力学 講義ノート
序文
本書は,著者らが在職する愛知工業大学におけるこれまでの教育経験を
もとに,工科系学生が初学年次の半年間に学習する力学の教科書として執
筆したものである.現在工科系学生の入学時における物理,数学の学習歴
の違いは非常に大きい.本書はこの状況に対応できるような教科書作りを
目指したものである.
まず,取り上げる内容を力学の学問としての流れを理解するうえで必要
最小限に限定することにし,編成されたクラスの状況にしたがって,話題
をさらに限っても,授業構成ができるようにすることを目標にした.もち
ろん,その範囲内では,できるだけ科学的に正確な記述を心掛けた.
また,自然科学の言語としての数学についての最小限の理解がないと力
学の講義が成り立たないので,必要な数学の知識を,必要な段階で本文中
に記述するようにした.さらに,傍注を活用し,多くの図版とコメントを
入れるなど,理解しやすいように配慮した.学生諸君が自らの理解を確か
め,さらに自らの力でも前進できるように,多くの問題を配置した.
工学は,自然科学の応用分野であり,その中でも物理学,特に力学は最
も基礎となる学問である.学生諸君が,専攻分野の基礎となる力学の知識
を修得するとともに,力学の学習を通じて,自然科学が明らかにしてきた
科学的自然観に触れ,科学的な思考方法を身に付けることができるように
なればと期待する.
これらの意図が充分果たされたかどうかは甚だ心許ないけれども,実際
に教科書として使ってみて,また,幸い本書に触れていただいた諸先生方
からのご批判と学生諸君からの質問,疑問などを受けて,順次改善してい
きたいと思う.
最後に,本書の出版を勧め,かつ容易に進まない執筆作業にもかかわら
ず,後押しを続けていただいた共立出版株式会社の南條光章社長と藤本公
一氏,ならびに,編集に大変な苦労をおかけした大越隆道氏に心から感謝
するものである.
2009 年 2 月
著者一同