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図表 2 金融機関が懸念する住宅ローンのリスク 金利競争に伴う利鞘縮小 86.0 景気低迷による延滞増加 82.1 他機関への借換え金利上昇局面による延滞増加 単位 :% 担保価値の下落 出典 : 住宅金融支援

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Academic year: 2021

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今月の話題

住宅ローン金利競争から得られる

ものは

支援機構のフラット 35Sでは当初 10 年間1%金利オフの制度の適用期間について、 1年間の延長を決定した。民間金融機関でも、3年固定で1%そこそこの優遇金利を 提示するなど、住宅ローンは金利面での競争が激化している感は否めない。果てのな い金利競争は金融機関の体力を奪うだけのものではないのか。 特定非営利活動法人 金融検定協会

期間 5 年でも1%台前半金利も……優遇金利

本年 8 月以降、市場金利の低下傾向が見られていたが、11 月には多くの金融機関で住宅 ローン金利の引下げが行われた。右表 に見るように期間 5 年の固定金利選択 型で 2%台後半から3%台の前半でおさ まるという低金利状況である。表面金利 的には昨今では目を瞠るほどのもので はないが、大幅な優遇金利キャンペーン を各金融機関が展開しているために、実 際の金利はさらに低い金利が適用され ている。 金利優遇については、全期間型と当初 期間型の 2 つのタイプの優遇金利がも うけられていることが多いが、全期間型 で 0.9%~1.5%、当初期間型で 1.0%~ 1.9%もの優遇金利が設定されている。 たとえば、右表のうち期間 5 年物の一番 高い店頭レート 3.40%で借りても、▲ 1.9 % の 優 遇 レ ー ト が 適 用 さ れ れ ば 銀行名 固定金利選択型 フラット 35 買取型(20 年) 3 年 5 年 10 年20 年 大手A行 3.15 3.35 3.75 4.80 2.12 大手B行 3.15 3.40 3.80 4.80 -大手C行 3.15 3.40 3.80 2.70 大手D行 3.15 3.40 3.80 4.80 2.22 地域A行 3.05 3.40 3.60 5.05 2.20 地域B行 3.00 3.05 3.35 2.15 地域C行 2.65 2.70 3.10 2.10 地域D行 2.85 2.90 3.25 2.25 2010 年 11 月 8 日現在(編集部調べ) 図表1 固定金利選択型、フラット 35 の金利

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図表2 金融機関が懸念する住宅ローンのリスク 30.5 30.5 55.5 82.1 86.0 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 担保価値の下落 金利上昇局面による延滞増加 他機関への借換え 景気低迷による延滞増加 金利競争に伴う利鞘縮小 2.5%に、2.70%の店頭レートに適用されれば 1%を切ることにもなってしまう。実際に厳 しい金利競争が展開されている東海地区では、優良住宅に対応するプランとして、固定金 利期間選択型 5 年ものの当初優遇金利適用で 0.9%を提示している金融機関もある。 少しでも低い返済額を提示できるという点では、住宅ローンアドバイザーにとってはあ りがたい環境ではあるものの、気になるのは金融機関の収益性の問題である。今号ではこ の点について考察してみた。

金融機関も収益性低下を懸念

図表2は、本年 10 月 29 日に公表された住宅金融支援機構による「平成 22 年度 民間住 宅 ロ ー ン の 貸 出 動 向 調 査 結 果 」 か ら 抜 粋 し て 作 成 し た デ ー タ で あ る ( 出 典 http://www.jhf.go.jp/files/100060877.pdf)。本項目での回答は複数回答がありとされて いるが、これに見るとおり、金利競争による利鞘の縮小を「住宅ローンのリスク」として 認識している金融機関が 86%もあることは注目に値する。 つまり、金融機関としても金利競争による金利低下と利鞘の縮小を危惧しているのであ る。「地域銀行の住宅ローンで考えると、経費として 70bp~60bp(0.7%~0.6%)かかる、 これに団体信用保険料の 0.3%が加わり、さらに信用コストを加算することを考えると現在 の優遇金利の水準はローン単体では収益を考えるのは難しい」(地方銀行関係者)という。 特に優遇策が導入されたばかりの頃は、当初期間の借入れ金利のみを優遇し、当初指定 の固定期間終了後には店頭金利の利幅が収益が確保できる構造であったが、最近では全期 間優遇とする形も普及してきており、これにより一段と収益性が圧迫されているようであ る。 収益性においては経費率等で地域銀行に勝る大手行においても「最近では、営業現場で 単位:% 出典:住宅金融支援機構「平成 22 年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果」より抜粋

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の住宅ローンに対するモチベーションは落ちてきている。個人取引であっても評価の対象 となるのは利益率であるので、収益性の低い住宅ローンには力が入りずらくなってきてい る」(大手行融資企画担当者)という。では、このような優遇金利を利用した営業推進体制 の今後の展望について、金融機関はどのように考えているのだろうか。

住宅事業者からの逆選別が競合に拍車?

図表3は金利優遇策を活用した営業推進の今後の展望についての金融機関の認識を調査 した結果であるが、「競合機関との対抗策として継続」との回答が地方銀行 89.3%、第Ⅱ地 銀 77.1%、信用金庫 76.8%と地方銀行以下の業態では圧倒的である。これは、図表4に示 した金融機関の住宅ローンの販売チャネルによる影響が大きい。 図表にみるとおり、住宅ローンの販売は住宅事業者からの持込案件が 82.3%と群を抜い 図表3 金利優遇を活用した営業推進の展望 0.0 1.8 2.9 4.9 44.4 89.3 77.1 76.8 0 0 0 5.5 3 3 . 3 7 . 1 8 . 6 7 . 3 22.2 1.8 11.4 5.5 0% 20% 40% 60% 80% 100% 都銀・信託 地銀 Ⅱ地銀 信用金庫 現行の金利情勢を前提とした調達構造が続く限り継続 競合金融機関との対抗策として継続 顧客ニーズや若年層の獲得には不可欠 住宅ローン業務の位置付け見直しがない 限り継続 金利競争の脱却時期が来ている 図表4 重視する販売チャネル 折り込みチラシ 等によるエリア 戦略, 27.9 取引企業等の 職域ルート, 48.9 窓口での個別 対応, 67.9 住宅事業者 ルート, 82.3 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 (%) 出典:図表3、4ともに住宅金融支援機構平成 22 年度 「民間住宅ローンの貸出動向調査結

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て多い。この関係から「競合する金融機関よりもローン金利が高くなると、住宅事業者か らの持ち込み案件が目に見えて減少する。また、競合ということを考えるとフラット 35S の金利も視野に入る。企業貸出が伸び悩む中では、できればプロパーのローンをお客様に 利用してもらいたい」(地方銀行関係者)ということから、競合金融機関等との金利競争が 止まないのが現状のようだ。もちろん、金利優遇をすることで住宅ローン自体の自体の収 益性は減退するが、「住宅ローンを組む顧客層はこれからの資産形成層であり、この世帯取 引を見込むことでの総合取引メリットを取れれば収益には貢献する」(地方銀行関係者)と いう。このため、各金融機関では金利優遇の際には、給与振込口座の指定や頭金を 2 割確 保していることなどのハードルを設けて、優良層の取り込みを図っていることが見て取れ る。また、所得補償保険や三大疾病保険などの特約付き保険をつけて、これらの手数料収 入でフィーを確保している例も多い。しかしながら、このような施策についても「生活口 座を確保したからといっても、最近では顧客の金融機関選択は厳しくなってきており、将 来金利で他金融機関に引けをとることになれば、借換えをされてしまうことも否定できな い」という。となると、この金利競争はどこまで続くのであろうか。

金利リスク、信用リスクも

金利競争にはそろそろ幕を引く時期ではないかと警鐘を鳴らす声もある。図表 5 にみる とおり、地域銀行では貸出の金利更改期間が最近右肩上がりに長期化してきている。企業 の設備投資意欲が上がらない 中での貸出期間の長期化は、住 宅ローンの増大による結果に 他ならないのではなかろうか。 「現在の金利環境では、金利 が上がるといっても 0.0 何% 刻みと考えられているので、こ のような金利競争が続けられ るのだろう。ただし、一旦、金 利が上がりはじめれば 0.25%、 0.5%といった上げ幅となるこ とは考えられないことではな い。そのときに優遇金利で低位 に固定された 5 年固定、あるい は 10 年固定の住宅ローン金利 図表5 金利更改期間と金利ミスマッチ 出典:日本銀行「金融システムリポート 2010 年 9 月号」

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が負担となってくることは、十分に考えられる。また、金融機関で住宅ローン金利の支え と考えられている、いわゆるコア預金(普通預金、1 年定期預金)についても、金利上昇期 に果たして現状の残高が普通預金や 1 年定期にとどまっているかどうか。普通預金の金利 が自由化されてから、金利の下降局面しか経験していない我が国の金融機関にとって、金 利上昇局面で普通預金や短期の定期性預金がど のような動きをするかは不明なので、この点もよ く考えなければならないのではないか」(大手銀 行市場関係者)、また、地域銀行等が金利リスク ヘッジのためのスワップをしようにも、この金利 と一行当たり数千億から兆円単位規模の金額で は、スワップのカウンターパーティーを見つける ことも難しいのではないかという。 一方、最近になっての景気低迷と住宅ローン債 務者の円滑化対応増大で、信用コストの増大も懸 念されている。 図表6は住宅金融支援機構のデータをもとに 作成された日銀の資料であるが、07 から 08 年ま で年を追うごとにデフォルト率が急速に高まっ ている。これをみると信用コストの増大についても、考慮しなければならない点となって くる。 金利を下げなければ顧客の獲得ができない、顧客の獲得ができなければ資産形成層の顧 客の取り込みができず、投資信託や保険その他取引の拡大も望めないという厳しい状況で はあるが、そろそろ金利による獲得競争は見直しの時期に来ているのではなかろうか。新 規貸出だけに留まらず、借換えローンなどでも優遇金利を打ち出している金融機関も多い、 このような金利の叩きあいは、形こそ違え 20 年前に住専が破綻に至ったような、金融機関 の疲弊を招くだけではなかろうか。 住宅ローンアドバイザーとしても、お客さまのためには金利が少しでも低いところを求 めるのは常道だが、金利だけではない商品性のメリットにも目を向けることも必要ではな かろうか。 (文責・在記者) 出典:日本銀行「金融システムリポー ト2010 年 9 月号」 図表6 住宅ローンのデフォルト率

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