5 基礎的・先導的シーズ研究に関する研究分野の研究
基礎的・先導的シーズ研究に関する研究分野に分類した研究課題は、以下の 53 件です。次ページ以 降に、継続研究については平成 16 年度の研究成果を、終了研究については研究期間中の全研究成果を 記載した研究成果報告を掲載します。 No. 研究計 画 No. 研究テーマ名 区分 研究 分類 研究 期間 基礎的・先導的シーズ研究に関する研究分野の研究 基礎的・先導的研究 58 431 使用済燃料の中間貯蔵システムにおける放射線遮蔽に関する研究 原試費 萌芽 13-17 59 531 混相流の多重スケール高精度解析 科振費 基盤 13-16 60 865 摩擦面微細構造分析によるセラミックスの微視的摩耗機構の解明 科研費 基盤 16-17 61 953 船舶用低合金鋼の特性評価への高度分析技術の応用 指定研 基盤 15-16No. 研究計 画 No. 研究テーマ名 区分 研究 分類 研究 期間 一般研究 62 F31 経年船体の強度評価に関する基礎的研究 一般研 基盤 13-16 63 H32 構造材料におけるミクロ破壊に関する研究 一般研 開発 13-16 64 AA46 船舶の転覆海難防止等に関する調査研究 一般研 開発 14-16 65 AA48 大規模システム評価技術の高度化に関する研究 一般研 基盤 14-16 66 AA4B 船体構造空間にわたる波浪荷重および構造応答の研究 一般研 萌芽 14-16 67 AA4C 高速船の設計技術の高度化に関する研究 一般研 萌芽 14-16 68 AA59 小型軽水炉の海上利用に関する研究 一般研 萌芽 15-17 69 AA62 鋼材の延性破壊発生・成長のメカニズム解明に関する研究 一般研 基盤 16-18 70 AA63 ガスハイドレートの分解に関する実験的研究 一般研 萌芽 16-16 71 AA64 船舶の避難・救命・捜索及び火災安全等国際基準に関する調査研究 一般研 開発 16-17 72 AA67 船舶の実海域性能評価システムの研究 一般研 開発 16-16 73 AA68 保船技術の高度化に関する調査研究 一般研 萌芽 16-19 74 D31 水槽環境を考慮した水槽試験法の研究 一般研 基盤 13-17 75 AB46 操船支援システムのユーザインタフェースに関する基礎的研究 一般研 基盤 14-16 76 AB48 船体強度解析の高度化に関する研究 一般研 基盤 14-17 77 AA49 操縦性能に係わる安全基準および推定手法高度化に関する研究 一般研 萌芽 14-16 78 AD44 舶用機関の信頼性向上及び検査の合理化に関する研究 一般研 萌芽 14-16 79 AB56 推進性能向上のための数値計算ツールに関する基盤的研究 一般研 基盤 15-18 80 AB57 構造劣化の非破壊評価法の研究 一般研 基盤 15-17 81 AB63 構造材料の超高サイクル疲労に関する研究 一般研 基盤 16-20 82 AB64 材料の損傷評価と微細組織制御による船舶用新材料開発に関する研究 一般研 基盤 16-18 83 AB65 最短時間着桟操船支援システムに関する研究 一般研 基盤 16-17 84 AC45 成層海洋中の非一様流れと波動場の相互干渉についての基礎的研究 一般研 基盤 14-16 85 AC47 海洋資源利用に関する調査研究 一般研 基盤 14-16 86 AC54 天然ガス FPSO のオフローディングと耐爆構造評価に関する研究 一般研 萌芽 15-17 87 AC55 海洋構造物の電気防食がチタンクラッド鋼の水素吸収に及ぼす影響調査 一般研 萌芽 15-17 88 AC56 深海モニター用小型ロボットシステムに関する研究 一般研 萌芽 15-16 89 AC57 南極用輸送船に関する研究 一般研 萌芽 15-16 90 AC63 大型浮体ユニット用機械継手の開発 一般研 萌芽 16-16 91 G31 次世代舶用ガスタービンの低環境負荷燃焼器に関する基礎的研究 一般研 萌芽 13-16 92 G32 舶用機関からのNOx、PMの同時低減の研究 一般研 開発 13-16 93 AD45 舶用環境機器基準への技術的対応に関する研究 一般研 萌芽 14-16 94 AD55 スターリングエンジン及び魚ロボットの用途開発に関する研究 一般研 基盤 15-17 95 AD56 衛星リモートセンシングによる海洋情報の処理技術に関する研究 一般研 萌芽 15-17 96 AD57 海洋汚染防止に関する調査研究 一般研 萌芽 15-16 97 AA5A 軽構造船体用材料の強度データ収集に関する研究 一般研 萌芽 15-17 98 AB58 造船技能と品質に関する基礎研究 一般研 萌芽 15-17 99 AA56 磁気特性を用いた鋼材の疲労損傷度検査手法に関する研究 一般研 萌芽 15-16 100 AD64 船舶起源の化学物質の計測と挙動に関する研究 一般研 基盤 16-18 101 AD65 沈船の油回収のためのサルベージ技術に関する研究 一般研 萌芽 16-18 102 AE41 高機能複合材を用いた小型船体の簡便成形技術に関する基礎的研究 一般研 開発 15-17 103 AE51 船舶内配管系の流体抵抗評価に関する研究 一般研 開発 15-17 104 AE52 繰返し波浪荷重が作用する舶用複合材の材料特性評価に関する研究 一般研 基盤 15-17 105 AE62 間伐材を利用した新建造方式木造船の開発に関する基礎的研究 一般研 開発 16-17 106 AE63 先駆的船内外ぎ装の研究 一般研 萌芽 16-18 107 AF62 複雑流場の数値解析のための数理モデリングの研究 一般研 萌芽 16-17 108 AF63 CFD コードの操作性向上の研究 一般研 開発 16-16 109 AH61 物流解析技術のニーズ調査と普及に関する研究 一般研 基盤 16-17 110 U61 新世代船体構造基準に関する研究 一般研 萌芽 16-16
課 題 名
使用済燃料の中間貯蔵システムにおける放射線遮蔽に関する
研究(萌芽)
(13-17(5)) 研究主任者 小田野 直光(海上安全研究領域 原子力安全技術研究グループ長) 研究担当者 大西 世紀、近内 亜紀子、 澤田 健一 予算費目 受託研究費 (原子力試験研究費;文部科学省)ニーズ
原子力発電所内の使用済燃料貯蔵プールの保管能力は限界に近い状態に達しつつあり、また、プル サーマル計画の遅延が避けられない状況の中で、使用済燃料の中間貯蔵の重要性が一層高まってい る。中間貯蔵施設敷地境界で許容される放射線量は50μSvと極めて低く、放射線量の低減方法は非常 に重要である。研究目標
ストリーミング経路を解明するための実験を行い、ストリーミング経路を特定し、スカイシャイン低 減のための方策を決定する。また、ストリーミング体系における遮蔽計算手法の検証もあわせて実施す る。中間貯蔵施設の放射線遮蔽評価のための分割結合計算法やその他合理的な遮蔽計算法について検討 し、大規模体系に対する計算手法の確立を目指す。研究経過
(活動概要) ・ MCNPXを導入し仮想的な検出器として格子状検出器を用いた計算を実施 ・ モンテカルロ計算で推定したストリーミング経路に対し、適切な補償遮蔽を設計した ・ 多層遮蔽体でのストリーミング中性子に対するモンテカルロ計算の精度を実験で確認した研究成果
成果 ・ MCNPX コードで格子状検出器を用いてストリーミング経路を推定し、そのストリーミング経路に対 する補償遮蔽を適用することによって敷地境界(建屋中心から 100m)地点での中性子線量を 50%程度 削減することができた。 ・ 中性子反応率が空間的に著しく変化するような、ストリーミングダクト付多層遮蔽体においてもモ ンテカルロ計算は非常に良い精度(20%以内)で実験と一致することを確認した。 活用方策と課題 格子状検出器と補償遮蔽を用いたストリーミング低減手法は遮蔽施設の設計においてそのまま適用さ れることが期待される。単一建屋の遮蔽能力だけではなく、複数建屋による相互遮蔽効果を考慮した、 施設全体での敷地境界線量の推定法の開発が課題である。参考図・写真等
補償遮蔽設置前(右図)と設置後(左図)の敷地内中性子フラックス分布 (常用対数プロット、単位:cm-2/source中性子)図内左端が遮蔽庫中心、右端が 50m地点に対応課 題 名
混相流の多重スケール高精度解析(基盤)
(13-16(4)) 研究主任者 杉山 和靖 (知的乱流制御研究センター) 研究担当者 児玉 良明、牧野 雅彦、杉山 和靖、川島 久宜、上田 隆康(以上、海技研)、 菱田 公一(慶応大)、松本 洋一郎、高木 周(以上、東大)、亀田 正治(農工大) 予算費目 受託研究費 (科学技術振興調整費−若手任期付研究員支援制度;文部科学省)ニーズ
混相流には、粒子や気泡が単独あるいは群として周囲流体に作用し、系に多重スケールが存在すると いう特徴がある。混相流現象の本質に関わるスケール間の干渉機構が反映された数値予測手法の開発に よって、エネルギー効率化技術、環境、海洋科学などの問題への貢献が期待される。研究目標
気泡噴流の水中溶解や燃料噴霧流の蒸発など、拡散現象を伴う混相流を対象とした実験や数値シミュ レーションを行い、詳細な流れ場のデータを取得する。そして、混相流現象の本質に関わるスケール間 の干渉を正確に表現し、広範囲の実用解析が可能な計算アルゴリズムを開発することを目標とする。研究経過
(活動概要) ・干渉画像法を用いた気泡噴流の溶解挙動の計測 ・多重スケール高精度解析モデルの構築 ・水質浄化用気泡プルームの数値シミュレーション研究成果
成果 ・気泡噴流中のガス溶解速度を 1kHz の高時間解像度で計測し、気泡周囲の乱流の影響を考慮した物質 移動速度の相関式を導出した。本計算から、乱流影響によりガスの溶解が促進されることを示した。 ・気泡周囲の流れ場、物質濃度場を数値シミュレートし、物質移動における気泡間の相互干渉の相関式 を導出した。本アルゴリズムにより濃度境界層に対する気泡間影響を明らかにした。 ・気泡プルーム中の物質挙動に対する気泡流動構造の影響を調査した。 活用方策と課題 ・熱機関における燃料噴霧の熱効率、オゾン浄化システムにおける殺菌性能の向上、二酸化炭素の海洋 拡散の評価などへの活用が期待できる参考図・写真等
図3 気泡プルームの構造と溶解オゾン濃度 図2 2 気泡周りの物質移動 τ2 Bubble θ CMOS camera Non focal plane課 題 名
摩擦面微細構造分析によるセラミックスの微視的摩耗機構の
解明(基盤)
(16-17(2)) 研究主任者 千田 哲也 (研究統括主幹) 研究担当者 千田 哲也、村上 健児、川越 陽一、足立 幸志 予算費目 受託研究費(科学研究費補助金;文部科学省、日本学術振興会)ニーズ
セラミックスは高硬度であることから耐摩耗性材料として期待されており、また実際に耐摩耗部 材への応用事例も多くなってきた。なかでもアルミナは比較的安価で加工も容易なセラミックスで あるが、耐摩耗性では、無潤滑下の同種材料の摺動において比摩耗量が10-6mm3/(Nm)以下になると いう特筆すべき性質を示すことがある。これは、他のセラミックスにもみられない際だった特徴で あり、この性質が発現する条件を明らかにされれば、用途の拡大や信頼性の向上をはかることがで きる。研究目標
アルミナセラミックスについて、マイルド摩耗(摩耗がきわめて低い状態)とシビア摩耗(摩耗 粉を多量に発生させる摩耗)の微細構造の違いを明らかにし、マイルド摩耗からシビア摩耗への遷 移メカニズムを解明することを目標とする。また、アルミナの微細構造と摩耗挙動の関係から、耐 摩耗性向上のための微細構造制御の可能性を示す。研究経過
(活動概要) 典型的なマイルド摩耗状態の摩擦面とシビア摩耗状態の摩擦面について、走査電子顕微鏡(SEM) 及び透過電子顕微鏡(TEM)観察を行い、その微細構造の変化について詳細に調べた。いずれも表 面近傍は層状構造となっており、1 結晶粒程度の厚さの塑性変形層がみられた。マイルド摩耗状態 では、最表面に潤滑機能を示すと推定されるアモルファス状の物質が観察された。 アルミナの板とボールを用いて、荷重、温度等を変化させた摩耗試験を実施し、マイルド状態の 発現領域を調べた(3月実施)。研究成果
成果 ・系統的な摩耗試験により、マイルド摩耗の発現条件として荷重と試験温度が関わることを明らか にした。 ・摩擦面の観察・分析により、マイルド摩耗発現時の微細構造を明らかにし、表面に潤滑機能を有 すると推定される物質層が形成されることを明らかにした。 活用方策と課題 セラミックスの摩耗現象に関する基礎的な知見を与える。また、摩耗面で特異的に起きる現象で あるが、その知見がセラミックスの材料科学への寄与も大きい。参考図・写真等
アルミナの室温におけるマイルド摩耗(比摩耗量 が 10-6mm3/Nm以下)における摩擦面近傍のTEM(透 過電子顕微鏡)写真である。最表層(写真の下側C) の部分がアモルファス状、Bに転位がみられる。C は潤滑に寄与し、Bはシビア摩耗への移行に関係す ると考えられる。右側の 3 つの写真は、A, B, Cの 位置での電子線回折写真で、それぞれ健全なアルミ ナ組織、歪んだ組織、アモルファス状組織を表す。 C B A 1 µm A B C (wear surface) C C B B A A 1 µm A B C (wear surface) 1 µm A B C (wear surface)課 題 名
船舶用低合金鋼の特性評価への高度分析技術の応用(基盤)
(15-16(2)) 研究主任者 高橋 千織 (輸送高度化研究領域 新材料利用研究グループ) 研究担当者 村上 健児、高井 元弘、秋山 繁、古谷 典亍 予算費目 指定研究 (運営費交付金;国土交通省)ニーズ
材料特性はその化学組成や生産工程において加えられた加工や熱処理の履歴によって決まる組 織に依存することから、材料特性の発現メカニズムを明らかにすることで最適な組織制御のための 製造条件が提案できると考えられる。本研究では船舶用大型鍛工品に用いられる低合金鋼の各種添 加元素のうち、特に強度や靱性に寄与していると考えられる元素の働きとその影響を明らかにする ことで、舶用材料の材料設計に有用なデータを提供し、現行材の強度特性向上をめざす。これによ り、材料の信頼性向上や機関周りの省スペース化などが期待される。学術的意義だけでなく、経済 的な面からも材料メーカー、ユーザーの双方にとって有益であり、産業競争力の強化につながる。研究目標
実用の船舶用低合金鋼における基礎データの取得と添加元素の組織及び強度への影響を解明す る。これらの結果を材料設計へフィードバックすることによって、現行材の強度特性を 10%程度向 上させ、高強度材の開発指針の提供をめざす。研究経過
(活動概要) Ni+Cr、Al、N、Vなどをメインに合金成分を変えた低合金鋼を20種類用意し、それらの機械試験 の結果について検討した。1年目の成果をふまえ、当初期待された固溶N添加による強化では目標 とした強度値(引張強さ1050MPa以上、衝撃値50J以上。)を達成するのは難しいと判断された。こ のためH16年度後半に研究計画の変更を行い、Ni,Cr,V等添加元素の強度、靱性への影響を検討する こととした。研究成果
成果 合金成分を変えた低合金鋼の機械的性質を比較検討した結果、N添加量により強度が変化する合 金グループⅠと変化しない合金グループⅡがあった。高強度化の目標強度値はグループⅡの合金系 で達成できた。本実験範囲では1.6Crの時に、1.6Ni近傍で規格化靱性値が最大を示し、引張強度11 10MPa、衝撃値80Jが得られることがわかった。これに対し、3Crでは全体に高い値が安定して得られ、 Ni量の増加に伴って特性は改善したものの、その影響は1.6Crの時に比べて小さい。また、0.2Crで は結晶粒は他に比べ粗大等軸粒となり、靱性が著しく低下した。旧γ粒内の下部組織は0.2Niでは等 軸粒の割合が高いのに対し、Ni量の増加に伴って針状粒が支配的となっていく。このことから、Ni 添加による特性改善は旧γ粒径とその下部針状組織のバランスに起因すると考えられた。その他、V の強度特性向上への効果が大きいことなどが確認された。 活用方策と課題 メカニズム解明については十分な検討を終わらせられなかったが、今年中には論文としてまとめる 予定である。Ni、Cr量の組織と強度への影響および最適値を明らかにしたい。参考図・写真等
①0.2Ni-1.6Cr ②1.6Ni-1.6Cr ③3Ni-1.6Cr
0 20 40 60 80 100 120 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 Ni content / mass% N or m a liz ed v E a t T .S .=1000M P a Cr 3% Cr 1.6% Cr 0.2% ② ③ ① グループⅠ グループⅡ
課 題 名
経年船体の強度評価に関する基礎的研究(基盤)
(13-16(4)) 研究主任者 丹羽 敏男 (海上安全研究領域 材料信頼性研究グループ) 研究担当者 吉成 仁志、田中 義久 予算費目 一般研究 (運営費交付金;国土交通省)ニーズ
タンカーの船体破損による油流出事故に伴う地球環境破壊問題、近年の老齢バルクキャリアの沈没他 相次ぐ重大事故など、海上輸送に対する安全性、信頼性の要求が高まってきている。そのため、船体構 造材料の腐食挙動および腐食疲労寿命の推定、腐食衰耗や疲労を考慮した経年船の船体構造健全性評価 のための基礎資料が、設計・建造・検査等のそれぞれの立場から要求されている。研究目標
船体用鋼板の海水ならびに原油タンク環境下の腐食挙動を解明するとともに、腐食疲労特性を把握し、 経年船体の検査強化や保守管理への船体構造健全性評価技術を構築・体系化するための基礎資料を得る。研究経過
(活動概要) 大気ならびに海水環境下においては、船体用鋼板を供試材とした疲労試験ならびに疲労き裂伝播試験 を実施した。原油タンク環境下においては、KA32材を供試材とし、上甲板裏を模擬した腐食試験、疲労 試験ならびにタンク底板の孔食再現試験を実施し、また、オイルコート皮膜の防食性について調査した。研究成果
成果 疲労試験に関しては、①大気中では、強度レベルの高いKA40材の方がKA32材より疲労寿命が長寿命と なること、切欠感受性はKA32材より著しくないこと、②海水環境中では、大気中に比べて疲労強度が低 下し、応力集中係数が大きいほどKA40材とKA32材の疲労寿命の差は小さく、低応力振幅下では応力集中 係数に関係なく両者の間に有意差がほとんど認められないこと(下図参照)、③原油タンク環境下では、 海水環境下より疲労強度が低下することが明らかになった。疲労き裂伝播試験に関しては、大気よりも 海水環境下の方が、また、強度レベルの低いKA32材の方が、疲労き裂伝播速度が速い。原油タンク環境 下の腐食試験に関しては、魔法瓶効果が認められ、温度が上昇すると腐食速度が速くなる傾向にあった。 また、孔食再現試験では、原油温度30℃では再現できなかったが、40℃および50℃では再現できた。オ イルコートについては、皮膜生成再現試験を実施したものの、実際に見られるオイルコート皮膜は形成 されず、皮膜生成メカニズムの解明ならびに電気的特性を詳細に考察するまでには至らなかった。 活用方策と課題 腐食環境下における疲労強度は、造船設計にこの基礎データを提供したい。また、原油タンク環境下 の結果については、「油流出防止構造プロジェクト:ダブルハルタンカーの構造経年劣化」に資料を提 供し、IMO等に貢献した。鋼材の腐食速度の結果は、現在展開されている新世代船体構造基準(GBS)作 成時の鋼板の腐食予備厚決定の際の資料として提供したい。オイルコートの防食性については、今後、 実船調査等実施し、さらに詳細に検討したい。参考図・写真等
研究計画終了についての担当領域長等の意見
各種環境下における疲労試験、疲労亀裂伝播試験、腐食試験等を実施し貴重な基礎資料、知見が得られ 成果があがった。試験結果の一部はIMOの審議の場にも貢献している。今後、新世代船体構造基準作成等 に対応できるよう、この分野の研究を継続して実施することを望む。 1004 105 106 107 108 100 200 300 400 500 N o m in a l s tre s s ra n g e △ S (M Pa )Number of cycles to failure Nf (cycle) in seawater 1M
Cycling time 3M6M 1Y 2Y 5Y10Y20Y
Kt KA32 KA40 1.2 2.0 2.93 3.77 図 海水環境下の疲労破断寿命
課 題 名
構造材料におけるミクロ破壊に関する研究(開発)
(13-16(4)) 研究主任者 高橋 一比古 (海上安全研究領域 材料信頼性研究グループ) 研究担当者 牛嶋 通雄、高橋 千織、古谷 典亍 予算費目 一般研究 (運営費交付金;国土交通省)ニーズ
これまでは検査→マクロ損傷発見→補修・交換という図式が殆どであった経年型損傷の修復スキ ームに対し、ミクロ損傷の自動検知→損傷進行の自動抑制→マクロ損傷発生の遅延という新たなス キームを採り入れることにより、検査・補修/交換等にかかる手間とコストが削減される。また、 き裂検出ペーストやき裂検出用塗料の利用により、目視検査によるき裂発見が容易になる。研究目標
・ミクロ破壊の発生を材料自体が検知し、損傷進行抑制作用を自動的に発現することにより材料 の寿命を効果的に延長するようなメカニズムの提示と有効性の実証。 ・ミクロ破壊の発生時に材料が発色することで目視検査を容易にするような技術の提示と有効性 の実証。研究経過
(活動概要) ・アルミナペーストについては、鋼やアルミ合金の平板及び鋼溶接継手を用いてき裂進展試験を 行い、き裂進展の自動抑制効果と検出効果を検証した。また、腐食材への適用性や既存塗膜へ の重ね塗り性等についても調べ、実用化された場合のメリットについて考察した。 ・き裂検出用カプセル塗料については、鋼やアルミ合金の平板及び鋼溶接継手を用いてき裂進展 試験を行い、き裂検出効果を検証すると共に、既存塗膜への重ね塗り性や耐候性等、実用化を 念頭においた各種評価を行った。また、海上保安庁のアルミ高速船への試験施工を行った。研究成果
成果 ・鋼及びアルミ合金の平板試験片と鋼の溶接継手について、アルミナペーストの寿命延長・き裂 検出効果とき裂検出用カプセル塗料のき裂検出効果が確認された。 ・アルミナペーストをビニル系塗膜に重ね塗りした場合について、寿命延長・き裂検出効果が確 認された(下図参照)。 ・き裂検出用カプセル塗料の重ね塗り性や耐候性、高温環境下における発色特性を把握した。 ・き裂検出用カプセル塗料の実船施工を行い、経過観察中である。 ・論文掲載4件、解説記事掲載1件、論文投稿1件、国内特許出願3件、PCT国際特許出願2件。 活用方策と課題 ・アルミナペーストの寿命延長効果やき裂検出効果は顕著であり、施工が極めて容易な事から実 用化が期待される。適用対象の選定が今後の課題である。 ・き裂検出用カプセル塗料のアルミ高速船への施工はH17年度にも予定されており、実用化が期待 される。また、橋梁やプラント等、船舶以外の各種構造物にも適用可能である。参考図・写真等
研究計画終了についての担当領域長等の意見
アルミナペーストについては、特許庁の調査でも高い新規性と工業的有益性が認められており、将 来的な実用化が期待される。き裂検出用カプセル塗料については、各種の実証試験が現在進行中であ り、 近い将来の商品化および普及が期待できる。当初は基礎的な研究として開始したが、実用化に結び つく 可能性の大な種々の成果が得られた。 ビニル系白色塗膜にアルミナペーストを重ね塗りした 場合のき裂進展に伴う発色状況 試験片母材:アルミ合金 A5083P-O(板厚5mm) 試験片幅=70 mm課 題 名
船舶の転覆海難防止等に関する調査研究(開発)
(14-16(3)) 研究主任者 石田 茂資 (海上安全研究領域 耐航・復原性能研究グループ ) 研究担当者 田口 晴邦、小川 剛孝、沢田 博史辻本 勝、谷澤 克治、南 真紀子 予算費目 一般研究 (運営費交付金;国土交通省)ニーズ
我国では、平成12年の転覆事故を契機に漁船の安全性向上方策が検討され、また小型船を対象と するISO(国際標準化機構)規格と国内基準を整合させるための検討が行われている。一方国際的 には、確率論に基づく損傷時復原性基準の改正作業、満載喫水線基準の改正作業がIMO(国際海事 機関)で進められている。復原性を中心とするこれら基準見直しに適切に対処する必要がある。研究目標
漁船の復原性上の問題を整理し安全性向上方策を明らかにする。小型船のISO規格と国内航行区 域の整合化のための海象資料を作成する。船舶が損傷浸水した後の経時変化解析により関係するパ ラメータの影響評価を行う。冠水確率等を計算し乾舷表の見直しに必要な技術資料をまとめる。研究経過
(活動概要) ① 底引き網漁船と旋網漁船の実態、海難事例、事故要因等を調査してまとめた。安全な運航方法 を周知するビデオ等を作成した。漁船の復原性基準改正のため試計算等の検討を行った。 ② 大型旅客船の損傷浸水後の経時変化解析を行うとともに、損傷時復原性基準改正案で想定され ている載荷状態の重み付けに関する検討を行った。 ③ 設計・性能基準であるISO規格を、国内航行区域と整合させるための海象解析を行った。 ④ 乾舷表の見直しのため、乾舷が小さい船舶の長期冠水確率等を計算し安全性評価を行った。研究成果
成果 ① 底引き網漁船と旋網漁船の転覆海難の発生要因等が明確になった。安全な運航方法の啓蒙ビデ オ等を作成した。漁船の復原性基準改正案を作成した。 ② 大型旅客船の損傷浸水後の姿勢変化の特徴やGM等パラメータの影響が明らかになった。 ③ 我国海域区分毎の海象条件の特徴、ISO設計区分の想定海象との関係が明らかになった。 ④ 減少乾舷が適用される船舶について冠水確率や波浪荷重面での安全レベルが明らかになった。 活用方策と課題 漁船の転覆海難防止のため基準改正案を作成したが、船型や運用方法が多様なため、その適用に ついて今後具体的検討を行う必要がある。損傷浸水後の時間の要素を基準に取り入れるためには、 さらに多くの船や条件を対象に計算・実験が必要と考えられる。ISO規格と我国基準の整合化につ いては日本小型船舶検査機構で提言がまとめられ、国土交通省において対処される予定である。満 載喫水線基準については、平成16年度から指定研究の一部として実験を伴う研究を継続している。参考図・写真等
0.0 0.1 0.2 0.3 -2 -1 0 1 -10 -5 0 5 10 Tr im [de g] He av e [ m ] GM=5.37m GM=3.68m GM=2.00m He el [de g] 損傷浸水後の経時変化に対するGMの影響 漁船安全ビデオ (GMが小さくなるにつれ浸水中間段階の傾斜が長期間続く)研究計画終了についての担当領域長等の意見
船舶の転覆防止等安全性向上方策を明らかにする研究を実施し、改正基準案の作成、啓蒙ビデオ 作成と成果が得られている。また、本研究で得られた成果をさらに基準改正等へ反映させられるよ うフォローアップしていくことが望まれる。課 題 名
大規模システム評価技術の高度化に関する研究(基盤)
(14-16(3)) 研究主任者 沼野 正義 (スーパーエコシッププロジェクトグループ) 研究担当者 松倉 洋史、丹羽 康之、伊藤 博子、劉 峭、岡崎 忠胤、松岡 猛 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
船舶分野のみならず、原子力プラントおよび航空機・宇宙機システム等の大規模かつ複雑な系に対する安全性評価 は重要な課題である。このためには、マン・マシン・システム研究、確率論的安全評価(PSA)、対象システムの モデル化技術、インシデントデータの分析等の高度化は必要かつ不可欠なものである。これらを小項目として実施 する本研究は、大規模複雑システムの安全評価のための個々の基礎技術の構築を目指すものであり、構築できれば、 有用性は大きく、社会貢献も見込まれる。研究目標
大規模システムの評価のための、対象のモデル化技術、評価手法の高度化として確率論的安全評価(PSA)のため のイベントツリー自動生成手法、PSAを用いた事故・点検・保守情報を考慮した評価手法、ならびに、大規模シス テムの重要な要素である人的要因の解析評価技術、ヒューマン・マシンインタフェース技術について、具体的対象 を例としたプロトタイプシステムの構築や解析を通した評価手法の開発を行う。研究経過
(活動概要) ①原子力プラントの保全作業を対象とした台規模システムにおけるヒューマン・マシンインタフェースプロトタイ プを作成した。 ②イベントツリー自動生成機能を試作し、故障確率のシステム全体の信頼性に及ぼす影響の評価を行った。 ③弓削商船高等専門学校との共同研究により来島海峡における操船状況を観測し、強潮流下の操船モデルを作成、 安全な操船のための支援システムの設計を行った。 ④インシデントデータ収集・分析として、海難事故を対象としたCREAMを用いた解析を行った。 ⑤事故・点検・保守情報に基づくPSA解析を行って、経年劣化による信頼性の低下に対するシステムを構成する各 要素の影響を評価をした。研究成果
成果 ①大規模システムにおける人間・機械の協調作業のためのヒューマン・マシンインタフェースの機能要件を明らか にした。 ②イベントツリー自動生成機能を試作し、大規模システムのPSAにおける有効性を明らかにした。 ③強潮流下の操縦運動と潮流観測に基づき、斜航状態の検出と旋回性能への影響を同定した。 ④海難事故を対象とした人的要因解析により、事故の再発防止対策立案のためのデータベース要件を明らかにし た。 ⑤事故・点検・保守情報に基づくPSA解析の有効性を示した。 活用方策と課題 大規模システムの評価のための、対象のモデル化技術、評価手法の高度化、人的要因の解析手法とこれを基にした 作業支援システムの要件抽出、経年劣化へのPSA手法の適用等、これらの技術・手法が具体的な対象に適用可能で あることを示した。 今後の課題として、個々の技術のブラッシュアップとともに、ヒューマンインタフェースの検討の中でも明らかに なった、大規模システムの全体像の把握と個々の詳細事象把握手法の確立と、ミクロ・マクロ等、多分野評価の融 合手法の確立が必要である。参考図・写真等
研究計画終了についての担当領域長等の意見
大規模システム安全評価のための各分野の基礎的研究を実施しそれぞれ基盤技術の向上を果たした。特に、経年劣 化評価手法については新規原子力試験研究費立ち上げに結びつけたことは成果である。 評価目的・評価対象の設定、 モデル化 強潮流下の操縦運動 適切な評価手法による解析 ET 自動生成 インシデント解析 PSA 解析による経年劣 化の把握と対策の検討 有 効な操 船支援 シス テムの設計 評価手法の有効性評価、実用に向 けた課題の抽出 経年劣化へのPSA 解析 の有効性の検証に基づ く原試費研究応募、採択 人間・機械協調のた めのインタフェー ス要件の抽出 大規模システムの 保全支援の検討 評価に基づく設計・改良等 大規模システム評価技術課 題 名
船体構造空間にわたる波浪荷重および構造応答の研究
(萌芽)
(14–16 (3)) 研究主任者 岡 修二 (海上安全研究領域 構造安全性研究グループ) 研究担当者 戸澤 秀、岡 正義、田中 義照、佐久間 正明、安藤 孝弘、村上 睦尚 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
船舶が波浪中を航行するとき、船体構造部材には波浪変動圧、内部貨物の慣性力、波浪縦曲げモーメ ントなどの断面力が異なる振幅、位相で、同時に働く。このような波浪荷重の同時性を考慮にいれた構 造応答を明確にする必要がある。研究目標
構造応答関数のシリーズ解析を1ヶ月のオーダで可能となるようにする。波浪荷重(変動圧)、各部 の加速度はストリップ法で求め、FEMによりモデル化した船体構造へ負荷する。解析条件としては、約5, 000ケースの解析を実施する。また3次元形状を有するLNGタンカーの船首部タンク模型の動揺実験を、 横浜国大、NK、三井造船との共同研究として実施し、3次元形状タンクにも対応可能とする動液圧推定 コードを開発する。研究経過
(活動概要) タンカーの中央部(1/2+1+1/2Hold)部分をFEMモデルとし、波浪との出会い角7状態、波長/船長 比31状態、位相12状態の各状態を満載状態、空載状態の条件のもとでシリーズ解析を実施した。解析結 果はファイルに出力されるが、対象とする要素番号を記述するだけで、結果を抽出するプログラムを完 成させた。長期予測と疲労被害度の検討のため嵐モデルを作成した。 衝撃荷重の構造応答に関する受託試験を実施し、その改善策を検討した際に特許に関わる事例が発生 した。 3次元形状を有する船首部LNGタンク模型のピッチング動揺時におけるスロッシング圧力計測を、液位 11ケース、振幅2ケース及び同調周期付近の動揺周期を設定条件として組合わせ、計150ケースの計測を 実施した。研究成果
成果 波浪荷重による船体構造応力応答関数のシリーズ計算を1ヶ月のオーダで解析が可能となるよう一 連のプログラム化を実施し完成した。その操作マニュアルも作成した。 船体各部の疲労被害を検討する際、波浪荷重の応力履歴が重要になるが、嵐モデルを導入することに より、解析が可能となった。 救命艇の落下時の現象をふまえて、人命に関わる衝撃加速度の低減法を提案し、特許を申請した。 スロッシング圧力計測結果から3次元形状に特有と思われる液体運動及び圧力分布について把握し た。 活用方策と課題 船舶が一生涯に遭遇する海象の時間変化をシュミュレーションし、遭遇海象をパターン化した。 海難時の救命艇による非常脱出の際、高所から安全に降下しうる、船型および装置を提案した。 3次元形状に対応したスロッシング圧力計算コードの開発(横国)及びNKルールへの反映。参考図・写真等
累積被害度の予測の図 タンカー内底板の応答関数の図 スロッシング実験 疲労被害度 0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600 0.700 0.800 0.900 0 100 200 300 400 航海数 疲労被 害度 33848σx Full 6 8 10 12 14 幅( M P a/ m ) 0 2 4 0 0.5 1 1.5 2 2.5 λ/L 応力振 0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 330研究計画終了についての担当領域長等の意見
波浪荷重による船体構造応力応答関数の一連の解析を実施する体系を完成させた。また、嵐モデ ル導入による疲労被害度の予測方法、衝撃加速度低減法の特許申請、タンク形状に特有なスロッシ ング時の液体運動・圧力分布の把握も行い、多くの成果が得られている。課 題 名
高速船の設計技術の高度化に関する研究(萌芽)
(14-16(3)) 研究主任者 戸澤 秀 (海上安全研究領域 構造安全性研究グループ) 研究担当者 岡 修二,岡 正義,佐久間 正明,谷澤 克治,長谷川 純,平方 勝 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
高速船の強度設計には高速船構造基準が適用されるが,構造基準の想定範囲を超えた大型の船も計画さ れている。その為,大型の高速船における波浪中の運動,荷重,構造応答を合理的に推定する技術の開発 が求められている。研究目標
高速船構造基準は船長が50m以内の船舶を対象とするが,本研究ではそれ以上の大型の外洋を航行する 高速船の構造設計のための運動,荷重,構造応答の推定技術の開発を目標とする。研究経過
(活動概要) 現行の高速船構造基準の適用範囲を超える比較的大型の高速船を対象に,波浪中の運動,荷重の推定技 術開発を目的とした波浪中水槽試験,海上公試時の実船計測,就航後の長期実船計測を実施した。研究成果
成果 大型(船長50m超)の高速船に対して, ① 水槽試験及び実船計測のデータから乗員の安全と構造強度の両面を考慮した性能評価を行っ た。 ② 水槽試験並びに実海域航走実験を通して得られたデータから船体構造強度の評価を行った。 活用方策と課題 高速船の大型化へのステップに呼応して波浪中の運動及び荷重のデータを取得することができた。これらの データを総合し,さらに大型化される高速船の構造強度評価に活用し,高速船構造基準の見直しへと反映さ せる。研究の実施は,主として実験,実測データに基づいて考察,評価が行われたが,今後は数値計算を援 用して,ケーススタディ等の研究の幅を広げることが課題である。参考図・写真等
Midship Acc. ( peak to peak ) 1 minuts max. 1 g for head wave
0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 6 sec 7 sec 8 sec 9 sec 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 V ( kt ) 大型高速船の水槽試験 操船マニュアルの例 実海域八角航走試験 八角航走試験結果(加速度)
研究計画終了についての担当領域長等の意見
行政ニーズに対応した仕事で、模型、実船の両面からのデータを取得し、操船マニュアルとしての成果が 得られている。今後は一層の大型高速船の評価を実施し、高速船構造基準の見直しへと活用して欲しい。 0 1/4 2/4 3/4 4/4 ⑦ ⑥ ⑤ き 向 波 船体加速度の有義値(Peak-to-Peak) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 船首上下加速度[G] 船体中央上下加速度[G] 船体中央左右加速度[G] ④ ⑧課 題 名
小型軽水炉の海上利用に関する研究(萌芽)
(15-17(3)) 研究主任者 小田野 直光 (海上安全研究領域 原子力安全技術研究グループ長) 研究担当者 松岡 猛、村田 裕幸、稲坂 冨士夫、平尾 好弘、安達 雅樹、澤田 健一、 大西 世紀、近内 亜紀子 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
中小型炉の研究開発については、原子力委員会が平成12年11月に決定した「原子力の研究、開発 及び利用に関する長期計画」において、多様なエネルギー供給や原子炉利用の普及に適した革新的 な原子炉が期待され、炉の規模や方式にとらわれず多様なアイディアの活用に留意しつつ革新的な 原子炉の研究開発の検討を行うことが必要とされている。研究目標
小型軽水炉の海上利用システムの概念を構築するとともに、海上利用に適した原子炉プラントの 概念構築を行う。原子炉プラントの概念構築においては、設計に必要な核解析、放射線安全性解析、 熱水力安全性解析、熱流動挙動評価、確率論的安全評価などを総合的に実施し、設計の高度化を図 る。研究経過
(活動概要) ・小型軽水炉の概念、立地方法、炉心核設計、放射線安全性評価、確率論的安全評価に関する検討 を実施。 ・経年劣化に影響を及ぼす熱流動挙動評価実験を実施。 ・日本原子力研究所との共同研究を実施。 ・中国核動力設計研究院、北京核工程研究設計院及び清華大学との研究交流を実施。 ・東大、神戸大、三菱重工と小型軽水炉の活用について、定期的に勉強会を開催。研究成果
成果 ・炉心に混入するガドリニア入り燃料棒の本数や濃度の最適化を行い、炉心を2領域化することで、 単純な1領域炉心と比較して出力分布の平坦化を達成した(図1)。 ・レベル3PSAについて調査を行い、その実施手順等について検討を行った。その結果、事故時の施 設条件及び気象条件の重要性が確認された。 ・流路閉塞比を変えた流力振動実験を行い,円管先端部の変動振幅(図2の縦軸)が急増し流力振 動が発生する換算流速:Vrは、流路閉塞比:d/Wの増大に伴って低下することを明らかにした。 ・中国核動力設計研究院、北京核工程研究設計院及び清華大学を訪問し、当所の研究成果について 発表すると共に、中国の研究開発の現状について調査した。中国では小型炉に対するニーズは旺 盛であり、今後、これら研究機関との交流が深まることが期待される。 活用方策と課題 本研究は、小型軽水炉の多目的利用のための概念検討に活用される。参考図・写真等
図1 炉心出力分布の平坦化 0 0.5 1 1.5 1領域炉心;燃焼初期 1領域炉心;燃焼末期(5年後) 2領域炉心;燃焼初期 2領域炉心;燃焼末期(5年後) 相対 出 力 炉心中央 炉心端 炉心端 図2 流力振動実験の結果 0 0.1 0.2 0.3 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 1 1.5 2 2.5 3 3.5 d/W=0.54 8 d/W=0.42 8 d/W=0.27 4 σ x /d σ y /d Vr σ y/d σ x/d課 題 名
(基盤)
鋼材の延性破壊発生・成長のメカニズム解明に関する研究
(16-18(3)) 研究主任者 吉成 仁志 (海上安全研究領域 材料信頼性研究グループ長) 研究担当者 丹羽敏男、田中義久 予算費目 一般研究(運営交付金;国土交通省)ニーズ
船舶・海洋構造物などにおいて、衝突・波浪などによる大荷重が加わると、バルクヘッドなどの構 造要素に局部的に大規模塑性変形域が生じ、引き続く除荷あるいは引張荷重により局部塑性変形領域 から延性き裂が発生し、ひいては延性き裂を起点として脆性破壊を発生する可能性がある。そこで、 この種の破壊に対して構造物の安全性を確保するためには、圧縮予ひずみを受けた無欠陥材からの延 性き裂の発生・成長のメカニズムを系統立てて記述する理論の構築が不可欠である。研究目標
延性破壊の発生限界は、相当塑性歪と応力多軸度で決まる延性限界曲線によって判定できるとされて いる。研究主任者らの従来の予備的検討によると、比較的低靱性材ではこの延性限界曲線が、予ひずみ を与えることで、より延性の少ない方へ動くことが判明している。これは、低靱性材ではミクロな劈開 き裂の発生が先行し、ボイドの核になって延性限界曲線を引き下げている可能性が考えられる。この仮 説を詳細に調査し、破壊プロセスを明確にする。研究経過
(活動概要) 0%,10%,30%の圧縮予ひずみを与えた円周切欠付き丸棒試験片(切欠先端半径:1R,2R,5R)を引張破断 させた。そして、FEM解析で、延性破壊発生時の応力・ひずみ場を算定した。一方で、AEセンサーを取 り付けた試験片では、試験片中央でAEがカウントされた時に負荷を止めた(これは、微少き裂の発生 を捉えるものである)。この試験片を、低荷重疲労で破断させ、破面の観察をレーザー顕微鏡及びSEM により行った。研究成果
成果 予ひずみ量と切欠半径を変えた試験片を破断させ、FEM解析で相当塑性歪と応力多軸度を算定し、延 性限界曲線を作成した。後掲するように、予ひずみ量が大きいものほど曲線は低延性の方向(左下)に 移動し、材料固有とならないことを確認した。そして、破面観察より、低延性のものは破面中央付近に 微少劈開き裂が発生していた。また、微少劈開き裂発生を捉える試験では、疲労破断後の破面観察にお いて、予ひずみ大の試験片に微少劈開き裂が観察された。これらにより、上記仮説が間違いでないこと が判明した。AEカウントにおいては、雑音を拾うことが多く、明確に判断出来ないものが多かったが、 2センサーにしてカウント法を改良し、試験片中央でのき裂発生をほぼ捉えられるようになった。これ を有効に活用することも今後の課題である。 活用方策と課題 今後、AEカウントを活用して微少劈開き裂の発生タイミングを明確にすることで、予ひずみが存在す るときの延性破壊発生のメカニズムを解明できる可能性がある。それにより、如何なる条件で破壊が進 行するかが予測可能となり、将来、鋼構造物での耐延性破壊設計の確立が期待できる。 今後の課題としては、AEカウントを確実なものにして、追加実験により微少劈開き裂発生条件(タイ ミングのみでなく、力学的条件や靱性との関連)を探ることが第一である。参考図・写真等
10% 0% prestrain 30% 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 E qui va le nt p la st ic s tr ai n 0 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 Stress triaxiality 延性限界曲線(予ひずみが大きくなると延性限界曲線が顕著に低下する)課 題 名
ガスハイドレートの分解に関する実験的研究(萌芽)
(16-16(1)) 研究主任者 城田 英之 (海上安全研究領域 危険物輸送・防災研究グループ) 研究担当者 綾 威雄、中島 康晴、疋田 賢次郎、太田 進、泉山 耕 予算費目 一般研究(運営交付金;国土交通省)ニーズ
船舶による天然ガスの輸送・貯蔵にガスハイドレートの自己保存性を安全かつ効果的に適用する ためには、天然ガスハイドレート(NGH)の分類法及び自己保存性評価試験法の開発が必要となる。 自己保存状態にある NGH の分解挙動については、現時点でほとんど分かっておらず、また基本的な データもほとんど存在しないため、基本データの整備が求められている。研究目標
メタンガスをゲスト分子とするⅠ型構造ガスハイドレートについて、温度等をパラメータとして変 化させた場合の自己保存性を実験的に調べ、自己保存性との相関関係を明らかにする。 ガスハイドレートの自己保存性を利用した天然ガス海上輸送の実用化を見据え、模擬天然ガスから生 成された模擬天然ガスハイドレートペレット(NGHP)(三井造船株式会社にサンプル提供を依頼予 定)が貨物として荷重を受ける場合の自己保存性を実験的に調べ、荷重と自己保存性との相関関係 を明らかにする。 近い将来に予定されているNGHP輸送船の安全基準策定に資するため、外部団体等と協力すること により、天然ガスハイドレートペレット輸送船の安全基準を策定するための検討及び情報収集を行 った。研究経過
(活動概要) ・これまで手動で行っていた分解ガス量の計測を自動化するために、ガスハイドレート製造分解実 験装置を改良した。 ・現在、ガスハイドレート製造分解実験装置を用いて製造したメタンガスハイドレートについて、 温度をパラメータとして変化させた場合についてその分解挙動(自己保存性)を調べる実験を行っ ている最中である。 ・研究目標のうち「模擬NGHPが貨物として荷重を受ける場合の自己保存性」については、共同研究 先として予定していた三井造船株式会社から、ペレットサンプルの提供が得られなかったこと、 研究実施主任者が年度途中で企画部に併任となり研究に従事することができなくなったことか ら、実験の実施を見合わせた。 ・危険物等海上輸送国際基準検討委員会の特殊貨物運送部会(日本海事検定協会)に委員長及び委 員として参加し、NGH輸送船の安全対策の基礎となる固体ばら積み貨物安全実施基準(BC Code) の見直し等の現況について情報収集を行った。 ・液体貨物の安全輸送に関する調査検討会(日本造船研究協会)に委員として参加し、液化ガスの ばら積み運送のための船舶の構造及び設備に関する国際規則(IGC Code)の改正等の現況につい て情報収集を行った。 ・日本海事協会及び三井造船と協力して、天然ガスハイドレートペレット輸送船の安全基準を策定 するための検討を行った。研究成果
成果 ・NGHP輸送船の安全対策について検討し、固体貨物としてのNGHPと貨物タンクを満たすガスについ て、それぞれ一次防壁と二次防壁の要否について検討した。貨物タンクの構造を内部防熱方式と した場合、ガスについては鋼材等の温度低下に及ぼす影響が小さいことから無視し、低温の固体 貨物であるNGHPについて、断熱材を一次防壁、タンク構造材(鋼)を二次防壁とする方式を提案 した。 活用方策と課題 ・NGHP輸送船の安全対策についての検討結果及びメタンガスハイドレートの自己保存性に関するデ ータは、今後、輸送船の設計における材料選定、NGH輸送船の国際基準化(IMO、ISOへの提案)の 際の基礎資料として活用される。研究計画終了についての担当領域長等の意見
ガスハイドレートの分解挙動を調べるとともに、NGH輸送船の安全対策のための検討を行い、具体 的な提案まで行ったことは成果である。単年度で終了の研究であるが、ここで得られた知見の科研 費の研究、NGH輸送船の安全基準策定への活用を望む。課 題 名
船舶の避難・救命・捜索及び火災安全等国際基準に関する調
査研究(開発)
(16-17(2)) 研究主任者 太田 進 (海上安全研究領域 危険物輸送・防災研究グループ長) 研究担当者 吉田 公一、宮崎 恵子、岡 秀行、疋田 賢次郎 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
現在 IMO では、各種火災安全基準及び救命設備基準の見直し、旅客船安全性、旅客船避難解析指 針、BC Code の強制化等について審議中である。これら基準等の審議において我が国の意見を反映 させ、また、審議に貢献するには、各種の事項について調査・検討し、技術的情報を提供する必要 がある。研究目標
各種火災安全基準(FSS Code、FTP Code 及び各種 ISO 規格)の見直し、救命艇に係る事故防止 及び各種救命設備基準(LSA Code、MSC.81(70)等)の見直し、(大型)旅客船安全性、旅客船の暫 定避難解析指針の見直し、強制化に向けた BC Code の見直しにおいて、IMO における審議に貢献す る。
研究経過
(活動概要) 上記各種基準について調査・検討し、避難・退船・捜索・救助について検討するとともに、旅客 船の避難解析を実施し、旅客船暫定避難解析指針の改正点を検討し、FP 49 等に情報を提供した。 また、救命艇の事故防止のための操作・整備マニュアルの指針案について検討し、DE 48 に情報を 提供した。さらに、改正 BC Code 案を分析し、DSC 9 に情報を提供した。加えて、SOLAS 条約の危 険物運送要件の問題点について MSC 80 に情報を提供した。 MSC 78 及び MSC 79 等において大型旅客船安全性の審議を担当するとともに、FP 49、DE 48 に出 席し、各種審議に貢献した。研究成果
成果10 月に大阪府堺市で開催された 2nd International Maritime Conference on Design for Safety において、"Application of and Consideration to the IMO Guidelines for Evacuation Analysis for Passenger Ships"を発表した。また、IMO では、昨年度実施した事故例解析に基づく「大型旅 客船安全性における審議のポイントに関する検討結果」(MSC 78/INF.13)について説明した。さ らに、「固体ばら積み貨物に関する安全実施基準改正案に関する調査結果」(DSC 9/4/2)、「避 難解析例及び MSC/Circ.1033 の検討事項」(FP 49/INF.3)、「救命艇システムの操作・保守マニ ュアル作成指針」(DE 48/5/1)、「視覚遭難信号(火工品)の試験結果」(DE 48/24/1)に関す る提案文書作成に貢献し、説明を行った結果、各国の支持を得た。加えて、SOLAS 条約第 II-2 章 第 19.3 表(個品危険物への要件の適用)の問題点について分析し、MSC 80 提案文書(MSC 80/23/3) の作成に貢献した。 活用方策と課題 これら研究成果は、IMO における審議に貢献し、ひいては船舶の安全基準の合理化に役だった。
参考図・写真等
Deck 3 Deck 4 Deck 5 Deck 6 Deck 7 Deck 8 Deck 9 Deck 10 Deck 11 Deck 12 Deck 13 Deck 14 95 % 9.8 0 20 40 60 80 100Congestion Time [ sec ] Evacuee Firefighter (Counter flow) Case 3 cent S ho rt er by Time [ % ] P er 0 10 20 30 0
Congestion Time [ sec ] 20 40 60 80 100 95 % 61.8 Case 4 Evacuee Firefighter (Counter flow) ce nt S hor te r by T im e [ % ] P er 200 0 50 100 150 解析対象避難経路配置 乗組員の逆行の有無と最大混雑時間の計算例
課 題 名
船舶の実海域性能評価システムの研究(開発)
(16-16(1)) 研究主任者 谷澤 克治 (海上安全研究領域 耐航・復原性能研究グループ長) 研究担当者 辻本 勝 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
日本造船工業会では運航経済性の高い船舶の提供を目的に研究開発を実施している。この研究開発に より性能設計に関しては従来の平水中性能から、長期の実海域性能へと評価の重点が移されることとな る。また、このように設計、建造された船舶は竣工後も運航管理に対して適切な性能の維持が求められ ることとなり、設計から一貫した管理システムを構築する必要がある。 このため、大阪大学との連携の下、実海域性能評価法の構築、最適運航計画策定システムについての 技術的検討を行う。研究目標
長期の実海域性能の評価を行うため、燃費等に対する長期性能確率分布評価法を構築し、運航経済性 の高い船舶の要件を検討する。 遭遇海象予測値に対し、航海時間を維持することを制約条件とし、主機燃料消費量を最小とする運航 方法(航路、主機回転数)を行う最適航海計画策定システムを構築する。研究経過
(活動概要) ・航海計画策定に必須となる海流データのパイロットチャートを電子化し、北太平洋(1月分)につい て、2次元平滑化処理により格子データへの変換を行った。 ・航路、主機回転数を変化させて主機燃料消費量最小となる最適運航計画策定システムを構築し、一例 としてコンテナ船の冬季北太平洋航路についてシミュレーションを実施した。 ・船体性能、燃料価格帯をパラメーターとして運航経済性を確率論により評価する方法の提案を行った。研究成果
成果 ・航海時間を制約条件とし、主機燃料消費量が最小となる最適運航計画策定プログラムの作成を行い、 一例としてシミュレーション計算を行った結果、燃料消費量20%削減を示すことができた。 ・北太平洋の海流データベースの一部構築を行った。 活用方策と課題 日本造船工業会では、実海域中の船体応答、最適航海計画シミュレーション結果を用いて、IDC (Internet Data Center)方式にて実海域性能維持管理支援サービスを提供する検討を行っている。今 回の最適運航計画策定手法は、次年度実施予定の実船試験により検証され、より効果的なサービスの提 供に資することが期待される。今回の最適運航計画策定シミュレーションに、耐航性能を付加すること により安全性を向上させる運航計画手法の作成が可能となる。航海計画策定で必須となる海流データを 一部データベース化し、データベース化手法の確立を行った。これにより、航海計画策定の入力として 必須の海流データベースを構築することが可能となる。参考図・写真等
検討対象船(コンテナ船) 最適運航計画策定システムにより選定された航路の例 (シアトル−横浜航路)研究計画終了についての担当領域長等の意見
短期間の研究であったが、最適運航計画策定システムの構築、海流データベース構築手法の確立が でき成果があった。今後は新規一般研により、シミュレーション計算を用いたパラメータサーベイ等 により実用システムとしての完成に期待する。 大圏航路 選定航路40% 60% 80% 100% 120% 140% 縦強度(甲板側) 新造時) 要求値( 就航後) 要求値( 0% 20% 新造時 事故時 (甲板ロンジの脱落を考慮) 課 題 名
保船技術の高度化に関する調査研究(萌芽)
(16-19(4)) 研究主任者 川野 始 (油流出防止構造研究プロジェクト長) 研究担当者 戸澤 秀、岡 修二、高田 篤志、岡 正義、丹羽 敏男、田中 義久、 小川 剛孝、宮本 武 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
船の船体強度上の安全の確保のためには、建造段階において適正な設計および施工が必要であ るが、近年の経年バルクキャリアの人命損失事故の多発やナホトカ、エリカ、プレステージ号の 大規模油流出事故等、老齢船の事故災害が後を絶たないことから、就航中の船体強度の維持管理 が、さらに必要不可欠な要素であることが認識されている。 現状、船体の保守について、ISMコードに基づいて詳細なマニュアルを作成している船主もあ るが、これは品質管理の視点で船社の経験の下に作成されており、さらに安全を確保する上では、 技術的裏づけが求められている。研究目標
以上のような世の中の動向に対し、本研究では、船体の生涯安全性の向上を目的として、商船の 維持管理に関し調査研究を行うことにより、保船技術の高度化を図り、最近の趨勢でもある技術基 準のグローバル化やシステムコード化の推進にも寄与する。特に、IMOにおける設計安全性の議論に おいて、構造設計・保守メンテナンス・操船オペレーションの相互連携を十分考慮した基準体系化 を求める我国主張を具体化していく見地から、メンテナンス基準案について検討し提案する。研究経過
(活動概要) 新世代構造基準の高度化の研究(U61)で実施した船体保守に関する船社ヒアリングをベースに 日本海洋科学㈱と協力して、日本商船隊の船体保守管理の現状を調査した。 モバイル IT を用いた検査支援システムに関する調査を実施した。研究成果
成果 日本海洋科学と協力して、日本商船隊の実施している船体保守管理の実状を取り纏めた。 今後のIMOにおけるGBS(新船構造基準)の議論を見据え、検査・保守の記録に関する調査を行い、 船殻の整備記録項目を把握した。 検査を支援するモバイルIT等に関する技術の調査から、鉄道建設・運輸施設整備支援機構に応募 する新規提案を取り纏めた。 船の生涯安全を確保する上で、船殻の保守が重要であることを裏付ける為に、過去の老齢船の事 故の調査結果を整理し、MSC79での対策資料とした。 活用方策と課題 船体保守及びその記録に関連する調査結果は、今後、船体保守にかかる基準をIMOに対し日本から 提案する際のベースデータとなる。参考図・写真等
ナホトカ号の強度低下 (新造時の強度は、基準要求値を十分に 満たすものであったが、経年劣化によっ て、基準を下回った例)課 題 名
水槽環境を考慮した水槽試験法の研究(基盤)
(13-17(5)) 研究主任者 長谷川 純 (輸送高度化研究領域 水槽試験研究グループ長) 研究担当者 松田 登、堀 利文、塚田 吉昭、藤沢 純一、深澤 良平、 日夏 宗彦、工藤 達郎、川並 康剛、久米 健一、右近 良孝 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
顧客としては海上保安庁などに代表される行政機関や民間の造船会社であり、これらクライアント からの要求に対して応えられうる試験データの提供を想定している。 また、近年造船関係の試験水槽は再編や縮小廃止が行われて、高度な計測や検証実験を行う余力が なくなっており、国際協力でのベンチマークデータの提供は高い試験技術力を持つ海上技術安全研究 所の使命である。研究目標
検証実験として活用できるデータの創出 波浪中を含む推進性能計測法とこれによる実船性能評価法の開発 センサ制御を利用した試験技術の開発研究経過
(活動概要) 試験に応じた計測機器を選択し、必要な保守を行うとともに、水槽環境を考慮して計測するなどし て、研究所内外からの要請による試験を実施した。 ・ 肥大船の斜航時流場計測、高速フェリーの波浪中抵抗自航試験、メガコンテナー船・1軸POD船・ ケミカルタンカー等の平水中抵抗自航試験、長尺模型船のマイクロバブル試験、附加物付高速艇の 抵抗試験、LVDによるキャビテーション水槽での流場計測等 ・ 高速フェリーとメガコンテナー船の船後キャビテーション試験 ・ 共同研究による1件のプロペラキャビテーション試験と1件のPOD性能試験、その他1件の船尾形 状シリーズ船型試験及び翼断面シリーズ6翼プロペラ特性試験研究成果
成果 強制動揺装置を使用した斜航試験法、1軸POD船の実船馬力推定試験法を開発するなどした結果、 6編の所外発表論文に実験実施担当者として討論し共著者に加わるとともに、海技研発表会において 3件のP.S.発表を行った。 活用方策と課題 開発した試験法を今後も改良し、次の試験要請に備えるとともに、従来の試験法についても改良を 加え、新たな試験技術に対応できる体制を整えることで、海上技術安全研究所が必要とする水槽試験 の円滑な実施に役立てる。参考図・写真等
-0.04 -0.02 0.00 0.02 -6 -3 0 3 6β9 12 15 18 21 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 14.0kt、舵無し 15.5kt、舵無し 17.0kt、舵無し 14.0kt、舵付き 15.5kt、舵付き 17.0kt、舵付き 肥大船斜航時の状況写真 計測された横力課 題 名
操船支援システムのユーザインタフェースに関する基礎的研究
(基盤)
(14-16(3)) 研究主任者 田中 邦彦 (輸送高度化研究領域 高度運航システム研究グループ) 研究担当者 福戸 淳司、有村 信夫、岡崎 忠胤、吉村 健志、沼野 正義、宮崎 恵子、 丹羽 康之、伊藤 博子:吉田 公一(研究統括主幹:国際基準担当) 予算費目 一般研究(運営費交付金;国土交通省)ニーズ
レーダー、船舶自動識別装置(AIS)等の航海支援機器や船舶自動記録装置(VDR)、GMDSS等の新し い機器は、操船者の観点からそのユーザビリティを含めた安全性、有用性の向上が求められている。こ のため、各機器の使用状況を考慮した、各機器の改善及びその評価手法の検討が必要となる。研究目標
・レーダー(RADAR)、 AIS 、船橋配置、GMDSS 及び VDR 等の性能基準化について、IMO、ISO 審議のた めの資料提供。
・浮揚式 VDRカプセル実現に向けた、システムの設計とその実証。(日本造船研究協会と共同研究) ・避航操船支援技術(避航回避幅表示方式、衝突危険領域表示方式)及びその評価手法の開発。 ・操船シミュレータの高機能化、利用技術の高度化。
研究経過
(活動概要)・RADAR 及び AIS に関する性能基準の改正にあたり、調査し、IMO NAV への資料提供。 ・浮揚式VDRカプセルの調査・実証実験及びGMDSSの調査を行い、IMO NAVへの資料提供。 ・避航操船支援技術(避航回避幅表示方式、衝突危険領域表示方式)を開発し、評価実験を実施。 ・機器のメンテナンス周期変更に対応した時間依存アンアベイラビリティの導出法を研究。 ・各種シミュレータ実験(船舶、支援機器等の評価実験)を実施した。新たな交通流データの作成。