吉 野川 河 口干 潟 の カ ニ類 を対 象 と した生 息 環 境評 価 モ デル の検 討
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(2) 1162. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). な お ヤ マ トオ サ ガ ニ と チ ゴ ガ ニ に つ い て は 徳 島 県. した.計 算 条 件 は吉 野 川 河 口の 小 松 島波 浪 観 測 所 で観 測. (2008)の. さ れ た3年 間 の デ ー タ を 元 に,沖 波 の 波 高,周. 調 査 デ ー タを 用 い た.粒 度 組 成 は ス ナ ガ ニ に. と って 摂 餌 お よ び造 巣 の 特 性 に密 接 に 関 係 して い る と言 わ れ て お り(小 野,1995),こ. の 結 果 か ら対 象 と した ス. ナ ガ ニ科 の生 息 す る可 能 性 の 高 い粒 度 組 成 が 分 か る.. き:南 東)で,潮. 位 はH.W.L(T.P:+0.76m)で. 図‑3に 波 浪 解 析 の計 算 領 域 を,図‑4に. 表‑1に ス ナ ガ ニ 科 の動 物 の 生 息 と関 係 の 深 い指 標 を整 理 した.HSIモ. デ ル に用 い る指 標 は,生 物 の 生 活 史 に 関. 係 の あ る量 を抽 出 す る こ と が 重要 で あ る が,環 境 影 響 評. 期,波. きの 頻 度 が 最 も高 い条 件(H1/3:0.38m,T1/3:2.5s,波. 構 築 す る た め に表‑1の*印. こ でHSIモ. 高 分 布 図 を 示 し,生 息 場 の波 高 を擾 乱 作 用 の 因 子 と した. カ ニ 類 のSI(Suitabiiity Index)モ. デ ル を作 成 す る に あ. た り,シ オ マ ネ キ とバ ク セ ン シオ マ ネ キ は複 数 年 の デ ー. デル を. を重 要 因 子 と して 採 用 した.. 表‑1. スナガニ科 の行動生態 に関係 する指標. 具 体 的 に は2003年 〜2006年 に か け て採 取 した底 質 の 粒 度 分 布 デ ー タに 加 え,徳 果 と,宇 野 ら(2003a)が. 島 県 が 実 施 して い る環 境 調 査 の 結 提 案 して い る 潮 汐 流 に よ って. 発 生 す る 底 面 摩 擦 速 度 の 最 大 値 を 用 い て 対 象 種 のHSI モ デ ル を作 成 した.モ. デ ル の 作 成 方 法 は宇 野 ら(2003b). が提 案 して い る多 変 量 解 析 を 導 入 す る こ とで 因 子 間 に重 み つ けを 行 う方 法 を 採 用 した. 波 浪 に よ る擾 乱 の 評 価 に つ い て は高 山 ら(1991)と 瀬 ら(1999)に. 間. よ って 報 告 さ れ た 波 の 回 折 効 果 を 導 入 し. た多 方 向 不 規 則 波 の波 浪 変 形 計 算 法 を 用 い て波 高 を 解 析. 図‑3. 図‑5. 計 算領 域(吉 野川 河 口部). 中 央 粒 径 のSIモ. デ ル(シ. オ マ ネ キ). あ る.. そ の結 果 と な る波. 価 に用 い る た め に は,調 査 の容 易 さ,工 学 的 に 予 測 可 能 で あ る こ と も重 要 な要 素 で あ る.そ. 向 向. 図‑4. 波 高 分 布 図(H1/3:0.38m,T1/3:2.5s,H.W.L). 図‑6. 波 高 のSIモ. デ ル(シ. オ マ ネ キ).
(3) 1163. 吉野 川河 口干 潟 の カニ類 を対象 と した生 息環境 評価 モ デル の検討 タ を用 い て い る の で,各 年 度 に確 認 され た最 大 活 動 個 体 数 をSI=1.0と. して い る.な お 季 節 変 動 に よ って 大 き く. 変 化 す る小 型 個 体 は含 め な い.こ. れ らの デ ー タか らSI. モ デ ル を 作 成 し,多 変 量 解 析 に よ って 重 要 な 因子 を 抽 出 した.SIモ. デ ル の 例 と して,図‑5と. の 中 央 粒 径 と波 高 のSIモ. 図‑6に シオ マ ネ キ. デ ル を 示 す.次. に 抽 出 し たSI. モ デ ル を用 い て 粒 度 組 成 の 代 表 量 と底 面 摩 擦 速 度 のSI モ デ ル か ら 目的 変 数 をSI,説. 明変 数 を採用 した因子 で. を 示 した。 3.. 吉 野 川 河 口 の ス ナ ガ ニ 科 のHSIマ. ップ 作成. (1) 表 層 粒 度 分 布 シ ミ ュ レー シ ョ ン 粒 度 に よ って 生 息 が大 き く左 右 さ れ る干 潟 の ベ ン トス は現 在 の場 の 状 態 を評 価 で き た と して も,将 来 予 測 す る こ と が 困難 と さ れ て い る. 本 研 究 で は,作 成 したHSIモ. デ ル に 応 用 させ る た め,. 多 変 量 解 析 の全 数 法 を行 う こ とで 重 み付 け を 行 っ た.重. 藤 田 ら(2007)に. み 付 け を した結 果 に加 え,平 常 時 に波 高 が 高 い場 で は ス. 粒 度 分 布 を 推 測 す る方 法 を 用 い た.図‑13に. ナ ガ ニ科 は生 息 で き な い と して モ デ ル を作 成 した.そ れ. 口全 体 を 解 析 した広 域 表 層 粒 度 分 布 か ら中央 粒 径 の 分 布. ぞ れ の カ ニ のHSIモ. 図 を 示 し,図‑14に. デ ル を式(1)〜(4)に 示 す.. 提 案 して い る波 浪 統 計 デ ー タか ら表 層 吉野川 の河. ス ナ ガ ニ科 が 多 く生 息 して い る場 の. (1). 近 辺 を拡 大 して表 示 して い る.こ の結 果 か ら,波 浪 に よ っ. (2). HSIモ. て堆 積 す る底 質 の 特 性 を把 握 す る こ と が で き,作 成 した デ ル に応 用 す る こ とで 広 域 の 生 息 評 価 が 可 能 に な. る.. (3) (4) 変 数 につ い て,d50:中 い 分 け係 数,P75:泥 度,H:波 HSIモ. 央 粒 径,Sk:偏. 分 率,U*:冠. 高 を 表 して い る.重. 歪 度,S。:ふ. る. 水時 最大底 面摩 擦速 み付 け によ って従 来 の. デ ル で は 考 慮 で きて い な い,対 象 種 に と って 重 要. な 因 子 を特 定 す る こ とが で き る.図‑7と キ と チ ゴ ガ ニ のHSIモ. 図‑8に シ オ マ ネ. デ ル の結 果 を 例 と して 示 し,表‑2. に 作 成 した モ デ ル の 重 相 関 係 数 と最 小HSI(以 す る.)を. 下M.Hと. 示 して い る.こ の 結 果 か ら,ス ナ ガ ニ 科 が 生 図‑7. 息 す る た め に確 保 す るべ き必 要 最 低 限 なHSIが. シ オ マ ネ キ のHSIモ. デル. 分 か る.. (2) ス ナ ガ ニ 科 評 価 モ デ ル の 活 動 個 体 数 確 認 率 作 成 した ス ナ ガ ニ 科 のHSIモ. デル の精度 を活 動個 体. 数 確 認 率:Pa(x)で 求 め た.HSIモ. デ ル を構 築 す る た め に. 用 い た デ ー タ以 外 に,対 象 種 が 全 く生 息 して い な い 場 の デ ー タ等 を 含 め て 算 出 して お り,(1)M.H以 体 数 が あ る場 合,(2)M.H以. 上 で 活 動 個 体 数 が0個 とな る. 場 合 を はず れ:◎,(3)HSIがM.H以 数 が あ る,(4)M.H以 ● と した.図‑9〜. 下 で活動 個. 上 の時 に活動 個体. 下 で 活 動 個 体 数 が0個 の場 合 を 的 中: 図‑12は 対 象 種 の 活 動 個 体 数 確 認 率 を. 示 して い る.こ れ らの 図 か らは コ ドラ ー ト内 で 少 な く と も1匹 以 上 の 活 動 を 確 認 す る た め に は,M.Hを こ と で シオ マ ネ キ は約79.9%,バ 60.2%,ヤ. 確 保す る. ク セ ン シオ マ ネ キ は約. マ トオ サ ガ ニ は約53.3%,チ. のPa(x)に な る こ と が 示 さ れ た.例. 図‑8. ゴガ ニ は約45.7%. デル. と して チ ゴ ガ ニ の 表‑2. Pa(x)を60%以 上 で 再 現 す る た め に は,HSIを0.6以. 上 確保. す る必 要 が あ る と い う こ とを 示 して い る.こ の結 果,作 成 し た モ デ ル はHSIを. チ ゴ ガ ニ のHSIモ. 高 くす る とPa(x)は 高 くな り,よ. り多 くの 活 動 個 体 数 が 定 着 で き る可 能 性 が 高 くな る こ と. カ ニ 類 のHSIモ. デ ル の 相 関 と最 小HSI.
(4) 1164. 海. 図‑9. 図‑11. 図‑13. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). シオ マネキ の的 中率. 図‑10. 図‑12. ヤ マ トオ サ ガ ニ の 的 中 率. 表 層底 質 の中央 粒径 の分 布図. (2) ス ナ ガ ニ科 のHSIマ. 図‑14. ップ 作 成. 過 去 に数 多 く作 成 さ れ たHSIモ. バ ク セ ン シオ マ ネ キ の 的 中 率. チ ゴガ ニの的 中率. 表層 底質 の 中央粒 径 の分布 図(拡 大). 近 辺 を 示 して お り,生 息 す る可 能 性 の高 い 適 性 箇 所 を選. デ ル は将 来 予 測 不 可. 定 す る こ と が で きた.し か し適 性 外 の場 所 に ヒ ッ トす る. 能 な パ ラ メ ー タを 扱 っ て い る こ と,採 用 した 因 子 間 の相. 箇 所,生. 関 を 考 慮 して い な い こ と,調 査 した一 地 点 ご と の評 価 は. 示 され た.こ. 可 能 だ が 広 域 評 価 が で き な い こ とが 問 題 点 で あ る.そ れ. して い るス ナ ガ ニ科 に つ い て,波 浪 計 算 の領 域 外 と な り. らの 問 題 点 を改 善 し,吉 野 川 の 河 口 の よ うに 広 範 囲 な場. 粒 度 組 成 を 再 現 す る こ とが で きな い こ と,複 雑 な 地 形 の. に お いて,ス. 回 折 効 果 で 波 高 に 誤 差 等 が生 じ る こ と,HSIモ. ナ ガ ニ科 の 生 息 環 境 評 価 を検 討 した.図‑. 15〜 図‑18が そ の結 果 で あ る.● がM.H以. れ はH.W.Lよ. 示 さな い点 も. り も高 度 が 高 い箇 所 に 生 息. デ ル に採. あ. 用 した 因 子 だ けで は不 十 分 で あ る点 が 精 度 を下 げ る原 因. る場 所 を 示 して お り,枠 で 囲 ま れ た 領 域 は徳 島 県 が 実 施. に な る と考 え られ る.今 回 の 結 果 か らは 波 浪 の影 響 が な. した モ ニ タ リ ング調 査 で 報 告 さ れ た 対 象 種 を 目視 で 確 認. い場 の粒 度 組 成 を 潮 位 変 動 に よ っ て再 現 す る こ と が課 題. で きた 範 囲 を 示 して い る.こ. とな り,植 生 の 有 無 や河 川 の 流 れ に よ る影 響 を考 慮 す る. HSIが 示 す ポ イ ン トは,概. 上 のHSIが. 息 して い る に も関 わ らず,HSIが. の結 果 か ら吉 野 川 河 口 で. ね 対 象 種 が 生 息 して い る場 の. こ とで よ り正 確 な モ デ ル に な る と示 唆 さ れ る..
(5) 吉野 川河 口干 潟 のカ ニ類 を対象 と した生息 環境 評価 モ デル の検 討. 図‑15. 図‑17. 4.. シ オ マ ネ キ のHSIマ. ヤ マ トオ サ ガ ニ のHSIマ. ップ. 図‑16. ップ. 1165. バ ク セ ン シ オ マ ネ キ のHSIマ. 図‑18. チ ゴ ガ ニ のHSI図. ップ. マ ップ. る影 響 等 を 考 慮 す る こ とで 生 息 可 能 場 所 を よ り精 度 良 く. ま とめ. 再 現 で き る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た.. 本 研 究 は河 口干 潟 に生 息 す る砂 泥 を 摂 食 す る ス ナ ガ ニ 科 に 注 目 し,生 息 環 境 評 価 モ デ ル の 精 度 向 上 と広 範 囲 の 環 境 影 響 評 価 を 目指 した も ので あ る.将 来 予 測 が 可 能 で あ る物 理 的 因 子 に よ るHSIモ. デ ル を 作 成 し,モ. デル の. 参. 考. 文. した 波 浪 変 形 計 算,. 因 子 間 を 統 計 的 処 理 で考 慮 す る こ とに よ って,精 度 向 上 を 行 った.作 成 したHSIモ. デ ル は 粒 度 指 標 と潮 汐 に よ っ. 間 瀬 肇 ・国 富 将 嗣 ・高 山 知 司(1999):. て 生 ず る底面 摩 擦 速 度,波. 高 の み で評 価 可 能 で あ る.. 外 海 か らの波 浪 の 頻 度 に 注 目,波 浪 の頻 度 に よ っ て 表 層 底 質 が 平 衡 状 態 を 形 成 す る と考 え,粒 度 分 布 を 評 価 す る 手 法 を提 案,HSIモ. デ ル へ 応 用 さ せ た.波 浪 の 長 期 デ ー. タを 使 用 して い る た め,こ の手 法 で は短 期 間 の 粒 度 変 化 を 表 現 す る に は 適 して い な い. 吉 野 川 河 口全 体 を 評 価 した結 果,広 範 囲 の 中 か らあ る 程 度 近 い所 の生 息 可 能 場 の推 定 はで き た が,目 視 で 確 認 で き る生 息 範 囲 を 詳 細 に再 現 す る こ と は で きな か っ た. 波 浪 が 卓 越 しな い 場 の 粒 度 組 成 を 予 測 す る こ とが 今 後 の 課 題 と な り,モ デ ル に採 用 す る 因 子 を増 や す こ と,計 算 領 域 の 改 善,浮 遊 土 砂 の 細 粒 分 の 沈 降,河 川 の 流 れ に よ. 砕 波 お よ び反 射 を 考 慮. 港 湾 技 術 研 究 所 報 告,. pp.21‑67. 小 野 勇 一(1995):. 大 河 川 の 河 口砂 州 に お け る粒 度 構 成 の シ ミュ レー トは. 献. 高 山 知 司 ・池 田 直 太 ・平 石 哲 也(1991):. Vol.30,. No.1,. 干 潟 の カ ニ 自然 誌, 平 凡 社, pp.59‑117. 三 島 豊 秋: 波 の 回 折 を 考. 慮 した多 方 向 不 規 則 波 の 変 形 計 算 モ デ ル に関 す る研 究, 木 学 会 論 文 集, No.628,. II‑48,. 土. pp.177‑187.. 宇 野 宏 司 ・中 野 晋 ・古 川 忠 司(2003a): 河 口 干 潟 お よ び砂 州 の 底 質 に 及 ぼ す 潮 汐 流 の効 果,河 川 技 術 論 文 集, Vol .9, pp.281‑286. 宇 野 宏 司 ・中 野. 晋 ・古 川 忠 司(2003b):. 用 い た シオ マ ネ キ生 息 地 適 性 評 価, pp.1075‑1080. 藤 田真 人 ・寺 澤 尚 晃 ・中 野. 晋(2006):. 重 み 付 き評 価 指 標 を 水 工 学 論 文 集,. 四 国全 域 に お け る シオ. マ ネ キ の 生 息 環 境 評 価, 海 岸 工 学 論 文 集, ‑1130 . 藤 田真 人 ・中 野. 第47巻,. 第53巻,. 晋 ・安 芸 浩 資 ・安 井 勝 志(2007):. pp.1126. 河 口干 潟 の. 平 衡 粒 度 分 布 の 推 定 と底 生 動 物 の生 息 環 境 評 価, 海 岸 工 学 論 文 集,. 第54巻,. 徳 島 県(2008): 18年 度 年 報.. pp.1171‑1175.. 東 環 状 大 橋(仮. 称)環. 境 モ ニ タ リ ン グ調 査 平 成.
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