ推論の 場合はすべてのルール出力か有効です。有効な度合が 違うだけで、各ルール出力をMAX演算で最終的な値 を出します。

ところがシステムを作った最初の段階ですと、性能 的には素人的な動きしかできません。このシステムは 加工機のコントローラで、熟練者か加工する動作のフ ァジィ推論をするものです。システムが出来たばかり の時は、必ずしも熟練者のような推論はできなくて、

素人的です。どの程度属するかというこの部分をN N で調整することによって、システムの性能を玄人並に 近づけようというわけです。

先ほどの我々がやったN N駆動型ファジィ推論です と、入力空間の分け方の形状を学習で変えていくわけ ですが、これは形状を変えません。各メンバーシップ 関数の形は全く固定しておいて、振幅というかゲイン だけを調節することにN Nを適用しているわけです。

N Nで自動的にメンバーシップ関数のゲインを調整す ることによって、最終的には玄人並のシステムに変わ っていくというシステムです。この例の場合、ファジ ィ制御のチューニングという点にN Nが入って行きま した。

3. 3. 5 N Nによるメンバーシッフ関数の設計の長所 今日は時間の関係でこの2つしかお見せできません が、メンバーシップ関数の設計にN Nを入れるとどう いう特長があるかと申し上げます。

まず、設計時間が短縮されます。従来人間が一所懸

(7)

命試行錯誤でやっていたのに対し、 N Nの学習だけで 設計が終わってしまうからです。我々が倒立振子の実 験でやった場合ですと、 30時間か40時間かかった ものが、通常のアクセラレーターなしのパ ノコンでで 3 0分で収束する。人間の介在がありませんので当然 このように早くなります。

2番目として、これは非線形なメンバーシップ関数 でも作ることができます。単に非線形であるだけでな く、各変数毎の超直方体ではなくて、多次元超曲面に することもできます。

それから専門家の動作から得られたデータがあれば、

そこから自動的に非明示的な知識を獲得することもで きます。

これは今後の話ですが、使っているうちにその人な りに使いやすくなるように適応的に変えていきたい、

使っている環境に応じて動的に適用させたいという要 求も、学習機能を使えば実現できる可能性があります。

以上が学習機能をファジィ制御とかファジィ推論に導 入したことによる特長です。

3.  4 知識獲得・表現

3. 4. 1 ニューロ・ファジィ・エキスパートシステム 次に、知識獲得とか知識表現という分野にN Nを用 いた場合のお話をします。

これは生化学検査の、血液の献血をした時にデータ を送ってきますね、あのデータを放り込んで、その人 に肝疾患がないかどうかを判断をするシステムです。

従来の判別関数を用いて識別しますと63. 2 %の識 別率だったものが、ファジィ表現ができるような特殊 なN Nを用いますと71 %に上がりました。さらに、

このN Nからファジィ推論ルールを抽出して、ファジ ィエキスパートシステムを構築したところ、 87.  7 

%になった、というものです。ただし、この2つ数字 は評価基準が違うので、同じように上がった、と単純 に見てもらうとちょっとまずいのですが。過去のデー タを用いて、従来以上の性能になるまでN Nの学習を し、 その学習したN Nの中から知識を取り出して、フ ァジィ推論ルール表現にした。ここが知識獲得です。

従来のN Nから知識を獲得するということは、ほと んど不可能なことなのです。このN Nの場合、各ニュ ーロンが3値しか取らない、 ー1か0か1しか取らな いという特殊な形をしていますので、このように知識 獲得が容易になった、というわけです。さらに獲得し たルールは、メンバーシップ関数で言語的なあいまい さを表現するような形で知識獲得をした、ということ です。

N Nから直接ルールを取り出して、 2値論理の従来 型エキスパートシステムを構築した例も昔あるのです。

N T Tの横須賀通研さんで、頭痛かなにかの診断をや ったものがあります。あれになりますと、ルールが非

常に多く多くなって、実験数値は出ていますが、結局 うまくいかなかった。

なぜ思ったようにうまくいかなかったかと言うと、

N Nから獲得した知識表現が2値論理のルールですの で、ルールの重要度合が全然わからないわけです。少 しでもN N入出力の因果関係があればすべて抽出され てしまうし、こうして得られたルールを捨てていいか どうかわからない。ところがこういうファジィ表現的 ルールにしますと、重要度の低いいらないルールをど んどん捨てていくことができて、重要なルールだけに 集約させたからうまくいった、という報告でした。

3.  4.  2 N N内蔵倒立振子

上の図だけ見て下さい。これは制御の場合です。あ るシステムがあって、それをルールベースシステムで 制御するというのが通常のシステムです。この部分は ファジィ制御でもいいですが、ここに並行してN Nを 配置します。この制御部のチューニングをしながらシ ステムの制御を行なうことによって、システム全体が うまく活きてくるようになる。人間がルールベースシ ステムをファジィ制御でうまいことやろうとする場合 のチューニングという部分を、 N Nに代行させるシス テムです。先ほどの例は茨城大学の林先生と慶応大学 が一緒になってやられた例が、この例はザデー教授の

ドクターコースにいた台湾の学生の研究です。

3. 4. 3 N N畑 麟 現

これは東海大学がやられた例です。先ほどと同じで す。あるシステムがあって、このシステムが動いてい る。このシステムを制御するファジィ制御がここにあ ります。このファジィ制御のルールをうまくチューニ ングするために、このシステムと同じ動作をするよう にこのN Nを学習します。つまり、このシステムに、. このような制御をしたら出力があった、別の制御をし たらこのような出力があった、というシステムの入出 力関係をN Nに学習させるのです。そうすると、この N Nはシステムと同じ動きをしますから、このファジ ィ制御器がこう制御信号を出すとシステムはこう動く、

という予測ができることになります。そうしますと、

このN Nをシミュレータにして、ファジィ制御ルール のチューニングもできることになります。つまり、こ のN Nはシステムの動特性の知識源として用いられて いるわけで、人間が従来やっていたようなことをN N の方で知識表現として内部で持っていて、それでうま

く制御ルールをチューニングさせるというやり方です。

どうしても時間の関係で、観念的な話だけになって しまいますが、それはお手持ちの資料の中でそれぞれ の文献をあげていますので、それで詳しく見て下さい。

3.  5 ファジィ認知図 3.  5.  1 ファジィ認知図とは

次はファジィ認知図というお話をします。 ファジィ

(8)

認知図とは、因果関係を有向グラフで表現したもので す。残業する→給与が上がる→給与が上がるとレジャ ーが増える→レジャーが増えると残業時間が減る→だ から給料が減るとか、例えばこのような因果関係があ りますね。このような場合、常に100%の因果関係 があるわけではありません。残業が増えたら給与が増 えるというのは100%かも知れませんが、だからレ ジャーが増えるというのは7割ぐらいの因果関係かも 知れない、というように各因果の関係をネットワーク で結んで、この程度具合いを途中に記述したようなも のだと思っていただけば結構です。

これは結構、知識を表現しやい知識表現手法と言え ます。残業する→バグが増える→受注が減る→そうす ると給与が減るというような関係で。従来の木構造で 知識表現をした場合には、フィードバックループがあ るともうお手上げになってしまうのですが、このファ ジィ認知図はそのような知識関係でも表現できるとい う大きな長所があります。ただ、フィードバックルー プ系がこのように存在しますので、必ず収束するとい う保証はないですね。その知識を矛盾と見るか、収束 しない動的な知識表現であると納得せざるを得ないの ですが。

3.  5.  2 浄7炒易制御への応用

これは浄7似場のボンプ制御の因果関係を表わしたも のです。雨が降ってきたときに、雨の強さ、水位、そ の変化の3つのパラメータが最終的なボンプの制御と どのような因果関係があるかを示したものです。この 浄7jd易の制御というのは、非線形性が非常に強くて、

従来のPID制御とか現代制御とか言われる方法で制 御しましても、なかなかうまくいかなったものです。

今までの現代制御などの例は対象となるシステムが線 形で表せるという前提の下にモデル仕様を作りますか ら、非線形性が強いとどうしても誤差が増えてなかな か制御できなかったという例です。

これにファジィ認知図を使ってみます。この方法の 面白い点は、この専門家1の持っている知識はこれぐ らい、専門家2はこういう知識を持っていて、 3番目 の人はこういう知識を持っている、 4人目はまた違う 知識を持っている、つまり4人はそれぞれ違う知識を 持っているわけです。この4人は違う知識を持ってい るけれども、これをひとつにまとめることができる点 が特長です。

なぜまとめることができるかと言うと、ここがこの 認知図のいいところなのですが、 1つ 1つの要素を各 ノードだと考えますと、どこの要素からどこどこの要 素の関係がこうあるわけですから、これは行列で表現 できますね。何番目から何番目の要素の関係はどうだ というのは、二次元行列の要索で表わされます。専門 家1の知識も行列、専門家2の知識も行列、 4人とも マトリックスで表現されます。マトリクスで表わされ

た各知識に、各専門家の信頼度で重み付けします。こ の人はまだ新前だから0. 3ぐらいとか、この人は何 十年のベテランだから1だとかいった重み付けをしな がら、ただ単にマトリクスを足し合わせるだけでいい わけです。その結果、信頼度を加味した4人の知識の 総合知識の新しいマト リクスができるわけです。その マトリクスをネットワーク表現すればこの図のように なります。

ですから複数の専門家が違う知識を持っていても、

これらの表現のマトリクスをすべて包含する最大の要 素を持ったマトリクスで表現すれば、全部共通項があ りますので、それぞれの専門家の信頼度具合いに応じ て最終的な総合知識ができる。そうすると、これは知 識表現にもなるし、インタビューなんかで得られてき た矛盾がある知識などもこれで解決できたりするわけ です。これがファジィ認知図のいい点なのです。

実際にやってみますと、なかなか難しい面もあるよ うです。先ほどの収束するかといった問題もあります し、安定せず常に動的状態に陥ることもありますので、

そういう状態がこの場合の知識表現であると考えない といけませんから。

3.  6 クラスタリング・バターン認識

6番目はクラスタリングとかパターン認識です。ク ラスタリングの方はOHPを持ってきていませんが、

パターン認識に使った例をお見せします。これは文字 認識に適用した例です。

手書きの文字の軌跡をいろいろ集めてみると、よく 通る領域というのがありますね。この部分はだれか~ いても通る。この辺は、書く人によってばらつきが大 きいから、通っても通らなくてもいい"DON'TCARE"の 領域といえますね。それから絶対に通ってはいけない 領域もあります。

3」を書いた場合ですとこの部分 はだれが書いても通ってはいけない領域になります。

ところがこの領域というのは、その境目をはっきり と閾値などで分けられるかというと、これは分けられ ませんね。人によって入ったり入らなかったりします。

ですから文字領域上のこの線を横にした右の図を見て いただけばわかるのですが、ここはほぼ文字軌跡が通 る領域、だからといってこの領域の端は0かというと、

この程度ぐらいは頻度的通っている、ということで、

これはメンバーシップ関数とか頻度グラフというか、

そういうもので文字軌跡の領域を表すことができます。

ですからファジィ表現ができるわけです。

そうしますとこの手書き文字は、

IFこの空間的 領域をたくさん通って、かつこの領域をあまり通らな ければ、 THEN・・・・」というファジィ推論ルールを 使って認識できるわけです。それを今日の初めに融合 化技術を作るための接点と述べました形、この場合で すとニューロンの形で表現することができます。 メン

(9)

バーシップ関数がニューロンでいう重み係数の形で掛 け合わすのです。これは山川先生のご発表のものです が、 N Nの形で作ったファジィ推論の形をしています。

3.  7  N Nとファジィシステムの縦属接続

最後の7番目の場合は、これは融合化というよりは、

カスケードにつないだものです。ファジィを最初走ら せてその出力をN Nを入れるとか、その逆に、 N Nを 最初に走らせてその出力をファジィヘ取り込むとか。

縦属接続、コンピネーション、組み合せ、の形態の例 です。

3.  7.  1 音声認識の例

これは日立中研さんがやられた音声認識の例です。

最初にN Nが音声認識を行なう。そして出てきた答え をそのまま信頼するのが従来のN Nによる認識ですが、

ちょっと待てよ、という部分がここに入るわけです。

論理的に見てその認識結果はどうもおかしいとか、前 後関係からするとどうもおかしい、とかいった判断を 後段に付けることによって、最終的な性能を上げよう とするシステムです。初めはパターン処理を行い、そ の後、論理で押さえつけて、矛盾があればはねるとい うやり方は融合化というよりは、単純な組み合せです。

このような研究が第1例としてあります。

3. 7. 2 官能判断の例

また日産自動車の場合は逆で、最初にファジィの論 理の方でやっておいて、その出力を、人間の特性に合 わせて学習したN Nに判断させる、という形の縦属接 続でやってこられました。

3. 7. 3 エキスパートシステムの前処理

縦属接続技術か融合化技術かという観点からすると、

非常に単純な話で、融合化ではなくてただくっつける だけの処理です。しかし、従来の知識処理としてエキ スパートシェル等がありますから、そういうシェルの 前にN Nを接続することは簡単であり、新たに融合化 技術用のエキスパートシェルを作ることを考えれば、

簡便な方法としてもっとこの接続形態のシステムが普 及してもいいのじゃないかと思います。

例えば今のカスケード接続の例で言いますと、会社 は忘れましたが、次のような報告があります。これは、

センサからの時系列信号がこうあり、そのセンサ信号 を基にエキスバートシステムが何かしらの処理をする という形ですが、センサからの時系列信号パターンと して入ってきますので、最初にN Nでパターン処理を してシンボルに変換し、これを従来のシンボリックな エキスパートシステムに放り込むというシステムです。

これですと、ーから全システムを開発しなくても、従 来のツールを組み合わせるだけで簡単にシステムが組 めますので、こういう形態のシステムがもっと普及し てもいいのではないか、と私は思っています。

3. 7. 4 株式売買の判定

これはN Nにファジィを入れた例です。株の売買を するものです。テクニカル分析されたデータがあって、

専門家がこれを見て今は売りだとか買いだとか決める のですが、それをN Nに学習させるものです。 N Nは 数値のパターンがこういう場合は売り、こういう場合 は買いだとかいった形で学習します。しかし、ただ単 にそのN Nを10 0 %信じるのではなくて、その後フ ァジィ推論で補強し、 「こちらの程度具合いが大きく てこういう場合はどうこうする」といった形で、もう 少し上位の処理を行い信頼度を上げるというシステム です。これは日本ユニシスさんが2年前のComputerW  orld・88で出展された例です。

3.  8 まとめ

叫 、 融 合 暉 術 の 諏 を お 話 を さ せ て い た だ き ま した。

もう一度、今までに述べましたことをまとめさせて いただきますと、 (1)初期の頃は神経生理の方ヘファジ

ィが入って行きました。 (2)現在の融合化研究はこの領 域が中心になっていて、メンバーシップ関数をいかに 設計するか、それをN Nが自動的に決めるという方法 でファジィの側へ導入した例。 (3)それから知識表現と

して用いるもの。従来のようにIF‑THENという 形で表現するのもひとつだけれど、 N Nというのもひ とつの知識表現の方法です。何回か学習を繰り返しま すと、学習に応じた出力が出てきますから、 N Nをひ とつのシステムの中に組み込む、もしくはファジィ推 論ルールを作るためのデータ獲得、データの中に含ま れている非明示的知識のN Nによる獲得、そして表す という方法です。 (4)ファジィ認知図というのは、複数 の専門家がいろいろ持っている断片的な知識を統合し て表すことができるようなネットワークでした。 (5)パ ターン認識とクラスタリングというのは、 N Nのクラ スタリングと程度具合いがファジィ的なところを重ね 合わせたような話でした。 (6)最後は、融合化ではなく て組み合せの例でした。この形態のシステム応用はも

っと広がってもいいのではないか、という話でした。

4. 融合化技術の今後の研究方向

では今から、今後どう展開していくべきかという話 をさせていただきます。

今後どうあるべきか、ただしこれは私の個人的な意 見です。まず知識の自動獲得がN Nでできて、それを ファジィの中に導入できるという話をしました。これ が可能になるとどうなるか、次に順に見ていきたいと 思います。

知識獲得・表現とか、メンバーシップ関数の設計に N Nを組み込むという融合化がそうなのですが、 プロ

トタイプが既にたくさんの人から報告されています。

(10)

しかも実用的の観点からしますと、これらの多くは結 構実現できそうなレベルに達していますので、今後は 具体的な応用例、実際の問題に適用されて行くと思い ます。現在の、仮想問題というか作意的なデータを用 いた評価の段階を越えて、今後は実際に適用されるよ

うになってくると思います。

2番目のこの点については今日はお話しませんでし た。

それからこういう話がもっと進んでいくためには、

ツールが必要になってくると思います。今までの第二 世代のエキスパートシェルというのは、いろいろな知 識表現方法ができました。黒板モデルとかも扱えるよ うになりました。 N Nもひとつの知識表現ですから、

そういうものも扱えるようなツールができると、今後 この融合化の展開がもう少し進み易くなるのじゃない かと思っています。

私は、次のこの項目に注目していて、今、主に取り 組んでいます。推論関係か状況に適応するというもの です。これは使っていれば使っているうちにだんだん 使いやすくなってくる、というものです。

今、個性の時代とか言られますね。人と同じものは 嫌だとか。昔、ヒューマンインターフェースの会議が できたときにこういう話がありました。 「一番最初は 職人の世界だった。そのときは人間が機械に合わせる ものだった。そして機械に早く適応した人が職人にな れた。その後、マンマシンインターフェースという言 葉が流行った。これは人間と機械は対等になりましょ

う、という言葉だった。今なぜ学会がマンマシンイン ターフェースという言葉を使わずに、ヒューマンイン ターフェースという言葉を使ったかというと、機械が 人間に合わせるべきだということだからです。」

この適応するとはまさにそういうことで、人間の使 い勝手のいいように機械の方が合わせてほしいわけで す。そのためには、機械に学習機能があればできる可 能性があります。ファジィ推論にはこのような学習機 能がありませんが、 N Nは学習機能を持っていますの で、うまく融合化技術ができれば機械に適応機能を持 たすという方向に向かっていけるだろうと思います。

単純に学習機能を持たせれば適応機能を実現できる と思われがちですが、実際にはなかなか難しい面もあ ります。 N Nをやられた方はご存じだと思いますが、

過去のデータを全部持っていれば、追加学習をして新 しい状況に収束させることはすぐにできます。ところ が、 「使えば使うほど...」を実現する場合、どれ だけ新しい学習データが来るか分かりませんから、限 られたメモリは過去のデータを全部持つことは不可能 なわけです。

するとどういうことになるか。この図で説明しまし ょう。初めに、例えばこういう四角いもので標準的な ルールを作っておいて、 「私の好み」ということでこ

の辺をちょっと変更したような形に適応させたいとす ると、この全部の学習データを持つことはできないわ けです。時々刻々変わってきますし、それが無限に続 くわけですから。それをここの部分だけを新たに変え たい、つまり追加する学習データだけを使って、しか も元のルールの大筋を変えずに、何とかこの部分だけ のルール形状を変更したい。このような条件下で適応 学習をしないといけないわけで、これは非常に難しい 話なのです。現状のN Nで単純に追加学習をしますと、

この追加学習データの領域に特化してしまったような 学習ができてしまうわけです。これは非常に危ないわ けです。ロボットでこのような事が起こると、 本質に 安全性を考量して設計したルール形状までも無視して、

その人の好みに合わせることも有り得るわけですから、

怖いわけです。

こういう安全性というものは論理を押えないといけ ないところですね。 N Nで押えようとしてもそれは難 しい話で、基本的な枠組みは論理で押さえつけておい て、その論理がある程度許すような範囲、モヤモヤし た部分だけをN Nで適応学習をするということになる と、安全性も確保されていいのじゃないか。そのため にもやはり、融合化技術というのが必要になってくる と思うのです。

次の項目はファジィの方の世界の話ですから、適応 の話ではないのですが、ファジィの世界でもネットワ ーク状の

00

というシステムか結構出始めているよう です。今N Nの研究者の数がぐっと増えています。ニ ューロLSIだとか、光ニューロだとか並列処理だと か、非常に盛んです。そういうものがファジィの世界 にも影響を及ぼすだろうと私は思います。このような N Nがファジィの方に影響を及ぼしてくるひとつの例 をお見せしたいと思います。

光ニューロというと多くの記事がありますので、新 聞等でご覧になった方も多いと思います。では、こう いうことは見られたことがあるでしょうか。光でファ ジィ推論をするというものです。これもN Nの分野の 光ニューロ、光コネクショオンというものが、ファジ ィの世界に影響を及ぼしている例です。この間の7月 にあったファジィとニューロの国際会議のときに、も

しこの発表があれば非常に関心を集めたと思うのです が、忙しいということで発表が取りやめになり残念で

した。

次の項目の詳細は、後で、 N Nにファジィを持って くるという話のところでさせていただきたいと思いま す。 N Nの適用は完全に目をつぶって学習をするしか 手がなかった、そこで知識構造をN Nに組み込みたい、

そのときの知識構造としてファジィ推論が使える、と いうお話です。

後でお話しますのは、ファジィのIF‑THENル ール形式をN Nに入れるという内容です。設計のとき

(11)

にこれをN Nに入れることによって、例えば次のよう なことができます。 N Nのグローバルミニマムがここ にあり、ここに学習を収束させたい。今までのやり方 では乱数で初期化した状態から学習を始めますので、

運がいいとこの辺からすっと収束させられますし、運 が悪いとこの辺から学習が始まって収束までものすご く時間がかかります。途中でローカルミニマムに落ち 込むこともあります。

ところが、もし推論ルールで「IFCX)ならば・ ・

.」とルール表現できれば、目指すべきだいたいの収 束先をルールで表現できるわけです。そうすると、た とえ多少ずれていたとしても、収束先の付近から学習 をスタートできるわけですから、収束も非常に早りま す。つまり本筋を見逃さないわけです。この方法は、

重み係数の設計時に、乱数ではなくてもう少し論理的 な構造を導入することで実現できます。富士通研さん もこのアプローチをされていますし、後で発表する私 のモデルもこのようなことを目指しています。

もうひとつ。先ほど言いましたように、安全性に関 して「このシステムは安全です」と言いたいときでも、

N Nではなぜ安全かを説明できないでしょう。 「この N Nは過去の学習例では確かに人を殺すことはありま せんでした」と言っても、使う側とするとやはり怖い ですよね。論理で「こうやっていますから」という説 明をできないと、お客さまには使ってもらえません。

そのような場合、やはり論理性がN Nの中に入ってく る必要があります。

5. N N駆動型ファジィ推論

下の2つのお話はそれぞれ無関係のものではなくて、

兄弟みたいな関係がありますので、省略できるところ があるかも知れません。

5.  1 ファジィ論理の長所

初めはファジィ論理と2値論理の話です。音声学の 話ですが、例えば

/s /

という摩擦音があります。こ の摩擦音を認識するようなルールを書いたとします。

2値論理では

4kHz以上パワーが !kHz以下の マ で、

とつ持続長がlOOms以上ならば、

THEN 摩擦音 (確信度

o .

8) 

という、クリスプで、ある値を境に適合するルールし か書けないわけです。確信度を付けたりすることもあ りますが、これはIF部の各ルール領域を表現してい るのではありません。このルールが採用されれば一律 に0. 8と決ってしまうものです。

2値論理ですと例えば「lOOms以上持続したら」 というルールの場合、入力が99. 999999であ ったらこのルールはいっさい適用できないわけです。

これは我々の感覚とちょっと違います。世の中にはシ ンボルではっきり分けられるものもあります、男と女 かとか。そういう場合は2値論理でいいのですが、こ のような物理現象の場合、これは100%当たって、

これは100%当たらないというのはおかしな話です。

この2値論理のルールををもう少し滑らかにしよう とすると、もっと細かい場合分けをしないといけませ んから、ルールがどんどん増えてします。だから先ほ どのルールが20 0、30 0にもなるという事になり ます。この例のような物理現象的な話は、本質的に2 値の論理・クリスプな表現ができるのでしょうか、こ れはできないと思いますね。世の中には2値論理表現 ができるものとできるものがあって、この例はできな いものを無理に2値論理表現したものです。

また、従来の2値論理の推論ではどれかひとつのル ールが勝ち残るというやり方をしますが、なぜルール の競合解消をしなくてはいけないのか。そういう2値 論理推論の問題もあります。

今と同じルールをファジィ論理で書きますと、

次の項目は誰もやられていませんが、これを実現さ れた方は皆さんから非常に着目を浴びるだろうと思い ます。NNの学習という問題がありますね。私は、 N Nの学習の中にファジィを持って来れるのじゃないか、

という感じを持っています。今はこのような組合せは 何もないのですが、私にはこのような N N学習にファ ジィを導入できる、という気がします。今のバックプ ロパゲーション (BP) にしても、微分してどんぴし ゃの精度で学習をするわけですよね。そうすると32  ピットは必要になってきます。工夫して16ビットで 学習しても、通常の B P法では、うまく終息しないで しょう。精度がものすごく要求されますから。 「グロ ーバルなのはあの辺」というところがもしわかれば、

最後の詰めは精度がいるかも知れませんが、もう少し 大ざっぱに、かつ、さっと収束先に近づいて行けても いいと思うのです。こういう点、つまり最初ころは粗 くてもいいから速く、というところに、ファジィの考 え方が使えないだろうかと思っています。これは融合 化研究の穴場だと思いますよ。

声 音域のパワーが麟域のパワーより

かつ持続時間も長い 以上、融合化研究は今後どちらの研究方向へ進んで

いくべきか、というお話をさせていただきました。あ と15分しかありませんが、下の方の2つの話をさせ ていただきます。

THEN 摩擦音

というように、かなり定性的な表現をします。専門家 はだいたいこのような音声学上の知識を持っています。

さらにもう少し具体的な知識もあって、 高音域という

(12)

のはだいたいどの程度かということを常識的な知識で 持っています。そこで、高音域であるというのはこの メンバーシップ関数に示した領域である、ということ をルールに持たせるわけです。でも専門家は、 「高音 域とはだいたいこのあたりから」という漠とした知識 を持っていますが、それをこのような具体的な形状と して持っているわけではありません。このようなファ ジィな部分を含んだ知識、これが人間が本来持ってい るルールです。 「高音域とは」というメンバーシップ 関数があれば、従来の2値論理が滑らかなルールを作 るために多くの場合分けをして増やしたルールを、ひ とつのファジィ論理ルールで全部包含しまいますので、

ルールが大幅に減ることになります。

私は、論理とあいまいな部分を分離するという考え 方が、ファジィ推論の一番いい点だと思っています。

論理の部分はルール記述で、あいまいさの部分はメン バーシップ関数に担当させます。このメンバーシップ 関数か推論を裏で支えている黒子であって、この関数 があるからあいまいさの処理が可能になったのです。

5.  2 ファジィ推論の課題

このようにいい点はあるのですが、問題は、どうや ってメンバーシップ関数を決めたらいいか、という事 です。ファジィの世界の方ではこの点についてずっと タプーのような雰囲気があって、誰も言わなかった。

それからもうひとつの問題は、従来のように各入力 変数毎にメンバーシップ関数の設計をしていると、フ ァジィルール分割された入力空間は超直方体にしかな らざるを得ないのですが、この図のように非線形なル ール分割をした方がもっと自然じゃないか、という点 です。 このような非線形なルール分割は従来の設計法 ではできない。これが従来のファジィ推論か抱えてい た問題点です。

5.  3 N Nの導入

そこで、推論の部分はファジィ推論を使い、メンバ ーシップ関数で表わす経験とか勘どころという部分は N Nでやらせましょうというように、役割分担をさせ た考え方がこれからお話しますN N駆動型ファジィ推 論です。

結局、NNにメンバーシッ才関数の設計をさせると いうことなのですが、果してN Nにメンバーシッガ関 数が決められるのでしょうか。 この図は実験的にN N に中年のメンバーシップ関数を決めさせたものです。

明らかに中年だというこれらの年齢データと、 10 0 

%中年じゃないという年齢データの2種があります。

これをN Nで学習しますと、 N Nの内部でこのような 連続関数を形成します。この関数形をメンバーシップ 関数として使いましょう、という考え方が、このN N 駆動型ファジィ推論の一番の根本です。 ところで、こ

の私の年を若者の学習データすべきだったですね。私 の年もだんだんこの中年の領域に入ってくると、説明 図を早く老人のメンバーシップ関数の図に切り替えな ければいけないのですが。

5.  4  N Nによるメンバーシッ才関数の設計 N Nでメンバーシッ才関数の設計ができるというこ とが分かりましたから、次は、具体的にN Nに設計を させるにはどうしたらいいか、という話です。

まずこの2つの変数を、例えば温度と湿度とします。

温度と湿度がこういう組合せの場合はこのルールとい ぅ、学習のためのデータがあるとします。この時、似 た入カデータには同じルールを適用する、という考え 方を前提とします。この考え方はおかしくないと思い ます。似たようなデータには同じルールを適用する。

そこでこれらの学習テ'ータを クラスタリングすること によって、どのデータが似ているかがわかりますから、

明らかに固まっているグループ、この場合ですと 3つ のグループ、か得られます。このグループの数がルー ルの数に対応します。そうすると、この学習データは 明らかにルール1、このデータもルール1、温度力℃)

0

で邸変が△△のときはルール1です。また、温度が

O

△で邸変が△〇ぐらいのときはルール3ですよとか いったデータとルールの関係をどんどん学習させるわ けです。

そうすると、このN Nは何を学習するかというと、

右の図のような形を学習するわけです。この学習デー タを入れると、もちろん100%ルール1だとN Nが 出力しますが、この辺のデータを入れても、元の学習 データに似通っていますから10 0 %ルール1だと出 力するでしょう。では、この赤で示した境界上のデー タを入れるとどうなるでしょうか。この場合、ルール 1には4割ぐらい属して、ルール2には3割ぐらい属 して、ルール3には2割ぐらい属しているとか、例え ばこのような出力をして来るわけです。

5.  5 システム構成

このN Nの出力値をルールが適用される領域への帰 属度、つまりメンバーシップ値として使えるわけです。

だからN Nがメンバーシップ関数の設計に使える。 一 旦こうしてメ ンバーシップ関数が出来上がってしまっ たら、後センサからどんな入カベクトルが入っても、

このN Nは各ルール毎の帰属度を出力しますので、I F‑THEN形式ファジィ推論ルールのIF部に相当 することになります。

例えばこの図のような例があったときに、縦軸と横 軸を温度と湿度と考えますと分かりやすいと思います が、この領域ならルール2でいきましょう、この領域 だとルール3で制御しましょう、という領域とルール の対応があります。そして IFこの領域の温度と湿度

参照

関連したドキュメント

地下鉄(瑞穂運動場東駅)方面 地下鉄(瑞穂運動場東駅)方面 野球場 野球場 関係者駐車場 (立ち入り禁止区域) 関係者駐車場 (立ち入り禁止区域) 売店基地 2F

2 スピーキングに関する調査研究 (1) スピーキング調査実施に当たって

Clinical Research Center, National Hospital Organization Kinki-chuo Chest Medical Center. Correspondence to: Masaji Okada, Clinical Research Center, National

Adam Smith, Smith's Plastics, 8 Crossfield Road, Selly Oak, Birmingham, West Midlands, B29 1WQ Mr.. Adam Smith Smith's Plastics 8 Crossfield Road Selly Oak Birmingham West

株式会社コロナ コロナエコキュートがHEMS対応 ※1 と新リモコンでさらに進化

5 6 迫力のエンジン特性と広範囲にわたる回転数 を備えたパワーにより、

3 コメに特化した他機関の援助としては、世界銀行(世銀)が 2011

~ 1 ~ 地下埋設工事等指導要綱 地下埋設工事等指導要綱(昭和55年2月28日制定)の全部を改正する。 目次 第1章 総則(第1条―第4条) 第2章