修士論文要旨
論文タイトル:
「イノベーションとリーダーシップ---起業家型経営者について」
学籍番号:AM
18018
氏 名:
XU PINGYAO
指導教授:伊藤 善夫教授
はじめに 第1章 問題意識の提示と研究目的・研究方法 第2章 先行研究 第3章 事例研究とインタビュー 第4章 仮設と実証分析 第5章 考察 第6章 本研究の結論 おわりに【論文の内容】
1 問題意識と研究目的 ハイパーコンペティションと称される企業環境においては、いかに新たな成長の機会を生み出して いくかが企業の維持・発展の鍵となっている。国土交通省(2017)によれば、「世界経済フォーラム (WEF)」が毎年発表している国際競争力指標で、日本のイノベーションランキングは 2016-2017 年 版の報告書では、5 位から順位を下げて 8 位となっている。こうした状況では、イノベーションをだ すために、いわゆる経営要素でイノベーションを促進することが重要である。 組織革新の起点である経営トップの行動が組織全体のイノベ-ティブ度に大きく影響しているため、 イノベーションを出すのに、経営トップのリーダーシップがまず変わらなければ、企業は何も変わら ない。そこで本研究の研究目的を、イノベーションの視点から経営者のリーダーシップの効果を研究 し、イノベーションに対してどのような経営者のリーダーシップのタイプが有効であるかを探究す ることとした。 2 研究方法 1. 先行研究を行い、上海現地研修でヒアリングと事例研究をし、イノベーティブな経営者にイン タビュー 2. アンケート調査による測定と仮説の実証 3 仮説の提示 以上のことから本研究では、「起業家型経営者の場合、経営者のリーダーシップが強ければイノベ ーションが促進される」という仮説を設定した。仮説を構成する変数は、「リーダーシップ強さ」、 「イノベーションの促進程度」、「経営者の起業家型程度」という 3 つの変数であるが、これらはい ずれも直接観測できない構成概念である。そこで、仮説の実証には、共分散構造分を用いる。これら の構成概念を測定するための観測変数は以下のとおり設定した。「リーダーシップ強さ」については、 ①意思決定は経営理念に基づいているか、②社員が経営理念を理解している程度、③会社に対する従 業員の帰属意識の強さを設定した。「イノベーションの促進程度」は、①新規事業の売り上げ比率、 ②過去五年の新製品・サービス売上比率、③画期的な製品・サービスが占める市場シェアを設定した。 「経営者の起業家型程度」は、①新規事業を重視、②リスクに対する傾向、③既存ルールにこだわる 程度、④簡単に目標を諦めない特性を観測変数として設定した。4 仮説の実証
仮説モデルの適合度検定有意確率は 0.624、GFI は 1.000、AGFI は 0.933 でありかつ GFI とのかい離 は小さい。CFI は 0.825 であり 0.9 を下回った。RMSEA は 0.00 であった。五つの指標のうち四つで基 準を満たしており、データへの当てはまりはある程度あると判断できる。起業家型の程度が低い場合、 ある程度の関係性があるが、イノベーションの促進程度とその観測変数との関係性は有意ではない。 起業家型の程度が高い場合、因果係数推定結果は 0.5 であり、関係があると判断できる(有意確率 5% 未満)。従って、「リーダーシップが起業家型である場合、リーダーシップが強ければ、イノベーシ ョンが促進される」という仮説は実証されたものと考える。 適合度指標 適合度数値 判断基準 有意確率 0.624 ≧5%、仮説棄却できない仮説が棄却されないほうがよいこ とになる GFI 1 ≧0.9、説明力があるパス図であると判断する AGFI 0.826 ≧0.9、説明力が足りない CFI 0.933 >0.9、説明力があるパス図であると判断する RMSEA 0 <0.05or<0.1、データへの当てはまりが良い 5 考察、結論と今後の課題 本研究では、「起業家型経営者の場合、経営者のリーダーシップが強ければイノベーションが促進 される」という仮説を設定し、アンケート調査を通じて実証できた。 起業家型程度を中心に研修したが、コミュニケーション能力については研修が不足でした。 そして、どうやって起業家型のリーダーを育成できるかあるいはどんな社会的な雰囲気で、起業家 経営者がたくさん出てくるのかはまだわからない。 つまり、日本はかつてイノベーションがどんどん生み出し、起業家型の経営者がいっぱい出てきた が、なぜいまの日本は起業家型経営者が少ない。逆に、中国或いはアメリカの経営者をみると、怯え ずリスクをおかして、イノベーションを出していく起業とそのリーダーが数多くいる。その国の広さ からみる全体的なイノベーションの雰囲気からみると、研究はまだできてない。 【主要参考文献】 1) 国土交通白書(2017)第 2 節「我が国のイノベーションの現状」PP.12-25 2) 平田潤(2017 年)「グローバル経済の「深化」と「パラドックス」 No.1-イノベーション・エコノミーの時代と そのリスク-」,『桜美林経営研究』8 号,P47-59 3) 遠藤健哉(2006 年)「持続的競争優位を獲得するためのイノベーションと日本企業の行動」, 社会イノベーション 研究第1巻第2号, P157-178 4) 永禮弘之(2018 年)「イノベーションは、経営トップのリーダーシップから動き出す」