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ビジュアル・ツールの活用と交流による創作指導の実践的研究-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学教育実践総合研究(Bull. Educ. Res. Teach. Develop. Kagawa Univ.),26:27-40,2013

ビジュアル・ツールの活用と交流による

創作指導の実践的研究

山本 茂喜・川田 英之

・大西 小百合*

(国語教育)(附属坂出中学校)(附属坂出中学校) 760-822 高松市幸町1-1 香川大学教育学部         *762-0037 坂出市青葉町1-7 香川大学教育学部附属坂出中学校

Practical Study of Creative Coaching by the Use of Visual

Tools and Interacting

Shigeki Yamamoto, Hideyuki Kawata

and Sayuri Onishi

Faculty of Education, Kagawa University, 1-1 Saiwai-cho, Takamatsu 760-8522 *Sakaide Junior High School Attached to the Faculty of Education, Kagawa University,

1-7 Aoba-cho, Sakaide 762-0037 要 旨 学習指導要領国語科で新たに重視された「創作活動」を有効に行うため,ビジュア ル・ツールの活用,及び外部との交流を取り入れた学習を展開した。ビジュアル・ツールは 創作の構想段階と対話において,外部との交流は創作指導の意欲面と内容面において有効に 働くことを実践的に検証した。 キーワード 物語創作 ビジュアル・ツール コミュニケーション活動 外部との交流       読者意識

はじめに

 学習指導要領国語科では,新たに「創作活動」 が重視された。その具体的方法として,筆者は ライティング・ワークショップの手法を取り入 れた創作活動の実践を行い,その有効性を検証 した1。その結果,次のような成果が得られた。 ① 全員が楽しく創作活動に取り組める。 ② 「実際に書く」という実の場で学ぶこと で,書くスキルの向上が図れる。 ③ 創造力,思考力を伸ばすことができる。 ④ 読者を意識して書くようになる,つまり 「書く」ことを読者とのコミュニケーショ ン活動として捉えることができる。 ⑤ 「読み手」から「書き手」へと視点を替 えて作品を読むことができるようになる。  こうした成果から,ライティング・ワーク ショップを用いた創作活動の有効性が明らかに なった。しかし,創作の意志は持ちながら最終 的に創作ができなかった1名の生徒の存在が課 題として残った。  そこで,前回の研究を発展させ,次の2点に

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その種のアートや文学にありがちな「自意識」 は,「物語の構造」によってバイアスをかけ られ,鋳型にはめ込まれ,ようやく人様にお 見せできるようになるというのが本書の立場 であるのは言うまでもありません5  筆者は,学習としての「創作活動」の立場か ら,大塚の言う「人様にお見せできるようにな る」創作を目的としていない。むしろ「何を書 いていいか分からない」学習者が「物語構造」 によって「書くこと」による表現ができること を目的としている。読み書き能力の未発達の生 徒にとっては,なおさら「物語構造」を与え る「トップダウン型」の学習の重要性が高いと 言えるだろう6。また,大塚の示した8種類の キャラクターと31の機能についても,昔話を分 析したものであり7,「物語構造」のモデルとし てそのまま用いるには無理がある。物語テキス トの構造と,既有知識のスキーマとしての物語 文法,ビジュアル・ツールの項目との三者の関 係は,検討の余地がある。  ただ,ビジュアル・ツールを用いることは, 生徒を「型」に入れることではなく,「型」を 活用することによって,創造的な学習を行おう とするものであるという大塚の考えと筆者の考 えとは,共通する部分がある。  そこで,実際に,ビジュアル・ツールを開発 し,創作活動に取り入れることで,その有効性 について検証を行うものとする。 (2)研究の対象  平成24年度香川大学教育学部附属坂出中学校 シャトル学習「作家の時間」選択生徒40名(1 年13名,2年14名 3年13名)。4月~7月に 行われた講座全20時間の学習。 (3)ビジュアル・ツールを活用した授業実践  ① ビジュアル・ツールの開発  (ア)ストーリーマップ   ストーリーマップについては,先行実践で も活用したものを基本的に使用した。先行実 践ではワークシートに記入する形式であった が,本実践では,キャラクターマップ,機能 視点を置き,実践的研究を行い,検証すること を本論の目的とする。 ① 全員の生徒が創作活動を容易に行えるた めのビジュアル・ツール(「キャラクター マップ」「ストーリーマップ」「機能カード」) の開発及びその有効性。 ② 大学生との手紙の往還(外部との交流) によるコミュニケーション活動の創作活動 にもたらす効果。

1 創作活動におけるビジュアル・ツー

ルの活用

(1)ビジュアル・ツール活用の意義  既に筆者はフィンランド国語教科書に示され ている「問題(欠損)」と「解決(補充)」とい う「物語構造」の学習から,ストーリーマップ による学習法を提案した2。また,実践におい ても,物語の基本構造を基にストーリーマップ を用いた創作の実践を行った3。物語創作の構 想段階でストーリーマップを用いることが,創 作の上で有効であること,また,物語構造の理 解が「読むこと」や「話すこと」にも有効に働 くことを明らかにした。  今回,「ストーリーマップ」に「キャラクター マップ」「機能カード」を加え(以下,三つを 総称し,ビジュアル・ツールとする),物語創 作の学習でどのように有効性を持つのかについ て,実践的に検証するものとする。  大塚英志はプロップの物語構造を分析し, 「物語構造」から物語創作を行う上での8種類 のキャラクターと31の機能(キャラクターがス トーリー進行上で果たす役割)について提案し ている4  大塚は次のように述べる。   「物語の構造」から物語を創作する,とい う行為は,自分の固有性の発露として「表 現」を試みたいという人々には,生理的に受 け入れ難いものだと思います。ぼくは個人的 には作り手の自意識がただ投げ出されただけ の「自己表現」に,殆ど意味を見出せません。

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カードと併せた学習用具とするため,シート 形式とした。 (イ)キャラクターマップ   大塚の8種類のキャラクターを基に,中学 生の実態を踏まえ,「中心人物」「敵対者」「援 助者」「願い」の4項目とした。シート形式 とし,ストーリーマップと左右に並べて表示 することで,ストーリーと併せて考えられる ようにした。 (ウ)機能カード   大塚の31の機能にキャラクターマップの種 類の内,機能カードに入れた方がよい項目を 加え,中学生という発達段階も踏まえて「依 頼者」「贈与者」「自由」「探究」「犠牲・辛抱」 「選択」「勇気・決意」「変身」「策略」「幸福」 「破壊」「結婚」「勝利・努力」「完成・達成」「復 活」「秘密・不安」「正義」「行動力」「個性」「生 まれ変わり」「追跡」「戦い」「禁止」「成功」「違 反」「親切」「魔法の道具」「帰還」「出発」「愛 情」「知性」「誘惑・堕落」「希望・理想」「運 命の変化」の36種類とした。カードの表には 項目を,裏にはイラストを描き,一枚のカー ドとした。  ② ビジュアル・ツールの活用   活用については,学習の目的にあわせ,次 の2種類の活用を行った。  ・ 発想初期の段階……機能カードを絵のあ る裏側を上にしてランダムにキャラクター マップ,ストーリーマップの枠内に置く。   カードを裏返して表の文字を見ながら,思 いついた物語を発想する。置かれたカード で発想できない場合は,マイルームに置か れたカードと入れ替えて発想を続ける。  ・ 構想の見直しの段階……機能カードを参 考に自分の構想した物語を白紙のカードに 書き,キャラクターマップ,ストーリー マップの上に置くことで筋に一貫性を持た せる。修正する場合は,別のカードと入れ 替えながら,構想し直す。   いずれも,学習者が一人で行う場合と,小 グループで対話しながら行う場合との二つの 学習場面で活用した。 (4)分析の方法  開発したビジュアル・ツールを創作活動に活 用することの有効性について,対話の内容,授 業後の感想,創作作品,事後アンケートを基に 「キャラクターマップとストーリーマップ」 (表) (裏) (表) (裏) 「機能カード」例 「ビジュアル・ツール」活用の様子

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分析を行った。 (5)分析の結果  ① 対話の内容   ビジュアル・ツールを基にした対話は,異 学年の3人組で行った。以下に示すのは,あ るグループの対話の記録である。 対話記録A(2年女) B(1年女) C(3年男)  Aの機能カード項目(白紙のカードに記入)  ●キャラクターマップ上に置いたカード   中心人物―「自分勝手」 敵対者―「友達」   援助者―「夢」 願い―「意味」  ●ストーリーマップ上に置いたカード   欠損―「困惑」 難題―「死」   解決―「発見」 補充―「一つに」 A (キャラクターマップを使って)えっと,「中心 人物」は「自分勝手」で,で画家だけど,その理 由って言うんで,小学生の時に金賞を獲って,で 俺は絵の才能があると思って,ちやほやされて, ちやほやされているから。で「援助者」には「夢」 があって,その夢っていうのは,大きな夢だけど …大きな夢だけど,世界が平和になるっていう か,なりたいみたいな。で,「敵対者」は「友達」 で,援助者は夢があるけど,本当の「意味」は中 心人物がやっぱり間違っていたと思ってなるんで す。中心人物は途中でなんで俺は画家になりたい んだと思って…(ストーリーマップを使って)で, 欠損は「困惑」で,途中で迷ってしまって,「難題」 は,「家族」で,今まで,自分たち…自分が自分 勝手にしてきて,(「発見」のカードを差しなが ら)死んでから家族の大切さを知って,俺は画家 になっていいのかなんてことを思って,エピソー ドの中にそれぞれの中心人物と援助者のそれぞれ の隠れ家みたいなものがあるんですよ。それが秘 密の組織みたいなのをつくって,もう一人グルー プみたいなのがあるんですけど,その人の夢が歌 手で,それで,ある日援助者が言うんです。この 三人が集まれば,何だってできる気がするって言 うんです。それで,(「発見」のカードを差しなが ら)家族の死を通して,何だってできる,誰だっ て幸せにできるって見つけて,それを聞いて(「一 つに」のカードを差しながら)これから夢をもっ て生きるって…話です。 B 何か最初は友達が…(「友達」カードを指しな がら)「敵対者」…ライバルって? A えっとその幼なじみなんですけど,でライバ ルであるわけで,援助者は本当の意味の友達で, …仮のイメージなだけで…一緒に夢を取り戻 すってことになってるけど…これはなんでだろ うって…。 B あー…。 C  (「一つに」のカードを差しながら)一つにっ て? A えっと…三人で力を合わせて…「一つになる」 ですよね? C あっそう。 A えっと…途中で…本当に突然なんですけど家 族が…死ぬっていうのは,母親と父親のどっち かっていうと父親のほうが反対してたので,父 親のほうが死んでしまって,母親が…母親は, 母親は死なないで,父親だけ先に死ぬんですよ。 C ストレスで? A 交通事故なんですけど,アルコールも少しあ るんですよ(笑)…まだそこまで考えてない… 母親は「お父さんは心配してたんだよ」と言って, 自分で考えなさいって言うだけ言って,…部屋 に戻って,自分のことを改めて考えて,一つに なる。 B 最終的に本当の意味は分かるんですか? A (うなずきながら)本当の意味は,画家になり たいっていう…その時,小学校の時,なんで金 賞とったんだろうって思って…それはやっぱり, 自分で…あの時の心がなかったら画家にはなれ ないみたいな…。 B じゃあ最後に取り戻すんですね? A 取り戻す…自分の夢さがさなきゃいけないっ て。 B (うなずく)。 (下線部―筆者)  Aの最初の構想は,下線部のようにまだ固 まってはいない。しかし,話がそれそうになり ながらも,「問題(欠損)」を「解決(補充)」 に導こうとする様子が伺える。また,波線部か らは,BやCとの対話を通し,「解決(補充)」 部分の構想イメージが固まったり深まったりし ていることが分かる。  次は,Aの授業後の振り返りの記述である。  キャラクターマップとストーリーマップ,そし て機能カードは私たちの創造力を膨らませてくれ ました。(中略) 私はアンハッピーな物語しか書 けないので,皆の意見を参考に入れたかった。だ んだん私とは違うストーリー展開,ハッピーエン ドになってきたので,こういうやり方もあるんだ

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なと思いました。  Aは,ビジュアル・ツールを使った対話の中 で,物語の構想が変化していったのである。以 降,Aは「解決(補充)」部分で,BやCとの 対話の内容を基に物語を創作しようとした。  ② 事後アンケート   ビジュアル・ツール活用について,実践後 に行ったアンケート結果は資料1のとおりで ある。   開発したキャラクターマップ,ストーリー マップ,機能カードが創作の上で役立ったと 答えた生徒は,「かなり」「まあまあ」併せて 30名であった。その理由として,「新しいア イデアが自然に浮かんでくる」といった発想 を挙げた生徒が7名,「人と人との関係」と いった人物設定を挙げた生徒が5名,「物語 の全体の流れをあらかじめ理解できた」と いったストーリー設定を挙げた生徒が12名, その他が6名であった。「発想」の中には, 「ストーリーマップでは,他人のアイデアを 取り入れやすかったから」といった交流の ツールとしての価値を感じた生徒もいた。   「あまり」「いいえ」と答えた生徒は9名で あった。内,「やったけど,そんな物語を作 れなかったから」「途中で話を変えたためあ まり使えなかったから」などと答えた生徒5 人は,授業の中でビジュアル・ツールを使っ たことが創作した作品には役立たなかったと いう意味であり,ビジュアル・ツールその ものが役立たなかったという意味ではない。 (実際,5人とも「問題(欠損)→解決(補充)」 といった物語構造を踏まえた作品を完成させ ていた。)また,残りの生徒は「最初から話 を決めていたから」などのように,最初から 書きたい構想が決まっていたのが大きな理由 である。(実際,物語構造を踏まえた作品と なっていた。)ビジュアル・ツールを使わな くとも創作が行える力があるから「役立たな かった」と解答したと考えられる。 (4)考察  以上の結果から,成果と課題について考察す る。  ① 成果   成果としては次の2点が挙げられる。   ・ 開発した「ストーリーマップ」「キャ ラクターマップ」「機能カード」は創作 活動の構想段階において有効に機能し た。全員が物語構造を踏まえた一貫性の ある物語を創作できていた。   ・ 構想としてだけではなく,対話のツー ルとしても有効に働いた。  ② 課題   課題としては次の2点が挙げられる。   ・ 資料1のアンケートで「役に立たなかっ た」と答えた生徒の内,ビジュアル・ツー ルを使わなくとも創作が行える力がある 生徒には,創作の広がりを制限するもの となった。   ・ 機能カードの項目を36種類としたが, 「誘惑・堕落」など言葉や絵から連想で きない生徒もいた。中学生の創作指導に どのカードがどのように有効に働くのか の検討は不十分である。  課題に挙げたように,「型」に入れることで, 創作活動が制限されるのではないかとする危惧 は確かにある。しかし,大半の生徒にとって, ビジュアル・ツールという「型」を示すことは, 十分な有効性を持つといえる。むしろ「型」を 知ることで,創造的な創作が生まれてくると言 えるのではないか。

2 大学生との交流による創作指導

(1)交流の意義  学習指導要領国語科「B書くこと」において, 「交流に関する指導事項」が新設された。書い た文章を互いに読み合うだけでなく,「意見を 述べたり」(第1学年及び第2学年)「助言をし たり」(第2学年)といった能動的な相互作用 を通して「自分の考えを広げること」(第2学年)

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「ものの見方や考え方を深めること」(第3学年) を求める指導事項である。  大内善一は学級という学習の場に書き手と読 み手が同時に存在するような状況を作り出すこ とをねらった「書くこと」の学習の試みとして 「双方向型作文学習」を提唱している8。また堀 裕嗣は,これまで「受信」中心だった国語科授 業の在り方を「発信」を目的としたものに転換 するものとして「発信型授業」を提唱している9 いずれも,交流という相手意識をもって学ぶこ との効果を示した実践事例である。  前回の先行研究「ライティング・ワークショッ プを用いた創作指導」の効果の一つとして,生 徒が作家としての立場,つまり読者を意識して 書くことができるということが明らかになっ た10。つまり,「書くこと」を読者とのコミュニ ケーションとして捉えることで,読者を想定し ないよりも「書く」力が伸びるのである。読者 という相手がいることが動機づけとなり,他者 との相互作用によって一人では行えないような 協同学習が行われるのである11  ただ,前回の研究では,最後まで作品が完成 しなかった1名の生徒の存在が課題として残っ た。そこで今回,読者を不特定多数に設定する (完成した作品を展示して読者がファンレター を書くという形)だけでなく,大学生とペアを 組み,互いに手紙を往還しながら創作を行うと いう活動を組み入れた。実際に相手が特定され ることで,より読者としての相手が可視化され ること,また年齢の離れた外部の大学生との交 流によるコミュニケーションが教育的効果とし て創作活動に効果があるのではないかと考えた からである。 (2)交流の構想  本研究では学習者である中学生1人につき, 1人の大学生がパートナーとなり,計40組が手 紙の往還を行った。パートナーは任意で授業者 が指定した。パートナーの二人で協同活動(交 流)を次のように計画した。  学習者:シャトル学習「作家の時間」中学生      計40名  パートナー:香川大学教育学部国語研究室学        生28名,国際理解学生3名,大        学院生9名,計40名 交流構想 大学生による手紙① 自己紹介,励まし等 ↓    中学生による返事① 制作意図,工夫した点,       困っている点等 ↓    大学生による手紙② アドバイス等 ↓    中学生による返事② 本を書き上げた感想  中学生による作品の送付 ↓    大学生による手紙③ 感想 ↓    中学生による返事③ 感想を受けての感想  交流構想としては,手紙の往還①②は創作の 途中段階,手紙の往還③は創作後の段階に交流 を位置付けた。 (3)交流の実践  交流では,まず,パートナーとなっている大 学生から届いた手紙を,一人一人の生徒に配布 した。生徒はとても熱心にその手紙を読んでい た。返事を書くための便箋等は授業者の方で複 数種類用意し,生徒に好きなものを選ばせた。 生徒の中には,返事を書く時に何を書いたらい いのか困ってしまう生徒もいたが,今創作して いる段階での気持ちや困っていることなどを書 くようにアドバイスした。  資料2は中学生と大学生の手紙の往還の一例 である。中学生は大学生に制作意図を説明した り,困っている点のアドバイスを求める質問を 投げかけたりしている。大学生からの返事も, すべてではないが,それに応じようとしている 様子が見て取れる。創作の意欲面・技術面にお いて,手紙の往還によい効果があったというこ とが伺える。

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 2回目の往還以降は,大学生からの手紙を心 待ちにしている,あるいは手紙の交換がよい経 験であった,といった言動が見られた。 (4)分析の方法  次の2点において分析および考察を行うこと とした。  ① 読者をパートナーとして設定することに よる創作活動に与える効果はどのようなも のか  ② 実際にパートナーが会わず,手紙の往還 による交流を行う「間接交流」にどのよう な効果があるか  ①②について,手紙の内容,創作作品,中学 生のアンケート,中学生へのインタビューを基 に,分析を行った。また,昨年度実施した手紙 の往還による交流のない創作活動と比較し,分 析を行った。 (5)分析の結果  ① 小説の創作状況   前回の実践では作品を最後まで書ききれな かった生徒が1名いた。また,締め切りの日 になってもなかなか完成できず,大幅に遅れ て提出した生徒も2名いた。   本実践では40名全員が締め切りまでに作品 を完成させた。昨年度大幅に遅れた生徒の内 1名は本年度も講座受講の生徒であったがき ちんと提出できた。対象生徒が異なるため単 純比較はできないが,この結果は大学生とい うパートナーの読者がいたためであろう。   また,創作された作品も,昨年度より全体 的に質が向上していた。  ② 交流の意義   資料3は,「大学生との交流」についての 事後アンケート結果である。創作の意欲面に ついての記述が16名,創作の内容面の記述が 22名であり,この二つが交流の意義のほとん どを占めた。   資料4は,資料2の生徒A(1年)が創作 した作品の結末部分である。以下は,筆者が Aに事後インタビューした内容である。   Aが大学生Bにアドバイスを求め,こだ わったクライマックス部分をAは当初「二人 が仲直りする場面に虹が出ている」という漠 然とした構想で書いていた。しかし大学生B との手紙の往還の中で「虹の描写を丁寧に書 くことで『絆』というテーマを伝える」とい うアドバイスをもらい(資料2の下線部)校 正し直した。新たに付け加えた部分が資料4 の下線部である。また「絆の虹」という題名 も,手紙の往還の中で発想した。   昨年度から2年続けて受講した生徒14名 (2年生6名,3年生8名)に,学習の中に 手紙の往還が入ったことについて聞いたとこ ろ,大変良い7名,良い6名,あまり良くな い1名,という結果であった。このように, 年齢差があり知らない相手である大学生との 手紙交換交流が,創作の上でかなり有意義で あったことが伺える。 (6)考察  以上の結果から,成果と課題について考察す る。  ① 成果   成果としては次の3点が挙げられる。   ・ 創作指導に手紙の往還による交流を取 り入れることは,意欲面,内容面におい て効果があることが確認できた。パー トナーとしての読者を設定することで, 「実の場」としての作家の意識がより高 まった結果である。また,授業内での交 流と異なり,「顔の見えない異年齢の他 者」との交流という設定がより読者意識 をもたせるものとなった。   ・ 比較的短時間で多くの効果をもたらす ことができた。計6回の手紙の往還中, 中学生が「手紙を読む」「返事を書く」 為に使った時間はそれほど多くないにも かかわらず,資料3のような結果が得ら れたことは,授業時数の限られている中 学校においては,意義が高い。   ・ 手紙を書くことは創作だけでなく,「書

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くこと」における別の活動としても位置 づく面でも有効である。  ② 課題   課題としては次の3点が挙げられる。   ・ 資料3のアンケートでも「あまり役に 立たなかった」「プレッシャーになった」 と答えた生徒がいた点である。事後に理 由を聞くと「創作の上で自分の世界があ るから」という答えが返ってきた。学習 者の創作世界を壊さないようなアドバイ スや励ましを行う上でも,パートナーの 返事の内容(パートナーへの指導の必要 性)が考慮されるべきである。   ・ パートナーを持つことが生徒の動機づ けになることはほぼ認められたが,パー トナーの組み方によってはこのことが動 機づけに結びつかない場合もある。資料 3のアンケートで無記入だった生徒の パートナーは手紙の返事が遅れがちで あった。生徒はその点で憤慨していた, という実情がある。よりよいパートナー をどう設定するかという点を考慮して行 うべきである。   ・ 今回の実践の年齢差があり知らない相 手である大学生との手紙交換では,パー トナーの存在が強い動機づけになってい た。しかし通常の学校授業においては, 学習者にとってある面異質なパートナー を設定することは困難を伴う。ただ,今 回,授業という場の中における交流よ り,外部との交流のほうが有効であると いう観点から考えるなら,「読書郵便」12 のように,学校内の異学年の生徒との交 流の場を設定する等の工夫をすれば,同 様の効果が期待できるだろう。  全体として「手紙の往還による交流」は,創 作に効果的な指導法である。また,創作に限ら ず,中学校国語科授業の他領域の指導でも十分 応用可能な,効果的な方法であるだろう。

3 今後の創作指導にむけて

 本研究では,創作指導について,ビジュア ル・ツールの活用と大学生との手紙の交流に焦 点化し,実践的研究を行った。  ビジュアル・ツールを活用する指導では,「ス トーリーマップ」をベースに「キャラクターマッ プ」「機能カード」を開発し,実践を行った。 その結果,創作の構想段階において,ビジュア ル・ツールが有効に機能することが明らかに なった。また構想のツールとしてだけではな く,対話のツールとしても有効である点は興味 深いものであった。「キャラクターマップ」「機 能カード」について,中学生の創作指導にどの カードが有効に働くのか,カードの枚数はどの くらいが適切なのか,については,十分な検討 が行えなかった。今後詳細に検討し,精緻化し ていきたい。  また,大学生との手紙の往還による交流は, 創作指導の意欲面,内容面において,かなり有 効に働くことが明らかになった。これは,創作 指導以外にも応用でき,指導に広がりをもたせ る発展性のある交流の方法である。ただ,交流 の具体についてはさらに詳細な検討が必要であ る。交流のタイミングはどの段階がよいか,交 流の内容(例えば「書き出し」「クライマック ス」「題名」など)は限定したほうがよいか, 交流の順序はどうしたらよいかなど,検討すべ き課題は多数存在する。手紙の往還という活動 が,個々の生徒の創作にどのように深く関わっ ているかについて,より厳密な検討をしていき たい。  さらには,創作活動そのものの価値について も研究が必要である。創作活動の意義につい て,佐藤明宏は次の7点を挙げる13 ア 自ら表現しようとする意欲を育てる。 イ 表現することの喜びを知る。 ウ 文章表現力(取材力,構想力,構成力, レトリックを使う力など)を伸ばす。 エ 想像(創造)力を伸ばす。 オ 思考力を伸ばす。

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カ 多角的なものの見方や考え方,客観的視 点を身に付ける。 キ 省察力を伸ばす。  筆者はこれにさらに「自己を表現する」を付 け加えたい。  虚構の文章を書く創作指導には,次のような 批判が常につきまとう。すなわち,虚構の文章 は虚構であるがゆえに書きやすいが,そこに作 者の現実は投影されない。文章を書くことの能 力は身に付くけれども現実からの逃避であり, 生活綴り方のような現実生活に関わる変格はで きないのではないか14  三藤恭輔は,物語創作には「現実」→「非現 実」→「現実」という「ファンタジーの思考往 還機能」があり,「想像力」によって行われる 「現実」と「空想(非現実)」との往還の中にこ そ教育的な価値や有用性があるとして次のよう に述べる。   例えば,「現実」を見つめる中で「価値の あるものを発見」し,そのことを「空想(非 現実)」の世界で「典型化」することができ ます。そして「空想(非現実)」の世界で典 型化する中で現実を変える「アイディア」 や「ヒント」も発見され,それが現実への 「フィードバック」,あるいは現実そのもの の「モニタリング」や「メタ認知」として機 能すると考えられます。(中略)つまりファ ンタジーの思考往還機能が活発に働くことに より得られたヒントや認識・認識力は明日か らの子どもたちの現実生活を創造的に変革し ていく源となり,あるいは現実生活の中で解 消しきれない思いを発散させるカタルシス効 果・セラピー効果を生むと考えられます1  本実践の作品完成後,「自分で創った物語に ついて,自分自身は投影しましたか?(自分の 性格や願望などが作品に反映されていること)」 というアンケートを行った。結果は,「かなり  10名」「少し 16名」「あまり 7名」「いい え 7名」というものであった。「かなり」「少 し」の理由としては,「私が病気がちなのであ りのままを描いた」「読んだ人に『絆』という 言葉の意味を伝えたいという願いを作品に描い た」「何度もあきらめず挑める強さという願望」 「私自身が『良い子』になりたいと思っている 部分」「自分に自信がないところ。居場所を探 している」といった理由であった。自分自身や 自分自身の願いを物語の主人公に投影し,物 語の中で問題を解決しているのである。また, 「あまり」「いいえ」の14名中,「主人公の性格 は自分と似ていないから」「自分で物語をつく る上で自分を登場させるのは嫌だから」「自分 とは違う世界観を書きたかったから」というよ うに,あえて自分自身や自分の現実世界と逆を 描いていると答えた生徒は7名であった。これ らの生徒も,自身の願望を空想の中に描くこと で現実世界の解決方法を探っていると解釈でき る。「自己を表現する力」を育てる意義がある とするならば,創作指導には,さらに多様な展 開が期待できる。  そうした課題等の検証については,別稿に譲 ることとする。 注 1 山本茂喜・川田英之・大西小百合「中学校にお ける物語創作の方法と意義(1)―ライティング・ ワークショップを用いた授業の構想―」『香川大学 教育実践総合研究 第2号』香川大学教育学部附 属教育実践総合センター,2012,9,1~12頁   山本茂喜・川田英之・大西小百合「中学校にお ける物語創作の方法と意義(2)―ライティング・ ワークショップを用いた授業の構想―」『香川大学 教育実践総合研究 第2号』香川大学教育学部附 属教育実践総合センター,2012,9,13~26頁 2 山本茂喜「フィンランド国語教科書における 『物語構造』の学習について―その系譜と意義―」 『香川大学国文研究 第31号』香川大学国文学会, 2000,9,1~11頁 3 山本茂喜・山村勝哉「創作文の指導におけるス トーリーマップ活用の意義」『香川大学教育実践総 合研究 第20号』香川大学教育学部附属教育実践 総合センター,2010,3,13~141頁。及び注1 に同じ「中学校における物語創作の方法と意義(1) ―ライティング・ワークショップを用いた授業の

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構想―」8頁 4 大塚英志『ストーリーメーカー 創作のための 物語論』アスキー新書,2008,42~7頁。なおプ ロップの言う8種類のキャラクターとは,①主人 公②偽の主人公③敵対者④贈与者⑤助手⑥王女と 王⑦派遣者⑧追跡者,であるが,大塚は,「王女」 は「派遣者」,「派遣者」を「依頼者」にするべき と提案している。31の機能とは1「不在」2「禁止」 3「違反」4「情報の要求」5「情報入手」6「策略」 7「幇助」8「加害あるいは欠如」9「派遣」10「任 務の受諾」11「出発」12「先立つ働きかけ」13「反応」 14「獲得」1「空間移動」16「闘争」17「標付け」 18「勝利」1「加害あるいは欠如の回復」20「帰路」 21「追跡」22「脱出」23「気づかれざる帰還」24「偽 りの主張」2「難題」26「解決」27「認知」28「露見」 2「変身」30「処罰」31「結婚ないし即位」である。 5 注4に同じ。76頁 6 実際,先行実践において「ストーリーマップ」 を基にした創作活動を行った結果,学習者38名中, 2名(内1名は欠席がち)を除く36名が,物語創 作が行えた。そのほぼ全員が「問題(欠損)」と「解 決(補充)」の「物語構造」を踏まえていた。注1 に同じ「中学校における物語創作の方法と意義(2) ―ライティング・ワークショップを用いた授業の 構想―」14頁 7 注4に同じ。46頁 8 大内善一『「伝え合う力」を育てる双方向型作 文学習の創造(21世紀型授業づくり)』明治図書, 2001 9 堀裕嗣『発信型授業で「伝え合う力」を提唱する』 明治図書,2003 10 注1「中学校における物語創作の方法と意義(2) ―ライティング・ワークショップを用いた授業の 構想―」に同じ。16頁 11 こうした協同学習はヴィゴツキーの「発達の最 近接領域」を踏まえているといえる。 12 中洌正堯ほか『中学生の国語 学びを広げる 一 年』三省堂,2012(中学校国語教科書 資料編) には「『読書郵便を楽しもう』」というページがあ る(p30)。ただこの活動は本を読んだ生徒から読 んでいない人へ宛てた郵便で,本の紹介という性 質であり,本実践のように交流し合うことによる 効果を意図したものではない。 13 佐藤明宏『自己表現を目指す国語学力の向上策』 明治図書,2004,4頁 14 例えば,「『先生うそを書いてもよろしいか。』と いふやうな綴り方教授は,余の主張する意義の中 には存在することを許さぬ。」(芦田惠之助『綴り 方教授』香芸館出版部,113,20~2頁)という 思想がその一例である。また生活綴り方の「概念 くだき」もそうした考えの典型である。こうした 考えは,現代に至るまで根強く残っているものが ある。 1 三藤恭弘『書く力がぐんぐん身につく「物語の 創作/お話づくり」のカリキュラム30 ファンタ ジーの公式』明治図書,2010,31~3頁 付記  本研究は,2012年度香川大学教育学部附属学 校園共同研究機構が実施する「学部教員と附属 学校園教員による共同研究プロジェクト」の成 果による。

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資料1 「ビジュアル・ツール」事後アンケート結果 「キャラクターマップ」「ストーリーマップ」「機能カード」は創作の上で役に立ちましたか。 かなり 16名   まあまあ 14名   あまり 6名   いいえ 5名 ●「かなり」「まあまあ」の理由 [発想]7名 ・色々なアイデアが浮かんできた。  ・想像がふくらみ,こうすれば良い,悪いがはっきりしてきた。 ・キャラクターマップは,まったく違う意見を考えることができる。後で見直して,新しく考えることが できる。 ・新しいアイデアが自然に浮かんでくる。  ・自分とは違う発想でアイデアが出ることもあったから。 ・自分とは全く違う発想が浮かび,新しい考えが出来た。 ・ストーリーマップでは,他の人のアイデアを取り入れやすかったから。 [人物設定]5名 ・人と人との関係。  ・その人の性格を決めれたから。 ・キャラの関係が整理できた。  ・登場人物の設定がきちんとできたから。 ・キャラクターの口調などを考える材料になった。 [ストーリー設定]12名 ・話の構成の仕組みが分かった。 ・話の構成がはっきりしてくる。 ・物語の構成を考えるのに役立った。 ・話の構成にとても役立った。 ・自分の描くストーリーがはっきりしてきてまとまりのある物語が描けた。 ・ストーリーマップによって物語の内容が頭に浮かび,良い参考になりました。 ・最後をどう終わらすか迷った時にこのカードが役立ったから。 ・話の流れをつくるのに役立った。  ・どのように物語を進めればよいかが分かった。 ・流れをまとめてそれに向かっていけた。  ・物語の全体の流れをあらかじめ理解できた。 ・物語を変えることができたから。 [その他]6名 ・自分の思っていることを忘れる時に思い出せる。 ・色々考えて,頭の中がこんがらがっていたので,紙にまとめられたので頭の中がすっきりしてよかった。 ・ストーリーの展開方法やキャラクターの立場など,困った時に振り返ることができた。 ・区別しやすい。  ・自分の考えをまとめることができた。  ・考え方が一つ一つ分かった。 ●「あまり」「いいえ」の理由 9名(無記入2名) ・絵本だし,あまり話の流れは意識できていなかった。  ・最初から話を決めていたから  ・最初から決まっていたから。   ・逆にやりにくかったです。   ・やったけど,そんな物語(マップで作った)を作れなかったから。   ・書くことばかりであまり見れなかったから。 ・途中で話を全て変えたためあまり使えなかったから。  ・〆切り一週間前に作品の内容を変えたため。  ・自分の話と重ならなかったから。

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資料2 中学生と大学生の手紙の往還の例 大学生→ 中学生①  こんにちは。Aさんのパートナーになりました,Bです。今回お手伝いとして「作家の時間」学習に参加することになりました。よろしくお願いします。  早速ですが,Aさんはなぜこの「作家の時間」学習に参加しようと思ったのでしょうか。何か作品を読んで, 自分もそんなものを書いてみたいと思ったからでしょうか。もしそうならその作品は何という作品でしょうか。 よかったら教えてください。  Aさんの作品が完成するのを楽しみにしています。Aさん独自の作品に仕上がるよう,頑張ってください。  最後になりましたが,だんだんと暑くなってきていますので,熱中症などに気をつけてお過ごし下さい。 中学生→ 大学生①  こんにちは。お手紙ありがとうございます。 私は,自分が書いた本で読者に何かのメッセージが伝わるような作品を作りたいと思い,この学習に参加しま した。  私が書く本の内容は10年前,親友と別れてしまった子が,時が流れ,会社で働くようになり,昔別れた親友と 再会をするというお話しです。しかし,ある日やってきた新入社員が昔の親友ということに主人公は気づきませ ん。その人は上司からも気に入られ,主人公の周りにいた友達でさえその新入社員と仲良くなってしまい,主人 公はその人にうらみを持つようになりました。そしていじめが始まり,その人を自殺へとおいこむようになった が,主人公が昔の記憶を思い出し,自殺をとめ,感動の再会ができました。この話の中で工夫している点は,最 後に記憶を思い出し,2人で話し合った時,虹が見え「これから別れても虹のようにつながっていようね」とク ライマックスをむかえるところです。  困っている点は,読んでいる人に対して「絆」という言葉が伝わるかどうかです。どんなに離れていても,心 はつながっていることを,伝えるためには,どのようにすればよいのか困っています。  私の説明では,話の内容が,いまいち分からないと思いますが,もし良ければ,アドバイスを,よろしくお願 いします。 大学生→ 中学生②  こんにちは。お手紙ありがとうございます。手紙を読んでAさんの小説づくりに対する思いが伝わってきました。一生懸命取り組まれているようなので,完成した作品がどんなものになるのか,ワクワクしています。  Aさんが伝えたいと思っている「絆」ですが,とても良いテーマだと思います。今,社会の中で問われている ことを取り入れ,訴えようとしている点がすばらしいと思います。  僕からのアドバイスですが,「2人で一緒に虹を見る」というクライマックスを丁寧に書き込んでいけば,より 印象づけられると思います。「絆」に対するAさんの熱い思いを,2人の言葉や思いとして表現できれば,読む人 にもその思いを伝えられると思います。  最後になりましたが,最近,更に暑くなってきています。熱中症などに気をつけてお過ごし下さい。作品の完 成,期待しています。 中学生→ 大学生② こんにちは。お手紙ありがとうございます。 Bさんがアドバイスをしてくれた内容をもとに,クライマックスの虹に対して丁寧に書いていきました。  2人で虹を見たとき,絆がより深まることを,表現するために自分なりの言葉を使って,読者に伝えられるよ う,工夫しました。文章は何とか書けましたが,本の表紙を,どのようにするか,悩んでいました。どのような, 表紙が,人を,ひきつけられるのか。題名を目立たせたりしてみました。  Bさんが言っていた「現在の社会の中で問われていることを取り入れ,訴えている」ということについて,私は, 話の内容を,きめる時は,ただ単に,「絆をテーマにしよう。」と思っていたけれど,現代の社会を考えると,よ り「絆」が大切になってくることに,気付きました。  なので,この小説の中でも,「絆」の大切さをより深く,読者に分かってもらうように,文の表現を,もう少し, 工夫していきたいとおもいます。  最後になりましたが,最近,暑くなってきました。熱中症にお気を付けてお過ごしください。 大学生→ 中学生③  こんにちは。お手紙ありがとうございます。 「絆の虹」読みました。物語の展開がしっかりとなされていて,登場人物の心情も細かく書かれていたので,常 に考えながら読むことができ,とても面白かったです。クライマックスの部分では,2人の心情と,雨があがっ ていく様子がリンクしていて,Aさんの工夫が見られ,この物語を,人に「読ませたい」という思いが伝わって きました。最後の一文「目には見えない絆の虹で」という文が,一つだけ離れた位置にあるのも,読者に対して 「絆」を強く印象づけることができ良いと思います。本の表紙も,あえて文字だけにしたことで「絆」が際立って 良いと思います。  手紙の中に,Aさんがこの作品をより一層良い作品にしようという思いがあり,感心しています。これからも 頑張ってください。  最後になりましたが,依然暑い日が続いています。  熱中症に気をつけてお過ごし下さい。 大学生→ 中学生③  こんにちは。お手紙ありがとうございます。 「絆の虹」は,登場人物の心情や,その時の周囲の様子を,想像しながら,書きました。そのために,気持ちを, 読者に,より理解してもらうため,文章の表現を工夫しました。  Bさんに,小説の内容をほめていただき,とても,うれしかったです。  手紙のやりとりを通して,色々とアドバイスをもらい,この作品ができたと思います。  完成した後,おもしろい話ができたかどうか,読者の方が楽しんでもらえるかどうか,不安でしたが,Bさん に感想を言っていただき,ほっとしました。  これからも,いい話が浮かんだら,小説を書いてみたいと思います。  Bさんも,お体に気をつけて,頑張って下さい。 (下線部―筆者)

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資料3 「大学生との交流」事後アンケート結果 質問「大学生との手紙の交流は,創作の上でどんな役に立ちましたか?」 解答(複数の内容が含まれているもの(*)は,複数回記入して項目に合う部分を下線で示す。) ●創作の意欲面 16名 ・アドバイスをもらえ,やる気をもらえた。 ・アドバイスをもらったり励ましてもらったりして自分の力になった。 ・元気をもらいました。あとやる気ももらいました。 ・励みになった。 ・相談とかできたから。 ・質問されて,改めて主人公の性格などを思いかえすことができた。 ・やろうという気になる。 ・読者がいることを再認識できた。また「解説」を書いてもらうことになった。 ・小説をつくる時の根気とかやる気につながりました。 ・自分とは違う意見を知ることができる。 ・自分の事をしっかりと書いてくれて,考えてくれて,心の支えになった。 *読者が目に見えているのは初めてなので励みになった。表現を変える参考になった。 *自分のイメージしている事や,設定を振り返る事ができた。書こう!という気にますますなった。 *悩みを手紙に書くとそれに対するアドバイスをくれたり,とても読むことを楽しみにしていると書いてくれたりと,と ても役立った。 *困っていたことへのアドバイスをくれたし,読んでくれる人がいるので。 ●創作の内容面 22名 ・題名の選択。 ・タイトルのつけ方を教えてもらい,無事作成できた。 ・困っていたことについてのアドバイスが作品を制作する上でとても役に立った。 ・悩んでいるところを相談するとアドバイスをくれたのでそれを参考に出来た。 ・考え方がわかる。 ・相談にのってくれるので,困っていた所がなくなった。 ・他の人からの視点がどんなものかよく分かりました。 ・アドバイスを頂いて書きやすかった。 ・題名への意見をもらいました。 ・困っているところや悩んでいるところを読者に聞いてもらえてスラスラ文が書けた。 ・「会話文が多い」という困った時に良いアドバイスをくれたので役に立ちました。 ・主人公の悩みを改めて考えることができた。 ・題名決め。 ・景色をどのようなものにして,どのように表現すればよいか。 ・字とかから感じるやわらかい感じがキャラに反映した。 ・「どうやったら私の思いが読者に伝わるか」を教えてくれたり,いろいろな点でアドバイスをもらいました。 ・非凡なアイデアが使えた。 ・アドバイス(情景描写や主人公の個性について)でもらったことも少し活用しました。 ・先輩としてのアドバイス。 *自分のイメージしている事や,設定を振り返る事ができた。書こう!という気にますますなった。 *悩みを手紙に書くとそれに対するアドバイスをくれたり,とても読むことを楽しみにしていると書いてくれたりと,と ても役立った。 *読者が目に見えているのは初めてなので励みになった。表現を変える参考になった。 *困っていたことへのアドバイスをくれたし,読んでくれる人がいるので。 ●読者意識 2名 ・読者を考えて書ける。 ・読者がいるということ。 ●その他 3名 ・あまり役に立たなかった。 ・プレッシャーになりました。 ・無記入1

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資料4 生徒Aの作品「絆の虹」結末部分  八 ずっと  私とさおりは,空を見上げている。  今まで空をおおっていた,雨雲が動き出し,雲の隙間から,明るい光が差し込んできた。  さおりの表情にも笑顔が戻ってきた。 「私ね。お父さんの会社の都合で,また,日本に帰ってきたんだ。それから一人暮らしをするために,こっちに来て仕事 についたの。」 「そうなんだ。」 「あの時,急に引っこすなんて言ってごめんね。」 「ううん。大丈夫。」  私は,さおりの顔を,もう一度見てみると,やっぱり昔と変わらない。  すると,私の目に,とびこんできたは,キラキラと輝いている一つの虹だった。 「あ,虹だ!!」 「え!?」と言いながら,さおりはふり変える。  その虹を見た瞬間,あまりの美しさに,二人はぼんやりしながめている。  まるで時が止まったみたいに・・・。  しばらくしてさおりが 「きれいだね。さっきの雨のせいかなぁ。」と言った。  私は,この虹を見た時,頭の中に,十年前の,二人が別れた時の記憶がよぎっていた。  その頃の別れの悲しみを思い出すと,今,こうして二人が出会っているのが不思議になる。 「ずっと二人,一緒だよね?」私はつい,今の気持ちを口にしてしまった。 「え!?あ,うん。」さおりは少し驚きながらも,笑顔で答えてくれた。  私は少し考えてからこう言った。 「でももう大丈夫。たとえ,離ればなれになっても,さおりのことは忘れないよ。」 「うん。私も。」  そして私は空を指差した。  さおりは不思議そうに,私が指した方を見る。  空にはまだ,鮮やかな虹が描かれている。 「さおり・・・。どんなに遠く離れたって,私達は親友だよ。」  さおりは思わず泣きそうになっている。 「ずっとずっとつながっている。あの虹のように。一つの虹で私達はつながっているよ。」      目には見えない絆の虹で・・・ (下線部―筆者)

参照

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