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中国大連市における日系企業の事業活動の実態と課題

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(1)

中国大連市における日系企業の事業活動の実態と課題

柳 井 雅 也

1

. は じめに

中国大連市 は遼東半 島の南端 に位置 し,人 口

554.6

万人

(2001

年現在 :戸籍 人 口と常住 している地方人 口合計) とな っている。 日本 にとって大連市 は,他 都市 と比べて 日本語を理解す る人材が多 く,気候,衣食住,治安,教育等 も高 い水準 にあ り,住みやい都市だといわれている。現在,駐藩陽総領事館大連出 張駐在官事務所や,遼寧省認可の大連 日本人学校 も設置 されてお り,

1554

(2000

10

月現在)の邦人が暮 らしている ( 図

1

) 0

図 1 大連 市位置図

‑ 1(4 8 3)‑

0 50km

(2)

当地 は東北三省 ( 遼寧,書林,黒龍江)を後背地 としなか ら,海外 とのゲー ト シティとして発達 してきた。そのため,後述す るように港湾,鉄道な どのイ ン フラ機能が整備 され,交通結節地域 として発展 を遂 げて きた

。2002

年現在 の

GDP

1406

億元 (日本 円で

1

8391

億 円

, 1

≒13

円換算) とな ってお り, これは

1984

年 の約

21

.

7

倍 とな っている。 また対全国

GDP

比で も

1991

年 に

0.9%

だ ったのが

,2001

年 には

1.3%

とシェアを上昇 させている。

本稿 は, この大連市 における日系企業の事業活動の実態 と課題を明 らかにす ることを 目的 としている。 そのために,環 日本海地域 1における経済的地位 と 地理的位置を確認 して,大連市経済 と海外投資の役割, それに経済技術開発区 をは じめ東北唯一の保税 区や輸 出加工 区な ど経済特別地域の整備状況な どを踏 まえなが ら,当地 に進 出 した 日系企業の事業活動 について分析 を行 った。 その ため国際貿易促進委員会, ジェ トロ大連事務所, 日系企業な どへイ ンタ ビュー

(2001

6

,2003

8

月)を行 った。 ケースとして取 り上 げた企業 は

YKK

, タカギセイ コー, 日平 トヤマの

3

社 で,今 日, 中国 に多 く進 出 している業種 ( それぞれ素材,成形,機械)の参考 になるもの と判断 して取 り上 げた。

2.

大 連 市 の経 済 的地 位 ( 1 )環 日本海地域の経済

2000

年現在, 日本,韓国,東北三省, ロシア極東地域をカバーす る環 日本海 地域 の

GDP

は約

5

. 4兆 ドルで, 世界全体 の

17.1%

を 占め る規模 とな って い る (図

2

)。 日本 は この うち

88.7%

を占めてお り, これを除 くと

0.7

兆 ドル に過 ぎ

日本

887

%

2

環 日本海地域の

GDP

構成

(2000

年)

出所 :参考文献

6

より。

(3)

ず, これが当該地域の経済交流の現実 と限界を示 しているといえる。

衰 1

は環 日本海地域の貿易の実態を示 した ものである。域内全体 の貿易総額

593

64

百万 ドルの うち, 日本か ら韓国が

266

3300

万 ドル ( 全体の

44.9%)

と 最大を示 し,次いで韓国か ら日本

165

億 ドル

600

万 ドル (同

28.7%)

とな ってい

る。 日韓の貿易だけで当該地域の

72.7%

を占めている。

これを

1996

年 のデータと比較す ると,域 内貿易総額 は11 億

500

ドルの増加 と な っている ( 極東 ロシア⇔北朝鮮,東北三省⇔極東 ロシアを除 く)。 この うち もっとも伸 びたのか 日本か ら東北三省

14

8300

万 ドル,次いで韓国か ら東北三 省

10

1500

万 ドル,東北三省か ら日本

1

0億

1300

万 ドルである。 いずれ も東北三 省が絡んでいるところに特色がある

2。

輸入国 .地域 ( 単位 :百万 ドル) 日本 韓 国 東北 極東 北朝鮮

輸 出 国 也

域 日本

26633 2921 133 249

韓 国

16506 1531 180 300

東北

5040 1673 882 438

極東

755 384 1236 2

北朝鮮

226 139 136 0

1

北東アジア地域の貿易

(2001

年)

*東北は中国の遼寧省,吉林省,黒他江首

**極東はサハ共和国

,

マガダン州 ,チ ェコ ト自治管区,‑バ ロフス ク地方,カムチ ャ ツカ, 州,サ‑ リン 州,アムール

.ユ ダヤ 自治州 ,沿海 地方

出所 :前掲図 2 と同 じ資料。

(2)大連市の概況 と経済

大連市 は,中国の造船,機関車,石油化学の発祥の地であ り,古 くか ら工業 都市 として発展 してきた。機械,石油化学,電子,冶金,建設材料,食品,医 痩,紡績,衣服等が主要産業である。 また大連市 は,東北三省唯一の海の出口 として発展を遂げてきた。 このため海上貿易 においては東北三省の貨物を扱い, また外資系企業 にとっては東北三省の労働力,市場,資源利用の橋頭堕 として の役割を担 ってきた。 このような地理的位置の特殊優位性 を保 ちつつ,中国政

‑3(485)‑

(4)

府 の経済政策や産業奨励策 によって 1 9 9 0 年代 に 目覚 しい経済発展を遂 げること にな った。 よ り具体的には 1 9 8 4 年 に国務院か ら 1 4 の沿海開放都市の一つ に指定 され,翌 8 5 年 には計画単列都市

3

として批准 され,省 クラスの経済管理権 限を 有 している

1 9 8 4 年 1 0 月,市の中心部か ら 2 0 数 キ ロ離れた金州区の一角 に中国 初 の国家級経済技術 開発 区の建設 ( 第 1 期工事 1 0 km2 8 4 年〜,第 2 期工事 1 4 km2 9 0 年〜) が始 ま り,様 々な優遇措置 を講 じてきた。 これ は外貨 ・技術 の 導入を進めて輸 出加工型産業,技術 ・知識集約型産業を発展 させることをね らっ

た ものである。

2 0 0 1 年現在 の遼寧省 の GDP は 5 0 3 3 億元 であ るが, これ に対 して大連市 は約 1 2 3 6 億元 ( 2 4 . 5 %) とな っている

図 3 は各年別 に GDP を示 した ものであるが,

これ によると 1 9 9 4 年 に対前年比 6 2 . 4% と急激 な伸 びを示 している。 それ以外の 年で もほぼ 1 0 ‑2 0 % 前後の伸 びを示 している

耳 . 9

ぜ 耳 ♂ ♂ ♂ ぜ

ぜ ♂ ♂♂ 年

図 3 大連市の GDP の伸び

出所 :日本貿易振興会 ( JETRO)大連事務所資料 よ り作成。

大連市への海外 か らの直接投資 ( 契約 ベース) は 1 9 9 2 年 に 9 . 9 億 ドル,翌 9 3

年 には 1 7 . 8 億 ドル と 1 0 億 ドルを突破 した ( 図 4 )。 その後 も多少 の上下 はあ っ

て もほぼ 2 0 ‑3 0 億 ドル台 を維持 して いる

この うち 日系企業 は契約 ベースで

1 9 8 8 年 に全体 の投資額 の 5 0 . 0 % を占め, 1 9 8 9 年 に 6 6 . 0% , 1 9 9 0 年 に天安 門事件

の余波で減 った ものの, 1 9 9 1 年 には 7 1 . 4 % と再び大 きな割合を占めるようになっ

た。 しか しその後 は 3 0% を下回 る年が多 くな っている

(5)

35

3 0 2 5 . i 2 0 こ t i1 5

1 0

50

♂♂♂耳㌔ ♂ ぜ

ぜ♂

♂♂

図 4 大連市外資利用状況 ( 契約ベース) 出所 :図

3

と同 じ資料 よ り作成。

1990

年代 の直接投資を実行ベースで示 したのか図

5

である。 山場 は

1994

年の

8.1

億 ドル

,1997

年の

13.2

億 ドル

,2001

年の

14.5

億 ドルの

3

回あ った。 この うち

1990

年 は 日本 は

1

.

8

億 ドルの うち

1

.

5

億 ドル (シェア

83.3%)

だ ったが

,1996

年 には シェアは

22.9%

まで落 ち込んでいる。 その後 も日本の シェアは停滞気味 に 推移 している。 しか しそれで も,依然 として 日本の地位が高いことに変わ りが ない。

1 8

16

1 4

1 2

ミ 1 0

: ∫ .

単 8

6

4

201990

1 9 9 11 9 9 2

1993

1 9 9 41 9 9 51 9 9 61 9 9 71 9 9 81 9 9 92 0 002 0 0 12 0 0 2 年

5

大連市外資利用状況 出所 :図

3

と同 じ資料 よ り作成。

一5(48

7)‑

(6)

( 単位 : 億 ドル)

2001

99 6.16 2 92 5.45 1

134 3.78 3 185 5.39 2 123 11

.

49 1 115 4.76 3 121 2.26 5 139 2.00 4

9 0.95 7 11 0.35 8

2 0.56 9 10 0.23 10

48 2.26 4 49 1.60 5

23 1.20 6 19 0.47 6

123

470662652

318819 2

90 51

1 O■ーJJHU 055920877000 330413 456789

表 2 年次別主要国 ・地域か らの直接投資受入れ 出所 :図

3

と同 じ資料 よ り作成。

表 2 は直接投資 の受 入 れを国別 に示 した ものである

1 9 9 9 年 は 日本 の直接投 資件数 は 3 7 8 件 で 3 位 だ った。 しか し 2 0 0 1 年 には 2 1 1 件, 2 位 とな ぅている

件 数ベースで は この 3 年 間で 1 位 とな っている

これが実行ベースにな ると日本 は 1 9 9 9 年 2 . 8 5 億 ドルで, 香 港 5 . 1 9 億 ドル, 米 国 8. 0 3 億 ドル に次 ぐ 3 位 だが, 2 0 0 0 年 3. 8 0 億 ドル, 2 0 01 年 には 5. 3 7 億 ドルでいずれ も 1 位 にな っている

4。

大連市 における外資系企業 の経済貢献 は 2 0 0 2 年現在,雇用者数で 2 5 万人,鍋 税額 で 4. 2 億 ドル ( 外資 が全体 の半分),売上高 8. 2 億 ドル とな っているため,い かに大 連 経 済 にとって外 資 の導 入 効 果 が大 きいかがわか る ( CHI NA DAI LY

よ りジェ トロ大連事務所作成)。

外資 の うち大連経済技術 開発 区に進 出 した企業数 は, 1 9 9 8 年 は香港 ・マカオ

が 4 51 件 ( 1 位), 日本 は 2 9 2 件 ( 2 位) とな っている

2 0 01 年 は香港 ・マカオ

が 5 0 1 件 ( 対 9 8 年牡で 5 0 件増), 日本 は 3 6 7 件 ( 7 5 件埠) とな っている

5。

(7)

♂ ぜ 耳 ぜ ぜ ぜ 耳 ♂ ♂ ♂ ♂ ぜ ♂ ♂ ♂ ♂ ♂

図 6 大連市 の輸 出総額 出所 :図

3

と同じ資料より作成。

大連市か らの輸 出につ いて も日本への輸 出が重要 な地位 を占めている ( 図

6)

1985

年 に

280

億 ドル

(35

. 4%) に過 ぎなか った輸 出 は,大 連経 済技術 開発 区が 整備 され た

1992

年 には

58.5%,1996

年 には

60.7%

まで拡 大 した。 その後 は

50%

弱 の シェアで推移 して い る。 この ことか ら大連市 が 日本 との貿易 で も重要 な地 位 を 占めて い ることが わか る。 また

,2001

年 には大連 か らの輸 出は

29.9

億 ドル で輸入

21

.

3

億 ドル よ り

8.6

億 ドルの出超 とな って い る。

(3)

大連市 の投資環境

大連市 の 日本 との相互依存 的経済体質 は どの よ うに形成 されて きたのだ ろ う か。 その一 つ に海外 か ら投資 を受 け入 れ るための優遇措置 や行政 の対応, それ に熱心 な 日本語教育 や 日系社会 の受容 を指摘 す ることがで きる。

① 税制優遇政策

中国 の国家規定 で は,外 国投 資企業 の企業所得税 は

30%

とな って い る。 しか し大連市 で は生産型外 国投 資企業 に限 って税率 を

24%

と して い る。特 に大連経 済技術 開発 区,大連保税 区で は

15%

と している。経営期 間が

10

年以上 であれば, 利益獲得 開始年度 か ら

1‑ 2

年 目は企業所得 が免除 され

, 3‑ 5

年 目は半減 さ

‑7(489)一

(8)

れ るな どの措置 を講 じている

また, 国 は製 品輸 出型企業 に対 しては,免 除, 半減期 限終了後, 当年度 の輸 出高 が生産高 の

70%

以上 であれ ば,

12%

の企業所 得税 を課 して い る ( 大連経済技術 開発 区,大連保税 区 は

10%)

。先端技術企業 に対 して も免除半減期 限終了後, さ らに

3

年 間延長 して

12%

の税金 を課税 して いる( 大連経済技術 開発 区,大連保税 区では

10%)

中国国内に利益 を再投資 し,投資期 限が 5 年以上経 った場合 は,税務 当局 に 申請す るな ど して,既 に課税 された税金 の

40%

につ き還付 を受 けることがで き る

製品輸 出型企業 や先端技術企業 については全額還付 とい う特典が用意 され ている

6。

② 行政 の対応

大連市 には行政 サー ビスセ ンターが整備 されている

ここではワ ンス トップ 式で案件 の処理や登録 ・認可な どを行 っている。また外資系企業 に対 してク レー ムセ ンターを設置 して外資系企業や ビジネスマ ンの苦情処理 に も対応 している

外 国投資企業 の設立 は審査資料 を提 出後 に審査 を受 けるが,

3000

万 ドル以下 は 各 区 ・市 ( 県) の対外貿易経済合作局 で審査,認可 を受 ける

3000

万 ドル以上 の投資奨励項 目で, 国家 の総合バ ラ ンス把握が い らない外 国投資 プロジェク ト であれば,大連市 が 自ら審査 し,許可 した後, 国家 関係機 関 に保存書類 を納 め るよ うにな っている

プロジェク ト審査 は通常 5 日以 内に回答 し,企業設立審査 につ いて も,通常 5 日以 内に回答, 問題 があればプロジェク ト申請者 に限定期 間内に訂正 して も らってか ら, 5 日以 内に回答す る体制 にな っている

③ 日本語教育 と日系社会 の受容

公的な対応 だけでな く, 日本語 を話せ る人材 の豊富 な供給 も大連市 の特徴 で

ある

た とえば,大連理工大学,大連外 国語学院,東北財経大学,遼寧師範大

学,大連大学 だ けで毎年

330

名 の 日本語 を学習 した学生 が卒業 してい る

これ

に大連民族学院で も多数 日本語 を話せ る人材 を供給 してお り, 日系企業進 出の

呼び水 とな っている

(9)

また 日本 の都市銀行 4 行 ( みず ほ コーポ レー ト, 東京三菱, UFJ ,三井住 友) をは じめ, 山口, 山陰合 同,福 岡な ども進 出 し, このほか保険会社 ( 三井 住友,損保 ジャパ ン) な どの金融機関 も充実 している

また 日本人学校 では幼 稚 園か ら中学 3 年生 まで約 1 2 0 名 が通 い, 日本語 が通 じる病 院 も 9 ヶ所 あるな

ど日本人が生活す る環境が整 っているといえ る

3.

大連市 と日本の交通ネ ッ トワーク

大連市北西部 には周水子 国際空港 があ って, ボーイ ング 7 4 7 旅客機 が離着陸 できる

現在 8 8 路線が就航 し,国内 5 6 都市,国外 1 0 都市 と結 んでいる

この うち 日本 との航空 ネ ッ トワー クは,直行便が成 田 ( 週 1 0 便 :以下 同 じ), 関西 ( 8 ) ,富 山 ( 2 ) ,広 島 ( 2 ) ,福 岡 ( 2 ) ,仙台 ( 2 ) ,名古屋 ( 2 ) の 7 都市 に飛 んでいる

北京 の成 田 ( 週 5 0 便), 関西 ( 2 1 ) ,広 島 ( 2 ) ,福 岡 ( 1 2 ) ,仙 育

(4)

と比較す ると,便数 では大 きな格差 があ るが, カバ ーす る都市数 で は

2 都市 ほど多 くな っている

港湾 に関 して,開発 区,保税区 と隣接す る大窯湾港 ( 大連新港) は, 中国の 4 大 国際 コンテナ中継港 の 1 つ に指定 され,計画 では探水バース 1 0 0 ヶ所,年 間貨物取扱量 8, 0 0 0 万 トンに達す る予定 で あ る

大連港 は 1 8 9 9 年 に開港 し,原 油,精油,石炭,鋼材,木材,食糧, コンテナ,バ ラ積 みな どのバースが 6 5 あ る

その うち 1 万 トン以上 のバ ースは 3 5 あ る

世界 の 1 5 0 の国 または地域 と航 路 を結んでいる

運行期 間 ( 船積み と滞在 日を除 く) でみた 日本 との関係 は, 門司までの 3日間をは じめ, 4日間では大阪,神戸,名古屋, 5日間では東京,

6 日間横浜, 7 日間浜 田 ( 釜 山経 由) とな っている

鉄道 につ いては,東北,華南鉄道網 とつなが り,長春 と大連間を幹線 に,旅 堰,金荘,南甘等 を支線 と し,東 および西海岸 まで伸 びている

また藩大 ( 港 陽〜大連)高速道路 は, 1 9 8 4 年 6 月 に着工 し, 1 9 9 0 年 に開通 した。全長 は 3 7 5 km で, 2 0 0 2 年 9 月現在,遼東半 島を縦貫 して長春 か らさ らにハル ビンまで開 通 している

‑9(4 91)‑

(10)

4.

大連市の対外開放区

大連市 には大連経済技術開発区,保税 区,輸 出加工 区,ハイテクパークの 4 つが整備 されている

これ らが外資導入, とりわけ日本か らの投資をひきつけ ている

大連経済技術開発 区は 1 9 8 4 年 9 月 に国務 院が定 めた 1 4 の沿海 開放都市 の一つ に指定 され,経済技術開発区の設置を決定 し, 同年 1 0 月か ら着工。 2 0 0 0 年末 ま で に 1 3 8 4 社 ( 香港系 4 0 0 余社, 日系 3 5 7 社,米 国系 1 5 0 余社,韓 国系 9 0 余社) が 開業。 イ ンフラ関連 は

「9

1

平」 を 目指 して整備が進 め られている

7。

外資 企業 1 5 0 0 社 の うちキ ャノン, マブチモータ,東芝テ レビをは じめ, 日系 4 2 0 社 が進 出 している

ここには 1 9 9 4 年 5 月 に完成 した工業団地 もある

大連人民政 府が出資す る 「 大連経済技術発展公司」 と, 日本の海外経済協力基金および民 間 2 1 社が出資す る 「 大連工業団地投資株式会社」が設立 した中国初の 日中合弁 工業団地で, 日中両国政府の支援 を得て, 1 9 9 2 年 に日中の国交正常化 2 0 周年 を 記念 して造成 された。 計画 で は 2 2 0m 2に 4 0 ‑5 0 万人 の定住 を 目指 して い る

2 0 0 3 年現在, 3 0 km2 に 2 5 万人 あま りが定住 している

大連保税区は 1 9 9 2 年 に認可を受 けた,東北地方唯一 の保税区。計画面積 は 1 0 km2 ,各種倉庫物流セ ンター,標準規格工場,オ フィス ビル,科学技術開発 ビ ル等が集 中 している

大連輸 出加工 区は 2 0 0 0 年 に認可 された中国初の輸 出加工 区の 1つ

税制,通関等で各種優遇政策がある

また大連‑イテク産業開発園 区は 1 9 9 1 年 に国か ら認可 された。学術 ・研究施設等があ り,‑イテク企業が集 中 している

5.

大連市への 日系企業の進出

大連市の 日本 との相互依存的経済体質 とその体制強化 のための整備が進むに 従 って,企業 も多数進 出 しつつある

この点に関 して国際貿易促進委員会, ジェ

トロ大連事務所で聞き取 り調査 を行 った。

国際貿易促進委員会での聞き取 りでは, 日本企業 にとっては中堅 クラスの人

(11)

材が豊富 にあることが大連進 出にとって重要 とな っている。 ここでい う 「中堅」

とは 日本語 を理解 して,経理や簡単な ソフ ト開発ができるような人材 を指 して いる

また大連市 は造船,鉄道, トラ ック,戦車関連産業か ら産業が発達 してきた。

そのため大企業 中心 の産業発展が進 め られたために中小企業が育 たず,金型産 業 な どは裾野 の広が りに欠 け,競争原理が働かない状態 にある

この点で,上 海 は中小企業 の産業集積がみ られ,なにか トラブルが発生 して も法律 ・会計事 務所 レベル まで対応できる体制 にな っている

ジェ トロ大連事務所での聞き取 りでは, 2 0 0 1 年時点 における日系企業 の進 出 理 由や立地 の実態 は, 日本へ輸 出を 目的 とした加工組立工業が多か ったそ うで ある

しか し小野 田セメ ン トのよ うに東北三省 をマーケ ッ トに全量 内版 を行 う 企業 もあ った。

人材面では大連市の従業員 の定着率 のよさが指摘 され るが,資材調達では電 子部 品の現地調達 が難 しい との指摘があ った。特 に精密 にな るほど日本や華南 か ら調達す る割合が多 くなるそ うである

製 品輸送面では,特 に貨物列車 のスケ ジュール把握が難 しい。高速道路 は藩 陽 までは時間計算ができるので問題ないそ うである

輸送ルー トや輸送頻度 の 面で東南 ア ジア,欧米 に直行便 がないな どの問題点 も指摘 された。販売面では 売掛金の回収が課題 とな っている ( 地場企業販売時)。

また中央 で定 める法規,規定,通知が末端 に届 くまでに時間がかか る

イ ン ターネ ッ トの速度が遅 く,エ ラーが多 いとい う指摘 もあ った。

税制面では不透明なので情報公開を望む声が多 いそ うである

サー ビス業で はまだ参入規制 (

1

都市

2

社) が残 っていることや,「 人民元」 の取 り扱 いが 外国銀行でできない ことな どの指摘 があ った。 また,駐在員事務所 はスタ ッフ の直接雇用ができないので,人材派遣会社 に払 うコス トが高いと指摘 している。

中国他都市 との競争 では,企業 の現地調達意欲 の点で,上海 な どに比べ産業 集積 に劣 る大連市 は不利 とな って いる

また 日系新聞が北京ではその 日の夕方,

‑l l(4 9 3)‑

(12)

大連 は 2日後,国内新聞は もっと遅れ るだけでな く, まとめて くることもある そ うである

2003

年現在,大連市 日系企業の進 出メ リッ トにつ いて,その優位性 は 日本語 人材 の豊富な供給 にある

そのため 日本語人材 を活用 した ソフ トウェア開発, タカラ ( バイオ :労働集約型 ソフ ト開発),

GE

キ ャピタル (コールセ ンター), 連絡業務,地 図作成, 日本語書類打 ち込 み関係 の企業進 出が見 られ, 中国国内 で大連 の優位性が発揮 されているとい

う 。

製造業 に関 しては機械部品の産業の 裾野狭 いことが依然課題 とな っている 8 。

港湾 は東北三省 の窓 口,大連港 は全国 6位で,上海や天津 の取 . り扱 い伸 び率 上回 る成長 を示 している

9。

現地操業 における トラブル と しては①増地税 関係で,輸 出す るとお金が戻 る はずが戻 らないことがある1 0 。②国税局が急な立 ち入 りを して難題 をいわれ る

税関 に嫌が らせを受 けた ことがある

③ 日系企業 の契約時の甘 さか ら売掛金が 回収できない トラブル。④契約先が製品を納 めない,仕様書 どお りでない。⑤ 契約先が見つか らない。⑥部品産業が見つか らない。⑦労務 問題 ( 会社 をやめ て も宿舎か ら出ない)。⑧労働組合員 の退職 が少 ない ことと,賃金 ア ップよ り 旅行を要求す るケースがある。⑨企業が乗 っ取 られる。等の トラブル指摘があっ た。 これ らの トラブルは何 も大連 に限 った ことではないが, 日系企業が多 く進 出 している当地で依然様 々な問題 が起 こっている様子が看取 できる

6.

日系企業 の進出実態 ( 1 )YKKジッパー社

大連

YKK

ジ ッパ ーは

1995

年 に認可,

1997

1

月生産 を開始 した。従業員数 は

550

人 で内訳 は営業

90

人,管理

50

人,残 りは生産部 門で実習生 な どを入 れて いる

実習生 は地元 の学校 と契約 (3‑ 9 月) している

これは労務委員会が 職業学校 に頼んで, これを管理委員会が管理す る方式で行 っている

もともと

YKK

の ジ ッパ ー工場 は中国 に

3

社 ( 大連,上海,深浅) あ り,大

(13)

連 は山東,北京以北 を営業エ リア としている

設立の 目的 は,輸 出物縫製品に ジ ッパ ーを供給す るためであ った 1 1 。 その シェアは広東 ・福建3

8%,上海 ・江

漸江4

5%,大連工場管轄の北部17%とな っている

当地 に立地 した理 由は, 市場 リスクを分散す ることと各地 で供給体制 を確立す るためであ った。 この点 で大連市 は熱心 に誘致 を行 い,比較 的大 きめの投資 が実現 した1 2 。大連 には搬 入 のための コンテナや トラ ックな どのイ ンフラが整 っていた。 また本社 のある 富 山県 とは輸 出や人 の交流 が便利 で

13

,北京 ・上海 ・天津 に比べて 日本語 を使 え る人材が豊富な ことがメ リッ トとな っている

しか し,現地採用 では意外 に経費がかか ることに注意すべ きである

た とえ ば中専職業専 門学校 を職能技工 と して雇 うと,福利関係 で給与以外で6

3.3%の

追加支 出があ る

よ って7

50

元 の給料 に福利6

3.3%を上乗せす ると約1223

元 と な り,給料 の

3

分 の

1

近 くを追加支 出す る計算 になる

このよ うな問題 が進 出 前 の 日系企業 にはあま り認知 されていない。

(2)タカギセイコー社

タカギセイ コー ( 本社富 山県 :

2003

年現在従業員数

1090

名) は金型 ・プラス チ ック成形一貫 メーカーであ り, 日本 の業界 では大手 に属 し,車輪部 品 ・

OA

部 品 ・携帯電話笹体 な どを手懸 けている ( 図

7

)。 オー トバ イ

4

社 を含 め,各 製品分野 の大手 メーカー と直接取 引を行 っている

メーカーの海外進 出 と現地 調達 の推進 に対応す るために,特 にプラスチ ック部 品成形 の 「 金型」 での海外 展 開を先行 している

現在,上海及 びジャカル タで も成形 を手が けている

大連大顕高木模具有 限公司は,大連 の有力国有企業集 団である大顕集 団の中 核会社である大連大顕股分有 限公 司 ( 上海A株上場) との金型製造 (テ レビ, パ ソコン, モニ ターな ど) のための中 日合弁会社 である

大顕股分 の1

00%子

会社である大顕模具製造有 限公 司 も金型 ・成形 の一貫 メーカーだが,最新鋭 の 金型加工機 を導入 したに も関わ らず,品質 ・業績 向上が芳 しくな く, 当社 の金 型技術 と経営管理手法 を入 れて欲 しい との要望があ り合弁契約 に至 った。進 出

‑13(495)‑

(14)

手続 きを任せた ところ,通常数 ヶ月かかるところが , 1 ヶ月以内で完了 したo 中国方 は現金 出資 と設備 による現物 出資,当社 は現金 出資 と技術 による現物 出資を行 った。 日本の住友商事 プラスチ ックも現金出資を している。

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図 7

資料 タカギセイ コー社パ ンフ レッ トよ り ( 一部加工)

進 出の動機 は, 日本の I T 関連商社か ら大顕集団 ・股分 ( 東芝 と TV で合弁) を紹介 され相互 に工場を視察 したのがきっかけである。最終的には中国方の強 い要望を受 けて 「 合弁意 向書」 を取 り交わ した。現地の工場診断を行 い,財務 診断を行 な った後

,FS

を実施 して

,2002

12

月 に合弁契約

,2003

1

月 に稼 動 した。

技術移転の場合,技術援助契約 を交わ して ロイヤルティー収入 を期すのか一

般的だが , 「 技術 出資」 とい うかな り例外的な形 とな っている。 中国方 は設備

による現物 出資, タカギセイコーは技術 による現物 出資のため,設備 ・技術の

評価額 と評価手続 きをめ ぐる交渉 に最 も時間がかか った. しか し

F

.

S

段階か ら

(15)

大連大顕股分有限公 司のや りかたを調査分析 して手 ごたえがあ った ことと,国 営企業 とい うことで会社意識 も強か った ことな どを評価 した。先方 も成形 は当 社 の技術 を高 く評価 していた。

交渉 を開始 した時,金型 を廉価 で輸入できることを期待 し, 中国方 も ( 保税 区に立地 していることもあ り)輸 出に期待 を していたが,輸 出義務がな くな っ た ことと, 日韓 メーカーの中国進 出の加速化 で現地調達が活発 にな ったため, 現在 は,基本 的には中国における内需ね らいの事業展開 とな っている

国有企 業 の体質改善 とい う部分では,大顕模具 よ り金型部 門を分離 して合弁を行 った ため,大顕模具 に残 った成形部 門 との兼ね合 い もあ り,人事制度や賃金体系, 賃金規則 その他 の会社運営ルールは暫定移行期 間を設 けて新体系 に移行す るこ

とと している

人材育成 では金型 は特殊作業 なので一人前 にす るのに

3‑5

年 はかか る

一 方,単純作業 を主 とす る即戦力 は半年採用で様子 を見 る

面接募集 をす ると, 自分 を誇大PRす るが,工場 で実 際 にや らせ るとほ とん どの者 が作業 を うま く で きない ことが多 い。 また地元大学 にOB を利用す るな ど して リクルー ト活動 を行 っている

NC マ シンや 3 次元 CAD/CAM を使 え る技術者 クラスは 4 0 0 0 元 弱 の給料 を取 る

金型 は 2 0 0 0 元で, これに対 して一般 ワーカーは 6 0 0 元 ( 作業 標準 を作れば単純作業でできる) である

以前 は引き抜 きや退職が多か った. 。 そ こで給料 ・待遇 を良 くして定着 させた。 また以前 の大顕模具製造有 限公司は 給料の明細を配 っていなか ったため,手当の基準が無か った。薫事長 は中国で, 総経理 は 日本 (日本人の権 限が大 きい)がメジャー (出資比率) を とる体制が 権 限バ ランス としていい とい う

こち らでは慣習 に慣 れ る必要がある

休 日については,た とえば国際婦人感 謝 デーには女性が休 む。人件費 もかか る

夏 は避暑手 当, ジュース ・茶 ( 1人 当た り 1 5 0 元) な ど細 かい支 出に追 われ る

2 0 0 2 年 まで現物支給 だ ったが手 間 隙がかか るので現金支給 ( 補助手 当) に切 り替 えた。 た とえば海水浴手 当 3 0 0 元,忘年会 は 1 人 当 り 1 0 0 0 元 で, 時間当た りの手 当を 1 0 0% とす ると, 時間外

‑1 5(4 9 7)‑

(16)

は平 日で 1 5 0 % ,土 曜 日 2 0 0 % ,休 みは 3 0 0 % とな る

このため給料以上 の手 当 を もらう人がいる

また工会 ( 会社 の組合) の集会通知 でライ ン止 まった り, 休 みの 日を政府が決 めるため生産計画が立 たないな どの問題がある

外注 につ いては現地 に大 きな金型設備工場がないために,古 い設備 を出 して 外注 を育成 している

車 のバ ンパーやイ ンバネな ど大型の金型 につ いては,建 物,材料,湿度,熱膨張な ど大型な りの難 しさがあるので,精度のきび しい も のは 日本 で作 っている

刃物や材料 は 日本では簡単 に手 に入 るが,大連では難 しく輸入 に頼 っている

そのため納期 がかか り,値段 も高 くな っている

また 材料加工 の発注 を行 って も途 中経過 を確認す ると全 く進んでない ことも多 い。

(3)

日平 トヤマ社

大連億連 日平机床有 限公 司 ( 略称 : YNC) は,億達 グループ ( 億達) と株 式会社 日平 トヤマ ( NTC) との合弁企業で 1 9 9 6 年 に誕生 した工作機械 メーカー である

YNC は大連高新技術園区に位置 し,敷地面積 は 5 万

m

2 ある

投資総額 は 3 2 億 円である

日本側 の 日平 トヤマが 5 8% , 中国側 の大連億達集団有限公司 4 2 % を出 して合弁 で進 出 した。

YNC の メイ ン製 品 は専用機, マ シニ ングセ ンター とそれ らか ら組 み合 わせ た トラ ンスフ ァーマ シン及 び FMS であ る

YNC は中国国内の 自動車,農業機 械,エアコンコンプレッサ及び ミシンなどの業界に多 くの専用機 と トランスファー マ シン等 を供給 している

また,一部 の製品はアメ リカ, イギ リス, 日本,韓 国, ブラジル に輸 出 した実績 を持 っている

従業員 は 2 0 0 3 年現在 4 0 0 人 (その うち 日本人 は 3 名) で,設計 7 0 人,機械加工 9 8 人,板金 ・熱処理 3 1 人,組立 8 8 人,工場間接部門 7 9 人,営業 ・管理 3 4 人 とな っている

最初 は 1 9 9 6 年 に従業員 3 0 0 名 でスター トした。合弁 の手続 きな どは旧富士銀

行 が行 った。資産評価 は中国の査定を基準 として算定 した。経営 は中国側 にま

かせたが累積損失 2 5 0 0 万元 を抱えたことか ら,総経理 を 日本人 に して 2 0 0 2 年 に

は 8 0 0 万元 までに圧縮 した。

(17)

通常の貨物 は大連市 に 1 週 間以内で着 くが,急 ぎの貨物 は飛行機 ( 通常 は富 山空港,大物 は関西空港) を利用す る

ただ し日本か ら送 ると大幅に高 くなる ことがある

た とえば

NC

装置 は 日本か ら買 うと,関税

(8

%) と増地税

(17%)

が加算 され るため合計で 2 5 ‑2 6% の税金がかか る

新卒 は

4

月 に

380

数人採用,途 中採用 は試用

3

ヶ月で雇 う

毎年

1

年契約 と して 1割をカ ッ トす る

優秀な人材 は 日本 に研修 に行かせ る

そ して 3‑ 5年 契約 に延 ばす。人材募集 の方法 は新聞広告や職安が主で,試験 ・面接 ( 質 のい い人材集 まる) によって決定す る

ただ し設計者 は大卒専門職が大連理工大か

らこないので 自前で育てている

7

.まとめ

大連市 は 日本 との経済交流 を拡大 し,特 に

1990

年代 に入 ってか らは飛躍的な 経済発展 を遂 げてきた。

このよ うに大連市が 日系外資 と相互依存的経済体制 を形成できたのは, 中国 の経済発展が成長軌道 に乗 り,その上で① 中国東北部 の結節地域 としての地理 的優位性,② 日本 との交通 ネ ッ トワークの充実,③ 日本語教育 を始 め人的 ・文 化的交流拡大 と日本人 にとっての生活基盤 の形成 と充実,④歴史的な工業基盤 の充実 とイ ンフラの充実,⑤大連経済技術開発区のような対外開放,⑥⑤ にと

もな う様 々な優遇措置や ク レームセ ンターな どの付帯サー ビスの充実,な どの 理 由が考 え られ る

日系企業 の行動変化 としては,輸 出 目的か ら中国市場 をに らんだ展開が見 ら れ始 めていることである

また資材の調達では金型な ど基盤産業の裾野の狭陰 性がネ ックとな って,上海 に企業が逃 げてい くことがあ った。 その一方 で,上 海 よ りも日本語人材が豊富な ことか らコールセ ンターのような産業が集積す る 傾 向 も確認できた。

中国の制度,商慣習や労働者 の待遇面で, 日本人 にとって ビジネス面で留意 すべ き点 も確認できた。① 中央 の法規な どの周知徹底が遅れ ることや,国税局

‑17(499)‑

(18)

をは じめ政府系機関や重要人物 との接触度の相違 によって仕事 のはか どり方が 違 うこと,②増地税の問題,③ 「 人民元」を外国銀行で取 り扱 いできないこと, ( ㊨売掛金の回収や仕様書 どお りに納品 されない問題,⑤名 目賃金以上の実質賃 金の多 さと休暇への対応, または労働慣行の 日本 との相違な どである

しか し

これ らは中国沿海部 どこで も同 じような問題を抱えていることとも考え られ る

そのような中で,今回ケース としてあげた

3

社 は数少ない事例 とはいえ,進 出実態 と課題 の一端を示 していた と考え る

た とえば

YKK

は,大連市 のイ ンフラ整備 の利点 と日本語人材 の供給 を評価 して進 出 してきた。 タカギセイ コー社 はメーカーの随伴立地形態を取 っている が,合弁相手の事業評価 とメジャー支配 を決 めて進 出 した。特 に技術移転 に関 しての見極 めが重要だ った。 日平 トヤマの場合 は人材 の育成 に重点を置 いてい るために, 1 年間の試用期間を人材見極 め期間 として戦略化 している

その上 で,優秀 と見込 まれた人材 は 日本での研修な どチ ャンスとイ ンテ ンシブを与え るような工夫がなされている

課題 として

YKK

とタカギセイ コーの・ 事例 か ら,名 目賃金 よ りコス トがかか る実態が明 らかにな った。 こうして, 日系企業が事業活動 を行 ってい くには, 現地の実情 を踏 まえた慎重な取 り組みが求め られ ることが全体 の分析 を通 じて 明 らかにな ってきた。

翻 って今後,大連市が経済発展 を遂 げてい く・ ためには,基盤産業の育成強化

と日本語人材 の質的な豊富化が求め られ る

その上で ソフ トウェア開発や もの

づ くりにおける国際分業の受 け皿づ くりをはか ってい く必要がある

あわせて,

直接投資および貿易 において多国間取引をすすめ,産業構造の多角化 と深化,

それに産業の進化 を進 めてい く必要がある

さらに, これを環 日本海経済交流

として港湾都市間の競争関係の視点 よ り捉えれば,現在釜 山が新港湾を建設 し

て, よ り‑ ブ機能強化 に適進 している事実がある

それに黄海経済圏では上海

経済が大発展 を遂 げている

大連市 は空路 において東南 アジアや欧米への直接

航路 を持 たない不利性があるだけでな く,景気低迷の続 く日本経済への依存体

(19)

質か ら,やがて経済発展 にブ レーキがかか る可能性 もある。 この点の克服策 の 提起 が今後 は求 め られて くるだろ う。

本研究 は平成1

3‑15

年度 に科学研究費補助金 ( 萌芽 的研究,課題番号1

3878012

,研究代表者 柳井雅也)の交付を受 けて実施 した 「 環 日本海経済圏時代 における国際的地域連携の研究」 に よる報告である。

参考文献

1.今村弘子 『中国か ら見 た北朝鮮経済事情』朝 日新聞社2

000

.

2

. ( 財)環 日本海経済研究所 『北東 ア ジア経済 白書』毎 日新聞社2

000.

3.坂 田幹夫 『北東 アジア経済論 一経済交流圏の全体像 ‑』 ミネルヴ ァ書房200

1 .

4.本多健吉 『

北東 ア ジアの未来像

21

世紀の環 日本海』福井県立大学北東 アジア研究会

1998 5.柳井雅也 「

北陸地域 と対岸諸国 との経済交流の実態 と課題」『音大経済論集』第48 巻第3 号

2003

.

6.柳井雅也 「

環 日本海地域の経済交流 」 『 地理月報』二宮書店476 号2

003.

1 環 日本海地域 は,厳密 に地理的範囲が決 まっているわけではないが,一般 に 日本 (または 日本海側地域),朝鮮半 島,中国東北三省 (ここでは遼寧省,吉林省,黒龍江省), ロシア極 東地域 をさす ことが多い。 しか し, これ と似 た表現で 「 北東 ア ジア」 とい う表現がある。 こ れは上記の地域以外 に,モ ンゴルや北京や山東半 島を含む 「 環黄海 ・勧海」地域や台湾,バ イカル湖以東の シベ リアな どを,形式的に地域 を選択 しなが ら把握す る方法である。 この点 で 「 北東 ア ジア」 は形式地域的に扱われ る傾 向が強 いといえ る。 このため韓国が 「日本海」

とい う呼称 について疑義 を呈 し 「 東海 (トンへ

)

」 とい う呼称 を主張す るようにな ると, そ れへの政治的配慮な とか ら 「 環 日本海」 を 「 北東 ア ジア」 と して使用す ることも多 く,その 地理的範閲を巡 る議論 は混乱 しているのか実情 といえ る。

2

東北三省の 日本海経済地域 における貿易では,20

01

年 の輸 出入 は 日本 と遼寧省 との貿易が 最 も多 い。 1

993

年 か らの輸 出の伸 び率 では遼寧省 と韓 国 との伸 びが33 倍 で最 も大 き く, つ いで遼寧省 と日本 の2.

5

倍が続 く。 同 じく輸入 で も遼寧省 と韓国が8.

8

倍,ついで遼寧省 と日 本の31 倍 とな っている。この ことか ら伸 び率 では韓国の伸 びが大 き くな っていることがわか る。遼寧省 に限 って これを見 ると, 日本 と遼寧省の輸 出は1

993

年6

9.5%か ら2001

年 に756%増 加 しているが,輸入 は7 11 %か ら6

4.1%に減少 している。

3

計画単列都市 とは,経済および社会発展の諸項 目について省の計画か ら独立 し,単独で全 国計画 に編入 され ることに由来 している。計画単列都市 は経済管理上,省級地方 に相当す る

‑19(50

1)‑

(20)

権 限を有 し,全国的な会議 に省級地方 と並んで参加 している。1

999

年現在,大連 のほか,港 陽,長春,‑ル ビン,杭州,青 島,済南,合肥,南京,南 昌,福州,寧波,度門,武漢の1

4

都市が該 当す る

4 また1

984

年 か ら

2002

年 までの累計で も契約ベース57.

97

億 ドル ( 約6950 億 円),実行ベース で48.

94

億 円 ( 約58

70

億 円) の投資が行われている ( 大連市対外貿易経済合作局)0 大連市全体 における 日系企業数 は21

51

社 ( 契約ベース) で,香港 ・マカオ1

919

社 よ り

232

社 多 くな ってい る

大連市全体 は8233 の外資系企業があ ることか ら, この うち 日系企業 は約

26.1%を占めていることになる

5

このため, 日本人 は領事館届出ベースで1

676

名を数え, 日本商工 クラブ も

2002

年現在法人

333

社 とな っている

6

大連市対外貿易経済合作局 『大連市投資ガイ ド 』

2003.1

7 9

通」 とは道路,雨水,汚水,水道水,都市 ガス,電力,通信,熱力,有線 テ レビ線 を 示 している 。

1

平」 とは土地 の地形 を平 らに整え,交通 の利便性 を図 ることを さしている

ここでの給与 は一般工員 で600‑8

00

元/月,一般管理職 で1

000‑ 1500

元, 中高級管理職 で

1500‑3000

元/月 とな っている

8

富 山県か らは30 数社進 出 している

輸 出加工が典型的である

また進 出先の比較では天津, 北京,大連の土地,人件草,国内市場 を勘案 して決 めることが多 い。

9

企業進 出につ いては2002 年 に開発 区に トステムが,2003 年2 月 に大 同ステ ンレス ( 磁石 : 事務所設立) が進 出 した。 しか し2003 年4‑6 月 までSARS で展示会 な ど中止 にな るな ど,人 の動 きが止 まった。 しか し, その後回復 している

10

増値税 の税率 :1 . 納税者 は貨物 の販売 ・輸入 をす る場合,税率 は1

3%とな る

①食料,食 用植物油,②水道, スチーム,冷気,熱水,ガス,石油,液化ガス,天然 ガス, メタ ンガス, 消費者用石炭製品,③図書,新聞,雑誌,④飼料,化学肥料,農薬,農機, ビニール‑ ウス,

⑤ 国務院の規定 したその他 の貨物 2. 貨物 の輸 出は税率 を 0% とす る

ただ し, 国務 院が別 に 規定 された ものは除 く

3.

加工,修理,労務集配 の提供 の税率 は1

7%とす る4.

上記以外貨 物 の輸入,販売の税率 は1

7%

とす る

11

日本人 の下着 は

7‑8

割輸入, うち

7

割中国 その うち

YKK

製が半分である

12

上海進 出

(1992

年 当時)では①上海 は同業者 の反対 にあい,独資が認 め られなか ったの と 輸 出要請 がいわれた。

YKK

に とって国内事業 とぶつか るので この対応 が大変 だ った。② ま た上海 は重金属規制が厳 しく, メ ッキ工場な どで も対応が大変 だ った。③港湾機能ではコン テナや トラ ック調達ができなか った り 搬入 は夜間のみな ど条件 ク リアが大変 だ った。④上 海 は工具, ひ も, は しご, ホースを買 お うとして も当時は手 に入れ るのが困難 だ った。 これ

らの ことを比較 して大連のほうが進 出 しやすか った といえる。

13

富 山は地理 的メ リッ ト ( 週

4

便 大連便),船 ( 伏木)週

1

便 が確保 されていることや

遼寧省 と友好都市であることが有利 な場合がある

(21)

「ステイ クホル ダー ・ガバ ナ ンス」試論

社会志 向の企業統 治 システ ムの検討

水谷 内 徹 也

《 目 次 ≫

Ⅰ.序言 :企業統治改革 と企業 の社会性

Ⅱ.

「ステイ クホルダー ・ガバ ナ ンス」 の意義 と有効性

Ⅲ. 「ステイ クホル ダー ・ガバ ナ ンス」 の構想 と枠組み

Ⅳ. 「ステイ クホルダー ・ガバ ナ ンス」 の制度 的具体化

Ⅴ.

結語 :社会志 向の企業統治 システム構築 に向けて

Ⅰ.

序言 :企業統治改革 と企業の社会性

制度疲労 や機能不全 に直面 して い る企業統治

(corporategovernance)

シ ステムを如何 に変革 し再構築す るか。近年 の企業統治 問題 に関す る議論 におけ る帰結 の一つ は, こう した課題 の解決 に焦点があて られている

かか る課題解 決 に対す る方策 は,概 ね次 の 5 点 に集約 され, そ こか ら抽 出 しうる共通点 は, 企業 の社会性 (ニステイ クホル ダー

(stakeholders

;利害 関係者)) の配慮 に もとづ く統治 システムの再構築 であ ると言 って よい ( 片 岡, 1 9 9 6 , 2 0 0 0 ;植竹 , 1 9 9 6 , 1 9 9 9 ;森本 , 2 0 01 ;横井 , 1 9 9 9 , 2 0 01 , 2 0 0 2 ;小松, 2 0 0 3 ) 。

ここで言 う企業統治改革への 5 つの方策 とは,第 1 に株主 の復権への一連 の 模索である

これ には証券市場 を通 じた経営者への牽制 や機 関投資家 の経営者 に対す る牽制 ( 積極行動主義 の機 関投資家 の増加) であ り, わが国の場合 に典 型 的 にみ られ る株式相互持 ち合 いの解消 による市場 のチ ェ ック機能 の強化,秩

ー2 1(5 0 3)‑

(22)

主代表訴訟,少数株主権 の利用,株主へのデスクロー ジャーの拡大, な どが相 当す る

第 2 は,取締役会改革 に関連す るものであ り,具体 的には社外取締役 や執行役員制 の導入,取締役 と CEO ( 最高経営責任者) の兼任廃止 な どの問 題 である

そ して第 3 は,監査制度 の問題 であ り, とりわけ社外監査役 の導入

とその独立性強化 の問題 があげ られ る

さ らに,第 4 に指摘 され るのは,企業倫理 の制度化 による統治 システムの再 構築 をめざす ものであ る

これ には,企業 の 自発性, とりわ け企業 の倫理 的 自 己規制力 (イ ンテグ リテ ィ ;高潔性) の発現 による統治 システムの構築 を図 ろ うとす るものであ る

イ ンテグ リテ ィ志 向の経営理念 の創造 をは じめ,企業倫 理行動基準 の制定 ・遵守,倫理教育 ・訓練体系 の確立,倫理担 当専 門機 関 ・倫 理 問題 担 当オ フ ィサ ーの設 置, 倫理監 査 な どが その主 要項 目で あ る ( 菊 池 , 1 9 9 7 , 1 9 9 9 ;水谷 内, 2 0 0 2 ) 。 これ に加 えて, 第 5 の具体 的方策 は, これ まで の株主 によるチ ェック機能 のみな らず, これ以外 のステイ クホル ダーの企業統 治 システムへ の参加

(participation)

とコ ミッ トメ ン ト

(commitment)

による チ ェック ・ア ン ド・モニ ター機能 の強化 につ いての要請 である

この点 は,上 述 の企業 の社会性への配慮 に もとづ く統治 システムの再構築 の問題 に相 当す る

ものであ る

本稿 の主 たるね らいは, こう した多様 な視点か ら改革 の方策 が提起 されてい る企業統治 問題 に関す る議論 のなかで も,近年多数 の論者 が指摘 している,上 述 の第 5 の方 向性 としての企業 の社会性, と りわけ企業 ステイ クホルダーを射 程 に入 れた統治 システムの再構築 に焦点 をあて, その構想 な らびに課題 につ い て試論 的 に探求す るところにある

I I . 「 ステイクホルダー ・ガバナ ンス」の意義 と有効性

いまステイ クホル ダー

(stakeholders)

を, 「 広義 には、 あ る特定 の会社 の

活動 によ って利益 を得 た り害 を受 けた り, あるいはその権利が妨害 された り尊

敬 された りす る集 団や個人 を指 し,狭義 には, その会社 の存続 と成功 に不可欠

(23)

な集 団で あ る 」 ( W.M.Ev an & 氏.E.Fr e e man , 1 9 9 3 , p. 91 ) と規定 すれ ば, この ス テ イ ク ホ ル ダ ー概 念 は これ ま で の 利 害 関 係 者 集 団 ( i nt e r e s t gr oups ) と しての株主 や従業員,顧客,債権者,供給業者,労働組合,政府 機 関な どに加 えて, コ ミュニテ ィ ( 市民),消費者保護 グループ, 同業 団体, 環境保護 グループな どとい った諸種 の利害駆 け引き集 団ない しは個人 の存在 を 考慮せ ざるを得 な くな った ことか ら重視 されて きた概念である

多大 な社会 的影響力 を もつ現代 の企業 は,言 うまで もな く, こうした諸種 の ステイ クホル ダーの利害 ( s t a ke ) を無視 し得 な く, 同時 にそれ らとの相互作 用 を図 りなが ら経営行動 を推進 しなければな らない。別言すれば,企業 とその 経営者 は, こうしたステイ クホルダーの期待や要求 を調整す ることによって, 自 らの存続 ・成 長 を図 る とい う役 割 を担 って い る ( W.M.Ev an & R.E.

Fr e e man , 1 9 9 3 ) 。 しか も,企業 な らびに経営者 の役割 は,外部環境 (コ ミュ ニテ ィ,供給業者,消費者等) と内部環境 ( 株主,従業員) との利害 の コンフ リク トを均衡 させ るとい う,企業統治問題 におけるステイクホルダー ・アプロー チの主要 な論点 に も連動す る ( F.Al kha f a j i , 1 9 8 9 ) 。

ところで,企業統治 に関す る概念規定 や これ に関す る議論 には, 冒頭で も触 れたように,多様 な見解 が見受 け られ るが, ここでは この点を簡潔 に整理 して い る見解 を取 りあげたい ( 三戸 , 1 9 9 8 ) 。 この見解 によれ ば, 企業統治 は, 「

『経営者 は会社 を誰 のために経営すべ きか』 を問題 と し, そ して 『そのために 経営者 を して適切 に経営 させ るには どうした らよいか』 を さ ぐるもの 」

(32

頁)

と捉え, しか も企業統治 自体の概念 は,「 狭義 には,株主のための経営者のチェッ ク ・ア ン ド・コン トロールであ り,広義 には利害関係者 (ステイ クホルダー) のための経営者 のチ ェ ック ・ア ン ド・コン トロール, そ して最広義 には現代社 会 にお ける企業 のあ り方 ・経営 のあ り方 」 ( 31 頁) とい った 3 つの次元 に区分 し, とりわけ広義 と最広義 の概念規定 を重視す るものである

しか も, この見 解 での強調点 は, これ までのいわゆ る株主主権論 を超 えて, ステイ クホルダー のための企業統治論 の重要性 を強調 しているところにあ る

とは言 え, この見

ー23(505)‑

参照

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