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マスコミセミナーレポート

疲労とオルニチンに関する新たな可能性

~ 最新の研究成果について ~

オルニチン研究会 第3回マスコミセミナー 2012年2月8日(水) @ グランドハイアット東京 3F 「タラゴン(TARRAGON)」 近年、健康に対する人々の意識は大きく様変わりし、日 常の生活習慣を見直すことで、病気になる前に予防した いと考える人が増えています。 現代では、疲労回復をうたった製品やサービスが数多く ありますが、その中で健康意識の高い生活者の注目を集 めているのが、遊離アミノ酸の一種であるオルニチンです。 オルニチンはシジミに多く含まれますが、通常の食品では 摂取しづらいアミノ酸です。体内では、肝臓でアンモニアが 解毒される際に大きな役割を担っており、オルニチンを摂 取することでアンモニアの解毒が促進、肝機能が改善され、 その結果、疲労が軽減すると考えられているのです。 このような背景の下、2009年10月、オルニチンの普及・ 啓発を行う学術団体として「オルニチン研究会」が発足し 啓発を行う学術団体として「オルニチン研究会」が発足し ました。主な活動内容はテレビや新聞、雑誌などへの情報 発信や、マスメディアを対象としたセミナーの開催、オルニ チンに関するウェブサイトの運営です。当研究会の活動も 3 年 目 に 入 り 、 一 般 生 活 者 の オ ル ニ チ ン の 認 知 率 は 37.4%と4割近くの人が「オルニチンを知っている」という 状況になりました(協和発酵バイオ調べ) 。また、オルニチ ン配合商品も飲料・食品だけではなく、最近では外食産業 にまで広がり、数多く発売されています。 オルニチン研究会では2009年10月、2011年2月に続 いて、2012年2月8日(水)に3回目となるマスコミセミナー を開催。研究会座長と3名の研究者より、肝臓におけるオ ルニチンの作用やオルニチン摂取の効果・効能の検証に ついてご講演いただきました。 本レポートでは次頁以降、マスコミセミナーでの講演内容 をまとめています。オルニチンという話題のアミノ酸につい て、理解を深めていただく一助となれば幸いです。

【本件に関するお問合せ先】

オルニチン研究会 広報事務局

※ 本レポートで使用している図表・写真の二次使用に関しては、 広報事務局までお問い合わせください。

(2)

オルニチン研究会は2009年10月28日に、オルニチン の普及・啓発を行うことを目的として設立された。この日、 第1回マスコミセミナーを開催、その後はオルニチンに関 する研究開発を進める一方で、オルニチンの効果・効能、 およびオルニチンと関わりが深い肝臓ケアの重要性につい て、生活者に向けた継続的な情報提供を行ってきた。 アミノ酸などの栄養素は食道、胃を通って小腸から吸収 され、門脈を経て肝臓に到達する。肝臓は右の上腹部に ある人体最大の臓器であり、肝臓に到達した栄養素は、こ こで数々のコントロールを受け、必要に応じて全身に行き 渡る。重要なポイントは、「アミノ酸などの栄養素はすべて

肝臓の働きとオルニチン

須田 都三男

日本肝臓学会専門医 / 医学博士 オルニチン研究会座長

1943年生。1969年東京慈恵会医科大学卒業。1975年医学博士。1975~77年米国国立保健研究所 (NIH)に留学し、アミノ酸代謝について研究。城山病院院長、出版健康保険組合・健康管理センター院長、 東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科准教授などを歴任し、アルコール性肝障害、肝不全、肝疾患と 代謝・栄養・アミノ酸等について研究。専門分野は一般内科診療で主に肝臓病、消化器病、代謝栄養疾 患、骨粗鬆症。

疲労・肝臓・オルニチンの関係 および 最新研究の意義

【図1】 肝臓と栄養素の移動 肝臓と栄養素の移動 肝臓と栄養素の移動 渡る。重要なポイントは、「アミノ酸などの栄養素はすべて 肝臓を通り、肝臓のコントロールを受ける」という点である (【図1】参照)。 肝臓では非常に多くの化学反応が行われており、「身体 の化学工場」と呼ばれる。肝臓でのエネルギー消費からそ の役割の配分比率を見ると、ブドウ糖やグリコーゲンの合 成という「血糖の維持」に約50%が割かれる一方、人体に とって有害な物質であるアンモニアを解毒する「尿素合 成」に約10~20%が充てられている。 【図2】 体内のアンモニアの発生 アンモニアは体内で発生する有害物質で、不快な強い 刺激性の臭いがする。そのアンモニアは実に体を作り、大 切な栄養素であるタンパク質から発生する(【図2】参照)。 すなわち、タンパク質はその構成するアミノ酸に分解して、 アミノ酸からアンモニアが発生する。アミノ酸はアミノ基と酸 をもつのでアミノ酸とよばれる。アミノ酸からアミノ基(-NH2) が遊離するとアンモニア(NH3)が生じる。体内のアンモニ アの主な発生場所は肝臓だが、その約3割が腸から発生 する。そこで、体内のアンモニア発生の軽減には、腸内の アンモニア減少対策が重要となっている。

体内のアンモニアの発生源

肝臓内 肝臓内肝臓内 肝臓内 各種アミノ酸 → グルタミン酸 → アンモニア 肝臓外 肝臓外肝臓外 肝臓外からからからから肝臓肝臓肝臓に肝臓にに吸収に吸収吸収吸収 小腸粘膜 小腸粘膜 小腸粘膜 小腸粘膜 グルタミン → アンモニア 大腸内 大腸内 大腸内 大腸内 腸内細菌 → アンモニア *タンパク質を構成するアミノ酸は アミノ基(-NH2 )をもち、 そのアミノアミノアミノアミノ基基基基がが遊離がが遊離遊離すると遊離するとするとするとアンモニア(アンモニアアンモニアアンモニア(((NHNHNHNH3333))))が生じる

タンパク質 → アミノ酸 →

アンモニア

(分解) (分解) 体内のアンモニアの発生 肝臓内 肝臓内肝臓内 肝臓内 各種アミノ酸 → グルタミン酸 → アンモニア 肝臓外 肝臓外肝臓外 肝臓外からからからから肝臓肝臓肝臓に肝臓にに吸収に吸収吸収吸収 小腸粘膜 小腸粘膜 小腸粘膜 小腸粘膜 グルタミン → アンモニア 大腸内 大腸内 大腸内 大腸内 腸内細菌 → アンモニア *タンパク質を構成するアミノ酸は アミノ基(-NH2 )をもち、 そのアミノアミノアミノアミノ基基基基がが遊離がが遊離遊離すると遊離するとするとするとアンモニア(アンモニアアンモニアアンモニア(((NHNHNHNH3333))))が生じる

タンパク質 → アミノ酸 →

アンモニア

(分解) (分解) 体内のアンモニアの発生

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けが、やけど、感染症、手術など、また日常生活では激 しい運動・作業、強いストレス、飲み過ぎ、食べ過ぎなどで、 体内のタンパク質の分解が増加して、アンモニアの発生が 増加する(【図3】参照)。高タンパク食を摂ることで、これら の体調不良からの回復を早めるが、高タンパク食自身が 体内のアンモニアの発生を増加させる。便秘になるとアン モニアの腸での発生が増加し、その排泄も悪くなり、体内 のアンモニアの発生が増加する。この有害なアンモニアの 素早い解毒には、オルニチンが重要な働きをする。アンモ ニアは肝臓のオルニチンサイクルにより解毒され、この解 毒にオルニチンは重要な役割を果たし、またオルニチン自 身が解毒を促進する。このように体調不良からの回復に オルニチンが大切な働きを行う。 肝臓には、アンモニアを尿素に変えて解毒する代謝経 路があり、これを「オルニチンサイクル(尿素回路)」と呼ぶ。 【図4】は肝臓におけるアミノ酸代謝とオルニチンの関係を 示したものである。アミノ酸のアミノ基は、肝臓でアンモニア となり、オルニチンサイクルに入って尿素に解毒される。炭 素部分は、ケト酸となってTCAサイクルに入りエネルギーに

肝臓のアミノ酸代謝とオルニチンの働き

体内のアンモニアの発生増加

肝臓におけるアミノ酸代謝とオルニチンの働き 肝臓におけるアミノ酸代謝とオルニチンの働き 【図3】 体内のアンモニア発生増加とオルニチンによる解毒促進 【図4】 肝臓におけるアミノ酸代謝とオルニチンの働き タンパク質・アミノ酸の分解増加 体内のアンモニア発生増加とオルニチンによる解毒促進 体内のアンモニアの発生増加 オルニチンサイクル アンモニアの尿素への解毒 高タンパク食 (これらの回復を早める) 外傷(けが)、火傷(やけど)、感染症、 手術、激しい運動・作業、強いストレス、 不摂生(食べ過ぎ・飲み過ぎ)、便秘 オルニチン 促進 (オルニチンはアンモニアの尿素への解毒を促進する) タンパク質・アミノ酸の分解増加 体内のアンモニア発生増加とオルニチンによる解毒促進 体内のアンモニアの発生増加 オルニチンサイクル アンモニアの尿素への解毒 高タンパク食 (これらの回復を早める) 外傷(けが)、火傷(やけど)、感染症、 手術、激しい運動・作業、強いストレス、 不摂生(食べ過ぎ・飲み過ぎ)、便秘 オルニチン 促進 (オルニチンはアンモニアの尿素への解毒を促進する) 素部分は、ケト酸となってTCAサイクルに入りエネルギーに なるか、糖新生のルートをたどってブドウ糖に合成される。 オルニチンサイクルがあるのは肝臓だけ。これらアミノ酸代 謝は肝臓の主要な働きであり、この働きにオルニチンサイ クルは欠かせない。遊離アミノ酸の一種であるオルニチン を摂取することによりオルニチンサイクルが活性化すること から、オルニチンは肝臓の機能を活性化させる成分と言 えるだろう。また、人体全体のアミノ酸代謝の観点からのオ ルニチンの役割を見ると、骨格筋でのアミノ酸代謝にも寄 与している(【図5】参照)。 アミノ酸は肝臓の主要代謝経路を通って代謝されるので、 「アミノ酸代謝を活性化するオルニチンは、肝臓を活性化する」 といえます。 アミノ酸は肝臓の主要代謝経路を通って代謝されるので、 「アミノ酸代謝を活性化するオルニチンは、肝臓を活性化する」 といえます。 肝臓におけるアミノ酸代謝には、肝細胞のミトコンドリアが 重要な役割を演じる(【図4】参照)。そこで、慢性肝疾患に おける肝ミトコンドリアの機能を、そのエネルギー産生能を あらわす動脈血中ケトン体比を用いて調べた(【図6】参 照)。それぞれの症例は肝生検で診断を確定した症例で ある。脂肪肝は生活習慣病として、肥満などで容易に起こ り、最近急増する肝臓病である。その脂肪肝において、す でに肝臓のミトコンドリアの機能を表すエネルギー産生能は 重症肝臓病の肝硬変と同じ程度に障害され、低下した。

慢性肝疾患における肝ミトコンドリア障害

【図5】 各臓器間のアミノ酸代謝の関係 各臓器間のアミノ酸代謝の関係 各臓器間のアミノ酸代謝の関係

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アミノ酸が最初に発見されたのは1806年のこと。野菜の アスパラガスから、アスパラギンが見出されたのである。そ の後1930年代までに、オルニチンサイクルを構成するす べてのアミノ酸が確認され、1932年のクレブスとヘンゼン ライトによるオルニチンサイクルの発見につながった。クレ ブスはその後、クレブスサイクル(TCAサイクル)も発見して おり、これらの業績により1953年にノーベル生理学医学賞 を受賞している。 肝性脳症のメカニズムは1950年に日本の猪瀬博士に

オルニチンの研究史

肝臓は余力が大きい臓器であり、状態が深刻になるまで 自覚症状がなかなか出てこないため、一般に「沈黙の臓 器」と呼ばれている。肝硬変などで病状が進行すると、異 常行動が起こったり昏睡状態に陥ることがある。これは、 本来肝臓で代謝されるはずのアンモニアが肝機能の低下 によって体内に蓄積し脳に到達することで引き起こされる ため、肝性脳症と呼ばれている。肝性脳症まで行かなくと も肝機能が低下すると疲労感を感じやすくなることが分 かっており、アンモニア代謝は人体にとって重要な機能で あることが分かる。

肝臓病のサイン

【図6】 各種慢性肝疾患の肝ミトコンドリアのエネルギー産生能 【図7】 オルニチンの研究史 オルニチンの研究史 1806年~1930年代 各種のアミノ酸の発見 1932年 クレブスとヘンゼンライトによる「オルニチンサイクル」の発見 (オルニチンサイクルはアンモニアを尿素に解毒するので尿素サイクルともいう) 1937年 クレブスによるクレブス・サイクル(TCAサイクル)の発見 オルニチンの研究史 1806年~1930年代 各種のアミノ酸の発見 1932年 クレブスとヘンゼンライトによる「オルニチンサイクル」の発見 (オルニチンサイクルはアンモニアを尿素に解毒するので尿素サイクルともいう) 1937年 クレブスによるクレブス・サイクル(TCAサイクル)の発見 対象(症例数) ケトン体比 正常例(14例) 脂肪肝(11例) 肝線維症(7例) 慢性肝炎(30例) 肝硬変 (57例) 肝細胞癌合併肝硬変(30例) 1.74 ±0.650 0.819±0.520 1.19 ±0.564 1.18 ±0.647 0.890±0.561 0.696±0.392 各種慢性肝疾患の肝ミトコンドリアのエネルギー産生能 * 動脈血中ケトン体比は肝ミトコンドリアのエネルギー産生能(エネルギー 充電や酸化還元状態)を表す。 * 肝ミトコンドリアのエネルギー産生能は生活習慣病の脂肪肝でも重症 肝臓病の肝硬変と同じ程度に障害される。 (早朝空腹時における動脈血中ケトン体比*) 対象(症例数) ケトン体比 正常例(14例) 脂肪肝(11例) 肝線維症(7例) 慢性肝炎(30例) 肝硬変 (57例) 肝細胞癌合併肝硬変(30例) 1.74 ±0.650 0.819±0.520 1.19 ±0.564 1.18 ±0.647 0.890±0.561 0.696±0.392 各種慢性肝疾患の肝ミトコンドリアのエネルギー産生能 * 動脈血中ケトン体比は肝ミトコンドリアのエネルギー産生能(エネルギー 充電や酸化還元状態)を表す。 * 肝ミトコンドリアのエネルギー産生能は生活習慣病の脂肪肝でも重症 肝臓病の肝硬変と同じ程度に障害される。 (早朝空腹時における動脈血中ケトン体比*) 肝性脳症のメカニズムは1950年に日本の猪瀬博士に よって初めて報告され、アンモニアと精神症状の関係が 明らかになった。1970年から1980年代にかけては、激し い運動によって血液中のアンモニア濃度が上昇し、運動 性疲労が起こることが解明された。また1973年ごろからは オルニチンの肝保護作用、肝機能改善作用が明らかにな り、この研究は今日まで続いている。 さらに2005年ごろから、オルニチンに抗疲労作用がある ことが見出され、研究が進められている。最も新しい報告 としては、2007年ごろからの研究で、オルニチンに抗ストレ ス作用もあることが発表されている。メンタルストレスの多 い現代社会において、オルニチンにこの作用が発見され たことは、非常に意味が大きい(【図7】参照)。 今回の第3回セミナーでは、疲労・肝臓・オルニチンの関 係について、久留米大学大学院の津田彰先生より「オル ニチンの疲労・ストレス軽減効果」について、東京シナジー クリニックの森田祐二先生より「オルニチンの疲れ肌改善 効果」について、大阪市立大学大学院の河田則文先生よ り「オルニチンのNASH(非アルコール性脂肪肝炎)抑制効 果」について、最新研究結果の報告を予定している。ご清 聴頂ければ幸いである。

第3回セミナーでの講演

1937年 クレブスによるクレブス・サイクル(TCAサイクル)の発見 1953年 クレブスはノーベル生理学医学賞を受賞 1950年~1960年代 アンモニアによる肝性脳症(異常行動・昏睡)の解明 1970年~1980年代 アンモニアと運動性疲労との関連解明 1973年頃~ オルニチンの肝保護作用・肝機能改善作用の解明 2005年頃~ オルニチンの抗疲労作用の発見と解明 2005年頃~ オルニチンの肌質改善効果の発見と解明 2007年頃~オルニチンの抗ストレス作用の発見と解明 (オルニチンのメンタルストレス軽減作用) 1937年 クレブスによるクレブス・サイクル(TCAサイクル)の発見 1953年 クレブスはノーベル生理学医学賞を受賞 1950年~1960年代 アンモニアによる肝性脳症(異常行動・昏睡)の解明 1970年~1980年代 アンモニアと運動性疲労との関連解明 1973年頃~ オルニチンの肝保護作用・肝機能改善作用の解明 2005年頃~ オルニチンの抗疲労作用の発見と解明 2005年頃~ オルニチンの肌質改善効果の発見と解明 2007年頃~オルニチンの抗ストレス作用の発見と解明 (オルニチンのメンタルストレス軽減作用)

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津田 彰

久留米大学大学院 心理学研究科 教授

1951年生。1974年上智大学文学部卒業。1976年教育学修士。1987年医学博士。久留米大学医学 部助手、講師等を経て、1992年同大学文学部教授。1994~1995年ロンドン大学客員教授。2001年よ り現職。専門は、健康心理学、ストレス科学。日本行動医学会賞、日本ストレス学会賞など多くの受賞歴 があり、ストレスと健康について精力的に発表を行っている他、科学的根拠に基づくストレスマネジメントの 理論構築と実践に取り組んでいる。

ストレスと疲労は国民的健康課題

オルニチンの疲労・ストレス軽減効果

疲労やストレスを軽減したいという願望は多くの人が持っ ているが、実際に行動に移している人は少ない(【図1】参 照)。 私たちが成人850名を対象に行った調査では、実際に 何か健康によいことをしている人は、3割程度しかいなかっ た。「6カ月以内に健康行動をしようとする意図がない」は 35%、「6カ月以内に健康行動をしようとする意図がある」 が15%、「30日以内に健康行動をしようとする意図があ る」が16%で、7割近くは健康行動をとっていなかったので ある。 私たちの大半は、ストレスや疲れを感じているにも関わら

継続摂取による客観的ストレス指標の改善

まず、オルニチンを8週間継続摂取した場合の疲労・スト レス軽減効果に関するデータを発表する。この試験はダブ ルブラインド並行群間比較試験という方法で行った。ダブ ルブラインドとは、オルニチンを飲んでいるのか、プラセボ 食品(オルニチンの入っていない試験食品)を飲んでいる のかが、被験者本人および試験を実施する私たちにも、 わからないようにすることである。この方法をとることで、被 験者の思い込みによる影響を排除し、私たちが行う試験 結果の評価にもバイアスがかからないよう配慮した。 被験者は30歳から60歳までの男女52名で、内科的な 疾患はないが、疲労感を感じている人たち。彼らを無作為 私たちの大半は、ストレスや疲れを感じているにも関わら ず、何ら対策をとっていなかったり、対策をとっていてもうま く解消できていなかったりする。まさに国民的な健康課題 と言っても良いだろう。抗ストレスおよび抗疲労は切実な健 康課題であり、科学的根拠にもとづく抗ストレス・抗疲労商 品の開発が望まれている。 このような背景を受け、我々は「オルニチンが疲労・スト レスを軽減するために有効な食品である」という科学的根 拠を見出してきたので、改めてご報告させて頂きたい。 2 健康行動に対する準備性(動機づけ)

11%

35%

23%

16%

15%

前熟考期 熟考期 準備期 実行期 維持期 6ヶ月以内に、健康行動をしようとする 意図がない 6ヶ月以内に、健康 行動をしようとする 意図がある 30日以内に、健康 行動をしようとする 意図がある 健康行動を行って いるが、その期間 は6ヶ月に満たな い 6ヶ月以上健康行動を 実行している 堀内・津田ら(2009)健康支援 11(2): 1-7 成人 850人 調査 2 健康行動に対する準備性(動機づけ)

11%

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前熟考期 熟考期 準備期 実行期 維持期 6ヶ月以内に、健康行動をしようとする 意図がない 6ヶ月以内に、健康 行動をしようとする 意図がある 30日以内に、健康 行動をしようとする 意図がある 健康行動を行って いるが、その期間 は6ヶ月に満たな い 6ヶ月以上健康行動を 実行している 堀内・津田ら(2009)健康支援 11(2): 1-7 成人 850人 調査 【図1】 健康行動に対する準備性(動機づけ) 疾患はないが、疲労感を感じている人たち。彼らを無作為 (ランダム)にわけ、8週間にわたってオルニチン400㎎、ま たはプラセボ食品を毎日摂取してもらった。 評価項目としては、血液中のコルチゾール分泌量とその 拮抗ホルモンであるDHEA-S分泌量の比率、および睡眠 調査票、気分プロフィール尺度を採用した。 まず、生理学的指標(=客観的指標)に関する結果であ る。コルチゾールは代表的なストレスホルモンだが、プラセ ボ食品摂取群では、コルチゾール/DHEA-Sの比率がほ とんど変わらなかったのに対し、オルニチン摂取群では2 週後より減少を始め4週後には統計的に有意な結果が得 られた。すなわち、DHEA-Sの合成が高まりコルチゾール の分泌量が下がったということであり、オルニチンが疲労・ ストレスの軽減効果を持つということが生理学的な客観性 を持って確認された(【図2】参照)。

(6)

次に体感に関する指標(=主観的指標)も確認する。睡 眠の質や気分がどのように変化したか、その結果である。 まず、独立行政法人睡眠研究所が開発した熟睡感を測 定する指標である「OSA睡眠調査」では、プラセボ摂取群 ではほとんど変化がなかったのに対し、オルニチン摂取群 では経時的に睡眠時間の改善が自覚された。 加えて、世界保健機関(WHO)が中心になって設立した 「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共 通の不眠症判定法である「アテネ不眠尺度」でも評価した ところ、オルニチン摂取群では睡眠の状態が有意に改善 されるという結果が得られた。 次に、人間の情動を気分・感情・情緒といった主観的側 面からアプローチすることを目的に開発された尺度である 「POMS(Profile of Mood States)」で評価すると、「怒り」 「敵意」といった気分が、オルニチン摂取群では摂取2週 目から有意に改善されたことが分かった(【図3】参照)。 以上の結果から、疲労を感じている被験者でのオルニチ ン摂取試験において、血中コルチゾール/DHEA-S比、 OSA睡眠調査による睡眠時間、アテネ不眠尺度による睡 眠の質、POMSによる「怒り・敵意」といった気分が有意に 改善され、日頃から疲れを感じている人にとってオルニチ 【図2】 オルニチン摂取によるストレス改善 7 コルチゾール/DHEA-S:ストレスや疲労状態を反映する指標の一つと考えられている。 加齢やうつ患者でも値が上昇することが知られる。 副腎皮質 刺激ホルモン DHEA-S 合成・修復 脳視床下部 副腎皮質 バランス だるさ 疲労感 コルチゾール 防御・磨耗 ストレス刺激 オルニチン摂取により、 コルチゾール/DHEA-S比が 有意に改善した。

Ferrari E et al. Arch Gerontol Geriatr, 2004

オルニチン摂取によるストレス改善 -2 -1 0 1 11 1 摂取前 2w 4w 8w コルチゾール/DHEA-S * 改 善 モ ル 比 ( 変 化 量 ) オルニチン プラセボ *p<0.05 vs. プラセボ 7 コルチゾール/DHEA-S:ストレスや疲労状態を反映する指標の一つと考えられている。 加齢やうつ患者でも値が上昇することが知られる。 副腎皮質 刺激ホルモン DHEA-S 合成・修復 脳視床下部 副腎皮質 バランス だるさ 疲労感 コルチゾール 防御・磨耗 ストレス刺激 オルニチン摂取により、 コルチゾール/DHEA-S比が 有意に改善した。

Ferrari E et al. Arch Gerontol Geriatr, 2004

オルニチン摂取によるストレス改善 -2 -1 0 1 11 1 摂取前 2w 4w 8w コルチゾール/DHEA-S * 改 善 モ ル 比 ( 変 化 量 ) オルニチン プラセボ *p<0.05 vs. プラセボ 0 5 POMS(怒り・敵意) プラセボ -2 0 摂取前 4w 8w アテネ不眠尺度 プラセボ 5 10 OSA(睡眠時間) *** オルニチン 変 化 量 ) 変 化 量 ) 改 善 オルニチン摂取による体感改善 0 5 POMS(怒り・敵意) プラセボ -2 0 摂取前 4w 8w アテネ不眠尺度 プラセボ 5 10 OSA(睡眠時間) *** オルニチン 変 化 量 ) 変 化 量 ) 改 善 オルニチン摂取による体感改善 【図3】 オルニチン摂取による体感改善

単回摂取での主観的ストレス反応の抑制

改善され、日頃から疲れを感じている人にとってオルニチ ン摂取が有効であるという結論が得られたと言える。 8 -15 -10 -5 * * * 改 善 オルニチン プラセボ -8 -6 -4 * オルニチン -5 0 5 * プラセボ オルニチン摂取により、OSAの「睡眠時間」、 POMSの「怒り・敵意」、アテネ不眠尺度 などの体感指標が有意に改善した。 *p<0.05, **p<0.01 vs. プラセボ ス コ ア ( 変 化 量 ス コ ア ( 変 化 量 改 善 8 -15 -10 -5 * * * 改 善 オルニチン プラセボ -8 -6 -4 * オルニチン -5 0 5 * プラセボ オルニチン摂取により、OSAの「睡眠時間」、 POMSの「怒り・敵意」、アテネ不眠尺度 などの体感指標が有意に改善した。 *p<0.05, **p<0.01 vs. プラセボ ス コ ア ( 変 化 量 ス コ ア ( 変 化 量 改 善

(7)

次はオルニチンのメンタルストレスへの効果である。この 試験では連続摂取した場合のオルニチンの効果ではなく、 単回摂取による急性的効果を調べている。先ほどの試験 と同様に、ダブルブラインド並行群間比較試験で、被験者 は20歳から42歳までの、男性17名、女性10名。ストレス 負荷の方法には、メンタルテストとして世界標準となってい るTrier Social Stress Test(TSST)を用いた。これはドイツ のトリアー大学で開発されたテストであり、被験者にスピー チ課題や暗算課題といった社会的圧力をかけるような課 題を与える。急性的効果の検証のため、被験者には先程 の継続的効果を測定する試験より多い2400㎎のオルニ チンまたはプラセボ食品をテスト前に1回摂取してもらった。 評価項目としては、客観的なストレス指標としてストレス ホルモンのひとつである唾液中コルチゾールを、主観的ス トレス反応として疲労感、集中力などの自覚に関するアン ケート(VAS:Visual Analogue Scale)を実施した。

TSSTのような強いストレスをかけると、唾液中にコルチ ゾールが分泌されるが、プラセボ食品摂取群と比べてオ ルニチン摂取群は明らかにコルチゾールの分泌反応性が 抑えられ、ストレス負荷後の回復も比較的早かった。ストレ ス負荷後3時間までのコルチゾールの総分泌量を見ても、 オルニチン摂取群の方が有意に少なかった(【図4】参照)。 【図4】 オルニチン摂取によるメンタルストレス改善 【図5】 オルニチン摂取による体感改善

単回摂取でのストレス反応の抑制

12 コルチゾール濃度 改善 Mean ± SEM *p<0.05, **p<0.01, vs. プラセボ 総分泌量(AUC) オルニチン摂取により、 ストレスによるコルチゾール分泌が有意に抑えられた。 オルニチン プラセボ (µg/dl) 2 4 3 ** 0 1 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 プラセボ ストレス オルニチン ** * ** (µg/dl) オルニチン摂取によるメンタルストレス改善 改善 12 コルチゾール濃度 改善 Mean ± SEM *p<0.05, **p<0.01, vs. プラセボ 総分泌量(AUC) オルニチン摂取により、 ストレスによるコルチゾール分泌が有意に抑えられた。 オルニチン プラセボ (µg/dl) 2 4 3 ** 0 1 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 プラセボ ストレス オルニチン ** * ** (µg/dl) オルニチン摂取によるメンタルストレス改善 改善 精神的疲労感 集中力 プラセボ 50 ストレス (mm) 50 プラセボ ストレス (mm) オルニチン摂取による体感改善 精神的疲労感 集中力 プラセボ 50 ストレス (mm) 50 プラセボ ストレス (mm) オルニチン摂取による体感改善 オルニチン摂取群の方が有意に少なかった(【図4】参照)。 TSSTでストレスをかけられた被験者のその後の体感も調 査した。ストレス負荷後は食事や宿泊など可能な限り条件 を一定にしたが、オルニチン摂取群では特に翌朝の精神 的疲労感が大幅に軽減していた。同時に集中力もプラセ ボ摂取群より高かった。以上のことから、オルニチンはコル チゾール分泌量という生理学的変化だけでなく、体感的に も有意にメンタルストレスを改善すると言える(【図5】参照)。 以上のことから、メンタルストレス負荷時のオルニチンの 単回摂取試験においては、連続摂取と同じように、唾液中 コルチゾール、あるいは翌日の疲労感・集中感が有意に 改善されることが明らかになった。つまり、ストレスを感じて いる人に対して、単回でもオルニチンの効果は期待できる と考えて良い。 今日は、日常生活のなかでオルニチンを連続摂取した 場合と、オルニチンを単回摂取し、急性ストレス負荷を実 験的に与えた場合の試験結果を紹介した。どちらの結果 もオルニチン摂取が、客観的指標である血液および唾液 中のストレスホルモンを低下させることがわかった。また主 観的には、とくに睡眠の質や気分の改善、精神的疲労感 の除去に作用することも示され、このようなことから、翌朝 の精神的疲労感の軽減につながったと推察される(【図6】 参照)。 13 オルニチン摂取群は精神的疲労感、集中力の体感が 特に翌朝で有意に改善した。 Mean ± SEM *p<0.05 vs. プラセボ オルニチン * -50 0 -50 0 オルニチン プラセボ * 改善 改善 13 オルニチン摂取群は精神的疲労感、集中力の体感が 特に翌朝で有意に改善した。 Mean ± SEM *p<0.05 vs. プラセボ オルニチン * -50 0 -50 0 オルニチン プラセボ * 改善 改善 14 オルニチン オルニチンオルニチン オルニチン 摂取 摂取摂取 摂取 オルニチンの オルニチンの オルニチンの オルニチンの摂取摂取摂取摂取は、 •急性ストレス反応を減弱させるとともに、翌朝の疲労感を改善させる など、ストレスストレスストレス軽減ストレス軽減軽減軽減に有効である。 •日頃疲れを感じている方に対して、ストレス指標を改善し、睡眠の質 や気分を改善させるなど、疲労感軽減疲労感軽減疲労感軽減疲労感軽減に有効である。 唾液中コルチゾールの 低下 コルチゾール/DHEA-S 比の低下 客観的評価 睡眠の質の改善 •疲労感 •入眠と睡眠維持 •睡眠時間 気分の改善 •怒り・敵意 •混乱 •集中力 主観的評価 ストレス軽減 疲労感軽減 オルニチンの効果 14 オルニチン オルニチンオルニチン オルニチン 摂取 摂取摂取 摂取 オルニチンの オルニチンの オルニチンの オルニチンの摂取摂取摂取摂取は、 •急性ストレス反応を減弱させるとともに、翌朝の疲労感を改善させる など、ストレスストレスストレス軽減ストレス軽減軽減軽減に有効である。 •日頃疲れを感じている方に対して、ストレス指標を改善し、睡眠の質 や気分を改善させるなど、疲労感軽減疲労感軽減疲労感軽減疲労感軽減に有効である。 唾液中コルチゾールの 低下 コルチゾール/DHEA-S 比の低下 客観的評価 睡眠の質の改善 •疲労感 •入眠と睡眠維持 •睡眠時間 気分の改善 •怒り・敵意 •混乱 •集中力 主観的評価 ストレス軽減 疲労感軽減 オルニチンの効果 【図6】 オルニチンの効果

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私たちが自分の体調を考えるとき、「痛み」や「だるさ」な どに加えて重要な判断材料としている要素がある。それは 「顔色や肌の調子」だ。オルニチンが疲労・ストレスを軽減 する効果はすでに報告されているが、私からは疲労・ストレ スの典型的な症状のひとつである肌の状態に対するオル ニチンの効果について検証した試験結果を発表したい。 肌は体調を映す鏡である。誰しも毎日一回は鏡の前に 立ち自分の顔を見ると思われるが、疲れやストレス、不規 則な生活を自覚しているとき、鏡に映る自分の顔にその影 響を感じることは多いだろう。特に女性にとって、くすみや シワ、目の下のクマが増えるなど、肌は体調を鋭敏に映し

疲れ・ストレスで肌の状態は悪化する

森田 祐二

東京シナジークリニック院長/ 同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター研究員 1984年東京医科大学卒業。国立がんセンター、札幌医大等で内科臨床・研究活動を経て、2005年か ら札幌アンチエイジングラボラトリー所長、2007年から銀座アンチエイジングラボラトリー所長を兼務し、 2011年、抗加齢医療と先端抗癌医療を行う東京シナジークリニックの立ち上げに参加し院長就任。日本 内科学会認定医、日本呼吸器学会指導医、日本抗加齢医学会専門医として診療に従事する傍ら、日 本抗加齢医学会評議員、東京医科大学兼任講師、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター研究 員として講演・メディア等による啓蒙活動や学会・研究活動を精力的に展開している。

オルニチンの疲れ肌改善効果

疲れやストレスを原因とした肌質低下を、その性質上 「疲れ肌」と名付ける。この「疲れ肌」の改善には疲労やス トレスの軽減が非常に重要な解決策であるが、日常生活 で摂取する食品だけで対応することは難しい。そこで、久 留米大学大学院・津田彰先生らによって疲労やストレスの 軽減効果が報告されている機能性素材・オルニチンの 「疲れ肌改善効果」を検証した。 被験者は25歳から60歳までの健康な日本人女性。「疲 れ気味」かつ「同年代女性に比べ肌質が悪い」と回答した 方・ 40名を無作為に2グループに分け、8週間に渡りオル ニチン400㎎、またはプラセボ食品を毎日摂取してもらっ

「疲れ肌」改善とオルニチン

シワ、目の下のクマが増えるなど、肌は体調を鋭敏に映し 出すバロメーターであると言って良い。 では、肌質はどのように悪化するのか。根底には現代人 の生活環境やライフスタイルから来る悪影響が考えられる。 不規則な生活や日々の生活の中で受ける様々なストレス、 喫煙や飲酒といった嗜好品、食品からの影響などが代表 的だ。こうしたファクターによって人は疲労を感じ、場合に よっては病気になる。その結果として肌質悪化が引き起こ されるのである。くすみの原因、アトピー性皮膚炎の増悪 因子として疲労・ストレスを位置づける論文もあり、肌と疲 労・ストレスは密接な関係にあると言えよう(【図1】参照) 。 【図1】 肌質が悪くなる流れ 肌質が悪くなる流れ 生活環境やライフスタイルの悪影響 不規則な生活、ストレス、喫煙、過度の飲酒、 食べ物(農薬、添加物、過剰糖質など )、強い紫外線、電磁波、、 疲労などの体調不良、様々な病気

肌質悪化

肌質が悪くなる流れ 生活環境やライフスタイルの悪影響 不規則な生活、ストレス、喫煙、過度の飲酒、 食べ物(農薬、添加物、過剰糖質など )、強い紫外線、電磁波、、 疲労などの体調不良、様々な病気

肌質悪化

ニチン400㎎、またはプラセボ食品を毎日摂取してもらっ た。試験期間中、オルニチン摂取群のうち1名に疾患が発 見されたため、最終的に39名の試験結果となった。 試験はダブルブラインド並行群間比較試験という方法を 採用した。ダブルブラインドとは、オルニチンを飲んでいる のか、プラセボ食品(オルニチンの入っていない試験食 品)を飲んでいるのかが、被験者側にも試験を実施する側 にも分からないように行う試験を指す。この方法により、被 験者の思い込みによる影響(プラセボ効果)を排除し、評 価側にもバイアスが掛かることがない。 試験結果は主観的評価と客観的評価の両方で評価を 行った。主観的評価では3つのアンケートを採用した。1つ 目は、 「皮膚に関する体感評価(VAS : Visual Analogue Scale)」。2つ目は日本抗加齢学会で汎用されている「抗 加齢QOL共通問診票」。これは、心と身体の諸症状を5段 階で評価するものである。3つ目が「皮膚に関する問診票」 である。被験者には、試験開始前、2週目、4週目、6週目、 8週目と計5回、アンケートに回答して頂いた。客観的評価 では最新の測定機器を使用した。ひとつは皮膚の粘弾性 を測定する「キュートメーター」。もうひとつが、皮膚のシミ、 特に肉眼では発見できず将来的なシミの予備軍である 「隠れジミ」を測定できる皮膚画像解析カウンセリングシス テム「VISIA(ヴィジア)」。このふたつにより、試験開始前、4 週目、8週目と計3回、被験者の肌質を客観的に評価した。

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まず主観的評価の結果について報告する。 VASでの結果を解析すると、「疲労感の程度が強い人ほ ど体感としての肌質が悪い」ということが明らかになった。 逆の言い方になるが、疲労の程度が弱い人は自分の肌質 が良いと、主観的に感じているということになる。統計学的 には相関係数が0.44であり、「疲労感(体感)と肌質(体 感)は中程度の相関性がある」ということになった。 さらに、試験開始時の疲労のVASスコアが60以上、つま り疲労の程度がかなり強いという方だけを対象とした層別 解析では、オルニチン摂取群、プラセボ摂取群、ともに経 時的に疲労感は改善傾向を示したが、オルニチン摂取群 でより早期に改善傾向が認められた。特に、試験開始後6 週目ではプラセボ摂取群に対して有意な傾向が見られた (【図2】参照)。 次に「抗加齢QOL共通問診票」でのアンケートの結果を 示す。「身体の症状」というカテゴリーの中の「肌の不調」と いう項目におけるオルニチン摂取群とプラセボ摂取群での 群間比較を見ると、試験開始8週後でオルニチン摂取群 がプラセボ摂取群に対して統計学的有意に肌の不調の体 感が改善したことが分かった(【図3】参照)。 最後に「皮膚に関する問診票」の結果である。「肌全体 【図2】 疲労感の変化 【図3】 肌質に関するアンケート(抗加齢QOL共通問診票)

オルニチンは肌質の体感を改善する

肌質に関するアンケート オルニチン群(12名) プラセボ群(15名) 抗加齢QOL共通問診票(身体の症状):「肌の不 調」 0 . 0 0 . 0 0 . 0 0 . 0 肌質に関するアンケート オルニチン群(12名) プラセボ群(15名) 抗加齢QOL共通問診票(身体の症状):「肌の不 調」 0 . 0 0 . 0 0 . 0 0 . 0 15 疲労感の変化 より疲労を感じている方の疲労感の変化を調べました。 プラセボ群(15名) オルニチン群(12名) 改 改 改 改 善 善 善 善 ※より疲労を感じている方: 試験開始時の「疲労」VASスコアが60以上の 方 オルニチン群で、より早期に疲労が改善する傾向が観察さ れた (♭:P < 0.1) -40 -30 -20 -10 0 0 0 0 0週週週週 2222 週週週週 44週44週週週 6666 週週週週 8888 週週週週 「「「「 疲 労 疲 労 疲 労 疲 労 」 V A S 」 V A S 」 V A S 」 V A S ス コ ア ス コ ア ス コ ア ス コ ア 変 化 量 変 化 量 変 化 量 変 化 量 ♭ 15 疲労感の変化 より疲労を感じている方の疲労感の変化を調べました。 プラセボ群(15名) オルニチン群(12名) 改 改 改 改 善 善 善 善 ※より疲労を感じている方: 試験開始時の「疲労」VASスコアが60以上の 方 オルニチン群で、より早期に疲労が改善する傾向が観察さ れた (♭:P < 0.1) -40 -30 -20 -10 0 0 0 0 0週週週週 2222 週週週週 44週44週週週 6666 週週週週 8888 週週週週 「「「「 疲 労 疲 労 疲 労 疲 労 」 V A S 」 V A S 」 V A S 」 V A S ス コ ア ス コ ア ス コ ア ス コ ア 変 化 量 変 化 量 変 化 量 変 化 量 ♭ 最後に「皮膚に関する問診票」の結果である。「肌全体 がくすんできた」「ハリ・つやがない」「顔色が悪い」「シミ・ソ バカスが気になる」など全16項目から成るアンケートの結 果を見ると、全体的にオルニチン摂取群で改善傾向を示 した。特に、「全体的に肌が乾燥する」という項目では、試 験開始8週後で統計学的有意な結果が得られた(【図4】 参照)。 以上が主観的評価によるオルニチンの疲れ肌改善効果 の試験結果である。 【図4】 肌質に関するアンケート 16 (*:P < 0.05 ) 肌質の不調の体感が有意に改善した。 変化量(8週) - 2 . 4 - 2 . 4 - 2 . 4 - 2 . 4 - 1 . 6 - 1 . 6 - 1 . 6 - 1 . 6 - 0 . 8 - 0 . 8 - 0 . 8 - 0 . 8 **** 改善 16 (*:P < 0.05 ) 肌質の不調の体感が有意に改善した。 変化量(8週) - 2 . 4 - 2 . 4 - 2 . 4 - 2 . 4 - 1 . 6 - 1 . 6 - 1 . 6 - 1 . 6 - 0 . 8 - 0 . 8 - 0 . 8 - 0 . 8 **** 改善 17 肌質に関するアンケート オルニチン群(12名) プラセボ群(15名) 肌の症状のアンケート (*:P < 0.05 ♭:P < 0.1) 肌の体感は全体的に改善する傾向であった。 変化量(8週) 改善 ♭ ♭♭ ♭ 髪 髪髪 髪のののの毛毛毛毛がががが細細細細くなったくなったくなったくなった 肌全体 肌全体肌全体 肌全体がくすんできたがくすんできたがくすんできたがくすんできた あごがたるんできた あごがたるんできた あごがたるんできた あごがたるんできた 口角 口角 口角 口角がががが下下下がってきた下がってきたがってきたがってきた 目尻 目尻目尻 目尻がさがってきたがさがってきたがさがってきたがさがってきた 肌荒 肌荒肌荒 肌荒れがれがれが気れが気気気になるになるになるになる 目 目 目 目のののの小小小じわが小じわがじわがじわが気気気気になるになるになるになる ハリ・つやがない ハリ・つやがない ハリ・つやがない ハリ・つやがない 肌 肌 肌 肌がざらつくがざらつくがざらつくがざらつく 顔 顔顔 顔がががが脂脂脂っぽい脂っぽいっぽいっぽい 顔色 顔色顔色 顔色がががが悪悪悪い悪いいい 化粧崩 化粧崩 化粧崩 化粧崩れしやすいれしやすいれしやすいれしやすい シミ・ソバカスが シミ・ソバカスがシミ・ソバカスが シミ・ソバカスが気気気気になるになるになるになる ニキビ・ ニキビ・ニキビ・ ニキビ・吹吹吹吹きききき出物出物が出物出物がが出来が出来出来出来やすいやすいやすいやすい 全体的 全体的 全体的 全体的にににに肌肌肌肌ががが乾燥が乾燥乾燥乾燥するするするする 毛穴 毛穴 毛穴 毛穴ががが気が気気気になるになるになるになる 17 肌質に関するアンケート オルニチン群(12名) プラセボ群(15名) 肌の症状のアンケート (*:P < 0.05 ♭:P < 0.1) 肌の体感は全体的に改善する傾向であった。 変化量(8週) 改善 ♭ ♭♭ ♭ 髪 髪髪 髪のののの毛毛毛毛がががが細細細細くなったくなったくなったくなった 肌全体 肌全体肌全体 肌全体がくすんできたがくすんできたがくすんできたがくすんできた あごがたるんできた あごがたるんできた あごがたるんできた あごがたるんできた 口角 口角 口角 口角がががが下下下がってきた下がってきたがってきたがってきた 目尻 目尻目尻 目尻がさがってきたがさがってきたがさがってきたがさがってきた 肌荒 肌荒肌荒 肌荒れがれがれが気れが気気気になるになるになるになる 目 目 目 目のののの小小小じわが小じわがじわがじわが気気気気になるになるになるになる ハリ・つやがない ハリ・つやがない ハリ・つやがない ハリ・つやがない 肌 肌 肌 肌がざらつくがざらつくがざらつくがざらつく 顔 顔顔 顔がががが脂脂脂っぽい脂っぽいっぽいっぽい 顔色 顔色顔色 顔色がががが悪悪悪い悪いいい 化粧崩 化粧崩 化粧崩 化粧崩れしやすいれしやすいれしやすいれしやすい シミ・ソバカスが シミ・ソバカスがシミ・ソバカスが シミ・ソバカスが気気気気になるになるになるになる ニキビ・ ニキビ・ニキビ・ ニキビ・吹吹吹吹きききき出物出物が出物出物がが出来が出来出来出来やすいやすいやすいやすい 全体的 全体的 全体的 全体的にににに肌肌肌肌ががが乾燥が乾燥乾燥乾燥するするするする 毛穴 毛穴 毛穴 毛穴ががが気が気気気になるになるになるになる

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次に客観的評価の結果についても報告する。 肌の粘弾性を計測する「キュートメーター」によって被験 者の上腕部内側で「肌のはり」を確認した。キュートメー ターは陰圧(1気圧以下)になっているプローブ部分を押し 付けることでその内部に皮膚を引き込み、その時の皮膚の 到達高度をプリズムによって測定する機器である。皮膚の 粘弾性が高ければ(「肌のはり」があれば)、それだけ到達 高度も高くなり、粘弾性が低ければ(「肌のはり」がなけれ ば)、到達高度は低くなる。また、プローブの陰圧を解除す ると引き込まれた皮膚が元に戻ろうとする。この復元速度 が速ければ、これも皮膚の粘弾性が高い、すなわち「肌の はりがある」ということになる。その試験結果は「R2スコア」 という数値で評価され、1に近いほど復元率が高いことを 意味する。 オルニチン摂取群とプラセボ摂取群で皮膚の復元率を 比較すると、試験開始8週後でオルニチン摂取群が有意 差を持って改善傾向を示した(【図5】参照)。 また、皮膚画像解析カウンセリングシステム「VISIA(ヴィ ジア)」により「隠れジミ」を測定した。「隠れジミ」は肉眼で は確認できないが放置しておくと将来的にシミになる可能 性がある、言わば「シミ予備軍」のことを指す。被験者は室 温20℃・湿度50%の部屋に20分安静にした後、左頬の 【図5】 肌のはり 【図6】 隠れジミ(シミ予備軍)

測定機器での客観的評価でも効果確認

18 肌のはり 腕の粘弾性を測定 データ解析 吸 引 開放 使用機器:キュートメーター オルニチン群で、 粘弾性(はり)が有意に改善した。 (*:P < 0.05 ♭:P < 0.1 ) 0 00 0 週週週週 4444 週週週週 8888 週週週週 RRRR 2222 ス コ ア ス コ ア ス コ ア ス コ ア 0.83 0.83 0.83 0.83 0.85 0.85 0.85 0.85 0.87 0.87 0.87 0.87 0.89 0.89 0.89 0.89 0.91 0.91 0.91 0.91 * ** * ♭ ♭♭ ♭ プラセボ群(15名) オルニチン群(12名) 改善 弾力の代表的な評価スコア: R 2 18 肌のはり 腕の粘弾性を測定 データ解析 吸 引 開放 使用機器:キュートメーター オルニチン群で、 粘弾性(はり)が有意に改善した。 (*:P < 0.05 ♭:P < 0.1 ) 0 00 0 週週週週 4444 週週週週 8888 週週週週 RRRR 2222 ス コ ア ス コ ア ス コ ア ス コ ア 0.83 0.83 0.83 0.83 0.85 0.85 0.85 0.85 0.87 0.87 0.87 0.87 0.89 0.89 0.89 0.89 0.91 0.91 0.91 0.91 * ** * ♭ ♭♭ ♭ プラセボ群(15名) オルニチン群(12名) 改善 弾力の代表的な評価スコア: R 2 隠れジミ(シミ予備軍) 顔の隠れジミを測定 隠れジミの数の変化量 - --- 2222 0 00 0 2 22 2 変 化 量 変 化 量 変 化 量 変 化 量(((( 個個個個 )))) プラセボ群(15名) 隠れジミ(シミ予備軍) 顔の隠れジミを測定 隠れジミの数の変化量 - --- 2222 0 00 0 2 22 2 変 化 量 変 化 量 変 化 量 変 化 量(((( 個個個個 )))) プラセボ群(15名) 温20℃・湿度50%の部屋に20分安静にした後、左頬の 皮膚の状態を撮影・解析した。結果、試験開始8週後にお いて、オルニチン摂取群で「隠れジミ」の数が有意に減少 した(【図6】参照)。 以上のように、3種類のアンケート試験による主観的評 価でも、2種類の測定機器による客観的評価でも、オルニ チンの「疲れ肌」改善効果が示唆されることとなった。 オルニチンが「疲れ肌」を改善する作用機序を考えてみ たい。オルニチンを摂取すると肝臓のオルニチンサイクル が活性化する。すると、疲労物質のひとつであるアンモニ アが尿素に変換されて解毒されるため、肝臓でのエネル ギー産生が活発になる。その結果、肌を構成する重要な 成分であるコラーゲンの前駆体であるプロリンなどの産生も 増えるため、結果として肌質が改善されると考えられる。ま たオルニチンは、皮膚(真皮)の構成成分であるコラーゲ ン・エラスチン・ヒアルロン酸を作りだす線維芽細胞の働き を活発にすることも知られており、オルニチンサイクル活性 化という間接的効果だけでなく、直接的にも「疲れ肌」の改 善に寄与していると考えられる(【図7】参照)。 オルニチンのストレス改善効果については、ひとつのメカ ニズムの推定ではあるが、オルニチンサイクルが活性化す ることでストレス軽減効果が認められている「γ-アミノ酪酸 (いわゆるGABA)」の産生も促進されたためとも考えられる。 【図7】 オルニチンの作用機序の推定 19 使用機器:VISIA 画像解析 - --- 12121212 - --- 10101010 - --- 8888 - --- 6666 - --- 4444 - --- 2222 ♭ ♭ ♭ ♭ * ** * 0 00 0 週週週週 4444 週週週週 888 週8週週週 隠隠隠隠 れ ジ ミ れ ジ ミ れ ジ ミ れ ジ ミ変 化 量 変 化 量 変 化 量 変 化 量 改善 オルニチン群で、 隠れジミが有意に改善した。 (*:P < 0.05 ♭:P < 0.1 ) オルニチン群(12名) 19 使用機器:VISIA 画像解析 - --- 12121212 - --- 10101010 - --- 8888 - --- 6666 - --- 4444 - --- 2222 ♭ ♭ ♭ ♭ * ** * 0 00 0 週週週週 4444 週週週週 888 週8週週週 隠隠隠隠 れ ジ ミ れ ジ ミ れ ジ ミ れ ジ ミ変 化 量 変 化 量 変 化 量 変 化 量 改善 オルニチン群で、 隠れジミが有意に改善した。 (*:P < 0.05 ♭:P < 0.1 ) オルニチン群(12名) 24 オルニチンは肝機能を調えて、疲れ肌を改善する考えられます。 真皮 真皮真皮 真皮 コラーゲン コラーゲンコラーゲン コラーゲン ( (( (はり・しはり・しはり・しはり・し わ わ わ わ)))) 表皮 表皮 表皮 表皮 ターンオーバー ターンオーバー ターンオーバー ターンオーバー ( (( (しみ・くすみしみ・くすみしみ・くすみしみ・くすみ)))) 肝 臓 エネルギー 供給 原料供給 (プロリン) オルニチンを摂取すると、 肝機能Up オルニチン オルニチンオルニチン オルニチン オルニチ オルニチ オルニチ オルニチ ン ン ン ン 回路 回路 回路 回路 オルニチンの作用機序の推定 疲労改善⇒疲れ肌改 善 皮膚組織 24 オルニチンは肝機能を調えて、疲れ肌を改善する考えられます。 真皮 真皮真皮 真皮 コラーゲン コラーゲンコラーゲン コラーゲン ( (( (はり・しはり・しはり・しはり・し わ わ わ わ)))) 表皮 表皮 表皮 表皮 ターンオーバー ターンオーバー ターンオーバー ターンオーバー ( (( (しみ・くすみしみ・くすみしみ・くすみしみ・くすみ)))) 肝 臓 エネルギー 供給 原料供給 (プロリン) オルニチンを摂取すると、 肝機能Up オルニチン オルニチンオルニチン オルニチン オルニチ オルニチ オルニチ オルニチ ン ン ン ン 回路 回路 回路 回路 オルニチンの作用機序の推定 疲労改善⇒疲れ肌改 善 皮膚組織

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本日は肝臓専門医として、聞いたことはあるが分かって いるようで分かっていない「脂肪肝」という病態と、その脂 肪肝の予防に対するオルニチンの可能性について、紹介 させて頂ければと考えている。 厚生労働省はウイルス性肝炎の撲滅に力を入れている が、肝臓専門医の立場からすると、脂肪肝やアルコール 性肝炎といった生活習慣と密接な関係にある肝疾患こそ 喫緊の課題と捉えている。 すでに国民的課題となっている肥満であるが、標準体重 の方と比較して「脂肪肝」「糖尿病」「高血圧」といった疾患 に罹る割合が3倍から5倍に達する。また、それぞれは単

脂肪肝とは何か?

河田 則文

1959年生。1986年大阪市立大学卒業。1991年医学博士。1991~92年ドイツフライブルグ大学生化 学研究施設に留学し、肝構成細胞について研究。大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学 教授、大阪市立大学医学部付属病院肝胆膵内科部長、同輸血部部長、肝疾患診療連携拠点病院事 業担当者として活躍中。ウイルス性肝炎、脂肪性肝炎等の分子機構について研究。日本肝臓学会専門 医・指導医、米国消化器病学会Fellow、ISHSR President。

オルニチンのNASH(非アルコール性脂肪肝炎)抑制効果

【図1】 肥満になると様々な疾患の発病が促進される

大阪市立大学大学院医学研究科 教授

肥満

になると様々な疾患の発病が促進される 脂肪肝 糖尿病 睡眠時無呼吸症候群 高血圧 胆石 不妊症 痛風 脳梗塞 心臓動脈疾患 変形性関節症 約5倍 約5倍 約3.5倍 約3.5倍 約3倍 約3倍 約2.5倍 約2倍 約2倍 約1.5倍

肥満

になると様々な疾患の発病が促進される 脂肪肝 糖尿病 睡眠時無呼吸症候群 高血圧 胆石 不妊症 痛風 脳梗塞 心臓動脈疾患 変形性関節症 約5倍 約5倍 約3.5倍 約3.5倍 約3倍 約3倍 約2.5倍 約2倍 約2倍 約1.5倍 に罹る割合が3倍から5倍に達する。また、それぞれは単 一の疾患ではなく、原因・結果の関係、もしくは誘因・増悪 因子になっているため、個別に対応するだけでは不十分で あ る と 理 解 す べ き で あ る 。非 飲 酒 習 慣 者 の BMI ( Body Mass Index)と脂肪肝発症率の関係を見ると、BMI・25以 上の人で約35%、30以上になると約80%が脂肪肝を発 症しており肥満との関係が示唆されている(【図1】参照)。 脂肪肝とは「肝細胞の30%以上に中性脂肪が蓄積した 状態」になると診断される病態であり、放置すると肝炎など を惹き起こす。基本的には良性の疾患であるため、かつて は経過観察で良しとされていたが、時間の経過とともに炎 症を起こし、線維化、肝硬変、肝ガンへと発展しうることが 明らかになるにつれ、医学的にも非常に重要な病態として 注目されるようになってきた。 脂肪肝は大きく二つに分けられる。ひとつはアルコール 摂取を原因とする「アルコール性脂肪肝(AFLD)」とアル コール摂取以外を原因とする「非アルコール性脂肪肝 (NAFLD)」である。アルコール性か否かは、エタノール換 算で20gを日常的に摂取しているかを判断基準としている。 そのNAFLDの中に、肥満を原因とし非進行性の「単純性 脂肪肝」と、アルコールを摂取しないにも関わらずアルコー ル性脂肪肝に似た進展を示す進行性の「非アルコール性 脂肪肝炎」がある。これがNASHと呼ばれる病態である (【図2】参照)。 【図2】 脂肪肝の種類 単純性脂肪肝 肥満によるもの 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) アルコールを摂取しないにもかかわらず アルコール性脂肪肝に類似した進展を示す アルコール性脂肪肝(AFLD) アルコールの摂取を原因とするもの 脂肪肝患者には自覚症状があまり無いが、 倦怠感、易疲労感、食欲不振を訴える人が多い 脂肪肝の種類 非アルコール性脂肪肝(NAFLD) 単純性脂肪肝 肥満によるもの 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) アルコールを摂取しないにもかかわらず アルコール性脂肪肝に類似した進展を示す アルコール性脂肪肝(AFLD) アルコールの摂取を原因とするもの 脂肪肝患者には自覚症状があまり無いが、 倦怠感、易疲労感、食欲不振を訴える人が多い 脂肪肝の種類 非アルコール性脂肪肝(NAFLD) 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5

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「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」の危険性は、1980 年代から米国の病理学者によって提唱されていた。理論 上、まず単純性脂肪肝が発症し、そこにふたつ目の増悪 因子(セカンド・ヒット)が加わることでNASHが惹起されると 考えられている。このセカンド・ヒットには、エンドトキシン(体 内で発生する毒素)やサイトカイン(炎症性物質)の増加、 酸化ストレスの多量発生、鉄分の多量摂取などが含まれ る。このような増悪因子でNASHになった場合、その後放 置すると肝硬変や肝ガンに発展する可能性が高まる。加 えて、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど疾患が進行し ても自覚症状をほとんど呈さない。本人が知らないうちに 恐ろしい病気が進行している可能性があるということを是 非知っておいて頂きたい(【図3】参照)。 日本において、進行型の疾患であるNASHは約100万人。 NASH 予 備 軍 と も 言 え る 「 単 純 性 脂 肪 肝 」 の 患 者 は 約 1,000万人いると考えられている。欧米では人口の約10 ~20%が脂肪肝である。NASHは不可逆性、つまり、一度 NASHになってしまったら単純性脂肪肝には戻らない。そし て、良性疾患である単純性脂肪肝にはない肝硬変や肝ガ ンへの進行リスクがあるため、単純性脂肪肝からNASHへ の進行を抑制することが重要となってくる(【図4】参照)。 このようにNASHという疾患の概念や特徴は徐々に明ら

【図3】 NASHへの進行 : Two Hit Story

【図4】 NASHへの進行 : 予防の重要性

NASHは進行性の恐ろしい病態

NASHへの進行:Two Hit Story

・脂肪酸の代謝異常 ・遊離脂肪酸の増加 ・中性脂肪の増加 ・エンドトキシン、サイトカイン、 アディポサイトカインの異常 ・鉄代謝 ・酸化ストレス ・ミトコンドリア異常 ・インスリン抵抗性 NAFLD(NASH予備群)

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NASH

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肝硬変 肝臓ガン NASHへの進行:Two Hit Story

・脂肪酸の代謝異常 ・遊離脂肪酸の増加 ・中性脂肪の増加 ・エンドトキシン、サイトカイン、 アディポサイトカインの異常 ・鉄代謝 ・酸化ストレス ・ミトコンドリア異常 ・インスリン抵抗性 NAFLD(NASH予備群)

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NASH

NASH

NASH

NASH

肝硬変 肝臓ガン

NASH予備軍:1,000万人

NASH:100万人

本邦において NASHへの進行:予防の重要性

NASH予備軍:1,000万人

NASH:100万人

本邦において NASHへの進行:予防の重要性 このようにNASHという疾患の概念や特徴は徐々に明ら かになってきているが、明確な治療法はないというのが現 状でもある。糖尿病、高血圧、高脂血症といった疾患を伴 うため、これらに対する薬物治療を行うというのが主流で、 NASHに特異的に効果を発揮する治療法は見つかってい ない。 従って、NASH予防のために、最も効果的なのは体重を コントロールすることである。ただし、減量というのはなかな か難しいというのも現実であるため、肝臓を専門に研究す る者としては、NASHに特異的に作用する治療法や医薬品 を開発することが大きな目標となっている(【図5】参照)。 そのひとつの可能性として、我々が白羽の矢を立てたの がオルニチンというアミノ酸である。以下、オルニチンの NASH抑制効果の可能性に関する試験結果を紹介したい。 【図5】 NASH予防のためにできること

NASH:100万人

しかも、肝硬変から肝臓ガンへの

進行の危険性を常に有することに

NASHになってしまうと

もとの単純性脂肪肝には戻らない

NASHへの進行を防ぐことが大切

といわれている

NASH:100万人

しかも、肝硬変から肝臓ガンへの

進行の危険性を常に有することに

NASHになってしまうと

もとの単純性脂肪肝には戻らない

NASHへの進行を防ぐことが大切

といわれている その他のアプローチ

体重を減量すること!

最善の食餌構成成分はまだ検討されていない 急激なカロリー制限は危険である ・脂肪肝が減少しているケースも存在する。 ・脂肪肝と肝線維化との効果が不一致。 ・術後に肝不全が生じたケースが報告されている。 ・手術の術式が一定していない。 NASH予防のためにできること その他のアプローチ

体重を減量すること!

最善の食餌構成成分はまだ検討されていない 急激なカロリー制限は危険である ・脂肪肝が減少しているケースも存在する。 ・脂肪肝と肝線維化との効果が不一致。 ・術後に肝不全が生じたケースが報告されている。 ・手術の術式が一定していない。 NASH予防のためにできること

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我々は、ヒトのNASHに非常に近い状態の肝臓モデルを 再現できるウサギを作ることに成功している。ウサギを採用 している理由は、マウスやラットとは異なり、脂質代謝経路 がヒトととてもよく似ているためである。このウサギに高コレス テロール・高脂肪食餌を与えることで、9ヶ月後には肝硬 変の病態が完成する。オルニチンは成長ホルモンの分泌 を促進すること、そして、成長ホルモンはコレステロールや 脂質の分解を促進することが、それぞれ既に分かっている。 つまり、このウサギにオルニチンを投与することにより、肝 硬変を持つウサギの脂質代謝系が改善されるのではない か、というのが我々の立てた仮説になる(【図6】参照)。 16~20週齢のオスのウサギに対して8週間、高脂肪食 のみを与える群、高脂肪食とオルニチン75mg/日を与え る群、高脂肪食とオルニチン750mg/日を与える群の3 群間で、オルニチンの脂肪肝抑制効果を検証した。 肝臓中の中性脂肪と総コレステロールを測定すると、肝 臓内のコレステロールはあまり変化がなかったが、肝臓中 の中性脂肪は オルニチン摂取群で減少傾向を示した (【図7】参照)。 また、血中の生科学的指標を見てみると、血糖値にほと んど変化がなかった一方で、中性脂肪は明確な減少傾向 を示し、中性脂肪が分解されたと考えられる遊離脂肪酸 【図6】 オルニチンによる脂肪性肝炎の予防効果の検討 【図7】 肝臓中の中性脂肪および総コレステロール

オルニチンの脂肪肝抑制効果の可能性

60 70 P=0.40 P=0.21 P=0.12 140 160 P=0.39 P=0.28 P=0.34 肝コレステロール 図2.肝臓中の中性脂肪 および総コレステロール 肝中性脂肪 60 70 P=0.40 P=0.21 P=0.12 140 160 P=0.39 P=0.28 P=0.34 肝コレステロール 図2.肝臓中の中性脂肪 および総コレステロール 肝中性脂肪 肝硬変 成長ホルモン コレステロール・ 脂肪分解 ニホンシロウサギ オルニチン NASH GHレセプターの 発現低下 GHシグナル 機構の破綻? コレステロール・ 脂肪の蓄積 脂肪肝亢進 結節の形成 関連有り? ウサギNASHモデルを用いて脂肪肝~NASHを誘発する →オルニチンを投与した際の疾患進行の抑制と GH分泌促進による脂質代謝亢進の確認が可能 高コレステロール・高脂肪食餌 脂肪肝 オルニチンによる 脂肪性肝炎の予防効果の検討 肝硬変 成長ホルモン コレステロール・ 脂肪分解 ニホンシロウサギ オルニチン NASH GHレセプターの 発現低下 GHシグナル 機構の破綻? コレステロール・ 脂肪の蓄積 脂肪肝亢進 結節の形成 関連有り? ウサギNASHモデルを用いて脂肪肝~NASHを誘発する →オルニチンを投与した際の疾患進行の抑制と GH分泌促進による脂質代謝亢進の確認が可能 高コレステロール・高脂肪食餌 脂肪肝 オルニチンによる 脂肪性肝炎の予防効果の検討 を示し、中性脂肪が分解されたと考えられる遊離脂肪酸 は反対に増加傾向を示した。 この結果は、オルニチンに は中性脂肪の分解促進効果がある、ということを示唆して いると言えよう。この結果には、おそらく成長ホルモンが関 与していると考えられるが、実際に肝臓内での成長ホルモ ン受容体の発現数も増加傾向を示していた(【図8】参照)。 以上のことから、オルニチンの投与により中性脂肪の分 解促進効果が得られ、NASHを含む脂肪肝の進行を抑制 する可能性が示唆された。脂肪肝の治療には運動や食 生活の改善に加えて、オルニチンのような脂肪肝の進行 を抑制する可能性のある食品を摂取することも効果的で あると考えられる。脂肪肝の特異的治療薬が開発される までの間、オルニチンのような食品類を摂取することは、 非常に有意義であると言えよう。 【図8】 生科学的評価 0 10 20 30 40 50 60 HFD群 ×1群 ×10群 T G 量 ( m g / dl ) 0 20 40 60 80 100 120 140 HFD群 ×1群 ×10群 T -c h ol 量 ( m g / d l) 高コレステロール・ 高脂肪食群 オルニチン 75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン 75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 高コレステロール・ 高脂肪食群 オルニチン投与による肝中性脂肪の 減少傾向がみられる 0 10 20 30 40 50 60 HFD群 ×1群 ×10群 T G 量 ( m g / dl ) 0 20 40 60 80 100 120 140 HFD群 ×1群 ×10群 T -c h ol 量 ( m g / d l) 高コレステロール・ 高脂肪食群 オルニチン 75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン 75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 高コレステロール・ 高脂肪食群 オルニチン投与による肝中性脂肪の 減少傾向がみられる 肝臓における成長ホルモン(GH)受容体発現解析 オルニチン 75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン 75 mg/日 血糖値 中性脂肪 遊離脂肪酸 高コレステロール・ 高脂肪食群 高コレステロール・高脂肪食群 高コレステロール・高脂肪食群 高コレステロール・ 高脂肪食群 図3.生化学的評価 ●血糖値には影響することなく、 中性脂肪↓、遊離脂肪酸↑ →体内の脂肪分解作用が促進 ●GH受容体量の増加 →GHによる脂肪分解系促進 の可能性が示唆される R e la ti ve e x p re ss io n / G A P D H GH受容体量 血液生化学評価 肝臓における成長ホルモン(GH)受容体発現解析 オルニチン 75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン75 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン 750 mg/日 オルニチン 75 mg/日 血糖値 中性脂肪 遊離脂肪酸 高コレステロール・ 高脂肪食群 高コレステロール・高脂肪食群 高コレステロール・高脂肪食群 高コレステロール・ 高脂肪食群 図3.生化学的評価 ●血糖値には影響することなく、 中性脂肪↓、遊離脂肪酸↑ →体内の脂肪分解作用が促進 ●GH受容体量の増加 →GHによる脂肪分解系促進 の可能性が示唆される R e la ti ve e x p re ss io n / G A P D H GH受容体量 血液生化学評価

参照

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