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問題解決仮定におけるコラボレーシティブ活動の内面化プロセス−ソースモニタリングエラーを指標として [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)問題解決過程におけるコラボレーティブ活動の内面化プロセス −ソースモニタリングエラーを指標として− キーワード:内面化プロセス,コラボレーティブ活動,ソースモニタリングエラー 人間環境学府行動システム専攻 奈田 哲也 序論. に行っていくためには,他者が活動したり,感じている. ≪従来のコラボレーティブ活動研究≫ 子どもの認識は,. のと同じように,自分がその活動を行ったり,感じてい. 大人とのコラボレーティブ活動を通して行われた環境の. くことで,他者の経験を自身の中に再構成していくこと. 獲得活動(精神間機能)が,しだいに内面化され,自身の. が必要なのである(Stone, 1993).. 中で行われるようになっていく(精神内機能)ことで発達. ≪内面化が生じているのを示す指標としてのソースモニ. していく(Vygotsky, 1986).コラボレーティブ活動とは,. タリングエラー≫ 以上のように,コラボレーティブ活. 同じ,または,異なるレベルの知識や経験をもつ複数の. 動により他者の活動を自身の活動として記憶する機会が. 人間が協同で作業することにより,共有された 1 つの目. 与えられた結果,他者の活動をも自身の活動として記憶. 標を達成していく活動である.そして,従来のコラボレ. するように,自身の中に他者の活動を再構成していくこ. ーティブ活動による問題解決を扱った研究では,コラボ. とで,他者の知識などが内面化されると考えることがで. レーティブ活動による問題解決を経験することで,1 人. きる.そのため,Ratner ら(2002)は,上記の内面化プロ. では発見できなかった新たな知識を獲得したり,既有の. セスとして考えられる活動により,他者の活動と自身の. 知識を修正していくことができるようになり, その結果,. 活動の判別がつかなくなり,誰が何をしたのかを言うの. 後に 1 人で問題解決を行った場合に,自らその方略を使. が難しくなる(=ソースモニタリングエラー)だろうと考. 用できるようになるというような,コラボレーティブ活. えた.しかも,そのように,ソースモニタリングエラー. 動の有効性が述べられてきていた.また,これらの研究. が生じる際には,自身の活動として他者の活動を再符号. では,コラボレーティブ活動と,その活動後の問題解決. 化しているがために,自分が他者の活動を行ったとする. 方略や知識との量的な(相関的な)関係を述べるに留まっ. 誤り(=エラーバイアス)が多くなると予測した.. ていた.そのため,上記で述べたコラボレーティブ活動. ≪Ratner ら(2002)の研究≫ Ratner らは,コラボレー. における知識の内面化プロセスに関しては,ほとんど検. ティブ活動を行うことにより,知識の内面化がより多く. 討されてこなかった.しかしながら,コラボレーティブ. 生じる際には,エラーバイアスもより多く生じるという. 活動における知識の獲得を研究していく上においては,. 量的な関係を示すことで,上記の仮説を立証した.. 内面化プロセスを明らかにしていくことは重要な課題と. ≪Ratner ら(2002)の研究の問題点≫. いえる.なお,内面化に関しては,単なる人から人への. Ratner らの研究には, 手続き上, 幾つかの問題点がある.. 情報の伝達というよりは,他者とのやりとりを通じて,. ①被験児の年齢に関して−Ratner らは,ソース判断能力. その場に外在化された知識が自己の中に取り込まれたり,. の低い 5 歳児を被験児としていた.そのため,コラボレ. 自己の既有知識が変容していくことと定義する.. ーティブ活動ではなく,被験児のソース判断能力の低さ. ≪内面化プロセス≫ 内面化プロセスとは,コラボレー. により,エラーバイアスが生じていた可能性がある.. ティブ活動をしている,その状況に埋め込まれているも. ②内面化の指標に関して−問題解決過程は,複数の要素. のであり,そこから,個人(個人の活動)だけを切り離し. によって構成される多段階の過程である.そのため,そ. て考えることはできないプロセスである(Rogoff, 1990).. れぞれの段階でソースモニタリングエラーが生じている. そのため,コラボレーティブ活動では,人は,他者と協. 可能性がある.しかし,Ratner らは,エラーバイアスを. 調したり,共通目標に調和させるように,自身の活動と. 測定する際に,1 つの段階で生じたソースモニタリング. 他者の活動を記憶する結果,他者の活動も自身の活動も. ングエラーにしか注目していなかった.. 一体化されたコラボレーティブ活動として表象化される. ③コラボレーティブ活動の状況設定に関して−コラボレ. ことになる.そして,表象化は,2 者間の視点のやりと. ーティブ活動とは,共に課題のやり方を考えていく活動. りを通して,他者との協調を高めていくことで推し進め. であり,課題の解き方を教えてもらう活動ではない.し. られる.つまり,上記のような表象的プロセスを効果的. かし,Ratner らは,コラボレーティブ活動において,ヒ 1. しかしながら,.

(2) ントを与えていたために,結果的に,被験児に課題の解. ョン,自己関与測定,妨害課題,ソースモニタリングテ. き方を教えるという活動になっていた.. スト,ポストテストの 6 セッションで構成されている.. ④コラボレーティブ活動の関わり方における分析法に関. 1.プレテスト−実験者と共同で課題を行う前に,被験児. して−Ratner らの手続きでは,コラボレーティブ活動に. が,どれだけお使い課題を最適に行うかの有効方略を身. おいて,与えるヒントの多寡により,コラボレーティブ. につけているかを確認するために行う. 活動の関わり方に差異が生じている可能性があった.し. 課題の目的(①札で示された品物全てを買って学校に. かし,Ratner らは,そのコラボレーティブ活動における. 戻ってくる,②学校まで戻る際に回り道しないようにす. 関わり方の差によるエラーバイアスやパフォーマンスの. る)と地図の回り方のルール(①地図上のマスが 1 歩であ. 程度の異なりを検討していなかった.. り, 早く回るためにはマスを少なくしなければならない,. そのため,コラボレーティブ活動における内面化プロ. ②いったん進んだら,その道を後戻りできない,③店が. セスをより実証的に示していくためには,それぞれの問. 2 店ある場合は,どちらか回り道しなくて良い方の店に. 題点をクリアしていかなければならない.. 行けばよい)と補助的手段の利用(①地図に何を書いても 良い,②札をどう動かしても良い)を教示した後,被験児 1 人で課題を行う.また,被験児が課題を行った後,方. 方法 被験児:小学校 3 年生 29 名(平均年齢 9.34 歳). 略の使用に関しての確認(①2 店ある店に関して,実際に. 課題:お使い課題−紙に書かれた仮想の地図上の道をた. 行った店を選んだ際の,その選び方についての方略,②. どりながら,渡された札に書いてある品物すべてを,で. 地図の回り方に関して,どうしてそう回ったかについて. きるだけ早く,回り道しないように買ってくる. の方略)を行った.また,もし,被験児が,③自発的に,. *買ってこなければならない品物の半数に関しては, 売っ. 行かなければならない店に印をつけていたり,④札を動. ている店が 2 店あり,どちらの店に行けば回り道しなく. かしていたりしたら,その行動を行った理由を尋ねた.. て良いかを,他の店の配置などを考慮しながら選ばなく. 2.コラボレーティブセッション−実験者と共に,お使い. てはならない.. 課題を行っていくことで,被験児にお使い課題を行うの. 課題構造(Fig. 1):この課題を行うために必要と考えら. に有効な方略があるということに気づかせるために行う 課題構造で述べた段階に従ってコラボレーティブ活. れる知的活動が含まれる段階は,以下の段階である. 1.分類段階 行かなくてはならない店(1 店の店と 2 店. 動を行う. 3.自己関与測定−コラボレーティブセッションにおいて,. ある店)と行かなくても良い店を明確にする段階 2.ルート選択段階. どれだけ自己関与していたのかを確認するために行う. 回り道しないで買い物できるよ. ①課題をやり終わった時に,時間がたつのが早かった. うな店や行き方を選んでいく段階.なお,この段階 には,以下の 3 つの下位活動が含まれる. 2-1.ルート提示と理由付け活動. と感じたかどうか,②課題をやっている時に,おつかい 課題以外のことを考えたかどうか,③課題をやっている. どの行き方で行け. ば回り道しないで良いかを考えて,理由を明示して. 時に,一生懸命したかどうかを 5 件法で尋ねた.. その行き方を示す活動. 4.妨害課題−短期記憶内の記憶を消去するために行う. 2-2.ルート決定活動. 計算課題を 2 分間行う.. ルート提示と理由付け活動で. 示された 2 つの行き方から回り道しなく良い行き方. 5.ソースモニタリングテスト−ソースモニタリングエラ. を選ぶ活動. ーが生じ,さらに,エラーバイアスも生じているかどう かを確認するために行う. 2-3.決定ルート実行活動 ルート決定活動で決まっ. コラボレーティブセッションで書いた線がすでに書か. た行き方で,実際に地図に線を引く活動. れている地図を見せ,選択段階における各活動を行って. 3.確認段階 行った店の札をどけて,残りの店を明確. いたのは誰かを尋ねる.. にする段階. 6.ポストテスト−コラボレーティブセッションで被験児. 手続き: 実験は,プレテスト,コラボレーティブセッシ 店へのチェック. ヒント. 被験児の理由付け. 正. 実験者の理由付け(誤). 被験児の線決め. 実験者の線引き. 実験者の理由付け(正). 実験者の線決め. 被験児の線引き. ルート決定活動. 決定ルート実行活動. 誤. ルート提示と理由付け活動 分類段階. ルート選択段階. 札の移動. が気づいた有効方略が,どれだけ被験児に身に付いてい. ヒント. るかどうか,プレテストに比べ,どれだけ有効方略を使 用できるようになっているのかを確認するために行う 課題終了後の方略に関しての確認における③,④の行. 確認段階. *太字の箇所がソースを尋ねる際に用いた活動. 動を行わなかった場合にも,なぜその行動を行わなかっ. Fig. 1 コラボレーティブセッションにおける実験の流れ. 2.

(3) たのかを尋ねた以外は,上述したプレテストと同じ.. った.. データ処理:各被験児において,①エラーバイアスが生じ. ルート提示と理由付け活動(Fig. 2, 3) ①の分析では,. たことを示す指標として,I did エラー数(他者が行った. バイアスの有無の主効果とテスト時期の主効果が見られ. 活動を自分が行ったと誤って述べたエラー),You did エ. た(それぞれ,F(1,20)=28.74 p<.01,F(1,20)=5.26 p<.05).. ラー数(自分が行った活動を他者が行ったと誤って述べ. さらに,②の分析でも,テスト時期の主効果が見られた. たエラー),エラーバイアス数(I did エラー−You did エ. (F(1,13)=5.41 p<.05).しかしながら,どちらの分析でも,. ラー)を求めた.また,②被験児のパフォーマンスを示す. 交互作用は見られなかった. 指標として,過剰距離(被験児が地図を回るのに要したマ. 交互作用が見られなかったということは,この段階に. ス数−地図を最も効率的に回った際のマス数),獲得距離. おけるエラーバイアスは,パフォーマンスには影響しな. (ポストテストの過剰距離−プレテストの過剰距離),他. いということを示している. 12. 店考慮点(2 店ある店に対する,店選択の理由づけの程度). 10. を求めた.. 100. バイアス無し群 バイアス有り群. 80 70 過 60 剰 50 距 離 40 30. 他 8 店 考 6 慮 点 4. 分析の視点:エラーバイアスが内面化の程度に与える影 響を検討するという本研究の目的に沿うならば,エラー. 20. 2. バイアスの有無とプレテスト,ポストテスト間のパフォ. バイアス無し群 バイアス有り群. 90. 10 0. 0. ーマンスの差異における交互作用に焦点化する必要があ. プレ テスト時期. Fig. 2 テスト時期ごとの,各群における他店考慮点 の平均値 (ルート提示と理由付け活動). る.さらに,その交互作用が,ルート選択段階における 各活動において,どのように異なるのかを見ていく.. プレ. ポスト. ポスト. テスト時期 Fig. 3 テスト時期ごとの,各群における過剰距離の 平均値(ルート提示と理由付け活動). ルート決定活動(Fig. 4, 5, 6) ①の分析では,テスト 時期の主効果が見られた(F(1,25)=32.32 p<.01).また, ②の分析では,交互作用が見られた(F(1,19)=2.16 p<.05).. 結果と考察 ≪ソースモニタリングエラーとパフォーマンス(Table 1,. そのため,下位検定を行ったところ,バイアス有り群に. 2, 3)≫ χ 検定の結果,ルート決定活動における I did. おけるテスト時期において,単純主効果が見られた. エラー数が,他の活動における I did エラー数より多か. (F(1,20)=7.63 p<.05).さらに,獲得距離に関して,バイ. った(p<.05).そのため,ルート決定活動におけるエラー. アスの有無による,t 検定を行ったところ,有意差が見. バイアスが,他の活動におけるエラーバイアスよりも多. られた(t(11.14)=-2.44 p<.05).. 2. くなっていた(p<.05).このことは,他の活動に比べ,ル. バイアス無し群において,プレテストからポストテス. ート決定活動という活動は,コラボレーティブ活動を行. トで,過剰距離の変化はなかったにも関わらず,バイア. った結果,他者の活動を自己の活動と誤って記憶しやす. ス有り群では,プレテストよりもポストテストで得点が. くなるということを示している.. 低かったということは,ルート決定活動におけるエラー. プレテストよりもポストテストにおいて,過剰距離が. バイアスが多いほど,より,その地図の最適な回り方に. 短くなったということと,他店考慮点が高くなったとい. 近い回り方で地図を回ることができるということである.. うこと,そして,方略を使用する人数が多くなっていた. このことは,ルート決定活動において,エラーバイアス. ということは,コラボレーティブ活動の効果があったと. が多いほど,ポストテストの距離から,プレテストへの. いうことを示している.. 距離の変化が大きかったということからも分かる.この. Table 1 各活動におけるソースモニタリングエラーの,M ,及び,SD 全体 i didエラー You didエラー エラーバイアス. ルート提示と理由付け活動. ルート決定活動. ことは,他者が行ったルート決定活動を自分が行ったか. 決定ルート実行活動. M. SD. M. SD. M. SD. M. SD. 2.62 1.72 0.90. (0.94) (0.96) (1.08). 0.86 0.64 0.23. (0.71) (0.49) (1.02). 1.48 0.67 0.81. (0.64) (0.62) (0.88). 0.85 0.90 -0.05. (0.59) (0.64) (0.94). のように誤って記憶することにより,地図を効率的に回 ることに関する方略がより内面化されたということを示. Table 2 各パフォーマンスのプレテスト,ポストテストにおける,M ,及び,SD. M 他店考慮点 過剰距離. SD. プレテスト. 7.31. ポストテスト. 10.34. (3.00). プレテスト. 74.82. (41.24). 53.05. (37.95). -21.77. (45.12). ポストテスト 獲得距離. している.. (3.89) Table 3 プレテスト,ポストテストにおいて,分類段階,確認段階の各段階を行った人数 プレ○・ポスト○. プレ○・ポスト×. プレ×・ポスト○. プレ×・ポスト×. 分類段階. 0. 0. 9. 20. 確認段階. 10. 100. 12. 2 11 6 *○=その段階を行った,×=その段階を行わなかった. ≪エラーバイアスとパフォーマンスとの関係≫ エラー バイアスとパフォーマンスの関係を分析するにあたって, ①他店考慮点と②過剰距離に関して,各活動におけるバ. 10. バイアス無し群 バイアス有り群. バイアス無し群 バイアス有り群. 90 80 70 過 60 剰 50 距 離 40 30. 他 8 店 考 6 慮 点 4. 20. 2. 10 0. イアスの有無(バイアス有り,バイアス無し)とテスト時. 0 プレ. ポスト テスト時期. 期(プレテスト,ポストテスト)の 2 要因の分散分析を行. Fig. 4 テスト時期ごとの,各群における他店考慮点 の平均値(ルート決定活動). 3. プレ. ポスト テスト時期. Fig. 5 テスト時期ごとの,各群における過剰距離の 平均値(ルート決定活動).

(4) 20. 12. 10. 10. 0 獲 得 - 10 距 離 - 20. バイアス無し群. 知識の内面化プロセスとしての一般的な認知プロセスか. バイアス無し群 バイアス有り群. ら生じていたということが,より明確に言えるようにな. 他 8 店 考 6 慮 点 4. バイアス有り群. った. しかしながら,本研究では,Ratner らとは異なり,問. 2. - 30. 題解決過程における段階を多段階に設定した結果,他の. 0. - 40. プレ. バイアスの有無. 活動よりもルート決定活動におけるエラーバイアスが,. ポスト テスト時期. パフォーマンスの上昇により関係していたということが. Fig. 7 テスト時期ごとの,各群における他店考慮点 の平均値(決定ルート実行活動). Fig. 6 各群の獲得距離の平均値(ルート決定活動). 決定ルート実行活動(Fig. 7) ①の分析において,テス. 判明した.このことは,ルート決定活動には,その前の. ト時期の主効果が見られた(F(1,18)=23.88 p<.01).しか. ルート提示と理由付け活動で行った,自分の理由付けと. し,交互作用は見られなかった.. 実験者の理由付けを考慮しながら, 地図の店配置を見て,. 交互作用が見られなかったということは,この活動に. どちらの行き方がよいのか吟味した上で,行き方を決定. おけるエラーバイアスは,パフォーマンスには影響しな. するというように,他の活動よりも地図を効率的に回る. いということを示している.. 上での多くの方略が含まれているためと考えることがで. エラーバイアスの有無におけるコラボレーティブ活動の. きる.つまり,ルート決定活動においてエラーバイアス. 関わり方の違い(Table 4). ソースを尋ねた活動全体の. が見られた被験児は,ルート提示と理由付け活動や決定. エラーバイアスにおいて,エラーバイアスがよく見られ. ルート実行活動でエラーバイアスが見られた被験児より. た被験児(エラーバイアス=2)とエラーバイアスが見られ. も,地図を効率的に回るための多くの方略を内面化して. なかった被験児(エラーバイアス=0)各 1 名ずつにおいて,. おり, その方略を用いることで, ポストテストにおいて,. それぞれの被験児におけるコラボレーティブ活動の関わ. 地図を効率的に回ることができるようになったと考えら. り方が,どのように異なっているのかを検討するため,. れるということである.. コラボレーティブセッションにおける,実験者と被験児. また,エラーバイアスが見られた被験児,見られなか. のそれぞれのターン数とそのターン 1 回における語彙数. った被験児において,コラボレーティブ活動の関わり方. の平均値を求めた.また,非言語活動として,コラボレ. を検討した結果,その 2 者において,話の内容に聞き手. ーティブセッションにおける,被験児が実験者の方を見. が注意を払っていることや内容を理解していることを伝. たアイコンタクト数と,実験者の言葉に対して被験児が. える機能を果たしている頷き(メイナード, 1993)の数が. 頷いた頷き数も求めた.. 異なっていることが判明した.このことから,エラーバ. それぞれの値に対して,総ターン数が同数になるよう. イアスが見られた被験児は,実験者の言葉により注意を. に,重み付けをして 2 項検定を行った結果,頷きの数の. 払い,理解しようとしているということができる.つま. み有意差が見られた(p<.05).このことは,エラーバイア. り, コラボレーティブ活動を行いさえすれば, 被験児に,. スが高い程,協同的なコラボレーティブ活動が行われて. その活動の中で外在化した知識などが内面化されるので. いたということを示している.. はなく,知識が内面化されるためには,被験児が相手の. Table 4 バイアスが見られた被験児とバイアスが見られなかった被験児における,各コラボレーティブ活動の内容の頻度 ターン数(実) ターン数(被) 1ターンにおける語彙量(実) 1ターンにおける語彙量(被) アイコンタクト数. 立場に立つなどして,相手の言う言葉を理解しようとす. 頷き数. バイアス有り. 76. 37. 74.36. 9.73. 10. 109. バイアス無し. 77. 40. 70.8. 9.35. 9. 60. る態度を持っていることが重要であるということである. 本研究によって,コラボレーティブ活動における内面 化のプロセスでは,他者の活動を自己の活動として誤っ. 論議 コラボレーティブ活動の結果,プレテストからポスト. て記憶するような活動が見られるということが,より実. テストへとパフォーマンスが上昇し,さらに,エラーバ. 証されたと言える.しかし,自己関与の程度や内面化さ. イアスが示されていた.このことは,コラボレーティブ. れる段階の程度などの影響を考慮した,より詳細な内面. 活動により他者の活動を自身の活動として記憶する機会. 化プロセスを検討していく必要がある.. が与えられた結果,他者の活動をも自身の活動として記 憶するように,自身の中に他者の活動を再構成していく. Referenses. ことで,他者の知識などが内面化されるとする Ratner. Ratner, H. H., Foley, M. A., & Gimpert, N. (2002). The. らの主張と一致する.また,本研究の被験児が,ソース. Role of Collaborative Planning in Children’s. モニタリング能力が高いと考えられる 9 歳児であったた. Source-Monitoring Errors and Learning. Journal of. め,エラーバイアスは,コラボレーティブ活動における. Experimental Child Psychology, 81, 44-73. 4.

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