随意運動とinterhemispheric interaction の神経生理学的関連について
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(2) 826. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. が可能である 7)。我々は,健常成人に対して陰極刺激の tDCS. 有意な SIHI の増加(抑制量の増加)が認められた。この SIHI. を動作肢と同側 M1 に 15 分間,1 mA の強度で与え,上腕二. の増加は筋収縮量には依存せず,どちらも同等の抑制量であっ. 頭筋の主動作筋作用および拮抗筋作用の変化を TMS によって. た。その一方で,LIHI は随意運動を行ってもその抑制量に変. 上腕二頭筋から誘発される MEP の変化をもとに検討した。結. 化は認められず,安静条件と同等の抑制量であった。この結果. 果として,tDCS の陰極刺激によって上腕二頭筋拮抗筋作用(前. から,SIHI が優先的に随意運動に関与していることが明らか. 腕回内)時の MEP は tDCS 前と比較して有意に抑制された。. となった。. すなわち,これは拮抗筋活動が改善していることを意味する。 その一方で上腕二頭筋主動作筋作用(肘関節屈曲)時の MEP. まとめ. は tDCS 前と比較して変化はみられなかった。同側 M1 の興奮. 一般的にヒトの随意運動制御は動作肢と対側に位置する M1. 性を tDCS によって変化させることで,近位筋の拮抗筋活動を. がおもに運動を制御していると考えられているが,本稿で紹介. 選択的に修飾したことから,同側 M1 は上肢近位筋の拮抗筋制. した我々の知見 3)4)6)10) をもとに考察すると,同側 M1 は随. 御に関与している可能性が示唆された。脳卒中片麻痺患者で. 意運動制御に関与し,運動課題に応じてその役割を変化させて. は,上肢近位筋の分離運動が日常生活活動改善の鍵となること. いる可能性が考えられる。また,随意運動中,大脳半球間の. が多いため,十分な拮抗筋活動の改善が重要である。対側 M1. neural interaction は絶えず行われているため,左右大脳半球. のみならず,同側 M1 の興奮性変化も考慮したリハビリテー. 間の neural interaction を考慮した運動制御基盤の解明が今後. ション介入が今後重要になると考えられ,さらなる基礎的およ. 必要になる。リハビリテーションにおいても同様に,左右大脳. び臨床的研究が必要となる。. 半球間の neural interaction を考慮した介入方法の提案および. 随意運動における左右半球間の neural interaction について 左右大脳半球間の interaction を理解するうえで,左右半球 間を強固に結合する脳梁は随意運動制御において重要な役割 を果たす神経経路であるといえる。この脳梁を介した neural interaction は, 半 球 間 抑 制(interhemispheric inhibition: 以 下,IHI)と呼ばれ近年,基礎的および臨床的研究の対象となっ ている。ヒトの安静時 IHI は,Ferbert ら 8)によって dual coil TMS 法を用いて 1990 年代初頭にはじめて報告された。IHI は, 一方の M1 に条件刺激用の TMS コイルを置き,もう一方の M1 に試験刺激用の TMS コイルを置き,条件刺激と試験刺激 の inter stimulus interval(以下,ISI)を 10 ms として刺激を 行うと短潜時半球間抑制(short interval IHI:以下,SIHI)が 観察され,ISI を 40 ms として刺激を行うと長潜時半球間抑制 (long interval IHI:以下,LIHI)が観察される 9)。安静状態 のみならず,随意運動中においても IHI がその制御機構の一部 として働くことは予測できるが,その詳細は明らかになってい なかった。そこで,我々は dual coil TMS 法を用いて健常成人 を対象とし,片手随意運動中の SIHI と LIHI の動態を明らか にした 10)。なお,IHI は対側 M1 から同側 M1 に向けての IHI を評価した。被験者には手指示指外転等尺性筋収縮を最大筋 力(maximum voluntary contraction:以下,MVC)の 10%と 30%それぞれ維持するように指示し,随意運動中に対側 M1 に 条件刺激を与え,同側 M1 に試験刺激を ISI 10 ms と 40 ms で それぞれ与えた。その結果,安静条件では,SIHI と LIHI は同 等の抑制量であったのに対して,随意運動中では SIHI と LIHI は異なる動態を示した。随意運動中では,安静時と比較して. 開発が今後期待される。. 文 献 1) Kobayashi M, Hutchinson S, et al.: Ipsilateral motor cortex activation on functional magnetic resonance imaging during unilateral hand movements is related to interhemispheric interactions. Neuroimage. 2003; 20: 2259‒2270. 2) Muellbacher W, Facchini S, et al.: Changes in motor cortex excitability during ipsilateral hand muscle activation in humans. Clin Neurophysiol. 2000; 111: 344‒349. 3) Uehara K, Morishita T, et al.: Neural mechanisms underlying the changes in ipsilateral primary motor cortex excitability during unilateral rhythmic muscle contraction. Behav Brain Res. 2013; 240: 33‒45. 4) Morishita T, Ninomiya M, et al.: Increased excitability and reduced intracortical inhibition in the ipsilateral primary motor cortex during a fine-motor manipulation task. Brain Res. 2011; 1371: 65‒73. 5) Loibl M, Beutling W, et al.: Non-effective increase of fMRIactivation for motor performance in elder individuals. Behav Brain Res. 2011; 223: 280‒286. 6) Uehara K, Coxon JP, et al.: Transcranial Direct Current Stimulation Improves Ipsilateral Selective Muscle Activation in a Frequency Dependent Manner. PLoS One. 2015; 10: e01222434. 7) Nitsche M, Paulus W: Excitability changes induced in the human motor cortex by weak transcranial direct current stimulation. J Physiol. 2000; 527: 633‒639. 8) Ferbert A, Priori A, et al.: Interhemispheric inhibition of the human motor cortex. J Physiol. 1992; 453: 525‒546. 9) Ni Z, Gunraj C, et al.: Two Phases of Interhemispheric Inhibition between Motor Related Cortical Areas and the Primary Motor Cortex in Human. Cereb Cortex. 2009; 19: 1654‒1655. 10) Uehara K, Morishita T, et al.: Functional difference in shortand long-latency interhemispheric inhibitions from active to resting hemisphere during a unilateral muscle contraction. J Neurophysiol. 2014; 111: 17‒25..
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