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ダブルチューブ合成構造に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)ダブルチューブ合成構造に関する研究 安河内 淳一 1. 序. 崩壊を生じることが予想されるが, 内部コアにおいて上記.  これまでに, 連層構造壁の降伏機構としては従来にない. の制振壁の特徴を利用することで本構造の設計が可能とな. 降伏機構である転倒降伏機構(図1)を生じる履歴ダンパー. る.. 内蔵型連層構造壁(以降, 制振壁と記す)を提案し, 実験的.  コンクリート系構造物としてダブルチューブ合成構造を. 及び解析的研究を行ってきた. 既往の研究において制振壁. 設計した場合, 要求される耐震性能を満足する建物が設計. を片持壁構造建物1), 耐震壁フレーム構造建物2)として設. 可能であるかを検証するとともに, 既往の研究成果との比. 計した場合の耐震性能を検討している. 以下に制振壁の代. 較を適宜行い, 制振壁を用いた構造物の最適設計法の提案. 表的な特徴を述べる.. に繋げることが本研究の目的である.. 1)塑性変形は主として,最上層および最下層の短柱と繋. 2.解析モデルと解析法の概要. 梁のみに生じる. 壁板を含む他の部分は弾性体として挙動. 2.1 解析モデル. するように設計が可能であることから,層間変形一様化機.  解析モデルはRC構造による3,6,12層ダブルチューブ. 能が期待できる.. 合成構造である. 建物平面は図2(a)に示すが, 対称性を考. 2) 繋梁が早期にせん断降伏するので履歴ダンパーとして. 慮し平面のうち半分のみを検討対象とする. 図3に解析モ. 機能する.. デルを示す. 内部コアは制振壁とし, 外周架構については. 本研究は, 鉄骨構造として実施例が多いダブルチューブ. チューブのウェブに相当する梁間方向の構面(6スパン). 構造をコンクリート系構造物として設計した建物に関し. を対象とする. なお剛床と仮定し, 内部コアと外周架構は. て,静的解析および動的解析を行ったものである.図2に. 両端部ピンの剛棒により連結する.階高は3.6m,質量分. 建物平面・立面を示す. ここで述べるダブルチューブ構造. 布は1.3ton/m2とし全層にわたって同じとする.図2(a)に. とは, 地震動に対して主に内部コア及び外周架構で水平抵. 示す間柱は鉛直荷重のみを支持し水平力に対しては抵抗し. 抗する構造システムを指す. 内部コアには制振壁, 外周架. ないものとする. 以下に内部コア及び外周架構の設計詳細. 構には腰壁, 垂壁を梁と一体化したスパンドレルビームと. について記す.. 鋼管横補強 RC柱(TRC柱)を使用する.外周架構では梁が. 内部コア連層耐震壁(制振壁). 剛強であることと短柱化によって, 柱が先行して降伏し層.  制振壁の周辺フレームをパラメータとした場合の考察も 行なうことを踏まえ, 制振壁は文献1の片持壁構造など既. TRC造短柱. 往の研究と同様のモデルを使用する.壁頭は鋼管横補強. 鉄骨造繋梁. 外周架構. 制振壁. ". 表1 制振壁と外周架構 断面詳細. 4000. 連層耐震壁. 4500. ". RC柱(TRC柱),壁脚はCFT柱を用いる.TRC柱,CFT柱に用. <制振壁> 層数 壁厚(mm). 4500. ". 間柱. 鉄骨造繋梁. 3 6 12. 5000×5=25000. CFT造短柱. (a)建物平面 図 1 転倒降伏機構. 図 2 建物概要. 4500. ". 3600×6=21600. 3600×3=10800. 連結材. 剛域. 4000. ". 4500. ". 4000. ". 層数. 層. 3. 全層. 6. 3600×12=43200. 6層. Fc. TRC柱 Fc. H-800×400×9.38×40. 24. 36. H-800×400×18.2×40. 36. 57. 最上層梁 最上層梁 柱断面 断面 Pt 600×600 700×300 2.25 750×750 850×450 1.42 900×900 900×550 1.56. <外周架構>. (b)建物立面 12 層. 3層. 600. 繋梁断面. 12. 鋼管横補強RC柱( TRC柱) B×D(mm) Pg 芯鉄筋(mm2) Fc -. 隅柱 内柱 隅柱 9-12層 内柱 隅柱 5-8層 内柱 隅柱 1-4層 内柱 全層. 500×500. 0.77. -. 800×800 500×500 800×800 500×500 800×800 600×600 800×800 650×650. 2.91 1.43 3.58 3.18 3.83 2.65 3.83 2.26. 15000 15000 15000 15000 -. 層. スパンドレルビーム B×D(mm) Pt. 全層 500×1800. 0.51. 全層 500×2000. 0.68. 全層 500×2000. 1.14. 24. 60. 24. Fc:コンクリート強度(MPa), Pg:全主筋比(%, 芯鉄筋含む), Pt:引張鉄筋比(%). 表2 一次固有周期 4500. ". 4000. ". 4500. ". 4000. ". 図3 解析モデル. 4500. ". 4000. ". 4500. ". 4000. ". (単位 :mm). 45-1. 層数 3 一次固有周期(s) 0.329. Fc. 6 0.487. 12 0.734. 36.

(2) 観 測 波. 模 擬 波. σ. σ. 表3 動的解析に用いる地震動 図 中 の 印 P G A ( c m / s e c 2 ) P G V (cm /sec) 継 続 時 間 ( s) 342 3 8 .2 5 3 .7 ● 225 4 0 .7 3 6 .0 ■ 258 3 7 .3 4 1 .0 ○ 821 9 2 .6 5 0 .0 ▽ 153 1 8 .3 5 4 .4 ◆ 3 1 3 5 6 .2 4 0 .0 ▲ 356 8 0 .7 1 2 0 .0 × * 438 5 2 .1 6 0 .0 ▼ JSC A 八 戸 ( E W ) * 350 5 6 .8 6 0 .0 JSC A 東 北 ( N S ) * 470 5 8 .7 6 0 .0 JSC A 神 戸 ( N S ) * 地震波名 E l Centro NS 八 戸 湾 港 NS 東 北 大 学 NS JMA 神 戸 NS Taft N 0 2 1 E 横浜 BCJ-L2. σu. σy. σy. Ru Rini. E ε. εy. E. E/2. E 5%. ε. (a)完全弾塑性モデル R bsg. σ. PGV:最大地動速度(cm/s)、 文献 5 による. PGA:最大地動加速度,PGV:最大地動速度,*文献4による. いる鋼管の幅厚比は30としTRC柱の主筋量は最小鉄筋比. cσB. (c)大井・秋山モデル. (pg=0.8%)とする.壁板は幅×厚さ=3000mm×600mmのRC. E. 断面とし, ブレースに置換する. 壁板等の降伏を想定しな. εco. い部材に関しては弾性体とし, 想定した降伏機構を形成す. εr/2. εr. ε. (b)Popovics モデル. るように設計する.繋梁の配置位置は,3層モデルでは 3. 図 4 材料の構成則. 階床位置の 1 本,6 層モデルでは 2,6 階床位置の 2 本,12 層モデルでは3階床位置から 3層おきに計4本配置する.. は降伏強度350MPa,引張強さ500MPaの大井・秋山モデル. 表1に制振壁の断面詳細を示す.. [図4(c)]とする.. 外周架構(スパンドレルビーム・鋼管横補強 RC 柱).  以下に耐震性能評価の方法を示す. 「鉄筋コンクリート.  梁の断面は, 柱降伏先行となるように十分な強度をもつ. 造建物の終局強度型耐震設計指針」6)(以降,終局強度型. ように設計する. 梁に関して鉛直荷重の影響は無視し, 上. 指針と記す)に規定されている設計用地震力ベースシア係. 端筋と下端筋の配筋量を同じとする. また, 各層数モデル. 数0.25Rtを用いて設計したダブルチューブ合成構造建物. で全層同一断面とする.柱の断面については,TRC柱を耐. の,最大地動速度を50,100kineに基準化した各種地震波. 力劣化しないRC柱として模擬する.3,6層モデルは全層. に対する挙動の評価を行なう. 解析変数は, 上述したよう. 同一断面とし,12層モデルは特に上層で非合理的な設計. に建物層数, 地震波の種類と大きさとする.. とならないように4層ごとに断面を変えている. また, 大. 3. 解析結果と考察. きな引張軸力が生じると考えられる6, 12層モデルの隅柱. 3.1 荷重−変形関係. は芯鉄筋を使用するが, 芯鉄筋を弾性域に留めようとした.  図5に各モデルの荷重−変形関係を示す. 縦軸はベース. 場合, 過剰な芯鉄筋量が必要となることから, ある程度の. シア係数Vs で表現した水平力,横軸は頂点水平変位を建. 引張降伏を許容する. この場合, 圧縮側の柱に大きな圧縮. 物高さで除した平均層間変形角 R a v e である.また,. 軸力が生じるので隅柱は他の柱よりもやや大きな断面を用. Rave=0.005rad時のベースシア係数Vs0.25Rtが設計用地震. いる.また柱部材には梁せいの長さに応じた剛域を設け. 力である. 制振壁繋梁及び外周架構短柱に変形が集中する. る.表1に外周架構の断面詳細,表2に各モデルの一次固. ことにより, 建物全体として比較的小さな変形レベルでメ. 有周期を示す.. カニズムが形成されていることが分かる. また履歴ループ. 2.2 解析手法. の形状から繋梁が履歴ダンパーとして有効に機能している.  数値解析は,二次元骨組解析プログラム3)を用いて行. ことが確認できる. 制振壁が有する層間変形一様化機能に. う.静的解析では,高さ方向の震度分布がAi 分布として. より, 柱降伏先行型のフレームであるにも関わらず層崩壊. 仮定した水平力を各層柱梁節点に漸増載荷する. 動的解析. は生じていない.. では,Newmarkのβ法を用い,減衰は3%のレーリー減衰. 3.2 層せん断力・転倒モーメント負担割合. とする.動的解析に用いる地震波は,表3に示す地震波を.  静的解析により得られたRave=0.01rad時の制振壁と外周. 最大地動速度の大きさを50, 100kineに基準化したもので. 架構の1層層せん断力及び転倒モーメントの負担割合を図. ある.材料の構成則は,鋼材は降伏強度350MPaの完全弾. 6に示す.全てのモデルで, 制振壁の層せん断力負担割合. 塑性モデル[図4(a)]とし, コンクリートは最大耐力後に耐. に対して転倒モーメントの制振壁が占める割合が小さく. 力の劣化がないPopovics5)モデル[図4(b)]を使用する. 圧. なっている. これは, 制振壁が外周架構から上層部で逆せ. 縮強度については表1を参照されたい.ただし, 塑性化が. ん断力を受け, 制振壁のみに加わる外力の合力位置が下が. 予想される制振壁のTRC柱,CFT柱,繋梁の鋼材について. ることが原因であると考えられる. 後述するが, このため. 45-2.

(3) に外周架構が転倒モーメントの大部分を負担することに なり, それに起因して隅柱に生じる変動軸力の対処が設 計上重要な問題となる.しかし,これは同時に外周架構 の応力負担割合を減らすことによってこの問題を改善す ることが可能であると言える.. 全て設計耐力を等しくVs 値 0.25Rtとしている.他のモデ ルと比べると, ダブルチューブ合成構造とした場合の方が 各層数モデルの下層部を除いて応答が小さく抑えられてい ることが分かる. 6,12層ダブルチューブ合成構造の下層部. 3.3 最大応答層間変形角  ここでは動的解析の各地震波から得られた最大応答層 間変形角Rmaxの評価をするが,比較の為地震波10波の平 均値を図 7 に示す.最大地動速度が 50,100kine の応答 値をそれぞれ実線,破線で表わし,各層数モデルごとで 異なるプロット記号を用いる.尚,ここでの層間変形角 は同一変形時のものではなく各層における絶対値の最大 値を示している.層数に着目し比較すると,低層である ほど応答値が大きくなる傾向がみられ, また最大地動速 度が大きいほどその傾向が強くなることが分かる. 既往 の研究1),2)においても同様の結果が得られており, この ことは, 低層建物については変形を制御する上で中高層 建物と比較して設計用ベースシア係数をやや大きく設定 するのが望ましいことを意味している.  図8に最大地動速度 50kineにおける Rmax の平均値を3 種の構造別に示す.ここで言う3種の構造とは,すでに 研究が行なわれている片持壁のみからなる構造, 片持壁 と周辺柱からなる3スパン平面構造(制振壁フレーム構 造)と,本論の研究対象であるダブルチューブ合成構造. 0.3. の3種類の構造のことである.なおこれら3種のモデルは. 3層. 6層. 部の柱断面サイズが高さ方向に対して相対的に小さいこと によるものであると考えられる. またこのことに関連する が, ダブルチューブ合成構造の外周架構の柱断面を高さ方 向に対して細かく変えていないにも関わらず, 全てのモデ ル及び地震波でRmaxが概ね一様となっている. このことか ら柱降伏型のフレームに対しても制振壁が有する層間変形 一様化機能が有効であり, 制振壁を用いることでより自由 度の高い周辺フレームの設計が可能であるといえる. 3.4 1層隅柱に生じる最大軸力  図9に,動的解析の結果として得られた外周架構の1層 隅柱に生じる最大軸力を示す. ここでは転倒モーメントに 起因して生じる変動軸力に関する考察を行なう. 図中に隅 柱の引張耐力も合わせて示す. 1層隅柱の最大応答軸力で あるが,3層及び6層モデルについては全てのケースで応 答値は小さく, 変動軸力が設計上大きな問題とはならない ため省略する. また12層モデルについては全ケースで引張 降伏しており, 圧縮軸力についても極めて大きな値を示し ている.ここで図中の N1,N2 について述べる. 12. 12 層. 0.25Rt. 0.25Rt. の応答が比較的大きな値を示している理由としては, 下層. 3層 50kine 3層 100kine 6層 50kine 6層 100kine 12層 50kine 12層 100kine. 11 10. 0.25Rt. 9. 0.2. ベースシア係数. 8 層. 0.1. 7 6 5. 0. 4 3. -0.1. 2 1. -0.2. 0.0 -0.3. -1. -0.5. 0. 0.5. 1. -1. -0.5. 0. 0.5. 1. -1. 平均層間変形角(×10-2rad). 平均層間変形角(×10-2rad). -0.5. 0. 0.5. 1. 平均層間変形角(×10-2rad). 図5 荷重−変形関係 30000. 層せん断力 負担割合 外周架構. 39.6%. 20000 15000. 39.6%. 10000. 60.4% 5000. 55.2%. 0. 44.8% 3. 60.4% 6 層数. 12. 負担転倒モーメント(MNm). 負担層せん断力(kN). 25000. 800. 12. 制振壁. 3層 ダブルチューブ構造 ダブルチューブ合成構造 6層 ダブルチューブ構造 12層 ダブルチューブ構造 3層 片持壁構造 片持壁構造 6層 片持壁構造 12層 片持壁構造 3層 制振壁フレーム構造 制振壁フレーム構造 6層 制振壁フレーム構造 12層 制振壁フレーム構造. 11. 外周架構. 10. 23.5%. 9. 600. 8 層. 7 6. 400. 76.5% 25.8%. 200. 0. 図7 最大応答層間変形角 (平均値比較). 転倒モーメント 負担割合. 制振壁. 0.50 1.0 1.5 最大応答層間変形角(×10-2rad). 49.8% 50.2%. 74.2%. 3. 6. 5 4 3 2 1. 12. 層数. 図6 せん断力・転倒モーメント負担割合. 0. 0.2 0.4 0.6 最大応答層間変形角(×10. 0.8 rad). 1. -2. 図8 最大応答層間変形角(構造別比較 50kine). 45-3. 2.0.

(4) N2. 40000. N1. 圧縮力 50kine 80000 圧縮力 100kine. 30000. 50000 2/3N1. 20000. 引張耐力. 10000. 軸力(kN). 軸力(kN). 圧縮力 50kine 圧縮力 100kine. 70000 N 1 引張力 50kine 引張力 100kine 60000. 40000. 2/3N1. 30000 20000 10000. 0. El 八戸 東北 神戸 Taft Centro. 横浜 Bcj JSCA JSCA JSCA L2 HACH TOHK KOBE. 図 9 1 層隅柱最大軸力. N1 = Ac Fc N 2 = Ac Fc + Asσ y. 0. El 八戸 東北 神戸 Taft Centro. 横浜 Bcj JSCA JSCA JSCA L2 HACH TOHK KOBE. 表4 外周架構 変更断面詳細 鋼管横補強RC柱(TRC柱) スパンドレルビーム 層数 層 B×D(mm) Pg Fc 層 B×D(mm) Pt 12層 1.60 850×850 11層 3.29 10層 0.95 900×900 9層 1.42 8層 1.42 950×950 1.14 7層 1.85 隅柱 12 60 全層 500×2000 (外端 6層 1.80 0.46) 1000×1000 5層 2.44 4層 2.91 1050×1050 3層 3.03 2層 1100×1100 2.76 1層 2.71. 図 10 1 層隅柱最大軸力 ( 改善後). Fc. 36. Fc:コンクリート強度(MPa), Pg:全主筋比(%, 芯鉄筋含む), Pt:引張鉄筋比(%). (1). 4.結論. (2).  本研究により以下の知見が得られた..  ここに,Ac 及びAs はそれぞれ隅柱断面積及び芯鉄筋断. 1)本研究で検討した3層モデルのような低層建物について. 面積である.また Fc は隅柱のコンクリート強度,σ y は. は, 変形を制御する上で中高層建物と比較して設計耐力. 芯鉄筋降伏強度である. N1はコンクリートのみを考慮した. をやや大きく設定することが求められる.また,12層. 軸圧縮耐力で, N2はコンクリートと芯鉄筋を考慮した軸圧. モデルのような高層建物については, 隅柱に生じる過剰. 縮耐力である. 100kineの地震波のうち数波がN1に近い値. な変動軸力の対処が問題となる. しかしこれらの問題は. を示していることが分かる. このように部材に大きな圧縮. 今回検討した方法等で改善することができ, 要求される. 軸力が作用している場合, 安定した変形性能に不安がある. 耐震性能を満足する設計が可能である.. と言える. また, 終局強度型指針において降伏ヒンジ部に. 2)本来ダブルチューブ構造は, 層せん断力よりも転倒モー. 圧縮軸力の制限が設けられており, 十分な拘束効果が得ら. メントが支配的になる高層建物に対して提案される構造. れる場合には圧縮軸力N≦2/3N1を満足することが求めら. システムであるが, 本研究で提案するダブルチューブ合. れている.しかし12層モデルに関して上記の制限を満足. 成構造とした場合には中低層建物に対しても有効である. していないことがわかる. このように高層化に伴い層せん. ことが分かった.. 断力よりも転倒モーメントが支配的になる場合, それによ. 3)制振壁を用いた構造物の周辺フレームのパラメータの1. り隅柱に生じる過剰な軸力をいかに処理するかが設計上解. つとして, 本研究で提案する外周架構は既往の研究にお. 決すべき問題となってくる.. ける他の周辺フレームと比較して, 損傷制御性及び平面.  ここで, 隅柱に生じる変動軸力(圧縮軸力)の問題を改善. 設計の自由度の点で優れているといえる.. する手段として, 外周架構の隅柱により大きな断面を使用 することを考える. なお, その隅柱の断面については終局 強度型指針の設計例を参考にする. また, その場合隅柱に 隣接する梁端部に降伏ヒンジが形成されることが考えられ るので, この梁端部の鉄筋量を減らし積極的に降伏させる ことで, 変動軸力の入力値に制限を与える. 設計用地震力 は基本モデルと同等のVs値0.25Rtとするが,その調整は 外周架構のTRC柱の主筋量を増減させることで行なう. 各 部材の断面詳細は表4に示す. このモデルに対する動的解 析により得られた外周架構の1層隅柱の最大応答軸力を図 10に示す.各地震波における最大引張力は全て引張耐力 に達しているため, ここでは圧縮力の最大応答値のみを示 す. 全ての地震波に関して指針が定める制限を満足してい ることが確認できる.このように,本研究における12層 モデルで生じた変動軸力の問題を改善するためには隅柱等 の断面の設計に工夫が必要となってくる.. 参考文献 1)増田真吾,崎野健治:片持壁構造に関する研究,日本建築学会九 州支部研究報告 第47号 pp.357∼360 2008.3 2)村上初香, 崎野健治:制振壁フレーム構造の耐震性能に関する研 究,日本建築学会九州支部研究報告 第 48 号 pp.457 ∼ 460  2008.3 3) Kawano, A, Griffith M. C., Joshi, H.R. and Warner, R.F, : Analysis of the Behavior and Collapse of Concrete Frames Subjected to Seismic Ground Motion, Research Report No.R163, Department of Civil and Environmental Engineering, The University of Adelaide,Australia, 1998. 11 4)日本建築技術者協会:建築構造の計算と管理 JSCA波(JSCA-10・ 300・L2-1), 2002.6 5)Popovics,S., ・ Numerical Approach to Complete StressStrain Curve of Concrete,” Cement and Concrete Research, Vol.3, pp.583-599,1973 6)日本建築学会:鉄筋コンクリート造建物の終局強度型耐震設計指 針・同解説,1990.11. 45-4.

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参照

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