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この40年の日本経済と今後10年に残されたマクロ経済政策の課題 利用統計を見る

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この40年の日本経済と今後10年に残されたマクロ経

済政策の課題

著者

青木 雅明

著者別名

AOKI Masasaki

雑誌名

国際地域学研究

6

ページ

1-23

発行年

2003-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003829/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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国際 地域 学 研究 第6 号2003 年3 月

この40年の日本経済 と

今後10年に残 されたマクロ経済政策の課題

青 木 雅 明* は じ め に 日本 経 済 は1990年 代 に入 る と信 じ ら れない ほ どの 不振 と長 期 停滞 に陥っ てし まっ た。 その 基本 的 要 因 はい わ ゆる「 バブ ル 経済 の崩 壊 」で あ り、 家計 、 金融 機関 、 企業 、公 的部 門 な どの 経済 主体 が 保有 し てい る大 量 の土地 、 株式 な どの資 産 が長 期 にわ たっ て価 格 を下 げ 続 けてい る こ とであ る。 こ うし た継 続的 な資産 減価 は金 融 機 関 と企業 の財 務的 経営基 盤 を絶 えず悪 化 させ、 同時 に 資金 の アベ イ ラビ リティ と信 用 創造 を限 りな く縮 小 させ る要 因 となっ て い る。 こ うし た財務 的 経営 基盤 の 悪 化 と資 本市 場 にお ける資 金 供給 の不 振 は、 企業 の生 産 を抑 圧 し 、投 資 と雇用 を萎 縮 させ てい る。 他 方、 家計 の 消費需 要 は、 雇 用 と賃 金 の不 振、保 有 資産 の 減価 、低 金利 政 策 に起 因 する利 子 ・配 当 収 入 の減退 、 将来 に対 す る不安 な どに よっ て低 迷 を続 けてい る。 以 上 のよ うな長 期停 滞 要因 を打 ち消し 、 日 本 経済 を回復 さ せ る 要因や対 策 の力 は現 在 まで の とこ ろ劣 勢 であ る。 このた め、こ の ま まで は失 業 の急 増、中央・地 方 政府 の 一般 財政 の大幅赤 字 、福祉・ 医 療 の 水準 を決 め る社会保 障 基 金財 政 の破 綻 な ど、 国 民生 活 の本 格 的 な悪化 が 目前 に 迫っ てい る。 政 府 は こうし た日本 経 済 の危 機 を関 係 す る分 野の「 改革 」 と「緊 急 経済対 策 」 によ って 克服 し よ う とし てい るが 、 まだ有効 な政策 を把 握 して い ない よう に み える。 現 在の ところ、 実行 可 能で 効果 の あ りそ うな対 策 を探 し て は、 そ の成 功 を願 い なが ら試行 錯 誤 を繰 り返 し てい る段 階 にあ る。 その た め、 経 済の不 振 と長期 停 滞 に対 す る政 府 の対 策 は総 じ て不 適切 で あ り、 ま た適切 と思わ れ る対 策 も出し 惜し み・ 逐次投 入 の 失敗 を繰 り返し 、 最後 に は問題 先 送 り の悪弊 に身 を任 せてい る、 とさ え みら れてい る。 この よ うに。 日本 経済 は景気循 環 を内 部 に含 みな がら も10年 を越 える長 期停 滞 を続 けて い る。 そ の 姿を 角度 を変 え て冷静 に 観察 す る と、 金融 機 関 と企 業 を 主体 とす る資 産 減 価に よ る ものの外 に、 い くつ か の要因 の存 在 に気 付 くこ とと なろ う。 例 えば、80年 代半 ば の対ド ル 円 為替 レ ート の大幅 な切 り上 げ、90 年代 半 ば のド ルに リ ン クし た元 の 切 り下 げの影 響 を受 けて、 国 内 市場 におい て多 くの産 業 が競 争力 を失い 、販 売不 振 に 陥って い る こ とで あ る。 また 、日 本 の大企 業 は過 大で 硬直 化 し た た め、消費 需 要 の多 様化 ・ 質的 変化 など の経営 環境 の変 *東 洋大学 国際地 域 学部非 常勤 講 師

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2 国際地 域学 研究 第6 号2003 年3 月 化 に対 応 出来 なか っ た り、 その速 度 が遅 過 ぎ たりし て、 経営力 が 低下 し てい る。 その 背景 に は日 本 に特 徴 的 な社 会組 織や 社会 慣行 が あ る。 こ のこ とが日 本 経済 の長 期停 滞 要因 に なっ てい る、 とい う 説 も現 わ れて いる (注)。 こ の論 文 で は、第2 次世 界大 戦 後 の高 度経 済成長 が始 まっ た1960年 代以 降 の日本 経 済 と経 済政 策 に つい て、10年 単位 の巨 視的 な 回顧 を行い 、 そ れぞれ の特 徴 を明 らか にし よう と試 みた。 また 、 そ れ ら各 年 代 の経 済 に対 する見 解 と政 策的 評 価 を行っ て みた。 こう し て40年 間 の日本 経済 と経済 政策 を長 期 的に 回顧 し た結果 、90年 代 の長期 停 滞 に対 する 見 方 が固 ま り、「5. 今後10年 に残 さ れた 政策 課題 」 とし て具 体的 な提 案 を行 う こ とが可 能 となっ た。 なお 、 専門 外 の読 者の た めに、 各 年代 の 経 済を象 徴 する よう な「 経済 年表 項目 」 を 最初 に提 示 す る こ とにし た。 可 能 な限 りそ の年 代 の 経済 像 を明 らか にし よう と するさ さ やか な努力 であ る。 1 。1960 年 代 の 日 本 経 済1.160 年代 経 済 を象徴 す る経 済年 表 項目 ・ 国 民 所得 倍増 計 画 (60.12 ) ・「3 種 の神 器 (テレ ビ、 電気 洗 濯 機、 電 気冷 蔵庫)」 流行 語 に (60) ・ 全 国 総合 開発 計 画 (拠点 開発 構 想 )(62.10 ) ・ スケ ール・ メ リット の追 求 (巨 大 高炉 建設 、 石油化 学プ ラント 建設 な ど)(62) ・OECD 加 盟 (64.4 ) ・東 京 オリ ンピ ッ ク開催 (64.10 ) ・名 神 高速 道路 お よび東海 道新 幹 線 が開 通 し、 高速交 通時 代 始 ま る(64) ・乗 用 車 の輸 入 自由化 (65.10 ) ・昭 和40 年不 況深 刻化 、 大型 倒産 増加 、 戦後 最 大の証 券 不況 (65) ・初 めて2.8億ド ル の輸 出超 過 に (65) ・ この 頃 か ら公害 問題 深刻 化 (66) ・66 年 度I 人 当 たりGNPIOOO ド ル 台 (67) ・ 大 学紛 争 激化 (68) ・3C (カ ー、 クー ラ ー、 カ ラ ーテレ ビ) 時代 (68) ・GNP1428 億ド ル、 自由世 界第2 位 と な る(68) ・ 対 米 貿易 収 支黒 字 定着 ・貿 易摩 擦 発生 (68) ・新 全 国 総合 開 発計 画 (大規 模プ ロ ジ ェ クト 構想)(69.5 ) ・米 の 生 産 過剰、 生産 制 限問 題化 (69) ( 注) 例 えば、 参考 文献 の井原(2001 )、野 口 (2002) を参 照

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1 青 木: この40年 の日 本経 済 と今後10年に残 さ れた マ クロ経 済政 策 の課題 260 年代経 済 を示 す若干 の指 標 年 度I96019651970名 目 千 億 円167337753 | 人 当 た り 年 度 国 民 所 得 千 円196014519652731970586 名目 年平 均 増加率 % 15.1 17.4 国 内 総 支 出 実 質 年 平 均 増 加率 % 9.1 10.9 同 左 年 平 均 雇用 者 報 酬 増 加 率 % 千 円27913.551416.5997 デ フ レ ー タ ー 年 平 均 増 加 率 % 5.6 5.8 同左 年平均 増加率 % 13.0 14.2 就 業 者 数 万 人446547545109 3 1 。360 年 代経 済 と経 済政 策 の特 徴1960 年 代 は日本 経 済が 最 も活力 旺盛 だ っ た高度 成長 期 に当 た る。1955 年 (昭 和30年 ) から1972年 (昭 和47年 ) までの17年 間 が日 本 経 済の 高度 成長 期で あ り、 こ の 間 の 実質 経 済成長 率 は年平 均9.3% に達し た。 また、 この間 に は4 回 の景 気拡 大 期 があ り、その う ち 神 武 景気(54∼57 年、31 ヵ月 )、 岩戸 景気(58∼61年 、42ヵ 月)、 いざ な ぎ景 気(65∼70 年、57ヵ 月 ) は長期 に わ た る景 気拡 大期 とし て特 に 名称 が 付け ら れてい る。 高度成 長 を 象徴 する の は60年 に池 田 内 閣 が表明 し た「国 民 所 得倍 増計 画 」で あ る。 こ れ は61∼70 年 の間 の実 質経 済成 長率 を7.8% と計 画 し、国民 所得 を倍増し よう とす る もので あっ たが、実 際 はこ の 計 画以 上 に経 済 は成長 し た。 国民 は所 得 の増加 を前提 とし て そ れに 見合 う支 出 を する よう にな り、 企業 は無 理 をして も設 備投 資 を押 し 進 め、 市場 の シェ ア を確保 し て 将来 に備 え る とい う態度 が一 般 化 し、 企業 間 の シェ ア競争 が 激化 し、 熱狂 し た投 資が 巻 き起 こっ た。 高 度成 長 の要因 とし て は、 需 要 と供 給 の両面 から説明 さ れてい る。 需 要面 から は、 ① 「 投資 が投 資 を呼ぶ 」と言 われ た よう に、 新 製品 の登 場や 需 要の 増 大に より生産 能力 が不足 し 、 こ れを拡大 するた めの設 備 投 資 が盛 り上 がっ た こと、 ② 「三 種 の神 器」(白黒 テレ ビ、 洗濯 機 、 冷蔵 庫) や3C (カ ラ ーテレ ビ、 ク ーラ ー、 自 動車 ) な どの耐 久 消費財 の 普及 に よ る個人 消 費 の牽 引力 、 ③ 品 質の向 上 に より国 際競 争力 が向 上 し た こ とや円 安 気味 の円 レ ー ト によ る輸 出の 拡大 があ げ ら れてい る。 また、 供 給 面 から は、 ④欧 米 諸国 との技術 水準 に差 が あ り、 応 用可 能 な技術 革 新 の芽 が豊 富 に存 在し た こ と、 ⑤ 労働 人口 増 加率 が高 かっ た こ と、 ⑥ 農村 か ら都 市へ の大量 の人 口移 動 があ っ た こ と、 ⑦ 高学 歴化 が 急速 に進 展し、 高度 成 長 を人 材面 か ら支 え るも の となっ た こ と、 があ げら れて い る。 高度成 長 期 は、①「系 列」、 株式 持 ち合 い に みら れる企 業 グ ル ープ の存 在、 ② 年功賃 金 、長 期 雇用

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4 国際 地域 学研究 第6 号2003 年3 月 に代 表 さ れる 雇用 シ ステ ム、 ③メ イ ンバ ン クな どの 金融 仲介 シ ステ ム、 な ど「 日本 的 」 と呼 ば れる 経 済の 慣行 、 制度 が 確立し て いっ た時 期 で もあ った。 こ れら は歴 史 的 に は古い もので は な く、 急 速 に成 長 を 続け る過 程で 根付 い て きた もの と見 られてい る。1960 年代 に はい る と、 国の 内外 か ら貿 易 自由 化を求 める 声が 高 まっ た。59 年 に は、 日本 の対米 輸 出が 急増 し 、ア メリ カ の日本 に対 す る輸 入制 限撤 廃 要求 が 高 まり、IMF やGATT の場 で も自由化 促 進 の要請 が 強 まっ た。国 内的 に も、開放 経済 移行 に対 する不 安 は強 かっ た もの の、 政 府に よ る貿 易 為替 管 理 体制 に と もなう 不合理 性 が除 去 さ れて 原材 料 の輸 入 が 容易 に なる な どの理 由 から 、 自由化 を積 極 的 に受 け 入 れよ う とする意 向 もあ っ た。60 年 に政 府 は貿 易 為替 自 由化 計 画大 綱 を作 成し、開 放 経済 を目 指し た。 また、63年 に はGATTl1 条 国(国 際収 支上 の理 由 で輸 入制 限 がで きない 国)、64年 に はIMF8 条 国(国 際収 支 を理 由 とし て 為 替 管 理 を行 えない 国)に移行 し 、同 年 、 資本 の 自由化 が要 件 とし て義 務づ けら れてい たOECD に も 加 盟 し た。 この よう にし て、 日本 に も自 由貿 易 の利 益 を活 用 する途 が 開か れ るこ と にな っ た。1965 年 の不 況 は「(昭和 )40年 不況 」 と名 付 けら れ、「 戦後 最 大 の不況 」 とさ れた。 大 企業 で も破 綻 す る もの が出、 生 産調 整や 不況 カル テ ルに 踏 み切 る企 業 が増 加し た。 また、「証 券恐 慌 」と呼 ば れ る よ うに 山一 証 券が 倒産 の危 機 に 見舞 わ れ、 日本銀 行 は無 期 限、無 利 子 の特別 融 資 を行 っ た。 政 府 は財 政支 出 を大 幅 に増大 さ せる と ともに、 特 例法 に よって 、戦 後 初 の赤字 国 債 の発 行 を行 っ た。 この不 況 はド ッ ジ・ ラ イン に も とづ く均 衡 財政 ・赤 字公 債 不発 行主 義 を大 きく転 換 させ 、 そ れ以 降 、 不況 期 に な る と国 債発 行 に よっ て財 政 支出 を増大 さ せる ケ イン ズ政 策 を可能 にし たが 、 同時 に 巨 額 の 国 債を累 積 させ、 国 債費 負 担 を増 大 させ る遠因 となっ た。 皮 肉 な こ とに、65年 末か ら景 気 は急 速 に 回復し 、以 後5 年 間 にわ た る日本 経 済史 上最 長 の「い ざ な ぎ景 気」 を迎 える こ とになっ た。 高度 成長 の 下で、 日 本 の経 済社 会 に は顕 著 な変 化 が見 ら れた。 産 業 の構 成 は、名 目GDP お よび就 業者 の双 方にお い て、第一 次 産業 の割合 が著 し く低 下 し て 、第 二 次産 業 と第 三 次産業 の割 合 が と もに上 昇し た。 また、 そ れ まで長期 的 に過剰 状態 にあっ た労 働力 需 給 は60年 頃 から 逼迫 に転 じ、 賃 金 水準 の 著し い上昇 、 企業 規模 別 ・年 齢別 の 賃金 格差 の縮 小 が起 こっ た。さ ら に、この こ とが生 産 性 格 差の 存 在 と相侯っ て生 産 性格 差 イ ンフレ ー ショ ン の要 因 となっ た。その た め、卸売物 価 の安 定 の中 で 、消費 者物 価 は60年 頃 から上 昇 が目 立 つ よう に なっ てい っ た。 国民 生 活 にお い て は、 耐久 消 費 財が 普 及し 、「 消費 革命 」 が引 き起 こ さ れる一 方、「一 億 総 中 流 意 識 」 が形 成 さ れた。 社会 的 イ ンフ ラ スト ラ クチ ャ ーを みる と、64年 に は東海 道 新幹 線 の東 京一 大 阪間 、 有料 高速 道路 の小 牧 一西 宮 間が そ れぞ れ開通 す る な ど、 本 格的 な整 備 が進 め ら れた。 道路 網 の整 備 と自 動車 の普 及 によ り モー タリ ゼ ーショ ンが 進 み、 物 流 の根幹 を担 う もの は鉄道 か ら自動 車 へ と変 わっ た。 こうし た中で 「 高度 成長 の歪 み」 も顕 在化 し た。生 活関 連 の イン フラ整 備 が立 ち 遅 れた。 また 、 地 域 経 済格 差 が拡大 す る一 方、 地 方 から 大都 市 への急 速 な人 口 移動 に よって、 大 都 市で は過 密が 発 生 し 、地 方で は労 働力人 口の 急減 に と もな う活 力の 低下 が起 こ った。さら に、四 大公 害 病 の 水俣 病 、

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青木 : この40年 の日 本経 済 と今後10年 に残 された マ クロ経 済政 策 の課題 5 新潟 水 俣病、イタ イイ タイ病 、四 日市 ぜ んそ くを はじ め とし て、全 国で 公害 問題 が深刻 化 して い た。 こ のた め、67年 に は公害 対策 基 本法 が制定 さ れ、7!年 に 環境 庁 が設 置 さ れる な ど公 害行 政 が本 格 化 し た。 社 会保 障 制度 を み ると、61年 に国 民 年 金制 度 が発足 し、 国 民 年金 ・皆 保 険 が実現 し た。 また、60 年代 後 半に は、 こ れら の給付 水 準 が大 幅 に引 き 上 げら れた。1960 年代 後半 の 経済拡 大 の中 で日 本 経 済 の国 際競争 力 は次 第 に 強化 さ れ、「 国際収 支 の 天井 」とい う成 長制 約 は解 消さ れてい っ た。68 年 頃 か ら残存 輸入 制 限品 目 の整 理 縮減 、 ケネ ディ ・ ラウ ンド に よ る関 税一括 引 き下 げ等 を 積極的 に推 進し た。 1 。460 年代 の 日本経 済 に対 する 見 解 と政 策的 評価60 年代 の日本 経 済 は年 率10% の高 度 経 済成 長 を続 け、 国民 の生 活 、産 業 、 そし て専門 教 育 か ら公 共施 設 にい た る社会 経 済基盤 もド ラマ ティ ッ クな変貌 を 見 せた。今 日 の経 済 は昨日 の そ れ と異 な り、 明 日 の 経 済は今 日 のそ れ と異な る よう な早 い 変化 があっ た ので、「 経済 改革 」が日常 的 に起 こっ て い た と も見 るこ とが出 来 る。 家 庭 に は「3 種 の神 器」 や「3C 」 な どの異 なっ た耐久 消費 財 が 次々 と導 入 さ れ、 家事 労 働 の節 約 や消 費 革命 が惹 き起 こされ た。大 都市 で は、郊 外 か ら都 心 へ の通勤 者 が 年々 激増 し、「 奴隷 船 を超 え る」混雑 度 の通勤 電 車が 出現 す る一 方、2 次 に わた るマ ン ショ ンブ ー ム の結果 、都 心の「空 中居 住者 」 も増 えた。 衣食 住 をはじ めと す る生活 の状 態 は目 に見 え て向 上 し た。 上 級 学 校 へ の進 学 率 の上 昇 も顕 著 で あっ た。 庶 民 の情 熱 と家 計所 得 の 高 い伸 び が こうし た こ とを実 現 させ た ので あ り、 そ れは また、 雇 用 と賃 金 の高 い伸 びに よっ て可 能 となっ た ので あ る。一 方、 生 活 に とっ て良 い もの の情報 はテレ ビ と隣人 か ら豊富 に 得ら れた。 雇用 と賃 金 の源 泉で あ る企業 にお い ては、 良 い 製品や 優 れ た生 産 方法・ 販 売方 法 の情報 は欧 米 先 進 国 から豊 富 に得 ら れた た め、 これ を生 産、 販 売 の現場 に 適用 す れ ば、 よ く売 れて 儲 かるビ ジ ネ ス を展 開す る こ とがで きた。 そ れ まで の技 術的 蓄 積 と技術 者 の水 準 、商 業 的能 力 か らみ る と、 そ の よ う な応 用 や改 良、 改善 に は ほと ん ど困難 が な かっ た はずで あ る。 完成 し た技 術 の導 入 も容易 で あっ た し、 それ に対 す る政 府 の支 援 もあ っ た。 困難 が あっ た とす れば、 新 技術 を 組 み込 んだ生 産設備 の新増 設 に 必要 な 資金 の調 達で あ った。 家 計 の貯 蓄 率 は高 かっ たし、 金 融仲 介 制 度 は発達 し て いた が、当 時 の 高い 経 済成 長 を達 成す るう えで 質 量 ともに十 分 な資 金 を供 給す る こ とは出 来 な かっ た。 と くに、 回 収期 間 の長 い設 備 投資 資金 の供 給 は困難 で あっ た。当時 、企業 規 模 の大 小 に かか わ らず、設備 投 資 の競 争力 強化 効 果 は大 きかっ た。 そ こで、50 年代 に引 き続 い て、 日本 銀 行 は低 金利 政 策 を行 い 、同 時 に政 府 は「 基幹 産業 」 の主 要 企 業 に長期 低利 資 金 の供 給が 集中 す る よう な政 策 を行 った。 また、 租 税特 別 措置 によっ て資 本 コス ト の引 き下 げ を図っ た。 し か し、 こうし た 産業 資 金 の超過 需要 状 態 は60年代 前 半で 終わ り、65年 不 況 (昭 和40年 不況 ) を境 にし て産 業 資金 の超 過 供 給時 代 に入っ た ので あ る。

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6 国 際地 域学 研究 第6 号2003 年3 月 60年 代 まで の日 本産業 が 生 み 出し た ユニ ー クな もの は2 つ あ る。 そ の第 目 ま、 鉄 鋼、 石油 化 学、 石 油精 製 な ど新鋭大 型生 産 設備 が 立地 し た臨 海工 業 地帯 で あ る 。 そ こ には海 外 の最 も安 い鉄 鉱石 、 原 油 な どの原材 料 を輸送 費 の安 い 大型 船 で運 び、 規 模 の経 済 を 生 かし た低 コ ストの 生産 を行 っ た。 そ の た め、 船舶 、 鋼材 な どの製 品 を高 い競 争力 を もっ て輸 出 す る こ とが 出来 たので あ る。 その 第2 は、三 種 の神 器 や3C な ど、消費 革 命を もた らし た耐 久 消費 財 の規 格量 産工 業 で あ る。こ れ は、 機械 、電 気 、電 子 の技術 的 知 識 を統 合利 用し、 小 部品 の製 造 と組 立 から な る工 程 を規 格 化 、 量産 化 し て高 信頼性 ・ 低 コ スト の製 品 を生産 する工 業 で あ る。 部 品 製造 は 専門 分化 し た小 規 模 の 系 列 企 業 が分 担し 、 組立 は親 企業 の大 規模 工場 が分 担 する。 また、 消費 者 へ の製品 販 売 経路 で は、一 般 に排 他的 取 引や テ リト リ ー制 を採 用し 、 従業員 の 訓練、 経 営方 法 、金 融 な どの支 援 を加 えた 独 自 の 経営 政 策が 見ら れた。 消 費 者 に対 す る広 告宣伝 活動 は組立 メ ーカ ーが テレ ビ、 雑 誌 、新 聞 を通 じ て活 発 に 行っ た。 こ れら の製 品や そ の製造 、 販売 、 企業 経営 、資 金調 達 の方 法 の原型 はほ と んど は欧 米先 進 工 業 国 か ら導 入 さ れた もので あっ た。 し か し、 これら を当時 の 日本 の 実状 に良 く 適応 させ 、 あ るい は日本 の伝 統 的 方式 を活 用 する な どの工 夫 が みら れ、 日本 独自 の優 れた方 式 を生 み出し た。 また 、上 記 第1 の臨 海工 業 地帯 の造成 に つい て は、 政 府が 特別 な工夫 を 行っ た。60 年策 定 の 所 得 倍増 計 画 は10年 間 で国民 所 得 を2 倍 に す る目標 を置い て い た。こ の目 標 を達成 す る た めに は、鉄 鋼、 石 油精 製 な どの基 礎資 源型 工 業 にお い て将来 の生 産増 に対 応 し た生 産設 備 の新増 設 が 必 要 と なる の で、 太 平洋 ベ ルト 地帯 に6 つ の工業 整備 特別 地域 を整 備 す るこ と とし た(64年 )。 また、 新 産 業 都 市 建 設 促 進 法(62年 ) は14の臨 海工 業 拠点 と1 つ の内陸 工業 拠 点 を全 国 に分散 整備 し て、 地 方 の振 興 と地 域 所 得格差 の 是正 を狙 っ た。 鉄鋼 、石 油化 学、 石 油精 製 な どの 「基 幹産 業」 が新 鋭 大型 設備 に対 する投 資 を積 極化 し た の は、60 年 代 の課 題で あ った貿 易 、 外国 為替 、対 外 資本 取引 の 自由化 に対処 し て、 国際 競 争力 を飛 躍 的 に 高 める必 要 があ っ たた めで あ る。 貿 易、 外 国為 替取 引 の自 由化 とい う60年代 日本 経済 の課 題 は、 実行 し て みる と、 当初 考 え ら れ た より は るか に容 易 に実現 さ れた。 自 由化 を進 めた に もか かわ らず 、60年代 後 半 にな る と、 経 済成 長 率 が 高 まっ て も国際 収支 は悪 化 し な くな っ た。 そ れ まで悩 まさ れ て きた 経済成 長 の「 国際 収 支 天 井」 は もは や存 在し な くなっ た ので あ る。 そ の主 要因 は、輸 出産 業 の 国際 競争 力 が高 まり、 輸 出 の水 準 が自 由 化 し た輸 入を常 に上 回 る よ う になっ た ためで あ る。 こ れを政 府 の立 場 から 見 る と、 そ れ まで の輸 出 産業 の育 成 政策 が 短期 間 に成 功 し たこ とにな る。 し かし 、同 時 に アメ リカ の民 間 産業 がベ ト ナム戦 争 に よっ て国際 競 争力 を 失っ た こ との影響 も見逃 せ ない 。60 年 代 の 日本 経済 におい て は、 日 々 に新 た な需要 が 湧出し 、 年々 新製 品 や革 新的 な供 給方 式 が 出 現し た う え、65年 不況以 降 は経 済成 長 の国 際収 支制 約 と資 金不足 制 約 がな く なっ た。 そ のた め、 極 め て高 い 経済 成長 が 実現し 、 代 わっ て労 働供 給面 の制 約 が現 れ て きた。 中小 零細 企 業 を中 心 に 労 働 力 不 足 が発 生し 、 とくに生 産性 の低 い 流通・ サービ ス部門 の価 格上昇 が 著し い もの となっ た 。 これ

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青木 : この40年 の日 本経 済 と今 後10年に残 さ れた マ クロ経 済政策 の課題 7 は「 生産 性格 差 イン フレ ー ショ ン」 と呼 ばれ たが、 高 度経 済成 長 の歪 みの一 つ であ った。 また、 公 害、 環境 悪化 が年々 深刻 に なっ てい っ た。 さ らに、 大 都市 にお け る交 通 混 雑、住宅 不足、 生 活関 連 施 設整 備 の遅 れ も顕著 な もの と なっ た。 国民 の貯蓄 と経常収 支 黒字 が蓄 積 する一 方、 経 済の 規模 に 対 し て社 会資 本 の不足 が 目立 って い た。 こ うし た高 度成長 の歪 みに対 し て、 政 府 の対 策 は追 いつ かな かっ た。 そ のた め、 多 く の歪 み は放 置 さ れた ままと なり、 深刻 の度 を加 えて いっ た。1969年 に 策定 さ れた 新全 国総 合 開発計 画 は こう し た歪 み、不 均衡 を一 挙 に 解決 す るた めの 計画 で あっ た。 し かし 、計 画 の 実行 に は新 し い考 え 方や 法 制度 ・ 慣行 の改 正 が必 要で あっ た た め、 行政 の保守 性や 自省 中 心性 (=縦 割 り行政 ) に よっ て阻 ま れ る こ ととなっ た。 こ の ような経 済状 態 の場 合、 財 政金 融 政策 に よっ て経 済成 長 率 を引 き下 げ るの が適 切で あっ た。 そ れ は技術 的 に容易 で あっ た が、前例 がな い た めそ の必 要性 を思 いつ くこ とが出 来 なか った。また、60 年代 末 に は、 年率10% の 高度 経 済成 長 の も とで、貿 易収 支 黒 字 が恒常 的 に発 生し 、対 米 貿 易摩擦 が起 こ るよう になっ て い たので あ る。 その対 策 を将 来 の重大 問題 とし て気 付 いて研 究 し てお くべ き であ っ た。 さら に、 公害 、環 境 破壊 に対 す る対 策 が遅 れた のは非 常 に残 念 であっ た。 と くに産業 官 庁 と大 企 業 の そうし た対 策 への 反対 は一 方 的 で、凄 まじ い もの があっ た。 もし、 この時 、環 境保 全 の 重大 さ と環境 保 全産業 の将 来性 に気付 い て いた ら、 日 本 は世 界各国 から尊 敬 さ れ る とと もに、 その産 業競 争力 は強力 な も の となっ てい た はず で ある。 2 。1970 年 代 の 日 本 経 済2.170 年 代経 済を 象徴 する経 済年 表項 目 ・大 阪万 国博 覧 会開 催(70) ・こ の年 、 公害 問題 最高 潮 (70) ・外貨 準備 高152億ド ル に急 増 (70) ・1 ド ル =308円 の新レ ート 実 施 ( ス ミソニ ア ン・レ ート)(71.12 ) ・列 島 改造 土 地ブ ーム (71年 度 長者 番付上 位100 人中95人 が土 地 成 金)(72) ・ ス ミソ ニア ン体 制崩壊 、 円変 動 相場 制 へ 移行 (73.2 ) ・ 第一 次 石油 危機 (第 四次 中東 戦 争)(73.10 ) ・ こ の年 、戦 後初 のマ イ ナ ス成 長、 狂乱 物 価 (WPI31.4 %、CPI23.3% 上昇 )(74) ・「第 三 次全 国総 合開 発計 画」(定 住 構想 )(77.11 ) ・ 政府 、 円 高緊急 対策 決定 (30億 ド ル の緊 急輸 入 等)(77.12 ) ・1 人当 た りGNP5000 ド ル超 え る(77) ・ 貿易黒 字増 加、 円 高騰 (円 高 不況 、 とくに中 小 企業)(77) ・ 外貨 準備 高激増 (330億 ド ル余 )(78)

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8 国 際地 域学 研究 第6 号2003 年3 月 ・ 第 二 次 石 油 危 機 (OPEC 石 油 大 幅 値 上 げ )(79.6 ) ・GNPl 兆 ド ル 超 え る (79 ) 2 。270 年 代 経 済 を 示 す 若 干 の 指 標 年 度197019751980名 目 千 億 円75315242455 1 人 当 た り 年 度 国 民 所 得 千 円 1970 1975 1980 586 1109 1706 名 目年平均 増加率 % 15.1 10.0 国 内 総 支 出 実質 年 平 均 増 加 率 % 53 44 同 左 年 平 均 増 加 率 % 13.6 9.0 雇 用 者 報 酬 千 円99722863323 デ フレ ー タ ー 年 平 均 増 加 率 % 10.2 5.5 同 左 年 平 均 増 加 率 %18 」7.8 就 業 者 数 万 人510952405552 2.370 年代 経 済 と経 済政 策 の特 徴 日本 が黒 字 対策 の追 われ るよ う にな っ たこ の時 期 に、 ア メリ カ の国際 収 支赤 字 が増 大し て、 国 際 収 支 不安 が 高 まった。71 年8 月 、 アメ リカ は金 とド ル の交 換停 止、10% の輸 入課 徴 金、 為 替レ ート の多 角 的 調 整 な ど の ド ル対 策 を打ち 出し た (ニ ク ソン・ショ ッ ク)。12月 に は、先 進国 は10力国 蔵相 会 議会 議 (GIO ) を 開 き、国際 通貨 の多 角的 調 整 を行 っ た。ド ルは金 に対し て、約8 % 切 り下げ ら れ、円 はド ル に対 し て 切 り上 げ られ て1 ド ル =308円 となっ た。 アメ リカ の国 際収 支赤 字 が なお も収 まらない 中 で、72年6 月 か ら翌 年1 月 にか け て、 英 ポ ンド 、 イ タリ ア・ リ ラ、 スイ ス・ フラ ン が相 次 いで変 動 相場制 に移行 す る こ とによ り、 国際 通貨 の 動揺 が 繰 り返 さ れ、2 月 に は激し い通 貨 投機 が起 こった。 こ れに対 し 、ア メ リカ は再 度、SDR に対し て、10 % のド ル切 り下 げを 実施し 、 日 本お よび各 国通貨 は変 動 相場 制 に 移行し た。1970 年 後 半 に景気 は下 降 局面 に入っ た。 円 切 り上 げ な ど もあっ て 不況 は深 刻化 し たが 、72 年 に入 る と内需 拡 大政策 の効果 が 現 れ、 景気 は上 向 きに転 じ た。 し かし 、 そ れは急 激 なイ ン フレ の 進行 を と もな う もので あ った。 国 際収 支 の大 幅黒 字、 外貨 準備 高 の増 大、 金融緩 和 の推 進 に と もな い多 額 の過 剰 流動 性 が生じ て いた 中 で、 円切 り上げ へ の対 応 とし て 大型 予 算が 組 ま れ、 田 中 内 閣の 日 本列 島改 造論 が 推 進さ れ るこ とに なっ た。 この こ とは、人々 の成長 期 待 を高 め、 そ の後 の イ ンフレ 、 と く に土 地、 株式 な ど の資産 価 格 の大 幅 な上昇 の一 つ の要因 となっ た。 国 際的 に も、ド ル の流 出 に よ る 過剰 流動 性 の傾向 が 強 まり、 各 国 経 済の同 時的 拡大 は 需要 イ ンフレ 基調 を強 めた。 こうし た状況 下、73年10 月 の第 四 次中 東戦 争を 引 き金 とし て第 一 次石 油危 機 が発生 し 、 原 油 価 格 が一 挙 に4 倍 に引 き上 げら れる と と もに供 給量が 削減 さ れ たた め、「狂乱 物 価」状 態 が 出現 し た 。74

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青 木 : こ の40 年 の 日 本 経 済 と 今 後10 年 に 残 さ れ た マ ク ロ 経 済 政 策 の 課 題 9 年I ∼3 月期 の 卸売物 価 は年 率50% 、 消費 者 物価 は同40 % の急 騰 を 示し 、74年 の春 闘賃 上 げ 率 は32.9% の上 昇 となっ た。 石 油危 機 に より世 界 の経 済成長 率 は落 ち込 み、 イ ンフレ が 高 進し た。 また、OPEC 以 外 の 各国 で 国 際収 支 が悪 化し た。 異 常 イン フレ を終 息 さ せ るた めの厳 し い引 き締 め措 置 と、石 油 消費 国 の国際 収 支赤 字 に よる デフレ 効果 か ら、 世 界 経済 は極度 に縮小 し た。 日本 も、74年 度 の経 済成 長 率が マ イ ナ ス0.2% と戦後 初 のマ イ ナス成長 を 記録し た。 石 油 依存 度 の高い 日 本 経済 を立 ち直 らせ る た めに は、 異常 な イン フレ を終 息 させ る こ とが先 決 と さ れ、強力 な需 要抑制 策 が 実施 さ れた。公定 歩 合 は9 % に引 き上 げ ら れ、74年 度 の公共 事 業費 は伸び 率 が ゼロ に抑 制さ れた。 また、 基 礎物 資 お よ び生活 関 連物 資 に対 す る緊 急対 策が 実施 され た。 こ れ ら の措 置 によ り、物 価 も74年春 を ピ ー クに沈 静 に向 かい 、国 際 収 支 も改善 に向か っ た。 物 価沈 静 化 への動 きを受 けて 、75年 に 入 る と経 済運営 は物 価 安定 をに ら みつつ も景 気刺 激を はか る立 場 に転 換し、 景 気 は75年3 月 を底 とし て回 復 に転 じ た。 日 本 経済 は、 そ の後77年 に景 気 の中 だ る みが みら れ た ものの、 金融 緩 和、 財 政 支出 の 増加 な ど もあ っ て拡 大 を 続け た。 し かし 、78年 秋 に、 イラ ンの 政情 不安 を契 機 とする世 界的 な需 給 の逼迫 か ら第 二 次石 油危 機が 発 生 し た。 産 油国 は数 次 にわ たっ て石 油 価 格 を引 き上 げた が、 物 価 は比 較的 安定 し てい た。 日本 経 済 に与 え た影 響 は前回 時 より も軽 微 であ り、 国 際的 にみて も良 好 なパ フ ォ ーマ ン スを保 っ た。 そ の要 因 は、第 一 次石 油危 機 の経 験に よ る学 習効 果 があ っ た こ と、 お よ び資 源エ ネルギ ー節 約型 経 済へ の 転 換 が 進ん でい た こ とで あ る。 二 度 に わた る石 油 危 機を乗 り 切 る 過程 で、 日 本経 済 は高度 成 長 から 中成 長 へ と変化し た。 財政 面 で は、 第一 次石 油危 機後 大 幅 な赤字 が 発生 し 、 大量 の国 債 が発 行 さ れ、 その残 高 が累 増 す るよ うに なっ た。 企 業 は過剰 人員 の削減 、 借入 金 圧 縮な ど の減量対 策 を進 め、 高度 成長 期 に低 下 を続 け た自 己 資 本比 率 は1974年 度 を底 に上 昇 に転 じ た。 労 働需 給 は緩和 し 、都 市 へ の人 口集 中 も70年 代 後半 に 入っ て 収束 し た。 こ うし た 中 で、日本 経 済 を新 たな 成長 へ と導 く動 きが芽 生 え てい っ た。そ の第 一 は情報 化 であ り、 情報 通 信技 術 の発達 は、企 業・ 産業 部 門 の効 率 化 のみ なら ず、 経 済 社会 のあ ら ゆ る分 野 に その影 響 を 及ぼし て い った。 第 二 の流 れ は生 活 の質 的向 上 ニー ズ の高 ま りであ り 、 消費生 活 の サー ビ ス化 ・ ソ フト 化 が進 んだ。 その 結果、 多 様 な サー ビ ス産業 が 花開 き、 そ れらを 含 む第3 次産業 の 構成比 が 著 し く高 まっ た。 第三 の 流 れは国 際 化で あ り、 商 品貿 易以 外 の分 野 (サ ービ ス、 人 、資 金 )で も国 際 的 な移 動が 高 まっ た。 外国為 替 管 理 法が 原 則自 由 の方針 の もとに 抜本 的 に改正 さ れた。 金融 の国 際 化 は、 公社 債市 場 の発 達 など と もあい まっ て 金融 の自由 化 を 促 すこ と となっ た。 また、 資 源エ ネ ル ギ ー問題 が 強 く人々 に認識 さ れ たこ とで 、 省エ ネル ギー・ 省資 源へ の取 り組 み が進 ん だ。 その 結 果 、 日本 は世 界 最高 の資 源節 約型 生 産技 術 を打 ち立 て、 こ れを 基礎 にし て日本 の 輸出産 業 は最 強 の 国 際競 争力 を 持 つにい たっ た。

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10 国際 地域学 研 究 第6 号2003 年3 月 2 。470 年 代経 済 に対 する 見 解 と政 策的 評価70 年 代 の 日本 経 済は、未知 の大 事件 に連続 的 に遭遇 し て、文 字 どお り 激震 と危 機 の直 撃 に喘 い だ。 す な わち 、 ①公 害問 題、 ②ニ クソ ン・ショ ッ クによる国 際通 貨 体制 の 動揺 、③ 円 の切上 げ(1 ド ル =360 円 か ら308円 へ) と変 動 相場 制 へ の移行 、 ④過剰 流 動性 と日本列 島 改造 論 に よ る土 地 、 株式 への 投 機、 ⑤ 第 一 次お よび第 二 次石 油 危 機、 であ る。 とくに 、 第一 次石 油危 機 は日 本 経 済の 存立 基盤 を根底 か ら揺 るがし 、 各種 の 緊急対 策 を 強 要さ せ る とと もに 、石 油価 格 高騰 に よ る異常 な イ ンフレ の発 生 とそ の対 策で あ る強力 な総 需 要抑 制 策 の発 動 、中 長 期 的 な資 源エ ネル ギ ーの 節約対 策、 な どを余 儀 なく さ せた。 また、2度 にわた る石 油危 機 は、日 本 の産 業 を資 源エ ネル ギ ー節約 型 に転 換 する とと もに、日本 経 済を 実質 年 平均4% 台 の中 成長 軌 道 へ と転換 さ せた。 その 過程 で は産 業 の種 類 と構成 は大 幅 に変 化 し 、半 導体 等集 積回 路、家 庭 用VTR 、燃 料 消費効 率 の高 い小 型 乗用 車 な どの製造 業 や、多 様 な サ ー ビ ス産 業 、 新業 態 の流通 産業 な どが躍 進 し た。 また、多 くの産 業 は資 源エ ネル ギ ーの節 約 に成 功し た た め、 日 本産 業 は全体 とし て 国 際競 争力 を著し く 高め、 高 価格 石油 の輸 入 に よっ て一 時 悪化 し て い た 経常 収 支 は、間 もなく 大幅 な黒 字 を計 上 す るよう に なっ た。その う え、集 積度 の 高いIC を始 め とす るエ レ クト ロニ クス の応 用製 品で あ る乗 用車 、家電 製 品、コ ンピ ュ ータ 周辺 機 器、OA 機 器 、時 計 、 カ メラ な どの ハイ テ ク量産 工 業製 品 は世 界市場 を席巻 す る と と もに、「 ハイ テ ク大 衆化 文 明 」を 先 導 す るこ と となっ た。 こ うし て 日本 経済 の 未曾有 の 危 機で あ っ た石油 危機 は、 日本 経 済 に多 くの 犠牲 を 強い た もの の、 政 府 と民 間 の真 剣 な対 応 策 によ っ て克 服 さ れ、 そ れに加 えて産 業 の刷 新、 国際 競 争力 の 強化 とい う 大 きな成 果 がそ こか ら引 き出 さ れ たの であ る。 3 。1980 年 代 の 日 本 経 済3.180 年代 経 済を象 徴 す る経 済年 表 項目 一本 田、 米 オハイ オ州 に小型 自動 車生 産 工場 建設 計画 を発 表 (80.1 ) ・ 自 動車 生産 台 数・ 粗 鋼生産 量 と もに世 界第1 位 (80) ・ 日米 自 動車 問題 決 着 (3 年間 輸 出 自主 規制 )(81.5 ) ・米 、 農 産物 ・ 半導 体 な ど21項 目 の市 場 解放対 日 要求 (81.11 ) ・G5 、 プ ラ ザ合 意 (大幅 円 高 への 国際 通貨 調 整)(85.9 ) ・日 本 の対 外純 資 産1298億 ド ル、 世 界第1 位 (85) ・経 済 構造 調整 研 究会 報 告書 (前 川レ ポ ート )(86.4 ) ・大 手 製造 業海 外 で の生 産 を 拡大 (86) ・ 消費 税 法 成立 (89.4.1 施 行 )(88,12 ) ・1 人 当 た りGNP2 万ド ル超 え る(88) ・ 外貨 準 備 高(年 末)約977 億ド ル 、 西独 を抜 い て世 界第1 位 (88)

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青木 : この40年 の日 本経 済と今 後10年に残 さ れた マ クロ経 済政 策 の課題 ・ 人 手 不 足 顕 著 、 外 国 人 労 働 者 急 増 (89 ) ・ バ プ ル 景 気 (株 価 、 地 価 な ど 資 産 価 格 の 上 昇 )(89 ) 3 。280 年 代 経 済 を 示 す 若 干 の 指 標 年 度198019851990名 目 千 億 円245532434505 1 人 当 た り 年 度 国 民 所 得 千 円198017061985215219902841 名目 年平均 増加 率 % 7 5 u -1 v O 国 内 総 支 出 実 質 年 平 均 増 加 率 % r n ︱ r ^ i n 同 左 年 平 均 雇用 者 報 酬 増 加 率 % 24 56 千 円332340694800 デ フ レ ー タ ー 年 平 均 増 加 率 % 3 4 i 一 < N ︱ 同左年平均 増加率 % jj 43 就業 者数 万人555258176280 11 3 。380 年 代経 済 と経 済政 策 の特 徴 行 政面 で は、 大幅 な財 政赤 字 に対 処 す る ため、81年 度 を財 政再 建 元 年 とし て シー リン グ制度 の よ り厳 しい歳 出抑制 が 進 めら れる一 方、 臨時 行 政調 査会 が発 足 し(81年3 月)、 行 政 機構 や制 度 の見直 し が行 われ た。 行 政 改革 の一 環 とし て 、 社会保 障 制度 、公 企 業制 の 改 革 も行 われ、 社 会資 本整 備 に 当 た って は第E セ クタ ー方式 に よ る民 間活 力 導入 が重 視さ れ るよう に なっ た。 高 度成 長期 の終 焉 は、 海外 に 自由 に販 路 を拡大 で きた時 代 の終 焉 で もあ っ た。 そ れ まで は、 ア メリ カ経 済 の優 位 に支 え ら れた国 際経 済環 境 の も とで、 日 本 の経 済活 動 が諸外 国 に 与 える影響 が小 さか った た めに、 自 由 な販 路 拡大 が許 さ れて い たの で あっ た。 ア メ リカ は、70年 代に と くに 悪化 し た ス タグフ レ ーシ ョン (低 成 長 と インフ レ の共存 ) に対 処 す る た め、79年10月 、新 金融 調節 方式 を採 用 す る とと もに、81年2 月 に は経 済再 生計 画を発 表 し た(レ ー ガ ノ ミッ クス)。アメ リカ 経済 は82年 に 内需 中 心 の持続的 景 気拡 大 へ と転 じ た が、金融 引 き締 め と財 政 緩 和 とい う ポリ シー・ ミッ クス は金 利 を大 きく上昇 さ せド ル高 を もた らし た。 ア メリカ 経 済が膨 大 な財政 赤字 と貿易 赤字 とい う 「双 子 の 赤字 」 を抱 え る中で のド ル高 、 高金利 は、 国 際 経済 の大 き な不 安定 要 因 となっ た。 アメ リカ の景 気回 復 を契 機 に 、 日本 経 済 も83年2 月 を底 に回 復 に転 じ たが、 それ は外 需主 導 の景 気拡 大 であ り、 経常 収支 黒字 が 年々 累 積 し、 対 外摩擦 が 激化 し た。 日 本 の経 済力 の向 上 を背景 に 、70年 代 前半以 降 、 経常収 支 黒 字 が拡 大 す るたび に 日本 の「 集中 豪 雨的 な 」輸 出 が問題 に さ れて きた が、80 年代 前 半 には、 日本 の市場 の閉 鎖性 の ほう に焦点 が当 て ら れる よう になっ た。 こ のた め政 府 は、85 年 に市場 開放 アク シ ョン・プ ロ グ ラ ムの制 定、OTA (市 場 解 放問題 苦 情処 理推 進本 部 )の 設 置 な どに よ り、 市場 ア クセ スの 改善 を 図っ たが 、 日本 の 経済構 造

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12 国 際地 域学 研究 第6 号2003 年3 月 を国 際 的 に調 和 の とれた もの に変革 す る必 要性 が次第 に強 く主 張 さ れ るよう に なった 。85 年9 月 、先 進5 力国 蔵 相会 議 (G5 )が開 か れ、 ド ル高 是正 に向 け た 合意(プ ラ ザ合 意 )が な さ れ た こ とから、 急速 にド ル高 の修 正 が 進 んだ。 円 は85年9 月 か ら1 年間 に70円 も高 くなっ た。輸 入 品 と競 合 す る企業 は深 刻 な不 況 にさ ら さ れ、炭 坑の閉 山 や造 船 所 の閉 鎖 など が相 次い だ。 また、 輸 出 企業 は円 高に より輸 出 不振 の 陥っ た が、 輸 出企業 は懸 命 の合 理化 努 力 を続 け、国 際 競 争力 を維 持 し た。経 常収 支黒 字 は、逆 」カ ーブ 効 果 もあっ て容易 に縮 小せ ず、ピ ー ク時 に は対GNP 比4.5% に も なっ た。 こうし た状 況の もとで、 中 曽 根総 理 の私的 研 究会で あ る「 国際 協調 のた めの 経済 構造 調整 研 究 会 」 ( 座長 ・前 川 春雄 ) は、 経常 収 支 の黒字 是 正 を国民的 課題 とし て掲 げ、 内 需拡 大 に向 け た 経 済構 造 調整 を提 起し た (86年4 月、「前 川レ ポー ト」)。 円 高不 況 に対応 する ため、公 定 歩 合 が6 回 に わたっ て引 き下 げら れ1987年2 月に は2.5% まで 低 下 し た。 財 政面 で も公 共投 資拡 大 な ど の措 置 が とら れ、87年5 月 に は大 規 模 な内需 拡 大策 が 決 定 さ れ た。 こうし た 政策 の 結果、 それ まで の輸 出 主 導の景 気拡 大 と異 な り、内 需 主 導型 の景 気回 復 が な さ れ た。 個人 消 費 は、 消費 の高 級化 の動 きが 顕著 にな り、 大型 カ ラ ーテレ ビ、 高級 乗用 車 な ど高 額耐 久 財 が好調 な売 れ行 き を示し た。 円高 の影 響 もあっ て、 乗 用車 や 美術品 な どの輸 入 や海 外旅 行 が 大 き く 伸び た。 企業 は海外 直接 投 資 を増 大さ せ つつ内 需転 換 を強 め、 新 製品 開 発、多 角化 ・新 分 野 進 出 な ど を進 め、85年以 降 はスト ッ ク調 整局 面 に入っ て いた 製造 業設 備 投 資 も、87 年秋 口 か ら本 格 的 な 増加 局 面 に入 っ た。 こ うし た経 済状 況 の もとで、89年4 月 に税 率TO/ の消費 税 が導 入 さ れ、日 本 の租 税制 度 は そ れ まで の 直接 税主 義 か ら大 き く転 換 す る こ とにな っ た。 消 費税 導入 をめ ぐっ て はそ の前後 に消費 の駆 け込 み 需 要 とその 反動 が大 きく起 こ っ たが、 景 気 を腰 折 れ させ る もので はな く、景 気拡 大 が持 続 し た。 金融 緩和 の もとで、 株 価 は大 幅 に上昇 し た。 また、 東 京 が世 界 の金 融 セン ター とし て の地 位 を高 め る との期 待 が強 く なり、 東 京 の地 価 の大 幅 な上 昇 が始 まり、 そ れが 全国 に波 及 した。 こ うし た 資 産 価 格 の上 昇 は、 資産 効 果 を通 じて 内 需の 拡大 に寄与 する一 方、 日本 経 済に キャピ タル ・ ゲ イン を 狙 っ た 資産 保 有 の増 大 傾向 を生 みだ す こ と となっ た。 株式 、 土 地 への 需要 の急 上昇 と「売 渋 り 」、 そ の 結果 で あ る株価 、地 価 の上昇 過程 で、 金 融環境 、収 益 環境 から乖 離 した 価格 上昇 期 待 の 自己 増 殖 (バ ブ ル) が 発生 し た。「 株価 は当 面騰 が り続 ける」 とい う スペ キュレ ー ショ ン・マ インド が強 まる と と もに、 そ れ まで に作 ら れて いた 「土 地 は値下 が りし ない 」 という土 地神 話 は、 ます ま す固 く 信 じ ら れ るよう に なっ ていっ た。 3 。480 年代 経 済に 対 する 見 解 と政 策 的評 価80 年代 の主 要問題 は対米 貿 易 摩擦 の 激化 であっ た。80 年 代前 半 の日 本経 済 の成 長 率 はt.1.% であ り、石 油危 機 な ど未曾 有 の困難 に 遭遇 し た70年 代 前 半 の4.5%、後 半 の4.3% を下 回 って い る。70年代 を通 じて 強化 さ れ た輸 出競 争力 に対 し て、低 い 経 済 成

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青 木: こ の40年 の日 本経 済 と今後10年 に残 され たマ クロ 経済政 策 の課題 13 長 率 のた め輸 入 の伸 びが小 さ く、 経 常 収 支黒 字 は累積 的 に増 大 す るこ と となっ た。 ア メ リカ政 府 は 日本 市場 の閉 鎖性 を主 張し 、 そ れを 打 開 す るこ とに よって ア メ リカ の対 日輸 出 を増 加 させ 、経常 収 支 不均 衡 を是正 する よう日 本 政府 に 強 く働 きか けた。 オ ーソド ッ ク スなマ クロ 経 済政 策 に よ れば、 こ うし た場 合 に は日本 の国内 需 要を 拡大 し て輸 入 を 増 加 さ せ る方 法を と るこ とに なる。 し かし 、日 本 の財政 赤 字累 積 額 は巨 額 に上 って い たた め、両 国 政府 はそ れを避 け、 市場 開 放策 の 方 を選 択 し た。 また、 対米 自 動車 輸 出 の増 加 を抑制 す る た め、 輸 出自 主 規制 措置 が とら れる と ともに、 主 要 メ ーカ ーの米 国 内工 場建 設 が 開始 さ れた。80 年代 前 半の もう一 つの 大 きな課 題 は行 政改 革 であ っ た。歳出 抑 制 に よっ て財 政再建 を図 る一 方、 出来 れ ば内 需拡 大 のた めの 財源 を も生 み出し た い と期 待 さ れた。 し かし 、「増 税 な き財政 再建 」の方 針が とら れるこ と とな り、 そ の点 で は良 い 結果 が 得ら れな かっ た。 し かし 、三 公 社 の民 営化 が決 定 さ れた た め、NTT の株式 売 却益 は巨 額 に上 り、80年代 後 半以 降 の内 需 拡大 財 源 とし て貴重 な もの と なっ た。 結 局、80年 代前 半 にお け る日 本側 の市場 開放 、輸 出自 主 規制、 対 米直 接 投 資、 内需 拡 大 のい ず れ も、巨 大 化 する 経常 収支 不均 衡 を是 正 す る た めの効果 的 な手 段 とは なら なか っ た。 その 結果 、85年9 月 のプ ラ ザ合意 に よるド ル 高是正 が行 われ るこ とになっ た。 こ れに関 連し て、 効果 的 な内 需拡 大 策 、輸 出 抑制策 、輸 入 拡 大策 が そ の後 も引 き続 き必 要 とさ れ てい る に もかか わ らず、 現 在 まで の とこ ろ ほ とん ど研 究 が なさ れ てい ない の は残 念 であ る。 なか で も、 対 外競 争力 の 極 めて強い 少 数 の大 企 業 ・中 堅 企業 と、対 外 競争 力 の弱 い 大多 数 の企業 とく に中 小零 細 企業 、農 業 とが混 在し てい る日 本 の構 造 の もとで は、 経常 収 支黒 字 を 調整 す るう えで 特別 な 工 夫 が必 要であ る に もかか わ ら ず、 こ の点 が研 究 され てい ない。 プ ラ ザ合 意後 の円高 不況 を克 服 す る た め、86 年9 月 の総 合 経済対 策 の 決定 、86−87 年 の6 回 に わ た る公定 歩 合引 下 げ、87年5 月 の緊 急 経済対 策(大 規模 な内 需拡 大 策)の決定 が なさ れた。 し かし 、 円 高 不況 は86年 日月 に終 わ って 景 気 拡大 に 転 じ て お り、 そ の後 バ ブ ル 経 済 の崩 壊 ま で51ヵ 月 に わ たっ て拡 大 を続 けた。80 年 代 後半 の日 本 経済 は、 バブ ル 経 済 の発生 と成長 の過 程 とし て 強い 関 心が 持 た れてい る。し か し、 日本 にお け るバプ ル の中 心 であ る 株 価、 地価 と実体経 済 ( また は実 物 経 済) と の関係 は対 照 的 で はない 。両 者 の関 係う ち、 株 価、 地 価 は投 資 や消費 に一 定 の影 響 を与 えるが(資 産効 果 )、 実体 経 済が 株価 、 地価 に与 え る影響 は小 さい 。 株価 、地 価 に大 き な影響 を与 え るの は資 金 のア ベイ ラビ リ ティ (調 達可 能性 ) と金利 で あ る。 この時 も、株 価、 地 価 はプ ラ ザ合 意以 前 から上 昇し てお り、86年 にな って急 速 な円 高 が進 展し 、 経常 収支 黒 字 に もとづ く流動 性 の急増 の 中 で公 定歩 合が 連 続的 に引 き下 げ始 めてか ら、 上昇 速度 が 高 まっ た のであ る。 し たが っ て、両 価 格 は円 高不 況 のも とで 高騰し て い る。 すで に1972年 には、 国際収 支 の大 幅黒 字 、外 貨 準備 高の増 大 、 金融 緩 和 の推 進 に ともな う多 額 の 過剰 流動性 が生 じ てい た なか で、 大型 予 算 に よる 日本 列島 改造 期 待が あ っ たた め、 株価 、 地価 の高 騰 が 起こっ てい る。 その後 、 第一 次石 油危 機 に よる 異常 イン フレ を抑 制 する目 的で 厳し い 金融 引 き

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14 国 際地 域学 研究 第6 号2003 年3 月 締 め が行 わ れた ため、 株 価、 地 価 は暴落 し 、 その後 数年 間 にわ たっ て 金融 機関 の 経営 危 機 が潜 在 し てい た 経験 が あ る。80 年 代 後半 の バブ ル の成長 過 程で 、 こう し た過去 の 経験 が生 か さ れな かっ たこ とは非常 に残 念 で あ っ た。 技術 的 に困難 な点 はあ ろ うが、 早 期 に金融 調節 が行 われ るべ きで あっ た。 また、 労 働 需 給 が 逼迫 し てい た点 か ら も抑 制 策 が必 要 であ る こ とは明 らかで あっ た。 4 。1990 年 代 の 日 本 経 済4.190 年 代 経済 を象 徴 する 経 済年 表項 目 ・ 東西 ド イ ツ統一 (90.10 ) ・ 政府 「 地 球温 暖化 防止 行動 計 画 」正 式決 定 (90.10 ) ・ 株 価 急落 (90) ・ 総合 土 地政 策推 進 要綱 (91.1 ) ・ 湾岸 戦 争勃 発 (4 月日 日停 戦 正式 発 効 )(91.I ) ・ ソ連 崩壊 (91.12 ) ・円 高 急 進1 ド ル100円 を突破 (94.6 ) ・WTO 、GATT を引 き継 い で発足 (95.1 ) ・阪 神 ・淡 路 大震 災 (95.1 ) ・外 国 為替 市場80 円 を突破 (95.4 ) ・ 金融 破綻 処 理の 住専 処理 法 (96.8 ) ・ 消 費 税 を3 % からcO/ に引 き上 げ (97.4 ) ・ 北 海道 拓 殖銀 行、 経 営破 綻 (97.11 ) ・ 山一 証 券 、自 主廃 業 (97.11 ) ・ 政府 、 事業 総 額16兆650 臆 円 の総合 経 済対 策(98.4 ) ・ 金融 シス テ ム改革4 法 成立 、 金 融監督 庁発足(98.6 ) ・ 金融 再生 法成立 (98.10 ) ・ 日本 長期 信 用銀 行破 綻 (98.10 ) ・ 政 府、 過 去 最大 規模 の総 額23 兆9 千 億 円 の緊急 経 済対 策 (98.1! ) ・ 金 融再 生 委員 会、 大 手銀 行15行 に7 兆5 千 億円 の公 的 資金 に よ る資本 注入 (99.3 )

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4 青木 : この40年 の日本 経 済 と今 後10年に残 さ れた マ クロ 経 済政 策の 課題 290 年 代 経 済 を 示 す 若 干 の 指 標 年 度199019952000名 目 千 億 円450550205130 1 人 当 た り 年 度 国 民 所 得 千 円199028411995301820002999 国内 総支出 名目 年平均 実質年平均 増加 率 % 増加率 % ︿ ソ ` 。jL0 j 乃11 同 左 年 平 均 雇用 者 報 酬 増 加 率 % 千 円48001.25186 −0.15214 デ フ レ ー ダ ー 年 平 均 増 加 率 % 0.8 −0.7 同 左 年 平 均 就 業 者 数 増 加 率 % 万 人62801.66455O.I6453 15 4 。390 年 代 経 済 と 経 済 政 策 の 特 徴 バ ブ ル 経 済 は 株 価 が1989 年 に 、 ま た 地 価 が90 年 に、 そ れ ぞ れ 最 高 値 を 付 け て 以 来 、 綻 び が 目 立 つ よ う に な っ た 。「 バ プ ル 景 気 」 は 、 戦 後 最 長 の「 い ざ な ぎ 景 気 」(1965.10 ∼1970.7 、57 か 月 ) を 越 え る も の と 期 待 さ れ て い た が 、91 年2 月 、51 ヶ 月 で 終 了 し た 。 資 産 価 格 の 低 下 は 消 費 、 住 宅 投 資 、 設 備 投 資 を そ れ ぞ れ 抑 制 す る 影 響 が あ り 、91 年 か ら93 年 の 平 均 で 、GDP をI % 程 度 引 き 下 げ た と み ら れ る 。 ま た 、 バ ブ ル 増 殖 の 過 程 で 家 計 も企 業 も 資 産 と 負 債 を 増 加 さ せ て い っ た が 、資 産 価 格 が 下 落 に 転 じ た た め 、「 バ ラ ン ス シ ー ト の 悪 化 」が 一 挙 に 顕 在 化 し た 。1990 年 代 の 日 本 経 済 は 「 失 わ れ た 十 年 」 と い わ れ 、 長 期 に わ た る 景 気 低 迷 を 続 け た 。93 年10 月 か ら97 年3 月 まで は 戦 後3 番 目 に 長 い 景 気 拡 大 期 で あ っ た が 、 好 況 の 実 感 は 乏 し か っ た 。 こ れ は 、 バ ブ ル 崩 壊 の 影 響 、 い わ ゆ る 「 バ ブ ル 後 遺 症 」 が90 年 代 を 通 じ て 持 続 し た た め で あ る 。 金 融 機 関 を は じ め と す る 企 業 の 不 良 債 権 問 題 は 、 根 強 い 地 価 再 上 昇 期 待 の も と に 後 送 り さ れ 、 情 報 開 示 も 十 分 で な か っ た 。 こ う し た 中 で 地 価 は 下 落 を 続 け た た め 、 不 良 債 権 問 題 は 時 と と も に 深 刻 化 し た 。 多 額 の 不 良 債 権 を 抱 え た 金 融 機 関 は 貸 出 を 厳 し く制 限 す る よ う に な り 、 中 小 企 業 は も ち ろ ん 大 企 業 に対 し て も「 貸 し 渋 り 」 と い わ れ る よ う な 貸 し 出 し 態 度 の 慎 重 化 が 顕 著 に 見 ら れ た 。 他 方 、95 年 か ら96 年 に か け て 移 動 体 通 信 市 場 が 急 速 に 拡 大 し 、 景 気 は一 時 的 な 盛 り 上 が り を み せ た 。 景 気 回 復 が 基 調 的 と な っ た と判 断 し た 政 府 は 、 財 政 再 建 を 掲 げ 、 社 会 保 険 料 の 引 き 上 げ や 医 療 費 負 担 増 な ど を 行 っ た 。 消 費 税 率 引 き 上 げ を 含 め た 国 民 負 担 は9 兆 円 と 試 算 さ れ て お り 、 ま た 財 政 収 支 の 悪 化 と 将 来 の 負 担 増 へ の 懸 念 な ど か ら 、 人 々 は生 活 防 衛 態 度 を 強 め た 。 また 、97 年7 月 に タ イ ・ パ ー ツ の 暴 落 に よ り ア ジ ア 通 貨 ・ 金 融 危 機 が 発 生 し 、 秋 頃 に は 輸 出 企 業 を 中 心 に 日 本 経 済 に 影 響 し て い っ た 。 さ ら に、 不 良 債 権 の 処 理 の 遅 れ な ど を背 景 に 、 い く つ か の 大 型 金 融 機 関 が 破 綻 し て 金 融 シ ス テ ム へ の 不 安 が 高 ま っ た こ と や 、 銀 行 が 貸 し 出 し の 縮 小 を 指 向 し た こ と か ら 景 気 は 急 速 に 厳し さ を 増 し た 。 企 業 は 、 そ れ ま で の 市 場 シ ェ ア ・ 企 業 規 模 重 視 の 姿 勢 を 改 め 、 収 益 性 を 重 視 す る よ う に な り 、 雇 用 、 設 備 、 債 務 の 「 三 つ の 過 剰 」 を 解 消 す る た め「 リ ス ト ラ 」の 動 き を 強 め た 。 従 来 の 日 本 企 業 は 、

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16 国 際地 域学 研究 第6 号2003 年3 月 長 期 雇 用 慣行 の もとで、 景気 が 悪化 し て も雇用 は守 る とい う 姿 勢を とっ てい たが 、 大企 業 にお い て もリ スト ラ に よる失 業 が増 加し 、 完 全失業 率 は2000年 末 に史 上 最高 の4.7% となっ た。 厳 し い 経済 情勢 が続 く なか で、日 本 経 済 は、物 価 の下落 と実体 経 済 の縮小 とが相 互 に作 用 す る「 デ フレ・スパ イ ラ ル」 に陥 るこ とが 強 く懸 念 さ れた。 政 府 は、98年 に入っ て 経済 政策 を 大幅 に 転 換し 、 減 税 や公共 投 資 な どに よっ て景気 を下 支 えし た。 また、 日 本銀 行 は99年2 月、 金 融市 場 調節 方 針 を 緩和 し 、 短期 市場 金利 を 実質 ゼロ に する とい う「 ゼロ 金利 政策 」 を打 ち 出し た。 思 い切 っ た政 策 を総動 員し た こ とや ア ジア 経済 の回 復 によ る輸 出 の増 加 な どで 、 戦後 最悪 とい わ れた 厳し い 不況 は99年1 月 に底 を 打 ち景気 は回復 に向 かっ た。 し かし 、 そ の回復 力 は弱 かっ た。 他 方 、 不況 脱 出 のた めに財 政 政策 が 積極 的 に とら れた た め、 国 ・地 方 の長 期政 府 債務 残 高 は雪 だ る ま 式 に増加 し 、2000年 度 末 に は650兆 円 近 くに なっ た。1990 年代 の 日本 経 済は停 滞 の感 を 拭 えない が、携帯 電 話 やパ ソ コン、Eメ ール の普 及 な どに よ り生 活様 式 は変化 し た。 消費 者 が情 報 ツ ー ルの 活 用によ り商 品 や価 格 に対 する 情報 を大 量 に 入手 出 来 る よう に な り、価格 の低 下 が起 こ りや すく なっ てい る。双 方向 に情 報 発信 で きる よう に なっ た こ とで 、 ユ ー ザー 参加型 の 商品 開発 や中 間 業 者 を通 さ ない 直 接取 引 も行 わ れる よう に なっ て きてい る。90 年 代末 の99年2 月 か ら始 まっ た 景気 回復 は力 が弱 く、21ヵ 月後 の2000年10月 に は早 く もピ ー ク を迎 え 、再 び後 退 局面 に 入っ た。 また、 ゼ ロ金利 政策 は2000年8 月 にい っ た ん解除 さ れたが 、 その 後 の 景 気後 退 に配 慮し て翌2001年3 月 に は復 活 さ れた。 4 。490 年代 経 済に対 する 見解 と政 策的 評 価1990 年代 の 日本 経済 は、実質 年 平 均成 長 率が 前半1.1%、後 半1.0% となり、10年 を超 え る長 期 停 滞 に入 っ てい る こ とが読 み と れる。そ の う え、総合 的 な物価 水 準 をを 表 すGDP デ フレ ータ ー は後 半 マ イ ナ ス となり、毎年0.7%づ つ 物 価が 下 がっ てい る こ とを示し て い る。この よう に物 価 指 数が 前 年 よ り下 が っ た過去 の 経験 は、1923年(大 正12年 )か ら1931年(昭和6 年)の間 にし か 見 ら れて い ない 。 明 ら か にマ クロ 経 済上 の超 過供 給 を示 す本格 的な 不況( デフレ ー ショ ン)であ る とい え る。 こ の5 年 間 で、1 人 当 た り国民 所得 は1 万9 千 円減 り、就業 者 数 は2 万 人 減 少し てい る。完 全失 業 率 は5% を 超 え てい る ので20人 に1 人 は失 業 し てい る こ とに なる。こうし た 経験 は第2 次大 戦 後皆 無 であ っ た。1 人 当 た り国民 所得 が2 万7 千 ド ル とい う 高所得 国 なた め、 生 活上 の深 刻 さ は まっ た く 見ら れ ない が、 もし こ の状 態が もう5 年 続 く と状 況 は著 しく厳 し い もの に なる だろ う。 深 刻 な点 は、 金融 仲介業 の不 良 債権 が 依然増 加し て お り、金 融 シ ステ ムの 不調 が 改善 し な い こ と であ る。 また 、財 政政 策 の余力 や効 果 が低 下し てい る こ と、 金 利 引 き下 げの効 果 が まっ た く 見 ら れ ない こ とであ る。 さ らに、 国 内産 業 の多 くは輸 入財 との競 争 に破 れつ つあ る こ と、輸 出 産業 や競 争 力 のあ る産 業 は生 産、 販売 の拠点 を海 外に 移動し て い る こ と、 そのた め就 業機 会 が縮小 し てい る こ とで あ る。

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青 木 : こ の40 年 の 日 本 経 済 と 今 後10 年 に 残 さ れ た マ ク ロ 経 済 政 策 の 課 題 17 5 。 今 後10 年 に 残 さ れ た 政 策 課 題5.1 日本 経 済 の長 期 停滞 とその 要因 べ ブル 経 済崩 壊以 降 の1991∼2000年 の 実質 経 済成長 率 は年平 均I1 %で、そ の前10年間 の年 平 均 成 長 率4.3% の3 分 の1 以 下 に低下 し て い る。言 い換 え れば ヽ日本 の国 内総 生 産 は80年 代 に 実質 で1.5倍 にな っ たの に対し て、90 年代 で はわ ず か に口 倍 にし か なら なか っ た。 さ らにヽ21 世紀 に入 っ てか らの 日 本 の経 済成 長 は、 深刻 な不 況 を反映 し て見通 し は厳し い。 実 質 経 済成長 率 は2001年 度 −1.0% 、2002年 度 ( 実績 見込 み)0.9%、2003年 度 (見 通し )0.6 % と推移 す る。 名 目成長 率 は3 年 連続 でマ イ ナ ス とな り、 日本 経 済の縮 小 が 続い て 国内総 生産(GDP )は8 年 ぶ り に500兆 円 の大台 を割 るこ と にな る とい う。 し たがっ て、 日 本 経 済の「失 われ た10年 」は 少な く と も3 年 さ ら に引 き延 ばさ れる こ とにな る。 日 本 経済 の長 期停 滞 は、失 業 や企 業 の 経営 破 綻を 恒常的 に 拡大 さ せ てい る が、 こ れは活 用 され な い 労 働力 と資 本 を着 実 に増やし てい るこ と を物語 っ てい る。 こ うし た長 期 停滞 は第2 次大 戦後 の 日本 経 済 に経 験の なか っ た こ とで あ り、 経 済の安 定 に責 任 を 負 っ てい る政 府 は、 結果 的 に は有効 な対 策 を打つ こ とが 出来 な かっ た。 豊富 な経験 を積 んで きた財 政 金 融政 策、 とく に「 緊急経 済対 策 」 ない し 「総 合 経済対 策 」 と呼 ば れ る財 政 支出 拡大 策 が連 続的 に発 動 さ れる と ともに、 経験 の なか っ た金 融 シ ステ ム動揺対 策が 新 た に実施 さ れ たが、 い づ れ も期 待 し た効 果 を生 まなかっ た。 こ の よ うな 日本 経済 の長期 停 滞 の主 な要 因 は、 ① 土地 、 株式 な どの資 産価 値 の 継続 的 な縮 小、 ② 利 子所 得 の減 少、 消費税 の 引 き上 げ、 賃 金所 得 の伸 び悩 み・ 減 少 な どに よる家 計 消費 支 出 の低 迷 、 ③ 円 高 によ る産業 の 国際競 争 力 の低 下 と生 産 機能 の対 外移 転 、 の3 つ が重 複し た ものと考 えら れ る。 ① につい て は、建 物 、土 地、 株式 な ど各 種 の資産 価格 は90年 に始 まる 「バブ ル の崩 壊」 で 暴落し た後 、90年 代 半 ばに一 時的 な回 復 を 見せ た が、 再 び低落 を続 け てい る。 と くに、 土地 の 価格 は まだ 下 が り続 けて い る。こ れに よる資 産 価 値 の継 続的 な縮小 は、企業 の財務 状 況 を悪化 させ る とと もに、 外部 資 金 調達 を困 難 にし てい る。 また、 銀 行 な どの金 融仲 介業 の財 務 状況 を著し く悪 化 させ 、 信用 収 縮 要因 となっ て企業 の資 金調 達 を 阻害 し てい る。 さ ら に、家 計 に少 な く ない打 撃 を与 え、 その結 果 、 家計 の消 費 支出 と住宅 投 資 の抑 制 要因 となっ てい る。 ② につ い ては、 長期 にわた る超 低 金利 政 策 の 実施が 、家 計 の利 子所 得 を 減少 させ てい る ほ か、 民 間 非 営利 団体 、 公的 機関 、保 険会 社、 社会 保 障基 金 な どの財 政基 盤 を著 し く弱 体化 させ てい るこ と に も注意 す る必 要が あ る。 ③ につい て は、プ ラ ザ合 意以 後、対 米 為 替レ ート は1 ド ルが240 円 前後 か ら100∼140 円 へと大 幅 な 円 高 となっ た た め、輸 出 産業 、 国 内産 業 ともに対 外競 争力 が 減 殺 され た。 とくに、 ド ル な どの外貨

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18 国際 地 域学研 究 第6 号2003 年3 月 で 評 価 す る と日 本 は目立 った 高 賃金 国 と なり、 こ れが企 業 経営 を圧 迫 す るこ とに なっ た。 こ れが バ ブ ル 崩壊 後表 面化 し 、時 とと もに 重い 負担 となっ てき てい る。 また、 日本 企業 は円高 に対 応し て 米 国、 東 南 アジ ア、中 国 な どへ の直 接投 資 、つ まり生 産 機能 の 移転 を拡 大し た た め、 国内 の生 産 と雇 用 を減 少 させ る こ とになっ た。 5 。2 長期 停 滞打 開策 の提 案 以 上3 つ の 要因 に対応 する対 策 を提 案 す る と、 次の よ うに な る。 (資 産 価格変 動対 策 ) 上 記 ① の 要因 に対応 す る政 策 とし て は、資 産 価値 縮小 を抑 制 す る対 策 が バブ ル経 済 の再 発 を 引 き 起 こ す懸 念 があ る ので、 抜本 的 な もの で なけ れば ならな い。 資 産価 格 の変 動 を出来 る だけ 小 さ く す る と とも に、 これ が実物 経 済 に衝 撃 を与 え ない よ うに す るこ とが 必要 であ る。 まず、 資 産価 格 は投機 に よっ て変 動 するこ とが多 く、 不 安定 な もの となる。 この不 安定 性 を緩 和 す る対 策 は各種 考 えら れて い るが 、い ずれ も実際上 は十 分 な効 果 が得 ら れて い ない。 それ以 上 に 重 要 なの は、 資産 市場 は理論 的 に財貨 、 サービ ス の市場 と異な る性 格 を持っ て い る と考 えら れ る点 で あ る。 資産 価 格 は本質的 に不安 定 な ものであ る と考 えら れ る。 そ のう え、 資産 の うち 少部 分 だけ が売 買 さ れ、 残 りの 大部 分 は単 に保 有 さ れてい る だ けに 過 ぎ な い。 それ に もか かわ らず、 こ の 大部 分 が少部 分 の売買 実 績 を反映 し て再評 価 さ れ るの で、 資産 額 が 大 き く変 動し てい る よう に受 け 取ら れる。し かし 、 こう し た保 有資 産 額の変 動 は現 実的 基 礎 を持 た ず、単 に仮想 的 な ものであ る。 こ の よう な仮想 的 な資産 額 の 不安 定 な動 きが、 家計 の 消費 や企 業 の財 務、 投 資、 生産 に大 き な影 響 を与 えて きた。こ れがバ ブ ル とそ の崩 壊 として1986年以 降 の日 本 経済 に基 調的 な 支配 力 を及 ぼし 、 破 壊 的 な打 撃を与 え たの であ る。 こ の よう な問題 の 再発 は ど んな こ とがあ って も防 が なけ れ ばな らな い。 そ のた めに は、 まず 土 地 の 評 価方 法 を抜本 的 に変更 すべ きで あ る。 保有土 地 につ い て は、 現 在 また は将来 生 み出 す経 済 価 値 か ら逆 算 し て評価 額 を算定 す る とと もに、 公的資 格 を持 つ者 ( また は公的 機関 ) が最終 的 な評 価 額 を 決定 すべ きであ る。 さ らに 、 土地 評 価額 は企業 や銀 行 の財 務 諸表 か ら はずし て、 単 な る参 考資 料 とす べ きで ある。 次 に、 株式 につ い て は、 現 在 の市 場 で取 り引 きさ れる 株式 と平 行 し て、事 業会 社が 額面 株 式 ( 定 価株 式 ) を投 資者 に直 接販 売 す る方 式 を導 入 するこ とが 考 えら れ て よい 。 こ の方式 は「金 庫 株」 の 延長 上 にあ り、株 式 は会 社 の分 割所 有 権で あ るとい う本 来 の姿 に忠 実 であ る。供 給 者 とし て多 数 の 事 業会 社 があ り、 需 要者 とし て多 数 の投 資 者が いる ので 取引 価 格固 定、 配当 変 動、 取 引数量 変 動 の 新 種 株式 市場 が形 成 さ れる こ とに なる。 これ は既 存 の株 式 市場 よ り「資 産」 の 特性 を良 く生 か す も の と考 えら れる。 また、 リ ス クの大 きい金 融資産 を好 まない 日本 人 に適 し てい るた め、 長 年 果 た せ なかっ た 「直 接金 融」 を 実現 で き る貯蓄 形 態であ る と考 え ら れる。

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青 木: こ の40年 の日 本経 済 と今後10 年に残 され たマ クロ 経 済政 策 の課題 19 (家 計 消費 低迷 対策 ) 上 記② の 要因 に対 する短 期 的 な政 策 とし て は、公定歩 合 の引 き上 げ に よっ て 預金 金利 を上 昇 させ 、 家 計 の利 子所 得の 増加 に よっ て最 終 消費 支 出 を刺 激す る こ とが効 果的 で あ る。 い わゆ る「 ゼ口 金利 政策 」 の目 的 は別 の とこ ろに ある が 、 その 結果 とし て起 きる超 低 金利 は、 投 資 を ほと ん ど刺 激し な かっ た 反面 、家 計 の利 子所 得 の減 少 さ せて 消費 を 低迷 させ、 その 結果GDP (国 内 総生 産)を 縮小 さ せ る効 果 を持っ た。 し たが っ て、 そ の逆 の政 策 は消費 を刺 激しGDP を拡 大さ せ る。 雇用 の伸 び悩 み ・減 少、 失業 の増 大 や そ れら の不安 は、家 計 消費 を低 迷 さ せて い るが、 深刻 な長 期 停 滞 の下 で は、賃 金 を引 き下 げ 雇用 を安 定 さ せ る方 が 消費 の拡 大 が 見込 める。 この よ うな「 所 得 政 策 」 は消費 低 迷対 策 とし て も有効 で あ る。 (国 際競 争力 の低 下 と生産 機 能 の対 外 移転 に対 する対 策) 上 記③ に対 する政 策 とし て は、まず、許 容 で きる 経常収 支黒 字 の増 加 の範 囲 内で 円高 を是 正 す る。 こ れに よっ て競争 力 を回 復 す ると と もに、 対 外 直接 投資 を抑 制 す るこ とが 出来 る。 すで に政府 はそ の方向 に政策 を転換 し た ようで あ る。 もち ろ ん、 これ は調 整療 法 また は対 症療 法で あ り、 行 き過 ぎ た円 高 を是正 する と ともに、 弱っ た 国 内産 業 を一 時的 に 保護 し、 雇 用 を維 持 する性 格 が強 い。 長期 にわ た る円安 は経常 収支 黒字 の増 大 に よっ て 国 際摩擦 を引 き起 こし 、 やが て円 高政 策 への 反転 を 余 儀 なく さ れる。 中 長期 的 に国 内産業 の競争 力 を高 め るた めに は、 別の 政策 が必 要 で あ る。 次に、 国 際的 に見 て 高 す ぎ る賃 金 を引 き下 げ るこ と によっ て、 雇用 を維持し つ つ競 争力 を回 復 する こ とが考 え ら れなけ れ ばな ら ない。 これ は「所 得政 策 」 の一 種 であ り 、実 際的 に もすで に労 使間 で 交渉 が行 わ れ、 実現 し つつ あ る。 日 本 産業 の競 争力 を高 めるた めに は、 各企 業 の 経営力 の向 上 が必 要 で ある が、 こ れ は経済 政策 の 対 象外 で あ る。 また、 日本 産業 が国 際競 争力 を失 いつ つあ る要 因 に は、 主に ア ジア にお いて 知的 財 産権 が侵害 さ れて い るこ と も含 まれ る。 こ れ に は、 そうし た分 野 を中 心 に国 際企 業法 務 の従 事者 を 早 急 に増 や す政策 が必 要で あ る。 5 。3 将 来 に向 け た経 済政 策( イ ノベ ーショ ンを狙っ た経 済安 定 化 政 策)21 世 紀 初頭 の 現在、 日本 経 済 は深刻 な長 期停 滞 の中 にあ る。 市 場 の機 能 に まか せてお い て ここ か ら脱 出 する こ とは出 来 ない 。 そ れを 行 う の は政 府 の役割 であ る。 政 府支 出 の増 大 と減 税が そ の中 心 手 段 であ る こ とに変 わ り はない が、対 象、方法 は従来 と一変 さ せ て、民 間産 業 のイ ノベ ー ショ ン(革 新) を誘 発 す る分野 に政 策努 力 を集 中 す べ きで あ る。 そ れ に成 功で きれ ば、 財 政政 策 の誘 発効 果 は 極 めて大 きな もの とな ろう。 そし て、 革新 の波 動 を基調 とす る約50年 周期 の コ ンド ラチ エフ循 環 の 上 昇波 動 に日本 経 済を 乗せ る こ と もで きよ う。 日本 経 済は1980年代 以 降、 情 報技 術革 新 の上昇 波 動 にう まく乗 る こ とが出来 な か った の に対 し て、米 国経 済 はそ れに乗 っ てい る よ うに見 え る。 そ こ に

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