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哺乳類細胞用恒温振とう培養器CO2インキュベーションシェーカーCO2-BR-43FLを用いた抗体産生ハイブリドーマの大量培養-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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哺乳類細胞用恒温振とう培養機 CO

2

インキュベーションシェーカー CO

2

-BR-43FLを用いた抗

体産生ハイブリドーマの大量培養法

川村 理,光元結花

The mass culture method of the antibody-producing hybridoma using constant temperature concussion

culture machine CO

2

incubation shaker CO

2

-BR

-43FL for mammals cells

Osamu Kawamura and Yuka Mitsumoto

Abstract

 In analyses such as the mycotoxins, the immunoaffinity column (IAC)-HPLC method is a superior method. How-ever, the IAC-HPLC method needs relatively a large quantity of antibodies. It becomes the problem to cost for the production of antibodies with time. Therefore, we examined the mass culture method of the antibody-producing hy-bridoma using constant temperature concussion culture machine CO2 incubation shaker CO2-BR-43FL for mammals

cells (Taitec Co., LTD Japan). The method, using this machine, did not need complicated operation,was able to get a culture supernatant of antibody density at the same level as the flask culture method of 1.6 L in approximately one week, and was cheap running cost. This method is a method suitable for mass production of the monoclonal antibody. Key words : immunoaffinity column, mass production of the monoclonal antibody, mycotoxins

香川大学農学部学術報告 第68巻 33~35,2016 緒   言  マイコトキシンなどの低分子化合物の分析において, イムノアフィニティーカラム(IAC)-HPLC法(1)は,す ぐれた方法であり,公定法(2)にも採用されている.し かし,IACには,1検体の分析に1~2 mg程度の比較的 大量の抗体を必要とし,抗体の生産に時間とコストがか かることが1番のネックとなっている.抗体産生ハイブ リドーマの大量培養法としては,マウス腹腔内で培養 し,腹水として回収する方法が以前から用いられてき た.しかし,この方法では,マウスからの腹水採取時期 をコントロールするのが難しく計画的な抗体生産には向 かないこと,ハイブリドーマによっては腹水をほとんど 回収できないケースがあること,腹水にはマウス由来の 蛋白質を多く含み煩雑な精製操作が必要なこと,加え て,動物愛護の観点から問題のある方法であることなど から,あまり行われなくなってきた.現在は,無血清 培地に馴化させ,フラスコ培養法,ローラーボトル法, 培養バック法(3)などが行われている.これらの方法は, 既存のCO2インキュベーターを使用できるので,初期費 用はあまりかからないが,操作が煩雑でランニングコス トが高く抗体生産費用を安く抑えることが難しい.そこ で,ランニングコストが培地と0.2 µmのフィルター以外 ほとんど必要としない哺乳類細胞用恒温振とう培養機 CO2インキュベーションシェーカー CO2-BR-43FL(タイ テック株式会社)を用いた抗体産生ハイブリドーマの大 量培養法について検討を行った. 方   法 培養条件の設定  オクラトキシン AとBに同程度に反応するモノクロー ナル抗体産生ハイブリドーマOTB.2(4)を無血清培地であ

るhybridoma-SFM培 地(Gibco,Life Technologies Corpo-ration)に数日間かけて馴化した後,対数増殖期を維持し ながらT-75培養フラスコで30 mLで5×105細胞/mLまで, 5% CO2,37℃で培養した.滅菌した1Lフラスコに細胞 濃度5×104細胞/mLになるように300,400と500 mLずつ OTB.2細胞懸濁hybridoma-SFM培地加え,回転数を60, 80と100 rpmで行い5% CO2,37℃で3日間培養した.培 養上清を回収し,それぞれの条件での抗体濃度を以下の 間接ELISAで抗体価を測定し,各培養条件での抗体濃度

(2)

香川大学農学部学術報告 第68巻,2016 Fig. 1 各培養容量と回転数での抗体濃度の比較 0 10 20 30 40 50 60 抗 体 濃 度 g/ m L) 回転数 300 mL 400 mL 500 mL 60 rpm 80 rpm 100 rpm Fig.1 を比較した.  間接ELISAは,まず,96-ウェルマイクロプレート (NUNC immunoplate II)の各ウエルに100 µLずつオク ラトキシンB-ウシ血清アルブミン結合体(4)(200 ng/mL, 0.01M 炭酸緩衝液(pH 9.6)溶液)を加え,4℃で一晩 静置し,コーティングを行った.0.05%のTween 20を含 むダルベッコのPBS(PBS/Tween)で2回洗浄後,各ウ エルに125 µLずつ0.1% オブアルブミンPBS溶液を加え, 室温で1時間静置しブロッキングを行った.PBS/Tween で3回洗浄後,精製OTB.2抗体と各培養上清のPBSでの 希釈液(1/10-1/105)を各ウエルに100 µLずつ加え,室 温で45分間反応させた.PBS/Tweenで3回洗浄後,西洋 わさびペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIg抗体(PBS/ Tweenで4,000倍希釈)を各ウエルに100 µLずつ加え,室 温で45分間反応させた.PBS/Tweenで3回洗浄を2回繰 り 返 し た 後,0.1 mg/mL の3, 3’,5, 5’-tetramethylbenzi-dine (和光純薬)と0.005%の過酸化水素を含む0.1 M酢酸 緩衝液(pH 5.0)を加え,室温で30分間酵素反応を行っ た.1M硫酸50 µLを加え反応を停止したのち,450 nm の吸光度を測定した. 培養期間の検討とフラスコ培養法との比較  最適培養期間を決定するため,上記の条件で最もよ かった培養容量400 mLで振とう数80 rpmの条件を用い, 10日間培養を行った。毎日,細胞数を計数し,また,培 養上清を一部を採取し,間接ELISAで抗体価を測定し た.さらに,大量振とう培養7日目の培養上清とフラス コ培養法7日目の培養上清の抗体価を比較した. 結果および考察 培養条件の設定  各培養容量と振とう数での抗体濃度をFig.1に示した. 培養容量400 mL,回転数80 rpmのときが抗体濃度55.5 µg/mLが最も高く,次いで,培養容量300 mL,振とう数 60 rpmの31.3 µg/mLであった.培養1Lあたりの抗体生 産量は、培養容量400 mL、振とう数80 rpmのときが52.2 mg/Lであった. 培養期間の検討とフラスコ培養法との比較  培養日毎の抗体濃度,総細胞濃度と生細胞濃度の変 化をFig. 2に示した.抗体濃度は,7日目で抗体濃度が 40.1 µg/mLでほぼピークに到達し,その後ほぼ変わらな かった.総細胞濃度は,8日目が最大で2.4×106細胞/ mLであった.また、生細胞数は、4日目にピークを迎 え、9日目には、ほとんどが死滅していた.培養期間が 長くなると、死細胞が増え、細胞内容物が培地中に放出 される可能性があり、抗体を精製する際に問題となる。 よって、培養期間は7~8日間程度がよいと考えられ た. フラスコ培養法との比較  CO2インキュベーションシェーカーとT-75フラスコで 7日間培養した上清中の抗体価を測定した結果をFig. 3 に示した.両者の抗体価はほぼ同じであり,CO2イン キュベーションシェーカー培養法とフラスコ培養法で得 られる培地中の抗体濃度はほぼ同じであった.CO2イン キュベーションシェーカー CO2-BR-43FLでは,1度に1 Lフラスコ4本,1.6 Lを培養できる.これは,T-75フラ スコでは,1本当たり30 mL培養できるので,53.3本に 相当し,ほぼ1台のCO2インキュベーターを占拠してし まう.一方,CO2インキュベーションシェーカーでは, 前培養にT-75フラスコが4本と0.2 µmのフィルターが8 個のみ必要であり,ランニングコストをかなり抑えるこ とができる.また,T-75フラスコで50本以上への植え継 ぎ,維持・管理の手間は膨大な作業量であり,1度セッ Fig. 2 培養日数毎の抗体濃度、総細胞濃度と生細胞濃 度の変化 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 抗 体 濃 度 g/ m L) 培養日数(日) 抗体濃度 総細胞 生細胞 細 胞 濃 度 ( × 1 0 5 細 胞 / m L ) Fig.2 34

(3)

川村 理 他:抗体生産ハイブリドーマの大量培養法 トしたら,7~8日間放置できるCO2インキュベーショ ンシェーカーとの作業量との差は絶大である.  今回は,1つのマウスハイブリドーマでの実験であ り,他のハイブリドーマでの実験が必要であるが,CO2 インキュベーションシェーカーを用いる方法は,初期費 用が240万程度とやや高額であるが,ランニングコスト は低く,作業量も少なく,優れた抗体産生ハイブリドー マの大量培養法と言える. 摘   要  マイコトキシンなどの分析において,IAC-HPLC法 は,すぐれた方法であるが,比較的大量の抗体を必要 とし,抗体の生産に時間とコストがかかることが問題 となっている.そこで,哺乳類細胞用恒温振とう培養 機 CO2インキュベーションシェーカー CO2-BR-43FLを用 いた抗体産生ハイブリドーマの大量培養法について検討 を行った.この方法は,ランニングコストが低く,煩雑 な操作を必要とせず,約1週間で1.6 Lのフラスコ培養法 と同程度の抗体濃度の培養上清を得ることができた.モ ノクローナル抗体の大量生産に適した方法である. Fig. 3 CO2インキュベーションシェーカーを用いた方 法とフラスコ培養法でそれぞれ7日間培養した 培養上清中の抗体価の比較 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 10 100 1,000 10,000 100,000 A 4 50 n m 希釈倍率 CO2インキュベーション シェーカー培養 フラスコ培養

Fig.3

引 用 文 献 ⑴ Senyuva, H. Z. and John Gilbert, J. : Immunoaffinity

column clean-up techniques in food analysis: A review. J. Chromatogr. B, 878, 115-132 (2010). ⑵ 厚生労働省医薬食品局食品安全部長:乳に含まれ るアフラトキシン M1の試験法について,食安発 0723第5号,平成27年7月23日 ⑶ 関根俊昭,鈴木小城,木下博保,吉田芳哉,橋本正 勝:培養バッグを用いた簡便かつ効率的なモノク ローナル抗体の生産,生物工学会誌,87,437–441 (2009). ⑷ 川村 理,鈴木祐介:オクラトキシンBに対するモ ノクローナル抗体の作製,香川大学農学部学術報 告,65,25-28(2013). 35

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