JV建設会計 Q&A 30問(2012.12.4~2013.3.12) ―目次― ★JV の成立過程は? ★JV の形態区分は? ★共同施工方式とは? ★分担施工方式とは? ★JV 方式と匿名 JV 方式とは? ★構成員会社の会計処理について(完成工事高による)? ★建設工事にかかる JV と構成員との間で行う出資等の取引は消費税の課税対象となる か? ★JV を組んで建設工事を行う場合、JV に対する出資金や配賦金の消費税の取扱いは? ★JV自体に納税義務はあるか? ★共同企業体の工事で、持分比率を超えて提供した機械の使用料を他の構成員から徴収 しています。この機械の使用料は当社において課税売上となりますか? ★売上と認識しない工事原価の減少となる項目(例えば端材の売却益)についても課税 されるか? ★共同企業体に権利主体性は認められるか? ★共同企業体の形態にはどのようなものがあるか? ★特定建設工事共同企業体と経常建設共同企業体の違いは? ★甲型共同企業体と乙型共同企業体の主な相違点は? ★共同企業体により工事を施工することの意義は何か? ★共同企業体で施工した工事は、個別の構成員の工事施工実績にどのように反映される か?
★当社は、10 年前から建設業の許可を受けて営業していますが、1 年前の更新時に一般 建設業から特定建設業へ許可換えをしました。営業年数は何年になるか? ★建設業の許可を有して 2 年。1 年前に A 社を合併しました。A 社は合併まで 5 年間建 設業の許可を有していました。 営業年数は何年になるか? ★共同企業体での入札の際、代表者1社しか参加できない(他の構成員が不参加)場合、 どのようにしたらよいか? ★共同企業体協定書の位置付けと性格は? ★共同企業体として入札に参加しましたが、工事を受注することができませんでした? ★工事途中で一部の構成員が脱退した場合、どのようにすれば? ★運営委員会の位置づけと役割について? ★共同企業体の結成から運営委員会の開催までの間、どのような準備が必要か? ★運営委員会で協議すべき事項は? ★運営委員会の権限は? ★共同企業体における必要な規則にはどのようなものがあるか? ★規則はどのようにして作成されるべきですか? ★共同企業体編成表の提出は必要か?
★JV の成立過程は まず第一に発注者からの意向、施工能力、資金力等を勘案して JV の構成員を検討し、 決定することから始まる。 構成員の協議により、出資割合、スポンサー会社、利益金の配当等の出資、経営、決 算等に関する詳細な事項を決定し、JV 協定書を締結し、JVとしての見積書の作成、入 札、落札という過程を経て、発注者との請負契約が締結することになる。 ★JV の形態区分は 一般的には、施工方式と受注方式の違いにより区分することができる。 さらに、施工方式は、共同施工方式と分担施工方式に区分される。 又、受注方式も JV 方式と匿名 JV 方式(施工協力方式)分けられる。 ★共同施工方式とは 構成員各社が資金を出資し、労務、機械を提供して合同計算により共同施工するもの で、JV の原則的かつ代表的な形態です。 ★分担施工方式とは
工事の内容又は区分により工事を分割し、構成員各社が自己の分担工事についての み施工するものです。 財務面でも共通経費は拠出しますが、損益については通常、合同計算は行いません。 ★JV 方式と匿名 JV 方式とは JV 方式は、工事請負契約書に構成員が明記されているものです。 匿名 JV 方式は、契約書では単独請負となっているものの、実態は協同請負であるも のをいいます。この区分は本来の性格に基づくものではありませんが、現在の JV 実 態を考慮して、経理処理を検討する上で必要と考えられて行ったものです。 ★構成員会社の会計処理について(完成工事高による) 請負金額全額方式、持分相当額方式、分配損益方式がある。 請負金額全額方式によると、構成員各社が一つの完成工事高を重複計上することにな り、妥当とはいえない。 分配損益方式は、完成工事高に計上せず、受け取り配当金に準じて営業外収益に計 上する。支出費用は、この分配金より控除する。この考え方も JV を別会社として出 資額を投資 とすれば成り立つが、JV 工事がこれだけ普及していることを勘案すればこれも妥当 だといえない。 最後に、持分相当額方式は、完成工事高を持分により按分して、構成員各社で計上
する方法で、通常この方法が採用される。 ★建設工事にかかる JV と構成員との間で行う出資等の取引は消費税の課税対象となる か。 JV の取引の効果は、出資割合等に応じ各構成員に帰属することとなる。 したがって、JVと構成員との間との出資等の取引は、共同事業を遂行するために必 要な資金の拠出であり、課税の対象とはならない。 ★JV を組んで建設工事を行う場合、JV に対する出資金や配賦金の消費税の取扱いは。 JV が行う試算の譲渡等及び課税仕入れは各構成員が出資金等の割合に応じて行っ たものとなるが、各構成員が当該JVに対して支出する支出金は、支出の時点では依 然それを支出した構成員の持分であるから、消費税の課税関係は生じず、当該出資金 より JV が建設資材等を購入したときに当該構成員が課税仕入れを行ったことになる。 又、発注者から JV が中間金等の名目で金銭を受領した場合、出資金等の割合に応 じて各構成員に配布金として分配することがあるが、目的物の引渡しがあるまでは単 なる預り金であるから、消費税の課税関係は生じない。 ただし、JV が部分完成基準により発注者より建設工事にかかる目的物の一部を引き 渡した場合には、その部分においてはその課税期間において資産の譲渡等を行ったこ とになる。
★JV自体に納税義務はあるか。 JV 自体が法人格を有するものではないので、課税方法というものを定めていません。 実務において、組合としての課税方法が採られているといえるかも知れません。 なぜなら、多くのJVにおいて代表会社が一括して JV の会計処理を行い、定期的 に構成員会社に分配割合に応じた計算結果を報告し、各構成員はその報告された計算 結果にもとづき各自の持分計算を行っているからです。 ★共同企業体の工事で、持分比率を超えて提供した機械の使用料を他の構成員から徴収 しています。この機械の使用料は当社において課税売上となりますか。 本件のように各構成員の持分比率を超えてその費用等を負担した構成員が他の 構成員から徴収する費用等の相当額は、他の構成員に対し行った資産の譲渡等の対価 であると認められるので、課税となる。 ★売上と認識しない工事原価の減少となる項目(例えば端材の売却益)についても課税 されるか。 端材の売却益であっても、当該端材の売却は課税資産の譲渡に該当するので、課税 される。
★共同企業体に権利主体性は認められるか。 共同企業体の権利に係る分野で広く認められています。 共同企業体は法人格を有しない団体であるため、共同企業体として行った法律行為 の権利義務は、原則として各構成員に帰属し、共同企業体に帰属するものではない とされています。 ★共同企業体の形態にはどのようなものがあるか。 共同企業体の形態は、その活用目的の違いにより区別(経常建設共同企業体と特定 建設工事共同企業体)と、共同企業体の施工方式の違いによる区別(甲型共同企業体 =共同施工方式と乙型共同企業体=分担施工方式)とに分類される。 それぞれの詳しい説明は、次回としますが、活用目的と共同企業体としての施工方法 とは一致しないことに注意する必要がある。 つまり、経常建設共同企業体であって、甲型共同企業体の場合もあれば乙型共同企 業体の場合もある一方、特定建設工事共同企業体であっても甲型、乙型両方がある。 この両者の適正な組合せは工事の性質、発注方針等により判断されるべきものです。 ★特定建設工事共同企業体と経常建設共同企業体の違いは。 共同企業体の形態には、その活用目的の違いによる区別と共同企業体の施工方式の 違いによる区別とがある。
特定建設工事共同企業体と経常建設共同企業体は前者による区別である。 特定建設工事共同企業体とは、特定の建設工事の施工を目的として工事毎に結成され る共同企業体であり、工事が完了すれば解散することとなる。 経常建設共同企業体とは、中小建設業者が、継続的な協業関係を確保することによ りその経営力・施工力を強化する目的で結成する共同企業体であり、個別企業と同様、 年度当初に競争入札参加資格申請時に共同企業体を結成し、共同企業体として資格認 定を受け、業者登録されているものをいう。 ★甲型共同企業体と乙型共同企業体の主な相違点は。 施工形態、損益計算、利益(欠損)金の配分等に相違点がある。 甲型、乙型というのは、標準協定書の種類の区別によるものです。 甲型共同企業体(共同施工方式)は、全構成員が各々あらかじめ定めた出資の割合 に応じて資金、人員、機械等を拠出して、いわば混然一体となって工事を施工する方 式です。 損益計算については、共同企業体としての会計単位を設けて、合同で損益計算が行わ れ、各構成員の企業会計への帰属は出資比率に応じたものとなる。 利益(欠損)金の配分等については、各構成員の出資の割合に従って配分されます。 乙型共同企業体(分担施工方式)は、あらかじめ工区に分割し、各構成員は、それ ぞれの分担した工事について責任をもって施工する方式です。 表面的には分離・分割発注と似ていますが、最終的には他の構成員の施工した工事に ついても発注者に対して連帯責任を負うことになります。 損益計算については、各構成員が自分の分担工事ごとに行い、甲型共同企業体のよう
に構成員一帯となった合同計算は行いません。したがって、構成員の中に、利益を上 げた者と損失が生じた者とが発生する可能性もあります。 利益(欠損)金に配分等についても、各社ごとになり、構成員間で利益と損失の調整 がなされることはありません。 ★共同企業体により工事を施工することの意義は何か。 構成員間の信頼と強調をもとにした信用力・融資力の増大、危険負担、技術力の強 化・拡充、経験の増大、工事施工の確実性当があげられる。 建設工事を施工するにあたっては、運転資金等多額の資金を必要としますが、複数 の建設業者が共同企業体を結成して資金を拠出しあえば、個々の業者が負担する資金 の額は、大幅に軽減されます。 建設工事は、完成までに長期間を要すること、屋外作業であること等により、災害 等の危険を伴うことが多いと考えられます。 通常、建設業者は多くの工事をかかえ、その危険をできる限り軽減しようとしますが、 共同企業体においては、危険が分散される効果があり、着実な利益の確保が図ること ができるものといえます。 単体企業では、技術力な理由から受注することが困難であっても、それぞれの構 成員が得意とする分野を組み合わせることにより、受注が可能となります。 又、他の構成員の施工技術を構成員間で修得することが期待でき、技術力の向上に役 立てることができます。
★共同企業体で施工した工事は、個別の構成員の工事施工実績にどのように反映される か。 完成工事高、工事成績とも各構成員に反映されます。 共同企業体で施工した完成工事については、次により算出した額を各構成員の完成工 事高として計上することができます。 甲型共同企業体で施工した工事の場合、工事請負代金に各構成員の出資比率を乗じ た額乙型共同企業体で施工した場合、運営委員会で定めた各構成委員の分担工事の額 工事成績点は、個々の構成員の工事成績とみなすことになっています。 発注者は、甲型であれ乙型であれ、一つの契約工事については、一つの工事成績点で 評価するので、甲型はもちろん、乙型にあっても各構成員間の工事成績点は同一にな ります。 一方、共同企業体の工事で引き起こした労働災害は、甲型の場合は全構成員の労働 災害の労働災害率に反映されますが、乙型の場合には、ある構成員の分担する工事の 労働災害の責任は、当該構成員に限られます。 賃金の不払いなども、労働災害に準じて取り扱われます。 ★当社は、10 年前から建設業の許可を受けて営業していますが、1 年前の更新時に一般 建設業から特定建設業へ許可換えをしました。営業年数は何年になるか。 10 年の営業継続年数を有することになります。
★建設業の許可を有して 2 年。1 年前に A 社を合併しました。A 社は合併まで 5 年間建 設業の許可を有していました。 営業年数は何年になるか。 6年の営業継続年数を有することになります。 ★共同企業体での入札の際、代表者1社しか参加できない(他の構成員が不参加)場合、 どのようにしたらよいか。 共同企業体全構成員の署名捺印による委任状を持って入札に参加するべきである。 何らかの事情で、全構成員が現場説明や入札等に参加できない場合は、代表者が 全ての構成員の委任状をもって参加します。 ★共同企業体協定書の位置付けと性格は。 共同企業体構成員間の権利義務等に関する基本的合意事項を定めたものであると 同時に、発注者に対する工事請負契約の内容の一部を構成するものである。 共同企業体は、複数の建設業者が共同して建設工事の施工にあたることに合意して 設立される事業組織体ですが、この合意自体は、共同企業体の構成員相互の契約に ほかなりません。 ★共同企業体として入札に参加しましたが、工事を受注することができませんでした。
この場合、何か留意すべき点は。 特定建設工事共同企業体にあっては、工事の受注ができなかった場合には、解散す ることとされています。 経常建設共同企業体では、存続の影響を受けません。 なお、工事を受注することができず問題となることは、入札参加にあたっての 営業活動等の経費や見積費用等の負担です。 結成したときに、協議し合意しておくことが必要ですが、一般的には出資比率 に応じて負担することが合理的です。 ★工事途中で一部の構成員が脱退した場合、どのようにすれば。 甲型共同企業体では、残存構成員が共同連帯して建設工事を完成する義務を負いま す。 この場合の残存構成員の出資比率については、残存構成員が脱退前に有していた出資 比率に応じて負担し、当初の残存構成員の出資比率に加算します。 申し添えますが、 発注者及び構成員全員の承認がなければ、脱退できません。 さらに、脱退した構成員に対しては、決算時に出資の返還を行うのみで、利益の配 当はおこないません。但し、欠損が発生した時には、損失の負担を求めることになり ます。 乙型共同企業体では、建設工事を完成するまでは破産又は解散したときを除い て脱退することができません。そして、その時は残存構成員が共同連帯して脱退 構成員の分担工事を完成する義務を負います。
★2社の共同企業体において、1社が工事途中で脱退した場合、残存1社で施工するこ とは可能か。又、その場合契約はどうなるか。 残存1社による施工継続は可能ですが、原則として既存契約の解除と新しい契約締 結が必要です。 共同企業体としての実体はなくなりますが、施工を継続することは発注機関の承諾 と残存会社の合意により可能と考えられます。 その場合、原則として発注者は公共 工事標準請負契約約款の定めに基づき、消失した共同企業体との既存契約の解除を行 ったうえで、新しく残存会社と単体で請負契約を締結する必要があると考えられます。 ★運営委員会の位置づけと役割について 共同貴牛隊の最高意志決定機関として位置づけられており、共同企業体の運営に 関する基本的かつ重要な事項について意思決定を行うこととされている。 ★共同企業体の結成から運営委員会の開催までの間、どのような準備が必要か。 準備委員会を設置して必要事項の協議を行います。 共同企業体を結成することとなった場合、発注者との契約の一部として、共同企業体 構成員間での基本的事項の合意として、共同企業体協定書を作成する必要がありま す。さらに、入札に向けての工事金額の見積等を作成しなければなりません。 具体的には下記の事項です。
1.協定書の作成 2.工事金額の見積 3.規則等(案)の作成 4.工事事務所(作業所)編成(案)の作成 5.その他付議を要すると認められる事項 ★運営委員会で協議すべき事項は。 運営委員会は、共同企業体の最高意思決定機関ですから、共同企業体の運営に係る すべての事項を決定することもできますが、少なくとも基本的事項については、下記 の事項を必ず運営委員会において協議決定する必要があるります。 1 組織・編成及び工事の施工の基本に関する事項 2 実行予算及び決算書(案)の承認に関する事項 3 設計変更、追加工事の承認に関する事項 4 取引業者の決定及び下請契約等の決定に関する事項 5 その他付議を要すると認められる事項 ★運営委員会の権限は。 権限を具体的に示すと、下記のとおりです。 1 工事の基本方針に関する事項 2 施工の基本計画に関する事項
3 安全衛生管理の基本方針に関する事項 4 工事実行予算案の承認に関する事項 5 決算案の承認に関する事項 6 協定原価算入基準案の承認に関する事項 7 実行予算外の支出のうち、重要なものの承認に関する事項 8 工事事務所の組織及び編成に関する事項 9 取引業者の決定及び契約の締結に関する事項(軽微な取引を除く) 10 発注者との変更契約の締結に関する事項 11 規則の制定及び改廃に関する事項 12 損害保険の付保に関する事項 13 その他共同企業体の運営に関する基本的事項及び重要事項 ★共同企業体における必要な規則にはどのようなものがあるか。 構成員間の信頼と協調を確保し円滑な共同施工を図る観点から、一定の規則等を 整備し明文化することとされている。 少なくとも、下記の規則は整備すべきです。 1 運営委員会規則(委員会の設置に伴うもの) 2 施工委員会規則(委員会の設置に伴うもの) 3 経理取扱規則(主要規則) 4 工事事務所規則(主要規則) 5 就業規則(法令に基づいて整備が義務付けられているもの) 6 人事取扱規則
7 購買管理規則(委員会の設置に伴うもの) 8 共同企業体解散後の瑕疵担保責任に関する覚書(主要規則) ★規則はどのようにして作成されるべきですか。 各構成員が遵守すべき共同企業体運営のルールを定めたものですがら、運営委員会 の承認をもって決定される必要がある。 運営委員会に先立って準備委員会での規則等の原案作成が必要です。 規則等は構成員間の共同施工に関する事前合意の内容を明文化したものであると いえ、共同企業体協定書に準じた扱いが望ましいと考えられます。従って、各構成員 が記名捺印し、各々1通を保有すべきであります。 規則等の改廃の決定は当然は運営いい回の専決事項といえます。 規則等の内容の決定にあたっては、各項目ごとに決済担当部署を明らかにして、責任 の所在を明確化し構成員間での責任の転嫁等の無用の混乱を生じないように努めな ければならない。 ★共同企業体編成表の提出は必要か。 共同施工の確保の観点から、工事の施工監督にあたって工事事務所の組織、人員 配置等のあり方を確認するため必要とされています。 又、共同企業体の組織体制を明確にすることからも必要といえます。