予防接種従事者研修会感染症情報センター

予防接種で予防可能疾患の国内疫学情報

国立感染症研究所 感染症疫学センター

福住宗久

（北海道） 9月 7日 （金）

森野紗衣子 （仙台）

9月 19日 （水）

多屋馨子

（岡山）

9月 26日 （水）

島田智恵

（福岡）

10月 5日 （金）

砂川富正

（東京）

10月 12日 （金）

神谷 元

（大阪）

10月 19日 （金）

大石和徳

（名古屋） 10月 23日 （火）

新橋玲子 資料作成協力

平成30年度 公益財団法人 予防接種リサーチセンター

予防接種従事者研修会

日本で接種可能なワクチンの種類

（2018年9月現在）

+備蓄2種類（痘そうワクチン、A/H5N1亜型インフルエンザワクチン）

定期接種（18種類）

_{任意接種（10種類）}

生 BCG（結核） ＭＲ（麻疹風疹混合） 麻疹 風疹 水痘 不活化 B型肝炎 DT（ジフテリア・破傷風混合）:二種混合 DPT （ジフテリア・破傷風・百日咳混合）:三種混合 IPV （不活化ポリオ） DPT-sIPV （ジフテリア・破傷風・百日咳・セービン株由来不活化 ポリオ混合）:四種混合 DPT-cIPV （ジフテリア・破傷風・百日咳・不活化ポリオ(ソークワ クチン)混合）:四種混合 日本脳炎（乾燥細胞培養） インフルエンザ 肺炎球菌（13価結合型） Hib（ヒブ：インフルエンザ菌b型） HPV（ヒトパピローマウイルス） （2価） HPV（ヒトパピローマウイルス） （4価） 肺炎球菌（23価多糖体） 生 流行性耳下腺炎（おたふくかぜ） 黄 熱 ロタウイルス（1価） ロタウイルス（5価） 帯状疱疹 （現行の弱毒生水痘ワクチンを使用） 不活化 破傷風トキソイド 成人用ジフテリアトキソイド A型肝炎 狂犬病 髄膜炎菌（4価結合型） 定期接種を定められた年齢以外で受ける場合 （対象年齢は政令で規定）

28

種類

2

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 4

人口10万人対 国 名 罹患率 年 次 米 国 3.1 2016 カナダ 5.2 2016 オランダ 5.9 2016 オーストラリア 6.1 2016 デンマーク 6.1 2016 イタリア 6.1 2016 フランス 7.7 2016 ドイツ 8.1 2016 スウェーデン 8.2 2016 英 国 9.9 2016 日 本 13.3 2017 多くの先進国では、結核罹患率が低まん延国の水準である 10を下回っているが、日本は13.3と、低まん延国の水準には 至っていない． 公益財団法人結核予防会 結核研究所疫学情報センター 2017年結核年報よhttp://www.jata.or.jp/rit/ekigaku/

世界各国の全結核届出率の年次推移

2017年の新登録結核患者数 16,789人． 罹患率の減少傾向が続いている. 海外情報:WHO. http://www.who.int/tb/publications/global_report/en/ 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 全 国 総 数 大 阪 市 北 九 州 市 神 戸 市 名 古 屋 市 東 京 都 特 別 区 長 崎 県 堺 市 大阪 府 東 京 都 京 都 市 ・ ・ ・ 北 海 道 仙 台 市 岩 手 県 山 梨 県 長 野 県 札 幌 市 秋 田 県 新 潟 県 山 形 県 福 島 県 宮 城 県 公益財団法人 結核予防会 結核研究所 疫学情報センター 結核の統計 2017 年結核年報より作図 http://www.jata.or.jp/rit/ekigaku/toukei/nenpou/

人

口

10

万

対

地域差があり、大都市部に多い傾向は同様

罹患率が10を下回った都道府県は、10道県

都道府県・市・東京都特別区別 罹患率 2017 (10万対)

6 10.0

0 20 40 60 80 100 120 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

新

登

録

罹

患

率

人

口

10

万

対

新登録患者の59.0％が70歳以上

年齢階級別の結核罹患率は、高齢層ほど高く、

70-79歳 22.0, 80-89歳 55.5, 90歳以上では

92.7．

2017年の結核統計によると、

外国生まれの人が全結核の9.1％を占めた．

公益財団法人 結核予防会 結核研究所 疫学情報センター 結核の統計 2017 年結核年報より作図 http://www.jata.or.jp/rit/ekigaku/toukei/nenpou/

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 8

百日咳

2018年1月1日から5類の全数把握疾患に

• 届出基準

– 症状や所見から疑いかつ下記の検査所見により診断

– 検査確定例と接触歴があり百日咳の臨床的特徴がある場合

 2017年までとの違い ・小児科定点から全医療機関報告へ：小児だけでなく成人を含めた動向の把握 ・臨床診断例から検査診断例へ：より特異度の高い症例の把握 検査方法 検査材料 分離・同定による病原体の検出 鼻腔、咽頭、気管支などから採取された検体 ＰＣＲ法による病原体の遺伝子の検出 ※ ＰＣＲ法はＬＡＭＰ法などを含む 抗体の検出 （ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有 意な上昇、又は単一血清で抗体価の高値） 血清 (*)_{百日咳 感染症法に基づく医師届出ガイドライン（初版）に則った症例のみを抽出} https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/610-disease-based/ha/pertussis/idsc/7994-pertussis-guideline-180425.html 0 50 100 150 200 250 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 64 66 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 >90 報告数 年齢 無 1回 2回 3回 4回 接種回数不明 接種歴不明 記載なし

全症例中4回のワクチン接種歴がある症例が

53％（1,337例）、20歳未満にすると68％

（1,286/1,889例）、5歳から15歳に限定する

と75%（1,186/1,573例）

届出ガイドラインの診断基準を満たした百日咳患者症例

(*)

（n=2,517）の年齢分布（2018年第1週～第26週）

10

6か月未満の百日咳症例の感染経路（重複あり）

(※)

（2017第1週～第26週） （n=125

(*1)

_）

推定感染経路 （重複あり） N ％ 母親 28 22 父親 24 19 同胞 38 30 祖父母 8 6 その他 8 6 不明 42 34 その他の内訳：叔母(4)、叔父、いとこ、同胞が通う保 育園の保育士、記載なし 不明のうち10例は周囲に咳症状の者あり 同胞の年齢 N ％ 2歳 4 11 3歳 3 8 4歳 2 5 5歳 1 3 6歳 2 5 7歳 4 11 8歳 2 5 9歳 1 3 10 1 3 11歳以上 2 5 兄弟複数 3 8 不明 13 34 計 38 (※) _{問合せから得られた情報を含む} (*1) _{うち2例は別の自治体から報告のあった同一症例} である可能性が極めて高い症例 1958年DPワクチン開始 _{2018年度調査実施中} 12 自然感染によるブースター

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹

世界（左）と日本（右）の

ジフテリア報告数（一部死亡数）の推移

国内では1999年の岐阜県症例が最後の報告

14 1991年12月にソビエト連邦の崩壊 2016 報告数7,097 DTP3 接種率 86% http://www.who.int/immunization/monitoring_surveillance/burden/diphtheria/en/ http://idsc.nih.go.jp/iasr/27/32_{2/tpc322-j.html}

世界の発生状況

• 2016年現在、報告数7,097人。うちインド約3.400人（48％）

• Top5

（インド、マダガスカル、インドネシア、ネパール、ミャンマー）

で97%を占める

https://knoema.com/atlas/topics/Health/Communicable-Diseases/Diphtheria-cases?type=maps

バングラデシュ難民キャンプにおける流行

• 2017年8月以降、隣国ミャンマーから約65万人がバングラデシュへ

• 密集環境、接種率の低さなどによりキャンプ内で急速に拡大

• 疑い例報告数の73%、死亡例15人中14人が15歳未満

Photo: 報告数 発症日 難民キャンプ（Cox’s Bazar）における ジフテリア疑い例報告数 2017年11月3日～12月12日 （n=840人、うち死亡15人、12月13日現在） 16

発症防御レベルは0.1IU/mL以上

DT第2期によるブースター

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 18

0 50 100 150 200 250 300 350 <20 20-29 30-39 40-49 50-59 60-69 >70 男 女 5 1 1 2 2 1 1 5 1 0 20 40 60 80 100 120 140 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 報告例 死亡（報告時）

破傷風の動向・年齢分布（2010～2018年）

および震災関連破傷風

診断年別報告数：2010～2018年 （感染症発生動向調査、2018年7月30日現在） n=1032 n=19 年齢群別性別報告数 （感染症発生動向調査： 2018年7月30日現在） 報告例全体1,032例 ・年齢中央値73歳（範囲2～100） 死亡例18例（1.8%） ・年齢中央値81歳（範囲45～97） ・男性13例（致命率 2.3%） 女性 5例 （致命率 1.1%）

n= 564 (55%)

n= 468 (45%)

平成30年7月豪雨発災後、2つの被災地から 各1例報告あり 感染症発生動向調査における東日本大震災関連 届出症例（n=10) 救援・ボランティア関係者なし

発症防御レベルは0.01IU/mL以上

十分な発症防御レベルは0.1IU/mL以上

20

DT第2期によるブースター

2018年度調査実施中

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 22

侵襲性インフルエンザ菌感染症患者の年齢、病型分布

感染症発生動向調査より 人 口 10 万 あ た り の 年 間 報 告 数( 人₎

IHD年齢群別・病型別人口10万人当たり報告数

（診断年別. 2013年第14週 ～2016年第52週）

公費助成前後でのインフルエンザ菌侵襲性細菌感染症の

罹患率変化（5歳未満人口10万人当たり）

2008年12月 Hibワクチン任意接種開始、2010年11月公費助成

2013年 4月 Hibワクチン定期接種

参加地域：北海道、福島、新潟、千葉、三重、岡山、高知、福岡、鹿児島、沖縄

平成30年度日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推 進研究事業 ワクチンの実地使用下における有効性・安全性及びその投与方法に関する基 礎的・臨床的研究班会議（研究代表者：菅 秀）資料より 2008 -2010 2013 減少率 （％） 2014 減少率 （％） 2015 減少率 （％） 2016 減少率 （％） 2017 減少率 （％） Ｈｉ髄膜炎 （Ｈｉｂ髄膜炎） 7.7 0.3 (0.2) 96 (98) (0) 0 (100) 100 0.1 (0) (100) 99 0.1 (0) (100) 99 0.1 (0) (100) 99 Ｈｉ非髄膜炎 （Ｈｉｂ非髄膜炎） 5.1 0.2 (0.1) 97 (98) 0.5 (0) (100) 90 0.9 (0) (100) 83 0.5 (0) (100) 90 0.9 (0) (100) 83

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 24

侵襲性肺炎球菌感染症の発生動向と臨床像

＊2016年10月までは血液・ 髄液から、2016年11月以降 は、すべての無菌検体から菌 が検出された場合、届出義務 あり。

PCV7およびPCV13導入前後における5歳未満の小児の

血清型別侵襲性肺炎球菌感染症罹患率の推移

（

5歳未満

人口10万人当たり）

26 日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 ワクチンの実地使用下におけ る有効性・安全性及びその投与方法に関する基礎的・臨床的研究班（研究代表者：菅 秀）

2013年11月～

血清型置換

が起こっている

成人の侵襲性肺炎球菌感染症

成人(15歳以上）

の侵襲性肺炎球菌感染症患者由来

肺炎球菌の血清型分布（10道県、2013年4月-2018年3月）

28

2017年度

ワクチン含有血清

型の割合

PCV13 ：31%

PPSV23: 64%

小児への

PCV導入による

間接効果

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 1)2016年11月以前の関節炎症例2例除く 0 20 40 60 80 100 0 10 20 30 40 50 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 患者 死亡例 致命率 報 告 数 （ 件 ） 致 命 率 （ ％ ）

致命率：16％

IMD,診断年別報告数と致命率、NESID登録例、

2013年4月～2018年6月（n=183

1)

_{:2018年6月30日現在）}

30

IMD,年齢階級別報告数、NESID登録例、

2013年4月～2018年6月（n=182

1)

_{:2018年6月30日現在）}

1)2016年11月以前の関節炎症例2 例及び年齢不明1例除く

年齢中央値54歳（IQR：30-69）

男性：58％＞女性：42％

0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 男 女 致命率 報 告 数 （ 件 ） 致 命 率 （ ％ ）

IMD,研究班調査及び細菌第一部検査結果

2013年4月～2018年6月（n=35:2018年6月30日現在）

解析株数 27

解析率

27/35*100= 77%

分離培養 PCR

※

血液

24

5

血液・髄液

8

0

<診断方法>

※分離培養かつPCR4件、PCRのみ1件

＜血清群別結果＞

32

項目 報告数

（件） % 項目 報告数（件） %

致命率

(case fatality rate , n=32) 6 19% 臨床像

入院の有無 32 91% 咽頭炎 2 6% 入院日数中央値(n=26) （IQR）※入院継続中2名除く (8-15日)12日 肺炎 4 11% 集中治療室管理(n=34) 12 38% 関節炎 4 11% 合併症(n=27) 7* 26% 結膜炎 3 9% 病型 紫斑 7 20% 菌血症 21 60% 後遺症(n=29) 3 10% 髄膜炎 3 9% 左目内転にて複視 1 菌血症と 髄膜炎の併発 10 29% 膝関節炎の可能性 1 その他 1 ３% 脳障害による運動機能低下 1

IMD,臨床経過別症例数（厚労科研：大石班）

2017年1月～2018年6月（n=35:

発症日2018年6月30日現在

）

*合併症の内訳：DIC（3）、肝障害（2）、急性腎障害（2）、意識障害（1）、ショック（1）、電撃症紫斑病（1）

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 34

ポリオ（Poliomyelitis、急性灰白髄炎）

• ポリオウイルスとその症状： – ポリオウイルスによって発生する極めて感染力の高い疾患 – 脊髄前角細胞を侵し、麻痺を発生させる – ウイルスは口より体に入り（経口感染）、小腸で増殖する – 初期症状：発熱、疲労、頭痛、嘔吐、頚部硬直、四肢の痛み – 200名に感染した場合1名に非可逆性の麻痺（通常下肢） • このうち、5‐10％が呼吸筋麻痺により死亡 • ポリオの感染リスクが高いもの： – ポリオは主に5歳以下の小児に発生する • ポリオの予防： – 特異的な治療法はない。ワクチンにより予防は可能。 複数回の生ポリオワクチン接種により終生免疫が得られる • 世界のポリオ患者数（野生株）: – 1988年の約35万人から2017年末の22人まで減少（99%減） （写真・Wikipediaより） （文・WHOより和訳）

ワクチン接種率低下による3つの危機

1：流行地での感染、2：輸入アウトブレイク

• 患者数21名 （発症日2011年8月26日-2011 年10月9日） • 5回の大規模ワクチンキャンペーン （2011年9月-2012年4月） • 新疆ウイグル自治区の40歳未満全員 12カ月間のポリオ発生状況（発症日）, 2017年7月25日～2018年7月24日 地域での流行が継続すると2011年の 中国のポリオアウトブレイクのようなことも ナイジェリア： cVDPV2型 36

アフガニスタン

パキスタン

WPV1型

コンゴ民主共和国 cVDPV 2型 シリア cVDPV2型 パプア・ニューギニア cVDPV1型 流行国：アフガニスタン・パキスタン・ナイジェリア

OPV接種

率低下

ワクチン株

が市中伝播

ワクチン株が

病原性復帰

ワクチン接種率低下による3つの危機

3：伝播型ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)

cVDPVに よるポリオ流行

2015年9月 野生型2型ポリオウイルス根絶宣言

2016年4月～ 3価生ポリオワクチン（tOPV)から

2価生ポリオワクチン(bOPV)へ

 2型を除いた、bOPVへの世界的な切り替え

2016年5月

 不活化ポリオワクチン（IPV)の少なくとも1回

の定期接種化導入

 2型ポリオウイルス（野生株、ワクチン株）の

研究施設内管理徹底

38 38

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 1型 2型 3型 5歳未満児のポリオ抗体保有状況（中和抗体価1:8以上），2009～2017年度 感染症流行予測調査事業より 9月 cIPV導入 11月 DPT-sIPV導入 ↓ 12月 DPT-cIPV導入 ↓ 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 抗 体 保 有 率 ( ％) 2009 （n=362） 2010 （未実施） 2011 （n=427） 2012 （n=376） 2013 （n=416） 2014 （n=397） 2015 （n=369） 2016 （n=298） ※2型は（n=208） 2017 （n=259） ※2型は（n=200） 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 10歳未満児（IPV被接種者のみ）のポリオ抗体保有状況（中和抗体価1:8以上），2017年度 感染症流行予測調査事業より 9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 幾 何 平 均 抗 体 価 ( Ｌ ｏ ｇ 2) １型（n=1～63） 抗 体 保 有 率 ( ％) ２型（n=1～44） ３型（n=1～63） 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 40

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 2017/18年度感染症流行予測調査より

ブタの日本脳炎ウイルス抗体保有状況

感染症流行予測調査事業より

42 2018年9月11日現在 ＊2018年5－9月における最高抗体保有率（抗体価≧1:10）

関東、東海から四国、

中国、九州地方で

抗体保有率が高い

日本脳炎患者報告数

43 44 海外渡航歴を有する症例

地域別日本脳炎患者報告数（発病年別）、2011～2018年

感染症発生動向調査（2018年8月15日現在） 20歳未満の症例 都道府県 年齢（歳） 千葉 0歳11か月 兵庫 5 福岡 10 沖縄 1 (2018年は現在まで報告なし）

N=38

都道府県 渡航先 東京 インド

日本脳炎のハイリスク地域

WHO 日本脳炎ファクトシートより

2016年4月～北海道

日本脳炎ワクチン定期接種化

アジア地域では、年間

68,000

例

の新規発症例があるとされる

東南アジアへの渡航時にも

ワクチン接種歴の確認を！！

2012年時点 46

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 48

子宮頸がん

20代から増加がみられる

20～40代前半の女性で

罹患率が高い

 40歳未満の女性のがんで

は、乳がんに次いで2番目

に多い

 ヒトパピローマウイルス

（HPV）と関連している

罹患(2013年) 資料：独立行政法人国立がん研究センター がん対策情報センター 死亡(2016年)

• 2

価(16型と18型)・4価(6型、11型、16型、18型)の不活化ワクチン

（米国では9価（6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、

58型)が承認されている）

• 2010年11月から子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業で接種

• 2013年4月から小学校

6年生～高校1年生相当年齢で3回定期接種

• 有効性

– 血清抗体価上昇97.5%、HPV16・18型の感染予防94.4% – HPV16・18型による前がん病変、上皮内がんの予防90%以上 – 長期的な効果に関しては、子宮頸がんサーベイランスが重要 – 日本では16型に次いで52型と58型が多い（欧米諸国との違い）

• 安全性

– 2013年6月14日に厚生労働省｢積極的な勧奨の差し控え｣の通知

HPVワクチン

細胞診による検診結果からの検討：対象者 20-29歳女性 22,743人

50

日本におけるHPVワクチンの有効性に関する報告

Konno R et al.

Effectiveness of HPV vaccination against high grade cervical lesions in Japan. Vaccine. 2018. doi: 10.1016/j.vaccine.2018.05.048.

未接種者

接種者

＜子宮頸部高度悪性病変(HSIL) 検出頻度の接種者/未接種者間の比較＞

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 52

0.000 10.000 20.000 30.000 40.000 50.000 60.000 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 2006/07 2007/08 2008/09 2009/10 2010/11 2011/12 2012/13 2013/14 2014/15 2015/16 2016/17 2017/18

インフルエンザの流行曲線

2006～2017年第19週（5月7～13日）まで

疫学週

2009年以外は1月末～3月上旬にピーク

47週 17週 定点当たり1以上が23週間

定

点

当

た

り

報

告

数

2017/18シーズンのピークは2018年第5週

インフルエンザ入院サーベイランス

3シーズンの状況（2018年第17週現在）

出典：今冬のインフルエンザ（2017/18シーズン：国立感染症研究所ホームページより） 54

週別・年齢群別報告症例数 (2015年第36週～2018年第17週)

15～59歳：ピークレベルは

3シーズンで大きく変わらない

が最も高い

60歳以上：ピークレベルは

3シーズンで最も高く、急峻

0～14歳：ピークレベルは

2015/16シーズンに次ぐ

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 3640444852 3 7 1115192327313539434751 3 7 1115192327313539434751 3 7 1115 2015 2016 2017 2018 入院報告数（人） 週 0～14歳 15～59歳 60～歳

インフルエンザ関連死亡迅速把握システムによる

2017/18シーズン21大都市インフルエンザ・

肺炎死亡報告（2018年6月1日現在）

左：全国（21大都市合計）

上左：東京（超過死亡の週複数あり）、上右：福岡 https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/2112-idsc/jinsoku/1847-flu-jinsoku-2.html

2017/18シーズンのインフルエンザ：病原体サーベイランスの状況

56 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数 （2015/16～2017/18シーズン）

2017/18シーズン（一番右↑）:

AH1pdm09亜型24％、

AH3亜型30％、

B型46％で最多

（2004/05シーズン以来）

インフルエンザウイルス分離・検出報告数の割合 （2014/15～2017/18シーズン）

野生水鳥（水禽類）が 鳥インフルエンザウイルス を腸内に保有 ①鳥同士の 接触感染、糞 等を介した感 染 ②接触などに より、まれに 人に感染 ②接触などに より、まれに 人に感染 ③変異して、人から人への感 染力を持つ新型に ③2種類のウイルスの再集合で 人から人に強い感染力を持つ 新型に ④新型ウイルスの出現による 人での爆発的艦船のおそれ 鳥インフルエンザウイルス 人のインフルエンザウイルス 新型インフルエンザウイルス 厚生労働省HPより

鳥インフルエンザと新型インフルエンザの関係

鳥インフルエンザA(H7N9)：2013年3月以降

2018年3月2日時点（診断確定1,567人, うち死亡615人）

1)

58 厚生労働省HP：https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000163011.pdf

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹

水痘小児科定点報告

報告数と年齢分布の変化

2000年第1週～2017年第52週 水痘ワクチン定期接種化後 報告数全体が大きく減少 2000-2011平均⇒2017年 -77％ 5歳未満の報告数が著明に減少 全体に占める割合も減少 2017年 39％ 5-9歳群の報告数も減少 割合は相対的に増加 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 年 <1y 1–4y 5–9y 10–19y ≥20y 小 児 科 定 点 あ た り 年 間 報 告 数 （ 人 ） 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1-4y 5-9y 10-19y ≥20y 年 齢 群 別 割 合 10-19歳群の報告数は微増 2014年10月 定期接種化 2012年4月 日本小児科学会 1-2歳に2回接種推奨 60 2014年10月～ 定期接種対象 ：1-2歳・2回 (2014年度は接種歴がない3-4歳 にも1回接種機会あり） 19.0 2000-2011年平均 81.4

16 13 11 12 33 32 33 22 11 36 24 30 10 37 28 30 51 156 173 171 22 45 49 46 0% 20% 40% 60% 80% 100% 割合（%） 0y 1-4y 5-9y 10-19y 20-59y ≥60y (n = 143) (n = 319) (n = 318) (n = 311) 2014 (38-52w 15週間) 2015 2016 2017 <水痘入院例 報告数と年齢分布> 年

水痘入院例全数報告

2014年第38週～2017年第52週（n＝1,091） 感染症発生動向調査より

0歳, 1-4歳群の報告数・割合減少

成人が報告の70%

を占めた:2017年 ⇒ 年長児、成人の動向に注視し、 増加の傾向があれば、速やかに対策が必要 0 5 10 15 20 25 水痘 風疹 麻疹 流行性耳下腺炎 2016年 総務省統計局 人口動態統計より

人口動態統計

に見る

死亡数の推移

水痘が 近年下記4疾患の中で

は死亡原因として最多

• 50歳以上で発症率上昇

62

帯状疱疹：

水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化による病態

80歳までに3人に1人が発症すると推定されている（ファクトシートより）

• 水痘流行の減少に伴い、自然感染のブースター効果の減少により帯状疱疹患

者増加

• 帯状疱疹は水痘の重要な感染源となりうる

⇒ 帯状疱疹予防も重要

発症率（ / 1 ,0 0 0 人年） 1 0 3 2 5 4 7 6 9 8 IASR 水痘・帯状疱疹 特集関連記事 (外山 望、白木公康：宮崎県の帯状疱疹の疫学(宮崎スタディ) 34：298-300, 2013.) 図一部改変

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 64

ー 主症状 唾液腺（耳下腺,顎下腺,舌下腺）の腫れ、圧痛・発熱 ー 合併症 感音性難聴 （0.1～0.25％） 無菌性髄膜炎 （1～10％） 脳炎 （0.02～0.3％） 精巣炎 （思春期以降20～40%)、卵巣炎（5%） ー 不顕性感染 約30％ 乳児に多い 感染の拡大に寄与

流行性耳下腺炎（おたふくかぜ）

感染症発生動向調査より

小児科定点あたり報告数 週別推移

2007年第1週～2018年第

26

週

：おたふくかぜワクチンファクトシート IASR 特集 流行性耳下腺炎（Vol. 37：2016年10月号） 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 66 IASR 特集 流行性耳下腺炎 (Vol. 37 ：2016年10月号) 図一部改変

流行性耳下腺炎 小児科定点あたり報告数の推移

（1982年～2018年第26週）

約4～6年周期で増減を反復

人/週 2005年 推定罹患者 135.5万人 （95％CI：127.2～144.0万人） 2007年 推定罹患者 43.1万人 （95%CI：35.5～50.8万人） 2017 2018

4.3 4.3 3.0 3.1 8.6 8.4 5.8 5.5 13.6 13.5 10.2 10.0 18.2 17.1 14.1 14.5 18.0 16.4 15.8 16.5 12.7 12.7 13.5 13.2 8.0 8.8 10.6 9.8 5.0 6.2 8.4 8.4 3.1 3.8 6.0 6.3 5.4 6.2 10.0 10.3 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 (上半期) 0歳 1-2歳 3-4歳 5歳 6歳 7歳 8歳 9歳 10～14歳 15～19歳 20歳以上 報告総数(人） 定点当たり総数 1999 69,070 24.02 2000 132,877 44.62 2001 254,711 84.37 2002 180,827 59.56 2003 84,734 27.86 2004 127,592 42.26 2005 187,837 61.28 2006 200,639 66.57 2007 67,803 22.51 2008 65,361 21.66 2009 104,568 34.6 2010 179,669 59.34 2011 137,110 43.76 2012 71,547 22.76 2013 41,016 13.05 2014 46,342 14.74 2015 81,046 25.76 2016 158,996 50.38 2017 77,884 2018上半期 12,841

流行性耳下腺炎 小児科定点報告

年別・年齢群別分布

（1999年～2018年第

26

週）

3-6歳に多く、小児科定点報告の54-63％

日本小児科学会 おたふくかぜワクチン推奨年齢 1歳, 5-6歳 (2回・任意)

感染症発生動向調査より 1999年～2018年第26週（**上半期） 2018年7月20日現在 ** 年 年齢群別割合

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 68

 男性1,885例, 女性516例で,

男女比（男/女）は3.7

 各年の男女比は3倍以上

（2006年のみ2.5）

感染症発生動向調査（2018年8月2日現在）より

2006年4月～2017年12月に報告された2,401例のまとめ

 男性では20代と30代にピーク、

女性では20代にピーク

 10歳未満の小児や70歳以上の

高齢者の報告は少なかった

報 告 数 （ 人 ） 0 50 100 150 200 250 300 急性B型肝炎患者の年別性別発生状況 男 女 0 100 200 300 400 500 600 急性B型肝炎患者の性別年齢別発生状況 男 女

B型肝炎ワクチンの定期接種化

（2016年10月1日より）

70

予防接種対象者：

1歳に至るまでの間にある者

（ただ

し, 平成28年4月1日以後に生まれた者に限る）。

標準的な接種期間としては, 生後2月に至った時から

生後9月に至るまでの期間とし, 27日以上の間隔をお

いて2回接種した後, 第1回目の注射から139日以上

の間隔をおいて1回接種することとなっている。

IASR Vol. 37 p. 156-157: 2016年8月号

71

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 72

感染性胃腸炎（病原体がロタウイルスであるものに限る）

感染症発生動向調査 週報（IDWR）2018年第35週現在

「感染性胃腸炎（病原体がロタウイルスであるものに限る。）」は定点報告対象（5類感染症）であり、 指定届出機関（全国約500カ所の基幹定点医療機関※）は週毎に保健所に届け出なければならな い。(2013年10月14日より) ※300人以上収容する施設を有する病院であって内科及び外科を標榜する病院（小児科医療と内科医療を提供しているもの）

定

点

あ

た

り

報

告

数

（週）

週別ロタウイルスの検出報告数(2013－18年)と

検出されたロタウイルスの内訳(2017/18シーズン)：

病原微生物検出情報（IASR)より

74

2011年1月～2018年5月に外房こどもクリニックで診断したRV胃腸炎症例

数とRVワクチン接種歴、夷隅地区推定RVワクチン接種率

いすみ市内 全額公費助成開始 RV1 発売開始 RV5 発売開始 症 例 数( 例 ） 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 ワクチン接種 未接種 ワクチン接種率 夷 隅 地 区 推 定 ワ ク チ ン 接 種 率_(% ) 2013年以降各年のいすみ市推定接種率 =（1回以上ワクチン接種人数） ÷（10月1日現在の0歳人口）≧100% 日本医療研究開発機構研究費 感染症実用化研究事業新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業. 平成28-30年度「ワクチンの実地使用下にお ける有効性・安全性及びその投与方法に関する基礎的・臨床的研究（研究代表者:国立病院機構三重病院 菅 秀先生）」研究班会議プレゼンより

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 76

2012年第1週から2018年第24週までの感染症発生動

向調査におけるA型肝炎の報告状況（2018年6月22日現在）

2014年春季（IASR.Vol36 p.3:2015年1月号） • 60％以上が同一の株→汚染された食材などが全国規模で流通し、流行を発生させたものか 2018年 • 経口感染の割合（38%）が過去の報告（74%）と比較して低く、性的接触（53%）が過去の報 告（4%）と比較して高い。特に、男性における性的接触の割合が（58%）で、過去の報告（5%） と比較して高かった。 • 「肝性脳症および/または意識障害」2例（0.5%）。過去3年間で2例（0.3%）。 https://www.niid.go.jp/niid/ja/hepatitis-a-m/hepatitis-a-idwrs/8185-hepa-180622.html n = 1,935 n=417 78

A型肝炎ウイルス分離・検出報告数（2018年7月26日現在）

2014～2018年

2014年と比較すると 関東周辺がめだつ 年齢群と男女の割合がこれまでと異 なる傾向 ・年齢中央値(四分位範囲） 2018年：37歳（29-46歳） 2015～17年：44歳（31-59歳）

A型肝炎抗体保有状況の推移、1973～2003年

（Kiohara T, et al., Microbiol Immuniol 51:185-191,2007)

70代以下の多く、特

に60代以下の世代

は抗体を保有してい

ないと考えられる

15年

A型肝炎ウイルス感染のある国や地域

（WHO,2012)

途上国だけではなく、先進国でも流行があり

うる→渡航の際にはワクチン接種の検討を。

EU加盟国におけるA型肝炎男女別報告数・男女比 2013年１月-2018年３月（ECDC.３月１９日現在1_） 冷凍いちごによるA型肝炎広域流行(13か国） 2013年１月-2014年6月2 1.https://ecdc.europa.eu/en/news-events/epidemiological-update-hepatitis-outbreak-eueea-mostly-affecting-men-who-have-sex-men-1 80

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹

狂犬病の発生状況：日本

1947年3月 伝染病予防法に基づく

届出開始

1949年の７４例が最多

1951年以降急激に減少

1956年 人と犬

1957年の猫を最後に狂犬病撲滅

1970年 ネパールからの帰国者

2006年 フィリピンでの感染2例

82

狂犬病ワクチンの接種方法

日本 WHO * (2018年4月） 曝露前免疫(PrEP) 皮下注射2回+6～12か月後に1回○4週間隔で計3回 追加 ○1週間隔で2回、2か所の皮内注射§ ○1週間隔で2回、1か所の筋肉注射# (§皮内注射0.1ml、#筋肉注射はメーカーにより0.5mlまたは1.0ml） 曝露後免疫(PEP) ○計6回の皮下注射 Day 0、3、7、14、30、90 PrEP あり or PEP 2回以上済 皮内注射 筋肉注射 ○1か所に2回（Day0、3） ○4か所に1回（Day0) ○1か所に2回（Day0、3） PrEPなし or PEPなし ○2か所に3回 （Day0、3、7） ○1か所に4回 （Day0、3、7、14～28の間) ○計3回:2か所に1回（Day0） +1か所に2回（Day7、21） • WHOは、狂犬病ウイルスへの曝露のリスクを3段階に分類しており、その段階に応じた曝露後免疫の 推奨をしている。 *WHO, WER 93（16）: 201-220, 2018 84

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹

ワクチン：生ワクチン 生後9ヵ月から

免疫獲得：接種後10日以内 80-100%

世界

死亡者

2.9~6万人

/年 罹患者

8.4~17万人

/年

蚊媒介

急性ウイルス出血性疾患 ＝

旅行者もリスクあり

症状 潜伏期 3-6日間 急性期 3-4日間 発熱、筋肉痛、頭痛、悪寒、嘔気、嘔吐 →15％が中毒期へ 上腹部痛、黄疸、出血症状 致命率 20-50％

黄熱 Yellow fever

黄熱予防接種の国際証明書(“イエローカード”) を携帯していない と入国ができない国あり（詳細は以下参照） 厚生労働省検疫所FORTHページ https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html#world_list (2013年) 86

2016年7月11日から接種証明書（イエローカード）

の有効期間が10年から生涯有効へと変更

＊黄熱ワクチンは検疫所及び検疫所から委託を受けた 医療機関でのみ接種可能 （https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html#list）

アフリカ

黄熱予防接種の推奨地域

エクアドル

南アメリカで黄熱が報告された国（2016年～2018年）

ボリビア ペルー コロンビア スリナム

ブラジル

（2017 年 7 月 1 日- 2018 年 4 月 24 日） 確定例 1218例 （死亡例 364例） 88 フランス領ギアナ

黄熱予防接種の推奨地域 ブラジルでの黄熱リスク地域の拡大

2013年

2018年

南アメリカ

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 90

急性脳炎（脳症を含む）の病原体別診断週別報告数の推移

(2009年第1週～2018年第28週）

(週) 91

患

者

報

告

数

(

人

）

感染症発生動向調査（2018年07月30日現在）より A(H1N1)pdm 09による報告の 増加 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 1 152943 4 183246 8 223650122640 2 163044 6 20344810243852132741 3 173145 7 21 インフルエンザウイルス HHV6/HHV7 HSV1/HSV2 ロタウイルス その他 原因不明 2015/16シーズン インフルエンザ脳症 の報告が多かった 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年

急性脳炎（脳症を含む）の年齢群別原因病原体別内訳

（2009年1週-2018年29週 感染症発生動向調査より）

92 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 0-4歳(n=2295) 5-19歳(n=1395) 20-59歳(n=463) 60歳以上(n=457) インフルエンザ ヘルペス科ウイルス ロタウイルス アデノウイルス ヒトパレコウイルス RSウイルス エンテロウイルス属 マイコプラズマ ムンプスウイルス その他 病原体不明

HHV6

_{、HSV1 ロタウイルス}

HSV1

年齢 死 亡 数 致 命 率 （ ％ ） 0 2 4 6 8 10 12 14 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 死亡数 致命率 3.6 _3.3 2.6 3.0 2.5 5.8 8.0 6.4 3.1 7.6 12

急性脳炎/脳症の死亡例の年齢分布と致命率

2009年1週-2018年29週 感染症発生動向調査における累積報告数

N=186

94

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – Hib、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎 – 麻疹 – 風疹 94

沖縄県における麻疹の集団発生

タイ渡航歴

のある台湾在住

30代男性

沖縄への

観光客

麻疹発生状況、2018年第1-37週

96

麻疹発生状況、

2018年第1-37週

麻疹発生状況、2018年第1-37週

小児、特に10代の抗体保有率は大きく改善！

第2，3，4期の効果 100

各論

以下の疾患について、順番に現状をお話します。

– 結核 – 百日咳 – ジフテリア – 破傷風 – インフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌による侵襲性感染症 – ポリオ – 日本脳炎 – ヒトパピローマウイルス感染症 – インフルエンザ – 水痘・帯状疱疹 – 流行性耳下腺炎 – B型肝炎 – ロタウイルス感染症 – A型肝炎 – 狂犬病 – 黄熱 – 急性脳炎

風疹・先天性風疹症候群患者報告数の推移

2008年第1週～2018年第37週(感染症発生動向調査より作図）

風

疹

患

者

報

告

数

(

人

₎

先

天

性

風

疹

症

候

群

患

者

報

告

数

(

人

₎

2012-2013年 45人のCRSの診断時点の 症状・所見 三主徴 難聴：67％ 先天性心疾患：58％ 白内障：16％

風疹発生状況、2018年第1-37週

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風疹発生状況、2018年第1-37週

風疹発生状況、2018年第1-37週

1962-1978年度生まれの男性に

感受性者の蓄積：10年間全く変わっていない・・・

抗体検査事業だけでは、 成人男性の抗体陰性者は 減っていかない！ ワクチンによる免疫獲得 がなければ 再び同じ流行を繰り返す ことが危惧される！ 男性では30代後半～50代前半で80％前後の抗体保有率で、同年代女性と比較して明らかに低い。1962～1978年度生まれの男性 （調査時39～55歳）の抗体保有率は, 2008～2017年度の10年間で約80％と変化が無く, 多くの感受性者が残されている。

ご清聴

ありがとうございました

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