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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

水中の8-oxodG特異的な検出デバイスの開発及びア フィニティカラムへの展開

渡部, 卓磨

http://hdl.handle.net/2324/1806975

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(臨床薬学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

(様式9-3)

氏 名 渡部 卓磨

水中の 8-oxodG 特異的な検出デバイスの開発及びアフィニティカラ

ムへの展開

論文調査委員 査 九州大学 教 授 佐々木 茂貴 査 九州大学 王子田 彰夫 査 九州大学 教 授 濵瀬 健司 査 九州大学 准教授 谷口 陽祐

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

近年、世界人口の高齢化に伴いがんや生活習慣病などが社会問題となっている。これらの治療薬の開 発が進められている一方、病気の発症を予防するための取り組みの重要性が指摘されている。つまり、

発症の原因となる物質を迅速に検出・取り除き、発症リスクを管理するための研究がますます重要にな っている。DNAの酸化は癌や生活習慣病の重要なリスク要因であり、グアノシンの酸化損傷塩基である

8-oxo-dGの尿中検出は老化や神経疾患と相関がありDNA酸化ストレスマーカーとして注目されている。

当研究室ではこれまでに 8-oxo-dG 特異的に蛍光消光を起こす低分子プローブ”8-oxoG-clamp”の開発に

成功している。この低分子プローブは 8-oxo-dG dG の構造上の違いを多点水素結合により認識する

(Fig.1)。さらに、水溶液中で 8-oxo-dG を認識するために表面に 8-oxoG-clampを導入したシリカゲルに

よって水中の8-oxo-dGが特異的に検出できる可能性が示されている(Fig.2)。そこで、本研究では一般的 なデバイスへの展開を目的に、認識分子のより簡便な固定相導入法の検討、導入構造の最適化を行い、

さらにアフィニティティークロマトグラフィーへの展開が検討された。

幅広い新規誘導体の導入を容易に行うためクリックケミストリー(ヒュスゲン環化)を用いることとし、

8-oxoG-clamp のフェノキサジン環にアセチレン基を結合した化合物が設計・合成され(Fig.3)、8-oxo-dG

およびdGの識別能が評価された(Table 1)

Table 1. 有機緩衝溶液中(3.3 mM TEAA CHCl3)の8-oxoG-clamp誘導体錯体形成能比較

Fig. 2. 8-oxoG-clamp導入シリカの水中評価 Fig. 1. 8-oxodG-clampのよる認識

(3)

アセチレン体(4, 5, 6)は8-oxo-dGdGを識別したが、対応するデオキシリボース体(1, 2, 3)に比べ 結合定数が低下した(Table 1)。引き続き、アセチレン体(4, 5, 6) をアジド化したシリカゲル表面にクリ ック反応で導入したシリカゲル(8)を合成し(Fig. 3)、認識能が測定された。修飾シリカゲルのスペーサ

ー部分および芳香環部分の異なる9種類のシリカゲル(7, 8, 9; a, b, c)についての評価が行われた結果、

トリアゾールスペーサーで芳香環がナフタレンの8b は最も優れた 消光性を示し、80%程度の蛍光消光率を示した。引き続き、修飾シ リカゲルをCH3CN中に懸濁し蛍光スペクトルによる消光能が評価 され、この条件ではトリアゾールスペーサーで芳香環がベンゼン環 8a が選択性および親和性ともに最も優れていることが示され た。そこで、この修飾シリカ 8a を用いたアフィニティカラムが調 整された。

このアフィニティカラムを用いて、8-oxo-dG, dG, dA, dT, dCの分 析が検討され、8-oxo-dG とその他の塩基が完全に分離された(Fig.

5)。聞き続き、尿中に匹敵する濃度のヌクレオシドを含む人工尿サンプルから 8-oxo-dG を選択的な濃 縮が検討された。最適化された条件では保持溶媒として 95 CH3CN 水溶液を流し、サンプル溶液を 数回に分けて導入し、8-oxo-dGをカラム内に保持させ、それ以外のヌクレオシド(dG, dA, dT, dC)を溶 出し、その後85% CH3CN水溶液に置換することで保持されていた8-oxo-dGのみを溶出させることに 成功した。この修飾シリカゲルを用いる方法によって種々のヌクレオシド誘導体を含む希薄水溶液から

容易に8-oxo-dGを選択的に濃縮できることが示された。

本研究では、母格となる8-oxoG-clamp誘導体のデオキシリボース部位をクリックケミストリーで容 易にシリカゲル表面に導入できるアセチレン体に変換可能なことが示された。引き続きフェノキサジン 環末端の認識部位にフェニル基をもち、スペーサー部位としてトリアゾール構造でシリカゲル表面に固 定された修飾シリカ8a CH3CN 溶液中で選択性および親和性において最もよく 8-oxo-dG を認識す ること明らかにされた。8aはアフィニティカラムに展開され、簡便な操作で8-oxo-dG選択的な濃縮が 可能であることがしめされた。以上、本研究は水溶液中の 8-oxo-dG 検出のための有能なデバイス開発 に成功したものであり、博士(臨床薬学)の学位に値するものと認める。

N N

R O

NH O

O NH

O O Ar O

O O NH

OTBS

N N N

NH O

N N N Spacer

R = Ar =

(a) benzyl

(b) 1-ethylnaphthyl

(c) 4-ethylpyrenyl 7: dR

8: Triazole

9: Triazolyl-N- butanamide

8-oxodG ligand 8-oxoG-clamp derivative

Matrix 10 nm silica

Fig. 3. 修飾シリカの分子設計 Fig .4. 修飾シリカ蛍光の8-oxo-dG

度依存的消光

Fig. 5. 修飾シリカ8aを充填し たカラムによる8-oxo-dGの分

Table 1.    有機緩衝溶液中( 3.3 mM TEAA CHCl 3 )の 8-oxoG-clamp 誘導体錯体形成能比較
Fig. 3. 修飾シリカの分子設計 Fig .4.   修飾シリカ蛍光の 8-oxo-dG 濃

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