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随意運動とinterhemispheric interaction の神経生理学的関連について

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 42 巻第 8 号 825 ∼ 826 頁(2015 随意運動と 年) interhemispheric interaction. 825. 分科学会シンポジウム 12(日本基礎理学療法学会). 随意運動と interhemispheric interaction の神経生理学的関連について* 上 原 一 将 1)2). IRI)をもとに変動係数を算出し,各運動周波数における運動. 同側一次運動野と運動課題の関係. パフォーマンス成績を分析した結果,1, 3 Hz は IRI のばらつ.  ヒトの随意運動では,動作肢と対側に位置する大脳皮質一次. きが大きく,2 Hz では IRI のばらつきは小さくなることが確. 運動野(primary motor cortex:以下,M1)が脊髄および筋. 認された。つまり,1, 3 Hz は 2 Hz と比較して課題を正確に遂. に対する下行性斉射の最終出力領域として働くことは広く知ら. 行することが難しい運動周波数である可能性が示唆された。こ. れている。しかしながら,左右大脳半球間の関係を考慮した場. の行動学的データと前述した同側 M1 の興奮性変化を関連づけ. 合,動作肢と同側に位置する M1 もその神経活動を変化させ,. て考察すると, “難易度が高い課題”では同側 M1 の興奮性が. 随意運動に貢献している可能性が考えられる。Kobayashi ら 1). 増加し,比較的安定して行うことができる“難易度が低い課. は,健常成人が片側手指運動を遂行している最中の脳活動変. 題”である場合,同側 M1 の興奮性は増加しない可能性が考え. 化 を 機 能 的 磁 気 共 鳴 画 像 法(functional magnetic resonance. られ る。. image:以下,fMRI)を用いて検討した結果,対側 M1 のみな.  この仮説を支持するその他の研究として,我々は,箸を用い. らず,同側 M1 の blood oxygenation level-dependent(BOLD). てビー玉を掴みふたつのボックス間を移動させるという巧緻性. 2). も. 課題を右利き健常成人に行わせ,その最中に動作肢と同側に. 同様に,片手随意運動中に同側 M1 の興奮性変化を経頭蓋磁気. 位置する M1 に対して単発刺激 TMS を行い,その興奮性変化. 刺 激 法(transcranial magnetic stimulation: 以 下,TMS) を. を評価した。箸を使用せず,ビー玉も把持しない単純な疑似. 用いて検討した結果,同側 M1 の興奮性が安静時と比較して増. 課題と比較して,箸課題では同側 M1 の興奮性は有意に増加し. 信号が増加することを報告した。また,Muellbacher ら. 加し,かつ GABAA 受容体の機能を反映する単潜時皮質内抑. た。この現象は,普段箸を使用しない左手で箸を操作している. 制回路が減弱することを報告した。これらの先行研究から,ヒ. ときに顕著に同側 M1(左 M1)の興奮性が増加した 4)。つま. トの随意運動制御は対側 M1 だけではなく,同側 M1 も関与し. り,難易度の高い課題あるいは巧緻性が高い課題などでは,同. ている可能性が示唆される。では,ヒトの随意運動において. 側 M1 の興奮性を高めることで円滑にその課題を遂行している. 同側 M1 はどのような役割を担っているのであろうか。我々は. 可能性が示唆される。しかしながら,fMRI を用いて手指課題. この疑問を明らかにするために,健常成人を対象とし,異な. 中の同側 M1 の活動と運動パフォーマンス成績の関係性を明ら. る運動周波数で片側手指周期運動課題を行った際,同側 M1 の. かにした Loibl ら 5)の研究では,高齢者において,同側 M1 の. 興奮性がどのように変化するのかを単発刺激 TMS を用いて検. 活動とパフォーマンス成績の間には有意な負の相関関係が確認. 討した. 3). 。被験者は 1, 2, 3 Hz それぞれの音刺激に対応して左. された。すなわち高齢者の場合,同側 M1 の活動の減少が高い. 示指外転周期運動を行うよう指示し,その最中に TMS を用い. 運動パフォーマンス成績を維持することを意味する。我々の自. て左 M1,すなわち同側 M1 を刺激し,運動誘発電位(motor. 研データ 3)4) と Loibl ら 5) の報告を統合して解釈すると,同. evoked potential:以下,MEP)を右手第一背側骨間筋から. 側 M1 は随意運動制御に関与しているものの,加齢によって同. 記録した。安静状態と比較して 1, 3 Hz の運動周波数では同側. 側 M1 の随意運動に対する貢献は異なる可能性が考えられる。. M1 の興奮性は増加し,2 Hz の運動周波数では同側 M1 の興 奮性が低下することが明らかとなった。これに加え,運動周. 同側一次運動野と近位筋協調活動. 波数に依存して同側 M1 の興奮性が特異的に変化した要因を明.  同側 M1 の随意運動に対するその他の役割として,同側 M1. らかにするために,周期運動の inter-response interval(以下,. が上肢近位筋の協調的な活動に関与している可能性が挙げら. *. Neural Relationships between Voluntary Movements and Interhemispheric Interactions 1)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イ メージングセンター先進脳画像研究部 (〒 187‒8551 東京都小平市小川東町 4‒1‒1) Kazumasa Uehara, PT, Ph.D: National Center of Neurology and Psychiatry, Integrative Brain Imaging Center, Department of Advanced Neuroimaging 2)日本学術振興会 特別研究員 PD Research Fellow of Japan Society for the Promotion of Science (PD) キーワード:随意運動,同側一次運動野,半球間抑制. れ る。 我 々 は, 経 頭 蓋 直 流 電 気 刺 激(cathodal transcranial direct current stimulation:以下,tDCS)と TMS を用いて同 側 M1 と上肢近位筋の関係性について検討を行った 6)。tDCS は微弱な直流電流を頭皮上から流すことによって非侵襲的に脳 の興奮性を修飾することができる神経修飾技術のひとつであ る。tDCS は陽極,陰極のふたつの電極から構成され,陽極刺 激を行うと刺激部位周辺の脳の興奮性を促通させ,その一方で 陰極刺激を行うと刺激部位周辺の脳の興奮性を抑制させること.

(2) 826. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. が可能である 7)。我々は,健常成人に対して陰極刺激の tDCS. 有意な SIHI の増加(抑制量の増加)が認められた。この SIHI. を動作肢と同側 M1 に 15 分間,1 mA の強度で与え,上腕二. の増加は筋収縮量には依存せず,どちらも同等の抑制量であっ. 頭筋の主動作筋作用および拮抗筋作用の変化を TMS によって. た。その一方で,LIHI は随意運動を行ってもその抑制量に変. 上腕二頭筋から誘発される MEP の変化をもとに検討した。結. 化は認められず,安静条件と同等の抑制量であった。この結果. 果として,tDCS の陰極刺激によって上腕二頭筋拮抗筋作用(前. から,SIHI が優先的に随意運動に関与していることが明らか. 腕回内)時の MEP は tDCS 前と比較して有意に抑制された。. となった。. すなわち,これは拮抗筋活動が改善していることを意味する。 その一方で上腕二頭筋主動作筋作用(肘関節屈曲)時の MEP. まとめ. は tDCS 前と比較して変化はみられなかった。同側 M1 の興奮.  一般的にヒトの随意運動制御は動作肢と対側に位置する M1. 性を tDCS によって変化させることで,近位筋の拮抗筋活動を. がおもに運動を制御していると考えられているが,本稿で紹介. 選択的に修飾したことから,同側 M1 は上肢近位筋の拮抗筋制. した我々の知見 3)4)6)10) をもとに考察すると,同側 M1 は随. 御に関与している可能性が示唆された。脳卒中片麻痺患者で. 意運動制御に関与し,運動課題に応じてその役割を変化させて. は,上肢近位筋の分離運動が日常生活活動改善の鍵となること. いる可能性が考えられる。また,随意運動中,大脳半球間の. が多いため,十分な拮抗筋活動の改善が重要である。対側 M1. neural interaction は絶えず行われているため,左右大脳半球. のみならず,同側 M1 の興奮性変化も考慮したリハビリテー. 間の neural interaction を考慮した運動制御基盤の解明が今後. ション介入が今後重要になると考えられ,さらなる基礎的およ. 必要になる。リハビリテーションにおいても同様に,左右大脳. び臨床的研究が必要となる。. 半球間の neural interaction を考慮した介入方法の提案および. 随意運動における左右半球間の neural interaction について  左右大脳半球間の interaction を理解するうえで,左右半球 間を強固に結合する脳梁は随意運動制御において重要な役割 を果たす神経経路であるといえる。この脳梁を介した neural interaction は, 半 球 間 抑 制(interhemispheric inhibition: 以 下,IHI)と呼ばれ近年,基礎的および臨床的研究の対象となっ ている。ヒトの安静時 IHI は,Ferbert ら 8)によって dual coil TMS 法を用いて 1990 年代初頭にはじめて報告された。IHI は, 一方の M1 に条件刺激用の TMS コイルを置き,もう一方の M1 に試験刺激用の TMS コイルを置き,条件刺激と試験刺激 の inter stimulus interval(以下,ISI)を 10 ms として刺激を 行うと短潜時半球間抑制(short interval IHI:以下,SIHI)が 観察され,ISI を 40 ms として刺激を行うと長潜時半球間抑制 (long interval IHI:以下,LIHI)が観察される 9)。安静状態 のみならず,随意運動中においても IHI がその制御機構の一部 として働くことは予測できるが,その詳細は明らかになってい なかった。そこで,我々は dual coil TMS 法を用いて健常成人 を対象とし,片手随意運動中の SIHI と LIHI の動態を明らか にした 10)。なお,IHI は対側 M1 から同側 M1 に向けての IHI を評価した。被験者には手指示指外転等尺性筋収縮を最大筋 力(maximum voluntary contraction:以下,MVC)の 10%と 30%それぞれ維持するように指示し,随意運動中に対側 M1 に 条件刺激を与え,同側 M1 に試験刺激を ISI 10 ms と 40 ms で それぞれ与えた。その結果,安静条件では,SIHI と LIHI は同 等の抑制量であったのに対して,随意運動中では SIHI と LIHI は異なる動態を示した。随意運動中では,安静時と比較して. 開発が今後期待される。. 文  献 1) Kobayashi M, Hutchinson S, et al.: Ipsilateral motor cortex activation on functional magnetic resonance imaging during unilateral hand movements is related to interhemispheric interactions. Neuroimage. 2003; 20: 2259‒2270. 2) Muellbacher W, Facchini S, et al.: Changes in motor cortex excitability during ipsilateral hand muscle activation in humans. Clin Neurophysiol. 2000; 111: 344‒349. 3) Uehara K, Morishita T, et al.: Neural mechanisms underlying the changes in ipsilateral primary motor cortex excitability during unilateral rhythmic muscle contraction. Behav Brain Res. 2013; 240: 33‒45. 4) Morishita T, Ninomiya M, et al.: Increased excitability and reduced intracortical inhibition in the ipsilateral primary motor cortex during a fine-motor manipulation task. Brain Res. 2011; 1371: 65‒73. 5) Loibl M, Beutling W, et al.: Non-effective increase of fMRIactivation for motor performance in elder individuals. Behav Brain Res. 2011; 223: 280‒286. 6) Uehara K, Coxon JP, et al.: Transcranial Direct Current Stimulation Improves Ipsilateral Selective Muscle Activation in a Frequency Dependent Manner. PLoS One. 2015; 10: e01222434. 7) Nitsche M, Paulus W: Excitability changes induced in the human motor cortex by weak transcranial direct current stimulation. J Physiol. 2000; 527: 633‒639. 8) Ferbert A, Priori A, et al.: Interhemispheric inhibition of the human motor cortex. J Physiol. 1992; 453: 525‒546. 9) Ni Z, Gunraj C, et al.: Two Phases of Interhemispheric Inhibition between Motor Related Cortical Areas and the Primary Motor Cortex in Human. Cereb Cortex. 2009; 19: 1654‒1655. 10) Uehara K, Morishita T, et al.: Functional difference in shortand long-latency interhemispheric inhibitions from active to resting hemisphere during a unilateral muscle contraction. J Neurophysiol. 2014; 111: 17‒25..

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