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証券投資技法の基礎と概要(3) —ポートフォリオ分析と株式投資分析の基礎(その2)—

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証券投資技法の基礎と概要 (3)

一一ーポートフォリオ分析と株式投資分析の基礎(そのわ一一

石井吉文

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CAPM と APT 前回は株式投資理論の基礎として CAPM

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Mode) を取り上げた.それは,いわゆ る株式の各銘柄のもつリスクを市場全体のもつリスクで 表わされるものと,それでは表わすことのできない個々 銘柄が独自にもつ個別リスクによって線形的に描写する ものであった. Pt-r= ん (Pm-r)+ αi+ei Pt: 株式銘柄 z の収益率 Pm: マーケットの収益率 r 無リスク利子率 ん:銘柄 t のベータ値 的:銘柄 i のアルファー値 匂:銘柄 i の価格変動誤差項 米国では, 1970年代になると,株式投資におけるリス ク尺度として,それまで一般的であった収益率の分散に 代わって,このベータ値とその他誤差項で表わすこの理 論がとって代わるようになり,いわゆる「ベータ革命」 として多くの投資分析家の聞で取り上げられるようにな った.しかしながらその後,ほぼ時を同じくして,この 理論に対する疑問も提起されるようになった.それは主 に,多くの実証分析の結果,株式価格の変動を単にベー タだけで表わすことが困難であるといった結論が導き出 されたためである.また日本の株価市場を対象とした分 析においても,米国株式市場同様, CAPMの信頼性を 否定する結果が多くなされてきた. (注) CAPM に対する問題提起としてはまず米国

で Fama-Macbeth(1973)

,

Bl

ack

,

Jensen-Scholes 等

が,また日本の株式市場においては丸・蝋山( 1974) ,紺 谷( 1978) ,青山(1 979) ,榊原( 1983) 等がある. このように, CAPMの信頼性につ L 、ては実証分析か らは良い裏つけが得られず,むしろその問題点が多く指 いしい よしふみ制ニッセイ基礎研究所 干 100 千代田区有楽町 1-1-1 日比谷ビル

5

2

4

摘されるのみになっているのが現状である. そこで, CAPMが実証分析の立場からむしろ棄却さ れることとなったことにより,株価変動をより実証的に 説明することができる新たなモデルが考えられるように なった. i) その l つは CAPMに新たにマクロ変数を組み込 んだものである. れ -r=ai+ ん (Pm

-r) +b

i1

0

1 +bWj2" ・+向

P

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:株式銘柄 z の収益率 r: 無リスク利子率 ん:銘柄 i のベータ値 ai: 銘柄 i のアルファー値 bij: 銘柄 i の価格変動率の共通因子 j の変動率に対 する感応度 (btj=cov( 豹, Oj)/var(Oj)) Oj: 共通因子 j の変動率(確率変数) 町:銘柄 i の価格変動誤差項 このアプローチは, CAPM におけるベータの説明力 を有効なものとして認識しつつ,むしろ CAPM で問題 点となっている実証分析における説明力不足を補おうと するものである.当然のことながら,このモデルによっ て実証面での適応性は増すものとなった.しかしながら このモデルにおいても,市場の期待収益率の計測等の面 で難点、があるといった, CAPMが本来的にかかえる問 題点、がなんら解決されるものではなかった. ii) ところで,もう 1 つのアプローチは,市場収益率 とは無関係に,複数の変数(因子)によって銘柄ごとの 収主主率を記述しようとするものである. Pi=ai+bitðt+bi202+bi3ð3 ・ "+εt

P

i

:株式銘柄 z の収益率 的:定数項 bij : 銘柄 z の価格変動率の共通因子 j の変動率に対 する感応度 内:共通因子 j の変動率(確率変数) 向:銘柄 i の価格変動誤差項

(2)

このアプローチは. CAPM に比較して実 証面での信頼性をもつものであり.

CAPM

における問題点は存在しない.そこで,最近 多くの分析家によってこの方法を用いた株式 収益率モデルの研究がなされるようになっ た.このアプローチが APT

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Theory) の基礎となるものであ る.

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なお,ここであらためて APT の概要を説 明しておくこととしたい.

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1

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77 クターモデル

(株式)

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図 1 株式の種々の銘柄の価格変動をみると,それらはまっ ai

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ai: 定数項 (因子) b1 {'2

レ4\

b3 b

,

i 因子モデル たく独立なものではなく,そこになんらかの,株価変動 E

F

: 共通因子の平均変動率 を引き起こす共通した要素が含まれている.たとえばイ b

i

: 銘柄 i の価梼変動率の共通因子の変動率に対する ンブレ期待に対して,個々銘柄がそれぞれなんらかの影 感応度 響を受けるような場合,そのインフレ期待は個々銘柄の 0: 共通因子の変動率(確率変数) 株価変動の共通因子とみなされる.なおその共通因子か じ誤差項 ら受ける影響度は銘柄によってさまざまであろう. これらを視覚的に示すと図 1 のように表わされる. • 1 因子(ファクター)モデル なお,図の左側に並んだ 4 つの分布は 4 つの株式の その共通因子(確率変数)として l つだけを取り上げ 収益率分布を表わしたものである.また右側に表わした たものが 1 因子(シングルプアクター)モデルである. ものは 4 つの株式それぞれに共通する因子の変動率分布 なお,その因子として市場全体の変動を取り上げたもの である.この図では共通因子の確率変動に対して,各株 が CAPMであった.一般に 1 因子モデルは次のように 式がそれぞれ係数 b"

b

2 • b.. んに比例した変動をする 記述される. ことを表わしている. れ=向 +b

t (o-EF)

+6

・多因子(ファ クター)モデル =at+ ん δ+6 各銘柄における共通因子を市場全体の変動(変数)で Pi: 株式銘柄 i の収益率 はなく,経済諸要素の変動(変数)で表わされるような (株式)

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1988 年 10 月号 (因子) 図 2 2 因子モデル

何\

P12

(イ\

共通因子でみるならば,その因子は 単に l つだけでなく複数のものが考 えられる.よって以上の議論を数式 で表わすと銘柄 i の収益率《は Pt= αt+btlðl+ ・・ +btKOK +εi' ..女 (i

=1

,

2

,

3

,… ,

n) となる. 上式中 , aiは証券 i の期待収益率 である .oKI土株式各銘柄の k 番目の 共通因子(確率変数)であり,その 期待値はゼロである.さらに bikは h番目の共通因子九の変動に対する 銘柄z の価格感応度 (bik=COV( 亨t , (37)

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2

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© 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

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ゐ )/var( ゐ))を表わす.最後の εもは共通変動要素に無 関係な株式 i に固有の価格変動誤差項を表わす. 以上を視覚的に示すと,たとえば図 2 のように表わさ れる. なお,ここで表わした図は,共通因子を 2 っとおいて, 先の 1 因子モデルの場合と同様に,各銘柄の収益分布と それらの共通因子の変動分布との関係を視覚的に示した ものである. APT は株価の変動を以上の多因子モデルで、表わすも のであり,また, CAPM で用いられるような市場全体 の価格変動は考慮しない(市場全体の価格変動も個々の 銘柄と同様に,これら複数の共通因子によって表現され るべきものであると L 、う立場である).なお,ここで記述 される複数の変動因子(確率変数)は,市場にある各銘 柄に共通するものであり,またそれぞれの変動は互いに 独立であることを要する.なぜなら,たとえば選択され た 2 つの変動因子の聞になんらかの相関があるならば, 一方は他方の因子によって説明がなされるわけであるか ら,株式の価格変動を説明するにさいし,そのどちらか 一方の変数は必要としなし、からである. つまり,因子ぬとむにおいてそれらが独立でなけれ ば,一方の因子 Oj は Oj=aOi 十 boo

a

,

b: 定数 00: E (0け (0)=0 となる変動因子.というように,他 方の因子んとそれと直角の座標軸をもっ因子ゐによっ て表わされるからである. また,もしここで先の穴式の誤差項 Stを無視て-きるの であれば,穴式より,株式銘柄 i の価格変動は,無リス クの期待収益率と k 個のリスクのベクトルム , 02

,

03

,

…,むとの k

+

1 個の項に数値を代入することによって 決定されることとなる. 以上, APT の概要を簡単に説明したわけで、あるが, この APT によって株価変動を説明する理論モデんを実 際に構築する場合,まず,その説明変動因子の数,およ びそれらが互いに独立であるかどうかの検証を必要とす る.一般には株式の変動因子としてはその数は実証的に, 4 から 7 個とされているわけであるが,それらは分析の 内容(銘柄サンプリング,あるいは計測期間等)によっ て異なる.しかし,それらは APT が実証分析によって なされるものであることからするなら,むしろ当然のこ ととされよう.また,このことは, APT においても未 だ完全に各株式の価格変動を記述できるものではないこ

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2

6

とを示すものである.

(

2

)

A P

T とその仮定条件 以上は,個別銘柄についての議論をしてきたわけであ るが,ここでそれらを組み合せて構成されるポートフォ リオの収益率について考えていきたい.なお銘柄 i の投 資金額を的とするポートフォリオの収益率POはXo ・ Po= .L; Xt ・ Pi

=

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ヤi =xo ・ ao+(xo ・ bt) ム+… +(xo ・ bk)Ok+XO ・ ε

xo: ポートプォリオの投資金額 Xi: 株式銘柄 i の投資金額 (Xo=

.

L

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X;) PO :ポートフォリオの収益率 ぁ:株式銘柄 i の収益率 ao

,

ai: 定数項 bíj : 銘柄 i の価格変動率の共通因子 j の変動率に 対する感応度 (bij=cov( 仇, Oj)/var(Oj)) bj : ポートフォリオの変動率の共通因子 j の変動 率に対する感応度 Oj: 共通因子 j の変動率 向:銘柄 z の価格変動誤差項 なお,ここで議論の単純化のため,各銘柄の誤差項 Si の分数が等しく σ2で表わされ,また各銘柄の投資額も等 しい (Xi=xO/n) とするなら, このポートフォリオの 誤差項の分散は

Var (XO ・ ε)=Var (.L; Xt 向 )=Var (XO/n ・ .L; S;) =x02/n ・ Var(St) =X02 ・ σ2/n

と表わされ,銘柄数が多いほどこの値はゼロに近づく. よってポートフォリオの収益率は

Xo ・ Po=(Xo ・ ao)+ (xO ・ bt) O t+… +(xo ・ bkl Ok となる. さらにここでポートフォリオの収益の期待値を求める ならば , E( ゐ)=0 (i=1

,

2

,

3 , ・)であるから, E(xo・Po)=xo'ao と表わされる. 次に,ポートフォリオの投資金額の合計が .L; Xt=Xo=

o

(もともと投資資金がなく,すべて借入れと空売りに よっているとする)である場合を考えてみよう. ここでもし , Xo ・ Po> 0 であるとするなら,資金をも たずに収益をあげることができるということであるか ら,どの投資家もこの組合せによるポートフォリオ(空 売りを含む)を考えるであろう.しかしながら市場全体

(4)

で見た場合,買い手が存在するためには売り手の存在が 必要である.市場参加者のすべてが買い手あるいは売り 手の一方に偏るような場合,市場は明らかに機能しない. そのため,こういったポートフォリオを組もうとする投 資家の収益はゼロに収束しよう. このように APT は,市場が均衡状態にあるときの収 益率とリスクの関係(各銘柄,および,ポートフォリオ の収益率は確率変数(因子)の 1 次式で表わされる)を 表わすものであることを断っておかなければならない. つまり APT は,証券の収益率がファクターモデルに従 うときの市場均衡を表わすモデんである. APT は収益 率がファクターモデルにしたがって生じることに加え て,かつファクターに対する感応度が証券ごとに充分異 なるものであることを仮定ずるものである. (3) 実証分析の方法 APT のファクターモデルは実証分析のうえで成り立 つものであることはすでに述べたわけであるが,それは ロールーロス以降おおむね以下のプロセスにしたがって 作成されている. i) 株式投資収益率測定を 30 グループずつに分けて行 なう. ii) 最尤推定法にもとづく株式収益率の分散・共分散 行列の因子分解 iii)X2検定による最良因子数の決定 (注) 因子分析の基本方程式 ファクターモデル pt=at+btlo,+ ・・・ +btk

Ok+Si

(i=I , 2 , 3,"', n) を

P-A=Bo+s

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2 2 1 2 LU 足。 1 1 1 2 'o ,。 Ill--till--It--、、 一一

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L

:

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)

(B s

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B')+E (so'B')+E (Bos')+E

(s s') =B1B'+0+0+ ゆ =BB'+ ゆ となる.なおここで

00'=1

とおいた.以上が因子分析の基本方程式である.なお, 実際の解法については参考文献にゆずりたい. 参ラ考文献

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Advisers へ参加することが求められており,日本 OR

Operational Research

Societies) が IFORS の下部 学会からは若山氏のほかに森村英典会長,茨木俊秀教授 機関として発足し,日本の OR 学会がその幹事役を努め (京都大学)が参加されています.これからも同誌を一層 ることとなり,若山邦紘教授(法政大学)が事務局長に もり立ててゆくため,論文の投稿・雑誌の購読について

就任されています. ご協力をお願L 、 L 、たします.

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お問合せは学会事務局へと.うぞ. Research) は,その Official Journal という性格か

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参照

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