• 検索結果がありません。

実験社会心理学研究第 48 巻第 2 号 の不公平是正行動が実験室で起こったという実験結果を単に記述するのには十分である しかし, 人々がなぜそのような選好を持つに至ったのか, どのような状況において第三者による不公平是正行動が現れるのかといった問題が残されてしまう そこで本研究では, これらの問い

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "実験社会心理学研究第 48 巻第 2 号 の不公平是正行動が実験室で起こったという実験結果を単に記述するのには十分である しかし, 人々がなぜそのような選好を持つに至ったのか, どのような状況において第三者による不公平是正行動が現れるのかといった問題が残されてしまう そこで本研究では, これらの問い"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

〔原 著〕

二次の協力行動としての第三者による罰行動

品 田 瑞 穂

北海道大学日本学術振興会特別研究員

要   約

近年の実験研究では,社会的交換において第三者の立場にある参加者が,参加者自身にとって罰行動が何 の利益ももたらさない場合であっても,他者を搾取した非協力者を罰するためにすすんでコストを支払うこ とが示されている。本研究では,このような第三者による罰行動は,協力的な社会的交換を維持するための 二次の協力行動であると考える。重要な社会的交換が外集団成員よりも内集団成員との間で行われることを 所与とすると,第三者による罰行動は内集団成員に対してより向けられやすいと考えられる。Shinada, Yamagishi, & Ohmura(2004)はこの予測を検討する実験を行い,協力者は内集団の非協力者をより強く罰す るが,非協力者は逆に外集団成員を強く罰するという結果を示している。本研究は,Shinada らの実験にお ける外集団への罰行動を,相手との利益の差を最大化するための競争的行動と解釈し,罰しても相手との利 得差が拡大しない実験で,参加者が内集団成員と外集団成員に対し罰の機会を与えられる実験を実施した。 実験の結果,仮説を支持する結果が得られた。参加者は,外集団の非協力者よりも内集団の非協力者を罰す るためにより多くの金額を支払った。 キーワード:第三者による罰行動,社会的交換,二次の協力行動,利他的罰,内集団バイアス 問   題 これまで社会心理学においては,人間の持つ重要な特 性の一つとして,自分と他者を比較して自分の状態を評 価する性質があることが示されてきた(Festinger, 1954)。 ただし,こうした社会的比較による人間行動の理解は, 社会科学のすべての分野で共有されてきたわけではな い。とりわけ,伝統的な経済学においては,他者の状態 を無視し自己利益のみを考える人間像が共有されてきた (Edgeworth, 1881)。しかし近年では経済学においても, 上記の自己利益追求型モデルの見直しが始まっており, 他者利益や自他の利益の公平性を考慮に入れた上で自己 利益を評価する人間モデルの理論的・実証的検討が行わ れつつある(Gintis, Bowles, Boyd, & Fehr, 2005)。

このような流れの中で,Fehr & Fischbacher(2004)は, 人々が自他の不公平だけを気にするだけでなく,他者間 の不公平をも是正しようとすることを実験によって示し た。彼らの実験では,参加者は第三者の立場に置かれ, 自分以外の参加者に対し不公平な利益分配をした者や, 交換において非協力行動をとった者の利益を減らす機会 を与えられる。ただし,相手の利益を減らすには,自分 のお金を払わなければならない。従って,伝統的な経済 学のモデルでは,参加者が自分のお金を払う可能性はゼ ロと予測される。しかし実際には,多くの参加者がすす んで自分のお金を減らしてでも,不公平な行動をした相 手の利益を減らそうとした。 近年の実験経済学の分野では,このような不公平是正 行動はしばしば,人々が自分自身の利益だけでなく,他 者の利益にも効用を持つと仮定する社会的選好モデルで 説明される(Fehr & Schmidt, 1999; Falk & Fischbacher, 1999)。特に,Fehr & Fischbacher(2004)で挙げられた 社会的選好モデルは,手続き的公正や公正の基準といっ た問題には立ち入らず,利得の平等――とりわけ結果の 平等を志向する人間像を念等に置くものであった1)。こ

れらのモデルは,利益格差を嫌い,その差を減らすこと で効用を得るような人間像を仮定する。従って,第三者

(2)

の不公平是正行動が実験室で起こったという実験結果を 単に記述するのには十分である。しかし,人々がなぜそ のような選好を持つに至ったのか,どのような状況にお いて第三者による不公平是正行動が現れるのかといった 問題が残されてしまう。 そこで本研究では,これらの問いに答えるために,第 三者による不公平是正行動を,平等の達成という抽象的 な文脈ではなく,集団内の社会的交換における協力の達 成という適応課題において意味を持つ行動だと考える。 そのため,まず第三者による不公平是正行動を,集団内 の社会的交換において相互協力関係を形成するための二 次の協力行動として位置づけた。そしてその上で,交換 関係を共有する集団内では不公正是正行動が強く現れる という仮説を立て,実験による検討を行った。以下では, まず本研究が焦点を当てる不公平是正行動に関する先行 研究を概観し,社会的交換理論の観点からこの行動に関 して議論する。その後,本研究の具体的な仮説と実験の 説明を行う。 第三者による罰行動 上述のように,近年,経済学において,それまでの自 己利益追求型の人間像とは異なり,利他性を組み込んだ 新たな人間モデルの構築が進められている。これらの一 連の研究は,数理解析による理論モデルの提案(Gintis, 2000)から利他行動の神経生物学的基盤の解明(McCabe, Houser, Ryan, Smith, & Trouard, 2001)まで幅広い分野に 及ぶが,その基礎となっているのは,人間の“非合理性” を示す実験ゲーム研究である(Camerer, 2003; Fehr & Fischbacher, 2003)。非合理性とは,たとえば完全に匿名 性を保障された状況において,将来の見返りが期待でき ない相手に対して一方的に資金を与える行動のように, 自己利益追求型の行動原理では説明できない行動傾向を 指す。なお,絶対的な利益の最大化を犠牲にしても他者 との利得格差の最大化を目指す競争的動機なども,他者 の利益を無視していないという点で非合理性と考えられ る。したがって,非合理的な行動が必ずしも利他的な行 動であるとは限らない(Falk, Fehr, & Fischbacher, 2001)。

こうした人間の非合理的な行動傾向の一環として,実 験経済学者の Fehr & Fischbacher(2004)は,「第三者に よる罰行動(Third-party punishment)」の存在を挙げてい

る。Fehr & Fischbacher(2004)は,人間には自己利益に 反しても協力規範や公平規範に則って行動する傾向があ ると考え,この考えの妥当性を実証するために,他の一 切の利害関係を排除した状況を実験室に設定した。現実 社会では,一見無私の行為に見える罰行動も,罰の行使 者の評判を高め,その長期的自己利益に資する可能性が 排除できない。そこで彼らは,罰行動がけっして罰の行 使者の自己利益を生み出さない状況でもなお,コストを かけて規範の逸脱者を罰するかどうかを調べるため,以 下 に 述 べ る「第 三 者 に よ る 罰 ゲ ー ム(third-party punishment game)」2)を実施した。このゲームでは,自 分とは無関係な他の二人の参加者 A と B が社会的交換を 行なった結果,A が B を搾取し,B よりも高い利益を得 るという状況を設定した。参加者はこの状況で,自分が 実験者から与えられた金銭的な元手のいくらかを使っ て,A あるいは B から利益を差し引くかどうかを決定す る。制裁の対象者は,参加者が支払った金額の 3 倍の金 額を差し引かれる。B に関しても同様に決定が行われる。 なお,この実験は参加者の決定で終了するため,参加者 の罰行動が(例えば参加者に対する他の人々の行動の変 化を通して)参加者自身の将来の利益に跳ね返ってくる 可能性は存在しない。したがって,自分の利益を減らし て A の利益を差し引くという行動は,A と B,そして自 分自身との間の利益の不平等を減らし,結果の平等を達 成したいという動機(inequity aversion)に基づく行動で あると彼らは議論している。この実験の結果,彼らの予 測通り,かなり多くの参加者が,非協力的な参加者 A の 利益を差し引くために自分の元手を支払うことが示され た(これに対し,A に搾取された B の利益を差し引くた めに元手を支払った参加者は非常に少数であった)。従っ て,人々には,たとえ自分が第三者的な立場であっても, コストをかけて規範の逸脱者を罰する傾向があることが 明らかにされた。 二次の協力行動としての罰行動 それでは,なぜ人々は,このような“非合理的”な行 動傾向を持っているのだろうか。実験では,参加者が自 分の元手を支払って非協力的な A を罰したとしても,A や B から利益を得られる可能性はない。したがって,参 加者の行動を自己利益最大化の原理から説明することは 1)Falk & Fischbacher(2006)は,プレーヤーの行動の結果と,その行動をとった意図の両方を効用関数に含む

モデルを提案しており,このモデルは広義の手続き的公正を含むと考えられる。ただし,Fehr & Fischbacher (2004)においては,意図と第三者による不公平是正行動の関係について予測はされていない。

2)ただし,先行研究においても本研究においても,参加者への教示の中では,「罰」や「協力」といった言葉は 使わず,「差し引く」という中立的な言葉を用いて説明した。

(3)

できない。Fehr & Fischbacher(2004)は,単純な自己利 益ではなく,他者との利得格差に不満足を感じるという 社会的選好により参加者の行動を記述しているが,なぜ 人々が特定の選好を持つのかという問題が残ってしま う。 この問題に対し,本研究は,社会的交換理論の立場か ら説明を試みる。社会的交換理論では,人間の相互作用 を資源の交換として捉え,その交換を大きく 2 つの形態 に分類する。一つは,2 者が互いに資源を渡しあう限定 交換であり,もう一つは,A が B に資源を渡し,B は C に,C は D に,D が A に資源を渡すというように,資源 を渡す相手と渡される相手が異なる一般交換である (Ekeh, 1974)。一般交換では,特定の相手との間には交 換が行われないが,他者一般との間に交換が成り立って いる。この 2 つの交換のうち,限定交換は互いに相手の 行動をコントロールする互恵的利他主義(Trivers, 1971) によって説明がつくのに対し,一般交換を成立に導く原 理の解明は今なお議論の対象となっている(Brandts & Sigmund, 2005; Takahashi & Mashima, 2005)。ただし,総 じて言えるのは,純粋な利他主義では一般交換は成立し えず,協力的な人々にだけ協力するといった,ある特定 の基準にしたがって協力する“差別的利他主義”(Hardin, 1982)を必要とするということである。誰にでも協力す る無差別的な利他主義のもとでは,利己的な個人が利他 主義を駆逐してしまう。これに対して,差別的利他主義 のもとでは,人々は協力的な人々にだけ協力するように するため,「協力すれば他の誰かから協力してもらえるけ れど,協力しなければ誰からも協力してもらえない」と いう状況が成り立ち,利己的な個人も協力するようにな るからである。つまり協力的な交換関係は,差別的に行 われる限り成り立つということになる。山岸ら(神・山 岸・清成,1996; Yamagishi, Jin, & Kiyonari, 1999; Yamagishi & Kiyonari, 2000; Yamagishi, Makimura, Foddy, Matsuda, Kiyonari, & Platow, 2005)はこのような差別的な利他主義 をもって,社会心理学で研究されてきた内集団に対する 優先的な協力行動,すなわち内集団ひいきの生起を説明 する一連の研究を行っている。これらの一連の研究では, 一貫して,内集団に対する優先的な協力行動が,集団内 に交換関係が存在するときに特に強く生起した。 本研究は,以上の差別的利他主義の議論が罰行動にも 適用可能であると考える。つまり第三者による罰行動も, 協力行動と同様に,無差別ではなく差別的に行われると 考える。なぜなら,コストを払って利己的な他者から利 益を差し引く罰行動は,その他者から将来の協力を引き 出すという点で二次の協力行動(Yamagishi, 1986)にな りうるからである3)。協力行動は,実験経済学や生物学 など広い分野で「コストを支払って他者に利益を与える 行動」と定義されるが,この定義は罰行動にも当てはま る。なぜなら,罰の行使にもコストを支払う必要がある と同時に,罰された非協力者が協力者に転じたときの利 益が罰の行使者以外にも享受されうるからである。 以上の議論より,本研究は,第三者による罰行動が協 力的な交換関係を維持するための二次の協力行動である と位置づける。そしてこの理論的な仮説から,第三者に よる罰行動は一次の協力行動と同様,一般交換を行う内 集団成員に対して差別的に行われやすいと予測する。こ の予測を検討するために,本研究では,参加者自身と一 般交換を行う内集団と,参加者とは無関係な外集団の二 つを参加者に提示し,どちらの場合に非協力的な他者を 罰するためにより多くの金銭的なコストを支払うかを測 定する実験を行う。第三者による罰行動が内集団成員に 対して行われやすいとする本研究の予測は,本研究にさ きがけて行なわれた著者らの研究(Shinada, Yamagishi, & Ohmura, 2004)においては,部分的にしか支持されてい ない。そのため以下では,まず先行研究とその問題点に ついて概観した後,それらを考慮して行なわれた本実験 について具体的に説明する。 罰行動に集団所属性が及ぼす影響 本研究にさきがけて,著者らは,第三者による罰行動 が内集団成員により強く向けられるかどうかを検討する ために,以下に述べる第三者による罰ゲームの変形版を 考案した(Shinda et al., 2004)。このゲームでは,A,B, Cの三人からなる参加者グループ G1 と,D,E,F の三 人からなる参加者グループ G2 が,それぞれグループ内 で一般交換ゲームを行う。各参加者にとっては,グルー プG1 は参加者と同じ学部の学生からなる内集団であり, グループ G2 は参加者とは異なる学部の学生からなる外 集団である。学部を集団として用いた場合には,一般交 換の場としての集団の特徴を十分に反映していない可能 3)罰行動を二次の協力行動として捉える限り,理論的には,罰するためのコストを支払わない個人に対する罰 が必要となるはずである。つまり,罰によって非協力者が協力に転じた場合には,その協力の利益は集団の 全員が享受できるので,罰は二次的な公共財となる。したがって罰行動を協力行動として捉えることには, 理論的には二次的社会的ジレンマ問題(Oliver, 1980)が付随するが,本研究ではこの理論的な問題自体の解 決可能性については扱わない。

(4)

性はあるが,現実の一般交換を伴う集団を実験室に持ち 込むのは困難である。そのため,後述する方法を使って 集団内に一般交換を作り出した。 一般交換を伴う可能性がある集団状況であることを最 初に説明された上で,A から F の各 6 名は,実験者から 金銭的な元手を与えられる。次に,グループ G1 では,A は B に,B は C に,C は A に対してその元手のうちいく らを渡すかを決める。グループ G2 でも,D,E,F が同 様に元手のいくらを渡すか決定する。元手を渡すと自分 はそれを失うが,2 倍になって相手の利益となるため, 渡すことが協力行動である。参加者自身も最初は内集団 (G1)の一員としてこの一般交換に参加するが,最終試 行では,参加者自身は第三者の立場に置かれ,内集団 (G1),外集団(G2)のどちらのグループの一般交換にも 参加しない。最終試行における参加者の課題は,一般交 換を行った他の参加者に対し,自分の金銭的な元手のい くらかを使って罰するかを決めることである。具体的に は,参加者は,A から F の参加者のそれぞれに対し,相 手の利益を差し引くかを決めなければならない。Fehr & Fischbacher(2004)と同様に,罰のターゲットは,参加 者が罰のために支払った金額の 3 倍の金額を差し引かれ る。また,ゲームは参加者の決定で終了するため,参加 者の罰行動が参加者自身の将来の利益に跳ね返ってくる 可能性は存在しない。 この実験の結果は,内集団成員に対して第三者による 罰行動が起こりやすいという著者らの仮説を概して支持 していた。つまり参加者は,非協力者が外集団成員であ るときよりも,内集団成員であるときに,非協力者から 報酬を差し引くためにより多くの金銭的コストを支払っ た。しかし一方で,仮説が支持されなかった部分も残さ れた。上述のように,参加者は,第三者による罰ゲーム を行う前に一般交換ゲームに参加したが,この事前に行 われた一般交換ゲームで内集団成員に対し協力的だっ た,つまり元手の多くを渡した参加者は,その後の第三 者による罰ゲームの際に,外集団よりも内集団の非協力 者を罰するために多くの金銭的コストを支払った。一方, 内集団成員にあまり元手を提供しなかった参加者は,第 三者による罰ゲームの際に,内集団より外集団の非協力 者を罰するために多くの金銭的コストを支払っていた。 なぜ内集団成員に元手を提供しなかった参加者(非協 力者)は,非協力的な内集団成員よりも,非協力的な外 集団成員をより強く罰したのだろうか。本研究では,こ のような結果が得られた原因は,先行研究における実験 状況での罰行動に,二次の協力行動としての側面と,他 者との利得差の拡大をめざす「格差拡大行動」としての 側面の両方が含まれていた点にあると考える。格差拡大 行動とは,利益の絶対的な大きさとはかかわりなく,相 手よりも多くの利益を得て相対的な利益の差を拡大する 行動である。先行研究の状況では,罰行動にはコストが かかるので自分の絶対的な利益は減ってしまうものの, 罰の対象との利得差を拡大する。なぜなら,罰の行使者 は自分の利益 1 単位を使うことで,罰対象の利益を 3 単 位減らすことができたからである。ここで,他者に対し て常に優位性を確保したいと考えている「競争的動機」 (Gärling, Fujii, Gärling, & Jakobsson, 2003; van Lange,

1999)の持ち主である X さんを考えてみよう。この X さん は,一般交換ゲームでは,元手を渡さないという非協力 行動を取るだろう。元手を渡さなければ相手の利益は増 えず,自分の利益が相対的に大きくなる。また元手を渡 さなければ,元手を渡している人よりも自分の利益が大 きくなる。従って,X さんの競争的動機は,一般交換ゲー ムにおいては非協力行動を取ることで達成される。その ため,自分がすでに優位に立っている内集団成員に対し ては,さらにコストをかけて罰ゲームにおいて格差拡大 行動を取る必要がない。しかし外集団の非協力者は交換 ゲームにおいて自分よりも多くの利益をあげている可能 性があり,したがって外集団の非協力者よりも大きな利 益をあげるためには,外集団の非協力者に対して格差拡 大行動を取る必要がある。つまり競争的動機の持ち主は, 一般交換ゲームでは非協力行動を取り,罰ゲームにおい ては外集団成員に対して格差拡大行動をとる。このよう に,一般交換ゲームで非協力行動を取った参加者が罰 ゲームにおいては外集団成員をより強く罰したという先 行研究の結果は,格差拡大をめざす競争的動機を仮定す ることで説明可能である。 以上をまとめると,先行研究の問題点は,罰行動が二 次の協力行動であると同時に,利得差を拡大する行動で もある利得構造を設定していた点にある。本研究では, 罰によって相対的な利得が変わらず,罰の対象との格差 を拡大できない状況を設定した上で,内集団成員に対し て第三者による罰行動が起こりやすいかどうかを検討す る。以下の手続きで詳述するが,本研究では先行研究と 同様に,内集団に所属する非協力者と外集団に所属する 非協力者を参加者に提示し,どちらの場合により多くの 金銭的なコストを支払って罰するかを測定する。ただし 本研究では,罰の行使者が自分の利益を 1 単位使ったと きに,罰対象の利益が同じく 1 単位だけ減るようにした。 この状況では,罰の対象と罰の行使者の利益は同じだけ 減るため,罰による格差の拡大は不可能である。

(5)

実   験 方法 参加者は実験室に到着後,ID 番号を記載されたカード を渡され,一人ずつパソコンの設置された実験用個室に 案内された。その後の参加者の決定は,匿名性を保障す るため,ID 番号をもとに処理された。始めに各参加者 は,実験参加のお礼として 300 円を受け取った。その後, 実験には 2 つの異なる学部から 4 人ずつ,計 8 名の学生 が参加しており,4 人ずつの学部グループ(以下では仮 にグループ G1,グループ G2 と呼ぶ)になって実験を行 なうと教示された。グループ G1 は,参加者自身を含む, 参加者と同じ学部の学生 4 人からなる内集団である。一 方,グループ G2 は,参加者とは異なるもう一つの学部 の学生 4 人からなる外集団である。ただし実際には真の 参加者は 1 名のみであり,他の 7 名の「参加者」は存在 しなかった。他の参加者がいるように思わせるため,実 験者は,空の個室を含め 8 個の個室に順に赴き,マウス の使い方について(空の個室においても)教示を行った。 その後の実験の説明は,個室内に設置されたパソコン画 面上に提示され,参加者はその説明に従って,パソコン を通してすべての意思決定を行った。すべての参加者用 PCは LAN ネットワークを通じて別室の制御用 PC から コントロールされていた。 実験では,一般交換ゲーム 1 試行と第三者による罰 ゲーム 1 試行を 1 回のお金の取引として,3 回の取引が 繰り返された。ただし各参加者には,3 回目の最終取引 が始まるまで,取引が何回続くかは伝えられなかった。 1回の取引の流れ 各ゲームの構造を詳述する前に,各 回の取引の大まかな流れを説明する。まずグループ G1 (参加者自身を含む内集団)とグループ G2(外集団)の それぞれから,ランダムに選ばれた 3 名が,それぞれの 集団のなかで一般交換ゲームをプレイする。どの 3 名が 一般交換ゲームのプレーヤーになるかは,毎回の取引の 初めにランダムに決められると教示されるが,実際には 1回目の取引と 2 回目の取引では参加者は必ず一般交換 ゲームのプレーヤーとして選ばれる。以下では説明のた め,グループ G1 の一般交換ゲームのプレーヤー 3 名を A,B,C,グループ G2 のプレーヤー 3 名を D,E,F と 呼ぶ。また,プレーヤーにならなかったグループ G1 の 残りの 1 人を T1,G2 の残りの 1 人を T2 と呼ぶ。(ただ し,これらの ID 記号は実験中には表示されず,参加者 には,他の参加者の行動の履歴はわからないようにされ ていた。)T1 と T2 は一般交換ゲームには参加しない。ま た,一般交換ゲームは,G1,G2 の各グループ内で行わ れ,他のグループのメンバーと交換する機会はない。こ の一般交換ゲームの間,プレーヤー以外の T1 と T2 は, Aから F の 6 名が決定を終えるのを待っている。A から Fの 6 名が一般交換ゲームの決定を終えた後,各プレー ヤーは,自分がいくらを他のプレーヤーから提供された か,その回の一般交換ゲームでいくらを得たかを伝えら れる。同時に,プレーヤー全員の一般交換ゲームの結果 が T1 と T2 に伝えられる。その後,T1 と T2 のうちラン ダムに選ばれたどちらか 1 人,もしくは 2 人ともが第三 者による罰ゲームを行う。ただし,仮に 2 人が罰を行使 できることになった場合,参加者が「外集団の非協力者 は外集団成員が罰するだろうから,自分は罰さなくても 良いだろう」という理由から外集団の非協力者を罰さな くなる可能性がある。そのため,真の参加者が罰の行使 者に選ばれた場合には,参加者だけが選ばれたと教えた。 また,自分がその取引で罰されたかどうかは,すべての 取引が終わるまでわからないと教示されていた。 以上の取引が 3 回繰り返された後,全参加者は操作 チェックを含む事後質問項目に回答し,別室で実験報酬 を受け取って退室した。なお,全実験終了後に十分なデ ブリーフィングが行われた。 一般交換ゲームの構造 各回の最初に,プレーヤーと して選ばれたグループ G1 の 3 名(A,B,C)と,グルー プ G2 の 3 名(D,E,F)は,それぞれ,200 円を元手と して与えられ,その 200 円の元手のうち何円を同じグ ループの別なプレーヤーに渡すかを同時に決定した。グ ループ G1 では,A が B に,B が C に,C が A にという ように,交換は各グループ内で一方向的に行われた。同 様に,グループ G2 では,D が E に,E が F に,F が D に対して元手のうちいくらを渡すかを決定した。他のプ レーヤーに渡すことに決めた金額は,相手に渡される前 に実験者によって 2 倍にされた。たとえばプレーヤー A がプレーヤーB に対し 200 円のうち 150 円を渡すことに した場合には,プレーヤーA の手元には 50 円が残り,プ レーヤー B には 150 円の 2 倍の 300 円が渡された。した がって,一般交換ゲームでは,他の取引参加者に元手を 渡すほど自己利益は減るが,集団全体の利益は増えるよ うになっていた。たとえばグループ G1 の全員が元手の 全額の 200 円を渡すことにしたとすると,各人の元手は 0円になるが,各々が他のプレーヤーから 400 円を受け 取ることができる。一方,グループ G2 では全員が元手 を他のプレーヤーにまったく渡さないことにしたとする と,グループ G2 の各人は 200 円の元手を自分のものに するが,他のプレーヤーからのお金は 0 円である。 プレーヤー全員の決定が終了すると,各プレーヤーは,

(6)

自分自身が他のプレーヤーからいくらを提供されたか, 自分自身がその回の取引でいくらを得たかをコンピュー タ画面上で伝えられた。その後,各プレーヤーは,第三 者による罰ゲームが終わって次の回の取引が始まるまで 待機した。 第三者による罰ゲームの構造 グループ G1 でプレー ヤーにならなかったメンバー(T1)と,グループ G2 で プレーヤーにならなかったメンバー(T2)には,次の第 三者による罰ゲームをプレイする可能性のある「オブ ザーバー」の役割が与えられた。ただし,オブザーバー (T1 と T2)に実際に罰の機会が与えられるかどうかは, T1と T2 のそれぞれについて毎回ランダムに決められる ことになっていた。 第三者による罰ゲームでは,オブザーバー(T1 と T2) は,A から F の計 6 名のプレーヤーが行った一般交換 ゲームで,それぞれ誰が何円を他のプレーヤーに渡した のかを知らされ,それぞれに対して罰を与えるかどうか を決定した。第三者が各プレーヤーを罰する,つまりそ のプレーヤーの報酬を差し引くには,自分自身がそれま での回に獲得した累積獲得額から必要な費用を支払う必 要があった。具体的には,オブザーバーが支払った金額 と同じ額が,罰のターゲットの報酬から差し引かれた。 ただし差し引かれたお金は,オブザーバーを含め,誰の ものにもならなかった。罰のために支払うことのできる 金額は,対象 1 人につき 0 円から 200 円までであった。 なお,第三者による罰ゲームでの決定に関しては,実 験が終了するまで教えられないと教示した。これは,こ のゲームから戦略的行動(非協力的なプレーヤーを後の 回で自分に協力させるために罰するなど)を除くためで ある。 参加者の課題 プレーヤーとオブザーバーはそれぞれ 毎回ランダムに決められると教示されたが,実際にはす べての実験参加者は最初の 1・2 回の取引で一般交換ゲー ムをプレイし,3 回目に第三者罰ゲームをプレイした。 最初の 1・2 回目の取引では,参加者は一般交換ゲーム のプレーヤーとして,同じグループの他のプレーヤーに 元手からいくらを渡すかを決定し,同じグループの別の プレーヤーから元手の全額(200 円)を渡されたと伝え られた。この実験操作は,集団内では一般交換が成立し ているという認識を参加者に持たせるために行われた。 その後,(実際には存在しない)他の参加者がオブザー バーとしての決定を行っている間,参加者はそのまま待 機した。 第 3 回の取引の初めに,すべての参加者は,オブザー バーに割り当てられ,実際に第三者による罰ゲームをプ レイする機会が与えられたと教示された。同時に,戦略 的な罰行動を排除するため,この回で実験が終了するこ とも伝えられた。参加者は一般交換ゲームが終了するま で待機した後,グループ G1 のプレーヤー A,B,C がそ れぞれ元手から何円を提供したのか,グループ G2 のプ レーヤー D,E,F がそれぞれ何円を提供したのかを伝 えられ,2 つのグループの各 6 名のプレーヤーを罰する ためにそれぞれ何円を支払うかを決定した。 実験操作 本実験では,第三者による罰ゲームで参加 者に提示される,一般交換ゲームの結果を実験条件として 操作した。参加者は,内集団(グループ G1)に非常に非 協力的なプレーヤーがいる内集団非協力条件か,外集団 (グループ G2)に非常に非協力的なプレーヤーがいる外集 団非協力条件のどちらかにランダムに割り振られた。 内集団非協力条件では,グループ G1 のプレーヤー A は B に 50 円を提供し,B は C に 180 円を提供し,C は Aに 200 円を提供したと提示された。一方,参加者にとっ ての外集団であるグループ G2 では,プレーヤー D は E に 120 円を提供し,E は F に 160 円を提供し,F は D に 200円を提供したと提示された。このように,内集団非 協力条件では,非常に非協力的なプレーヤー(A)が内 集団に所属していると提示された。 一方,外集団非協力条件では,グループ G1 とグルー プ G2 の結果が逆に設定されていた。つまり,グループ G1のプレーヤーA は B に 120 円を,B は C に 160 円を, Cは A に 200 円を提供した。これに対し,グループ G2 のプレーヤー D は E に 50 円を,E は F に 180 円を,F は D に 200 円を提供した。このように,外集団非協力条 件では,非協力的なプレーヤー(E)は,外集団に所属 していた。 どちらの条件においても,参加者は,プレーヤー A か ら F に対し,それぞれ何円を支払って罰するかを決定し た。 実験デザイン 内集団非協力条件・外集団非協力条件 (参加者間要因) 実験実施時期及び参加者 実験は,2004 年 5 月 31 日 から 6 月 11 日にかけて,北海道大学に設置された実験 室で,北海道大学の学部 1 年生 65 名(男性 39 名,女性 26名)を参加者として行われた。1 年生対象の授業から リクルートされた約 1,600 名のプールから,電話による 参加依頼に応じた学生が実験に参加した。実験参加の依 頼の際には,金銭報酬が強調された。参加者のうち,33 名(女性 13 名,男性 20 名)は内集団非協力条件に,32 名(女性 13 名,男性 19 名)が外集団非協力条件に配置 された。

(7)

結   果 以下の分析では,事後質問紙の回答で実験状況の理解 に問題があったと考えられる 6 名を除き4),内集団非協 力条件 29 名(男性 17 名,女性 12 名),外集団非協力条 件 30 名(男性 17 名,女性 13 名)の計 59 名を分析対象 とした。 まず,参加者の協力傾向に条件間で差がないことを確 認するため,第 1 試行・第 2 試行で行われた一般交換 ゲームの提供額を比較した結果,第 1 試行においても (内集団非協力条件で 106. 72 円,外集団非協力条件で 107. 00円。t(57)=–0. 01, ns.),第 2 試行においても(内 集団非協力条件で 130. 69 円,外集団非協力条件で 113. 83 円。t(57)=0. 85, ns.),条件間に有意な提供額の差は見ら れなかった。なお,第 1 試行と第 2 試行の提供額を個人 内要因とした分散分析の結果,第 2 試行において提供額 がより高くなるという結果が得られた(個人内要因の主 効果:F(1, 57)=5. 09, p<.05)が,提供額の増加に条件 間で差は見られなかった(参加者間要因の主効果:F(1, 57)=0. 2, ns.,交互作用効果:F(1, 57)=1. 58, ns.)。この 提供額の増加は,第 1 試行で他の参加者が元手の全額を 参加者自身に提供したと知らされたために,第 2 試行で は自分が元手を提供しても他の参加者は提供しないので はないかという恐れが低まり,提供額が高くなったもの と考えられる(cf. Simpson, 2003; Yamagishi & Sato, 1986)。 仮説の検討 本研究では,各参加者は 3 人の内集団成 員と 3 人の外集団成員のそれぞれについて,いくらを 使って罰するかを決めたが,この罰の対象となった 6 人 中 1 人だけ,極端な非協力者(50 円提供者)となるよう 設定されていた。また,その極端な非協力者が内集団成 員か外集団成員かを,参加者間要因の条件として設定し た。そこでまず,各参加者が 6 人の罰の対象に支払った 罰額を,対象が自集団の成員であるか外集団の成員であ るかにより区別し,その平均値と標準偏差を Table 1 に まとめた5)。罰額を従属変数,非協力者の所属集団(内 集団非協力者条件,外集団非協力者条件:参加者間要因), 罰のターゲットの集団(内外集団:参加者内要因),およ び性別を独立変数として分散分析を行った結果,ター ゲットの集団の主効果が有意であった(F(1, 55)=4. 83, p<.05)。また非協力者の所属集団とターゲットの集団の 交互作用効果も有意であった F(1, 55)=16. 14, p<.001)。 そこで単純主効果検定を行ったところ,内集団非協力条 件におけるターゲットの集団の効果(F(1, 55)=22. 53, p<.0001),及びターゲットの集団が内集団のときの条件 の効果(F(1, 77. 2)=5. 43, p<.05)が見られた6)。これ らの結果は第三者による罰行動が内集団に非協力者がい るときにより強くなることを示している。なお,非協力 者の所属集団の主効果,性別の主効果と,性別を含む交 互作用効果は有意ではなかった。 Figure 1は,罰のターゲットの協力度(一般交換ゲー ムにおける提供額が,50 円,120 円,160 円,180 円, 200円)ごとの罰額の平均を,ターゲットの集団(内外 集団)に分けて示したものである。Figure 1 からは,上 述の分析で示された内外集団の主効果は,主として最も 非協力的なターゲット(50 円提供者)への罰額と,2 番 目に非協力的なターゲット(120 円提供者)への罰額の 集団差により生み出されたものであるように見える(内 4)実験の理解度チェック項目で実験手続きに対する理解に問題があった 2 名,報酬の決定方法に関する 2 項目 で疑いを持っていた 2 名,他の参加者が本当はいないのではないかと自由記述で回答した 1 名,罰の決定に 際して,『せっかく実験に来たのだから,何かして帰ろう』と強く思ったと回答した参加者 2 名の計 6 名を 分析から除外した。 Table 1

Average amount of the money spent for punishing (yen)

Condition Targets’ group In-group Out-group In-group Cheater Condition

(N=29)

54. 52 (68. 40)

17. 76 (37. 31) Out-group Cheater Condition

(N=30) 24. 00 (43. 83) 34. 77 (58. 43) Average 39. 00 (58. 79) 26. 41 (49. 52) Note: Standard deviations in parentheses.

5)なお,罰のために 1 円以上を支払った参加者は,全参加者のおよそ半数(約 54%)であった。また,罰の対 象となった 6 人のうち,元手の 200 円全額を提供した協力者が内外集団の両方に 1 人ずついるように設定さ れていた。この 2 人に対して行われた罰は,非協力者に対する罰ではないので,以下の分析から除いた。従っ て,Table 1 に示した数値は,内集団成員 2 人,外集団成員 2 人に対する罰額をそれぞれ集団ごとに合計した ものである。なお,これらの協力者に対する罰はほとんど行われなかったため,これらを含めても以降の統 計的分析の結果は同じであった。 6)なお自由度はサタースウェイトの方法により近似している。

(8)

集団の 50 円提供者に対する罰額の平均は 50. 00 円,SD= 66. 08。外集団の 50 円提供者に対する罰額の平均は 33. 27 円,SD=57. 49。内集団の 120 円提供者に対する罰額の 平均は 20. 00 円,SD=35. 04,外集団の 120 円提供者に 対する罰額の平均は 16. 72 円,SD=37. 57)。そこで次に この 4 人のターゲットに対する罰額を比較するため,罰 額を従属変数,ターゲットの非協力程度(提供額が 50 円 か 120 円か),ターゲットの集団(内集団か外集団か), 性別を独立変数とした分散分析を行った。その結果,ター ゲットの非協力程度の主効果(F(1, 55)=15. 36, p<.001) は有意であったものの,その他の差は見られなかった。 一方では内外集団への罰の総額に有意差があり(Table 1参照),またその差が特に 50 円提供者において最も大 きいように見える(Figure 1 参照)にもかかわらず,罰 のターゲットごとに比較すると罰額の集団差は統計的に 有意に達しなかった。この理由として,罰の総額での内 外差は個人内要因の効果であるのに対して,50 円提供者 に対する罰額の集団差は個人間要因であったため,罰額 の個人差(罰を使いやすい傾向の個人差)が誤差項を大 きくしてしまった可能性が考えられる。そこで,元手の 200円全額を提供した,非常に協力的なターゲットすら 罰している参加者 4 名を分析から除外したところ,ター ゲットの非協力程度の主効果(F(1, 51)=17. 09, p<.001) に加え,ターゲットの集団と非協力程度の交互作用効果 が見られた(F(1, 51)=4. 29, p<.05)。なお,4 名を除外 した場合の平均罰額は,内集団の 50 円提供者に対して は 54. 62 円(SD=65. 20, n=26),外集団の 50 円提供者 に対しては 32. 69 円(SD=58. 42, n=29),内集団の 120 円提供者に対しては 18. 62 円(SD=34. 82, n=29),外集 団の120 円提供者に対しては18. 27 円(SD=39. 42, n=26) となった。単純主効果検定の結果,最も非協力的な 50 円 提供者への罰額における集団差が有意傾向となった (F(1, 77)=3. 49, p<.1)。つまり,協力者を罰していた参 加者を除くと,内集団の非協力者を外集団の非協力者よ りも強く罰する傾向が見られた(120 円を提供したター ゲットに対する集団差は見られなかった)。さらに上の 4名に加え,元手の半分以上を提供した比較的協力的な ターゲット(160 円提供者と 180 円提供者)を罰してい た参加者 12 名も除くと,最も非協力的なターゲット(50 円提供者)に対する罰額の集団差(単純主効果)は統計 的に有意となった(F(1, 73. 6)=9. 28, p<.01)。なおこの ときの平均罰額は,内集団の 50 円提供者に対しては 52. 5円,SD=69. 17, n=22,外集団の 50 円提供者に対して は 17. 92 円,SD=34. 47, n=25),内集団の 120 円提供者 に対しては 10. 4 円(SD=24. 92, n=25),外集団の 120 円 提供者に対しては 12. 05 円(SD=27. 80, n=22)となっ た。これらの分析から,協力者に対してまで罰を行う参 加者を除いては,内集団の非協力者は外集団の非協力者 よりも強く罰されるという仮説を支持する結果が得られ たと考えられる。 以上の結果は,罰額の個人差の大きさから統計的には 有意に達しなかった部分もあるものの,概して罰行動が 外集団の非協力者よりも内集団の非協力者に向けられや すいという本研究の仮説と合致する。 協力傾向と罰行動の関係 上述のように本研究では, 第三者による罰行動が内集団成員に対して起こりやすい という仮説を支持する結果が得られた。これに対して, 本研究にさきがけて行われた先行研究(Shinada et al., 2004)では,この仮説は一般交換ゲームにおいて非協力 的だった参加者の間では支持されず,逆に外集団成員を より強く罰するという結果が得られていた。著者らはこ の結果を,先行研究では罰行動が二次的協力行動と差の 拡大行動の両方の側面を持っていたために生じた結果で あると解釈し,格差拡大行動が生じ得ないかたちで罰を 設定している。したがって本実験の状況では,協力的な 参加者も非協力的な参加者も,同じように内集団成員を より強く罰すると予測される。このことを検討するため に,2 回の一般交換ゲームにおける総提供額の中央値 (210 円)より提供額が高いか否かによって,参加者を協 力者と非協力者の 2 つに分け,それぞれの群において, 内集団成員を罰するために使った金額と外集団成員を罰 するために使った金額を比較した(上の分析と同様,200 円提供者への罰額は除いた)。協力者と非協力者別にみた 罰使用金額の平均と標準偏差を Table 2 に示す。 Figure 1. Average amount of the money spent for

punish-ing each targets

(9)

Table 2に示された結果は,予測されたとおり,一般交 換ゲームでの協力者の間でも非協力者の間でも,外集団 成員よりも内集団成員を罰する傾向を示しており,非協 力者の間で外集団成員を罰する傾向が見られた Shinada et al.(2004)との違いが明確に示されている。各集団に 対する罰額の総額を従属変数とした,2(協力者・非協力 者)× 2(内集団非協力条件・外集団非協力条件)× 2(罰 のターゲットの集団:内集団・外集団)の 3 要因分散分析 においては,ターゲットの集団の主効果(F(1, 55)=4. 56, p<.05)は有意であるが,ターゲット集団と本人の協力 傾向(協力者・非協力者)の交互作用効果は有意とはなっ ていない7)(F(1, 55)=.61, ns.)。これらの結果から,本 研究では協力者の間でも非協力者の間でも,外集団成員 よりも内集団成員を罰する傾向があったと言える。 なおこの分析の結果は,協力者・非協力者の主効果 (F(1, 55)=4. 02, p<.05),ターゲットの集団と条件の交 互作用効果が有意であった(F(1, 55)=15. 69, p<.001) が,これらの効果は(協力度を要因として加えないかた ちで)仮説検討の際にすでに報告されたものであるので, ここでは議論しない。その他の主効果及び交互作用効果 は有意ではなかった。 社会的アイデンティティと罰行動の関係 以上の結果は,第三者による罰行動は内集団で起こり やすいという本研究の仮説を支持している。これまでの ところ本研究は,人々が非協力的な内集団成員をより強 く罰するという仮説を,社会的交換理論の立場から論じ てきた。しかし,本実験の結果について,人々が内集団 と外集団の社会的比較を通して内集団を肯定的に評価し ようとすると考える,社会的アイデンティティ理論 (Tajfel & Turner, 1986)の立場から,別な解釈を試みるこ とも可能である。以下では,この可能性について考察す る。 社会的アイデンティティ理論からは,本実験の結果は, 黒い羊効果(Marques, Yzerbyt, 1988; 大石・吉田,2002) として説明されうる。黒い羊効果によれば,ポジティブ な内集団成員は,同等の外集団成員よりもポジティブに, ネガティブな内集団成員は同等の外集団成員よりもネガ ティブに評価される。つまり,社会的アイデンティティ を高めるために,内集団成員が外集団成員よりも,同じ 程度の非協力行動であっても極端に評価されるという議 論である。特に,Branscombe, Wann, Noel, & Coleman (1993)によれば,集団同一視が高い人々の間でこの効 果が認められている。そこで,事後質問項目で測定した 社会的アイデンティティ尺度(Karasawa, 1991 を一部改 変)を用いた分析を行った。 社会的アイデンティティ尺度は,7 点尺度の 9 項目の 平均値を用いた8)(平均 4. 05, SD=1. 44,クロンバック の α=.83)。内集団非協力条件における平均値は 4. 1 (SD= 1. 5),外集団非協力条件における平均値は 4. 0 (SD=1. 4)であり,対応のない t 検定の結果,条件によ る 社 会 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ の 差 は 見 ら れ な か っ た (t(59)=.29, ns.)。 この社会的アイデンティティ尺度の平均得点と,罰の ために使った金額の相関関係を検討したところ,社会的 アイデンティティと罰に使用した金額とはほぼ無相関で Table 2

Average amount of the money spent by cooperators and non-cooperators for punishing in-group members and out-group members (yen)

Targets’ group In-group Out-group Cooperators (N=31) 52. 61 (69. 96) 35. 97 (54. 35) Non-Cooperators (N=28) 23. 93 (39. 21) 15. 82 (42. 01) Note: Standard deviations in parentheses.

7)なおこの分析では,1 セルあたりの人数が少なくなるため性別を考慮しなかったが,性別を独立変数に含め た 4 要因の分散分析を行った場合も結果は同じであった(ターゲットの集団と本人の協力傾向の交互作用効 果は有意にはならなかった)。 8)具体的には,「あなたは,あなたの所属学部グループの一員だという意識をどの程度強く持ちましたか?」「他 のグループ(もう 1 つの学部の参加者グループ)に対して,ライバル意識を持ちましたか?」「あなたは,自 分が所属学部の典型的な学生だと言われたとしたら,それはどれくらい正確な表現だと思いますか?」「あな たは,自分が所属学部の学生であるという事実をどれくらい頻繁に自覚しますか?」「あなたは,自分が典型 的な所属学部の学生だと言われたとしたら,どれくらい気分よく感じますか?」「あなたは,所属学部に対し てどの程度愛着を感じますか?」「あなたは,自分のことをどの程度強く所属学部の学生として定義します か?」の 7 項目を用いた(当てはまると思うほど値が高い)。なお,アイデンティティ得点と,極端な非協 力者に対する罰額との相関は,内集団成員・外集団成員のいずれに対する罰額でも見られなかった(相関係 数は内集団条件で 0. 12,外集団条件で –0. 09 であり,いずれも有意ではなかった)。

(10)

あることが明らかになった。内集団非協力条件では,社 会的アイデンティティと内集団成員への罰に使用した金 額との相関係数は 0. 12,外集団非協力条件では –0. 12 で あり,いずれも有意ではなかった。つまり,社会的アイ デンティティが高いほど内集団成員を罰する,あるいは 逆に,外集団に対する攻撃として外集団を罰するという, いずれの結果も得られなかった。この結果から,本研究 で観察された罰行動は,集団同一視の観点からは説明で きないと考えられる。ただし,本研究では事後質問項目 で社会的アイデンティティを測定したため,明確な結論 を下すためには,事前に測定した社会的アイデンティ ティ得点が行動を予測するか否かを検討する必要がある だろう。 考   察 以上のように,第三者による罰行動を,協力的な交換 関係を維持するための二次の協力行動として説明すると いう本研究の目的は達成されたと考えられる。ただし, 本研究で扱うことができなかったいくつかの問題が残さ れている。以下ではこれらの問題について議論する。 まず,本研究では先行研究(Shinada et al., 2004)で見 られた,非協力的な参加者が外集団の非協力者をより強 く罰したという結果を,罰によって利得差の拡大が可能 な利得構造に起因すると議論した。この議論に基づき, 罰によって相対的な利益が変化しない実験状況を設定 し,再び仮説を検討した。その結果,外集団成員に対す る罰行動は抑制され,協力者も非協力者も内集団成員を より強く罰するという結果が得られた。今後の課題とし て,交換状況において非協力的な人々は,集団の内外を 問わずに競争的にふるまうのか,それとも外集団成員に 対して特に搾取的にふるまうのかを,直接検討する必要 があるだろう。 より重要な問題としては,本研究で検討したような罰 行動,特に外集団からの罰行動が,実際に協力行動を引 き出すことができるのかという問題が挙げられる。これ まで多くの実験ゲーム研究において,同じ集団成員どう しで非協力者を罰しあう相互制裁システムの導入が,協 力率の上昇に大きく貢献することは示されてきた(Fehr & Gächter, 2002; Masclet, Noussair, Tucker, & Villeval, 2003; Ostrom, Walker, & Gardner, 1992; Yamagishi, 1986, 1988)。 しかし,外集団成員からの罰行動が同じように効果的な のかに関しては,これまでほとんど検討されていない (寺井,2005)。一方,集団間葛藤に関する研究では,外 集団成員から不公正な分配を受けると,分配者とは異な る外集団成員に対して同じく不公正な分配を行う傾向が あることが示されている(神,2003)。これまで議論して きたように,罰行動は協力的な交換関係を維持する二次 の協力行動(Yamagishi, 1986)であるのと同時に,他者 との利得差の拡大を図る行動としての側面も有してい る。このため,1 人の非協力的な外集団成員を罰するた めの行動が外集団全体に対する不公正な行動として解釈 され,集団間に報復の連鎖を引き起こす可能性がある。 このように,集団内では相互協力をもたらす制裁システ ムが,集団間でも同じ効果をもたらすか否かに関しては, さらなる実証的・理論的検討が必要である。これらの研 究成果は,集団内および集団間の利害対立と葛藤を抑制 するシステムを導入する際に,重要なインプリケーショ ンをもつことになるだろう。 謝   辞 1.本研究は科学研究費の補助により行われた。 2.本研究をご指導いただいた山岸俊男教授に深く感謝 いたします。また実験実施に際しては山本祥史氏の 援助を受けたことを,ここに記して感謝します。実 験参加希望者の募集に際して,北海道大学の先生方 にご協力いただきました。貴重なお時間をいたこと に深く感謝いたします。 引用文献

Brandt, H., & Sigmund, K. (2005). Indirect reciprocity, image scoring, and moral hazard. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 102, 2666–2670.

Branscombe, N. R., Wann, D. L., Noel, J. G., & Coleman, J. (1993). Ingroup or outgroup extremity: Importance of the threatened social identity. Personality and Social Psychology Bulletin, 19, 381–388.

Camerer, C. F. (2003). Behavioral Game Theory: Experi-ments in strategic interaction. New York: Princeton University Press.

Edgeworth, F. Y. (1881). Mathematical Psychics: An essay on the application on mathematics to the moral sciences. London: Kegan Paul.

Ekeh, P. P. (1974). Social Exchange Theory. London: Heinemann Educ.

(エケ,P. P. 小川浩一(訳)(1980).社会的交換理論 新泉社)

Falk, A., Fehr, E., & Fischbacher, U. (2001). Driving forces of informal sanctions. Institute for Empirical Research in Economics, University of Zurich, working paper No. 59.

(11)

Fehr, E., & Fischbacher, U. (2003). The nature of human altruism—Proximate patterns and evolutionary ori-gins. Nature, 425, 785–791.

Fehr, E., & Fischbacher, U. (2004). Third-party punishment and social norms. Evolution and Human Behavior, 25, 63–87.

Fehr, E., & Schmidt, K. M. (1999). A theory of fairness, competition and cooperation. Quarterly Journal of Eco-nomics, 114, 817–868.

Fehr, E., & Gächter, S. (2002). Altruistic punishment in humans. Nature, 415, 137–140.

Festinger, L. (1954). A theory of social comparison pro-cesses. Human Relations, 7, 117–140.

Gärling, T., Fujii, S., Gärling, A., & Jakobsson, C. (2003). Moderating effects of social value orientation on determinants of proenvironmental behavior intention. Journal of Environmental Psychology, 23, 1–9.

Gintis, H. (2000). Strong reciprocity and human society. Journal of Theoretical Biology, 206, 169–179.

Gintis, H., Bowles, S., Boyd, R., & Fehr, E. (2005). Moral Sentiments and Materials Interests: The foundations of cooperation in economic life. Cambridge, MA: MIT Press.

Hardin, G. (1982). Discriminating altruisms. Zygon, 17, 163– 186. 神 信人(2003).内集団ひいきの後に起こること―外 集団一体視による敵意の連鎖― 日本社会心理学会 第 44 回大会発表論文集,188–189. 神 信人・山岸俊男・清成透子(1996).双方向依存性と “最小条件パラダイム” 心理学研究,67, 77–85. Karasawa, M. (1991). Toward an assessment of social

identity: The structure of group identification and its effects on in-group evaluations. British Journal of Social Psychology, 30, 293–307.

Marques, J. M., & Yzerbyt, V. Y. (1988). The black sheep effect: Judgmental extremity towards ingroup mem-bers in inter- and intra-group situations. European Journal of Social Psychology, 18, 287–292.

Masclet, D., Noussair, C., Tucker, S., & Villeval, M. (2003). Monetary and nonmonetary punishment in the volun-tary contributions mechanism. American Economic Review, 93, 366–380.

McCabe, K., Houser, D., Ryan, L., Smith, V., & Trouard, T. (2001). A functional imaging study of cooperation in two-person reciprocal exchange. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 98, 11832–11835.

大石千歳・吉田富二雄(2002).黒い羊効果と内集団ひい き―社会的アイデンティティ理論の観点から― 心 理学研究,73, 405–411.

Ostrom, E., Walker, J., & Gardner, R. (1992). Covenants with and without a sword: Self-governance is possible. American Political Science Review, 86, 404–417. Simpson, B. (2003). Sex, fear, and greed: A social dilemma

analysis of gender and cooperation. Social Forces, 82, 35–52.

Shinada, M., Yamagishi, T., & Ohmura, Y. (2004). False friends are worse than bitter enemies: “Altruistic” punishment of in-group members. Evolution and Human Behavior, 25, 379–393.

Tajfel, H., & Turner, J. C. (1986). The social identity theory of inter-group behavior. In S. Worchel, & L. W. Austin (Eds.), Psychology of Intergroup Relations. Chi-gago: Nelson-Hall. pp. 7–24.

Takahashi, N., & Mashima, R. (2004). The emergence of indirect reciprocity: Is the standing strategy the answer? Hokkaido Univ. working paper, No. 29.

寺井 滋(2005).内外集団に対する協力行動と制裁行動 北海道大学大学院文学研究科博士論文(未公刊) Trivers, R. (1971). The evolution of reciprocal altruism.

Quarterly Review of Biology, 46, 35–57.

Van Lange, P. A. M. (1999). The pursuit of joint outcomes and equality in outcomes: An integrative model of social value orientation. Journal of Personality and Social Psychology, 77, 337–349.

Yamagishi, T. (1986). The provision of a sanctioning system as a public good. Journal of Personality and Social Psychology, 51, 110–116.

Yamagishi, T. (1988). Seriousness of social dilemmas and the provision of a sanctioning system. Social Psychology Quarterly, 51, 32–42.

Yamagishi, T., Jin, N., & Kiyonari, T. (1999). Bounded generalized reciprocity: Ingroup favoritism and ingroup boasting. Advances in Group Processes, 16, 161–197. Yamagishi, T., & Kiyonari, T. (2000). The group as the

container of generalized reciprocity. Social Psychology Quarterly, 63, 116–132.

Yamagishi, T., Foddy, M., Makimura, Y., Matsuda, M., Kiyonari, T., & Plarow, M. (2005). Comparison of Australians and Japanese on group-based cooperation. Asian Journal of Social Psychology, 8, 173–190. Yamagishi, T., & Sato, K. (1986). Motivational bases of the

public goods problem. Journal of Personality and Social Psychology, 50, 67–73.

(12)

Why do third party punish?: Second-order cooperation of in-group members

MIZUHO SHINADA (Hokkaido University, Research Fellow of Japan Society for the Promotion of Science)

Recent experimental studies have demonstrated that third-party participants are willing to pay a cost in order to punish cheaters in social exchanges, even if no discernable advantage can be gained by the individual him or herself. In this paper, we argue that third-party punishment is actually a form of second-order cooperation used to maintain first-order cooperation during social exchange. Given that first-order cooperation is often extended preferentially toward ingroup rather than outgroup members, we predicted that third-party punishment should be similarly biased towards ingroup members. Shinada, Yamagishi & Ohmura (2004) showed that cooperators punish cooperative in-group members more severely than they do cooperative out-group members, but non-cooperators punish non-cooperative out-group members more severely than in-group members. We argue that the competitive social motivation to enhance one’s relative standing against others is the dominant motivational basis of punishing out-group members. To test the hypotheses that third-party punishment is directed to in-group members, and out-group punishment is reduced punishing the other does not put one at an advantage, participants were given the opportunity to punish ingroup members (undergraduates from the same department) and outgroup members (from another department) during a gift-giving game. The results supported our hypothesis; both cooperators and non-cooperators paid more money to punish ingroup cheaters than outgroup cheaters.

Key Words: third-party punishment, social exchange, cooperation, altruistic punishment, ingroup bias

2005年 9月21日受稿 2007年11月13日受理

Figure 1. Average amount of the money spent for punish- punish-ing each targets
Table 2 に示された結果は,予測されたとおり,一般交 換ゲームでの協力者の間でも非協力者の間でも,外集団 成員よりも内集団成員を罰する傾向を示しており,非協 力者の間で外集団成員を罰する傾向が見られた Shinada et al

参照

関連したドキュメント

うのも、それは現物を直接に示すことによってしか説明できないタイプの概念である上に、その現物というのが、

このような情念の側面を取り扱わないことには それなりの理由がある。しかし、リードもまた

自閉症の人達は、「~かもしれ ない 」という予測を立てて行動 することが難しく、これから起 こる事も予測出来ず 不安で混乱

彼らの九十パーセントが日本で生まれ育った二世三世であるということである︒このように長期間にわたって外国に

○安井会長 ありがとうございました。.

看板,商品などのはみだしも歩行速度に影響をあたえて

はある程度個人差はあっても、その対象l笑いの発生源にはそれ

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ