日本における高齢者ショートステイ に関する研究の動向
*口 村 淳
(社会学研究科社会福祉学専攻博士課程(後期課程))
Ⅰ.はじめに
高齢者ショートステイとは,在宅で生活している要介護高齢者が短期間施設 等に入所し,介護等を受けるサービスのことである。本邦においては,「在宅 老人福祉対策事業の実施及び推進について」(1976年社老第28号通知)の中 で「ねたきり老人短期保護事業」として盛り込まれたのが端緒であった(1)。そ の後,1989年のゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略)では,デ イサービスやホームヘルプサービスと並んで在宅介護を支える「3本柱」のひ とつとして位置づけられ,施設整備の数値目標が示されることになった。さら に,2000年に施行された介護保険法に伴い,それまで特別養護老人ホーム
(以下,特養と省略する)や老人保健施設(以下,老健と省略する)で実施さ れてきたショートステイは,居宅サービスの中の「短期入所生活介護」と「短 期入所療養介護」として位置づけられ,利用者が用途や目的に応じて,サービ スを選択できるようになった。また,2005年の介護保険法の改正では,緊急 ネットワーク加算,在宅中重度者受入加算などが新設され,利用者の多様なニ ーズに対応できるようになってきたといえる。
ショートステイは,制度創設後30年余りを経て,家族の介護負担軽減のた めに欠かすことのできないサービスの一つとして評価されてきたといえよう
(和気1998 : 169)。また,増加の一途を辿る特養待機者にとって,在宅介護の
────────────
*2009年7月30日受付,査読審査を経て2009年11月18日掲載決定
―99 ―
延長にはショートステイの整備が有効であるという報告もみられる(横関・近 藤・杉本2006)。
その一方で,ショートステイは課題の多いサービスともいわれる。竹内
(1998 : 200)は,ショートステイ利用後,以前より認知症の症状が悪化し,
その後の利用を取り止めた家族がいることを例に出し,環境の変化による心身 状態の悪化を懸念している。東京都社会福祉協議会(2002)による調査では,
ショートステイの課題の一つとして,施設の選択や利用方法の調整にあたっ て,介護者や施設の都合が優先されている傾向があることを報告している。受 入れ側の施設にとっても課題が多い。例えば,ショートステイ利用者は,特養 の利用者に比べ,職員による情報収集が不足しがちであり,それにより「事 故」の発生につながる可能性も指摘されている(全国介護保険実務研究会
1999 : 94)。また,中山(2008)は,福祉系施設の実情として,看護体制上の
都合により医療依存度の高い利用者が敬遠される傾向があることを危惧してい る。
こうした諸課題に対処するには,もはや介護職(ケアワーカー)や生活相談 員(ソーシャルワーカー)といった福祉系のスタッフだけではなく,医師,看 護師,理学療法士,管理栄養士など,多職種による総合的な支援体制が欠かせ ないといえる。ならびに,要介護高齢者の在宅における介護の実態を把握し,
ショートステイを「紹介」する立場にある介護支援専門員の存在も,サービス を有意義なものにしていくには不可欠である。このことが表しているのは,シ ョートステイのサービス運営には,専門性やバックグラウンドが異なる複数の
援助者(helping professions)が,質の高いサービス提供を行うという共通の目
標のもとで,協働していく道を模索していかねばならないということであろ う。その意味で,ショートステイに関する研究は,学際的かつ実践的な領域で あり,多様な専門職が集まる強みがある一方で,研究成果や実践知が各領域で 蓄積され,共有が難しいという側面があることは否めない。
本稿の目的は,幅広く研究論文の収集を行い,日本におけるショートステイ に関する研究成果を概観するとともに,今後の課題と展望について論じること
―100 ―
である。まず,Ⅱでは,文献の収集方法および結果について述べる。続いて,
Ⅲでは,①年度別の文献数,②研究対象施設の分類,③研究方法の分類,④研 究テーマの分類,という観点から整理し,研究の動向を概観する。Ⅳでは,Ⅲ で検討した「研究テーマの分類」に則し,各テーマに該当する研究内容のレビ ューを行う。最後に,Ⅴにおいて,研究の課題と展望について考察する。
Ⅱ.文献検索の方法と結果
1.文献検索に用いたデータベース及びキーワードの設定
ショートステイが国庫補助事業として開始された1976年から2008年途中ま でに発表された研究論文等を対象に,高齢者のショートステイに関する研究の 検索を行った。
検索データベースには,国立情報学研究所「CiNii」と日外アソシエーツ
「MAGAZINEPLUS」を併用した。検索を行うにあたり,次の語句をキーワー
ドとして用いた。
【A】:「ショートステイ」「ショート・ステイ」「ショートスティ」
【B】:「短期入所」
【C】:「レスパイト」
キーワード【A】に関しては,制度創設当初,表記法が定まっていなかった こともあり,検索漏れを少なくする意味から,複数のキーワードを用意した。
キーワード【B】について,ショートステイは,介護保険制度では「短期入所 生活介護」「短期入所療養介護」と称されるため,両者に共通する「短期入 所」というキーワードを設定した。キーワード【C】に関して,ショートステ イは,介護からの一時的な解放を目的とする「レスパイトケア」(「レスパイト サービス」ともいう)としての機能をもつため,両者に共通する「レスパイ ト」というキーワードを設定した。
―101 ―
なお,検索は2008年11月30日の時点で行った。
2.文献選択の除外規定
今回の研究は,日本における先行研究を概観することを目的としている。ま た技術的な問題として,データベース検索では,研究論文や学会発表の抄録
(以下,学会抄録と省略する)以外の文献類がヒットする可能性もあるため,
以下の条件に該当するものは除外することとした。
①海外のショートステイに関する文献
②援助専門職(helping profession)に関係のない文献
③制度・法律・判例についての解説,紹介を主としている文献
④雑誌の特集記事などで執筆者名が明記されていない文献
3.文献検索の手順
文献検索の手順を以下に記す。
手順1:キーワード【A】【B】【C】を,それぞれデータベースに入力し,「フ リーワード」による検索を行った。キーワード【A】に関しては,3 つのキーワードについて「いずれかを含む(OR検索)」という条件 で検索した。
手順2:手順1の文献群から,タイトルや雑誌名から判断して,高齢者分野を 対象としている文献を選択した。タイトルや雑誌名で判断がつかない 場合は,この段階では採用した。
手順3:手順2の文献を全て入手・通読した上で,各キーワード内を統合し た。
手順4:各キーワード間で重複している文献を除外した上で,統合した。
手順5:データベース検索を補うために,手順4までの作業で入手した文献群
の参考文献や引用文献から,ハンドサーチ(用手検索)を行った。な お,ハンドサーチで得られた文献は,文末の文献リストに「追加」と 注を付記した。
―102 ―
手順6:手順4と手順5の文献群を統合した。
手順7:「文献選択の除外規定」を適用した。
4.文献検索の結果
前述の手順にしたがい検索を行った結果,125本の文献が選択された。一連 の検索過程を表1に示す。選択された125本について,掲載紙別に分類したと ころ,論文111本(88.8%),学会抄録14本(11.2%)であった。
Ⅲ.研究の動向
ここでは,高齢者ショートステイに関する研究の動向を概観する目的から,
選択された125本の文献について,「年度別の文献数」「研究対象施設の分類」
「研究方法の分類」「研究テーマの分類」という観点から分析を行いたい。
1.年度別の文献数
選択された文献を,発表年度別に示したものが図1である。図1をみると,
文献数は1994年頃から間断なく増え続け,2001年をピークに急増しているこ とがわかる。この背景として,2000年に施行された介護保険制度を契機に,
表1 文献検索の過程
キー
ワードデータベース
【手順1】【手順2】【手順3】【手順4】【手順5】【手順6】【手順7】
キーワード 検索
高齢者分 野に限定
キーワード 内の統合
キーワード
間の統合用手検索
【手順4】
【手順5】
を統合
除外規定 の適用
A CiNii 219 172
166
259 9 268 125
MAGAZINEPLUS 188 165
B CiNii 110 94
MAGAZINEPLUS 83 72 93
C CiNii 68 17
MAGAZINEPLUS 60 17 16
―103 ―
ショートステイに関する議論が活発になったものと推測できる。
次に,制度の動向と関連させた分析を容易にする意味から,白澤(2006)が 示す高齢者福祉分野における「3つのターニングポイント」(2)を参考に,次のよ うに4期に区分した。ショートステイの制度創設から社会福祉関係八法の改正 前までを第1期(1976年〜1989年),社会福祉関係八法の改正から介護保険制 度施行前までを第2期(1990年〜1999年),介護保険制度の施行後から改正介 護保険法の制定前までを第3期(2000年〜2004年),そして,改正介護保険法 の制定から現在までを第4期(2005年〜2008年)と設定した。
第1期には,11本(8.8%)が発表されている。ショートステイ制度は1976 年に国庫補助事業として創設されたが,今回のデータベース検索において,シ ョートステイに関する議論が最初に見出されたのは1982年であった。なお,
この時期に発表された文献は,全て論文であった。
第2期には,25本(20.0%)が発表されている。この時期は,福祉関係八法 の改正に伴い,在宅福祉サービスの権限が市町村に委譲されたこともあり,シ ョートステイが住民に身近な存在となってきた時期といえる。また,1986年 には老健が創設され,老健併設型ショートステイを対象とした研究も発表され るようになった。それまでは論文のみが発表媒体であったが,1994年以降は 学会抄録もみられるようになった。
図1 年度別に見た文献数
―104 ―
第3期には,5年間で63本(50.4%)が報告されており,それまでの時期に 比べ,文献数が急増している。介護保険制度の施行当初,ショートステイにつ いてはホームヘルプサービスやデイケアといった訪問・通所系の居宅サービス とは区別され,要介護度ごとに利用日数を決めた別の支給限度額が定められ た。そのため,頻繁にショートステイを利用していた利用者には,介護保険以 前のように利用できなくなったという不満が募る結果となった。一方,事業者 側にすれば,空きベッドを埋められず,一時的に利用率が低下するという現象 が全国各地でみられた。この問題は最終的に,2002年1月に訪問・通所系と 短期入所系(ショートステイ)の支給限度額が一本化されるまで続いた。こう した「ショートステイ制度の混乱期」ゆえに,雑誌において特集記事が組まれ るなど,多くの文献が発表され議論が活発になったものと推測できる。
第4期には,26本(20.8%)が発表されている。この時期には,2005年の 改正介護保険法の施行に伴い,ショートステイにおいても「在宅中重度加算」
「緊急短期入所ネットワーク加算」などが新設された。言い換えれば,ショー トステイ制度が,利用者の多様なニーズに応えられるようになってきた時期と いえる。ここまで経年的に文献数の増加がみられたが,2006年をピークに減 少傾向を示している。なお,第4期に報告された26本の文献のうち,6本が 学会抄録であった。
以上,制度の動向と文献数の関連について分析を行ってきた。第2期の中頃 から,間断なく文献数が増え,2000年の介護保険制度の施行と,2005年の改 正介護保険制度の施行にあたる時期を2つのピークとして,文献数の大幅な増 加がみられた。第3期と第4期に発表された文献を合わせると,全体の約7割 を占める。その逆に,ゴールドプランの開始や社会福祉関係八法の改正のあっ た時期には,文献数の目立った増減はみられなかった。データベース検索に は,発表年次が古い文献はヒットしにくい傾向があることは否めない。したが って,比較的最近の出来事である介護保険制度周辺の文献が,数多く検索され たという見方もできる。ただし,2006年以降,再び文献数が減少してきてい ることにも注目すべきであろう。つまり,介護保険法と改正介護保険法という
―105 ―
2つのピーク時を除けば,ショートステイに関する文献数は,年間5本前後を 推移しているということができる。
2.研究対象施設の分類
研究の対象となる施設に着目し,選択された文献を分類した。分類の結果,
最も多かったのは特養併設型ショートステイ(介護保険施行後は「短期入所生 活介護」と称される)で80本(64.0%),次に老健併設型ショートステイ(介 護保険施行後は「短期入所療養介護」と称される)で16本(12.8%),以下,
単独型の老人短期入所施設が10本(8.0%),短期入所生活介護と短期入所療 養介護の混合10本(8.0%),療養型医療施設におけるショートステイ(介護 保険施行後は「短期入所療養介護」と称される)が3本(2.4%),施設が明ら かでない文献が6本(4.8%)みられた。
次に,上記の結果をⅢ−1.で定めた期間別に分類したものが表2である。
第1期には特養併設型に関する文献しか存在しなかった。1986年に老健が創 設されるまで,研究対象施設が特養併設型に限られていたことには納得でき る。しかし,介護保険制度が施行され,福祉系と医療系のショートステイが自
表2 期間別,研究対象施設別にみた文献数 第1期
(n=11)
第2期
(n=25)
第3期
(n=63)
第4期
(n=26)
合計
(n=125)
短期入所生活介護(特養) 11
(100)
19
(76.0)
37
(58.7)
13
(50.0)
80
(64.0)
短期入所療養介護(老健) 0
(0)
3
(12.0)
9
(14.3)
4
(15.4)
16
(12.8)
老人短期入所施設 0
(0)
1
(4.0)
7
(11.1)
2
(7.7)
10
(8.0)
混 合 0
(0)
2
(8.0)
5
(7.9)
3
(11.5)
10
(8.0)
不 明 0
(0)
0
(0)
3
(4.8)
3
(11.5)
6
(4.8)
短期入所療養介護(療養型) 0
(0)
0
(0)
2
(3.2)
1
(3.8)
3
(2.4)
注:数字は上段が件数,下段が割合を表す。
―106 ―
由に選択できるシステムになってからも,依然として研究対象施設の中心は特 養併設型にある。ちなみに,全国の事業所数を比較したところ,2009年1月31 日時点における短期入所生活介護(福祉系)と短期入所療養介護(医療系)の 事業所数は,前者が7,587箇所(56.7%),後者が5,792箇所(43.3%)であっ た(3)。福祉系が医療系を上回っているものの,その差は近づいてきている。こ のように,両者の事業所数は近似しているにもかかわらず,研究対象施設は特 養併設型に集中している傾向がみられる。すなわち,日本の高齢者ショートス テイに関する研究は,特養併設型を研究対象施設とするものが中心を占めてい るという現状である。
3.研究方法の分類
研究方法について検討を行う。研究方法の分類は,表3に示す「調査研究」
「事例研究」「実践報告」「文献研究」「調査研究と事例研究の併用」「その他」
とした。
表3の定義に基づき,Ⅲ−1.で定めた期間別に分類したのが表4である。
全ての期間を通して,最も多くみられたのが,「調査研究」(40.8%)であっ た。その次に,「実践報告」(24.0%)と「事例研究」(22.4%)が,ほぼ同率で
表3 研究方法の定義
研究方法 定 義
調査研究 調査により得られたデータを主な分析対象に用いてい る研究
事例研究 一つもしくは少数の事例を分析し,特殊性,共通性を 探求する研究
実践報告 ある課題(テーマ)に対する実践の結果(経過)報告 文献研究 文献資料を主な分析対象に用いている研究
調査研究と事例研究の併用 調査研究と事例研究を併用し,両方のデータを分析対 象に用いている研究
その他 対象や方法について記述のない文献 注:1.「調査研究」「文献研究」の定義は,船本(2003)を参考にした。
2.「事例研究」の定義は,久田(2003 : 58)を参考にした。
出所:筆者作成
―107 ―
続いた。「実践報告」「事例研究」ともに,第3期に著しい増加がみられ,第4 期には大幅な減少がみられた。「文献研究」は,合計4本(3.2%)と少なかっ たが,各時期に分布していた。「その他」に該当する文献は,10本中9本まで が,第2期と第3期に集中していた。総合的にみれば,「調査研究」「実践報 告」「事例研究」の3種類の研究方法が,全体の約9割を占めていることがわ かる。
次に,より詳細な分析を行う目的で,調査手法に着目する。表4で掲げた6 つの研究方法の中から,「調査研究」および「調査研究と事例研究の併用」(特 に調査研究部分に着目する)に該当する合計53本の文献を取り上げ,分析を 試みたい。それらの文献を期間別に分類したのが,表5である。
最も多くみられた調査手法は,「質問紙調査」であった。ただし,「質問紙調 査」に該当する19本の文献のうち,11本が第3期に偏在していた。そのうち 7本(論文5本,学会抄録2本)が,同一の研究者によるものであった。次に 多くみられたのが,「文書分析」であった。この調査手法は,ケース記録やケ アプランなど既存の臨床情報からデータを収集・分析する方法である。特に,
表4 期間別,研究方法別にみた文献数 第1期
(n=11)
第2期
(n=25)
第3期
(n=63)
第4期
(n=26)
合計
(n=125)
調査研究 5
(45.5)
14
(56.0)
21
(33.3)
11
(42.3)
51
(40.8)
実践報告 1
(9.1)
2
(8.0)
20
(31.7)
7
(26.9)
30
(24.0)
事例研究 4
(36.4)
2
(8.0)
16
(25.4)
6
(23.1)
28
(22.4)
その他 0
(0)
4
(16.0)
5
(7.9)
1
(3.8)
10
(8.0)
文献研究 1
(9.1)
1
(4.0)
1
(1.6)
1
(3.8)
4
(3.2)
調査研究+事例研究 0
(0)
2
(8.0)
0
(0)
0
(0)
2
(1.6)
注:数字は上段が件数,下段が割合を表す。
―108 ―
第2期,第4期では,「質問紙調査」を上回る文献数がみられ,ショートステ イに関する研究領域では,比較的多く採用されている調査手法であることがわ かる。それに対し,「参与観察」を用いた文献は合計3本と少なかった。いず れの文献も,医療系(看護学,リハビリ専攻)の研究者によるものであった。
4.研究テーマの分類
選択された125本の文献を,「研究テーマ」別に分類した。分類の手順につ いては,以下の手続きで行った。
最初に,筆者が全文献を通読し,タイトル及び結果で報告されている内容を 基に,7個のテーマに分類した。(例,「利用効果」「施設運営」「制度・政策」
「職務」「実態把握」「居室・空間」「総説」)その際,内容の判断が困難な文献 に関しては,筆者と研究協力者である社会福祉士2名(4)が討議を行い,決定し ていった。
次に,「利用効果」と「施設運営」に含まれる文献数が多かったため,さら 表5 期間別,調査手法別にみた文献数
第1期
(n=5)
第2期
(n=16)
第3期
(n=21)
第4期
(n=11)
合計
(n=53)
質問紙調査 2
(40.0)
2
(12.5)
11
(52.3)
4
(36.4)
19
(35.8)
文書分析 1
(20.0)
7
(43.7)
1
(4.8)
5
(45.4)
14
(26.4)
面接調査 1
(20.0)
3
(18.8)
4
(19.0)
1
(9.1)
9
(17.0)
質問紙調査+面接調 査
0
(0)
2
(12.5)
3
(14.3)
1
(9.1)
6
(11.3)
文書分析+面接調査 1
(20.0)
0
(0)
1
(4.8)
0
(0)
2
(3.8)
参与観察 0
(0)
2
(12.5)
0
(0)
0
(0)
2
(3.8)
参与観察+実験 0
(0)
0
(0)
1
(4.8)
0
(0)
1
(1.9)
注:数字は上段が件数,下段が割合を表す。
―109 ―
に分類する必要があると考えた。そこで,筆者と研究協力者2名が討議を行 い,「利用効果」に関しては,「利用者への援助および利用効果」「家族への援 助および利用効果」「利用効果(その他)」の3つに分割した。また,「施設運 営」については,「サービスのあり方」と「リスクマネジメント」の2つに分 割した。
その結果,①「利用者への援助および利用効果」,②「家族への援助および 利用効果」,③「利用効果(その他)」,④「サービスのあり方」,⑤「リスクマ ネジメント」,⑥「実態把握」,⑦「職務」,⑧「制度・政策」,⑨「居室・空 間」,⑩「総説」,という10個のテーマを設定した。
上記の結果を,Ⅲ−1.で定めた期間別に分類したものが表6である。第1
表6 期間別,テーマ別に見た文献数 第1期
(n=11)
第2期
(n=25)
第3期
(n=63)
第4期
(n=26)
合計
(n=125)
利用効果
利用者への援助および利用効果 4
(36.4)
7
(28.0)
10
(15.9)
4
(15.4)
25
(20.0)
家族への援助および利用効果 2
(18.2)
1
(4.0)
4
(6.3)
2
(7.7)
9
(7.2)
利用効果(その他) 1
(9.1)
2
(8.0)
0
(0)
0
(0)
3
(2.4)
施設運営
サービスのあり方 0
(0)
2
(8.0)
12
(19.0)
2
(7.7)
16
(12.8)
リスクマネジメント 0
(0)
0
(0)
6
(9.5)
3
(11.5)
9
(7.2)
実態把握 0
(0)
5
(20.0)
10
(15.9)
5
(19.2)
20
(16.0)
職務 2
(18.2)
1
(4.0)
7
(11.1)
6
(23.1)
16
(12.8)
制度・政策 2
(18.2)
7
(28.0)
6
(9.5)
0
(0)
15
(12.0)
居室・空間 0
(0)
0
(0)
5
(7.9)
2
(7.7)
7
(5.6)
総説 0
(0)
0
(0)
3
(4.7)
2
(7.7)
5
(4.0)
注:数字は上段が件数,下段が割合を表す。
―110 ―
期は,制度の創設期にあたるため,設定した10個のテーマのうち,半分の5 個のテーマでしか文献がみられなかった。第2期は,特に「制度・政策」や
「実態把握」に関する文献が急増した時期でもあった。第3期の特徴は,それ までの時期に比べ,多方面から研究が行われるようになった時期といえる。特 に,「居室・空間」「リスクマネジメント」に関する文献は,第3期以降に初め て登場したものである。同時に,「実態把握」や「サービスのあり方」に関す る文献も,この時期に急増した。第4期は,第3期に比べると,全体の文献数 が減少していることがわかる。また,それまでの時期にみられた「制度・政 策」に関するテーマは,第4期では皆無であった。
Ⅳ.研究内容のレビュー
ここでは,Ⅲ−4.で分類した「研究テーマ」のうち,「総説」を除く9つの テーマについて,各文献のレビューを行う。本文で使用する用語は,文献執筆 者の表現を用いることを原則とした。ただし,「痴呆症」や「呆け」という用 語に関しては,可能な限り「認知症」に変換して用いた。なお,レビューの対 象となった125本の文献は,巻末の文献リストにテーマ別に記した。
1.利用者への援助および利用効果に関する研究
このテーマに関する文献には,合計25本がみられた。大別すると,調査研 究が13本,事例研究が12本であった。最初に,調査研究からレビューを行い たい。なお調査研究は,主な調査手法ごとに小見出しをつけて記述する。
〈質問紙調査を用いた調査研究〉
質問紙調査を用いた研究には,旭・中野(1987 a ; 1987 b),北川・中島・
工藤(1991),立松・齋藤・西村(2002 d)がある。
旭・中野(1987 a ; 1987 b)は,利用者の動向やサービスに対する反応を把 握する目的で,入浴サービス利用者とショートステイ利用者に対する質問紙調
―111 ―
査を行った。その結果,サービス利用前後の気持ちの変化については,入浴サ ービス利用者に比べ,ショートステイ利用者に「戸惑い」を感じている人が多 いことがわかった。ショートステイ利用者の中には,家族の都合により説得さ れて利用するケースが多いが,全体の約7割がその後,積極的な利用に変化し ているという。サービスの利用効果については,両サービスとも,介護の負担 感の軽減,安心感につながる介護者への効果はみられた。一方で,ショートス テイ利用者の場合,入浴サービス利用者に比べ,心身のプラスの効果は低調で あった。また,利用回数の少なさや,生活環境の変化による影響も見過ごせな いと報告している。
北川・中島・工藤(1991)は,認知症高齢者にとってのショートステイの効 果を把握する目的で,ショートステイを利用する認知症高齢者84人を対象 に,質問紙調査(回答者は家族)を行った。クラスター分析により,入所時の 日常生活行為障害像を「全障害軽度」「ADL障害高度」「行動表出沈滞」「行動 表出憎悪」の4群に分類した。退所時の変化は,改善26.2%,平行50.0%,悪 化23.2% で,各群には改善者,悪化者ともにみられ,有意差はみられなかっ た。悪化者のなかには「身体徴候あり」が多く,身体徴候の変化には有意差を 認めたと報告している。
立松・齋藤・西村(2002 d)は,要援護高齢者のショートステイ利用による 心身面や生活面への影響を明らかにする目的で,面接調査(対象23人)なら びに自記式配票調査(対象138人)を行った。後者の知見を整理すると,①心 身面の低下がみられる利用者の多くは後期高齢者に多いこと,②認知症状が軽 いほど利用効果が高く,症状が重いほど低下の傾向がみられること,③利用回 数が多い人ほど高い効果が得られること,④利用者に高い効果が得られた場 合,利用後の在宅介護を継続しやすくなったと感じている介護者が多いこと,
となる。
〈文書分析を用いた調査研究〉
文書分析の手法を用いた研究には,副田・山(1990),大渕・大西・佐藤
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(2001),口村(2006 ; 2007)がある。
副田・山(1990)は,ショートステイ利用中の心身の不調,不適応行動につ いて,ケース記録の分析を行った。ショートステイ初回利用群(30人)と複 数回利用群(17人)に分類し,分析したところ,初回利用群では83.3% に,
複数回利用群では64.7% に,排せつの失敗,発熱,幻覚などの不適応行動が みられたと報告している。両群ともに初日に問題が指摘されているケースが多 いが,初回利用群では3日目,4日目になってから問題が指摘されているケー スも少なくないと報告した。
大渕・大西・佐藤(2001)は,ショートステイを利用した51人を対象に,
ケース記録の分析や面接調査を通じて,ショートステイの利用が高齢者の心身 にどのような影響をおよぼしているかを明らかにした。ショートステイ利用中 には,身体面のみの症状が出た人が33.3%,精神面の症状のみが出た人が21.6
%,心身両面の症状があった人が41.2%,症状が見られなかった人は3.9% で,ほとんどの対象者になんらかの心身症状がでていた。初回利用者で認知症 のない対象者においても,胸の苦しさや腹痛などの訴え,転倒による骨折など がみられ,心身への様々な影響があることを指摘している。利用後の変化とし ては,心身状態の改善が31.4%,悪化が29.4%,改善と悪化の両方があった人 が7.8%,変化なしが31.4% であった。悪化した人は初回利用者に多く,変化 のなかった人は複数回利用者に多い傾向がみられたと報告している。
口村(2006)は,ショートステイを利用した認知症高齢者115人を対象に,
利用者の意向の把握,利用中における認知症の周辺症状や身体症状の出現状況 などを明らかにする目的で,ケース記録の分析を行った。その結果,①納得し て利用している人は約3割であったこと,②身体症状よりも周辺症状の出現率 が高かったこと,③周辺症状,身体症状ともに,認知症が重度の人に多く見ら れる傾向があったこと,④周辺症状では「納得していない」人に多く見られた こと,を報告している。
また口村(2007)は,ショートステイ利用回数の経過による変化を明らかに する目的から,ケース記録の分析を行った。対象者は,認知症の周辺症状が顕
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著にみられる11人の利用者である。利用回数の経過にともなう変化を,NM スケール,施設用DFDL, REPDSの評価尺度を用い,利用1回目と7回目の時 点で測定した。その結果,11人中2人に有意な改善が認められた。改善が認 められた2人の共通点として,利用者自身がショートステイ利用に「意味」を 見出していること,自宅では「実現」困難であったことを施設で「実現」して いるという特徴がみられたことを報告している。
〈面接調査を用いた調査研究〉
面接調査を用いた研究には,立松・湯川(1998),大島(2004)がある。
立松・湯川(1998)は,特養のショートステイ利用者22人への面接調査を 通して,長期入所者と同じ生活を送ることはストレスにつながるため,ショー トステイ利用者専用のプログラムを用意すること,さらに,居室はショートス テイ専用室を設けたほうがよいことを述べている。
大島(2004)は,老健併設型ショートステイの利用者10人に対して,「利用 者はどのようなことを感じ,悩み,過ごしているか」について面接調査を行っ た。その結果から「周囲への我慢・遠慮」「自分のペースで生活ができない」
「役割がない」「施設は快適・安心」「よくなりたい」「忘れられた存在」という 6つのカテゴリを導き出し,それらが相互に関連,あるいは矛盾していること を明らかにした。
〈参与観察を用いた調査研究〉
参与観察を用いた研究には,日山・須藤・羽田・ほか(1998),波江・湯浅
・今村・ほか(1999),角濱(2002)がある。
日山・須藤・羽田・ほか(1998)は,ショートステイ利用者の身体・精神機 能の変化を明らかにする目的で,ショートステイを連続6回繰り返した10人
(対象群)と,老健入所者10人(コントロール群)を比較調査した。評価スケ ールには,バーセルインデックスとMMSスケールを用いた。その結果,両群 ともに有意差はみられなかった。対象群の5人には問題行動が出現したが,コ
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ントロール群では出現しなかった。ただし,問題行動が出現した5人とも,家 庭に戻ると問題は消失したと報告している。
波江・湯浅・今村・ほか(1999)は,ショートステイを利用する認知症高齢 者の施設適応に関して,入所3日間の変化を明らかにする目的で,利用者6人 に対し参与観察による調査を行った。3日間の変化の状況から,適応群と不適 応群に分け,その特徴を述べている。適応群は,施設内で自分の役割を見出す ことや,一緒に過ごす相手を見つけたことが特徴としてあげられる。一方,不 適応群では,大勢の人との共同生活に向かないという特徴を指摘している。そ れを受けて,認知症高齢者の施設適応には,その人らしい行動や,その人なり の対処の仕方を,援助者が早く発見し導くことが有効と述べている。
角濱(2002)は,環境の変化を体験する高齢者の睡眠覚醒リズムを明らかに する目的で,ショートステイ利用者11人に対して,活動計(アクチグラフ)
などの測定器の使用ならびに参与観察による調査を行った。その結果,在宅時 と入所時のデータ比較では有意差はみられなかった。睡眠覚醒パターンについ て,①在宅時,入所時ともに単相性睡眠であり昼夜明確な5例,②在宅時,入 所時ともに多相性睡眠で昼夜不明確な5例,③在宅時不明確で入所時明確に移 行した1例,の3つに分類した。昼夜不明確群は明確群に比べ,活動量が低 く,覚醒時間が短く,睡眠時間が長いなどの有意差がみられた。さらに昼夜不 明確群は,認知症度が高く,ADLが低いという特性を有していたと報告して いる。
以上,調査研究(13本)について概観してきた。ここからは,事例研究(12 本)の摘要を述べることとする。
蓮村は施設長であり医師の立場から,ショートステイの受け入れに関する
「困難事例」について報告している。具体的には,経管栄養の利用者の受入れ 事例(蓮村2002 a),疥癬をもった利用者への対応事例(蓮村2002 b),施設到 着後,すぐに救急搬送された利用者の事例(蓮村2003 a),そして帰宅願望の 強い認知症高齢者の事例(2006)である。蓮村による一連の研究は,受入れ施
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設側の実情を的確に描写しており,いわゆる「困難事例」への援助方針を立て る上での有益な示唆を含んでいるといえる。
石井(1986),村田(1986),島田(1990)は,認知症高齢者のショートステ イ受け入れについて言及している。石井(1986)は,ショートステイでは「徘 徊」のある認知症高齢者への対応が困難という。他の利用者が「徘徊」をして いるショートステイ利用者に対し,納得していない場合もみられるため,他の 利用者への理解と協力を求めることが大切としている。村田(1986)は「認知 症高齢者のショートステイは,短期間に多くの行動を観察し,適切な判断の中 で対応しなくてはならないので,一部始終の鋭い観察が重要視される」と実践 における留意点を指摘した。島田(1990)によれば,ショートステイを利用す る認知症高齢者は,利用初日(特に夜間)に,興奮状態をおこす人がみられる という。しかし,他の利用者に支えられること等を通して,徐々に落ち着いて 生活できるようになる傾向があることを報告している。
暴言・暴力行為がみられるショートステイ利用者への対応を報告したのが,
岡本(1996)である。そのなかで,施設職員は暴言・暴力があるからといって 利用者をステレオタイプ化しないこと,その逆に,利用者に絶えず目を向ける ことが重要と指摘している。
入院とショートステイを繰り返しながら在宅生活を送る利用者への,介護支 援専門員の支援過程を報告したものに,池川・白澤(2003)がある。そのなか で,医療ニーズの高い人の在宅療養を支えるには,まずどういう効果とリスク があるかを説明することが重要と述べている。また介護者はショートステイと はいえ,施設入所に迷いがあることも事実であり,そうした心境に対し,介護 支援専門員の「寄り添う姿勢」が大切と論じた。
真砂・高吉・佐藤・ほか(2003)は,円滑なショートステイの利用には,短 期入所生活介護計画の作成が重要とし,その留意点として,家族,施設,介護 支援専門員との連携,介護方法を統一するために具体的な内容を記載すること をあげている。
ショートステイ利用者の褥瘡ケアについて報告したのが,渡辺(2003)と森
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本(2007)である。渡辺(2003)は,褥瘡に関する綿密なアセスメントを行っ た上で,介護支援専門員やデイケア職員と協力したことにより,褥瘡が治癒し た事例を報告した。留意点として,創部の除圧の徹底,1日1回のガーゼ交 換,食事・水分摂取量の確保,ADLの低下防止をあげている。その一方で,
森本(2007)は,もともと在宅で褥瘡ができていないのに,ショートステイを 利用すると褥瘡をつくって帰ってくることが懸念されると指摘した。その上 で,在宅における褥瘡ケアのキーパーソンである訪問看護師と施設の介護職員 が,お互いにケアの状況を理解することが重要と述べている。
以上,「利用者への援助および利用効果」に関する文献を,調査研究ならび に事例研究に分類し概観してきた。そのなかで,次の二つの特徴を見出すこと ができる。第一に,経管栄養や褥瘡など,いわゆる医療依存度の高い利用者の 受入れに関する内容(蓮村2002 a ; 2002 b ; 2003 a; 渡 辺2003; 池 上 ら 2003;森本2007),第二に,認知症高齢者に対する援助および利用効果に関す る内容(石井1986;村田1986;島田1990;副田ら1990;北川ら1991;岡本 1996;波江ら1999;蓮村2006;口村2006 ; 2007)が多く取り上げられていた ことである。両者とも,一般にショートステイの受入れが「難しい」とされる 事例に該当する。ショートステイの実践現場において,医療依存度の高い利用 者や,行動障害や精神症状のみられる認知症高齢者を積極的に受け入れていく ことは,在宅介護の継続という観点からみても社会的意義が大きい。一方で,
限られた職員配置と施設環境のなかで,こうした利用者を受け入れていくこと は,サービスを提供する施設側にとって容易でないことも事実である。その意 味でも,先行研究で確認されたエビデンスが,円滑なショートステイの受け入 れを行う上で,有効に活用されることが望まれる。
2.家族への援助および利用効果に関する研究
「家族への援助および利用効果」に関する文献には,合計9本がある。最初 に,調査研究から概観することとする。このテーマにおける調査研究には,奥
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山・西下(1985),三徳・鎌田・簑輪・ほか(1986),山田・鈴木・土屋
(1994),安部・中林・梶田・ほか(2001),立松・齋藤・西村(2001 d)によ る研究が該当する。
奥山・西下(1985)は,認知症高齢者を介護する家族に対する支援状況を明 らかにする目的から,東京都福祉局(現:東京都保健福祉局)の保有するショ ートステイの利用申請書の分析を行った。その中から調査許可の下りた22事 例を取り上げ,「ショートステイ1回利用−在宅ケア継続」「ショートステイ1 回利用−施設ケア移行」「ショートステイ複数回利用−在宅ケア継続」「ショー トステイ複数回利用−施設ケア移行」という4つのグループに分類し,各グル ープから代表的な事例を選択し検討した。4事例に共通するニーズとして,利 用期間が原則1週間と短いので,2週間から3週間程度に伸ばして欲しいとい うこと,ならびに,施設までの送迎サービスを行って欲しいという要望がきか れたことをあげている。当論文が執筆された時点では,ショートステイの利用 期間に制限が設けられていたことや,送迎サービスが行われていなかった状況 がうかがえる。現在では,これらの条件は制度化され,既にクリアされている といって差し支えないだろう。こうした研究成果を通じ,利用者・家族の声が 反映されてきたことが,現在のショートステイ制度の礎になっていることを痛 感する。
三徳・鎌田・簑輪・ほか(1986)は,認知症高齢者の在宅介護を支える要因 を探る目的で,ショートステイを利用している家族22人を対象に,ケース記 録等の分析ならびに職員・家族に対する面接調査を行った。分析方法は,2年 後の「居場所」として,特養入所群(11人)と在宅群(11人)に分け,在宅 介護継続の要因を比較検討した。その結果,在宅介護の継続には「高齢者自身 の要因」「介護者自身の要因」「家族および周囲の人々の要因」に加え,「介護 者の意欲」が重要な要因としている。また,認知症高齢者の在宅介護が暗礁に 乗り上げる時期は,介護開始時から1〜2年にあると予測されるため,援助者 の介入はできるだけ早期に行うほうがよいと指摘した。
山田・鈴木・土屋(1994)は,介護者の疲労の実態とショートステイ利用に
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よる疲労の変化を知る目的で,介護者34人に対して,利用開始時と終了時の 2回,蓄積的疲労徴候調査(面接調査)を行った。その結果,ショートステイ 利用前の介護者の疲労は,身体的特性が高いことがわかり,その疲労は介護者 の自由時間の有無に関連がみられた。また,慢性疲労,不安感,イライラの状 態などの項目で有意に減少がみられた。ショートステイ利用により,疲労が改 善した人は79.4%,改善しなかった人は20.6% であり,こうした結果から,
ショートステイは,介護者の生理的疲労,精神的疲労の改善および社会的活動 の拡大に有効であると論じた。
安部・中林・梶田・ほか(2001)は,家族介護者のショートステイ利用の実 態を明らかにする目的で,介護者92人に対して質問紙調査を行った。その結 果,介護者がショートステイを利用する主要な理由は,介護疲れ,休養であっ た。また,介護者の71.7% は,利用したことによる満足感が高いという自己 評価が得られた。調査結果を通じ,介護者のショートステイに対する要望を,
「適量性」「適質性」「利便性」「受容性」という4つのキーワードで表現した。
立松・齋藤・西村(2001 d)は,介護者にとってのショートステイ利用効果 を明らかにする目的で,介護者138人に対して自記式配票調査を行った。クラ スター分析により,介護者を「総合的負担感強型」「精神的負担感強型」「心身 的負担感中型」「身体的負担感強型」「総合的負担感弱型」の5つに分類した。
その結果,①介護者の年齢階層が高いほど身体的負担感が強くなり,介護期間 が長い場合には総合的負担感が強くなること,②介護者は,有職より無職の場 合に,精神的負担感および身体的負担感が強い傾向にあること,③ショートス テイの利用回数を重ねている介護者は,介護負担が中度から強度の介護者が多 い傾向がみられること,④介護負担が強い介護者ほど,睡眠時間が多くとれた こと,を明らかにした。こうした結果を受けて,ショートステイは居宅介護を 継続する上で有効なサービスであり,サービスの質的・量的拡充が必要である と論じている。
次に,事例研究ならびに実践報告に目を転じてみたい。玉地・堀江・西川
(2005)は,ショートステイを利用している家族に対し,2時間程度の面接を
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行い,普段「当たり前」と思っていることを考え直すきっかけになるような対 話を促した。その結果,施設での職員の行為が,自宅での介護に影響をおよぼ している可能性があったことを報告している。柏木(2006)は,ショートステ イ利用者に関する事例のなかで,介護支援専門員が利用者の状態を認識してい なかった事態を問題視している。上田(2002)は,「高齢者介護はゴールがみ えない」ことで介護者の負担を強くしていることから,ショートステイを利用 することは「長い介護期間の中の小さなゴール」であると位置づけ,その有効 性を論じた。森(2002)は,ショートステイを利用する目的・理由はさまざま であるが,介護者の負担軽減だけを主張してしまうと,一方の介護される側に とっては重荷になると警鐘を鳴らしている。
以上を通してみえてくるのは,ショートステイを利用することで,介護負担 の軽減や介護者の疲労の改善に,一定の効果が得られている事実である。また ショートステイ利用中は,介護者にとって「休息の期間」でもあり,このサー ビスが介護者の社会参加の促進に貢献していることもわかる。その意味で,シ ョートステイは介護者を支援する上で有力なサービスであることが,改めて理 解できよう。介護保険制度が施行されて以来,ショートステイは介護支援専門 員の作成する居宅サービス計画書(ケアプラン)に組み込まれる形となった。
今後は,ショートステイを利用するタイミングや頻度に配慮することで,より 効果的に制度が活用されることが望まれる。
3.利用効果(その他)に関する研究
このテーマに含まれる研究は,今までみてきたように,利用者および家族の どちらかに焦点を当てるのではなく,一つの調査のなかで,両者に焦点を当て 分析している点に特徴がある。合計3本の論文がみられた。
岩下・横田・高橋(1989)は,日本看護協会主催によるショートステイに関 する2つの調査結果をまとめている。一つは,1987年に実施した全国の訪問 看護師を対象とした質問紙調査,もう一つは,1988年に実施したショートス テイ利用者および家族を対象にした質問紙調査である。最初に1987年の調査
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結果をまとめると,ショートステイは家族・介護者にとってはプラスの評価が ほとんどであるのに対し,高齢者にとっては,プラスとマイナス,両方の評価 がなされていると報告している。ショートステイの利用で,その後の在宅療養 がスムーズになることもあれば,逆に,やりにくくなる可能性もあり得ると示 唆した。また,高齢者にとっての評価として,「話し相手がいてよかった」と いう人がいる一方で,「同室者に気をつかってストレスになった」と評価する 人もみられ,対照的なケースが存在することを指摘しているのは興味深い。次 に,1988年実施の調査結果を要約すると,ショートステイを利用した家族の 約8割に「よかった」という評価が得られたのに対し,高齢者にとっての評価 には「幅がある」としている。利用することに消極的な意見だけではなく,認 知症等の影響で「わからない」と回答する人が約3割みられた。こうした結果 を受けて,訪問看護師や保健師は,ショートステイ利用による影響を予測した 上でアドバイスを行うことが重要としている。また,高齢者を受け入れる施設 職員は,幅広く本人や家族の状況に目をむけ,個別性をふまえた処遇を行う必 要があると述べている。
滝口・渡辺(1997)は,ショートステイにおける利用者の心身機能の変化お よび家族の意識を明らかにする目的で,利用者5人,家族20人に対して,質 問紙調査ならびに面接調査を行った。利用者の心身機能の変化について,利用 初日と5日目のADLを比較したところ,社交性,睡眠の量,会話の量,排せ つ,食事の量の項目で,ゆるやかな向上がみられたと報告している。その要因 として,利用者と職員間でのラポール(信頼関係)の形成が図られ始めたこと が関係していると分析した。一方,家族に対する意識調査では,ショートステ イ利用中に「安心して用事ができた」と回答した人が90% であり,サービス 内容の希望については「リハビリ」や「他の利用者とのふれあい」を希望する 人がともに28% という結果であった。
久保川・京谷・森・ほか(1998)は,ショートステイを利用した高齢者と家 族の反応・変化を明らかにする目的で,ショートステイを実施している57施 設に対し質問紙調査を行い,次のような知見を得た。①ショートステイ利用者
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は健康障害や生活障害を有しており,専門的な配慮が必要であること,②ショ ートステイは家族の介護負担軽減に効果がみられたこと,③ショートステイは 高齢者にとって効果がある反面,問題もあること,である。その結果を受け て,医療・看護の連携が不可欠であること,在宅ケアの視点に立って施設内ケ アを整えていく必要があること等を提唱している。
以上の研究を通して,ショートステイは家族にとっての評価が総体的に高 く,その一方で,利用者にとっての評価には賛否両論みられる傾向が確認でき た。このテーマに含まれる研究は,一つの調査の中で,利用者・家族の両者に 焦点を当てている。そのため,両者にとっての「利用効果の格差」が,より鮮 明に表現されたといえるのではないだろうか。
4.サービスのあり方に関する研究
サービスのあり方に関する文献には,以下の16本がみられた。ここでいう
「サービスのあり方」とは,実践者自身が,施設運営やサービス提供のあり方 について規範的な意味を込めて提言している文献や,研究者が調査を通して,
円滑なサービス提供に資する知見を報告した文献などが含まれる。
最初に,実践者による文献を取り上げることにする。高口(1998)は,特養 の介護部長(執筆当事)の立場から,特養に比べて,ショートステイの運営は
「難しい」と認識している。特にショートステイでは,利用者と職員間の関係 だけではなく,家族と職員の間に「共通の介護に対する認識・雰囲気」を作り 出すことが重要と述べている。
特養における新しい潮流として,2002年度からは,全室個室でユニットケ アを行うことができる小規模生活単位型特養(新型特養)が制度化された。そ れを反映して,ショートステイにおけるユニットケアに関する報告を行ったの が,力(2004),川島・中村・高橋(2004),山野(2004)である。力(2004)
は,ユニットケアを導入したことにより,ハード面だけではなく,職員配置,
入退所時の体制など,ショートステイに集中できる環境を整備したことで,事 故の防止にもつながったことを報告している。川島・中村・高橋(2004)は,
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利用定員50人という規模の大きな施設において,職員間の情報共有を図るた め,1日3回のミーティングを徹底していることを報 告 し て い る 。 山 野
(2004)は,ホーム・シェアリング方式の必要性を唱えている。この方式は,
従来のショートステイと違い,原則として1ヶ月単位での特養への滞在(ステ イ)を特徴としている。もともと特養待機者への対策としてはじめられた試み であるが,それにより,限定的ではあるが,リロケーションダメージの緩和,
一貫したケアの体制の保持,「なじみの関係」の構築などに効果があったと報 告している。
老健および医療施設からの報告には,次のようなものがある。中村(2004) は,ショートステイ運営の方針として,次の点に留意していると報告した。そ れは,①定員の10〜15% を空きベッドとして用意しておくこと,②利用者の 希望を優先した受け入れ体制を整えること,③送迎サービスを弾力的に行うこ と,である。小笠原(2006)は,老健におけるショートステイを有効に活用す るために,①リハビリを重視した対応,②在宅のケアプランを反映したアプロ ーチ,③単なる「お預かり機能」だけではなく,在宅生活を視野に入れた個別 対応など,サービス内容の充実を主張している。徳広(2006)は,老健のショ ートステイ運営に関して,①医学的管理機能の充実,②利用ニーズに応じた柔 軟なベッドマネジメント,③包括的な施設利用により「なじみの関係」を形成 すること,④リハビリテーション機能の充実,⑤認知症高齢者への積極的な対 応,について言及している。その他,難波(2001)は,老健併設型ショートス テイでの事例にふれながら,振替利用についての提言を行った。一方,介護療 養型医療施設からの報告として,菊池(2001)は,事務作業が煩雑な点,ベッ ドコントロールを行う必要がある点から,専属のケアマネジャーの配置が欠か せないと指摘している。菊池のいう「専属のケアマネジャー」とは,特養の生 活相談員のような存在のことと,文脈から推測できる。
次に,研究者による文献に目を移したい。泉田(1996)は,先進的な取り組 みをしているショートステイ専用施設こぶし園(新潟県長岡市)について現地 調査を行った。こぶし園の特徴として,①利用前の事前調査を重視しているこ
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と,②短期間であるがゆえのケアの留意点を掲げていること,③目標を持った ショートステイ利用方法の提案をしていることに焦点を当て,その有効性につ いて報告した。
三重野・小西・末弘(2003)は,ショートステイにおけるケアの質の評価,
ならびに,ケアの特性を明らかにする目的で,老人福祉施設(福祉施設群)30 箇所と老人保健施設(老健群)22箇所を対象に,質問紙調査を行った。両群 に共通するケアの質の特性は,①利用者の事故防止や疾病管理に注意を払い,
利用者・家族の要望を重視したケアに努めている点,②退所後のケアの評価が 行われていない点,③ケアの有用性を認めている点であった。また福祉施設群 では,医療が必要な利用者を多く受け入れている一方で,情報収集・ケアプラ ン立案に関する職員間での共有化が今後の課題と指摘している。それに対し,
老健群では,利用目的を重視したケアプランの立案を前提とする目標指向型の ケアを行っている点が示されたと報告している。
立松・齋藤・西村の研究グループは,ショートステイにおけるサービスのあ り方について実証的な調査を積み重ねている。学会抄録を含めると,多くの文 献(立松・齋藤・西村2002 a ; 2002 b ; 2002 c ; 2003 ; 2004)が発表されてい るが,それらを整理すると,次の3つに分類できる。第一に,立松・齋藤・西 村(2002 a ; 2002 b ; 2002 c)は,老人短期入所施設の全国規模の質問紙調査 を行い,①ショートステイ独自のプログラムをもって事前面接することが有効 である点,②ストレスを最小限にする居室環境を整備する点,③利用しやすい 小規模な居場所を積極的に設置すること,④ショートステイの職員には,利用 者に対し居住環境整備に関する助言が行える知識が求められる点,が重要であ ると述べている。第二に,立松・齋藤・西村(2003)は,特養のショートステ イ利用者19人を対象とした面接調査を通して,自宅環境を整備し,生活面で 自宅と施設の連続性をもたせることは,利用者の自宅生活の自立促進や施設利 用によるストレスの軽減,介護者の負担の軽減意つながると論じている。ま た,自宅の環境やケアに,施設側が合わせるといった「歩み寄りの姿勢」が必 要であることを指摘している。第三に,立松・齋藤・西村(2004)は,ショー
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トステイを効果的に運用するために,「受け入れ前」「受け入れ中」「退所後」
と3つの場面を設定した上で,「事前面接」「ケア方針の協議」「介護計画」「個 人記録」「送迎」「ケア・空間」「介護記録」「報告・継続的な管理」というサー ビス提供に必要な8つのキーワードを示した。
以上,サービスのあり方に関する文献を概観してきた。なかでも,三重野・
小西・末弘や立松・齋藤・西村の調査研究の知見には,実践者が施設における 援助方針を策定する上での有益な示唆が含まれていることがわかる。こうした 研究成果を,施設運営の基盤作りに活用していくことが,ショートステイにお けるサービスの質の向上に資するものと思われる。
5.リスクマネジメントに関する研究
リスクマネジメントに関する文献は,9本みられた。恒常的に利用者が観察 できる特養や老健と違い,ショートステイでは利用者の状態を把握しづらいこ とも事実である。利用者に関する情報不足や職員間の情報共有の不徹底等が相 まって,ショートステイ利用の背後には,さまざまなリスクが潜んでいること が想定される。
1995年に神奈川県下の特養併設型ショートステイで,73歳の男性利用者 が,朝食後に,誤嚥・窒息で死亡するという事故が起きた。この事例を分析し
た高村(2001 a)は,第一に,介護支援専門員が摂食・嚥下障害に関するアセ
スメントが十分だったかが問われるとし,次に,ケアプランの作成ならびに施 設側の作成する短期入所生活介護計画に,アセスメントの内容が反映されてい るかが重要であると指摘した。その一方で,当該施設の施設長である岸田
(2002)は,誤嚥や転倒といった事故に対する施設側の責任が厳しく問われる 風潮にあるなかで,在宅で暮らしている高齢者の誤嚥や転倒の発生状況と比較 する必要性を唱えている。単に「事故」と済ませてしまうのではなく,高齢者 の「生活リスク」と理解すべきであり,「施設にできること」と「家族の施設 に対する期待」について,相互理解に努めることが重要と述べている。
谷口(2002),加藤(2004),長尾(2006)は,ショートステイ利用者の転倒
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・転落の事例について言及している。谷口(2002)は,事故の対応はソーシャ ルワークの一環と位置づけた上で,金銭保障のみならず,冷静に問題を整理す ることが重要としている。また最終的には,施設をあげた組織的な対応が不可 欠という。加藤(2004)は,転倒を繰り返すショートステイ利用者に対し,行 動を制限するのではなく,チーム全体でアセスメントを行うこと,さらに,利 用者自身を理解する姿勢が大切であることを論じた。長尾(2006)は,ショー トステイ利用者の転倒・転落事故を防止するにあたり,徹底した申し送り,セ ンサーマット(5)の活用,家族と話し合いながら居住環境を作り上げることな ど,いくつかの工夫すべき点を提唱している。
土谷(2006)は,認知症高齢者がショートステイを利用した際に,徘徊で行 方不明になった経験を紹介した上で,改善に向けた取り組みを以下のように報 告している。①施設の出入り口に終日施錠をするのではなく,昼間帯から段階 的に施錠を廃止すること,②ドアベルをつけ注意を喚起すること,③所在チェ ック表をこまめに確認すること,④他部署の職員にも協力を依頼することであ る。
そのほかに,小川(2006)は,医療依存度の高い利用者の受け入れに際して は,「施設では何ができて何ができないのか」について,利用者・施設の双方 が納得した上で契約をすることが重要であると述べている。牧上(2002)は,
特養における疥癬集団発生時における接触者(ショートステイ利用者)の追跡 調査および対策について報告した。高村(2001 b)は,ショートステイから帰 宅後,自宅に訪れた訪問看護師が脱臼していることを発見した事例を題材に,
施設側のショートステイ終了時の状態観察と事業者間の連携の必要性について 述べている。
冒頭で述べたように,ショートステイのサービス環境には様々なリスクが潜 んでいると考えられる。事故事例の分析やリスクマネジメントに関する研究の 集積を通じ,いわゆる「回避可能なリスク」を特定していくことが,「安全・
安心なショートステイ」の運営に寄与するものと考える。
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6.実態把握に関する研究
このテーマには,合計20本がみられた。大別すると,研究者による調査研 究(6本)と,実践者による利用実態の報告(14本)に分類することができ る。
最初に,研究者による調査研究から概観することにしたい。牧園(1990) は,愛媛県新居浜市におけるショートステイの利用状況を明らかにする目的 で,ショートステイ利用申請書や診断書などの分析を行った。その結果,ショ ートステイ利用者は,在宅の寝たきり老人に比べて,精神状況ではほとんど変 わりないが,日常の生活行動能力においては,必ずしも劣ってはおらず,要介 護者の割合は相対的に低いとしている。また,利用者には,在宅の寝たきり老 人に比べ,老人夫婦のみの世帯が少なかったことを報告している。
栃木県小山市におけるショートステイの利用実態について調査を行ったの が,瀧澤・鈴木らの研究グループである。鈴木・猪飼・瀧澤(2006)は,栃木 県小山市の福祉系の2施設を対象に,利用者の地域分布状況について調査し た。利用者が施設を選択する際,距離的要因だけで決定しない傾向があり,そ の背景には,全施設を通した利用調整システムがないことや,施設の料金・サ ービスの相異等が関係していると述べている。猪飼・鈴木・瀧澤(2006)は,
同じく小山市の福祉系の2施設を対象に調査を実施し,利用者にはリピーター が多い反面,新規利用者にとって利用しにくい実情があることを報告した。中 嶋・鈴木・瀧澤(2007)は,小山市の医療系のショートステイ2施設を対象に 調査を行い,福祉系に比べて利用者が広範な地域に分布していること,距離に 関係なく長期の利用者が分布していること,前期高齢者の割合が若干高いこ と,要介護3以上の利用者が多いことを報告している。瀧澤・鈴木(2008) は,2006年から続く一連の学会発表報告の総括として,紀要論文に成果をま とめている。その知見を整理すると,①福祉系,医療系ともに女性利用者が多 いこと,②医療系は要介護度が高い利用者が多いこと,③両系とも1回の利用 日数は7日以下がほとんどであること,④両系とも他施設が近くにあっても遠 方にある施設を利用していること,等である。
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