北海道における事務処理特例制度の
活用状況について
藤 巻 秀 夫
1 事務処理特例制度とは
事務処理特例制度は、2000年に施行された地方分権一括法に より導入された、都道府県の事務を個別的に市町村に移譲する仕組 みであり、地方自治法252条の17の2~4において「条例によ る事務処理の特例」(以下、事務処理特例制度という)として制度 化された1。 すなわち、地方自治法252条の17の2第1項は、「都道府県は、 都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところに より、市町村が処理することとすることができる」と定め、また「こ の場合においては、当該市町村が処理することとされた事務は、当 該市町村の長が管理し執行するものとする」と規定する。 対象となる事務は、原則として都道府県知事の権限に属する事務 すべてであり、自治事務であると法定受託事務であるとを問わない。 そして、都道府県条例によって市町村に移譲した事務については、 都道府県知事はその権限を失い、市町村長は自らの名と責任におい てその権限を行使することとになる。その際、都道府県知事はあら かじめ、当該市町村長と協議することが義務づけられている。当該 条例の改廃についても同様である。 また、市町村長からの発意によって特例事務処理化を都道府県 知事に要請することもできる(平成 16 年の地方自治法改正による。 地方自治法 252 条の 17 の2第 3 項)。市町村からの要請に対しては 1 詳細は、拙稿「事務処理特例制度の意義と課題-都道府県・市町村関係への 影響-」札幌法学23巻1号(2011年)181頁以下、を参照。都道府県知事は速やかに協議することが求められている(地方自治 法 252 条の 17 の2第 4 項)。 市町村がこの制度により処理することとなる事務について必要な 財源措置を講ずることを都道府県に対して義務づけている(地方財 政法 28 条)。 このような事務処理特例制度は、国と地方との役割分担において、 住民に身近な行政はできる限りより住民に身近な地方公共団体であ る市町村が担任することが適切であるとの考えに基づくものである。 基礎自治体である市町村に優先的に事務事業を配分し、地域におけ る行政を総合的に実施できる体制づくりをねらいとしている。しか し、市町村の規模によって行政体制、財源や能力は多様であること から、都道府県から市町村に個別的に事務・権限を移譲し、この実 験の積み重ねを通じて、法令による一律の事務配分の変更につなげ るためのワンステップと位置づけられるものである2。
2 市町村アンケートのねらい
民主党政権下で閣議決定された「地域主権戦略大綱3」(平成22 年6月22日閣議決定)においては、国と地方の役割分担に係る 「補完性の原則」に基づいて、住民に身近な基礎自治体を重視して、 基礎自治体が広く事務事業を担うことにより、基礎自治体を地域に 2 法令によって都道府県事務を市町村に一律に移譲する法定移譲は、すでに、 民主党政権下のいわゆる「地域主権改革」として順次進められている。参照、 拙編著『地方自治の法と行財政』(八千代出版、2012年)26頁。法定移譲 の内容と問題点については、岩崎忠『「地域主権」改革-第3次一括法までの全 容と自治体の対応』(学陽書房、2012年)、本多滝夫ほか編著『「地域主権改 革」と自治体の課題-行政分野別に考える条例づくり・権限移譲-』(自治体研 究社、2012年)が詳しい。特に、榊原秀訓「『地域主権改革』における権限 移譲-条例による事務処理特例から法律による権限移譲へ-」(本多滝夫ほか編 著・前掲書)64頁以下。 3 http://www.cao.go.jp/chiiki-syuken/doc/100622taiko01.pdfおける行政の中心的役割を担うものと位置づけ、可能な限り多くの 行政事務を基礎自治体が広く担う方向性を打ち出している。その際、 事務処理特例制度の活用状況等を踏まえて、基礎自治体への法令に よる一層の権限移譲について検討を行うこととしている。そこでは、 事務処理特例制度についての評価は明示的には示されておらず、ま た民主党内閣においてその活用状況が調査された記録はないが、一 定の肯定的な評価が前提になっているものと思われる。 しかし、一方で、いくつかの研究によれば、事務処理特例制度に より都道府県の法律上の事務権限が市町村に移譲されてはいるもの の、市町村のサイドからは、事務負担や事務経費が増大すること、 専門的職員の確保が困難であること、といった課題、また、この制 度は、都道府県と市町村との事実上の合意がなければ移譲できない 仕組みにもかかわらず、都道府県によって事務が押し付けられたり、 必要な財源措置が講じられていないなどの問題も指摘されている4。 本調査は、北海道の市町村が、事務処理特例制度をどの程度活用 し、どのように評価しているのか、またこの制度の問題点は何なの かを、アンケート調査によって明らかにしようとしたものである。 市町村が事務処理特例制度をどのように見ているのか、今後どのよ うに活かしていこうと考えているのか、それを把握することなしに 事務移譲や法定移譲を進めていくことは、「総合的な行政主体」で あることを求められている市町村に単に無理を強いることになるで あろう。 ここで北海道の行政構造について、その概略を説明しておくこと とする。北海道にはその総合出先機関として、現在、9つの総合振 興局と5つの振興局が置かれている。総合振興局および振興局は、 4 拙稿・前掲(注1)195頁以下、千葉実「条例による事務処理特例の現状 とこれから」、大石貴司「都道府県と市町村の関係の制度と課題-権限移譲を中 心に」(いずれも、北村喜宣ほか編『自治体政策法務-地域特性に適合した法環 境の創造』有斐閣、2011年)555頁以下、570頁以下、さらに、榊原 秀訓・前掲(注2)66頁以下も参照。
法律上は、いずれも「支庁」と呼ばれる道の事務を分掌する地域行 政機関であり(例えば、地方自治法155条)、2010年4月施 行の「北海道総合振興局及び振興局の設置に関する条例」により支 庁に代わって置かれることになった5。本庁各部の出先機関であっ た土木現業所、保健福祉事務所、森づくりセンターなどの大規模な 組織が、総合振興局等の内部組織に変更されるなど、総合出先機関 の体制を強化している。北海道の補完事務の多くは、これらの組織 によって補完されている。 北海道の総合出先機関 支庁の名称 管内の市町村数 管内人口1) 支庁所在地 空知総合振興局 10市14町 32.7万人 岩見沢市 後志総合振興局 1市13町6村 22.8万人 倶知安町 胆振総合振興局 4市 7町 41.3万人 室蘭市 渡島総合振興局 2市 9町 42.4万人 函館市3) 上川総合振興局 4市17町2村 52.1万人 旭川市3) 宗谷総合振興局 1市 8町1村 7.0万人 稚内市 オホーツク総合振興局 3市14町1村 30.3万人 網走市 十勝総合振興局 1市16町2村 35.1万人 帯広市 釧路総合振興局 1市 6町1村 24.7万人 釧路市 石狩振興局 6市 1町1村 234.0万人 札幌市2) 日高振興局 7町 7.4万人 浦河町 檜山振興局 7町 4.1万人 江差町 留萌振興局 1市 6町1村 5.2万人 留萌市 根室振興局 1市 4町 8.0万人 根室市 1)2012年12月末現在(北海道総合政策部統計課 HP) 2)政令指定都市 3)中核市 5 これらの支庁制度改革の意義や課題については、拙稿「北海道庁、支庁制度 を『廃止』(評論:2010年の北海道)」札幌大学総合研究2号(2011年) 277頁以下を参照。
3 アンケート結果の集計
アンケート(265頁以下に掲載)は、2012年7月に、北海 道の全市町村(179市町村)に対して郵送し、7月末(一部は9 月末)までに、92市町村から回答を得た。回答率は、51.4% であった。市町村別の内訳は次のとおりである。 市 町 村 計 対象団体数 35 129 15 179 回答団体数 24 58 10 92 回答率 68.6% 45.0% 66.7% 51.4% (未回答数) (11) (71) (5) (87) 1−1 概況 事務処理特例制度により道から事務の移譲を受けている市町村は 87団体であり、回答総数に対して94.6%であった。アンケー ト実施時点で、移譲を受けていない団体は4町1村にすぎない。そ のうち2団体は、基本的な姿勢として、できれば事務の移譲を受け たくないと答えており、また他の2団体は、必要なものだけ受ける と回答している。ただし、5団体中2団体は、事務の移譲を道にこ れまで5件ないし8件求めており、うち1つの団体は、2012年 度においても1件求めており、当該自治体に必要な事務に限定して 移譲を受ける姿勢と理解できる。 事務移譲に消極的である理由としては、いずれも小規模自治体で あり、専門的職員の確保に困難であること、職員数が不足している こと、事務量が増加すること、などをあげている(これらの理由は、 事務移譲を受けている団体でも共通してあげる課題である)。表1−1①移譲を受けている市町村数 全体(割合) 内訳 移譲を受けている 87(94.6%) 市24、町54、村9 移譲を受けていない 5( 5.4%) 市 0、町 4、村1 表1−1②移譲を受けている市町村数(市・町・村別) 回答数 移譲を受けている(割合) 移譲を受けていない 市(24) 24(100%) 0 町(58) 54(93.1%) 4 村(10) 9(90.0%) 1 図1−1② 移譲を受けている自治体(市町村別) 町 村 市 移譲を受けている 移譲を受けていない 54 4 24 0 9 1 図1−1① 移譲を受けている市町村の割合 移譲を受けている 95% 移譲を受けていない 5%
1−2 事務の移譲状況 アンケートでは、事務移譲の状況を探るために、事務が移譲され た①法律数、②条例数、③事務・権限数、④条項数について質問を している。回答においては、それぞれを明確に把握していないため か、空欄にしている自治体も多く、また特に③の事務・権限数の理 解に混乱がみられる。明らかに整合性がとれていないと思われる回 答については、データ処理から除外している。また、一部の団体で は概数で答えている。 表1−2事務の移譲状況 ①法律数 の平均 ②条例数の平均 ③事務・権限数の平均 ④条項数の平均 市 20.1 5.6 360.1 355.1 町 19.0 3.4 273.2 263.9 村 12.7 1.7 160.6 - 図1−2事務の移譲状況(市町村別の平均) 町 ③事務・権限数の平均 160.6 273.2 360.1 村 市
6 政令指定都市である札幌市は、集計対象から除外している。なお、札幌市が 移譲を受けている法律数は約20、条例数は約20、事務・権限数は約30、 条項数は約480と回答している。 (a)市について 市が移譲を受けている法律数は、平均で20.1法律である(集 計対象団体数15)。美唄市・北見市で多く30法律を超えている。 最少は富良野市の12法律である。なお、その他の回答からは登別 市および砂川市も多いことが推測できる。条例数の平均は5.6条 例である(集計対象団体数13)。最大は函館市の10条例、最少 は3条例で4市であった。事務・権限数の平均は、360.1件で あり(集計対象団体数11)、最大は砂川市の532件、最少は根 室市の260件、恵庭市の263件と続く。その他の回答から推測 すると、登別市、北見市および小樽市でも多くの事務・権限数の移 譲を受けている。条項数の平均は、355.1条項である(集計対 象団体数14)。登別市と小樽市で500条項を超えている。一方 富良野市は100条項以下であった6。 (b)町について 町が移譲を受けている法律数は、平均で19.0法律である(集 計対象団体数30)。最大は新得町37法律、八雲町36法律で 30法律を超えているのはこの2町である。最少は七飯町の4法律 であり、他に5町が9法律以下である。 条例数の平均は3.4条例である(集計対象団体数22)。最大は 清水町の8条例、1条例が5町村であった。 事務・権限数の平均は、273.2件であり(集計対象団体数 18)、最大は芽室町496件、ほかに400件以上が鹿追町と八 雲町である。したがって、鹿追町では多くの法律について移譲を受 けていると推測できる。また、他の回答から推測すると、白老町お よび下川町も多くの移譲を受けている。 なお、条項数については有意な回答はなかった。
(c)村について 村が移譲を受けている法律数は、平均で12.7法律である(集 計対象団体数6)。最大は留寿都村の18法律、最少は音威子府村 の5法律である。 条例数の平均は1.7条例である(集計対象団体数3)。2条例な のが2団体、1条例が1団体であった。 事務・権限数の平均は160.6件であり(集計対象団体数7)、 最大は留寿都村275件であり、神恵内村も250件を超えている。 したがって、神恵内村では多くの法律について移譲を受けていると 推測できる。 条項数の平均は、263.9条項である(集計対象団体数13)。 白老町と下川町で400条項を超えている。 1−3 事務処理特例制度の活用状況についての把握 この問いは、事務処理特例制度により道から事務の移譲を受けた 各自治体が、その処理状況や活用状況をどの程度把握しているかを 尋ねる設問である(回答86団体・未回答2団体)。事務処理特例 制度の意義や効果、そして問題点を全庁的に把握し、点検している かどうかは、それぞれの自治体のこの制度についての姿勢を示して いるものといえよう。 「A全体としての報告書を作成している市町村」はわずか4団体 にすぎず7、多くは「D各部署で把握しているだけである」と回答 している。「B全体として把握しているが、報告書は作成していな い」と回答した27団体は、単に数字を把握しているにすぎない団 体と、それとも何らかの点検作業まで行っている団体が含まれてい るものと思われる。 7 美唄市・南幌町・森町・増毛町の4団体である。
表1−3移譲事務の把握状況 A全体として の報告書を作 成している B全体として 把握している が、報告書は 作成していな い C各部署で報 告書を作成し ている D各部署で把 握しているだ けである Eその他 市 1 8 0 12 1 町 3 17 7 27 3 村 0 2 0 4 1 合計 (割合) (5%)4 (31%)27 (8%)7 (50%)43 (6%)5 ♦「その他」の回答内容は以下のとおり。 移譲事務について電子データで保管/総務でとりまとめするが、 集計立てたものはない/事務担当課と権限移譲の総務課で把握し ている/総務課が総合窓口となり、担当課とその都度調整してい る/移譲を受けた事務については行政サービス・行政業務として、 実施するものなので、把握のための報告書を作成する類のもので はないと思われる/ 図1−3移譲事務の把握状況 A全体としての 報告書を作成している 5% B全体として把握 しているが、報告書は 作成していない 31% C各部署で報告書を 作成している 8% D各部署で把握している だけである 50% Eその他 6%
2−1 事務処理特例制度の活用についての全庁的な方針の有無 (2−2 全庁的な方針は、いつごろ、どのような経緯によるのか) 事務処理特例制度は、一方で住民のニーズに的確に応え住民サー ビスの向上につながるものではあるが、他方で自治体の事務処理量 や場合によっては費用負担を増加させることになる。その意味では、 移譲を受けるかどうかの明確な方針を各自治体は定める必要がある のではないだろうか。ただ、設問が「全庁的な方針」と表現したこ とは不適切であったかもしれない。「明確な基準の有無」を尋ねる べきであった。 いずれにせよ、全庁的な方針を策定した団体は、わずか3団体に とどまっている。函館市は、平成17年度に町長のトップダウンで、 南幌町は平成18年4月に町長のトップダウンで、そして帯広市は、 平成17年8月に原課(現場)からの要請、によりと回答している。 なお、2団体が未回答であった。 ♦「その他」の回答は以下のとおり。 部長職以上で構成する庁議において、まちづくりの方向性に合致 する事務・権限や市民サービスの向上に結び付く事務・権限につ いては、積極的に移譲を受けることを基本的な考えとし、権限の 内容を始め移譲に伴う財政措置や人員措置等について関係する部 局が中心となって全庁的な検討を進めてきたところである。 表2−1全庁的な方針の有無 回答団体数 A 全 庁 的 な 方 針 を定めている B 全 庁 的 な 方 針 を定めていない Cその他 市(24) 2 21 1 町(58) 1 57 0 村( 8) 0 8 0 合計(割合) 3(3.3%) 86(95.6%) 1
2−3「条例による事務処理の特例」制度の活用についての基本姿勢 9割近い団体が、「B必要なものだけ移譲を受ければよいと考え ている」と回答している。ただし、この中には、積極的に、当該地 域において必要な事務を移譲される姿勢である団体と、消極的に、 必要な事務以外は移譲を受けたくないという姿勢の団体が混在して いるものと思われる。 理由を分析すると、市においては、積極的な姿勢を表明している 団体が多いのに対して、町村では消極的な姿勢であることがうかが われる。 なお、6団体が未回答であった。 積極的姿勢のキーワード:住民への行政サービスの向上、効率的 な行政運営、事務処理の効率化・迅速性、高い事務処理件数、まち づくり、住民ニーズ、裁量 消極的姿勢のキーワード:職員数の不足、事務量・業務量の増加、 専門的知識・人材の不足、低い事務処理件数、予算の制約、不十分 な事務処理体制、職員負担(事務量・専門性) 表2−3基本姿勢 回答団体数 Aできるだけ多 くの事務の移譲 を受けたいと考 えている B必要なものだ け移譲を受けれ ばよいと考えて いる Cできれば移譲 を受けたくない と考えている Dその他 市(23) 2 19 1 1 町(56) 2 50 2 2 村( 8) 0 6 1 1 合計(割合) 4(4.6%) 75(86.2%) 4(4.6%) 4(4.6%) ♦「Aできるだけ多くの事務の移譲を受けたいと考えている」と回 答した市町村の理由(自由記述:以下原則として、原文のまま) ・住民に身近な市役所が事務処理等を行うことにより、住民生活の 利便性の向上や活力あるまちづくりを実現したい。
・可能な限り事務の移譲を受けたいと考えているが、人員や体制、 財政等の課題があり、実際には移譲困難な場合もある。 ・住民への行政サービスの向上が図られるため。 ♦「Cできれば移譲を受けたくないと考えている」と回答した市町 村の理由(自由記述) ・事務によっては、専門的な知識を有していなければならないもの も多々あり取扱いがあった時に、事務処理が遅れてしまう懸念が ある。 ・職員数の不足(小規模自治体)、事務量の増加。 ・マンパワー、予算等解決すべき点が多い。 ♦「B必要なものだけ移譲を受ければよいと考えている」と回答し た市町村の理由(自由記述) 理由を、移譲に積極的なもの、消極的なもの、その他に分けてみた。 (積極的姿勢) ・市民サービスの向上につながるものを中心に検討している。 ・事務処理の効率化や迅速性などにより市民サービスの向上に結び Aできるだけ多くの事務の 移譲を受けたいと考えている 5% 図2−3基本姿勢 B必要な物だけ移譲を 受ければよいと考えている 86% Cできれば移譲を 受けたくないと考えている 5% Dその他 5%
付くもの及び受けるにあたっての特段の支障を生じないこと。 ・「市民の利便性のサービスの向上」「効率的な行政運営」などの 観点から移譲要望する事務を検討し、必要なものを要望するとい う基本姿勢のため。 ・事務処理発生頻度が高く、かつ移譲を受けることにより、市民 サービスの向上につながる事務を優先している。 ・真に市民の利便性の向上を図られ、市のまちづくりにとって有益 性が高い事務で、移譲に際し特別な対応が不要であることを基準 に、十分な検討を行い取捨選択を行った中で移譲を受けることと しているため。(以上 市の回答より) ・移譲を受けることで、住民サービスの向上につながる事務を移譲 要望している。 ・限られた人員の中で、住民サービス向上につながるものを取捨選 択している。 ・限られた職員数で受け入れていかなければいけないため、住民 ニーズの多いものから受け入れを進めていきたい。 ・住民サービスの向上や移譲を受けることにより、事務処理が向上 することにつながる事務については、移譲を受ける方向性で考え ている。(以上 町の回答より) (消極的姿勢) ・必ずしも権限の委譲を受け、市町村が事務処理をすることで住民 福祉の向上とはならないと考えるから。 ・市民サービスの向上と業務量の増加を勘案する必要がある等。 ・移譲を受ければ、市民サービスの向上、市の裁量は増えるが、小 規模な自治体では、一人が幅広く各種法令などを覚えなくてはな らないため、その時々対処しているのが現状。 ・専門的なものになると、人員配置等が難しい面がある。 ・事務によっては専門的な資格が必要なものなど、職員配置にかか わる課題もあることから、効率を考えながら移譲を受ける必要が
ある。 ・年間の処理件数が極端に少ない上、専門的技能を要する職員の配 置が必要である等、道が担う方が効率のよい業務もあるため。事 務を行う人員、予算の確保が必要なケースが多いため。(以上 市の回答より) ・人員と予算に限りがあるため、対応ができない。 ・処理件数が見込まれない事務が多いため。 ・住民サービスの向上につながるもののうち、専門的な技術や資格 を要しない、役場の現体制で対応可能なものが移譲できればよい と考える。 ・事務を行うための体制(専門的知識、指導方法、人員等)が整備 されておらず、住民にとって利便性が向上するもの、既に移譲済 みの権限に密接に不可分なものを受けるようにしている。 ・事務量の増加に対応できる職員体制が整っていない。専門的知 識・資格を必要とする事務の受け入れは特に困難。 ・職員配置、設備投資等が必要なため、住民サービスの支障になら ない必要最低限。 ・多くの事務を受け入れるための人的体制が整っていないため。 ・職員負担の懸念等。 ・職員数は限られており、町民サービス向上に結びつかない事務権 限は、移譲を受ける必要がないと考えています。 ・住民に身近なサービスとして必要なものは移譲を受けるべきだが、 実態のないものなど必要性に疑問があるものは消極的とならざる を得ない。 ・利用頻度が高く、住民サービスの向上につながる事務については、 町が積極的に移譲を受ける必要があると考えるから。利用頻度の 少ない事務の移譲は、不要な事務負担の増大につながる。 ・町民の利便性向上や職員の事務負担等を総合的に勘案した上で移 譲の可否を判断すべきと考える。 ・事務処理に適正な実施体制も考慮しながら受入を検討する。
・小規模自治体では、極端に処理件数が少ないものもあり、効率が 悪くなる場合がある。 ・職員数の問題もあり、多くの移譲を受けることが困難であるため、 必要最低限のもののみを現状受けているため。(以上 町村の回 答より) (その他) ・自主性や自立性を高めるスタンスではあるが、法定移譲の増加に より状況はかなり変わってきている。 ・各担当課により必要であると考える事務の移譲を受ける方針であ る。 ・市民からの需要が高いものまたは市の施策を進めるために重要な もののみ、それぞれの課が主体的に移譲を受ければよいと考えて いるため。 ・北海道から示されている項目については、保健・医療・福祉、教 育、産業、環境保全など幅広い分野に及び、その内容も専門性が 必要とされるもの、処理件数の多いもの、少ないものなど様々で あり、移譲を受けるべき権限は、当市の財政状況や効果などを十 分に検討しながら主体的に判断しなくてはならない。 ・原課の判断で必要なものは移譲を受けている。 ・町の担当課が受け入れ準備が整った段階で、移譲を受けている。 また、本町では、該当しない事務(事務処理が発生しないもの) は受け入れしていない。 ・移譲したことにより、住民の利便性が高まり、その事務に関する 町での処理件数が継続してあるような事務でなければ移譲のメ リットがないと考えているため。 ・住民にとってメリットのあるものについて移譲を受けるもの。 ・一般的な身近な行政による行政サービスの提供という制度の前提 を踏まえて、当町住民のニーズ・利便を検討し、決定している。 ・効率的、効果的な行政サービスの提供が可能となる事務権限を見
定めて移譲を受けている。 ・移譲要望した権限が住民生活に関わりが深いものを優先して受け るものとしているため(現状の村政運営で必要とされているも の)。 ♦「Dその他」と回答した市町村の理由 ・道からの事務、権限の委譲に対する当市の考え方について、以下 の4点の要件を定めており、「市民サービスの向上や事務の効率 化につながるもの」、「行財政改革を推進する観点から、人員配 置の必要がないもの」、「現行業務と密接に関わりのあるもの」、 「財政的に影響がないもの」の全て要件を満たすものを、事務権 限移譲の対象としている。 ・住民サービスの向上につながるものを積極的に受けたい。 ・受入体制、事務の専門性、事務処理件数等を勘案し、判断してい る。 ・職員定数の適正化が進んでいるため、事務負担の少ない事務移譲 を検討する。
2−4移譲を受ける事務の選択についてのイニシアティブの所在 「C原課からの提案(発議)による場合が多い」という回答が5 割を超えている。「B総務・企画部門」のイニシアティブによるのは、 約3割の団体であった。町において、「A市町村長のトップダウン」 と合せて4割を超えているのが特徴的である。 なお、6団体が未回答であった。 表2−4 移譲事務選択のイニシアティブ 回答団体数 A 市 町 村 長 の ト ッ プ ダ ウ ン ( 指 示 ) に よ る 場合が多い。 B総務・企画部 門 か ら の 提 案 ( 発 議 ) に よ る 場合が多い。 C原課からの提 案(発議)によ る場合が多い。 Dその他 市(22) 0 5 14 3 町(57) 5 18 29 3 村( 8) 1 1 5 1 合計(割合) 6(7.1%) 24(28.2%) 48(56.5%) 7(8.2%) 図2−4移譲事務選択のイニシアティブ B総務・企画部門からの 提案(発議)による 場合が多い。 28% A市町村長のトップダウン(指示) による場合が多い。 7% Dその他 8% C 原課からの 提案(発議) による場合が 多い。 57%
♦その他の回答 ・道からの提案や移譲が多い。 ・道があらかじめ示したものの中から、各所管課の提案により、移 譲要望を行っている。 ・基本的にはC、近年ではA、Bによる移譲のケースが多い。 2−5委譲を受ける事務または求める事務の決定までの手続の概略 ほとんどの団体において、北海道(総合振興局または振興局)か ら移譲リストの提示⇒これを総務・企画部門が、原課・各所管課に 照会⇒原課が検討し、移譲を受ける・求めるかどうかを総務・企画 部門に回答⇒総務・企画部門は、これを取りまとめ、調整する、と いう流れであった。調整内容は主として、必要な予算措置や人員配 置に関して関係部門との調整があげられていた。最終的には長また は理事者が決済して、道に報告する。 なお、イニシアティブが総務企画にあるとする団体の回答は、次 のようなものであった。 ・原課からの手上げ方式と総務部門からの提案の併用。 ・各担当所管において、住民生活の利便性の向上等の視点による事務 権限内容の検証を行い、必要な措置等を確認のうえ、移譲要望を行 う。 ・個別の事務についての勉強会(道と市の原課及び総務・企画部 門)→原課同士の事前協議→知事と市長の協議(自治法252条の 17の2)→同意書の取交し。 ・市民サービスの向上が期待できる事務事業を洗いだし、原課と協 議し、移譲の可否を決定している。 ・総務課から内部協議を進め、同意書提出時に担当部署の合議をする。 ・原課及び移譲担当課と協議を行い、併せて町で必要な条例等法制 担当とも協議をすすめる。 ・企画部門、候補事務の決定→原課移譲可否の決定→企画部門、最 終決定、報告。
3−1A各市町村がこれまで要望した事務の件数 B平成24年度に要望している事務の件数 Aの設問は表現が不正確であったため、回答においては、特に政 策的に要望した事務の件数を回答している市町村と事務移譲を受け た(要望した)件数を回答する市町村とが、また、まとまりのある 事務を1つと考えて回答している市町村とその中の一つひとつの事 務を数えて回答している市町村とが混在していると推測できるため、 データ処理から除外した。 Bの設問については、次のとおりである。 表3−1平成24年度において要望している事務の件数 (回答団体数)B平成24年度に要望している団体。 要望している団体と事務の件数 市(19) 5 美唄市5 恵庭市2 帯広市・小樽市・釧路市 各1 町(43) 12 枝幸町13 鹿追町12 芽室町5 上富良野 町4 清水町3 南幌町・置戸町・下川町・別 海町各2 利尻富士町・小清水町・大樹町各1 村( 8) 0 合計 17
3−2各市町村が要望した事務のうち、道との協議が整った割合 3−3要望が通らなかった事務・権限 3−4要望が通らなかった理由 表3−2要望事務のうち道との協議が整った割合 合計 A 100% Bほぼすべ て(90% 前後) C 60~ 80% 前後 D 半分程度 (50% 前後) E それ以下 F不明 Gその他 回答なし 76 44 4 0 0 0 12 0 16 「Bほぼすべて(90%前後)」と回答した団体は、3町と1村で あり、要望が通らなかった事務として具体的に示されたのは、「火 葬場への立入検査等に関する事務」であった。また、要望が通らな かった理由として「B専門的職員の確保など市町村の体制が不十分 だから」と回答した団体が2つあった。 3−6これまでの道との協議・同意の手続における道の対応。 3−7「不適切な対応」とは、どのような対応か。 8割以上が、「A全く問題がない」と回答している。「一部」を含 めて不適切と感じている団体は1割強にすぎなかった。 不適切な対応の内容としては、押し付け的な事務の移譲と引き継 ぎの不十分さをあげている。いずれも複数の団体からの回答である ことから、道の対応に指摘されるような要素があったものと推測で きる。 (「不適切な対応」に関する自由記述) ・移譲を要望をしていない権限についても、要望した事務権限に関 連したものとして、押し付けに近い形でくるため、不信感がある。 ・市が移譲を要望しない事務に対しての要請が厳しい。
表3−6道の対応 回答団体数 A 全 く 問 題 はない B 概 ね 問 題は な い が、 一 部 不 適 切 な 対 応 が あ る C 不 適 切 な 対応が多い Dその他 回答なし 市(24) 16 4 0 1 3 町(57) 47 6 1 0 3 村( 8) 6 0 0 0 2 合計(89) 69 10 1 1 8 ・道の事務をなし崩し的に押しつける傾向が一部見受けられる。 ・予算や人員の確保の必要があるため、もっと早く事務の概要や見 込み実績についての説明をして欲しい案件が一部あった。 ・同意する条件として、充分な引継ぎ(担当者による説明、書類及 び参考資料)を要請したが、全く対応のないまま丸投げされた事 務がある。 ・引き継ぎが不十分な事がある。 ・事務引き継ぎの遅れ。 ・上から目線(希望するんだったら移譲してやる的な態度)、地域 主権局と担当課の意思の疎通がない。 図3−6道の対応 C不適切な対応が多い 1% Dその他1% A全く問題はない 85% B 概ね問題はないが、 一部不適切な対応がある 13%
4−1事務の移譲を受けた全体的な成果や効果についての評価 最も多い回答が、「C評価できる段階ではない」であった。すで に制度の本格的な導入から10年近くを経過しているにもかかわら ず、この回答が多いことは、各団体において事務処理特例制度をど のように自治体行政に活かすのか、その方針ないし戦略が欠けてい ることが原因かもしれない。 評価している団体の中では、圧倒的に多くの団体が「A肯定的な 評価」をしており、「B否定的な評価」はわずかである。 なお、「D その他」の回答の多くは、多様な事務処理を移譲され ているため、肯定する評価と否定する評価が混在しており、一概に 評価できないというものであった。また、処理件数が少ないため評 価できないという回答もあった。 ある村の回答には、「国を上回る人員削減をして来た。地方公共 団体に特例制度が今もまさに必要か、再検討が必要では」というも のがあった。人員配置に余裕のない小規模自治体の切実な声を表現 している。事務処理特例制度は、あくまで市町村の意思に基づいて なされるものではあるが、道が示す移譲メニューに強い圧力を感じ ているのかもしれない。 表4−1全体的評価 回答団体数 A 肯 定 的 な 評 価 を し て いる B 否 定 的 な 評 価 を し て いる C 評 価 で き る 段 階 で は ない Dその他 回答なし 市(23) 9 2 7 5 0 町(55) 21 1 30 3 2 村( 7) 2 0 4 1 1 合計(85) (割合) (37.7%)32 (3.5%)3 (48.2%)41 (10.6%)9
4−2肯定的な評価をする理由(複数回答可) 表4−2肯定的な評価の理由 回 答 団 体 実数 A住民へ の 行 政 サービス が拡充し た B住民の 利用件数 が多い C市町村 の裁量に より判断 できる事 項が多く なった D道の人 的・財政 的支援が 十分なさ れている E新しい 政策を展 開できる よ う に なった F市町村 の責任が 大 き く なった Gその他 市(10) 9 4 5 0 0 3 0 町(19) 15 5 5 1 0 2 0 村( 2) 2 0 1 0 0 0 0 合計 26 9 11 1 0 5 0 事務処理特例制度について肯定的な評価をした32団体のほとん どが、その理由として、「A住民への行政サービスの拡充」をあげ ている。また、これを理由に挙げていない団体においても「B住民 の利用件数が多い」を選択していることが多い。これまで道の総 合振興局または振興局で手続しなければならない事務事業について、 地元市町村の窓口で処理できることをもって評価しているといって 図4−1全体的評価 Dその他 11% C評価できる 段階ではない 48% A肯定的な評価を している 38% B否定的な評価を している 4%
よいだろう。 次いで多い理由は、「C市町村の裁量により判断できる事項が多 くなった」ことである。相対的ではあるが特に市においてこれを理 由にあげる団体が多く、回答した団体の5割があげている。このこ とは、総合的なまちづくりに積極的に取り組もうとする場合、法律 上、道の権限とされていたために道との調整をせざるをえなかった 事務権限が移譲されていると見ることができる。また、これを理由 に挙げた団体の多くは、「F市町村の責任が大きくなった」ことを 肯定的な理由に挙げている点も特徴的である。 図4−2肯定的な評価の理由 A住民への行政 サービスが拡充した 50% B住民の利用件数が多い 17% C市町村の裁量により 判断できる事項が 多くなった 21% D道の人的・財政的支援が 十分なされている 2% F市町村の 責任が大きくなった 10%
8 質問4-1で否定的な評価をした団体およびその他の団体で、否定的な理由 を挙げている団体である。 4−3否定的な評価をする理由(複数回答可) 表4−3否定的な評価の理由 回 答 団 体実数 A市町村 の事務量 が増加し た B事務移 譲を受け たものの、 住民の利 用件数が 少ない C道の人 的・財政 的支援が 少ない D道に問 い合わせ すること が 多 く なった E道の指 導が細か くて、市 町村の裁 量を発揮 できない F市町村 の責任が 大 き く なった Gその他 市(4) 3 2 3 0 0 3 1 町(2) 1 2 0 0 0 0 0 村(0) 0 0 0 0 0 0 0 合計 4 4 3 0 0 3 1 6団体が回答している8。事務処理特例制度について否定的な評 価する理由は、市においては、事務量の増加、道の支援の少なさ、 そして自治体の責任を挙げている団体が多い。町では、事務量の増 加と利用件数が少ない理由に集中している。道の支援についての評 価は、市と町では対照的である。自治体の規模によって道の支援が 違うのだろうか。 「その他」では、ある市が「一人区に満たない業務量の増と少額 の道からの交付金への対応」を否定的理由に挙げていた。 4−4事務処理特例制度を改善するために必要なこと(自由記述) 市町村からの回答は次のとおりである。 ・財源の裏付け、一人区単位の事務権限の委譲でないと人員増は図 られないので、業務量の増加となる。 ・市の受入体制の整備(マンパワー、専門的な知識)。 ・市町村の手挙げ方式により、移譲を進めているため、各市町村に
おいて、バラバラの対応になること。 ・地方財政の現状、地方公務員の削減、公務の高度化・複雑化など、 市町村の規模や特性、将来性を勘案したうえで、権限移譲を進め なければ、住民サービスの低下や事務の非効率化を招きかねない と考えます。 ・地域づくり総合交付金(権限移譲推進事業)のような支援措置の 充実。 ・道の財政措置として、権限委譲交付金があるが、交付金単価の積 算根拠について、わかりやすく示されていないことや、交付金単 価が実際の事務量に見合わないと思われるものがある。 ・北海道の財政的支援を充実させる。 ・道は権限移譲による効果を十分に説明して、勉強会を行った方が 良いと考える(件数が少ない事務を市町村におろすのは、目的か らズレてしまう)。 ・事務処理を受けることにより道から交付される交付金単価の積算 根拠を明確にし、単価の増額が必要。 ・事務量にあった、処理制度が必要。 ・事務を受ける際の機器等の初期投資及び更新などに対する補助が 不十分であるため受けていない事務もあることから、住民サービ ス向上のためにもそういった補助の充実が必要と考えられる。 ・小規模な町村では、法定移譲される事務でも負担が大きくなる。 ・北海道、市町村ともに窓口が総務・企画担当であるため、原課と の連携が十分ではない。原課からの提案(発議)することができ る情報提供が必要。 ・専門的職員の配置が必要な場合の職員派遣を今以上に派遣しやす い環境整備が必要と思います。 ・道の移譲したいメニューと、各自治体ニーズとの差はまだ大きく あると思う。振興局があるのだから、ある程度、事務の補完をし てもらえる体制を考えてほしい。
最後に、事務処理特例制度についてのご意見など、自由にご記入 ください、と求めたところ次のような意見があった。 ・振興局所在地の市町村においては、(事務処理特例制度によっ て)住民サービスに特に変化がみられないこと。 ・道の事務を下請けする感が強い現行制度は限界がある。法定移譲 及び税財源移譲がセットになった、抜本的改革につなげることが 必要(道州制の導入による基礎自治体の充実強化)。
4中間的なまとめ
アンケート結果を集計する作業において気が付いた点を列挙して、 中間的なまとめとしたい。アンケート結果を踏まえた考察は別稿に 委ねたい。 ①市町村サイドにおいては、事務処理特例制度が、道の事務を市町 村に下請けさせる制度と捉えているような節があり、このような 受け止めかたは事務処理特例制度を考える場合に根本的な問題で ある。 ②これまでの研究でも指摘されていた事務移譲に対する「市町村の 消極さ」が、本調査においても裏付けられている。 ③市町村サイドの消極性は、職員数の減少や財源不足など、市町村 が抱えている課題の裏返しであって、気持ちや意欲の問題として 処理されるべきではない。 ④市町村への事務移譲が多ければ、この制度が活用されているとか、 あるいは有効であるとか、単純にはいえない。すなわち、件数の 問題ではなく、地域行政にとっての必要性が重要である。 ⑤他方で、事務処理特例制度が、住民サービスの向上につながる可 能性があることは市町村サイドでも十分に認識されているので、 処理件数と事務量負担などの問題をクリアする工夫が必要である。 このことは、今後も予定される法定移譲により市町村に「押し付 けられる」事務が増加するため、早急な対応が必要となる。たと えば、市町村間の連携による共同的な事務処理の可能性や道の出 先機関との役割分担のあり方を検討する必要がある。 ⑥移譲された事務の「返上」も視野に入れる必要がある。 追記 本アンケート調査にあたっては、2012年度札幌大学研究 助成を受けた。参考資料:北海道における市町村への権限移譲の状況 (北海道総合政策部地域主権局ホームページ:http://www.pref. hokkaido.lg.jp/cks/bunken/ijo-ijoumain.htm) 1北海道の方針 ①道州制に向けた道から市町村への事務・権限移譲方針(平成17 年3月策定、平成21年3月改訂) ②道が有する全権限(条項)数約5100を、道州が担うべき権限 約2000、市町村が担うべき権限約3100に振り分け。 2移譲実績 平成18 年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 権限数 657 491 327 248 456 430 560 移譲市 町村数 61 180 128 179 176 171 102 移譲権 限の総 数 1733 6193 3273 2785 5853 2991 2132 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/cks/ijo/H24list/jisseki/H24ijo_jisseki_gaiyo.pdf (注)移譲権限には、法改正等による移譲も含まれる。平成24年度にあっては、 197権限あり、事務処理特例制度による移譲は1935権限であった。
3重点的に移譲を推進する権限の移譲の状況 選定 年度 法律名及び事務内容(かっこ内は移譲権限数) 平成24年度移譲 市町村数 累計移譲 市町村数 ※1 第2次一括法 による移譲の 状 況( 平 成 24年4月時 点) H21 ①老人福祉法:有料老人ホームの設 置等の事務(6) 2 41 中核市まで ②農地法:農地等の賃貸借の解約等 に関する事務(4) 3 161 - ③工場立地法:特定工場に関する届 出の審査等に関する事務(10) 6 93 市まで ④鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関 する法律:とがりねずみ科等に属 する獣類の有害捕獲等の許可に関 する事務(15) 6 170 - ⑤鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関 する:ニュウナイスズメの卵の 有害採取等の許可に関する事務 (15) 5 170 - H22 ⑥旅券法:一般旅券の発給申請受理・ 交付に関する事務(13) 16 104 - ⑦電気用品安全法:電気用品販売等 の規制に関する事務(6) 4 67 市まで ⑧特定非営利活動促進法:特定非営 利活動法人の設立認証等に関する 事務(33) 4 30 指定都市まで ⑨農業振興地域の整備に関する法 律:農用地区域内における開発行 為の許可等に関する事務(5) 2 136 - ⑩都市計画法:開発行為の許可等に 関する事務(32) 4 40 - ⑪森林法:開発行為の許可等に関す る事務(15) 0 7 - ※1 法定移譲を含む
H23 ⑫老人福祉法:養護老人ホーム等の 設置認可等に関する事務(12) 5 9 - ⑬老人福祉法:老人居宅生活支援事 業に関する事務(7) 5 10 - ⑭社会福祉法:軽費老人ホームの設 置許可等に関する事務(9) 5 18 - ⑮介護保険法:指定居宅サービス事 業者の指定等に関する事務(28)4 20 中核市まで ⑯介護保険法:指定介護老人福祉施 設の指定等に関する事務(10) 4 13 中核市まで ⑰介護保険法:介護老人保健施設の 開設許可等に関する事務(18) 5 8 中核市まで ⑱介護保険法:指定介護保健施設の 指定等に関する事務(11) 0 3 中核市まで ⑲家畜排せつ物の管理の適正化及び 利用の促進に関する法律:家畜排 せつ物の適正管理等に関する事務 (8) 9 16 - ⑳屋外広告物法・北海道屋外広告物 条例:屋外広告物の許可等に関す る事務(31) 10 22 - H24 (新規の全道重点推進権限なし) (http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/cks/ijo/H24list/jisseki/H24 ijo_jisseki_ gaiyo.pdf を一部修正)
≪事務処理特例制度に関するアンケート≫(2012 年 7 月) 1アンケートの趣旨 「条例による事務処理の特例」制度(地方自治法 252 条の 17 の 2、同 17 の 3)・・・ 都道府県に属する事務を、個々の市町村と都道府県とが協議を行い、都道府県条 例によって、市町村が、市町村長の名と責任において管理執行できるようにする 制度・・・の運用実態と課題・問題点についての調査。 2アンケートの対象 道内全市町村 3アンケートの実施責任者(お問い合わせ先) 札幌大学法学部 教授 藤巻秀夫(代表)011-852-1181 [email protected] (授業や会議で研究室を不在とすることが多いので、Eメールをご利用ください。) 4アンケートの返送 同封の返信用封筒をご利用ください。ファイルによる返送も可です。データが必 要な場合は、上記メールアドレスまでご連絡ください。添付ファイルで送信いた します。 5アンケートの処理 アンケート結果の集計は、今年度中に資料として公表し、アンケートを踏まえた 研究は次年度中に発表する予定です。なお、アンケート結果は、研究のためにの み利用いたします。 ご回答いただく市町村名とアンケート回答者のご氏名をご記入ください。回答者 とは、ご回答いただいた内容について私の方からさらにお尋ねする場合に対応し ていただく方という意味です。 市町村名【 】 電話番号【 】 回答者氏名【 】 所属部署・役職【 】 ご連絡先(電話番号・E メールアドレス)【 】 以下の質問に対して、もっとも近い選択肢に〇をつけてください。適当な選択肢が ないときは、「その他」の欄に、具体的に記入をお願いします。 1「条例による事務処理の特例」制度の活用状況についてお尋ねします。 1-1この制度を利用して道の事務の移譲を受けていますか? A移譲を受けている B移譲を受けていない 1-2事務の移譲を受けている場合、その内容をお答えください。慨数で答える場 合は、「約●●」とご記入ください。また不明の場合は、横線( ―― )を引いてく ださい。 ①移譲を受けている法律数( ) ②移譲を受けている条例数( ) ③移譲を受けている事務・権限の総数( ) ④移譲を受けている条項の総数( ) ⑤上記の数字は、いつ時点のものですか( )
1-3貴市町村では、条例による事務処理の特例制度の活用状況その他についての 把握の状況についてお尋ねします。 A全体としての報告書を作成している B全体として把握しているが、報告書は作成していない C各部署で報告書を作成している D各部署で把握しているだけである Eその他( 2 市町村の体制についてお尋ねします。 2-1貴市町村では、「条例による事務処理の特例」制度の活用について全庁的な方 針を定めていますか? A定めている B定めていない Cその他【 2-2前の質問(2 ‐ 1)において、Aと答えた市町村にお尋ねします。 ①全庁的な方針を定めたのはいつごろですか( ) ②全庁的な方針策定は、市町村長のトップダウンによるものですか、それとも原 課(現場)からの要請によるものですか( 市町村長 / 原課(現場) ) 2-3「条例による事務処理の特例」制度の活用についての基本姿勢はどのような ものですか? Aできるだけ多くの事務の移譲を受けたいと考えている。 B必要なものだけ移譲を受ければよいと考えている。 Cできれば移譲を受けたくないと考えている。 Dその他【 それぞれの回答理由をご記入ください。
〔
〕
2-4移譲を受ける事務の選択についてのイニシアティブの所在についてお尋ねし ます。 A市町村長のトップダウン(指示)による場合が多い。 B総務・企画部門からの提案(発議)による場合が多い。 C原課からの提案(発議)による場合が多い。 Dその他【 2-5委譲を受ける事務または求める事務の決定に至るまでの、役場内の手続の概 略をお答えください。〔
〕
3 事務移譲に関する道と市町村の間の手続についてお尋ねします。 3-1道は、移譲する事務について、毎年市町村に対して要望を照会していますが、 A貴市町村がこれまで要望した事務は、何件ありますか。Bまた平成24年度に要 望している事務は何件ありますか。 A( ) B( ) 3-2貴市町村が要望した事務のうち、道との協議が整った割合はどれくらいですか。 A 100% B ほぼすべて(90%前後) C 60~80%前後 D 半分程度(50%前後) E それ以下 F 不明 G その他 3-3要望が通らなかった事務・権限はどのようなものですか
〔
〕
3-4要望が通らなかった理由は何でしょうか。当てはまるものすべてに〇をつけ てください。 A法令や条例の改正を必要とする事務・権限だから B専門的職員の確保など市町村の体制が不十分だから C市制施行が条件となっているから D道が示す移譲対象リストに入っていないから Eその他(具体的に理由を示してください。複数あるときは、ご面倒でもそれぞ れご記入ください。)〔
〕
3-5前の質問(3 - 4)においてDを選択した市町村にお尋ねします。 要望した事務・権限はどのようなものですか。〔
〕
3-6これまでの道との協議・同意の手続において、道の対応はどのようなもので したか。 A全く問題はない B概ね問題はないが、一部不適切な対応がある C不適切な対応が多い Dその他( 3-7前の質問(3 - 6)において「不適切な対応がある」と答えた市町村にお訊ね します。それはどのような対応でしたか。〔
〕
4 事務処理特例制度の成果や課題についてお尋ねします。 4-1事務の移譲を受けた全体的な成果を効果についてどのような評価をしていま すか。 A肯定的な評価をしている B否定的な評価をしている C評価できる段階ではない Dその他( 4-2前の質問 (4-1) においてAと答えた市町村にお尋ねします。肯定的な評価をす る理由はどのような点でしょうか(複数回答可)。 A住民への行政サービスが拡充した B住民の利用件数が多い C市町村の裁量により判断できる事項が多くなった D道の人的・財政的支援が十分なされている E新しい政策を展開できるようになった F市町村の責任が大きくなった Gその他( 4-3前の質問 (4-1) においてBと答えた市町村にお尋ねします。否定的な評価をす る理由はどのような点でしょうか(複数回答可)。 A市町村の事務量が増加した B事務移譲を受けたものの、住民の利用件数が少ない C道の人的・財政的支援が少ない D道に問い合わせすることが多くなった E道の指導が細かくて、市町村の裁量を発揮できない F市町村の責任が大きくなった Gその他( 4-4すべての市町村にお尋ねします。事務処理特例制度を改善するために何が必 要でしょうか。お気づきのことがありましたら、自由にご記入ください。