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第13回情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集

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Academic year: 2021

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(1)

科学技術政策研究への

JREC-IN Portal 求人情報の

活用の試み:

サービス開始から現在までに掲載された求人票データの解析

○川井千香子1),山下泰弘1),川島浩誉2) 国立研究開発法人科学技術振興機構1),文部科学省科学技術・学術政策研究所2) 〒102-8666 東京都千代田区四番町五番地3 Tel: 03-5214-8459 FAX: 03-5214-8460 E-mail: [email protected]

Application of the JREC-IN Portal job posting data

to science and technology policy studies:

Analyzing of JREC-IN Portal job posting data from

the start of the service until now.

KAWAI Chikako1), YAMASHITA Yasuhiro1), KAWASHIMA Hirotaka2)

Japan Science and Technology Agency(JST) 1), National Institute of Science and

Technology2)

5-3, Yonbancho, Chiyoda-ku, Tokyo 102-8666 Japan Phone: +81-3-5214-8459 Fax: +81-3-5214-8460 E-mail: [email protected] 【発表概要】 国立研究開発法人科学技術振興機構が運営している JREC-IN Portal は、アカデミ ックポストを中心に、専門性が求められる研究人材向けの求人情報を提供している無 料のインターネットサービスである。研究人材の多様なキャリアパスの開拓をその目的 とし、2001 年 10 月に JREC-IN としてサービスを開始して以降、国内ほぼ全ての大学 や公的研究機関、民間企業等における研究・開発関連職や教育関連職等の多様な 求人情報を提供してきた。今日では、年間の求人票登録は 17,000 件以上、詳細情報 画面への年間アクセス総数は 1800 万件超の大規模なサービスとなっている。 JREC-IN Portal に蓄積された求人票データを活用した分析プロジェクトについて、 サービスの担当者の視点から報告するものである。 なお、本発表は、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)と科学技術振興機構(JST) との間での覚書に基づいた共同研究の一環として実施している。 【キーワード】 JREC-IN Portal,求人公募,研究人材,データ活用,共同研究,人材政策

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1. はじめに JST は、科学技術情報の基盤となる各 種データベースを構築・運用している。こ れに伴い JST は学術論文、物質、科学 研究機関、研究関連人材の情報や技術 専門用語辞書等の多種多様で膨大なデ ータを保有している。 近年のビッグデータ活用時代におい て、これらのデータ資産の価値が見直さ れている。JST では、これらのデータ資産 の活用を目的とし、NISTEP と 2015 年 9 月「JST 情報資産の利用についての覚 書」を締結した。この覚書に基づいて実 施されているプロジェクトの1つが、今回 示す、JREC-IN Portal に掲載された求 人票を複数年以上の時系列で分析する ことで近年の大学等における研究関連 求人の推移を明らかにするプロジェクト である。 研究関連人材需要について、調査 者・被調査者とも労力を要さずに最新の データが得られる点で研究人材のキャリ ア支援サービスである JREC-IN Portal は貴重なデータソースであり、その分析 から国の研究人材政策に資するさまざま な情報が得られることが期待される。 しかし、本プロジェクトのように、サービ スの本来の目的ではない科学技術政策 の研究に、サービスデータを利用するた めには、システムやサービスの運用の都 合から生じているデータの特徴を理解す ることが必要であった。 本プロジェクトは途上であるが、現在ま でに 2016 年 7 月 13 日に開催された科 学技術・学術審議会人材委員会(第75 回)に事務局資料として以下の図1~図 3を提供し、情報管理誌(2016 年 9 月号) [1]および STI Horizon(2016 年 9 月号) [2]に分析結果の一部を示した記事の掲 載に至っている。 本発表では、これらの分析結果に至る までの過程について、サービス担当者の 立場から詳しく紹介する。 2. JREC-IN Portal の概要 JREC-IN Portal は、研究者および研 究支援者や技術者などの研究人材の能 力開発やキャリア支援を目的とする無料 のインターネットサービスである。アカデ ミックポストを中心とした、専門性が求め られる研究人材向けの求人情報を提供 しているとともに、イベント情報やキャリア を支援する各種読み物コンテンツ等を閲 覧することができる。その他ユーザ登録 をした場合に利用できるマッチングメー ルや e-learning コンテンツ提供等の機能 もある。 求人票以外にも、求人機関に向けて は、求人票の登録・修正機能を提供して いる他、より正確な情報を求職者に提供 図2.職種別の任期の有無の変遷 図1.任期の有無の変遷 図3.分野別の任期の有無の変遷

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するために JST 職員が支援を行なってい る。この詳細については4項で説明す る。 3. JREC-IN Portal のなりたち 本項では、JREC-IN Portal のなりたち をご紹介する。時系列での分析を行う上 で、各時期におけるデータベースの設計 や運用方針は、蓄積されるデータの性 質 に 影 響 を 与 え る 。 し た が っ て 、 JREC-IN Portal のように、構築当初の目 的に分析が含まれないデータベースを 使って分析を行う上で、そのなりたちを 知ることは重要である。 2001 年 10 月に JREC-IN の名称でス タートした時は、文部科学省国立情報学 研究所が提供していた大学・大学共同 利 用 機 関 な ど の 研 究 者 公 募 情 報 (NACSIS-CIS)、および JST 研究開発支 援総合ディレクトリ(ReaD)が提供してい た国立・公設研究機関の研究者求人情 報を元に新たに構築されたデータベー スだった。[3] サービス開始の背景には、第1期科学 技術基本計画で提唱されたポスドク1万 人計画で誕生した博士号取得者の就職 難という事態への対処とともに、第2期科 学技術基本計画で打ち出された科学技 術創造立国の実現に向けて、高度な教 育を受けた研究人材が研究開発に関わ るあらゆる場面で幅広く活躍できるような 多様なキャリアパスの開拓が求められて いたことがあった。[4] 以上の経緯から、JREC-IN は、大学の 教員職や公的研究機関の研究職の求 人情報からサービスをスタートした。 その後、研究環境を取り巻く人材の多 様化の流れを受け、2007 年度からは小 中高等学校教員に関する求人情報の提 供を開始。2009 年度から海外研究機関 および国際機関の求人情報の提供を開 始。2011 年度には、研究管理者(URA 等)の職種カテゴリーを求人票に追加。 2012 年度からは、外部関連機関との求 人情報連携を実施し、民間企業におけ る研究・開発職の求人情報提供を徐々 に増やしてきている。2015 年度からは民 間エージェントからの非公開民間企業求 人情報提供を受け入れており、国の卓 越研究員制度[5]での募集情報も掲載し ている。 図 4 は、2015 年度に JREC-IN Portal へ掲載した求人票の機関種別割合を示 している。国内ほぼ全ての大学から求人 票の掲載依頼が来ており、掲載の 70%以 上は国公私立大学からのものとなってい るが、大学共同利用機関法人、独立行 政法人、国立研究機関、省庁等から 10% 強、民間企業からは 3%程度である。 4. JREC-IN Portal における求人票登 録までの流れ 本項では求人機関による機関 ID 取得 から JREC-IN Portal への求人票登録ま での流れを紹介する。 まず、JREC-IN Portal の利用ルール について、利用規約で同意した後、機関 情報登録を求人機関の担当者自らが行 う。原則雇用する機関の担当者が、機関 情報登録するようお願いしている。 その後、JREC-IN Portal の求人機関 ID がシステムから払い出される。求人す る部署単位での ID 取得が可能なため、 多くの機関では、複数部署の担当者が ID をそれぞれ所持している。組織名称 変更が生じた場合は、原則新しく求人機 関 ID の取り直しとなる。 図4.求人票の掲載機関種別割合

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この求人機関 ID でパスワード設定後 JREC-IN Portal システムへログインすれ ば、求人票の登録や修正ができる機能 が利用できる。 求人票登録では、求人票毎に求人公 募情報 ID が付与される。求人票データ のうち、求人機関名および求人機関種 別は、ログインした求人機関 ID の機関名 と機関種別が自動的にセットされる。 登録された求人票データは、そのまま 掲載される訳ではなく、1 件 1 件 JST によ って内容の確認が行なわれる。これによ り、求人票内容の質を担保しているととも に、求人公募情報の記載内容をめぐっ ての求人機関と求職者の間のトラブルを ある程度抑止している。研究人材にふさ わしい専門性のある求人内容であるか、 設定内容や入力内容が項目間で矛盾し ていないか、職種や研究分野等の設定 が求人機関での想定と食い違いはない か、差別につながる条件や記述が無い か、具体的な条件の記載漏れが無いか 等をチェックし、問題があれば登録内容 の確認や修正を求人機関へお願いして いる。 以上の確認や調整、修正が終了した 求人票は JREC-IN Portal 上に公開され るが、場合によっては適任者が見つから ない、応募者が来ない等の理由により、 同じ求人内容で複数回にわたり求人票 が出される場合がある。またその逆で、 適任者が見つかり次第、募集を終了す る場合があるとの注記のある求人票もあ り、求人票に記載の募集終了日よりも早 期に募集を終了する場合もある。 なお、JREC-IN Portal では、公開開始 日から公開終了日までが 7 日間に満た ない求人票については、求職者の提出 書類等の準備が困難であるとし、受理し ないこととしている。 5. JREC-IN Portal の求人票データに おける分析上の制約 JREC-IN Portal の個別のデータであ る求人票データは、4 項において説明し たように、JST によって記載内容の質が ある程度担保されているが、一方でシス テム運用やサービス運用の都合から生じ る制約もある。 一つめとして挙げられることは、当初 は登録可能な機関種別を限定してサー ビス提供していたが、年を追って国の施 策や利用者からの要望により、その範囲 を拡大した点である。従って、どんな時 点で分析するかによって、収録されてい る機関種が年々変化していることに注意 が必要となる。JREC-IN Portal に登録・ 掲載可能な求人票やその主体となる求 人機関の機関種別については、登録求 人機関向け利用規約の中で規定してい る。この利用規約は、JREC-IN として 2001 年にサービス開始した時から、何度 も改定されて現在に至っている。例えば、 前項 3.でお伝えした 2007 年度での小 中高等学校教員に関する求人情報の提 供を開始する際には、小中高等学校を 登録求人機関の対象として、利用規約 に追加した経緯がある。時代の要請によ り、登録求人機関の機関種別範囲を拡 大してきているのである。 二つ目の制約は分類項目の変更であ る。JREC-IN Portal の求人票データの特 徴は、システムやサービスの運用によっ て形つくられるといっても過言ではない。 例えば、求人票の項目である「研究分 野」や「職種」や「勤務形態」の分類項目 は、過去に何度か変更している。時代と ともに新しく生じた研究分野や職種等に 該当する求人情報を、効率よく管理し、 求職者ニーズとマッチングさせるには、こ れらの分類を変更し、またその時、過去 のデータに遡って新しい分類に整理し た。 例えば、勤務形態の待遇欄に「テニュ アトラック」が出来たのは 2014 年 10 月か

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らのため、それまでは、「常勤」&「任期 有り」で処理した経緯がある。 研究分野分類の変遷を表1に、職種 分類の変遷を表2に示す。変遷内容の 詳細は、情報管理誌 2016 年 9 月号[1] での報告内容をご参照いただきたいが、 求人票で使用している研究分野分類は 大きく過去 3 回変わっており、職種分類 は特に 2007 年と 2011 年において大幅 に変更している。 こういった1つ1つの経緯の把握は、 今回 JREC-IN の前担当者である JST 根 上純子氏へのヒアリングや、過去資料探 索によって可能となった。 6. 求人票データの選別作業 以上 5.で述べたような求人票データ の特徴を把握した上で、データ分析着 手前に実施しなければならなかったデー タ選別作業についてご説明する。 一つ目は、JST外部へ求人票データ を提供するため、主に求人内容や備考 欄、件名に入っている個人情報を抜く作 業が必要となったことである。個人情報 は、求人票の記述項目のあちこちにある ため、機械的に一律削除することは困難 であった。そこで、記述項目については、 個人情報を除去したキーワードリストの 形で提供した。キーワードリストは、記述 項目の記載内容から名詞だけ抜き出し、 頻度順に並べ、上から目検で個人情報 らしき単語や地名を抜くことによって作成 した。い 二つ目は様々な理由で過去に削除さ れた求人票データを復活させたことによ り生じた問題への対応だった。JREC-IN Portal では、求人機関 ID が継続されな い時には、紐付いている求人票はすべ て自動削除されてしまう。これらはデータ 分析には必要なデータであるため、今回 削除されたデータを復活させたのである。 しかしその一方で、例えば求人票登録 時にボタンを複数回押してしまう等で求 人票を重複登録した際に削除処理する ケースや、間違えた内容での登録求人 票の削除処理があったりと、求人内容が ほぼ同じである不要なデータが、削除さ れたデータの中に複数存在していた。 今回それらを取り除くため、1)件名が 全く同じ、2)機関名が同じ、3)部局名が 同じ、4)職種・求人地域・分野が同じ、5) 求人内容の使用語彙がほとんど同じ6) 求人時期が2ヶ月以内で近接しているも のを排除した。 三つ目は前項 3.で触れた分類項目 変更の詳細を明らかにし、経年分析に 使える項目と使えない項目をはっきりさ せることだった。例えば表2の研究職Cを 例にご説明する。2007 年のシステム改 修時に、一旦アカデミックポスト以外での 求人票における職種を受け入れやすく するため、特に若手部分の職種を「研究 職 C」としてまとめたことがあった。 JREC-IN Portal では、分類項目を変更し た際は、過去分の求人票データについ ても、新しい分類に上書き修正している。 そのため、研究職 C 区分に該当する求 表1 JREC-IN Portal の分野分類の変遷 表2 JREC-IN Portal の職種分野分類の変遷

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人票については、登録した当時、どのよ うな職種であったのか、わからなくなって いた。本発表の1.の図2(職種別)、図 3 (研究分野別)で 2001 年から 2011 年ま でのデータが利用できなかったのは、上 記の理由からである。 7. まとめ 今回のプロジェクトの成果は3つの視 点から考えることができる。 まず、データ資産の活用という視点か らは、JREC-IN Portal の統計的性質が 明らかになり、今後の活用の端緒を付け ることが出来た。 次に、政策研究の視点からは、 JREC-IN Portal の統計により、研究関連 求人市場の動向が定量的に示すことが できた。 最後に、サービスの視点からは、サー ビス開始直後から現在にいたるまでの利 用動向が見える化され、それが人材政 策にフィードバックされたことにより、 JREC-IN Portal が人材政策を下支えし てきたことが示された。 さらに、サービス担当として、今回のプ ロジェクトを通じて気づいた点は以下の3 点である。 まず、分類や項目の変更などの改修 の履歴の保持の必要性である。データ 分析への職種等の分類項目の変更の影 響が大きかったことを踏まえ、今後分類 変更を実施し、過去分データを再分類 する際は、過去の分類体系や分類状況 をデータベースに記録しておく必要があ ろう。このことは、JREC-IN Portal 以外の サービスについても同様であると思われ る。 次に、履歴などの記録を整理された状 態で持つことの重要性である。データベ ースシステムは、運用し続ける限り、時代 や利用者の要請に応えるため、より利便 性を向上し、処理の効率をあげるための 機能拡張を実施する。また、それに付随 して、サービス運用規準や規約等の見 直しも同時に実施している。担当者は人 事異動等で代わるため、システムやサー ビスでの運用変更の時期や内容につい ては、記録として一元化しておくことも大 事である。 最後に、分析対象となりうることを想定 した項目設計の可能性である。JREC-IN Portal に関しては、求人機関の利便性向 上を考慮しつつも、より求職者のニーズ と求人票とをマッチさせるために、求人 票データ項目の改善を図るとすれば、利 用者にとって有用なデータ分析結果も 得られるだろう。現時点では記述項目内 に一元化している「募集人数」や「求人 機関における募集時の職位名」、「給与 (額のめやす)」等については、今後項 目出しすることが望ましいと思われる。 8. 参考文献 [1] 川島浩誉, 山下泰弘, 川井千香 子. 大学における研究関連求人の推移. 情報管理 2016, vol.59 no.6, p. 384-392. [2] 山下泰弘, 川島浩誉, 川井千香 子. JREC-IN Portal 掲載の求人票に基 づく研究関連求人の分析 NISTEP-JST 共同プロジェクト. STI Horizon 2016, vol.2 no.3, p.60-63. [3] 根橋順子, 佐藤弘行, 前田義幸. JRECIN(研究者人材データベース)につ いて:キャリアパスの確立における求人求 職情報システムの重要性. 情報科学技 術研究集会予稿集. 2001, 38, p. 89-96. [4] 平成 27 年度版科学技術白書 第 1 部 第 2 章 科学技術基本計画の変 遷と実績 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho /html/hpaa201501/detail/1359576.htm [5] 卓越研究員事業 http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/ta kuetsu/

参照

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