特集
ビジネス分野におけるAlシステムの構築と実用化
∪.D.C.〔る81.32.0る:159.95〕
:〔d58.514.012.7.011.54:る21.315.占2〕
自動負荷積による納期回答エキスパートシステム
一日本ガイシ株式会社-DeliverY Plannlng ExpertSystem UsingAutomaticFunctionofLoading Burdens
-NGK
hsulators,Ltd.-日本ガイシ株式会社では,ガイシ事業部や知多工場で,生産管理システムの
構築を行っている。そのサブシステムとして,納期回答を行うための負荷積シ
ステムがある。この業務は限られた熟練担当者によるノウハウに頼る面が多く,
従来その自動化は困難とされてきた。
今回,知識処理技術を適用し,日立製作所のエンジニアリングワークステー
ション2050/32上のエキスパートシステム構築ツールES/KERNEL/W(Expert
System/KERNEL/Workstation)で,自動負荷積による納期回答ESを構築した。
本サブシステムは1990年5月から並行本番稼動に入っており,最適な負荷積
ノウハウをだれもが誤りなく利用することができ,担当者による結果のばらつ
きをなくすことができた。また,設備改造や人員割当の変更などによる資源変
更が迅速に対応でき,納期回答に威力を発揮している。
n
緒
言
近年わが国の生産現場は円高好況を背景に,自動化率の向上,労働時間の短縮など新3K(きれい・気楽・休暇が多い)職
場へと,目まぐるしく変化しつつある。また消費者ニーズと
して,高品質・短納期の要求が高まっている。これらに対応 するため,効率よく計画を立てるスケジューリング業務の必 要性が大きくクローズアップされてきた。 最初スケジューリング業務は,オペレーションズリサーチ の手法を用いてシステム化が試みられたが,(1)設備の状態,勤務形態など複雑な制約の定義
(2)生産効率,在庫管理費用,作業の平準化などの総合評価
(3)特急品などの割込処理 などが定義できず,仮定が多くなり限られた範囲でだけ利用 されている。 ところで,ここ数年,スケジューリング業務の自動化がES (ExpertSystem)を用い,実用システムの開発が試みられて いる。これは,専門家が経験によって獲得した知識を抽出し,矛盾なく知識ベースが維持されている限りきわめて有効な手
段である。この知識ベースを維持していく方法として,ES/
KERNEL/W(ES/KERNEL/Workstation)を選定した。
林
英之*高味
隆**
安藤守隆**
尾鍋佳昭***
足立誠治****
fJどdり′〟々才物〟5/∼∼ Tb々β5ん才 7七々〟沖Z∼ ルタuγ才ム2々〝A刀d斤 y〔ノ∫鬼才αゐ才(ブ〝♂∂β 5ビガ7月(九(・如 この自動負荷積による納期回答ESの特徴は,ホストコンピ ュータHITACM-630/30(以下,630/30と略す。)の受注デー
タ,資源データをエンジニアリングワークステーション2050/
32上に取り込み,希望納期も製造期間が最短となる工程週を
設定し,最適解をホストコンピュータヘ送るシステムAIとし て開発した。また,負荷積方法として工程間(組立・研磨・焼成・成形)
のバックトラック制御を実現した計画形ESである。8
システムAl 生産管理システムの生産計画を作成する手段として,少品 種多量生産がいしの生産計画は従来の手法で対応できた。し かし,今回は多品種少量生産がいしであり,顧客から受注す るがいしが約3万品番にも達し,従来の手法では負荷積処理 が困難なため,ESを採用した。 この生産管理システムは,受注から生産手配および出荷を管理する計画系,工場での日常の生産実績の把握と品質を管
理する実績系および各種基準情報を管理する基準系の三つの
系列で構成されている。今回開発したESは,計画系の1サブ * 日本ガイシ株式会社電力事業本部企画部 ** 日本ガイシ株式会社ガイシ事業部管理部 *** 日本ガイシ株式会社生産技術本部生産技術部 **** 日立中部ソフトウェア株式会社企画室システムとして位置づけられる。そこで,ホストコンピュー タの負荷,処理速度を考えエンジニアリングワークステーシ ョンで開発することとした。
本システムは,ホストコンピュータとしてM630/30を使用
し,RDB(RelationalDataBase)ですべてのデータを管理し
ている。また,エンジニアリングワークステーション2050/32によってES構築ツールES/KERNEL/Wで,生産計画を実行
することにした。そして,ホストコンピュータM630/30とエ
ンジニアリングワークステーション2050/32のデータ授受は,
ファイル転送で行うことにした。このような方法で,従来の情報システムとESの統合(システ
ムAI)を実現させることにした。
B
システム概要
3.1がいしの製造工程本システムが対象とするがいしの品種は,中実・がい管で
ある。このがいし製造工程の概要を匡‖示す。また,品種別・ 製法別製品構成を図2に示す。 本製造工程は,成形・焼成・研磨・組立の4工程に大別される。成形工程は,土を円筒形に成形し,NC(数値制御)機を
使い製品の形状に加工し,製品の強度を上げるためのうわ薬をかける。焼成コニ程は,窯(かま)で成品(成形工程を終了した
仕掛品)を焼成し磁器(焼成工程を終了した中間製品)にする。
研磨工程は,製品の寸法精度を得るための製品の上下を切断 し研磨する。組立工程は,製品の上下に金具を取り付ける。 製法は,中芙が一体製品と複合製品の2区分,がい管が一体製品・粕(ちゅう)継製品・G継製品・G粕継製品の4区分が
ある。中実の複合製品とは,一体製品を幾つか集めた製品で ある。がい管の相継製品とほ,成形工程終了後の成品を集め, 積み重ね焼成する製品である。G継製品とは,一度焼成した磁 器を集め,積み重ねてもう一度焼成する製品である。G粕継製 品とは,成形工程終了後の成品を集め,積み重ね焼成する磁 器と,1偶の成品を焼成した磁器を集め,積み重ねてもう一 度焼成する製品である。 3.2 知識ベース 本ESの主な知識には,ロット分割知識・コード変換・生産 期聞知識・生産歩留り知識・設備選択知識・負荷積知識・カ レンダー対応知識・金具対応知識がある。 (1)ロット分割知識生産設備の能力限界から,節(週)で生産できる限界が生じ
る。そのため,注文数量全部を一度に生産することができな いことがあるので,注文数呈をロット分割する処理を行う。 (2)コード変換 ルール記述が簡単に行えるように,負荷積処理を行う前に,各制約コードを数値から日本語に変換しておく。また負荷積
処理を行った後に,各制約コードを日本語から数値に変換す
る。 (3)生産期聞知識各工程の生産期間を製品特性から求める。
(4)生産歩留り知識各工程の歩留りから,各工程の生産数量を決定する。
(5)設備選択知識 生産効率のよい設備の優先順位を,製品特性から決定する。 (6)負荷積知識く蚕二直〕
⑪
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図l がいしの製造工程 がいし製造工程は,成形・焼成・研磨・組立の4工程に大別される。自動負荷積による納期回答エキスパートシステム 1181 中実 一体製品 複合製品 成形一炊成一研磨一組立 成形一炊成一研磨一組立 成形一焼成一所磨一組立 がい管 一体製品 粕(ちゅう)継 製品 G継製品 G相継製品 成形一炊成一研磨一組立 成形書 成形* 焼成一研磨一組立 成形*一炊成一研磨 成形*一焼成一研磨 成形* 成形* 焼成*一所磨 成形*一炊成一研磨 成形*一炊成一研磨 成形* 成形書 焼成*一研磨 焼成一研磨一組立 焼成一研磨一組立 注:*(成形-ピース成形) (焼成-ピース焼成) (研磨一ピース研磨) 図2 品種別・製法別製品構成図 各製品は品種別に流れる工程 が違い,製法によって分類したものである。 負荷積とは,該当する資源の該当する節(週)で生産可能か,
資源の基準と負荷から余力を算出し,生産すべき負荷が余力
内で生産できるならば,現在の資源の負荷に生産すべき負荷を加えることを言う(図3)。
なお,負荷積は各工程の先頭節にだけ行う。例えば,組立
工程が工程順に組立A・組立B・組立C・組立D・組立E・組立Fから構成されるならば,すべての負荷積は組立工程先頭の
組立Aで生産を行う節に負荷模する。 (a)負荷積順序 余 力 負 荷 生産すべき 負荷 余 力 負 荷 図3 負荷積 工程単位ごとの設備能力による,負荷バランスを算出 する。負荷の順序は,希望出荷日を基準に製品特性と設備能力
(資源)を工程単位ごとに,後工程から順番(組立一研磨一焼成一
成形)に行う。
(品種別,工程別の負荷積を先の図2に示す。)
(b)負荷積単位負荷積の区切り単位は,節(1週間)であり,負荷積範囲
は,27節(約半年)である。
(c)クリア処理 負荷積を試みて基準よりも負荷が大きくなったならば, クリアして次の負荷積工程節を捜す。 (d)納期変更処理希望納期内にすべての工程が負荷積できなければ,希望
納期を1週間遅延させ負荷積を試み,負荷積が行えるまで 繰り返す。 (e)負荷積工程節設定処理 負荷積工程節は各工程の生産期間を確保し,できる限り 工程と工程の期間を短くする。 これを実現するフローチャートを図4に示す。 (7)カレンダー対応知識 製造現場の休み節(週)の処理を考えてみると,例えば組立 が実工数3週間かかる場合,始まりが1990年4節ならば終わ りは1990年6節である。しかし,始まりが1990年5節ならば, 終わりは1990年7節でなく1990年8節である。この計算を行 うために,休みの節を除いた連番を用いた(図5)。 また,年度をまたがった計算を行うにも連番がいる。これ は,1年度が53節・年度と54節・年度のことおりあるためで ある。 (8)金具対占㌫知識 金具は外注しており,生産期間が各金具ごとに決まってい る。この金具が組立工程に必要となるため,金具生作基準日数を考慮し負荷積コニ程節を決定する。
3.3 ホストとのファイル転送 今回採用したハード・ソフト構成の概略を図6に示す。ホストRDBで管理する主なものは,受注データ・資源データ(お
のおのの装置に対して,節ごとに能力・負荷・余力を入れ
てある。)である。これをホストのプログラムであるACE3
(AvailableCommandLanguageforEndusers3)を利用し
良 不 定 几又 三■R 節 組立クリア 定 几又 壬-R 軟即 組立クリア 良 不 不 良 不良 最初の品番 終 最初のロット 終 最初のロット 変更不可 変更不可 納 期 変 更 納期遅延 組立t研磨クリア 研磨工程 研磨クリア 組立・研磨・焼成クリア 組立・研磨・焼成・成形クリア 定 ル又 ニ【】8 節 焼成工程 焼成クリア 定 几又 三〓【■ 也即 納期遅延 成形工程 成形クリア 納期の合っていない品番1個抽出 (a)中実(一体製と複合晶) 汝ハのロット あn′ なし あn′ 汝ハのロット 良 不 定 ル又 ■ニーR 節 納 期 変 更 組立クリア 定 几又 二三R 仙即 組立クリア 納期遅延 組立・研磨クリア 研磨クリア 組立・研磨・焼成クリア 定 ル又 郎 良 不 納期遅延 焼成クリア 良 不 定 几文 王一口 仙即 成形クリア 良 不 (b)がい管(一体製) 図4 品種別,製法別フローチャート 品種別,製法別に各工程の節(l週間)設定の流れを示す。 連番 8 9 年度 1989 1990 1990 1990 1990 19gO 1990 1990 1990 1990 節 53 組立始め 組立終わり 組立始め 組立終わり 図5 カレンダー対応 年度またがり節や休み節に対応したカレン ダー知識である。 納期合わせ +艮 汝ハの子品番 なし 終
エンジニアリングワークステーション上のOFIS/POL-EV
(Office
Automation andIntelligence SupportSoftware/
ProblemOrientedLanguage-ExcellentView)へと伝送し,
ハードディスクに格納する。エンジニアリングワークステーション上のES構築ツールであるES/KERNEL/Wは,この送
られてきたOFIS/POL-EVを入力ファイルとして推論時に取
r)込み,フレームに展開する。結果はこの逆で,推論結果の入ったフレームをOFIS/POL-EVとしてハードディスクに格
納する。これを先のACE3を利用しホストのRDBへ伝送する。 以上の操作により,AI処理部をホストから完全に切り離し, エンジニアリングワークステーションで分散処理が実現した。 ホストとワークステーションとのやり取りを図7に示す。自動負荷積による納期回答エキスパートシステム 1183 ホスト(M-630) OS RDB 受注データ V O S K 資源データ 結果データ A C E 3 EWS(2050/32) OFIS/PO+-EV 受注データ 資源データ 結果データ ES/KERNE+/W
臼
レ 一 レ レ 一 レ タ メ OS H-1∪×/W 注:略語説明RDB(Re】ationa=〕ataBase),VOS K(∨什tUa卜StOrageOperatlng System K】ndness)
EWS(EngineerlngWorkstatio[),ACE3(AvalLableCommandlanguage for Endusers3)
OFIS/POL-EV(0†f・CeAutomat・0nandlrltell■genCeS岬PO「lSoftware/PLoblemOr旧nteワLanguage-Excellerl川川) ES/KERNE+/W(Expert System/K巨RNEL/Workstation),HトリX/W(H】taCh川NlXヰ・■Workstat=〕[) 図6 システムの概要 ホストデータと2050/32EWSデータとのやり取りは,ACE3とOF】S/POL-E〉を利用している。 ホスト M630 入力ファイル RDB 出力ファイル RDB ノr■■、、 出力ファイル POL E小ノS2050 入力ファイル PO+ 入力ファイル POL 力 入 + O P 論 推 ・刀 出 L O P ES/KERNE+/W オンライン画面 A C E3でファ イル伝送 (コマンド入力) EWSだけで持つ ファイル 図7 運用イメージ ホストデータとワークステーション2050上のデータのやり取りを行い.Al処理部はホストと切り 離しシステムA】を実現した。
木方式ではOFIS/POL-EVの制約上,資源データなど999⊥行
を超えるファイルは,複数のPOLファイルに分離する必要が ある。今回は,資源データを組立・研磨・焼成・成形の工程 別に分離して送ることによって解決した。 ※)UNIX:米国AT&T社ベル研究所が開発したソフトウエアであ り,AT&T社がライセンスしている。田
評
価
4.1解の評価 本システムの稼動により,従来熟練担当者が1件当たリ15 分かかっていた業務が,現在では約1分以内で行うことがで きるようになった。 また,負荷積結果も熟練担当者を越え誤r)がないという評価を得た。これは,熟練担当者によるスケジューリング方法 が,特に重要と思われる管理項目について,負荷台帳に請番・品番・ 数量を記入することとしていたものを,今回は,管理すべき 項目すべてを負荷マトリックスで各工程ごとに管理すること としたからである。 4.2 メンテナンス性の評価 ホストコンピュータから,資源の基準・負荷・余力をデー タ伝送することにより,資源の基準・負荷・余力の更新は, ホストコンピュータで一元管理できた。