Title
胸部X線写真と乳房X線写真のためのコンピュータ支援診断
システムに関する研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
原, 武史
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(工学) 乙第022号
Issue Date
2000-09-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/1694
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名 (本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番 号 学位授与年月 日 専 攻 学位論 文題 目 原 武 史(愛知県) 博 士(工学) 乙第 22 号 平成12年 9 月13日 電子情報システム工学専攻 胸部Ⅹ線写真と乳房Ⅹ線写真のためのコンピュータ支援診断システムに関する研究
(Studies on computer-aided diagnosis systems for chest
radiographs andふannograns) 学位論文審査委員 (主査) 教 授 藤 田 廣 志 (副査) 教 授 山 本 和 彦 教 授 田 中 嘉 津 夫
論文内容の要旨
医療にⅩ線を用い診断を行う試みは,レントゲンが1885年にⅩ線を発見した直後から 行われている.そして,Ⅹ線を用いて得られる画像は,現在の医療において正確な診断 を行うためには欠くことのできない存在である.医療用のⅩ線画像の撮影法の進歩は,Ⅹ線発見からしばらくは増感紙とフィノ「ムの進歩が中心であった・しかし,近年の医療
用Ⅹ線画像の進歩は,それら増感紙やフイルムの進歩のみならず,ディジタル技術とと もに進んでいるといってよい.ディジタル技術を初めて積極的に用いたⅩ線装置は, 1971年にHounsneldが試作したⅩ線CT装置である.その後,輝尽性物質とその読み取り 装置を組み合わせたコンビューテッドラジオグラフイ,Ⅹ線の腰射も;より荷電粒子が移動する誘導体と薄膜トランジスタを組み合わせたⅩ線平面検出器の開発が行われ,医療
用Ⅹ線画像のディジタル化が本格的に進みつつある. このよう・に,画像がディジタルデータとして蓄積できることは,コンピュータを用い こ処理するのにたいへん好都合である.しかも,画像認識や人工知能といった工学的な 分野の知見や技術を医学の分野へ応用することが容易に可能となる. さらに,医学の分野からも,画像の定量評価やデータベース化などへの期待も高まっ てきている.医用画像の診断にコンピュータの解析結果などを用いることによって,医 師の診断効率の向上や診断の質の向上が期待されるからである.-近年は,集団検診など によって大量に医師が診断すべき画像が発生することがあり,また,医師は短時間に効 率よくその画像診断を行うことが要求される.したがって,画像上にある病変部の位置をコンピュータが医師に提示するコンピュータ支援診断システム(Computer-aided
DiagnosisSystem:CAD)への期待は大きい.コンピュータは医師にいくつかの候補を提示
すろため,医師は独自の判断基準に加えコンピュータからの情報も用いながら,効率よ
く効果的な診断を行うことができるためである.本論文では,工学的な画像処理手法を,胸部太線写真や乳房Ⅹ線写真といった一般的
な医用画像の処理に適用したコンピュータ支援診断システムに関する手法をいくつか提 案している.そこで,本論文を8章に分け,第1章では研究の背景と目的を述べた後に,-96-提案手法について記述している.
第2章では,CADシステムの周辺技術について述べている.ここでは,画像の前処
理方法としてマンモグラムCADシステムにおける乳房領域の抽出方法について述べ,
738枚の画像を使った評価結果について記述している.また,画像の表示手法として,ダ
イナミックレンジ圧縮を用いた処理手法について述べている.
第3章では,胸部Ⅹ線写真における結節状陰影の自動検出法の開発について述べてい
る.ここでは,遺伝的アルゴリズム,、人工ニューラルネットワークなどの技術を利用した画像認識を行い,また,特徴抽出による候補の分類によって柄変部の自動検出を行う
手法について記述している.そして,それらシステ皐を連結し,グラフィカルユーザイ
ンターフェースを持たせた総合的な胸部Ⅹ線画像のCADシステムの試作を行った結果
についてまとめている.第4章では,マンモグラムCADシステムにおける微小石鱒イヒ陰影の検出法と良悪性
鑑別法の開発について述べている.微小石灰化像の検出については,サンプリング間隔
が50〝mの画像について処理を行う新しいフィルタについて述べ,また,従来の微小石灰化像検出システムにおいて検出された微小石灰化の良悪性を鑑別する手法についても
述べてい.る.この手法は単純な特徴抽出と臨床的な微小石灰化の分類法を特徴量として, 人工ニューラルネットワークを利用■して鑑別を行うものであり,その分類性能について まとめていろ.第5章では,マンモグラムCADシステムにおける腹痛陰影の偽陽性候補削除とその
良悪性鑑別法について述べている.ここでは,その手法としてプレビットフィルタを利
用した手法を提案している..さらに,自動検出された腫癌陰影の良悪性を鑑別する手法
についても記述している.ここでは,腫嗜陰影の表面モデルから複数のフラクタル次元 や画像特徴量を抽出し,その値を人工ニューラルネットワークで分類する手法を提案し ている. 第6章では,CADシステムの実用化に向けた技術として,ワークステーションを用 いたCADシステムを試作した結果を土っいて述べている.そして,国内外の施設や公開 データベースを利用してCADシステムの性能評価を行った結果について述べている. 第7章では,第6章で述べたシステムをさらに発展した形であるネットワーク型CA Dシステムを試作した結果につし、て記述している.ここでは,乳房Ⅹ線画像における微 小石灰化像の自動検出をネットワーク上に存在するサーバで実行し,その検出結果をW WWページ上で閲覧できるシステムを試作しその実験結果について記述している.第8章で本論文の結論を述べており,
各種手法の有効性および実用化などの見通しな
どについてまとめている.論文審査結果の要旨
本論文は,胸部Ⅹ線写真と乳房Ⅹ線写真のためのコンピュータ支援診断システムの開 発に関する研究成果をまとめたものである.ここではいくつかの画像前処理手法と,がん病巣の自動検出手法にらいて検討を行っている.そしてそれらを統合したシステムの
試作を行い,システムの性能評価を行ってし†る.本論文の成果とその評価は以下のとおりである. (l)コンピュータ支援診断システムの周辺技術について,前処理的な画像処理技術に
ついて示している.ここでは,まず,乳房Ⅹ線写真のためのCADシステムにおけ
る乳房領域の抽出方法を提案し,700枚以上の画像を使った実験を行っている.ここでは,処理領域を限定するために正確な領域抽出が求められるが,その要求を満た
す十分な精度をもつ手法を構築していており,前処理法としての有効性が確認できている.また,・画像の表示手壊としてダイナミックレンジ圧縮を用いた処理手法を
提案している.ここでは,一般的な手法であるダイナミックレンジ圧縮処理を,デ ィジタル化した乳房Ⅹ線写真の表示法について適用しており,明暗の幅め広い画像 についてもCRT上で確認しやすい画像に変換できることを示している. (2)胸部Ⅹ線写真における結節状陰影の自動検出法を開発している.ここでは,遺伝的アルゴリズム,人工ニューラルネットワークの技術を利用した画像認誠を行う手
法を提案している,遺伝的アルゴリズムを用いた画像認識手法では,画像認識を5 次元の特徴量空間における最大値探索問題としてとらえ,その最適値探索部分に遺 伝的アルゴリズムを適用したところに特徴がある.また,ニューラルネットワーク による認識も,異常陰影や特定の部位の陰影を学習させることによって画像の分類が可能であることを示しており,良好な検出処理が行えることを示している.
特徴抽出による候補の分類によって病変部の自動検出を行う手法も提案している.
ここでは,一般的な画像特徴量の他にも検出処理と同様にニューラルネットワーク
を用いた手法を提案しており,提案した自動検出処理の後に用いることにより,自 動検出された候補の誤り候補数を大幅に減らすことができている. そして,それらシステムを連結し,グラフィカルユーザインターフェースをもっ た総合的な胸部Ⅹ線画像のコンピュータ支援診断システムの試作も行っている.こ こでは,病院などの現場でも用いることのできるシステムを構築しており,提案し た手法の有効性のみならず,実用的な利用も可能であることを示している.(3)乳房Ⅹ線写真のためのコンピュータ支援診断システムにおける微小石灰化陰影の
検出法と良悪性鑑別法の開発を祈って串り,微小石灰化像の検出については,サン
プリング間隔が50〃mの画像について処理を行う■新しいフィルタを開発している.ここでは,高解像度なディジタル画像を用いると非常に微細な病変部も検出できる
ことを示しており,将来の自動検出システムにおいて,高解像度なⅩ線写真が得られれば,検出能が向上する可能性を示している.また,従来の微小石灰化像検出シ
ステムにおいて検出された微小石灰化の良悪性を鑑別する手法も開発している.こ こでは,基本的な画像特徴と臨床的な微小石灰化の分類法を特徴量として,人工ニ ューラルネットワークを利用して鑑別を行う手法を提案している.そして,100枚以 上の鑑別診断済みの画像について分類実験を行っており,80%以上の正答率を得て おり,有効性が確認されている. (4)乳房Ⅹ線写真のためのコンピュータ支授診断システムにおける腫癌陰影の偽陽性 候補削除とその良悪性鑑別法の開発を行っている.まず,コンピュータが正常部を 誤って異常部位と指摘する個数をできるだけ減少させるため,プレビットフィルタ を利用した手法を提案している.さらに,自動検出された腫癌陰影の良悪性を鑑別 する手法についても提案している.この手法によって大幅に誤検出候補数を減らす ことができており,システムの検出性能を向上するこ,とができている.次に,自動-98-検出された腫癌陰影の良悪性鑑別法を提案している.ここでは,腫嗜陰影の表面モ デルから複数のフラクタル次元や画像特徴量を抽出し,その値を人工ニューラルネ ットワークで分類する手法を開発している.20例以上の鑑別診断済みの症例を用い