擬似DESを利用した租税回避スキームに関する課税 上と会社法上の諸問題
著者 森江 由美子
雑誌名 法と政治
巻 63
号 1
ページ 163(182)‑184(161)
発行年 2012‑04‑20
URL http://hdl.handle.net/10236/9573
Ⅰ は じ め に
企業再生の一手法としてデット・エクイティ・スワップ (Debt Equity Swap以下DESと称する。) が挙げられるが, DESとは, 債権者側からみ ると, 債権者が債務者に対して有する債権を現物出資し債務者が発行する 株式に振り替えることであり, 債務者側からすれば, 債権者に対する債務 を資本金に振り替えることである
(1)
。
論
説
擬似 DES を利用した 租税回避スキームに関する 課税上と会社法上の諸問題
森 江 由美子
(1) 事業再生に係るDES (Debt Equity Swap:債務の株式化) 研究会 経 済産業省経済産業政策局産業再生課 「事業再生に係るDES (Debt Equity Swap:債務の株式化) 研究会報告書 (2010年) 10頁。
目 次
Ⅰ はじめに
Ⅱ 擬似DESを利用した租税回避スキームに関する諸問題 一 課税上の問題
(1) 相互タクシー事件の検討 (2) 日本スリーエス事件の検討 二 会社法上の問題
Ⅲ おわりに
DESは, 債務超過に陥った企業の再建方法として注目されるようになっ たが, 平成17年改正会社法施行前の現物出資は, 原則として, 裁判所の 選任する検査役の調査が必要であったことや
(2)
, 平成18年度税制改正前に おいては, 債務者側における債務消滅益に対する課税問題が明確ではなかっ たため
(3)
, DESに代えて擬似デット・エクイティ・スワップ (以下擬似 DESと称する。) が注目されるようになった。
擬似DESとは, 債権者から金銭払込みによる増資を受けた後に, 債務 者が債権者に対しその払い込まれた金銭をもって債務を弁済する方法であ る。 債務を資本金に振り替える方法という意味においては, 擬似DESは DESと同様の効果をもたらすが, DESにおいては債権者が債権を現物出 資することによって債務者の債務は消滅するのであり, 一方, 擬似DES は, 債権者が金銭出資をした後に債務者が債務を弁済する方法であること 擬
似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
(2) 改正会社法施行後は, 現物出資財産が株式会社に対する金銭債権 (弁 済期が到来しているものに限る) で, 現物出資財産の価額がその金銭債権 に係る負債の帳簿価額を超えない場合には, 検査役の調査が不要となった (会207条9項5号)。 加藤徹・塚本和彦編 「新会社法の基礎」 (法律文化社, 2009年) 50頁。
(3) なお, 平成18年度税制改正において, 債務者側においては, DESに 係る債務消滅益を認識し課税することが明確となった (法59条2項1号)。
すなわち, DESを実施した債務者に係る資本金等の額は, 債権を適格現 物出資した場合を除き時価評価によることとされた。 併せて, DESに伴 い生じた債務消滅益については, 債務免除益と同様, 期限切欠損金を青色 欠損金に優先して相殺可能とする措置がなされた。 また, 平成21年度税制 改正においては, 企業再生税制の適用条件の一つである 「2以上の金融機 関等の債務の免除」 にDESを加えることで, DESを利用しやすい環境が 整えられた。 しかし, このような税制改正は行われているものの, 一方で DESを行う場合税務上の時価評価の具体的な方法が不明であるため, DESの活用に支障があるともいわれている。 事業再生に係るDES (Debt Equity Swap : 債務の株式化) 研究会・前掲注(1)2頁。
から, 両者は法的に異なる手法である。
擬似DESの課税上の取扱いは, 明文規定が存在しないことから明らか ではないが, 金銭出資と債務弁済という法的構成をとっていることから債 務を免除するものではないため, 現在のところ免除益課税 (債務消滅益課 税) の対象にならないと解されている。
この擬似DESは, 親会社が子会社を再建する方法として注目されてい たのであるが, 実際は, 親会社が租税回避のための手法として利用する裁 判事例
(4)
が散見されるようになった。
たとえば, 親会社が, 当該会社の多額の収益計上見込みに対し, 子会社 に対する不良債権を擬似DESにより株式に振り替えて, 当該株式を第三 者に低額譲渡し, 多額の有価証券売却損を計上することによって, いまだ 貸倒れとして損金算入できない子会社に対する不良債権を処理するととも に, 自社の租税回避を図るような場合である。
このような事例は, とくに, 株主の変動があまり考えられていない閉鎖 的な会社, 同族会社において見受けられ, 課税上の問題となることのみな らず, 少数派株主の利益を害することも考えられ, 会社法上問題となる可 能性がある。
すなわち, たとえば, 親会社の株主が, 取締役や監査役を兼ねることに よって役員報酬の形で利益の分配を受けている場合, 上述のような処理に おいて配当を受けなかったとしても影響はないが, 役員を兼ねていない一 部の少数派株主は, 事実上利益の分配から締め出されてしまうといったこ とも考えられよう。
論
説
(4) たとえば, 福井地判平成13年1月17日訟月48巻6号1560頁 (相互タク シー事件), 東京地判平成12年11月30日訟月48巻11号2785頁 (日本スリー エス事件)。
以下では, 具体的な判例をとおして, 擬似DESを利用した租税回避ス キームに関する問題について, 課税上と会社法上各々の側面から検討し, 会社法上の問題については, 少数派株主保護の観点からも若干の検討を試 みたいと思う。
Ⅱ 擬似DESを利用した租税回避スキームに関する諸問題
一 課税上の問題
擬似DESがDESに比して租税回避スキームとして利用されてきた理由 として, ①擬似DESは, 現物出資の煩雑さを回避できるという点, ②平 成17年会社法改正前においては, DESは, 検査役の調査 (又はこれに代 わる弁護士等の専門家の証明) が必要であり, 検査役の費用やスケジュー ルの遅延が問題となる可能性があったのに対し, 擬似DESは不要であっ たこと
(5)
, ③平成18年度税制改正前において, DESは, 債務消滅益課税が なされるのか否かが明らかではなかった, といったことが挙げられる。
会社法改正前における擬似DESの事案では, これらの要因の中でも,
②の検査役の調査を回避することに主眼が置かれていたようであるが, 会 社法改正後は, 現物出資財産が, 弁済期が到来している株式会社に対する 金銭債権で, 現物出資財産の価額がその金銭債権に係る負債の帳簿価額を 超えない場合には, 検査役の調査が不要となったために (会207条9項5 号), 現在は問題とならない。
最も重要な問題であると考えられるのは, 債務 (債権者側からみると債 権) を株式に転換するという同様の効果を有しながら, DESは債務消滅 益課税
(6)
の対象となることが明らかになったことに対し, 擬似DESは, 金 擬
似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
(5) なお, 現在は現物出資財産が金銭債権である場合, 現物出資価額が当 該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えない場合は, 検査役の調査が不要 である (会207条9項5号)。
銭出資による資本金等の額の増加たる資本等取引と債務弁済の行為からな るため, 債務消滅益課税の対象とされないという点である。 なお, 債務消 滅益とは, 負債のうち現物出資にあてられる部分の金額とその時価との差 額に相当する金額
(7)
である。
もっとも, 以下に検討する判例において示されるように, 同族会社であ る親会社が, 多額の貸付を行っている子会社に, 増資新株を発行させ, 額 面額をはるかに超える金額を払い込んで当該新株を引き受け, この払込金 をもって子会社に貸付金の返済をさせて, まだ貸倒れになっていない債権 の早期回収を図る一方, 当該新株を他の会社にきわめて低額で譲渡して多 額の譲渡損を作出し, それをもって当該親会社の所得と通算して法人税の 軽減を図った場合等には, 債権者側において, 同族会社の行為計算の否認 規定の適用又は寄附金認定のおそれがあり, その結果, 債務者側において は, 擬似DESに対しても消滅益課税がなされる可能性はあり, また, 寄 附金認定による受増益課税がなされる可能性がある。
しかしながら, これらは, 会社法上, 額面株式の制度や発行価額の文言 が存在した時代 (平成13年法律第79号による商法改正前) の事例であり, 今日, 同様のケースが生じた場合に, はたしてこのような課税関係が生じ るのか明らかではない。
以下では, 二つの判例をとおして, 擬似DESを利用した租税回避スキー 論
説
(6) DESにおいて, その債務の消滅に係る利益が生じる場合, 債権とし ての回収を放棄するという意味において, 実質的には債務免除と同質のも のと考えられ, 債務消滅益を認識し課税されることとなった。 事業再生に 係るDES (Debt Equity Swap:債務の株式化) 研究会・前掲注(1)12頁。
(7) 金子宏 「法律学講座双書 租税法第16版」 (弘文堂, 2011年) 350頁。
ムの事実関係を整理するとともに, 課税上の問題について検討を行う。
(1) 相互タクシー事件の検討
① 事案の概要 相互タクシー事件
(8)
における事案の概要は次のとおりである。
不動産賃貸, 証券投資等を目的とする原告X会社 (以下 「X」 という。) は, 10社から構成される相互タクシーグル―プの中心を担う会社である。
1991年7月, Xの創始者乙の死亡により甲がその遺産を相続した。 そ の際, Xの保有する資産には多額の含み益のある上場株式と, グループ法 人Aに対する約942億円の不良債権があった。 当時Aは約578億円 (時価) の債務超過となっていた。
1993年11月, 甲とその実母は, 保有していたAの全株式 (普通株45万 株) をXに贈与し, Xは無償でAを完全子会社とした。
Aは, 同年11月, 発行済普通株式 (額面金額1,000円) の全部を無額面 株式に転換した。 さらに, Aは, 12月に無額面株式全てを額面株式に転 換し額面金額50円とした上で, 新たに普通株式52,900株と劣後株式110万 株を1株あたり発行価額50円 (額面金額) で発行した。 Xは, 同年12月 に, 普通株式の全部を1株当たり100万円, 総額529億円で引き受け, 銀 行借入金により払込みを行った。 Aは, 発行価額を資本金に, これを超え る金額を資本準備金に組み入れるとともに, 払込の都度直ちに, 払込金額 をXに対する債務の弁済にあて, Xはこれで銀行借入れを返済した。 また, 擬
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(8) 福井地判平成13年1月17日訟月48巻6号1560頁, 控訴審の名古屋高裁 金沢支部平成14年5月15日判決税資252号順号9121においても国側勝訴。
原告納税者はその後上告したが, 最決平成14年10月15日税資252号順号 9213で不受理決定となったことにより確定した。 第一審の判例評釈として, 今村隆 「判批」 税理45巻13号 (2002年) 224頁, 品川芳宣 「判批」 税研99 号 (2001年) 109頁等がある。
Xは劣後株式を額面金額で引き受けた。 Xは, 12月20日, 贈与及び払込 により取得したA普通株の全部 (45万株+52,900株=502,900株, 取得価 額529億円) を, グループ外の法人Bに1株あたり316円で売却し, 約527 億円の譲渡損失を計上した。 Xは, 劣後株式を保有することによりAへの 支配を継続した。
Xは, 翌1994年3月18日, グループ法人Cに, 保有していた上場株式 を約579億円で売却し, 譲渡益約522億円を計上した。 Cは代価のほとん どを, Cの増資によりXから払い込まれた資金によってXに支払った。
甲は, 保有していたX株およびグループ法人D株を約569億円でCに売 却した。 代価のほとんどは, 甲の相続税等に係る債務の引受けによること とされた。 ただし, Cは債務を完済していない。 課税庁は, 本件Aに係る 増資払込金のうち, 1株50円を超える部分は寄附金に当たるとして更正 した。
本件は, 額面金額を超える払込みが, 法人税法 (以下法という。) 37条 の寄附金にあたるか, 法132条 (同族会社の行為計算否認規定) を根拠に 贈与とされるかが争点となった事案である。 判決は, 前者を肯定し, 後者 については判断しなかった。
② 判決の要旨
「寄附金の意義について, 法37条6項 (現行7項) は, 「寄附金, 拠出 金, 見舞金その他 いずれの名義をもってするかを問わず , 内国法人が 金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」 と規定してお り, また, 同条7項 (現行8項) は, 「 実質的に 贈与又は無償の供与」
と規定していることからすると, 同条6項 (現行7項) にいう 「贈与又は 無償の供与」 とは, 民法上の贈与である必要はなく, 資産又は経済的利益
論
説
を対価なく他に移転する行為であれば足りるというべきである。
もっとも, 右 「対価」 の有無は, 移転された資産又は経済的利益との金 銭的な評価, 価額のみによって決すべきものではなく, 当該取引に経済取 引として十分に首肯し得る合理的理由がある場合には, 実質的に右 「対価」
はあるというべきである。」
「そこで, まず, 本件増資払込みが, 寄附金すなわち資産又は経済的利 益の 「贈与又は無償の供与」 に当たるか否かを検討するに, 原告は, 本件 増資払込みにより本件株式を取得したことが明らかであるから, 本件株式 が本件増資払込みの 「対価」 といえるか否か, すなわち, 右取得に経済的 取引として十分に首肯し得る合理的理由があるか否かが問題となる。」
「株式は会社財産に対する割合的持分の性質を有し, 株主は会社の純資 産を株式保有割合に応じて間接的に保有するものであるから, 増資会社が 債務超過の場合に, 新株を発行しても増資会社の債務超過額を減少させる にとどまるときは, 増資払込金は増資会社の純資産を増加させることには ならず, したがって, 新株式の価格は理論上零円となる。」
「この点につき, 原告は, 増資払込みにより払込金額で評価される本件 株式を対価として取得したものであると主張する。
しかし, 本件増資払込みによる現実の出捐があったとしても, 法37条 の解釈, 適用上, 本件増資払込金の中に寄附金に当たる部分がある場合に は, 当該部分は法人税法上の評価としては 「払い込んだ金額」 (法人税法 施行令38条1項1号 現行119条1項2号に類似 ) に当たらないと解さ れる。 本件増資払込金は本件株式を取得するための増資払込金としての外 形を有するものであるが, 後記のとおり, それが実質上寄附金と判断され る以上, 原告の行った取引の外形に法人税法上の法的評価が拘束される理 由はないから, 法人税法上これを 「払い込んだ金額」 として, 本件株式の 取得価額に当たると解さなければならないものではない。 また, 法37条 擬
似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
は同法22条3項にいう 「別段の定め」 に当たるから, 商法や企業会計原 則上の取扱いにかかわらず適用されるものである。」
「本件増資払込みに経済取引として十分に首肯し得る合理的理由がある か否かについてみるに, ……本件増資払込みは, ……上場株式を売却する ことによって生ずる有価証券売却益に見合う株式譲渡損を発生させ, 右有 価証券売却益に対する法人税の課税を回避することを目的としたものであ ることは明らかであり, 本件株式を額面金額かつ発行価額である一株当た り50円を超える額で引き受けて払い込んだことに, 経済取引として十分 に首肯し得る合理性は認められないというべきである。」
福井地裁は, 以上のように判示し原告の請求を棄却した。
③ 検 討
本判決は, 平成13年商法改正前の額面株式の制度が存在した時代に, 額面金額を超える払込みは寄附金に該当し, 株式取得価額を構成しない, と判示したものである。 判決は, 「贈与又は無償の供与」 (法37条7項) を民法上の贈与より広く捉え, 資産又は経済的利益を対価なく他に移転す る行為であれば足りるとした上で, 経済取引として十分に首肯し得る合理 的理由がある場合には, 実質的に 「対価」 が認められるとした。 また, 増 資払込金のうち寄附金とされた部分は, 法人税法上の評価としては 「払い 込んだ金額」 に当たらないとした。
本件において, 原告は, 実際に株式を受け取っているため, 裁判所は, 当該株式を増資払込みの対価というためには, その株式の取得に経済的合 理性がないといけないとし, 当該増資払込みに経済的合理性があるか否か の検討を行った。
これに関し, 裁判所は, 本件増資払込みは, グループ法人に上場株式を 売却することによって生ずる有価証券売却益に見合う株式譲渡損を, グルー
論
説
プ外法人に子会社株式を低額譲渡することにより発生させ, 右有価証券売 却益に対する法人税の課税を回避することを目的としたものであることは 明らかであり, 本件株式を額面金額かつ発行価額である一株当たり50円 を超える額で引き受けて払い込んだことに, 経済取引として十分に首肯し 得る合理性は認められない, と判断した。
本判決において特徴的であるのが, 本件一連の行為を構成する個々の取 引に問題はなく, 一連の行為全体における経済的合理性をもとに, 寄附金 該当性を判断したことである。
また, 本判決は, 擬似DESにおける株式の取得であっても, 資本等取 引に該当するかの判断は必ずしも外観によらず, 実質的に寄附金と判断さ れる場合, 資本等取引には当たらない旨の司法の見解も示した
(9)
ことになる といえよう。
しかし, 本判決では, 寄附金となる境界として額面金額すなわち発行価 額が利用されたが, もはやこれらは使うことができない。 今日であれば, 払込金額 (会199条1項2号) が1株100万円とされ, 種類株式を利用し て支配が継続したはずであるとの指摘
(10)
もある。
(2) 日本スリーエス事件の検討
① 事案の概要 日本スリーエス事件
(11)
における事案の概要は次のとおりである。
擬 似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
(9) 林幸一 「中小企業再生における擬似DESに係る課税問題」 大阪経大 論集第61巻第3号 (2010年) 120頁。
(10) 岡村忠生 「発行価額を超える新株払込みと寄附金」 租税判例百選第4 版 (別冊ジュリストNo. 178) (有斐閣, 2005年) 117頁。
(11) 東京地判平成12年11月30日訟月48巻11号2785頁, 控訴審の東京高判平 成13年7月5日税資251号順号8942共に国側勝訴で確定。 本判決に関する 評釈として, 岩崎政明 「判批」 ジュリスト1215号 (2002年) 192頁, 渡辺
原告Xは, Xの子会社であるA株式会社 (以下 「A」 という。) 及び株 式会社B (以下 「B」 といい, Aと合わせて 「本件子会社」 という。) に 対する貸付債権が不良債権化していたところ, 平成5年4月1日から平成 6年3月31日までの事業年度において, コンサルティング収入を期待で きることとなったことから, これを機会に不良債権を処理しようと考え, 本件子会社の発行する増資新株式を額面価額に比べて高額で引き受けて, 当該株式を非同族会社である株式会社C (以下 「C」 という。) に低額で 譲渡することによって有価証券売却損を計上し, 確定申告の際に払込金額 と売却価額の差を有価証券売却損として計上して申告した。 また, 本件子 会社は, 上の増資払込金をもって原告に対する債務を弁済した。 これに対 して, 課税庁が, 法人税法 (以下 「法」 という。) 132条 (同族会社の行 為計算否認規定) を適用して, 新株式の取得価額は額面金額であると認定 し, 原告は有価証券売却損を過大に計上しているとして, 更正処分及び過 少申告加算税賦課決定処分をしたため, 原告Xが上の各処分の取消しを求 めて提訴した。
本件の最大の争点は, 本件一連の行為について, 法132条を適用し, 有 価証券の取得価額は額面金額であって, それを超える払込金額は寄附金に 該当する, としたことが適法かどうかという点である。
② 判決の要旨
「本件において, 被告は, 法132条を適用している。 同条は, 法人税の 負担を不当に減少させる結果となることを要件としているが, 原告は, 本 件子会社に対する貸付金について損金に算入することによって税額を軽減
論
説
充 「判例に学ぶ租税法」 (税務経理協会, 2003年) 129頁等がある。
した上で償却する (無税償却) ことを目的として本件一連の行為を行って いるところ, 本件子会社に対する貸付金それ自体について (それ自体貸倒 に該当すること等によって) 損金を算入することができたのであれば, こ れに応じて本来負担すべき法人税額も減少していたというべきであるから, 本件一連の行為によってこれと同一の結果を発生させたとしても, 法人税 の負担を不当に減少させる結果となるとはいえない。 これに対し, そもそ も損金に算入することができないものであったにもかかわらず本件一連の 行為によって有価証券売却損を計上することによって損金に算入すること としたというのであれば, 本件一連の行為によってはじめて法人税の負担 を減少させる結果が生ずるのであるから, 本件一連の行為が次に述べる法 132条の要件に該当する場合には, 同条に基づき行為又は計算を否認させ ることになるというべきである。」
「原告の本件子会社に対する貸付金はいずれも回収不能とはいえず, 損 金に算入することはできないものであった。 すなわち, 原告は, 本来損金 に算入することができないものについて, 本件一連の行為を行い, 有価証 券売却損という形を取ることによって, 実質的に, 本件子会社に対する貸 付金を損金に算入する形で処理したものであるということになる。」
「そして, Aは, 本件一連の行為を行った平成5年度において債務超過 状態であり, Bについても, 平成5年12月31日現在の財務内容をみれば, 本件一連の行為を行った平成5年12月の時点において債務超過状態であっ たことは明らかである。 このように, ……債務超過状態にあり, 将来成長 が確実に望めるというような特別の事情が認められるわけではない株式会 社の新株発行に際して, 額面金額である発行価額を大幅に超える払込みを 行うのは, 通常の経済人を基準とすれば合理性はなく, 不自然・不合理な 経済行為である。 原告は子会社を救済する必要性, 妥当性を指摘して右行 為の合理性を主張するが, 株式を取得する際にはそのような背景事情を捨 擬
似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
象した株式自体の価値に着目して対価を決定するのが, 税法の想定する通 常の経済人を基準とした合理性のある行為と考えるべきである。 そして, 本件子会社が, 原告が全株式を保有する同族会社であり, かつ, 本件一連 の行為によって, 本来であれば損金に計上することのできない本件子会社 に対する貸付金を有価証券売却損という形をとることによって, 損金に計 上するという目的があったからこそ, 右のような払込みが行われたもので あるというべきである。
そうすると, 本件子会社の新株発行に際して, 原告が, その対価として,
……払込みをした行為は, いずれも, これを容認した場合には法人税の負 担を不当に減少させる結果となると認められ, 税務署長は, 法132条によっ て右の行為を否認することができるものというべきである。
そして, 本件において, 被告は, 原告の右の行為を否認し, 原告が行っ た本件子会社の株式の増資払込みを通常あるべき行為に引き直して, 本件 子会社の株式一株について払い込んだ金額は, 株式の額面金額とするのが 相当であり, その余の金額は, 株式の増資払込みとは認められず, 何ら対 価性のない金銭の支出として寄附金に該当するとしている。 本件において は, 有価証券売却損を作出するために新株の客観的な価値を大幅に超える 払込金額を払い込んでいることが経済的合理性を欠くものとして法132条 の否認の対象とされているのであるから, 被告 (税務署長) としては, 本 件子会社の発行する新株一株当たりの客観的価値を把握し, その客観的価 値をもって本件子会社の株式一株について払い込んだ金額とするのが正当 と思われないでもないが, 被告は, 商法上, 額面株式の発行価額はその券 面額を下回ることができないとされていること (旧商202条2項) から, 本件子会社の株式一株について払い込んだ金額は, 株式の額面金額とする のが相当であるとしたものであること, 本件子会社は, いずれも債務超過 状態であり, 将来成長が確実に望めるというような特別の事情も見当たら
論
説
ないのであって, その新株の価値は極めて低いと考えられることからする と右の被告の認定が不合理であるということはできない。 したがって, 右 のとおり法132条を適用したことは適法なものというべきである。」
東京地裁は, 以上のように課税庁の主張を支持し原告の請求を棄却した。
③ 検 討
法人の有する金銭債権について, 貸倒れが発生した場合には, その貸倒 れによる損失は課税所得の計算上損金の額に算入されることはいうまでも ない。 ただ, 税務においては, 貸倒れによる損失を, 金銭債権の法律的な 消滅による場合 (基通 961) と, 金銭債権は法律的には消滅しないがそ の資産性の有無についての会計的認識をした場合 (事実上の貸倒れ, 基通 962) とに区分し, 前者については, 法人がこれを貸倒れとして経理し ているといないとにかかわらず, その事実のあった日の属する事業年度の 損金の額に算入するものとし, 後者については, 回収不能の金銭債権の全 額を法人が貸倒れとして損金経理したときに限り, その損金算入を認める
(12)
。 金銭債権が貸し倒れとなったかどうかは, その金銭債権の全額について 判定を行う。
税務においては, 伝統的に債権については評価替えを認めないこととし ている (法33条1項)。 したがって, 金銭債権の一部についての貸倒償却 は, 原則として認められないこととなる。 税務上債権の評価及び一部償却 を認めないのは, 債権は本来債務者の総財産を担保するものであり, また, 個々の債権についてこれを評価することが困難であるからであると説明さ れる。
なお, 債務者について一定の事実が発生した場合の売掛債権については, 擬
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(12) 中村利雄・岡田至康共著 「法人税法要論」 (税務研究会出版局, 2010 年) 392393頁。
貸倒れとして処理できるものとされ, その要件が緩和されている (基通 963)。
本件について検討すると, 原告は, 子会社に対する貸付金を回収不能と して損金に算入することはできないかと考えていたようであるが, 貸倒損 失としての要件を満たしていないことから, 当該処理が不可能であること は原告も認めるところである。
つぎに, 法人税法132条についてであるが, 法人税法は, 同族会社 (外 国法人である同族会社を含む) の行為又は計算で, これを容認した場合に 法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるとき は, 税務署長はその行為又は計算にかかわらず, その認めるところにより, 法人税額を計算することができる旨を定めている (法132条1項1号)。
税負担の不当な減少を結果すると認められる同族会社の行為・計算とは 何かについて, 判例の中には, 二つの異なる傾向が見られる。 第一は, 非 同族会社では通常なしえないような行為・計算, すなわち同族会社なるが ゆえに容易になしうる行為・計算がこれにあたる, と解する傾向であり (東京高判昭和40年5月12日税資49号596頁, 東京地判昭和26年4月23日 行裁例集2巻6号841頁 (明治物産事件)), 第二は, 純経済人の行為とし て不合理・不自然な行為・計算がこれに当たると解する傾向である。 いず れの考え方をとっても, 具体的事件の解決に大きな相違は生じないであろ うが, 非同族会社の中には, 同族会社にきわめて近いものから所有と経営 の分離した巨大会社に至るまで, 種々の段階のものがあり, 何が同族会社 であるがゆえに容易になしうる行為・計算にあたるかを判断することは困 難であるから, 抽象的な基準としては, 第二の考えをとり, ある行為又は 計算が経済的合理性を欠いている場合に否認が認められると解すべきとの 見解
(13)
がある。 本判決においては, 第二の考え方を是認したものと考えられ 論
説
る。
そして, 行為・計算が経済的合理性を欠いている場合とは, それが異常 ないし変則的で租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しないと 認められる場合のみでなく, 独立・対等で相互に特殊関係のない当事者間 で通常行われる取引とは異なっている場合をも含む, と解するのが妥当で ある
(14)
とされる。 したがって, 否認の要件としては, 経済的合理性を欠いた 行為又は計算の結果として税負担が減少すれば十分であって, 租税回避の 意図ないし税負担を減少させる意図が存在することは必要ではない
(15)
と解さ れている。
本件について検討すると, 本判決においても特徴的であるのが, 個々の 取引を一体の取引とみた上で, 一連の行為について経済的合理性の有無を 判断していることである。 法人税法132条においては, 「行為」 について 個々の取引に限定するのか否かについて明らかにされていない。 したがっ て, 本判決のような見解も成立しうることになる。 しかし, 同法132条が 個々の取引ごとに判断されるのであれば, 本件における行為・計算が経済 的合理性を欠いているとはいえないことになる。
ところで, 本判決も, 商法改正前の額面株式が存在していたころの事案 であるため, 現在では寄附金となる境界線として額面金額が利用できない。
したがって, 本裁判でも言及しているように, 子会社の発行する新株一株 当たりの客観的価値を把握し, その客観的価値をもって本件子会社の株式 一株について払い込んだ金額とすることに, 今後は着目される可能性が高 いのではないかと思われるが, 客観的価値の把握をどのような方法で行う 擬
似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
(13) 金子・前掲注(7)420421頁。
(14) 金子・前掲注(7)421頁。
(15) 金子・前掲注(7)421頁。
か, たとえば, 株式の時価であればどのように評価するかが問題となると 思われる。
以上, 擬似DESを利用した租税回避スキームに関する判例2例の検討 を行ったが, いずれも, 親会社が, まだ貸倒れとなっていない子会社に対 する不良債権を株式に転換し, その後直ぐに関連性の強い第三者に低額譲 渡することで多額の譲渡損を作出し, それをもって当該親会社の所得と通 算して法人税の軽減を図っている。 特徴的であるのが, どちらも一連の行 為を構成する個々の取引に問題はなく, 一連の行為全体における経済的合 理性をもとに判断しているということである。
本来, DES及び擬似DESは, 企業再生の一手法として利用されるべき であるが, 両者が同一の経済的効果をもたらすにもかかわらず, 法的構成 の違いにより, 課税関係が異なっていることが, 本来の目的外の利用を容 認する原因の一つとなっていると考えられる。 両者の課税上の均衡をどの ように図るべきかについて立法論的検討が必要である。
二 会社法上の問題
擬似DESを利用した租税回避スキームに関する諸問題としては, 課税 上の問題のみならず, 会社法上の問題も存在する。
既述のように, 平成17年会社法改正前において, DESは, 検査役の調 査 (又はこれに代わる弁護士等の専門家の証明) が必要であり, 検査役の 費用やスケジュールの遅延が問題となる可能性があったことから, 擬似 DESの利用が促される原因となっていたと考えられる。 しかしながら, この点については, 同法の17年改正において解決をみている。
つぎに, 上述二つの判例は, ともに, 子会社に対する貸付金相当額ある 論
説
いはその一部をかかる子会社に増資払込みするために, 一時的に第三者か ら借入れを行った上で子会社に出資し, かかる子会社は, その出資金をもっ て親会社に債務を返済すると同時に, 親会社は第三者に借入金を返済する という手法をとっている。 これが, 会社法上 「見せ金」 と認定され, 払込 の効力が否定される可能性が存在する
(16)
という問題がある。 これについては, 裁判所が, 効果が同じ現物出資型DESを資本充実に反しないと判断して いること, 純資産が増加し他の債権者や株主を害することがないこと等を 理由に, 無効とみなす必要性も存在しないと解する見解
(17)
もある。
さらに, 擬似DESを利用し, 租税軽減行為が行われた結果生じる問題 も考えられる。
すなわち, 親会社が, 当該会社の多額の収益計上見込みに対し, 子会社 に対する不良債権を擬似DESにより株式に振り替えて, 当該株式を第三 者に譲渡し, 多額の有価証券売却損を計上することによって, 貸倒損失と しては, まだ損金に算入できない子会社に対する不良債権を処理するとと もに自社の租税回避を図るような場合, 少数派株主の利益を害することも 考えられる。 すなわち, たとえば, 株主が, 取締役や監査役を兼ねること によって役員報酬の形で利益の分配を受けている場合, 上述のような処理 において配当を受けなかったとしても影響はないが, 役員を兼ねていない 一部の少数派株主は, 利益の分配に与れない, あるいは事実上利益の分配 から締め出されてしまうといったことが考えられる。 実際のところ, 擬似 擬
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(16) 松嶋隆弘 「いわゆるデット・エクイティ・スワップ事件 適格現物出 資に該当するデット・エクイティ・スワップにつき, 混同消滅した債務の 額とその帳簿価額との差額につき債務消滅益を認定した事例:東京地判平 成21年4月28日訟務月報56巻6号1843頁」 日本法学第77巻第4号 (2012年) 67頁。
(17) 藤原総一郎 「DES・DDSの実務」 (金融財務事情研究会, 2011年) 14 頁。
DESによって金銭出資した額は, その後, 子会社債務の返済金として親 会社に戻っており, 実質的には有価証券売却損にあたる資産が新たに社外 流出したわけではないにもかかわらず, 配当を行わないという経営方針や, あるいは実際受けるべき配当に比べて極めて少額の配当を受けたとしても, 株主総会あるいは取締役会の決議を経てかかる方針が決定された以上, そ のこと自体を問題とすることは難しいであろうと考えられる
(18)
。
Ⅲ お わ り に
上述のとおり, 擬似DESを利用した租税回避に関する問題は, そもそ も, DESと擬似DES共に債務を株式に転換するという同様の効果をもた らす手法でありながら, 法的構成の違いにより課税上の均衡がとれていな いことに端を発すると考える。
企業再生目的でDESを利用する際にも債務消滅益課税がなされること に関しては, 検討の余地があるのではないかと考えるが, 少なからず, 企 業再生目的でのDES及び擬似DESの利用は, 両者間における課税上の均 衡が確保されるように立法的手当てがなされるべきである。
本稿では, 擬似DESを利用した租税回避スキームに着目し問題の検討 を行ってきたが, 両者の課税関係が統一されてなお, 擬似DESが租税回 避目的に利用されるならば, 本来の目的外の利用により課税の公平性が損 なわれることのないように, より強固に制度設計されることも必要である と考える。 たとえば, 子会社等を整理又は再建する場合の損失負担等につ いて, 経済的合理性がある場合には寄附金には該当しないとされるが, そ
論
説
(18) なお, 係る問題におけるイギリス会社法上の救済制度として, 不公正 侵害行為の救済制度がある。 森江由美子 「少数派株主保護の法理―抑圧お よび不公正な侵害行為の救済制度と株主代表訴訟制度による救済(一)―」
関西学院大学法政学会法と政治第62巻第3号 (2011年) 3739頁参照。
の指針となる 「私的整理に関するガイドライン」 が国税庁より公開
(19)
されて いる。 これに基づいて策定された合理的な再建計画
(20)
に基づかない擬似 DESの利用で, 発行された新株を取得後一定の期間内に売却した場合, 当該株式の処分によって発生する損失の控除を制限する旨の新たな規定を 設けるべきとの見解
(21)
があるが, 概ね賛成である。
DES及び擬似DESが企業再生手段として正当に利用されることを目的 擬
似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
(19) 「私的整理に関するガイドライン」 に基づき策定された再建計画によ り債権放棄等が行われた場合の税務上の取扱いについて, 以下のwebペー ジで公開されている。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/011126/b_01.
htm
(20) 国税庁が公開している合理的な整理計画又は再建計画とは, 以下の内 容である。
①損失負担等を受ける者は, 「子会社等」 に該当するか。 ②子会社等は経 営危機に陥っているか (倒産の危機にあるか)。 ③損失負担等を行うこと は相当か (支援者にとって相当な理由はあるか)。 ④損失負担等の額 (支 援額) は合理的であるか (過剰支援になっていないか)。 ⑤整理・債権管 理はなされているか (その後の子会社等の立ち直り状況に応じて支援額を 見直すこととされているか)。 ⑥損失負担等をする支援者の範囲は相当で あるか (特定の債権者等が意図的に加わっていないなどの恣意性がないか)。
⑦損失負担等の額の割合は合理的であるか (特定の債権者だけが不当に負 担を重くし又は免れていないか)。 なお, 注書きで, 子会社等を整理する 場合の損失負担等 (基通 941) の経済合理性の判断の留意点を述べてい る。 上記②については, 倒産の危機に至らないまでも経営成績が悪いなど, 放置した場合には今後より大きな損失を蒙ることが社会通念上明らかであ るかどうかを検討することになる。 上記⑤については, 子会社等の整理の 場合には, 一般的にその必要はないが, 整理に長期間を要するときは, そ の整理計画の実施状況の管理を行うこととしているかどうかを検討するこ とになる。
(21) 倉見延睦 「デット・エクイティ・スワップにおける課税問題―債務消 滅益に対する課税の検討を中心に―」 立命館法政論集第9号 (2011年) 107頁。
とした課税上の立法的手当てがなされることで, ひいては, 少数派株主の 利益保護にもつながるのではないかと考える。
附記 加藤先生には, 私が修士課程時代より熱心にご指導頂きましたこ とを, 心より御礼申し上げますと共に, 今後の御健康と益々のご活躍を お祈り致します。
論
説
擬 似 D E S を 利 用 し た 租 税 回 避 ス キ ー ム に 関 す る 課 税 上 と 会 社 法 上 の 諸 問 題
Problems on Taxation and Company Law regarding Tax Avoidance Scheme with Pseudo Debt Equity Swap
Yumiko MORIE
In this article, through some specific judicial precedents, I have analyzed the problems of the scheme for tax avoidance using the pseudo debt equity swap, from the taxation point of view and the company law point of view.
In addition, I have considered the problem of company law especially from the point of minority shareholder protection.
The contents are the following.
Ⅰ Introduction
Ⅱ Problems of Tax Avoidance Schemes with Pseudo Debt Equity Swap 1 Problems on Taxation
2 Problems on Company Law
Ⅲ Conclusion