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稼ぐ力を表すROICの活用

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稼ぐ力を表すROICの活用

kpmg.com/ jp

KPMG

Insight

KPMG Newsletter

経営トピック⑦

Vol.

22

January 2017

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稼ぐ力を表すROICの活用

       株式会社 KPMG FAS ディレクター 荒木 昇 近年のコーポレート・ガバナンス改革の推進により、上場企業のROE改善に対する 意識は確実に高まっています。しかし、一部の企業では、短期的なROE改善を目的と した財務レバレッジの調整や資産売却による利益計上などが行われており、「企業価 値の持続的成長」を求める投資家と企業との間には、未だ課題に関する認識ギャップ が存在しています。 伊藤レポートにおいて、日本企業の課題は「 稼ぐ力 」であると指摘されています が、この稼ぐ力を表すKPI(Key Performance Indicator)として、ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)が注目を集めています。ROICは資本効率を評価 するKPIであり、有効に活用することでROEとバランスシートを同時に改善する効果 が期待できます。 本稿では、このROICが注目されている理由、その内容、メリットおよび活用方法につ いて解説します。 【ポイント】 − 日本企業のROEが欧米に比して低い原因は稼ぐ力の不足にある。した がって、稼ぐ力を表すKPIであるROICを活用し、収益性を高めることが ROEの改善の王道である。 − ROICを重視した経営にシフトすることにより、ROEとバランスシートの 改善を同時に進めることが可能である。 − 事業部門の評価指標にROICを用いることで、各事業部門における投資効 率やバランスシートに対する意識が高まり、低収益資産の処分や不採算 製品からの撤退などの推進が期待できる。 − ROICの導入においては、「社内全体へのROICの浸透」が重要なポイントで あり、そのためには、経営トップの主導やコーポレート部門による事業 部門への導入支援などが必要となる。

荒木 昇

あらき のぼる

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Ⅰ. ROE改善の王道はROICの活用

1. なぜROICが注目されているのか? (1) ROEの水準に関する認識ギャップ 「コーポレート・ガバナンス改革元年」となった2015年におい て、中期経営計画でROEの目標水準を公表する上場企業は大 幅に増加しました。しかし、ROEの水準に対する認識について は、投資家と企業の間で大きな乖離が見られる状況です。平成 2 7年度の生命保険協会調査によると、ROEが資本コストを上 回っていると考える企業は全体の40.1%となっていますが、そ れに対し、そう考える投資家の割合は僅か 2.4%となっていま す。一方で、ROEが資本コストを下回っていると考える投資家 は51.2%となっており、投資家は日本企業のROE水準に満足し ていないことが分かります(図表1参照)。企業のROEに対する 「意識」は確実に高まっていますが、投資家は企業に対してROE の改善という「結果」を求めている状況にあります。 (2) どのようにROEを改善するか? ROEは当期純利益を自己資本で除した比率であるため、これ を改善するためには、分子である利益の増加や分母である自己 資本の減少が必要となります。利益については、外部環境や競 合他社の影響を受けるため、自社の想定どおり増加させること ができない可能性がありますが、自己資本については、自己株 式の取得やリキャップCB(Convertible Bond)の利用などで財 務レバレッジを変動させることにより、ある程度自社のイメー ジどおりに減少させることができます。コーポレート・ガバナ ンス改革以降、積極的に財務レバレッジの調整を図る企業もみ られますが、これが企業の財務戦略として有効なものであれば 特段問題はありません。ただし、短期的なROE 改善を目的とし たものであれば、それは課題に対する本質的な対応ではありま せん。 (3) 日本企業の課題は「稼ぐ力」 伊藤レポートでは、日本企業のROEは欧米と比較すると低 く、その原因は回転率やレバレッジではなく、売上高利益率に ある点が指摘されています(図表2参照)。つまり、日本企業の課 題は稼ぐ力にあり、この稼ぐ力を高めることによってROEを改 善させることが投資家の期待であると考えられます。このため、 稼ぐ力を表すKPIとして、ROICへの注目が高まっています。 2. ROICとは? (1) ROICの計算式 ROICは、事業に投じた資金がどのくらいのリターンを生み 出したか(投資効率)を測る指標であり、計算式は以下のとおり です。 ROIC = 投下資本NOPAT 分子には、事業から得られる利益としてNOPAT(税引後営 業利益)が用いられます。これは支払利息や配当の控除前の利 益であるため、事業資金(=投下資本)の提供者である金融機 関や株主に対するリターンの支払原資を表しているとも言えま す。なお、事業に係る特別損益も含めるか否かについては、実 務上も様々な見解があります。大型設備の受注産業などの場合 には、単年のROICの変動が大きいため、事業の収益性を適切 に評価することが困難になります。また、大規模な事業投資が 必要となるため、収益性が低下した場合には、多額の減損損失 が計上される可能性があります。このような事業においては、 中長期的な視点での収益性評価が必要となるため、分子に特別 損益を加味した利益を用いるとともに、3~5年のROICの平均 値や推移で業績評価することが望ましいと考えます。 一方、分母である投下資本の考え方は、①資金調達サイドに 【図表2 伊藤レポートによる分析】 出典 : 経済産業省 “伊藤レポート” http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140806002/20140806002.html ROE = 売上高 当期純利益 総資産 売上高 自己資本 総資産 マージン 回転率 レバレッジ 日本 3.8% 0.96 2.51 米国 10.5% 0.96 2.69 欧州 8.9% 0.87 2.86 【図表1 資本コストに対するROE水準の見方(企業・投資家)】 出典: 平成27年度 生命保険協会調査 51.2% 34.5% 2.4% 21.5% 21.0% 40.1% 下回っている 同程度 上回っている 投資家 企業

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着目してDebtとEquityの合計額とする方法と、②資金運用サイ ドに着目して運転資本や固定資産などの合計額とする方法の2 パターンが考えられます(図表3参照)。非事業用資産が存在す る場合には、①と②の間に差異が生じることになりますが、調 達した資金の投資効率を測定する観点からは、①の方法を採用 することが望ましいと考えます。ただし、実務上は、事業別の バランスシートが作成されていないケースが多いため、事業別 ROICの投下資本については②で計算されることが多いと思わ れます。 (2) ROICのメリット ROICに関連する項目の関係をまとめると図表4のようになり ます。この関係図からもわかるとおり、以下の3点がROICの主 なメリットであると考えられます。 ① 稼ぐ力を測定することが可能 ROICにはレバレッジの要素が含まれていないため、レバレッ ジの調整はROICに影響を与えません。このため、ROICは純粋 に稼ぐ力を評価することができるKPIであると言えます。 収益性を評価するKPIとして営業利益やEBITDAなどを採用 する企業が多いようですが、これらのみでは、その利益を得る ためにいくら投資したのか、という投資効率の観点が欠けてし まいます。また、営業利益率については、業種特性が大きく影 響するため、自社における複数の事業を評価する場合にはフェ アな指標とは言えません。このような点からも、複数の事業の 収益性を評価する場合には、投資に対するリターンで評価する ROICが望ましいKPIであると考えられます。 ② 資本市場を意識したKPI ROICの計算に用いられる投下資本は、図表4のとおり、Debt またはEquityにより調達されています。この投下資本に対する リターンを表すROICは、DebtとEquityの調達コスト、すなわち WACC(加重平均資本コスト)を上回る必要があります。このよ うに、ROICはWACCと比較することにより評価される指標で あり、ROE同様、資本市場を意識したKPIであると言えます。 また、類似のKPIとしてROA(総資産利益率)がありますが、 ROAは事業負債の影響により、WACCと比較することが困難 となります。ROAは競合他社との比較可能性などの点で非常に 有用なKPIですが、資本市場を意識した経営を重視する場面に おいては、ROICの方が有効であると考えられます。 ③ バランスシート管理に有効 ROICを改善するためには、NOPATを増加させるか、または 投下資本を減少させる必要があります。投下資本に収益性の低 い事業資産が含まれている場合には、これらを処分することに より、ROICを改善させることが可能となります。このように、 ROICの改善を意識することにより、バランスシートのスリム化 が進む効果も期待できます。ただし、短期的なROICの改善を重 視しすぎると、必要な投資が抑制され、これにより将来の収益 性が低下し、さらに投資を抑制する、といった縮小均衡に陥る リスクがある点には注意が必要です。

Ⅱ. ROICの活用方法

1. ROIC導入により何が変わるのか Ⅰで述べたとおり、ROICは事業の収益性を評価できるだけ でなく、その改善により、ROEの改善とバランスシートのスリ ム化を同時に達成することができる有用なKPIです。このROIC 【図表3 投下資本の算出方法】 ①有利子負債+株主資本 事業別BS 事業資産・負債の集計 ②運転資本+固定資産 出典: KPMG 売上債権 棚卸資産 仕入債務 固定資産 投下資本 資産 負債 有利子 負債 株主資本 投下資本 【図表4 ROIC関係図】 出典: KPMG ROIC ROE レバレッジ 投下資本 Debt Equity WACC NOPAT ÷

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を事業の業績評価に用いることにより、事業ポートフォリオ・ マネジメントを効果的に行うことが可能となります。具体的に は、ROICの導入が社内に以下のような変化を生じさせ、各事業 部門において資本効率改善に向けた取組みが進められることが 期待できます。 (1) 不採算事業の定義の変化 営業利益やEBITDAなどを事業の評価指標としている企業 において、「不採算事業」は「営業損益やEBITDAがマイナス」と 定義されます。しかし、ROICとWACCの比較により事業の収 益性を評価する場合には、黒字であってもROICがWACCを下 回る場合には不採算事業となります。このため、黒字の事業で あっても、資本コストを賄えていない場合には、業績改善に向 けた取組みが必要となる点には注意が必要です。 (2) 事業部門の意識の変化 現状、事業部門単位でも資本効率を意識している日本企業は 極めて少ないと思われます。しかし、全社のROIC改善のために は、各事業部門における資本効率の意識を高め、改善に向けた 取組みを実行することが必要です。 事業部門の評価指標としてROICを採用し、資本効率の重要 性を浸透させることができれば、各事業部門において低収益の 資産の処分や不採算製品からの撤退が進み、事業別ROICの改 善、その結果として全社ROICの改善が期待できます。 また、事業別ROICの導入により、事業部門の投資に対する 意識にも変化が期待されます。投資に積極的かつ資本効率に 対する意識の低い事業部門は、リスクの高い投資案件について も、社内向けの理論武装に注力することにより、コーポレート部 門の承認を得て投資を実行する可能性があります。業績評価が 営業利益やEBITDAなどのフロー指標により行われる場合に は、投資後に期待したリターンが得られない場合でも、赤字に ならない限り、事業部門の業績評価にマイナスの影響を与えま せん。 しかし、ROICによる業績評価では、期待したリターンを得ら れない投資は自部門のROICを低下させる可能性があります。 つまり、投資の成否が自部門の業績評価に大きく影響すること となるため、事業部門はより慎重に投資判断を行うようになり ます。 2. ROIC導入のポイント これまでROICの導入を試みた多数の企業と意見交換しまし たが、期待した効果が得られたと感じている企業よりも、十分 機能せず形骸化してしまった企業の方が多いという印象です。 各社の導入プロセスを比較した結果、以下の3点がROIC導入に おけるポイントであると考えます。 (1) 経営トップが主導 事業の評価基準を変更することは、会社全体、つまり全従業 員の価値判断基準を変えることになるため、相当なパワーを必 要とします。また、評価基準の変更が不利に働く事業部門の不 満や反発も予想されます。このため、ROICを社内に浸透させる ためには、経営トップがROICの内容、必要性、変更による影響 などを十分理解したうえで、トップダウンにより主導することが 必要です。なお、財務内容の悪化や株主・投資家からのROE改 善圧力といったシチュエーションにある企業の方が、経営者の 危機意識は高く、またこのシチュエーションを追い風にして社 内に必要性を訴えることができるため、ROICの導入が成功す る確率は高まると思われます。 (2) コーポレート部門による事業部門への支援 各事業部門にROICを改善するための取組みを期待するため には、導入時にコーポレート部門が事業部門を十分サポートす ることが重要です。 ROICを社内に浸透させ有効に活用している企業の中には、 ROICツリー展開によりバリュードライバー分析を行い、事業 部門ごとに改善するドライバーを設定している企業もあります (図表5参照)。この場合、総花的にすべてのバリュードライバー の改善を図るのではなく、各事業部門の課題に応じた異なる 改善ドライバーを選定します。この改善ドライバーの選定にお 【図表5 ROICツリー展開によるバリュードライバー分析】 出典: KPMG ROIC 営業利益率 運転資本 回転率 固定資産 回転率 販管費率 棚卸資産 回転率 売上債権 回転率 仕入債務 回転率 製造経費率 有形固定資産 回転率 無形固定資産 回転率 売上原価率 製造原価率 広告宣伝費率 材料費率 労務費率 投下資本 回転率

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いては、コーポレート部門と事業部門が共同で検討し、両者が 納得したうえで決定することが重要です。これにより、事業部 門はROICや改善ドライバーに関して、その目的や必要性を認 識し、納得したうえで改善施策を実行することになります。単 にコーポレート部門が各事業部門にROICの目標水準を提示す るだけでは、事業部門は改善のためのアクションプランが描け ず、ROICが浸透しないまま形骸化していく可能性が高くなり ます。 (3) 縮小均衡リスクの回避 ROICは分数であるため、投資を抑制し分母を減少させるこ とにより、改善を図ることが可能です。しかし、投資の抑制は将 来的な収益性の低下を招くため、事業が縮小均衡に陥るリスク があります。このリスクを回避するためには、①最終的な目的 が企業価値の持続的成長である点、②そのためにROICを採用 している点、③目的達成のために必要なアクションは投資の抑 制ではなく低収益部分の改善や事業の成長にある点を、勉強会 などにより、社内に浸透させる必要があります。 また、ROICの評価期間を単年度ではなく、3~5年の中期とす るなど、事業部門が投資を抑制することが困難となる仕組みを 構築することも有効です。ただし、この場合には評価期間と製 品ライフサイクルの整合性に注意が必要となります。

Ⅲ. ROICの活用に向けて

1. ROIC導入の障害 (1) ROICの活用状況 これまで述べてきたとおり、ROICは非常に有効なKPIです が、実際に活用している企業は現状では多くありません。平成 27年度の生命保険協会調査では、ROEを重視している企業が 64%である一方、ROICを重視している企業は僅か9%しかあり ません(図表6参照)。コーポレート・ガバナンス改革によりROE への意識は高まっていますが、多くの企業の意識は、まだROIC まで及んでいないという印象です。 (2) ROICが重視されていない原因 ROICが重視されていない原因としては、①資本コストや資 本効率の内容や必要性が経営層に十分理解されていない、② ROEやROAに比べて計算式が複雑、③事業別のバランスシー トが作成されておらず、ROICの計算に必要な投下資本を把握 できない、といった点が挙げられます。 ①と②については、今後も日本企業の資本コストや資本効率 に対する意識が高まれば、徐々に解消されていく問題と思われ ます。③はROICにどの程度の精度を求めるかという問題です。 事業別ROICを計算している企業においても、一部の勘定科目 (仕入債務や共通利用の固定資産など)については按分計算し ているケースが多数あります。事業別ROICは経営管理に利用 【図表6 経営目標としている収益性指標】 出典: 平成27年度 生命保険協会調査 64% 62% 55% 48% 24% 20% 17% 9% 3% ROE 利益額・利益の 伸び率 売上高利益率 売上高・売上高の伸び率 ROA FCF 市場占有率(シェア) ROIC 付加価値経済的

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される数値であるため、誤った経営判断をしないレベルの精度 が担保されていればよいと思われます。このため、簡易的な計 算によるROICであっても、その精度に大きな問題がないので あれば、システム対応などにより多くの時間とコストを掛けてま で数値を精緻化する必要はないと思います。ただし、事業別の バランスシート管理は今後益々重要となることが予想されるた め、システム更新のタイミング等では対応を検討すべき事項で あると考えます。 2. ROIC導入における留意事項 (1) 投資判断と業績評価の一貫性

投資判断の定量的な基準としてIRR(internal rate of return、 内部収益率)やNPV(net present value、正味現在価値)を利用 している企業も多いと思います。いずれの方法も、投資額と将 来キャッシュ・フローをもとに、一定以上のリターンが得られる か否かで投資案件を評価します。このように、投資判断におい ては、投資リターンによる評価が一般的であると思われます。 一方、業績評価においては、多くの企業が売上高や営業利益 といったフロー指標のみを重視しており、投資リターンによる 評価は重視されていません。投資、業績、撤退判断は、本来同 じ評価軸で評価されるべきものであるため、業績評価指標とし てROICを採用し、評価軸の一貫性を確保する必要があると考 えます(図表7参照)。 (2) 課題に合ったKPIの設定 ROICは有効なKPIですが、すべての経営課題を解決するも のではありません。ROICは投資効率を測るKPIであるため、D/ Eレシオが悪化した企業や資本市場を意識した経営が十分で ない企業においては大きな改善効果が期待できます。しかし、 ROICは資本コストを上回っているものの、事業の成長性に課 題を感じている企業にとって、ROICは重要なKPIではありませ ん。この場合には、各事業部門に成長性を意識させる必要があ るため、EBITDA成長率などのKPIを重視することが有効と考 えられます。このように、企業にとって重要なKPIは経営課題や 戦略に応じて決まるものであり、これらに変化が生じた場合に は、KPIも柔軟に変更する必要があります。 また、ROICは投資効率を測るKPIであるため、これのみでは リターンのボリュームに対する観点が欠けてしまいます。この ため、事業の業績評価においては、営業利益やEBITDAなどの ボリュームを測るKPIとROICを併用する必要がある点には留 意が必要です。

Ⅳ. 最後に

コーポレート・ガバナンス改革以降、多くの上場企業と経営 管理やKPIについて意見交換しましたが、ROICの導入を検討 している企業は多く、企業の資本効率に対する意識は確実に高 まっていると感じています。 【図表7 投資判断と業績評価の一貫性】 投資・業績評価・撤退の判断は、一貫した評価軸(投資リターンvs.資本コスト)で行う 投資時に意識されていた資本コスト(WACC)が、 業績評価・撤退判断では考慮されていない 例 変更案 出典: KPMG 投資 業績評価 撤退 • 売上高 • 営業利益(黒字か否か) • 営業利益率 • IRR、NPVなど • IRR、NPVなど • 3期連続赤字 • ROIC(WACCとの比較) • 営業利益・EBITDA・FCFなど変更案 • 3期連続「ROIC<WACC」など

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ただ、一方で、ROICを導入したものの、社内に十分浸透さ せることができず形骸化してしまった企業も多数ありました。 ROICを浸透させることができなかった企業は共通して、Ⅱ 2.ROIC導入のポイントで述べた経営トップの主導やコーポレー ト部門による事業部門への支援が不十分であったように思い ます。 ROICに限らず、新たなKPIを導入することはそれほど難しく ありません。ただし、このKPIを社内に浸透させ、これを改善す るための取組みを各事業・従業員に起こさせることは非常に難 しく、これこそが経営管理の要諦であると感じています。資本 効率に対する意識の高まりから、今後、ROICを導入する企業は 増加するものと思われますが、ROICを有効に機能させるため には、「社内全体への浸透」が最も意識すべきポイントであると 考えます。 本稿に関するご質問等は、以下に記載のメールアドレスにご連絡下 さいますようお願いいたします。     株式会社 KPMG FAS fasmktg@jp.kpmg.com 

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V o l.22 January 2 01 7

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