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初級・中級・上級中国人日本語学習者におけるあいづちの使用実態と使用上の問題点について―日本語母語話者の印象評価を通して―

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Academic year: 2021

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初級・中級・上級中国人日本語学習者における あいづちの働月実態と使用上の問題点について 一日』‘云白、語話者の印象評価を通して― 教科・領域教育専攻 言語系コース(国語) 久保田 航平 1.研究の目的 私の卒業論文である久保田(2017)では、 中・上級レベルの中国人日本語学習者を対象と して、あいづちの使用実態と使用上の問題点を 明らかにした。しかし、中・上級レベルだけで なく、初級レベルの学習者についても、あいづ ちの使用実態や使用上の問題点を明らかにする 必要があると考え、本研究に着手した。 本研究の目的は以下の3 点である。①初級・ 中級・上級レベルの中国人日本語学習者のあい づちの使用実態を、調査者である私との会話記 録をもとに明らかにする。②初級・中級・上級 レベルの中国人日本語学習者のあいづちに対し て日本語母語話者に印象評価を行ってもらい、 どのようなあいづちが良くない印象をもたらす のかを明らかにする。③初級・中級・上級とい う学習レベル間のあいづちを比較し、どのよう な過程であいづちを習得しているのかを1鋤i的 に明らかにする。 2 ‘論文の構成 第1章 はじめに 第2 章 学習者の母語におけるあいづちと対人 関係及び印象評価について 第3 章 あいづちの使用実態調査及び調査結果 第4 章 印象評価調査 第5 章 考察と今後の課題 指導教員 田中 大輝 3.論文の概要 第1章では、まず、研究動機と研究目的、お よび日本語のあいづちの定義について述べた。 また、あいづちを6つの機能に分類し、機能と 表現の関係をまとめた。 第2 章では、学習者の母語におけるあいづち や対人関係、およびF1)象評価の意義について述 べた。例えば、鈴木(2009)、山本(1992)、 Osuい & Kawahara ロ01のにより、以下の点が明らか にされている。①話し手と聞き手の男女差によ って、あいづちの回数や会話の進め方が異なる。 ②人物が単にうなずく動作が好ましさと近づき やナさを上昇させる。(③)学習者の日本語の習熟 度によってもあいづちの形式やタイミングが異 なる。さらに、久保田(2017)で明らかにした ことと残された課題を麹里し、本研究の課題と 仮説について述べた。 第3 章では、初級・中級・上級中国人日本語 学習者のあいづちの使用実態調査の分析方法お よび調査結果をまとめた。その結果、日本語の 習熟度によって、あいづちを打つ回数や表現の 仕方が異なることが分かった。 第4 章では、第3 章で明らかにしたあいづち の使用実態の使用上の問題点を分析する方法と して、 日本語母語話者による印象評価の視点を 取り入れ、中国人日本語学習者のあいづちに対 する直感的な印象調査の結果をまとめ、分析し - 159 一

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た。その結果、男性と女陛ではあいづちの印象 が異なる事や、学習者の習熟度によって好感を もつかどうかは一概にはいえないことなどが分 かった。 第5 章では、第3 章、第4 章でまとめた調査 結果について、研究課題で設定した観点から考 察を行った。 あいづちの機能について、学習者は「はい、 へー」などの「聞いている信号」を表すあいづ ちを多く打っていた。また、あいづちによって は、二つ又は三つの機能があることが明らかに なった。例えIよ「あー」というあいづちは、「聞 いている信号」 と「理解信号」の2つの機能が あり、「へー」というあいづちは、「聞いている 信号」と「理解信号」と「感情表出」の3つの 機能があることが分かった。これらのあいづち は、話しの内容や前後、また聞き手の表「青や視 線などをふまえて区別しなければ、判断できな し~ 学習者のあいづちの印象に対して、市原 ロ014)は、あいづちの表現形式が多様である とよい印象に繋がると述べていたが、それと同 じことが本研究でも見られた。具体的には、良 い印象に繋がるあいづちは、あいづちのトーン が一定ではなく変化していたり、バリエーショ ンが豊富なことである。印象が良くないことに 共通していたのは、あいづちが単調であったり、 ワンパターンであったりすることなどである。 さらに、あいづち以外にも腕を組んで話を聞い ていたり、聞き手の視線が下がると良くないこ となどが分かった。 男女差における相手の違いについては、あい づちの量について、鈴木(2009)は、男性同士 の会話は女性同士の会話よりあいづちの量が少 ないと述べていたので、男性同士の会話の方が、 聞き手が女陛である場合に比べてあいづちの量 が少ないのではないかと考えていたが、結果は 異なっていた。中級レベルの学習者では、女性 の方があいづちを多く打っていたが、他はすべ て男性の方が多くあいづちを打っていた。これ は、話し手が男性(調査者)であるため、聞き 手が女陛であると身構えてしまうことや、緊張 してあいづちが普段より少なくなってしまうか らではないかと考える。 初級・中級・上級の学習者の間ではあいづち の違いがあった。具体的には、あいづちを最も 多く打つのは、上級学習者であった。男性の学 習者と女陛の学習者のあいづちの表現数は、習 熟度が上がるごとに、表現数が増えることも明 らかになった。特に女陛は、感清表出などのあ いづちが多くなることから、印象評価で女性の 方が良い印象に繋がった要因のーつであると考 える。 4.まとめと今後の課題 本研究では、初級・中級・上級レベルの中国 人日本語学習者のあいづちの使用実態を調査し、 あいづちの使用上の問題点について、日本語母 語話者の印象評価という観点から明らかにした。 本研究では、初対面における会話について分析 したため、今後は、親しい関係の人との会話の 場合ではあいづちはどのように変化していくの かを分析する必要があると考える。また、学習 者は日本語の会話場面で、教室以外では会話の 主導権を握ることは少なく、聞き手となること の方が多いと考えられる。そのため、特に聞き 手となることが多い初級~初中級のあいづちの 指導方法についても考える必要があるだろう。 いずれも今後の課題とした1 \ -160 一

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