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水分含量を異にした牧草サイレージの乳生産におよぽす影響

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Academic year: 2021

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(1)

北海道草地研究会報 24:111-114 (1990)

水 分 含 量 を 異 に し た 牧 草 サ イ レ ー ジ の

乳 生 産 に 及 ぼ す 影 響

岡 本 明 治 ・ 池 滝

孝 ・ 中 西 雅 昭 ・ 鈴 木

太 田 三 郎 ・ 吉 田 則 人 ( 帯 広 畜 産 大 学 )

Effect of grass sila-ges with differen t moisture co:ntents on milk production in dairy cattle.

M. 0 KAMOTO, T. IKETAKI, M. N AKANISHI, K. S UZUKI, S.OOTA, N. Y OS HIDA

(Obihiro Univ. of Agric. &Vet. Med., Obihiro, Hokkaid,o 080 JAPAN)

緒 国 前報3)で,超早刈り牧草サイレージ給与が慣行刈り牧草サイレージ給与牛群よりも乾物採食量, F C M 乳量,乳組成において向上したことを報告した。しかし,両供試牧草サイレージの水分含量に約20%の差 異があり,このことが乾物採食量に影響したことも予想された。そこで,本試験は同一材料で水分含量の 異なる早刈り牧草サイレージを給与した場合の乳生産に及ぼす影響について検討した。 材 料 と 方 法 チモシー主体の

1

番草を同一材料として水分含量の異なる

3

種類のローノレベーノレサイレージ(それぞれ の水分含量が49%,58%, 69%,以後低水分区,中水分区,高水分区とする)を調製した。平均乳量8000 kgで分娩後日数

100

日前後の乳牛

3

頭を

3

群用い,

1

2

1

日間の

3

x3

処理のラテン方格法4)により泌 乳試験を実施し,乾物採食量,乳量,乳成分について検討した。 NRC飼養標準6)より求めた養分要求量 と飼い慣らし期間中のサイレージ自由採食量から不足養分量を算出し市販配合飼料により補足した。すな わち,両群とも

l

頭あたり現物で朝夕

4

kgずつ

l

日 8kgの配合飼料を給与した。供試サイレージは朝夕

2

回, 10%程度の残飼量が出るように給与し,マグネチック応答開閉方式の扉付飼槽と,乾草給餌台を用い て各群ごとに採食量を把握した。搾乳は付属農場のロータリーミノレキングパーラーで朝

8

1

5

分,タ

5

3

0

分に行い個体ごとの乳量を測定した。供試サイレージと飼料の成分および乳成分の分析は常法2)によっ た。 結 果 と 考 察 表1に供試サイレージの発酵品質を示した。水分含量のレベルにより pH,酪酸含量,全窒素に対する アンモニア態窒素の比率に有意な差異が認められた。しかし,いずれのサイレージも外観的にはカピも少 なく良品質の発酵状態であった。 表2に供試サイレージと補足配合飼料の組成を示した。各々のサイレージの水分含量の差は10%程度で あった。組蛋白質含量が早刈り材料にもかかわらず

1

3

9'0と低いのは,マメ科牧草の混入が少ないためと考 えられた。しかし日本飼料成分表5)の消化率を用いて算出したTDN値は68%と比較的高い値を示した。

(2)

J. Hokkaido Grassl.Sci.24: 111 -114 (1990) 表1. 供 試 サ イ レ ー ジ の 発 酵 品 質 pH 乳 酸 酢 酸 プロピオン酸 酪 酸 VFA/総 酸 NH3N/TN ら FM ヲら % 高水分区 5.1 1.49

.

o

2 0 0.01 0.08 16.29 7.0 サイレージ 土0.10 士0.37 土0.06

:

f

:

:

:

0.0 1

:

f

:

:

:

0.05 士3.7 0 士2.37 中水分区 5.3 1.3 8 0.23 0.0 0 0.03 1 5.8 5 5.6 サイレージ 土0.19 土0.58 士0.07 士0.01

:

f

:

:

:

O. 02 士3.90 士0.87 低水分区 5.6 1.31 0.25 0.00 0.0 1 1 6.56 4.1 サイレージ 士0.21

:

f

:

:

:

0.82

:

f

:

:

:

0.08

:

f

:

:

:

0.0 0

:

f

:

:

:

0.0 1 士1.08 士1.02

*

*

ns ns ns

*

*

ns

*

*

平均値士標準偏差,

*

*

.

1 %水準で有意差あり, ns :有意差なし 表 2. 供 試 サ イ レ ー ジ と 配 合 飼 料 の 組 成 水 分 粗 蛋 白 質 A D F N D F 推 定T D N ヲ ら % DM 高水分区 68.6 1 3.6 39.2 6 7. 1 6 8. 9 サイレージ

:

f

:

:

:

3.1 1 士

O

.

7 1 士

O

.

9 5 士2.09 中水分区 58.0 1 3.0 39.1 66.9 68.1 サイレージ

:

f

:

:

:

2.83 士0.98 士0.93 士1.00 低水分区 48.8 12.6 38.0 67.0 68.3 サイレージ 土1.90 士1.-00 土1.16 士2.68

*

*

ns ns ns ns 配合飼料 1 3.9

:

f

:

:

:

0.47 22.2 士1.46

8

3.6 平均値士標準偏差,

**:

1 %水準で有意差あり, ns:有意差なし 表3. 供試家畜の採食量,全飼料中の水分含量とサイレージの割合 サイレージ+配合飼料 サイレージ採乾食物量量 乾体重あたり 全 飼 料 中 サイレージ 原 物 量 乾 物 量 原 物 量 物 採 食 量 水 分 含 量 全 飼 料 kg/日,頭 9も 。す % DM 高水分区 54.9 2 1.4 46.9 14.5 3.38 6 1.0 6 7. 7 4.8 士2.0 士4.8 2.0 士0.24 2.27 士3.2 6 中水分区 44.5 22.6

+

36.5 1 5. 7 3.60 49.2 69.4 士3.0 1.2 3.0 士1.2 士0.23 士3.05 1.67 低水分区 38.4 22.3 30.4 1 5.4 3.5 6 4 1.9 69.0 士2.6 士1.2 土2.6 土1.2 士0.18 士1.9 2 士1.72

*

*

ns

*

*

ns ns

*

*

ns 平均値士標準偏差,

*

*

:

1 %水準で有意差あり, ns :有意差なし NRC飼養標準6)より要求量を求め, TDN不足分20%程度,粗蛋白質不足分35%程度を表2の市販配合 飼料で補足した。 表3に実際の採食量,配合飼料を含めた全飼料中の水分含量とサイレージの割合を示した。配合飼料を 円 J U 吋 1 4 噌 E A

(3)

北海道草地研究会報 24:111~114 (1990) 含めた

1

1

頭あたりの実際の採食量は高水分区の55kgから低水分区の38kgの範囲となる。しかし,配合 飼料は一定量給与なので,これらの差異はもっぱらサイレージ採食量に由来する。高水分区と低水分区の サイレージ原物採食量の差は17kgと大量であったが,乾物量に換算するといずれの区も15kg前後で大きな 差はみられない。

C

h

a

s

e

1)は発酵飼料給与で水分含量が

50%

以上の時,水分が

1%

上昇するごとに体重 100kgあたり0.02kgの乾物採食量の低下があると述べている。本試験においても,配合飼料を含めた全飼 料の水分含量を算出すると高水分区

6

1.

0

%,中水分区

4

9

.

2

%

,低水分区

4

1.

9%

であった。水分含量

50%

以 上の中,高水分区を比較すると,その差は約11%となり

630kgの体重では

1

.

4kgの乾物採食量の低下が 予想されることになる。実際,両区の平均乾物採食量の差は1.2kgとなり,

C

h

a

s

e

の報告1)を裏づけるよ うな結果となった。しかし,本試験は混合給与ではなく配合飼料の分離給与でありサイレージの不断給餌 である。サイレージ給与だけで考えてみると,低水分と高水分サイレージの

50%

以上の水分含量の差

19%

より算出した予想される採食減少量は約2.4kgとなり,本実験の結果である O.9から1.2 kgの減少と比較 してかなり大きい値となる。乾物比で全飼料のおよそ

70%

を牧草サイレージで占める飼料給与から得られ た本試験の結果から,早刈り牧草を材料とした,しかも発酵が抑制されたようなサイレージの場合,水分 含量の差が乾物摂取量に反映する程度は低いのではないかと予想された。 表

4

.

乳 量 と 乳 組 成 乳 量

4%FCM

乳量 脂 肪 無脂固形物 蛋 白 質 乳 糖 一一一切/日,頭一一一 らヲ 高水分区

27.4

±

2

6

.

9

3.86

8.37

2.87

4.62

2

.

0

3

3

.

1

0

0.59

0

.

16

0

.

18

0

.

12

中水分区

2

7

.

7

2

7

.

3

3

.

9

1

8

.

4

1

2

.

9

0

4.63

2

.

17

3

.

21

:

:

l

:

:

O

.

6

1

0

.

19

0

.

21

0

.

15

低水分区

2

8

.

7

2

8

.

2

3.90

8

.

3

5

2.87

4.61

2.22

2.98

0.42

0

.

16

:

:

l

:

:

0.20

0.09

n

s

n

s

n

s

n

s

n

s

n

s

平均値士標準偏差,

n

s

.有意差なし 表4に乳量と乳組成を示した。高水分区と比較して低水分区の乳量が若干高い傾向を示したが有意な差 ではなかった。採食量の違いが乳生産量に反映することは自明の理であるが,本試験の結果においては表

3

に示したように乾物摂取量に大きな差異はなく,しかもエネノレギー量が充足されていたことがこのよう な結果をもたらしたものと考えられた。また,他の乳組成についても処理聞に差は認められなかった。 摘 要 同一材料から予乾時聞を変えて調製した水分含量の異なる牧草サイレージの乳牛にたいする給与が採食 量,乳生産量に及ぼす影響を検討した。その結果,水分含量が

50%

から70roの範囲で調製された早刈り牧 草サイレージ給与において,水分含量の違いは乳牛の乾物採食量,

FCM

乳量に影響を及ぼさなかった。

円 。

(4)

J.Hokkaido Grassl. Sci. 24: 111-114 (1990)

引 用 文 献

1) Chase

L. E. (1979) : Effect of high moi sture feeds on feed in take and mi lk produc t -i.on in dairy cattle. Proceedings of Cornell Nutrition Conference for Feed Manufactu-rers. 52-56. 2)森 本 宏(1971) :動物栄養試験法.養賢堂.東京. 412-431. 3)岡本明治・池滝 孝・真野幸博・五十嵐朋裕・太田三郎・吉田則人 (1989) :早刈り牧草サイレ ージの乳生産に及ぼす効果,北草研報 23,108-111. 4)吉田 実(1975) :畜産を中心とする実験計画法.養賢堂.東京. pp . 1 0 1 -116 . 5)中央畜産会(1987) :日本標準飼料成分表.農林水産省農林水産技術会議事務局編 6) N R C (1988) . Nutrient Requirements of Dairy Cattle. 6th revised edition.

National Academy Press

Washington D. C.

参照

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