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既設吊橋のレベル 2 地震時における耐震性評価

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Academic year: 2022

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(1)

既設吊橋のレベル 2 地震時における耐震性評価

西日本高速道路(株)  正会員  今村  壮宏  熊本大学大学院  正会員  松田  泰治

(株)ドーユー大地  フェロー会員  坂手  道明  正会員  ○松田  宏 (株)横河ブリッジ  小深田  祥法

1.目的  

  検討対象の関門橋(支間構成

178+712+178m

の鋼

3

径間吊橋)は,建設より

40

年以上経過しており,供用期 間中に発生確率は低いが大きな強度を有するレベル

2

地震動に対する耐震設計はなされていない.吊橋は長周 期構造であり,長周期化による免震効果で地震時の影響は比較的小さいと考えられてきたが,側径間が

200m

未満で比較的短周期構造のため,橋軸直角方向に対して慣性力の増大とともに,補剛桁,床トラス等の主構及 び横構,ウィンドタングシステム,橋台支承などが損傷する可能性があることがわかってきた

1)

.本稿は,さ らに損傷が生じる可能性のある主塔,橋台支承取付け部(アンカーフレーム等)の挙動についても着目し,各 部位の損傷状況を整理した.

2.解析条件

解析モデルは

3

次元モデルとし,図-1に示すケーブル併用制震システムの各種非線形性を考慮してモデル 化した.また,ウィンドタング周辺の挙動把握のためウィンドタングに隣接する部位を 3 次元弾性シェル要素,

ウィンドタングと主塔,アンカレイジへの連結部を図-2 に示すとおりモデル化した.補剛桁,床トラス垂直 材についても塑性化が考えられる範囲はファイバー要素でモデル化した.横構はガセットとの取付け状況より 軸力部材でモデル化し,図-3のとおり圧縮座屈を考慮できる若林モデルにより復元力特性を設定した

2)

.  3.粘性減衰力のモデル化

対象橋の主要な固有振動数,モード減衰定数の関係を図-4に示す.本検討では

Rayleigh

減衰を用いること とし,橋梁全体系の応答が支配的となる中央径間,側径間の補剛桁及び主塔の振動モードの範囲に着目して,

刺激係数の大きい次数を選択し,α,βは最小

2

乗法により設定した

3)

. 

(a) 長方形断面筋違の交番繰返し載荷実験例 (b)動的解析に用いる復元力モデル  図-2  解析モデル図(主塔付近)      図-3  若林モデルによる横構のモデル化

  キーワード  吊橋,ノージョイント,ウィンドタング,補剛桁,アンカレイジ水平支承,圧縮座屈    連絡先 

336-0017

  埼玉県さいたま市南区南浦和

2-25-1 (

)

ドーユー大地  東京支店構造技術部 

TEL 048-711-4810

図-1  対象橋梁とケーブル併用制震システム構造 

ABCDABCD

床組縦桁D橋軸直角方向拘束

ダンパー

ダンパー

掛違い部(連続化)

A1 A2

P1 P2

A B C D D C B A

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑365‑

Ⅰ‑183

(2)

4.解析結果 

死荷重,プレストレス力および温度変化±

30

度による初期断面力を考慮し,標準波形を 用いて,橋軸方向及び橋軸直角方向に対して 非線形動的解析を行った.弾性挙動する部材 は道示Ⅱ鋼橋編により照査を行い,非線形性 を考慮した部材については塑性率を確認した.

表-1 に塑性化に至る部材の一覧を示す.主部材である補剛桁上弦材,床トラスは,橋軸直角方向加震時に 軽微な損傷が生じる.主部材以外の上下横構は,側径間の桁端部付近において圧縮座屈により強度が低下し,

床トラスの上下弦材に残留変形が残る可能性があることがわかった.一例として,入力波形Ⅰ-Ⅰ-

3

による最 終ステップでの下弦材の残留変形状況を図-5に,下横構の応答履歴を図-6に示す. 

  主塔については,縦リブ剛度,ダイヤ フラム間隔が道示の規定を満たしてい ないが,実構造は耐震設計上の照査断面 より縦リブ剛度が高い.ウィンドタング 連結部との結合部付近は塑性化率が高 く,局部弾塑性

FEM

解析による検証が 必要である. 

  センターステイケーブルは塑性化す るが,メインケーブルと補剛桁間の剛性 が低下し全体系の挙動として長周期化 するため,補剛桁等の損傷は生じない.

なお,メインケーブル,ハンガーケーブ ルは許容安全率を確保している. 

橋台水平支承は,塑性化により過大な 水平力はアンカーフレームに作用しな いが,鉛直方向はアンカーボルトが降伏 軸力を超過する可能性がある. 

5.まとめ  

橋軸方向に対しては,ケーブル併用免制震システムの効果により耐震性を確保できると考えられる.一方,

橋軸直角方向については,特に短周期成分が卓越する側径間に損傷が集中する可能性がある.道示

V

では,

鋼上部構造は弾性域に留めることが望ましいとしているが,横構は耐力低下により,主部材の損傷を軽微なレ ベルに留める効果も有しているため,大規模地震後の修復性に配慮して,最小限の損傷に留めるよう補強計画 を検討する必要があると考えられる.

参考文献 

1)

松田他:既設吊橋の大規模地震時挙動に関する解析的研究,第

35

回地震工学研究発表会講演論 文集,2015.10 2) 若林他:鉄骨筋違の履歴特性の定式化−その1定式化関数の誘導−,日本建築学会論文集 第

316

,1982.6 3)(

)

日本道路協会:道路橋示方書・同解説Ⅴ耐震設計編に関する参考資料,

2015

0 2 4 6 8 10

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

衰定(%)

振動数 (Hz)

着目方向減衰定数 着目次数減衰定数 最小2乗法Rayleigh

0 2 4 6 8 10

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

(%)

振動数 (Hz)

着目方向減衰定数 着目次数減衰定数 最小2乗法Rayleigh

(a)橋軸方向  (b)橋軸直角方向 

ダンパー A1

P1 約 10cm 

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

N /N y

d/dy

図-4  Ray-leigh 減衰の設定

図-5  残留変形状況(側径間側床トラス下弦材)

図-6  下横構の応答履歴(桁端○部材) 表-1  解析結果 

補剛桁1次:6.1sec 主 塔1次:0.8sec

補剛桁1次:10.6sec 主 塔1次:1.3sec

σ

cr

:149N/mm

2

l/r :90.6

上弦材 なし 側径間の標準断面で

1.17εy

上横構 なし (側径間)δmax/δy=8.9

残留変位:102mm

下横構 なし (側径間)δmax/δy=11.4

残留変位:122mm

上・下弦材 なし (側径間)端床トラスで

1.4εy

垂直材 なし 標準断面で

1.75εy センターステイケーブル 塑性化するが破断には達しない なし 塔柱

上水平材

下水平材 なし

縦リブ剛度不足 ダイヤフラム間隔:大 ウィンドタング連結部との結合部

で塑性化

斜材 なし 縦リブ剛度不足

ダイヤフラム間隔:大

ウィンドタング 連結部 なし 塑性化(6.7εy)するが破断荷重

には達しない 水平支承 塑性化するが破断には達しない 塑性化するが破断には達しない

鉛直支承(アンカーフレーム) なし アンカーボルトが塑性化

弾性固定ケーブル 軸ひずみ 塑性化するが破断には達しない なし

補剛桁

床トラス

ケーブル

主塔

アンカレイジ

構造要素 部材等

(着色部は塑性化を考慮)

縦リブ剛度不足 ダイヤフラム間隔:大 なし

橋軸方向 橋軸直角方向加震時

A1 側  P1 側 

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑366‑

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