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水耕ミニトマトの生育に及ぼす循環時間の影響-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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水耕ミニトマトの生育に及ぼす循環時間の影響

藤日章旗,森 健司*,奥田延幸

EffectsofCirculationCycleofNutrientSolutionon

Plant Growth and Development of Cherry Tomato

YukihiroFuJIME,KenjiMoRI*andNobuyukiOKUDA

Cherrytomatocultivar‘Pico,and‘Yellow−Pico,weregrownindifferentcirculationcyclesofhydroponics

Effectsofdissolvedoxygenconcentrationinnutrientsolutionongrowth,developmentandyieldoflstto4th

fruit cluster were investigated

1Circulationcyclewaschangedasfo1lows;1/60,2/60,5/60,10/60minutesThelonger thecir−Culation time,themoretheyieldperfruitclusterandtotalyieldofbothcultivar・SincreasedTheincreaseofyieldon 3rdand4thfruitclusterwasnotablethano士1stand2ndfruitclusteryield Notonlyyieldbutalsodiameterof stem,number of flower and fruit,and ratio oflarge fruit(heavier than15g)wereincreased bylonger

circulationtimeFromtheseresults,itisdeducedthatincreaseofyieldiscausedbythethickeningofstemand

increaseoflargefruits

2Theconcentr・ationofdissolvedoxygeninnutrientsolutionwashleaSur・edat9pointsofbed(atsolution tempoflOOC)when the circulation cycle was changedinl/60,2/60,5/60,10/60minutesAlongwith the

beginningofcirculationofsolution,theconcentrationofdissolvedoxygeninthesolutionincreased,butlater decreased gradually after the cir・Culation was stoppedThen highconcentration of dissolved oxygen was

maintainedlongerinalongercirculationtimeTheconcentrationofdissoIvedoxygenatcentreofbedincr・eaSed fasterthanthatoftheoutskirtsofbed,butthediffer・enCeOfthevaluewaslittle30minutesafterthebeginning of circulation

3TheconcentrationofdissoIvedoxygenwasmeasuredwhenthesolutiontemperatureofwater−bathwas

changedinlOO,150,200,25?,300and35OCThesaturatedconcentrationofdissolvedoxygenhadatendencyto decr・eaSeaSthesolutiontemperaturewashigherDecreasingpatternofdissoIvedoxygeninsolutiontempera・

tureoflOOCwassimi1artothedataatthesametemperatureofhydroponicbed

培養液の循環時間を変えてミニトマトの‘ピコ,及び‘イエローピコ’を栽培し,第4段果房までの生育に及ぼす溶存 酸素濃度の影響を調査した. 1湛液水耕装置で培薬液の循環時間を1時間当たり1分,2分,5分,10分と変えた.両品種の果房別収量並びに 総収量は,循環時間を長くするほど増加する傾向がみられた.果房別収量の増加傾向については,第1,2段果房 と比較して,第3,4段果房で顕著に認められた.また収畳が増加すると共に,開花数,着果数,一果重及び15g ミニトマトの養液栽培に関する基礎的研究(第1報). 本研究の概要は昭和63年度園芸学会中四国支部大会で発表した. *現在:静岡県立田方農業高校教員.

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24 香川大学農学部学術報告 第43巻 第1号(1991) 以上の果実の割合の増加が認められた.循環時間の長いほど茎径は増加し,果重並びに15g以上の果実の割合も増 加しており,このため収塵が増加したと考えられた. 2.培養液の循環時間を1時間当たり1分,2分,5分,10分と変え,ベッドの9地点で溶存酸素濃度の変化を測定 した(液温約100C).循環開始後溶存酸素濃度は上昇し,停止後は漸減するため,循環時間を長くするほど高い溶存 酸素濃度が維持された.培養液蘭入部に近い中央部では周辺部に比べ,溶存酸素濃度はやや高くなった,しかし, 循環開始30分後には処理区間に溶存酸素濃度の差はみられなくなった. 3ウォータ、−バスを用い液温を100,150,200,250,300,350Cの6段階に調節して,溶存酸素濃度の変化を測定した. 液温が高くなるほど飽和溶存酸素濃度は低下した。また,100Cの溶存酸素濃度の減少傾向はベッドの実測値と類似 していた. 緒 植物体の生育には,養水分の吸収と共に酸素が必要である.養液栽培では,水中の溶存酸率,空気中の酸素あるい は茎葉から移行する酸素を得て根の呼吸が行われている.これらのうち水中の溶存酸素は空気中の酸素に比べると少 なく,拡散も極めて遅い.このため養液栽培では溶存酸素に依存する割合が高い.特に夏季には液温上昇に伴って溶 存酸素濃度が低下したり,あるいは根の酸素消費量が増大するため,根圏での酸素不足が引き起こされることが多 い(1胡.またトマトの板の酸素要求量は比較的大きく,根の乾物1g当たりの02吸収量は2・688mgである(2).更に,トマ トでは茎葉からの酸素移行が少ないため,ミツバなどの水生作物とは異なり,根圏での酸素濃度の低下に敏感で(3〉,通 気の効果が高い(45)と報告されている. 養液栽培における根圏への酸素供給には,培養液中の溶存酸素濃度を高めるか,あるいは根を直接空気中にさらす かが考えられる.培養液中の溶存酸素濃度を高めるためには,空気混入器を用いる方式あるいは勢いよく給排液を行 う方式などがある.−・方,溶存酸素と組み合わせて空気中の酸累を利用する方法がある.これには,根群の上部だけ を空気中にさらす方式,2ベット問で培養液を交換して根群全体をさらす方式,培養液を霧状にする噴霧式などがあ る(1114・17) 溶存酸素濃度を高めた並木ら(10)の報告では,春作トマトでは循環時間の増加に従って収量が増加したとしている. 更に景山(6)は,水耕で溶存酸素濃度を高く保てばトマトの栄餐生長はおう盛になり,茎葉及び根の生重が増加したと している.しかし,培養液中の溶存酸素濃度と作物の生育との関係は十分には究明されていない. 近年,トマトの中でも小異型のミニトマトの消費の伸びが著しい.ミニトマトは果実中の糖度が高く,また収益率 も比較的高く,普通のトマトに比べて栽培が容易である(16).将来は消費の増大に応じて,ミニトマトめ栽培は土耕だ けでなく養液栽培においても増加すると考えられる.しかし,わが国におけるミニトマトの栽培の歴史は新しく,そ の特性や栽培管理面では不明な点が多い. そこで本実験ではミニトマトを供試し,薬液の循環時間を変え,生育に及ぼす培養液中の溶存酸素の影響について 調査した結果を報告する. 材料及び方法 実験1循環時間の影響 供試品種として,‘ピコ’及び‘イエロ・−ピコ’(タキイ種苗)を用い,1987年3月27日に両品種を播種した。播種床に

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は56×36×4cmのウレタンマットを用い,縦3cm・横4cmの間隔で,深さ1“5∼2Ocmの切り目を入れた.その交点に各品 種3粒ずつ,合計で240粒を播種した.子葉が展開するまでの期間は無肥料の水耕とし,エアーポンプを用いて通気し た.第1本葉が展開し始めた4月18日に,生育が均一・になるように間引き,両品種とも80株を残した.その後は,培養 液をハイポネックス1000倍希釈液に変えた.なお,育苗はガラス温室(最低気温150C以上)で行った. 本葉が7∼8枚展開してきた5月1日に,各品種40個体ずつを,ガラス室(最低気温100C以上)の湛液水耕装置(269.0×

993×10.Ocm)に定植した.定植は9cmのプラスチックポットに礫を用いて鉢上げし,ベッド上の発泡スチロール板に

株間547cm・条間29…1cmで固定した.薬液組成は興津園芸試験場のⅠ組成標準濃度液とした.濃度については定植後 10日おきにEC値を測定し,標準濃度の0.5倍になった時に養液の補正を行った.同時にpHについては55∼7−1の範 囲内になるよう調節した.また,水位は底面から8.6cmとし,常に300ゼの培養液があるように管理した. 定植後は培養液の1時間当たりの循環時間を1分,2分,5分,10分とする4処理区を設けた.両品種とも各処理 区に10個体ずつを供試し,第4段果房の果実が成熟した定植76日冒まで生育を調査したJなお,第4段花房の上3葉 を残して摘芯し,腋芽については随時摘芽を行った. 実験2 循環時間と溶存酸素濃度の関係 循環時間を変えた時の培養液中の溶存酸素濃度の変化を調べるため,実験1の終了後ベッドの9カ所を選定し,水 深85cmの位置における培養液中の溶存酸素濃度の変化を測定した.循環時間は実験1と同様に1時間当たり1分,2 分,5分,10分と変え,循環開始から2分ごとに60分間の溶存酸素濃度変化を測定した.なお,この時の液温は約100C であった. 実験3 液温と溶存酸素濃度の関係 培養液温を変えた時の溶存酸紫濃度の変化を調べるため,直径20cm,深さ8cmのウオーターバスに興津園芸試験場の Ⅰ組成標準濃度液を満たし(25ゼ),液温を100,150,200,250,300,35◇C(±1◇C)の6段階に調節した.各液温に 達した培養液にエアーポンプを用いて通気をし,−・時的に飽和溶存酸素濃度の状態にした.その後通気を止め,ウオー ターバスの周りに囲いをし,無風状態で音容存酸素濃度の変化を経時的に測定した. 結 果 実験l 循環時間の影響 ‘ピコ’の茎径及び総花数に及ぼす循環時間の影響を,第1区lに示した.両品種とも茎径の変化に有意な羞はみられな かったが,定植後20日日頃より10分区の増加が顕著となり,その後処理区間の羞が大きくなった.循環時間が長くな るほど,‘ピコ’の茎径は増加する傾向がみられた.また総花数については,定植後40日頃より5分区と10分区で増加し, 循環時間が長くなるほど総花数が増加する傾向が認められた.この傾向は‘イエローピコ’よりも‘ピコ’で顕著であっ た. 第2図に‘ピコ’の果房別収蛍を示した.第1段,第2段の低段果房では処理の影響は明瞭ではなかった.しかしそ れより上段の第3段,第4段果房では有意な差は認められなかったが,循環時間が長くなるほど収量が増加する傾向 が認められた.第4段果房では10分区の収量が最も増加した. 両品種の処理別収丑を第3図に示した.有意な差はみられなかったが,循環時間が長くなるほど両品種とも収量は 増加する傾向が認められ,10分区の収虫が最も増加した. 第1表に,‘ピコ’の開花数,着果数・一億重並びに15g以上の果実割合を示した・10分区では各花房の開花数が最も

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26 香川大学農学部学術報告 第43巻 第1号(1991) ぢld ト監一芸OL−−○ トヱ∈⊃u 〓こ昌一 0 ︵∈U︶ Jヱ茎巾; ∈ヱS 10 20 30 40 50 Days afterPlanting

Fig1Effectsofcirculationcycleonstemdiame・

terandtotalflowernumberof‘Pico’Cir・Cula− tioncycle;1/60(△),2/60(▲),5/60(○), 10/60(●)minutes 8 ︵ヱ︶ 言Ld L監 pLヱ> 0 / 0 − 一h﹀ 5 ′/ 0 6 2 / 0 6 1 / 0 6 0 / 0 1 6 5 / 0 6 ︵‘ / 0 6 1 / 0 6 0 / 0 1 6 5 / 0 6 2 / 0 ′○ l / 0 6 0 / 人U l− ′−U 5 / 0 6 2 / 0 6 ・− / 0 6 Cjrculaいon CyCle(mうn.) Fig2Effectsofcirculationcycleonyieldperfruitcluster(‘Pico,) 多く,その合計も463で1分区よりも約10%増加した.低段位での着果数の差は小さかったが,第4段果房の10分区で は他処理区よりも約30%増加した.また果房別の一層重では,処理区間に大きな差は認められなかったが,循環時間

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︵ヱ︶ 盲ヱdト監 pL警h Lヱ○ト ︵雷︶ 雲ごd L監p︻讐ヽ ︻付言ト 0 / 0 1 6 5 / ︵U 6 ク︼ / 〇 一b l / ∩> 6 0 / 0 1 一h︶ 5 / 〇 一b 2 / 0 1 CjγCulatうon / cycle(mうn.)60 6 Fig3.Totalyieldof‘Pico’and‘Yellow−Pico’ Table1Effectofcirculationcycleonflowering,fruitingandfruitthickeing(‘Pico’)

Circulationcycle(min) lstcluster 2ndcluster 3r・dcluster 4thcluster

NQOfflower/fruit l/60 Ratiooflargefruits*(%) Fruitweight±SD(g) Noofflower/fruit 2/60 Ratiooflargefruits*(%) Fruitweight±SD(g) Noofflower/fruit 5/60 Ratiooflargefruits*(%) Fruitweight±SD(g) Noofflower/fruit lO/60 Ratiooflargefruits+(%) Fruitweight±SD(g) 103/98 107/100 104/104 104/76 276 283 105 50 1115±52 1236±53 1037±43 828±37 103/98 102/100 113/103 113/72 105 100 87 0 1119±39 1036±46 982±43 831±33 111/100 110/102 117/108 118/76 261 175 56 0 1260±36 1240±29 1009±33 864±25 111/94 113/98 120/107 119/99 333 304 198 142 1219±56 1222±59 11−23±50 907±36 *Meanfruitweightisheavierthan15g が長くなるほど一層重が増加する傾向がみられた.この傾向は上位段果房になるほど顕著になった.更に15g以上の 果実割合は,各果房ともに10分区で最も増加し,第4段果房では顕著に増加した. 実験2 循環時間と溶存酸素濃度の関係 培養液の循環時間を変え,溶存酸素濃度の経時的変化を測定した結果のうち,10分区についての変化を,第4園に 示した.測定位置により溶存酸素濃度の値は多少異なったが,その増減パターンは類似した.つまり,循環が開始す るのに伴って溶存酸素濃度は増加し最大に達するが,その後循環が停止するのに伴って漸減する.培養液の流入部に 近い中央部(Bl∼3)の濃度は,周辺部(A・C)より高くなった.また周辺部で溶存酸素濃度が最大になるのは 中央部よりもやや遅れた. 次に培養液の循環時間を変えた時,ベッドの中央部付近(B2)における溶存酸素濃度の変化を,第5図に示した. 循環時間が長いほど養液中の溶存酸素濃度は高い値を維持しており,5分区と10分区,1分区と2分区の間では溶存 酸素濃度の最高値に差はみられなかった.しかし,循環開始30分後には処理区間の差は認められなくなり,ほぼ一定 の値となった.

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28 香川大学農学部学術報告 第43巻 第1号(1991)

﹁卜

Fig 4 Transitioninconcentrationofdissolvedoxygeninnutrientsolutionatninepointsofbed

(Circulationtime;10/60min Solutiontemp;100C)

098’′

︵∈dd︶ u聖ご〇岩 pUヱOSS;−O uO;2︸uguOU Fig5Effectsofcirculationcycleontransitioninconcentra・

tionofdissoIvedoxygeninnutrientsolution

実験3 液温と溶存酸素濃度の関係 液温の遠いによる溶存酸素濃度の変化を,第6図に示した.液温が高くなるほど飽和溶存酸素濃度が低下した.ま た通気の停止直後から濃度は急激に低下した.更に実験2の場合と同様に,通気を停止した後約20∼30分で溶存酸素 濃度の変化は小さくなり,ほぼ一足の値となった.この時,液温の高いほど濃度が低下し,350Cでは10。Cよりも約2 ppm低下した.また液温100Cの変化は,実験2の実測値の変化と類似していた.

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u聖ざ〇岩 P買−OSS;−O UO;21u3uOU 乱

F

10 ZO 30 ヰ0 50 60

Tjme(m†n再)

Effectsof solutiontemperatureon transitionin concentration of dissolved oxygen in nutrient

solution 考 察 培養液中の溶存酸素濃度は循環時間を長くするほど高い値を維持した(第5図).この結果は,神原ら(8),景山・益 田(7),並木ら(10),辻ら(15)などの報告と−・致している.溶存酸素濃度の増加要因としては,循環時間が長くなるほど培 養液の流動時間が長くなり,培養液の交換率が高まったことが考えられる.これは流入郡付近で比較的溶存酸素濃度 が増加したことや,周辺部での増加がやや遅れたことからも推察される(第4図). 液温と溶存酸素濃度の関係については,実際のベッドで測定していない.しかし,10◇Cにおける通気停止後の溶存 酸素濃度の減少傾向は,ベッドで液温約100Cの時の溶存酸素濃度の減少傾向と類似していた.このことから,液温が 上昇した場合にも同様の傾向が得られるものと考えている. 培養液の循環時間を変えてミニトマトの生育を調査した結果,定植後30日目の茎径は10分区で最大となった(第1 図).本実験では溶存酸素濃度の測定は行ったが,地下部の生育調査は行っておらず,今後調査する必要がある.しか し,溶存酸素濃度の増加で,恐らく根畳が増加したことが十分に考えられる.溶存酸素濃度の増加によって地下部の 生育が促進され,これに伴って地上部の生育もおう盛となり,循環時間が長いほど茎径が増加したと思われる. また,循現時間が長くなるほど第3,4段の果房別収量並びに総収量は増加する傾向がみられた(第2,3図).収 盈増加の要因として,地上部のおう盛な生育に伴い,開花数,着果数並びに・一男垂が増加したことが考えられる(第 1表).本実験では特に,循環時間を長くするほど仙・果重が増加する傾向がみられ,この傾向は上位段果房で顕著であっ た・これは,循環時間を長くするほど15g以上の果実の割合が増加したことが一凛軌こなったものと考えられる・温 室メロンを用いた西口ら(12)も,通気を多くすると果実重が増加したと報告している. 並木ら(10)は循環時間の割合を長くすることにより,トマトの収量が増加したと報告している.しかし,その要因と して開花数と−・果重については述べていない.−・方,大河内ら(1$)はトマトの低段栽培では開花数,収盈及び到花日数 に差はみられなかったと報告している.これらの実験では普通のトマトが用いられているが,本実験で供試したミニ トマトでは開花数が多く,その羞が比較的大きくあらわれたと思われる.また低段栽培の場合では,処理前に既に花 芽分化が終了しており処理による花数の変化はほとんど無いと考えられる.このことは本実験の低段位で処理による 差がほとんどみられず,上位段果房でその差が比較的大きくあらわれたことからも推察される. 根塵が多く,また液温が上昇する時期におう盛な生育を得るためには,横極的に酸素を供給する必要がある.その −・つの方法として循環時間を調節することが考えられる.効率的な循環時間について,並木ら(10〉は5/15分,景山(6)は

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30 香川大学農学部学術報告 第43巻 第1号(1991) 一つの方法として循環時間を調節することが考えられる.効率的な循環時間について,並木ら(10)は5/15分,景山(6)は 15/240分としている.本実験では,1/60分と5/60分では生育に大きな羞は認められず,10/60分で生育は促進された. しかし,循環開始30分後には処理区間の溶存酸素濃度に羞がみられなくなったこと(第5図)から,より効率的に管 廃するためには,同じ循環時間であっても培養液の停滞する間隔を出来るだけ短くする必要があると考えられる. 以上の結果から,ミニトマトの生育に適した溶存酸素を得るには,培養液を1時間当たりに10分程度循環すれば良 いと考えられた.しかし,好適な溶存酸素濃度は生育時期や環境条件によっても異なると思われる.従って,今後は 生育時期を変え,溶存酸素の影響を調査する必要があると思われる. 引 用 (1)RESH,H M:野菜の水耕栽培(並木隆和訳),東 京,養賢堂,(1981). (2)位田藤久太郎:疏菜の根に関する研究(第1報), 疏莱の根の酸素要求に就いて,園学雑,21,202−207 (1953). (3)位田藤久太郎:疏菜の根に関する研究(第3報), 茎葉の有無が根の酸素要求に及ぼす影響について, 園学雉,22,24−27(1953). (4)位田藤久太郎:疏莱の根に関する研究(第4報), 土壌空気の酸素濃度が果菜類の生育,養分吸収に及 ぼす影響,園学維,25,85・93(1956). (5)位田藤久太郎:武菜の根に関する研究(第5報), 水耕栽培における通気が疏菜類の生育並びに養分吸 収に及ぼす影響について,園学稚,26,171・177 (1957). (6)景山詳弘:水耕によるトマトの密櫓低段栽培に関 する研究(第4報),培養液中の溶存酸素が養水分の 吸収と果実生産に及ぼす影響,岡山大農学報,58, 23−29(1981). (7)景山詳弘,益田忠雄:水耕トマトの生育段階およ び栽植方式による栽培ベット内の溶存酸素濃度と培 養液の流れの変化,生物環境調節,17(1),11・16 (1979). (8)神原嘉男,鈴木成夫,丹羽弘道,長野嘉行,田中 大三,西野寛:水耕京都方式の実用化に関する研究 (第1報),培養液の溶存酸素,流速と給液方法につ いて,京都農試研究,10,13・23(1982). (9)桝田正治,沢田英司,松原幸子:NFT水耕トマト のチャンネル内溶存酸素の推移,園学要旨,昭和62 文 献 秋,356・357(1987). (10)並木隆和,西 新也,羽根田明子,高嶋四郎:疏 菜水耕栽培の実用化に関する研究Ⅴ,溶存酸素濃度 が春作および秋作のトマトの生育,収量に及ぼす影 響,京府大学報農学,25,17−24(1973). (川 西 貞夫:施設園芸における寒波栽培の位置,農 及園,61,81−93(1986). (12)西口郁雄,稲垣 悟,宮川 喬.果菜類の水耕栽 培に関する研究:第5報.通気が温室メロンの生育, 収量に及ぼす影響,三重農技七研報,5,5−10(1978). (13)大河内信夫,桝田正治,浅平 端:トマトの水耕 密植低段摘心栽培における定植後の溶存酸素濃度が 果実収量と品質に及ぼす影響,生物環境調節,17(2), 79−88(1979). (14)佐々木暗,板木利隆:果菜類における養液栽培技 術の確立に関する研究(第1報),各種養液栽培方式 の特性と利用法について,神奈川園試研報,22,64−70 (1974). (15)辻 博美,山田費義:水耕によるホウレンソウの 周年栽培技術の確立に関する研究(1),培養液の組 成・濃度・pH・溶存酸素畳の違いが生育に及ぼす影 響,大阪農技七研報,15,17・24(1978). (16)渡辺 実,松野 篤,千野浩ニ,高山 覚:ミニ トマト栽培とその品種特性,農及園,62,423−428 (1987). (17)山崎肯哉:養液栽培全編,増訂版,東京,博友社, (1984). (1990年10月31日受理)

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