プランニングの修正活動の発達的変化 [ PDF
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(2) 面である.. トーリーの長さ,シールの個数は学年によって異なって. プランの構築の修正活動と時間のモニタリング. そこ. いたが構造は同じ) .また,10 分の制限時間を示す時計. で,プランの構築が時間の観点から行われ,修正されて. とタイマーが用いられた。. いるか否かを検討する.仮説 4 年齢が高い者ほど,よ. 3.手続き. り早い段階で,課題の特徴を考慮した適切な時間配分を. メモリースパンテストでは,被験児がパソコンの画面. 行うだろう.. 上にランダムに出てくる数字を順番通りにいくつ覚え. プランの実行の修正活動と時間のモニタリング,メモ. ることができるかが調査された.練習試行後,本番が実. リースパン. 施され,終了後,実験者は得点を記録用紙に記入した.. 水野(2004)によれば,メモリースパン. 図 1 に,実験全体の流れを図示した.. は作動記憶の保持だけでなく問題解決などの認知過程. プランニング課題では,遂行前,被験児に図 2 に図示. も規定する.よって,プランの実行過程で課題と時間の. したようにブロック課題とストーリー課題の材料を提. 両方に注意を向けるか否かは,被験者の注意資源の量に. 示した.教示では,課題の目的〔①2 つの課題を 10 分. よると考えられる.そこで,本研究では,プランの実行. 以内にやること,②計画(順番と時間配分)ややり方を. が時間の観点から行われ,修正されるか否かの検討に加. 工夫して,できるだけ高い得点をとること〕,課題のや. えて,メモリースパンがプランの実行過程に及ぼす影響. り方(ブロック課題−①部品をすべて使ってモデルと同. についても検討する.仮説 5 年齢が高い者ほど,メモ. じものを組み立てること,③モデルは分解してもよいこ. リースパンが大きく,課題遂行とオンラインの時間のモ. と/シール貼り課題−①ストーリーの通りにボードに. ニタリングを平行することができるようになり,そのぶ. シールを貼っていくこと,②ストーリーを読む順序は自. ん時間の情報を得ることが可能になる.したがって,プ. 由であること),課題の得点(ブロック課題−モデルと. ランで予定した時間に間に合うように行動を調整でき. 同じものを作ることができると満点だが,少しでも間違. ると考えられるため,後の試行になるにしたがって,計. えると,0 点になってしまうこと,シール貼り課題−シ. 画した時間配分と実際に費やす時間とのズレが小さく. ールを 1 枚正しく貼ると 1 点もらえ,最高でブロック. なるだろう.仮説 6 また,メモリースパンと学年の関. 課題と同じ点がもらえること),制限時間(①制限時間. 係性に関して言えば,年齢が低くてもメモリースパンが. は 10 分,②10 分たつとタイマーが鳴り,ゲーム終了で. 大きい者は課題遂行と時間のモニタリングを平行して. あること,③時計は後ろに置いてあり,自由に見ていい. 計画を進めることができるだろうから,年齢が高くても. こと)に関して述べた.. メモリースパンが低い者に比べ,時計チェックの頻度が. プランニング課題. 高いと考えられる. 方法. 第1試行. メモ リー ス ハ ゚ン. 第4試行. 第2試行. インタビュー. 1.被験児 被験児は小学校 3 年生 19 名(男 6 名,女 13 名),5 年生 19 名(男 10 名,女 9 名) ,中学校 1 年生. ・計画(順番, 教示. 22 名(男 10 名,女 12 名)の計 60 名であった。平均. 時間配分)を. 休憩. 訊く. ・時計チェック. ・採点. の頻度と時刻. ・フ ィー ド. 記録. 年齢はそれぞれ,9.16 歳(範囲 8.9−9.8 歳),11.59 歳. バック. ※1 試行目は無し. (10.9−11.8 歳),13.23 歳(12.9−13.8 歳)であった。 2.材料 メモリースパンテストでは,ランダムに出てき. 図1. 全体的な実験の流れ. た数字を順番通りにいくつ覚えられるかを調べるパソ コン用プログラム(水野,2004)が用いられた。 プランニング課題は,相対的に時間が多くかかるブロ. モデル 窓 わ く. ック課題とかかる時間の短いシール貼り課題の 2 つか ら成る.ブロック課題では,モデルとして頭,首,胴, 脚から成る恐竜が提示され,そのモデルを作るのに必要. 部品 時 計. ビデオ. 子 パ ソ コ ン. タイマー. IC レコーダー. ストーリー 台紙 ホワイトボード. な,同じ色・形の部品が準備された。シール貼り課題. 課題一式. では,動物のマグネットシールとそれを貼るためのボー ドが準備された。さらに,マグネットを貼る場所が記述. 実. してあるストーリーが用いられた(モデルの部品数,ス. 図2. 2. 実験者,被験者,材料の配置. シール.
(3) そして,被験児が教示を理解したか否かを確認した後,. したがって,どの学年も 1 試行目よりも 4 試行目の方が. 計画(①課題を解く順序,②各課題に 10 分のうち配分. 時計チェックの頻度が多いと言える.. する時間)を訊いた.その後,被験児に 10 分以内で 2. 〈計画した時間付近の時計チェック〉計画した時間付近. つの課題を解かせた.課題遂行中,実験者は,被験児が. の時計チェックについて学年差があるか否かを検討す. 実際に課題を解いた順序と各課題に費やした時間,およ. るため,1×3(学年)の ANOVA を行った.その結果,. び時計チェックが,いつ,何回行われたかを手持ちの. 予測していた学年の主効果は有意でなかった(F(2,. 時計により計時し,記録用紙に記録した.遂行後,実験. 57)=1.74,p=n.s.).したがって,意味のある時計チ. 者は採点を行い,被験児に得点のフィードバックを行. ェックの頻度に学年による差はないと言える.. った.その後,今回の結果を踏まえてさらに良い点を取. 〈時間配分の計画の修正のタイプ〉何試行目で課題の特. るように教示し,やり方を確認した後,次の計画を尋. 徴を考慮した計画が可能になったのかを明らかにする. ねた.1 分 30 秒の休憩を挟んだ後,被験児に計画の確. ため,3(学年)×4(計画の修正のタイプ)の直接確立. 認を行って,課題を行わせた.計 4 試行であった.. 計算を行った.計画の修正のタイプは,各試行において,. 結果. 被験者が時間配分を課題の特徴を考慮した計画にした. 〈得点〉プランニング課題の得点について,3(学年). か(6 分−4 分,7−3,8−2,9−1,10−0)(考慮タイ. ×2(メモリースパン)×4(試行)の ANOVA を行った.. プ),それとも課題の特徴を考慮しない計画にしたか(5. その結果,図 3 に図示したように,予測された学年と試. 分−5 分) (非考慮タイプ)に分類された.表 1 は学年. 行の交互作用は有意でなかった(F(6,162)=1.04,p=n.s.).. 別に,1 試行目から 2 試行目の時間配分の計画の変化の. 学年の主効果は有意でなかった(F(2,54)=1.55,p. タイプごとの人数を集計したものである.直接確立計算. =n.s.).試行の主効果が有意であった(F(3,162)=. を行った結果,人数の偏りは有意であった(両側検定:. 39.07,p<.001).ライアン法による多重比較の結果,2,. p=.028).したがって,各学年でどのような人数の偏り. 3 試行目,3,4 試行目の得点の間の差は有意であった. があったのかを検討するために,学年ごとに時間配分. (MSe=88.20,5%水準).また,メモリースパンの主. 表1.1試行目から2試行において,課題の特徴を考慮した計画が可能になったか否かに関する学年毎の人数 非考慮→非考慮 非考慮→考慮 考慮→考慮 考慮→非考慮 合計 小3 5 7 7 19 小5 2 8 8 1 19 中1 2 2 13 5 22 合計 9 17 28 6 60. 効果が有意であった(F(1,54)=4.90,p<.05).し たがって,どの学年においても,2,3 試行目,3,4 試 行目にかけて得点が上昇し,メモリースパンの高い者ほ. の計画の修正のタイプについて,1×4(修正のタイプ). ど得点が高かったと言える.. の直接確立計算を行った結果,小3では偏りが有意傾向 であり(p=.083),小5,中1では,偏りが有意であった. 40. 小3・メモリースパン高. 35. 小3・メモリースパン低. 30. 小5・メモリースパン低. 非考慮−非考慮タイプ,および,非考慮−考慮タイプ,. 中1・メモリースパン高. 25 得 点. (小5,中1それぞれp=.032,p=.002).よって,小3は,. 小5・メモリースパン高. 中1・メモリースパン低. 考慮−考慮タイプの方が,考慮−非考慮タイプより多い. 20 15. と言える.小5は,非考慮−考慮タイプ,および,考慮. 10. −考慮タイプの方が,非考慮−非考慮タイプ,および,. 5. 考慮−非考慮タイプより多いと言える.中1は,考慮−. 0 1. 2. 3. 考慮タイプがその他の3つのタイプより多いと言える.. 4. 試行. 図3. すなわち,小3,および小5では,1試行目から課題の特 徴を考慮した計画を行った者と2試行目になって課題の. 各学年のメモリースパンの高低別の得点の試行ごとの変化. 〈時計チェックの頻度の合計〉学年によって,試行ごと. 特徴を考慮した計画を行った者が同数であったが,他方,. の時計チェックの頻度の変化が異なるか否かを検討す. 中1では,1試行目から課題の特徴を考慮した計画を行っ. るために,3(学年)×4(試行)の ANOVA を行った.. た者の方が他のタイプより多かった.したがって,中1. その結果,予測していた学年の主効果は有意でなかった. は,小3,小5よりも早い段階で課題の特徴を考慮する計. (F(2,57)=1.04,p=n.s.).試行の主効果が有意で. 画を行うことができていたと言える.. あった(F(3,171)=2.69,p<.05).ライアン法によ. 〈時間配分のズレ〉子どもが,先に行うと決めた課題に. る多重比較の結果,1 試行目と 4 試行目の時計チェック. 配分した時間から,実際にその課題に費やした時間を減. の頻度の間の差が有意であった(MSe=0.79,5%水準) .. じてズレを算出し,3(学年)×2(メモリースパン)× 3.
(4) 3(試行)の ANOVA を行った(4 試行目はズレが正確. ェックの頻度は学年に関わらず,メモリースパンの高い. に測定できなかったために,分析からは除外).その結. 人ほど多いと言える. 考察. 果,図 4 に図示したように,予測していた学年と試行の. 本研究では,プランニングにおける修正活動の効率の. 2. よさは学年によって差がないことが分かった.この理由. 1. はプランの構築,実行における修正活動の内容を見ると. 0 1 ズ レ. 2. 明らかになる.プランの実行過程の修正においては学年. 3. -1. によって差はなく,どの学年でもプランで予定した時間. -2. に時間のモニタリングを行ってペースを把握し,行動を. 小3・メモリースパン高. -3. 調整していたと考えられる.これは,どの学年でも試行. 小3・メモリースパン低. 小5・メモリースパン高. -4. を経るごとにプランと実際の時間配分のズレが小さく. 小5・メモリースパン低. 中1・メモリースパン高. -5 試行. なっていったことによって確かめられる.しかし,プラ. 中1・メモリースパン低. ンの構築の修正活動において,学年が高い者ほど,より 図4. 早い段階で課題の質の違いから時間配分を正確に予測. メモリースパンの高低別の学年によるズレの試行ごとの変化. 交互作用は有意でなかった(F(2,54)=0.56,p=n.s.) .. することが可能だったため,より時間配分の正確なプラ. 学年の主効果が有意であった(F(2,54)=3,24,p<.05).. ンを構築することができ,さらに,学年が高い者ほど全. ライアン法による多重比較の結果,小 3 と中 1 の間の差. 体としてズレが小さかった.したがって,学年が高くな. が有意であった(MSe=8.80,5%水準) .試行の主効果. るほど,プランを構築するスキルは高いと言える.しか. が有意であった(F(2,108)=14.10,p<.001).ライ. し,プランを実行するスキルに関しては学年差がなく,. アン法による多重比較の結果,1 試行目と 3 試行目,お. どの学年においても修正活動が同様に行われたため,プ. よび 2 試行目と 3 試行目の間の差が有意であった(MSe. ランニングの得点に学年差が見られず,どの学年でも試. =7.34,5%水準).メモリースパンの主効果は有意でな. 行を経るごとに得点が高くなっていったと考えられる.. かった(F(1,54)=1.63,p=n.s.).以上の結果から,. したがって,本研究の結果より,プランニングの修正過. ズレは学年が高い者ほど小さいが,どの学年でも試行を. 程におけるプランニングスキルの発達差は,プランの実. 増すごとに,ズレが小さくなると言える.また,ズレの. 行過程よりもむしろプランの構築過程において現れる. 変化にメモリースパンは影響しないと言える.. ことが示唆された.しかし,本研究では,4 試行という 短いスパンにおけるプランニングの修正活動の発達的. 8 7 時 計6 チ5 ェ ッ4 ク の3 頻 2 度 1. 変化を捉えたのであって,今後,より長いスパンでのプ. メモリースパン低 メモリースパン高. ランニングの修正活動の過程において,発達的変化を明 らかにしていく必要があるだろう. 主要参考文献 Benson,. J.. B.. (1997).The. development. of. planning :It’s about time. In Friedman, S. L. & Scholnick,. 0 小3. 小5 学年. E.. K.. (Ed.),. The. developmental. psychology of planning : Why,how,and when do we. 中1. plan? Lawrence Erlbaum Associates,Inc.. 図 5 学年別のメモリースパンの高低による 4 試行の時計チェックの 合計頻度の差. Parrilla, R. K., & Dash, U. N. (1996). Development of. 〈時計チェックに関するメモリースパンと学年の関係. planning and its relation to other cognitive. 性〉4 試行全体の時計チェックについて,3(学年)×2. processes.. (メモリースパン)の ANOVA を行った.その結果,図. psychology, 17, 597-624.. Journal. of. applied. developmental. 5 に図示したように,予測していた学年とメモリースパ. Pea, R. D., & Hawkins, J. (1987). Planinng in. ンの交互作用は有意でなかった(F(2,54)=1.14,p. chore-scheduling task. In Friedman, S. L. &. =n.s.).メモリースパンの主効果が有意であった(F (1,. Scholnick, E. K. (Ed.), Brueprints for thinking.. 54)=5.02,p<.05).したがって,4 試行全体の時計チ. Cambridge University Press. 4.
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