平成 25 度第1回 移動教育委員会 懇談会発言要旨
開催日 平成 25 年5月 22 日(水) 会場 静岡県立農林大学校 教職員との懇談会 14:40~15:30 参加者 静岡県立農林大学校 班長・主幹・主査・担当職員 静岡県教育委員会 教育委員会教育委員長・教育委員(教育長含む) オブザーバー 静岡県教育委員会 教育次長・高校教育室長 【農林大学校職員】 ・ 農林大学校に入学してくる学生をみると、最近は非農家の学生が約6割いる。農業高校以外 からも農林大学校に入学する学生が増えており、潜在的に、普通科、商業科、工業科の生徒 の中にも将来農業をやりたいと考える学生がいるのではないかと考えている。 ・ 農業は6次産業化を目指しており、商業、工業の分野で優れた人材が将来の農業の担い手に なるのではと考えている。 ・ 最近の学生の就職状況をみると、農業法人への就職が重要視されており年々増えている。農 業法人が大学校へ求める人材は、農場の責任者になるような、管理能力のある人材を求めて いる。そう考えると、簿記などの数字に強い人間が必要とされ、様々な高校から農林大学校 を目指してほしいし、就職先の選択肢として農業法人があることを高校生にもっと紹介して ほしい。しかし、県内の農業法人のうちお茶、野菜が半分を占め、果樹が少ないため果樹で 農業法人に就職したい学生の受け皿が少ないこと、待遇面で賃金が低いなど、課題はある。 農業法人協会に加盟している企業は、待遇面でも安心できるので、今後は農業法人と学校の パイプ役である、同協会との連携を密にしていくことが今後の課題である。 【農林大学校職員】 ・ 平成26 年度に①農業ビジネスに特化した教育②企業的経営管理(6次産業に対応した科目の ・ 充実)③実践力を習得する科目を充実させることを目的に再編され、農業法人で中核を担う、 企業的経営を目指す新規就農者(農業スペシャリスト)の育成を目指している。 ・ 2年間で終わるのではなく養成部から研究部に入り4年間のコースを念頭に高校生に進路指 導をしてほしい。【農林大学校職員】 ・ 入学してくる学生の割合は、女子学生や非農家の学生が増加している。 ・ 大学校の講義は、高校までの基礎学力が土台となるので、今後も高校教育の充実を期待する。 【教育委員】 ・ 基礎学力について、実社会で必要なものとそうでないものがある。日本の義務教育は知識の 延長で、考えることをさせていない。一つの原理原則が出来上がる過程を勉強することが基 礎力につながっていくのではないか。 ・ 文章力について、単語を羅列するだけでは、言葉の使い手としては未熟である。自分の意見 を相手に伝え、相手の意見を聞き取り理解する、そういう基本的な言葉のやり取りができた 上で国語というものはある。そのことは、県教育委員も感じている。 ・ 就職先を既存の法人に頼るのでは、従来の農業形態と変わらない。今後新しい農業を作って いくためには、子どもたちのために、大人が新たな働く場や農業の仕組みを考え作り上げて いくべきで、その意欲の有無の問題であると考える。 【教育委員】 ・ 農業をやりたいという夢を持って入学した子どもたちの夢を実現させてあげることが学校の 役目である。しかし主な就職先としての農業法人の数が伸びないという課題がある。長い目 で見ると日本の産業は製造業が海外へ移転し国内雇用が減少している中で、医療、福祉分野、 農業分野は内需として期待がされている。その人材募集を大学校が学生にサポートすること は、大切な要素であり、他の 4 年制大学の学生が就職する企業に、どれだけ肉薄できる力を つけた学生を育てるか求められている。農業をやりたいという全ての子どもたちに、夢をあ たえるような教育を目指していきたい。 【教育委員】 ・ 農林大学校は資格取得でき、学費も安く、寮も完備されている。親から見たら大変魅力的な 学校であるが、その存在が世間に周知されていない。情報の出し方によって魅力を最大限に 引き出せば、さらに良い人材が集まり、就職にも連動するのではないか。 【農林大学校職員】 ・ 農林大学校は、他の 4 年制大学に負けない魅力ある学校だと思っている。本校ならではの教 育として、種まきから収穫、販売に至るまで、一連の流れを経験させる。自分で作ったもの を売ることの喜びを感じ、客のニーズをつかみ新たな需要を作り出すことを考えさせること で、学生は大きく成長する。 【農林大学校職員】 ・ 本校は、農業の現場の担い手を育てることを目的とし、卒業生の多くは静岡県の農業を支え ており、社会に出てから応援してくれる先輩が県内にいることは心強いことである。 ・ 本校の職員は県の職員であるため、行政や教育分野、また、農林事務所や試験研究の分野を 経験しており、様々な分野において、学生の求める現場体験等を調整することができる。 ・ 今の農業は、非農家の人でも参入しやすい現状にあるが、当然、成功事例も失敗事例もある。
例え失敗しても農業をあきらめず、成功にたどり着くために、明確な夢や目的を持つことが 大切で、その気持ちを持って農林大学校の門をたたいてほしい。 【農林大学校職員】 ・ 自分の力で農業を変えるというもっと大きな夢を持ってほしい。 【教育委員】 ・ 我々は、自由な資本主義社会の国に生きているから、若い人を集めるためには、夢だけでは なく経済的対価を見せないと人は集まらない。農業を何も知らない学生が、農林大学校に入 学し、どのような教育を受けて、農業をやった結果、こんなことができたという事例をたく さん広めてほしいし、大手企業に勤めるより、物質的にも精神的にも良かったというような、 すばらしい事例を作ってくれたら、我々教育委員も、高校生が農林大学校を目指すよう更に 努力したい。
学生との懇談会 14:40~15:30 参加者 静岡県立農林大学校 担当職員・学生 静岡県教育委員会 教育委員会教育委員長・教育委員(教育長含む) 質問:農林大学校への志望動機 学生 ・ 高校で農業を学び、花の生産販売をしているところにインターンシップに行き花に関わる仕 事をしたいと思った。 ・ 実家がいけばな花材を提供する仕事をしており、もともと興味はあった。高校では樹木につ いて学び、更に切花について専門知識を学びたいと考えた。 ・ 趣味の園芸をやりたくて入学した。 ・ 高校の近くの農園に見学する機会があった。そこで少量、多品目の無農薬、有機栽培の野菜 作りを見て、その職につきたいと思い希望した。 ・ 高校で化学を学び、それを農業に生かしたいと思い、オープンスクールに来て入学を志望し た。 ・ 進路を決める際に4年制大学と農林大学校で迷ったが、祖父と一緒に仕事をしたいという思 いが強く、2年でも早く卒業して祖父の下で少しでも長く働きたいと考え入学を決めた。 ・ 高校のときに土木系列に入り、森林管理という授業で林業に興味を持った。 ・ 農業高校に、学校農業クラブという組織があり、青年の主張のような大会がある。その大会 に出席し、他校の生徒の「好きなものを作りたい」という発表を聞き、農林大学校で果樹を 学びたいと思った。 質問:学校生活はどうか 学生 ・ 寮生活は慣れてくると、同室の仲間から刺激を受けるから励みになる。 質問:将来のキャリアについて 学生 ・ 営農指導員になりたい。 ・ 住宅地に市民農園を作り自分の自宅を建て食育を学べる場を作りたい。 ・ 農業指導者として働きたい。 質問:学校サイドへの要望等 学生 ・ 食育の時間をもっと増やしてほしい。生産者が丹精こめて作った野菜を食べてもらえないの
は悲しいこと。子どもだけではなく、大人にも野菜がどのように作られているか知ってほし い。 ・ 義務教育でマナーやモラルの教育をもっと増やしてほしい。 ・ 子どもに農作物を作る体験を経験させ、自分で作ったものをおいしいと感じ、それを子ども の言葉で親に伝えてほしい。商品を価格だけでなく安全性などを考え選ぶ知識を持ってほし い。 ・ 高校の実習は生徒主体でやりたかった。 ・ 農家の話を直接聞くような機会を設けてほしい。 ・ 進路を決めるときに農林大学校の情報が高校側に不足している。 ・ 勉強する意味を、早いうちに教えるような教育をしてほしかった。 ・ 生徒個々の良さを引き出せるような教育を望む。 ・ 現代は情報があふれているが、その中で、何が正しくそうでないのか見分ける力と、情報を 選ぶ知識を身につける教育を望む。 教育委員等 ・ 県内には全国に誇れる農産物がたくさんあり、農芸品として付加価値をつけて売ることをも っとPR する政策を進めている。また県内の農芸品を使った食を PR する「食の都づくり」も 推進している。そうした動きの中で、県知事が農業に注目しており6次産業を進めていこう という動きがあるので、今後の皆さんの活躍に期待している。 ・ 勉強は一生続けるもので、その面白さを伝えることが学校の仕事であると現場の教員に伝え ている。知識の詰め込みだけでは、勉強がつまらないと感じ社会に出てから勉強しなくなる、 それではいけない。お仕着せの勉強ではなく、自分が勉強したことを相手に伝え、一緒に何 かをやりたい、そのために、みんなから話を聞き知識を増やす、これも勉強である。嫌なこ とをやらされていると思うから勉強は何のために役立つのかと思うのであり、興味があるこ とに集中して徹底して勉強したらどうか、そうしたらその勉強はきっと役立つ。 また、一人では大きな仕事はできないし会社も一人では成り立たない、農業も同じで一人で はできない。相手を説得して仲間を作れば大きな仕事ができる。自分が何をしたいのか、相 手に何をしてあげられ、相手の気持ちにどう答えられるのか常に考え、人と接すれば大きな 仕事ができる。 ・ インターネットは有益であるが信頼性に乏しいこともあるため、中学生くらいから情報教育 として取り入れることを今後は検討していくべきかもしれない。 ・ 今日一日、学校を見学し、多くの方々と話をして感じたことは、学校そのものはすばらしい のに学生が集まらないのは、大学のアピールがまだ十分といえない。また、高校サイドも情 報を収集し、生徒にしっかり提供しなければならない。今日出た意見を持ち帰り今後の検討 課題としたい。
質問:農業のリーダーとしてやりたいことは何か 学生 ・ 個人で農業を行うには限界があり、農業を組織化する必要がある。しかし現在は個々がばら ばらで農業のリーダーになるという以前に、こうしたばらばらな状況を組織化することを広 めることが必要だと思う。 教育委員 ・ 農業の組織化という点から考えると、農業生産法人がある。私は皆さんに、この法人の中で リーダーとなるような人材となり、今後法人の数を増やし、将来的には民間企業が法人に参 入することを目指してほしい。 学生 ・ 民間企業が法人参入するのは規制がある。今の農地制度は法律により規制がかけられ企業が 参入できない状況がある。よって、行政は何が必要な規制で、そうでないかを理解していく 必要があると思う。教育現場で取り組むことは、中学校・高等学校で規制がかけられている 理由を考える力を身につけるような教育が必要なのではないか。