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変化する時代の科学教育と環境教育・開発教育

著者

長濱 元

著者別名

NAGAHAMA Hajime

雑誌名

国際地域学研究

8

ページ

103-122

発行年

2005-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003801/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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国 際地 域学 研 究 第8 号2005 年3 月

変化す る時代の科 学教育 と環境教 育・開発 教育

元 * 103 は じ め に 本論 文 は筆 者が 従前 から研 究 を継 続 し て きた「 科学 技術 と社会 」 分野 におけ る「科 学教 育 シス テ ム」 に関 する研 究お よび 「東 洋 大学 国 際共 生 社会 研究 セ ン タ ー」 にお け る「環 境 共生 社会 論 の体 系 化」 に関 する研 究 との接 点 にお い て生 まれ て きた もので あ り、 後述 の 「科 学 教育 」、「 環境 教 育」 お よ び「 開発 教育 」 の定義 (性 格 付 け) もそ の観点 から の もので あ る。 し た がっ て、 そ れら に関 す る 従 来 の一般 的 な考 え方 に よる も ので はな く、 筆 者 の見解 に 基づ く もので あ るこ と をお 断 りし てお き た い。 「共 生 社会 」とい う概 念 と その現 実 社会 へ の適 用 を考 え る場 合、「 自然環 境 」との共生 、 な らび に 人 間 活動 が作 り出 す 「人工 環境 」 と「社 会 環境 」 との共生 という3 つ の異 なっ た環 境 との 共生 を考 え なけ れば なら ない。 また、「 自 然環 境 」は地域 に よっ て異 な り、「社 会」は多 くの小単 位 を なす「人 間 集 団」 の 構成 体 とし て 成 り立っ て お り、 それ ら はそ れぞ れの地 域 ご とに 異 なっ た歴 史 と文 化、 お よ び利害 を持 っ てい る。 そ れら の全 て を含 む総合 的 な「 共生 」 を図 るとい う こ とが「 共生 社会 」建 設 の最終 目 標で あろ う が、 そ れを一 挙 に 構想 し、 計 画し、 実 現 す る こと は至難 の 業で あ る。 本 論 で は、以 上 のこ とを踏 ま えて、1 )「自 然 環境」 を合理的 に理 解し 、 認 識 す るた めに必 要 な「 科学 教育 」、2 )「 自然 環境」 と「 人 間活 動」の か かわ りお よび「人 間 活 動 が創 出 す る人 工 環境 と社会 シ ステ ム」 が もた らす 「自 然環 境」 と のか か わり を理解 し、 認 識し 、 環境 を保 全 するた め に必 要な 「環 境 教育」、3 )人 間 が「 自然環 境 」、「人工 環 境 」お よび「 社会 環境 」 とか かわ りな が ら、「共 生 を 目指し て 成 長・ 進化 して い く」 こ とを 理解 し 、認 識し 、活 動し てい くた めの「 開発 教 育」、 とい う3 つの 教育 活動 を関 連付 け るこ とを 目標 とし て論 ず る こ と とし た い。 序 章 科 学 技 術 と 環 境 問 題 ・ 開 発 問 題 に つ い て ( 問 題 点 の 摘 出 ) 産業 革 命以 降、 人類 は科学 技術 を 駆使 し た 開発 を推 進 する こ と によっ て、 大 規模 な経済 成長 を可 能 にし て きた。 その 結果 とし て現 れ、近 年 におい て強 く問題 視さ れる よう に なっ た のが環 境問 題 と *東 洋 大学国 際地 域学 部教授

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104 国際地 域 学研 究 第8 号2005 年3 月 開発 問 題で あ る。 い ず れ もその 出発 点 に は近代科 学 技術 の発 達 と、 そ の力 を背 景 とし た 開発 、 す な わち 産業 の 発達 による 資源 ・ エ ネル ギ ーの 大量消費 と商品 の 大量 生産 、 そ れを売 りさ ば くた めの 市 場 の 開発 ・形 成 と支 配 (植民 地 の 確保 と支配 を含 む) に対 する肯定 的 評 価 (価値 観 ) があ っ た。 そ れら の 結果 が物 理・ 化学 的 な 影響 とし て 環境 の中 に現 れ、 生 態系 と生 物 の健 康 に大 きな 影響 を 与 え だし た問 題 が「環 境 問題 」 で あ り、 一 方 で経 済的・ 社会 的 ・地 域 的格 差 とし て国 内 ・ 国外 にお い て大 きく歪 む結果 を もた らし た問 題 が「 開発問 題 」 であ る。 後者 につい て は、 従来 い わ ゆ る 「南 北 問 題 」 とし て大 きく取 り上 げ ら れて きた 問題で あ る。 い ず れ の問題 に もその根底 に は科 学技 術 を“何 の た めに”、“誰 のた めに” 使 っ て きた の か とい う 問 題 が あ る。 科学技 術 そ れ自体 は人類 に とっ て有 用 な知識 や 方 法で あ り、 それ ら を学習 す るこ と は 誰 に とって も有 益 なこ とで あ る。 し かし 、 そ れら を何 か のた め に (そ れが 自分 の た めであ れ、 誰 か 他 の 者 のた め であ れ)活 用し よ う とする と、 そ れは何 ら かの 直接 の 目的以 外 の作 用 を 環境 と社 会 に もた ら すこ とにな る。 そ れ を社 会的 に価 値付 け、 体 系付 け て運 用し て きた のが 近代 市 民社 会 の理 念 に基づ く近 代 法 の体 系 であ り、 そ の下 に 展 開さ れて きた のが近 代的 公 教育 の体 系 であ る。 近代 公 教育 の体 系 の 構築 が 目 指 さ れ、 そ の充 実・ 拡張 が最 も優先 的 な課 題 であっ た20世 紀 の中期 まで は、 経 済成長 を肯 定 す る価 値 観 とと もに科 学技 術 もそ の前 向 き の面 が強調 さ れ、「 科学 教育 」ももっ ぱら科 学 技術 の良 い面 を中 心 に 教育 ・ 学習 が行 わ れて きた。 し かし、先 進国 にお け る産 業 が高 度化・巨 大化 し、こ れ まで の 歴史 的 な地 球環境 へ の影響 が 物 理・ 化学 的 な面 で 「地 球 環境 問題 」 とし て 立 ち現 れ、 また近 代 市民 社会 の 成熟化 の進行 が 、 そ の市 民 的 諸 権利 を 単 に先 進国 市民 の間 だ けで はな く、 広く発 展途上 国 の住民 も含 めた普 遍 的 な人 類 の権 利 の 保証 を目 指 す ものに変 化し て くる につ れ て、新し く「開 発 問題 」 が社 会的 な面 の 問題 とし て立 ち現 れて来 た の であ る。 そ れら は20世 紀 後 半 におい て、 特 に1970年 代以 降 顕在化 し 、21世 紀 にお け る潮 流 とし て 拡大 し つつ あ る。 「科 学 教育 」 は、人 類 の歴 史 から 見 れ ば比 較 的新 しい 教育 活 動で あ っ て、19世 紀以 降 確 立し 、 近 代国 家 、 近代 産業 の 発展 と と もに制 度化 が 進 んで拡 大・充 実し 、 その根 底 にあ る教 育 観・価値 観 は、 今 なお 基 本的 には従来 の成長 ・ 発 展主義 の流 れの中 にあ る と言 え よう。 そ れに対し て、「環 境 教育 」 と 「開 発 教育 」 はよ りい っ そう 新し い 教育 の分 野で あ り、産 業 と社会 の 流 れが 変 化し て きた20世 紀 後 半 に始 まっ た分 野で あ る。 そ の 前史 は多 少遡 れ る ものの 、 その輪 郭 はい ず れ も1970年 代 、1980年 代 に 明 確 に なっ て きた もので あ る。 本 稿 で は、以 上 の よう な観 点 とこ れまで の 経緯 を踏 まえ て検討 を進 めて い くこ と とし たい 。 第1 章 基 礎 と し て の 科 学 教 育 ( サ イ エ ン ス ・ リ テ ラ シ ー )1. 科 学 教育 の目的 およ び全 て の人 の ため の科 学 (サイ エ ンス・ リ テ ラシ ー) につ い て 科学 教育 は「自 然」 お よび 「 科学 」 に関 す る学習 を通じ て すべて の人 々 に「 科 学的 能 力 」 を育 成

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長 演: 変化 す る時代 の 科学教 育 と環 境 教育 ・開 発教育 105 する こ とを目的 として い る。 自然 科 学 はその 初期 に は人 間 が意 図 的 に影響 を与 えて い ない 「本 来 の自 然」 を対 象 とし た 科学 で あっ たが 、科 学 と技術 が産 業 に 高度 に 利 用さ れ て産業 革 命 が進行 す る ように な る と、 人工 環境 が ま す ます拡 大 す るこ とに なり、 次 第 に人 間 が意 図的 に建 設 し た「人 工環 境(工作 物 と機 器・シ ステ ム)」 が科 学 と技術 の対 象 とし て増 加 し て き た。 この 科学 が対 象 とす る範 囲 の拡 大 が環 境 と社 会 の変 化 を 通じ て 「科 学」 と「 科学 教育 」 に 与 えて い る影 響 を見逃 し て はな ら ない。 こ の変 化 の 結果、 自然 環 境 と人 工環 境 の 拡大 とが複 雑に 絡 み合 っ て きてお り、 環境 問 題お よび 開 発問 題 の発 生 源 となっ てい る こ れら の 関係 を的 確 に見分 け て 科学 的 に認 識・ 把 握し て研 究 す る こと が「科 学研 究」 の重要 な課 題 となっ て い るし、 その こ とは「 科学 教 育」 に とっ て も大 き な課題 で あ る。 とりわ け人 工 環境 の拡 大 が もたら す人 間 と その生 活 への 影響 を的 確に認 識 ・把 握 し て対 応 す る こ とが要 請さ れて い る と言 える。こ の こ とに対応 す るた めに、「本 来 の 自然 を対 象 と する科 学 と科 学 教育 」お よ び「人 工環 境 を対 象 とす る科 学 と科学 教育 」 と の関 係 につい て 考察 す る必 要 があ る。 産業 の高度 な発 展 に より科 学 と技術 とは融 合し て科 学技 術 とな り、 また現代 社会 にお いて は科 学 技術 が人 々 の日常 生 活の 中 に深 く入 り込 み、人 々 と科 学 技術 との接 点 は ます ま す増加 し てい る。 そ の ひ とつが環 境被 害 であ る。 この よ うな 生活 環境 の中 で は、 全 て の人 々 が科 学技術 に対 す る高 い関 心 を持 ち、 そ れら を学び、 科 学 技術 の影 響 に対 す る対 応感 覚 (予備 知 識 と心 構 え) を育 て る必 要が あ る。 その 意味で 科 学教 育 は子 ど ものた め ば かりで はな く、 大人 に とっ て も必 要 で あり、 そ れら を 教育 指 導す る立場 にあ る教員 ( その他 の 専門 家) に つい て も常 に科 学 技術 に 関 する絶 えざ る学 習が 必 要 となっ てい る。 す なわ ち、 科 学教 育 は生涯学 習 の中 にし っ か り と位 置付 け ら れる必 要が あ る と 言 う ことが で き、教員 自身 もそ の対 象 とし て 例外 で はない と言 え る。全 て の人 のた めの 科学(ScienceforAll) とは その よう な科 学教 育 (学 習 ) か ら生 まれて くる もので あろ う。 こ れ まで 日本 の「 学校 理科 教育 」 に は、歴 史的 発 生 の経 緯 から 科学 者 ・技術 者 の 養成 が 目的 であ る かの よう な 意識 が潜 在的 に存 在 し 続け て いた が、 今後 はそ の よう な意識 を払 拭し、 生 涯 教育 の中 に 位置付 け た市 民 (消費 者 ) 教育 の一 環 で あ るとい う意 識 を定 着 さ せ るこ とが必 要 であ る。 その中 か ら適 性 を持っ た者 が科学 者・技術 者 とし て高 等教育 の 中で 専 門化 し て い く(本 格的 に科 学 を学 び 、 研 究 す る) システ ム を造 り上 げて い く こ とが望 ま れる。 そ の結果 とし て、 各人 に形成 さ れる「科 学的 な思考水 準(科 学的 素 養)」が社会 にお け る 科学 リ テ ラシ ーであ り、「あ る一 定量 の科 学知 識 を持 つ こ と」は科 学 リ テ ラシ ー の必要 条件 で はあ っ て も十分 条 件で は ない と言 え る。 2 。「 自然 」 と「人 工」 に対 す る認 識 と「科 学技 術 と社会 」 い わ ゆる「近代 科学 」は、人 間 が 何 らか の観 察お よ び実 験手 段 等 に よっ て、 その もの を 実際 に「 認 識 」し 、「 測定 」し 得る 実在 す る もの を取 り 扱 う学 問 で ある。 この こ と は近 代 科学 が「 自然 」を観 察 し 、 事象 を「 実験」 によっ て 確認 する 「自 然科学 」 か ら出 発し たこ とが 、 その性 格 を良 く現し て い る。 科学教 育 は この よう な「 自然 科 学」 を基 礎 とする 認識 の世 界 を 「合 理的 に 追求 」 する 学習 活 動

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106 国際 地域 学研 究 第8 号2005 年3 月 で あ る とい うこ とが 言 える。 し かし 、現代 の科 学が対 象 とし てい る世 界 は、近代 科 学が生 ま れた16−17 世 紀の 世界 とは 違っ て 、 素 朴 な 自然 が多 くの環 境 を占 めて い る世 界 で はない。 産 業革 命以 降 の科 学技 術 の発 達 が引 き起 こし た 機械 文 明 に よっ て、 人間 が 自然 環境 を次々 と人 工環 境 に造 り替 えて きた世 界 であ る。 い わ ば、 か な り な 程度 に「人工 化 さ れた 世界(人工 系 環境 の拡 大)」であ る。 また、 私 たち の最 も身 近 な 自然 物 で あ る 「身 体 」 も人 工化 (身 につ け てい る各 種 の装備 、摂 取し てい る加 工食 品や 薬 物 な ど) が進 ん で い る。 現代 人 は「科 学技術 で 武装 し た ヒト 」 と表現 す るこ とが で きる。(図1 ) 図1 人類の生物的・社会的進化の図式 ☆ ホモ・サピ エン ス( 智 恵を 働 か す 人 間) ☆ ホモ・ハビ ツ ス( 道 具 を 使う人 間) 人 工物 は自 然 に存 在 する ので はな く、 人 間 の意図 や欲 望 に よっ て物 質化 さ れた もの で あ る。 細々 とし た 身 の回 り品 や巨 大 な構 築物 まで 含 めて、 これら の「人 工 物」 が 「 自然物 」 と は異質 な存 在 で あ る こ とは言 う まで もない。 確 かに そ の素 材 は自然物 なの だが、 そ れらが 構成 さ れ、 作成 さ れた も の とし て存 在 す る とき、 そ れら はい わ ゆる「自 然物」 以 上 の内 容 (価値 ) を その中 に含 んで い る と 言 わざ るを得 な い。 また 、 それ ら の物質 に 対 して「 自然 法則 」 が働 い てい るこ とは間 違 い ない の だ が、 人 工物 に はその ほ かに社 会的 な「 意図 (価値)」が込 めら れて 存在 し てい る ので あ る。 こ こに 「人 文科 学」 や「社 会 科学 」 が独 自 の立場 か ら、 そ れら を解 釈し 、意 味付 けて い く対 象 や そ の内 容 とし て の「人 間性 」 や 「社 会性 」 が 生 まれて くる背 景 が あ る。 こ れらの 関 係に はデ リヶ − ト な問題 が含 まれて い る。 新 学 習指 導 要領 の中 に「 科学 史」 が取 り入 れ られ たの もこの こ と と関 係 が あ る。「 科 学史 」を学 ぶ こ とは「科 学技 術 と社会(科学 技術 社 会論:STS (Science,TechnologyandSociety )」 の入 り口 を学 ぶ こ とにな るか らで あ る。 し か し、 科 学 教育 にお いて 「 科学 技術 と社会 」 の関係 を ど こ まで 踏 み込 んで 教 え るか とい う こ と は、 難 し い問 題 であ る。初 等 教育 段 階で は日常 生活 に密 着し た 科学 を 教 える こ とに重 点 が置 か れて い る。 そ れ に対し て中 等 教育以 降 で 「科 学 史」 を教え る とい う こ と は、 単 な る人 物伝 や発 明 史 を教 え る こ とに留 まら ず、 科 学 が歴 史学、 社会 学、 経 済学、 文化 論 等 との 接点 を持 つ こ とに な る。 す な わ ち、「自 然 法則 」の利 用 と「 社会 的 価値 」との絡 み合い に 触 れる こ とに なる。 こ れ まで は割 拠 する 個別 分 野 とし て 構成 さ れてい た物 理 や化 学 、生物 、地学 とい う土 俵 を踏 み出 すこ とに な るの で あ る。 さ ら に、 理科 の4 教 科 を越 えて 他 の教科 (た と えば、技 術、 家 庭、 保 健等 ) との 関係 の 見 直し も必

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長 涜: 変化 する時 代 の科学教 育 と環境 教育 ・開 発 教育 107 要 にな るで あろ う。 こ のこ と は特 に 教師 ( 教え る立場 の 者) はし っ か り認 識し た上 で 教育 の場 に臨 む必 要 があ る。 科学 技術 と社 会 との 複雑 な関 係 は学習 の発達 段階 が 未熟 な幼 児 や 児童生 徒 (学 習者 ) に は理 解 が 難し い こ とな ので、 教育 課 程 の編 成 にあ たっ て は、 発達 段 階 に即し て次 第 に学習 内容 の「 社会 性 」 を 高度 化し てい く必要 があ る。 その 際 の ポイ ント は学習 者 の 社会 性 獲得 の段 階 と並 行し て進 む とい うこ とで あ り、 社 会科 、国 語 科等 の他 の教 科 との接点 が必 要 となる。 従来 、 一般 的 に は児 童生 徒を対 象 とす る科 学教育 は「 科学 を 学ぶ こ と」 が最 終目 的 であ る か の よ う に理解 さ れて きた が、今 後 は「科 学 を 学 ぶこ と」 を通じ て「 科学 的 思考 法 と実証 的 態度 」 と を身 に つけ、 そのこ とが 他 の分野 に も応用 で き るよ うに させ る こ とが必 要 となる。 高 学年 の生 徒 に対 し て は、社 会的 な 観点 か ら科 学技 術 の働 きを理 解 させ るこ とも含 め た視 野 の広い 知識 と思考 法 を獲 得 さ せる こ と も科学 教育 の目的 の中 に入 っ て くる ので あ る。 3 。 科 学教 育シ ス テム 科学 教育 シ ステ ム は数多 く の シ ステ ム の複合 体で あ る。 具体 的 に は、 目的 、 内容 (体 系 )お よ び 人 的 シ ステム (組 織) から 成 り立 っ てい る。 そ れらの シス テ ム は、学 校 教育 組 織を 初 め とし て生 涯 (社会 ) 教育・ 職業 教育 、 あ るい は多 様 な教育 ・学 習活 動 を通 じ て、 その他 の 社会 シ ステ ム とさ ま ざ まな相互 関 係( 階層 構造 ) を持 っ てい る。 もち ろん、 科 学 (理 科) 以 外 の他 の科目 が 関 係 する 分 野 との関 係 も持 ち なが ら総 合的 に機 能 し てい る。 そし て 、 それ を機能 さ せる 要 は「 人 (教 員・学習 者お よ び そ れら を取 り巻 く 関係者 )」 で あ り、人 と人 とを 組織し て い く関係 を 含 めて シ ス テム (組織 ) と呼 ぶ こ とが正 し い と言 え る。 良 い人 材 ( 教 員 等) を育 成し 、 良い シ ステ ム (組 織 ) を形成 ・ 維持 す るこ とが 大 切 であ る。 また、 生涯 学習 と の関連 に お いて は、 科 学 教育 シ ステ ム は学校 理 科教 育 の みに基盤 を置 く ので は な く、 学 校外 の諸 機 関、 す なわ ち社 会 教育 施 設、公 共 ・民 間 の 教育 ・研 究機 関 や企 業・ ボラ ンテ ィ ア団 体 など、 広範 な諸 組織 と関 連付 け ら れて 連携し て い く こ とが 重 要 であ る。 この観 点 から、 科学 技術 に 関 す るコ ミ ュニ ケ ーショ ン の円 滑化 や メ ディ アの 活性化 な どが重 要 な 課 題 となる。 そ れは人 的 な面 に おい て 、理 科 教員 の 養成・ 研 修で あ る と と もに 科学 ジ ャ ーナ リ スト や各 種関 係 機関 (博物 館 や研 究所 な ど) にお ける 科学 技術 イン タ ープ リタ ー な どの職業 的 地 位の 確 立や 適切 な人 材 養成 とい う新し い 課 題 となっ て現 れて き てい る。 この よう な科学 コ ミュニ ケー ショ ン の充 実 は、 単に 科学 をコ ミュ ニ ケ ート す る だけ で はな く、 科 学 と社会 との関 係を環 境問 題 や 開発 問題 と の関係 にお いて も見 るこ と、 すなわ ち社 会的 な視野 の 拡 大 の中 に位 置付 けて い くこ とに もなり 、新 し い科 学教育 の在 り方 を包 含 する科 学教育 の シス テム を 創造し てい くこ とに もなるで あ ろ う。

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108 国 際地 域学研 究 第8 号2005 年3 月

第2 章

科学教育の対象 と方法 について

1 。 科 学 と科 学の 対象 と して の自 然 (1) 知識 の対 象 とし て の「 自然 」 とそ の拡 張 科 学 の出 発点 は古代 ギ リ シ ヤにお け る「 自然 哲学」 の 発生以 来、“「自 然 」 を語 る のに は「 自 然」 の事 物 (観 察 と計 測 に よる) を もっ て行 う” とい う考 え方が基 本 にあ る と考 えら れる。 もち ろ ん、 タレ ー スが 「万 物 の源 は水 であ る」 と言明 し 、 ヘラ クレ イト ス が「万 物 流転 の 根源 は火 で あ る」 と 言明 し た こ と は、現 在の物 質 観 から み れ ば極 めて幼 稚な 説明 で あ るが、「 自然 の根 源 を 自然 の 中 に求 め、 自 然 を超 越 し た存在 物 に その直 接 の 根拠 を求 めな い」 とい う 考 え方 は17世 紀以 降 に 確 立し た 近 代 科 学以 降 の考 え方 と共 通 す る ものが あ る。 現 代 の 科学 教育 が対 象 とする世 界 は古代 の 自然 哲学者 が 思考・認 識 の対 象 とし た「 自 然(存 在 物 )」 そ の もので もな く、17世 紀 の近代 科 学 の開 拓 者た ちが認 識 の対 象 とし た「 自 然界 」で もな く 、 そ れ らの 世 界 よ りさ らに拡 大 さ れた世 界 で あ るこ と をまず認 識 す る必要 が あ ろう。 す な わ ち科 学 が対 象 とす る環境 (世 界:人 間 の環 境) に は、人 間 が五 感 で知 覚 で き る範囲 で の 人 の手 の 入っ て い ない「 本来 の 自然」(こ の中 に は微小 生物 や極 地 、深 海、 地 中、 原 子や 素粒 子 、 深 宇 宙 の よう に科 学 に よっ て初 めて確 認 さ れた 自然 を含 む)、 人 の手 に よっ て「 改造(開拓 )さ れ た 自然 」 (田 畑、 公 園緑 地、 里 山・里林 な ど)、 お よび人 工的手 段 に よっ て創 出 さ れた「人 工 物 (人 工 環境 : 各 種 の建 築 物・構造 物 な どの物 的 イ ンフ ラ スト ラ クチュ ア)」 の 少な く と も3 種類 の学 習 の対 象 とな るべ き存 在 形 態 があ るこ とを生 徒 た ち に理 解 させ る必要 があ る。(図2 ) 図2 人工系環境の巨大化の図式 (2) 知 識 の 確認手 段 とし て の観察 、 実 験、 実証 方法 の発 達 知 識 が 確 実 な知識 で あ るこ との 確認 は、い わ ゆる学 問一般 におい て 当 然要請 さ れ る要 件 で あ るが 、 日 常生 活 上 の知 識 にお いて も必 要 に応 じ て 要請 さ れ、 そ のこ とが 事 象の 認識 や 係争 の判 断 に おい て 重 要 な役 割 を 演ず るこ とが あ るの は珍 しい こ とで はない。 そし て、 そ の確実 性 を保 証 す るの が誰 も が 認 め る「証 拠 」 を提 示 するこ とであ る。 こ の証 拠 の提 示方 法 とし て用 い ら れてい るのが 、一 方で は 観察 ・ 実験 等に よ る物理 的 な証 拠 の提 示 で あ り、 他方 で は論証 と計 算 に よ る論理 的 ・数 理的 な方 法 であ る。 こ の2 種類 の証 拠 の提示 方 法 は昔 か ら人類 が利 用し てい た もので あ る が、 そ れら の発達 は人 類 の歴 史 の中 で単 純 素朴 な段 階 から

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長 演:変 化 す る時 代 の 科学教育 と環 境教 育・ 開 発教育 109 精緻 で 巧妙 な段 階 へ と次第 に発 達 し て きた ものであ る。 古代 文 明 の時 代 に は その文明 の発展 レ ベ ル が あ り、中 世 の時代 に は その文 明 に特有 の、 また近 世 ・近代 に はさ ら に発達 し た手 段・ 方法 が 生 み 出 さ れた。 その後 の「 科学 革命 」 や 「産 業 革命 」 に よるさ ら な る文 明 の発 達 によ り、19世 紀 の第一 次産業 革 命、20世 紀 の第2 次産 業 革 命 の時 代 にお け る科 学技術 の発 達が 驚 異的 な 実験 ・実 証手 段 を 発達 さ せ、現 代 も引 き続 き発 展中 であ る こ と は、現 に我々 が 目 にし てい る ところ であ る。 現 行 の学習 指 導要 領(白 )が 「科 学 史」 を学 ばせる こ とにし た 意義 はそ の よう な科学 の大 きな 流 れ を学 ぶ ところに あ るので あっ て 、 個々 の学者 の伝記 を学 ん だ り、 大発 見 の事 例 を学 んだ り する こ と はその きっ か けに過 ぎ ない。 結論 的 に言 えば、 生 徒た ち は科 学 の基 礎知 識 とし て、 どのレ ベ ル の科学 知識 が どの よう な実 証手 段 に よっ て成 り立 つの か につい て 、 具体 的 に学 んで お く必 要が あ り、 こ の こ とが 科 学教育 お よ び科 学的 リ テ ラシ ー(科 学的 素 養) 育 成 の基 礎 条件 のひ とつで あ る。 2 。 科 学 を学習 する手段 とし ての 言語 (1) 自 然言語 と人 工 言語 ( 専門 用 語)(a2 ) 一般 人 の日 常的 言語生 活 は「自 然 言 語」 に よっ て成 り 立っ てお り、 専 門 用語 を用 い る のは特 別 な 場 合で あ る。人 間 が この世 に生 ま れた ときに まず接 す る の は身 の回 り の自 然現 象で あ り、 身 の回 り の人 間が 発 する 自然 言語 であ る。 人 間 は こ れら の環 境 の中 で、 ま ず自然 言 語で 自然 現 象を 認識 ・ 学 習 し、 知 識 とし て蓄 えてい くの であ る。 年 齢 を 経る にし たが っ てさ まざ まな 教育 を受 け るよ う にな るの であ る が、 すべ ての 学習 の 前提 に自然 言 語 による 「 素朴 概念 」 の形 成 があ り、 教育 によっ て与 えら れ る体 系化 さ れた概 念 は何 らか の意味 で 素朴概 念 とは違 っ た「 特殊 概 念」 であ り 、科 学 の分 野 にお け るそ れが 学術 用語 とし て の 「専 門 用語 (科 学言 語 体系 )」 とい う こ とに な る。 また、「素朴 概 念」 も年 齢 と と もに知 識 と経験が 豊富 にな る こ とに よっ て それ自 体 の発 展が あ り、 高度化 を遂 げてい く。人間 は人 生 を 経 る と と もにそ れぞ れの 発展 し た素 朴 概念 の体 系 を持 って お り、 そ れは 体系的 な 教育・学習 に よっ て 得 た多 様 な分野 の 専門 (学 術 ) 用語 の体 系 と併 せ て (並 存 的 に) 保持し てい る と考 えなけ れ ばな ら ない。 科学 教育 (学 習 ) に よっ て獲 得さ れ る「科 学 知識 の 体 系」 も「 素 朴概 念の 体系 」お よ び その 他 の「専 門 知識 の体 系」 と並存 し て発 達 し てい る知 識 の体 系 であ り、 そ れら は互い に影響し あ い な が ら形 成さ れ てい る。し た が っ て、 科学 教育 が 他 の分野 の 教育 や 概念 体 系 と孤立し て独自 の形 成 が行 わ れてい る わけで はな く、 相互 に関連 し てい る こ とから、 科学 教育 カ リ キュラ ム の編成 にあ たっ て も この こ とに留 意し た検 討 が必 要 であ る。 (2) 素朴 概念 か ら専門 ( 学術 )概 念へ 素 朴 概念 のレ ベ ルで の知識 体 系 は、 一 口で 説明 す れ ば科学以 前 の知識 体 系 であ る。 例 え ば「 天動 説 」 の 体系 をそ の例 とし て あげ る こ とが で きる。 また、 近代 科 学 の概 念 のレベ ルで は「 地動 説 」 を そ の例 とし てあ げる こ とが で きる。 さら に、 相対 性 理論 や量 子力 学 のレ ベ ル で もそ の専門 概 念 に ふ さ わし い学術 用語 を 駆使 し た「 宇宙 論 」、「素 粒 子論」 が 展 開さ れ てい る。 後2 者 は人 間 の肉 眼 に は

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110 国 際地 域学 研究 第8 号2005 年3 月 見 る こ との で きない 存 在物 や力 の存 在 を仮定 す る必要 があ り、 そ れを理 解 する た めに は抽 象的 な 概 念 を理 解し 、 操 る知 識 と能力 を必 要 と する。 また、 それ を実証 する 技術 の 体系 も別途 用意 さ れ てい る。 素 朴 概念 と抽 象( 学術) 概念 を つ なぐ 図式 を 考え る と、 概 略以 下 の よう にな る よう に思 わ れ る。 (素 朴 概 念 の整 理か ら抽 象概 念 の理 解 へ)a ) 素 朴 概念 のレ ベ ルで 成立 す る科 学 の体 系 それ は肉眼 等 の五感 で 確認 で きる 事 象 と日常 的 な現 象の 経験 ( 古い 学問 ・言 い伝 え等 を含 む) の 蓄 積 を 基盤 とし、 それら から類 推 さ れた知識 の体 系を整 理し た もので ある。 言語 の ほか に基 礎 的 な 数 学 、 幾何 学 お よび推 論 (論証 術 ) を 伴っ てい る。b ) 抽 象概 念 に よる 自然 法則 を基 盤 とする 科学 の体 系 こ のレ ベ ル の科 学 は、 見か け の現 象 の背後 に隠 れてい る自 然 法則 を精 緻 な観 測 と厳 密 な計 算 、 お よび 工夫 さ れた実 験 によ る実証 によ っ て確 実 な知 識 と する方 法論 を伴っ て い る。 そ れは 素朴 な 観 察 と計 算 を超 えた精 緻で 厳 密な 観測 ・ 実験 技術 の発達 によっ て そ の基盤 を確 立し た。c ) ふ たつ の 科学 の差 異 上 の ふ たつ のレ ベル の科 学 は、 そ の初 歩的 な段 階 におい て は 方法 論 (観 察や 観測 を基 本 デ ー タ と し て 、 そ れら を適 当 な仮説 と推 論 を 用い て結 論 を導 く) につい て共通 性 を持 つ。 し かし 、 そ れ ぞ れ そのレ ベ ルが上 昇 し てく る とそ の差 が拡 大し て く る。 すなわ ち、 実証 レ ベ ルにお け る 方法 論 と概 念 規 定 お よ びそ れら の厳 密性 に おい て大 きな差 が 出て く るから で ある。 実 験・実証 手段 の発達 の差 が 、 ふ た つ の科 学 の性 格 と発展 性 を大 き く分 け てい る と言 う こ とが で きる。 また、 そ れ は自然 言 語 と専 門 ( 学術 ) 言語 に対 する 依存 の差 に よ る もの という よ りは、実 証 手段 (そ れぞ れ の体 系 を支 え る基 盤 ) の差 によ る と言 うべ きであ る。 3. 科学 技 術が 新 たに生 み出し た 世 界 (人 工 環境 拡大 の影響 ) 科 学技 術 の発 達 に より、 人類 は人 工 物 (質 ) をお びた だし く生 産し 、 人工 環境 を 著し く拡 大 し て きた。 こ の こ とは科学 の対 象 が素 朴 な自 然物 (自然環 境) か ら、 広大 な人工 物 (人 工 環境 ) へ と拡 大 し て きて い る こ とを示 し てい る。 人 工 環 境 は人 間 が意 図的 に造 りだし た もので ある。 し かし 、本 来 の自 然 は人 間 の意 図 (意 識 ) の 外 に あ る (自然 に生 成・ 消 滅 する ) も のであ るから、 人工 物 と は本質 的 に 異 なっ た存 在物 で あ る。 た だ し、 人 工 物 の素材 ( 材料) は自 然物 な ので 、 そこで人 工物 と自 然物 とはつ なが っ てい る 。 また、 科 学 は人 間が 作 り出し た知 識 (情報 ) の体系 で ある が、 その対 象 とする 自 然 は人 工 物 で は ない が 科学 自身 は人 工物 で あ る。 そし て、 科 学 教育 の対 象 とな る児 童生 徒 は人工 物 で はな く自 然物 で あ る。 もちろ ん教師 を含 む大 人 も本 来 は自 然 物 なのであ るが、 知識 (人工 の 情報 ) を蓄 え こ む よ うに な っ て、 そ の意識 は 相当 に人 工化 され てい る。し かし 、 そ の身 体 は自 然物 とし て人 間 の 意識 を 担い で い る。 し た がっ て、 そ れを科 学教育 の視 点 から 見 る と、科 学 の対 象 に は「本 来 の自 然」 だけ で はな く、

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長 済: 変化 す る時代 の 科学教育 と環境教 育・ 開 発 教育 Hi 人 工化 され た世界 (物 質、 環 境、 シ ステ ム) を 意識 し て加 えて いか な け れば なら ない ので あ る。 そ の意 味 におい て、 科学 の カ リ キュ ラ ムは生 徒 の発達 段 階 を考 慮し なが ら、 旧来 の 自然 観 を再 吟味 し て、 本来 の 自然 を扱 うだ け で はな く、 積 極的 に人工 化 さ れ た世 界 を扱 う内 容 も取 り入 れ、 この よう な対 象 を取 り扱 う科 学技 術 (人 工 系 科学 技術 ) に配 慮し 、 位置 ず けて い く とい う構造 を必要 とし て い る。「本来 の自然 」、 と「人 的 環 境 」 のバ ラ ン スを どう取 って い く か は、 今 後 の科 学教育 カ リ キュ ラ ムの ひ とつ の課題 で あ る とと もに 、環 境 教育 ・開 発 教育 との接 点 と もなっ てい る。 現在 の4 教 科(物 理、 化 学、 生 物 、地 学 ) は、 この よ うな 観点 か ら もそ の内容 と構成 を再 検 討 す る必要 があ る。 4 。科 学 教育 とサ イエ ン ス・ コ ミュ ニ ケ ーシ ョン 近 年科 学 教育 あ るい は科学 技術 の普 及 の分 野で サ イエ ン ス・ コ ミュニ ケー ショ ンの 重要 性 が強 く 認 識 さ れだし て い る。 科 学技 術 に関 係 す る知 識 や情報 が 重要 で あ る という こ と自体 はは るか以 前 か ら有 識 者や財 界人 、 政府 関 係者 に よっ て た びた び提起 さ れ てい た こ とであ る。 し かし 、 そ れら は専 門家 の 意見 ・見識 として 表明 さ れ てい た だ けで、 科学 技 術政 策 の柱 として き ち んと位 置付 け ら れ、 多 額 の予算 が付 け られて多 く の事業 (イ ベ ント )が 実施 さ れ るこ と は多 く はなか った。 公共 政策 のレ ベ ルで はそ れ らは人 々 の楽し み(趣味 ) とみ なさ れ るか、 個人 レ ベ ルの 数寄 ご と と みなさ れ るこ とが多 かっ た。 フ ォー マ ルな こ とで はな く、 イ ンフ ォ ーマ ルな世 界 ので きご とだ っ た の であ る。 一般 大衆 が科 学 に対 し て 強い 関心 を持ち、 親 し んで そ れ らに 意見 を表明 す る、 あ る い は 科学 技術 政 策 に対 し て、 専 門家 を差 し置 い て クレ イ ム を付 け るこ とな ど考 え もさ れ な かっ たの で あ る。 公 的レ ベ ルで は科学 技術 の世 界 は専 門家 の 独壇場 の感 があ っ た と言 え よう。 その よ うな世 界 に少し で も変 化 が 生じ た こ との背景 に は、 科 学 技術 をめぐ る大 き な世 界情 勢 の変 化 があ っ たこ とが指 摘 で きる。 科 学 技術 の み な らず、 政 治、 経済 、資 源、 エ ネ ルギ ー、 情報 、 文化 交 流 など、 ほ とん どす べて の分 野 で 、 グロ ーバ リ ゼー ショ ン の動 き が始 まっ た こ とで ある。 そ れ までの国 際間 競争 は資 源・ エ ネ ル ギーあ るい は商 品 マ ー ケット の獲 得 競争 とし て意識 さ れ、 「 貿易 戦争 」 とい って もそ れ ら ぱ 繊 維摩擦 ”、“鉄 鋼摩 擦 ”、“自 動車 摩擦 ” と呼 ば れ た ように 、 そ れら のテ ーマ は大 方局部 的 な もの と受 け取 ら れ るこ とが多 かっ た。 し かし、1980年代 以 降、 そ れ ら の産 業 界で の局 地戦 に敗 れた米 国 が “知 的 財産 権” 重視 政 策 に転 換し て以 来 、世 界 の 流 れが大 きく 変 化し て きた と言 え る。 す べ て の“ 経 済力 ”、“ 産業力 ” の基盤 には 科学技 術 が あ る という認 識 に 到 達 した の であ る。 す なわち 、“知的 財 産 (特 許 や著作 権 な ど)" とい う「知 識 と情 報」 を武 器 とす る 総力 戦 が始 まっ た と言 う こ とがで きる。 こ の よう な新 し い世 界で は、 各 国 の 国民 自身 がい か に科 学技 術 力 (知 識 と情報 ) を持 ち、 それ ら を仕事 の 上で 、あ るい は生 活 の上 で 上手 に生 かして い け るか、 創 造性 を発揮 で き るか どう か とい う こ とが重 要 な要件 となる。 別 な 言い 方 を すれ ば、一 般大 衆 とし て の 国民 にい かに質 の良 い 科学 技 術 情 報 を普及 さ せ、 また 国民 自 身 が どれ だ け創造 的 な科学 技 術活 動 を 理 解し、 支 持し、 そ れに参 加 し てい る か とい う こ とが、国力 の源 泉 にな る と言う こ とがで き る。その 意味 で「 科学 技術 基本 法」(tt3)が

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112 国 際 地 域 学 研 究 第8 号2005 年3 月 制 定 さ れ、( 科 学技 術基 本 計 画J(a:3)が 作成 さ れて、 サイ エ ン ス・ コ ミュニ ケ ーシ ョン は科学 教 育 の 対 象 と 方法 に関 す る隣 接分 野 (あ る い は一部 ) とし て重 要 な位置 づ け を得 た と言 う こ とがで きる。 第3 章 科 学 技 術 と モ ー ド 論 ( 科 学 の パ ラ ダ イ ム を 連 結 す る )1 . モ ー ド論 とは どのよ う な考 え方 か ? モード 論 と は、 科 学技 術 と社会 との 相互 関 係 にお け る新し い 潮 流 を規定 す る様式 を、旧 来 の様 式 と対 比 す る ため に考 え出 さ れた科 学 技術 活 動 の様式 ( モ ード ) を定 式化 する議 論 であ る。 少 し長 い 引 用 とな るが、 モ ー下 論 の提 唱者 た ち はモ ード 論 を次 のよ うに 考 えてい る。( 参考 資料l 。Pp5-6 ) 「 著 者 た ち は、 単 に科 学技 術活 動 に とど まら ず、社会 的、 文化 的 な局面 を 含 めて、知 識 生 産 の 方法 の 根 本的 な変化 にわ れわ れ は直 面 し てい る のだ と考 える。 こ の変 化 は、 知識 生産 の新し い モード へ の 移行 で、新 し い モード は、す で に確立 さ れてい る組織 、ディ シプ リ ン(個 別 学問 領域)、研 究 活 動 、 政 策 に置 き換 わり、 あ るい は改 革 を迫 っ てい ると考 える。 従来 から存 在 す る知 識 生産 の様式 を モ ー ド1 、新し い 様式 をモ ード2 とい う 。簡 単 にい えば 、デ ィ シプ リ ンの内 的 論理 で研 究 の方 向 や 進 め方 が 決 ま るの がモ ード1 、社会 に 開放 さ れた 科学 研究 の モ ード が モ ード2 とな る。モード1 とモ ード2 とは ど の ような ものか を簡 単に 示し てお こう。 モ ード1 で は、研 究活 動 は、 各 デ ィシプ リ ン の内的論 理 に よっ て進 めら れる。 た と えば、 問 題 解 決 は、 ディ シプ リ ンの内 部 の規 約 に よっ て進 められ、研 究 成果 の価値 は、 ディ シプ リ ンの知 識 体 系 の発 展 に い かに貢 献し てい るか に よっ て決 まる。研 究 成果 は、 学術 雑誌 、 学 会 など の制 度化 さ れた メ デ ィア を通 じ て普 及 する。 研 究活 動 の実 用 的な目 的 は、直 接 的 に は存 在し ない。 人 材 養成 は、 各 デ ィ シプ リ ンの なか で、 具体 的 に は大 学 の学 科 などで行 われる。 し た がっ て、 教育 訓 練 を受 け てい ない 外 部 の人 間 が入 り込 むこ とが 困 難、 あ る い は、 外部 の人 間 が関 与 す るこ とを正 当 化 す る こ とが 困 難 で あ る。 一 方、 モ ード2 で は、 問題 設定 が アプ リ ケー ショ ン( 単 に産業 的 な応 用 だ けで な く、社 会 的 な応 用を 含 む) のコ ンテ ク スト で 決 ま る。 問 題 解 決に は、 単 一 のデ ィ シプ リ ンだ けで な く、多 様 な デ ィ シプ リ ン か らの 参加 が求 めら れる。 そ こで は、 デ ィシプ リ ンを超 越 し たト ラ ン スディ シプ リ ナ リ な 問 題 解 決 の枠 組 みが 用意 さ れ、 個 別 の ディ シプ リ ンに はない 独 自 の理論 構 造、 研 究方 法、 研 究様 式 を構 築 す る。 こ れら は必 ずし も個 別 の ディ シプ リ ンの発 展 に は寄与し ない。 研 究 成果 は制 度 化 さ れ たメ デ ィ ア を通じ て普 及 す るので はな く、 参加 者 たち のあい だ で学 習的 に知 識 が 普及 す る。 参加 者 の範 囲 は広 い。大 学研 究者 の み なら ず、産業 界、政府 の専 門家 」、さ ら に は市民 も、必 要 に応 じ て 参 加 す るし 、 参加 する必 然性 があ る。 そ の結果 、知 識生 産 の拠 点 が分 散 す る。」 以 上 の よう に、 モ ード1 の科 学 技術 と は個別 科学 の ディ シプ リン に依 拠し てそ の規 範 の中 で 機能 す る 科学 技術 に対 す る呼 称 で あ り、 モ ード2 の 科 学技 術 とは 個 別 の デ ィシ プ リ ン を超 え た アブ リ

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長演: 変 化 す る時 代 の科学 教育 と環境 教育 ・開 発 教育 |13 ケ ー ショ ン (社 会 のニ ーズ) に 依 拠し て 新 たな 規範 を形 成し なが ら現 実 の社会 の中で 機能 するト ラ ン ス・ デ ィシプ リ ナリ ーな 科学 技 術 に対 す る呼称 で あ る。 モ ード 論 は この よう に その性 格 を 異 にす る2 種類 の科 学 技術 に 関 する 区分 を明 確 にし 、 社会 にお い て果 た す機 能の 違い を的 確 に把 握 す るこ とに より、 科学 技術 と社会 との関 係 が より 高度化 し 、 複 雑 に なっ て きた現 代社 会 にお け る科 学技 術 の役割 を生 産的 に 認識 する こ とを提 唱 する もの であ る。 2 。 モ ード論 の意 義 モード1 の科 学技術 は近代 科 学 革命以 来 の科学 技術 の発 展 の 基 礎を担 っ て きた 近代 科学 の典 型 的 な存 在形 態(T.タ ーン、参考 資 料2 )で あ り、科学 技術 関係 者 に は特 に その 説明 は 要し ない で あ ろう。 そ れに対 し て モード2 の科学 技 術 の 内容 に つ いて は、 モード 論 の提 唱 者 も必 ずし も明 快 な説 明 を与 え てい るわけで はない ので、 今 ひ とつ はっ き り分か ら ない とい う人 も多 いで あ ろう。 その理 由 は、 モ ード2 の科 学技術 に つい て多 少 の考 察 を加 え れば、 そ れが特 別 に 目新 し い(つ まり、 現代 高 度 科 学技 術 社会 に特 別 の) 科学 技術 で はな く、 科 学のア プ リ ケー ショ ン の形 態 とし て は今 まで もあ り 続 けて きた ので は ないか とい う こ と に気 がつ く からで あ る。 そ れで は、 な ぜ今 さ らモ ード2 の科 学 技 術 な ので あろ う か。 その ど こに今 日 的 な意 義 があ るの であ ろ う か。 現代 の 科学 技術 は環 境問 題 を はじ め とし て さ まざ まな複 合的 な問題 (負 の側 面 も含 む) に直 面 し てい る。 個別 分野 の科 学技 術 が開 発 し た成 果 に より経 済 は発 展し 、 数多 く の便 利 さ、豊 か さ を実 現 し て き た。 それ らは個 別 の科 学技 術 が 生 み出 し た単 純 素朴 な 成 果で は必 ず し もな く、 そ れら の集 合 体 とし ての シス テム化 さ れた 社会 組 織 が そ れら の成 果 を飲 み込 む 複雑 な複 合体 を作 り出し て い る。 それ ら は また今 に始 まっ た こ とで は な く、 人 類 の歴史 、 こ とに近 代 科学 の 発展 と産 業 革命 の 結果 と し て の産 物で あ る。 現 在、 それら が生 み出 し たさ まざ まな問 題 が近 年 の人 類 の悩 み の種 に なって い る こ とが広 く認 識 さ れだし てい る。 社会 の 中 にし っ か り と組 み込 まれ、 シス テム と化 し た科 学技 術 の成 果 を解 き ほぐ して 、 そ れらの問 題 をひ とつ ひ とつ解 決 して い く こと は容 易 で は ない。 この よう な広 範 な問題 を シ ス テム的 に 解決し て い く科 学 は、 こ れ まで は従 来の個 別 分野 を 基盤 とす る科学 技術 に とっ て は 得意 な分 野 で はな かっ た。 細 分化 さ れ た個 別 分野 の中 で研 究 開発 を推 進し 、評 価 す るこ と、 すな わ ち各 分野 の 中で 完結 す る研 究 が 最 も科 学技 術 らし い 科学技 術 とし て評 価さ れ て きた。 そ れが 従来 の 個別 の科 学 技術 のあ り方 ( モ ード1 ) で あっ た。 し か し、 科学 技術 の発 展 が進 み、 モ ードI 型 の科学 技術 の成 果 が 複合的 に社会 の中 に組 み込 まれ て発 展 す る と、 従来 の科 学技 術 の成 果 が複 雑に影 響 しあ い、 それ ら が生 み出 す廃 棄物 等 の負 の 影響 も単 純 で はな くなっ てし まった 。 個々 の素晴 らしい 科学 技術 があ る種 の 「合 成 の誤 謬」 を豊 か な生 活 の中 に持 ち込 むこ とにな っ て きた ので あ る。 こ れら の問題 を解 決 す るた めに は、 こ れ まで 不 得 意 で あっ た複 数 の分野 をシ ステ ム的 に 構成 し、 それ らの問 題 を 解決 し てい く社 会 の新 しい ニ ー ズに対 応し て い くタイ プ の科学 技術 が不 可 欠 とな っ てきた。 すな わ ち、 社会 の多 様 な 二− ズ に応 え る科 学 技 術 の アプ リ ケー ショ ン がよ りい っ そ う必 要 となっ た ので あ る。

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目4 国際地 域 学研 究 第8 号2005 年3 月 モ ード 論 の提唱 者 たち は科 学技 術 に対 する社 会の 新し い 要請 に対 する動 きが 次第 に 強 く なっ て く る こ とを捉 えて、 新し い タイプ( モ ード2) の科 学技術 の あ りか たを 強調 し た のであ る。 そ のプ ロ ト タ イプ は近 代産 業 社会 が形 成 さ れて く る過 程で も数多 く生 まれて きてい た ので あ るが 、20世 紀 の 半 ば以 降 まで そ れら は モ ード1 型 の 科学 技 術 の発 展 とそ れ ら に対 す る 社会 のニ ー ズ の 強 さ に 押 さ れ て 、あ ま り目立 た ず また発 展 のスピ ード も遅 かっ た と言 え よう。 地 球環境 問 題 とい う マ クロ な問 題 と ともに 、 環境 ホルモ ン、BSE( 狂牛 病) 、化 学物 質過 敏症 な ど の複合 汚染 が 具体 的 に 社会 の多 数 の 人 々 に認 識 さ れる に従い 、 モ ード2 型 の 科学技 術 のあ り方 が 浮か び上 が って き たわ け であ る。 し か し 、 だか ら といっ て モ ード1 型 の科 学技 術 が不要 に な るわ けで はない。 従来 は、 モ ードl 型 の科 学 技術 は社会 の発展、 経済成 長 や 便利 さ、 快適 さ な どに奉 仕 す る もの とし て 高 く評 価さ れ、 歓 迎 さ れて そ の地位 を高 めて きたが 、 こ れか ら は逆 にモ ード2 型 の 科学技 術 に協 力 す る も の とし て の 重 要性 を 高 めてい くこ とに なる ので あ る。 な ぜ なら、 モード2 型 の科 学技 術 はそ の総 合 性・ 複合 性 のた めに、 モ ード1 型 の科 学 技術 に 依存 し な け れば発展 で きない から であ る。 モ ード1 型 の科 学 技 術 は不必 要に な る ので はな く、 自 分 た ち自 身 のパ ラダイ ム に対 し てだ けで は なく、 社 会 が 要求 す る ニ ー ズ の アプ リ ケー ショ ン に対 応 す る モ ード2 型 の科 学 技術 に協 力 す るこ と をそ の ミ ッシ ョ ンに 加 えて い く こ とにな る のであ る。 その 存 在意義 が 変 わり、 そ れぞ れ の個別 分 野 の中で 完 結 す るの で は な く、 他 の分野 とのコ ミ ュニ ケ ーシ ョ ンを活 発 にし なけ れ ばなら なく なっ た のであ る。 すな わ ち、 モ ード2 型 の活 動 の中 で モ ード1 型 の原 則 に固 執 するこ と は、社 会的 ニ ー ズ解 決 のた め の活 動 の足 を 引 っ張 るこ とに なっ てし まうの であ る。 モ ード 論 提唱 の 意義 は この よう な 科学 技術 の 社会 に対 す るあ り方 の変化 を指摘 し た こ と、 従来 の 科 学技 術 の あ り方 に一石 を投じ た ところ にあ る と考 えら れる。 科 学 技術 の 社会 に対 す る ミッ ショ ン が変 化 し て い るこ とを 指摘 し たの であ る。 3 。 科 学 教育 とモ ード論 モ ード 論 に よっ て示 さ れてい る科 学技術 のあ り方 は、 科学 教育 に どのよ うな イン パ クト を与 え る ので あ ろ う か。 まず、 モ ード2 で対 象 とさ れる 科学技 術 はか な り複 雑 な社会 的 背景 を 伴う もの であ り、 そ れが対 象 とす るよう な科 学技 術 は教育 の上 で はど のよ うな対 象者 に対 し て行 わ れ るの が ふ さ わし い のか につ い て考 える こ とにし よう。 果 たし て 、科 学 の初 心者 (仮 に幼 稚 園 児や 小 学生 とし よう )で も取 り組 め るの か、 中・ 高 校生 で はど う か、 大学 生・ 社 会人 に は どう な のか。 こ のよう に考 え る のは、 科 学 教育 は その対 象・レ ベ ル に よっ て そ の目 標・ 内容 ・ 方 法 はそ れぞ れ 異な り、階 層化 し て構 成 する 必 要が ある と考 える から で あ る。 モ ード2 で対 象 とさ れる 科学 技術 はそ の性 格上 社会 的 な問題 とし ての 内容 を も含 んで お り、 そ の 解 決 が社 会的 ニ ー ズ とし て 現 れてい るこ とか ら、 科学 技術 上 の問 題 であ る と同時 に 社会 問題 とし て 取 り上 げる こ とも可 能 だか らで あ る。 し たが っ て、 それ は科学 教育 の対 象 とし てだ けで はな く、 他 の科目 (た とえば小 学 校で は生 活科 や 社会 化 、中 学校 で は技術 ・ 家庭 科 な ど) との 関 連 につ い て配

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長 演 : 変 化 す る 時 代 の 科 学 教 育 と 環 境 教 育 ・ 開 発 教 育 115 慮 する必 要があ る。 また、中 ・ 高校生 にな れば 、科 学 技術 の問題 と社会問 題 とをか な り具 体的 に 関連 付 けて 学習 の対 象 とす るこ とがで き るし 、 大 学生 ・ 一般 人 ともな れ ば、 そ れ は学 習 だ けで はな く、 そ れを 越 えて 解 決 のた めの取 り組 み手 段 とし て専 門 的 に 科学 技術 を研 究し 、 社会 的 な運 動 や改 善 に向 けて直 接 行 動 を進 めて い くこ と も視野 に入 っ て こ よう。 た とえば科 学技 術 政策 の形 成 のプ ロ セ スに 関し て は、 ア メ リカ の科学 技術 コ ミュ ニ ケー ショ ン は各 個人 の年齢 や職 業 な ど の社 会階 層 にあ まり とら わ れる こ と な く、 自 由に 意見 の交換 が 行 わ れて い る こ とが 指摘 さ れて い る(゛4)。 モードI の科 学技 術 とモ ード2 の科 学 技術 は、 現代 社会 に お いて こ の よう に幅 の広い 教育 対 象 を 考 えた場 合 に、 そ れぞ れの段 階 で ど のよ う に理 科(科 学 ) の科 目 の中 に位 置付 け てい くか を 考 える 場 合 のバ ッ ク ボーン に なる ひ とつ の科 学 技術 の 区分 方法 であ る。 仮 に幼 稚 園 から高 等学 校 まで を 理科 カ リ キュ ラム研 究 と作 成 の範 囲 であ る とす れ ば、 そ の範囲 の 中 で それら の最 良 の組 み合 わせ を 考 える と と もに、 他教 科 と の関 連に も配 慮し てい けば良 い であ ろ う。 4 。 モ ード 論 と環境 教育 ・開 発 教 育 との 関 係 環境 教育 お よび 開発教 育 の背 景 にあ る環境 問題 と開発 問題 の解 決 は、 現在 で は グロ ーバ ルな世 界 の切 実 な問 題 とな り、 そ れら の解 決 は社 会 の大 きな ニ ー ズに なっ てい る と言 え る。 こ れら の問題 の 解 決 のた めに は、 他分 野に わ た る科 学技 術 ( モード1 に相当 す る各分 野 ) の複合 的 な協力 が 必 要 な だ けで はなく、 い わ ゆる理工 系 の科 学技 術 分野 とと もに人文 社会 科学 系 の分 野 にお け る研 究 成果 を も統合 し たアプ リケ ーショ ン (近 年 は「社 会 技 術」(9:5)とい う 用語 が 行 政分 野 で 使 用 さ れる よ う に な っ てい る) に よる問題 解 決 の活 動 が重 要 性 を増し て きてい る。 現在一 般 的 に実施 さ れ てい る環 境 教育 や 開 発教育 におい て は、 単 に理 念や 理論 の学習 だ けで は な く、実 践的 な 活動 と問 題が 所在 す る「現 場 」 におけ る 実見 ( 体験 ) 学習 が重 視 さ れてい る。 教育 効 果 を上 げ るた め には、 い わ ゆる 「座 学」 より は「活 動」 と「 体験 」 を通じ た認識 の深化 が重 要 とさ れてい る ので あ る。 実践 活動 や現 場 体験 にお い て は、 さ まざ まな条件 や 要素 が 混在 し てお り、 自 然科 学 の面 にお い て も人文 社 会科 学 の面 に おい て も、 単 一 の モ ードI 科 学 の知 見 で事 象 を理 解 する だ けで は、 そ の問題 全 体 の理 解 に は結びっ か ない。 むし ろ、 そ の問 題 の解 決 を図 ろ う とす れ ばす るほ ど とて もひ とつ の 科 学 分野 だけ で は足 りず、 あ れ も必 要、 こ れ も必要 とい うこ と にな る のであ る。 し たが って 、環 境 教育 や開 発 教育 で は最 初 の入 り口 段階 で は必 要 とは限 らな い が、 教育 学習 を 進 めてい けば どうし て もモ ード2 科学 の知 見 の助 けを借 り なけ れ ば なら ない こ とに なる。 その意 味 で こ れ ら の教育 分野 は必 然的 にモ ード2 の科 学 との関 係 が深 い ので あ る。 し かし 、 その こ とは モ ード1 の科学 との縁が 切 れる とい う こ とに はな らな い。す な わち、モ ード2 の 科学 の素 材 となり、そ れを 支 えてい るの は モード1 の科 学 だ から であ る。 こ れらの教育 分 野 におい て 教育 学 習 を 進 めてい く と き、個別 の問題 の内容 を 深 く追求 し てい け ば、

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116 国際 地域 学研 究 第8 号2005 年3 月 そ こ に はモ ード1 の科学 の深 い 知見 を 必 要 とする課 題 が山 積し て い るの であ る。 そ れら を う ま く つ な ぎ合 わ せ、 さ らに 「 社会技 術 」 と結 び合 わ せて、 問題 全 体 の構造 と解 決方 策の 方向 を 探 って い く こ とが 必 要で あ り、 そ の部分 が モ ード2 の科学 となっ てい くの であ る。 し たが っ て、環 境 教育 と開 発 教育 の 基礎 に は科学 教育 の成 果 が必 要 な ので あ る。 科 学 教育 の成 果 を正 し く、上手 に活 用 する こ とに よっ て、 環境 教育 と開 発 教育 の成 果 も上 がっ てい く とい う関 係 が そ こ に存 在し てい る。 この よう な局 面 で は、科 学 教育 の中 に サイエ ン ス・ コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ン の視 点 が要 求 さ れ、 科学 技術 ジ ャ ーナ リズ ム の力 量 が問 わ れる よう に な る。 良 質 の情報 や 評 価 の スタ イ ル を供 給 す るこ とが で きるか が、 教育 へ の影響 力 とな るか らで あ る。 まだ 日 本で は、欧 米 諸国 に較 べる と科 学技 術 ジ ャーナ リ ズム の世 界 は弱体 で あ る。科 学技 術 ジ ャ ー ナ リ スト を結 集し た 日本 科学 技術 ジ ャ ー ナリ スト会 議 は1994年7 月 に 結成 さ れた が、 欧米 な みの 活 動 水 準 に 追い つ くた め に悪 戦 苦 闘し て お り、 その ため の社会 的 条件 は日本 に おい て は まだ まだ厳 し い と言 わ ざ るを得 ない 。 現 代 社会 にお ける 科学技 術 コ ミュ ニ ケ ーショ ン は、 単 に 科学 の難 しい 知識 を易し く伝 え る とか 、 一 般 向 け に広 く伝 え る とい う だ けで は な くなっ てい る。 科学 技術 の急速 な 発達 とそ の社会 との 関 係 は非 常 に 高度 で 複雑 な関 係 となっ て い る。 教育 を する側 だ けで は な く、 科 学技 術 ジ ャ ーナ リズ ム の 側 で もそ の よう な環境 の変 化 に対 応し た高 度で 多様 な対 応 を迫 ら れてい るので あ る。 サイ エ ン ス・ コミ ュニ ケ ーショ ン の 幅 は広 く、学校 にお ける 教育 活動 だけ で はな く、広 く社会 に お け る ニ ー ズに対 応し た活 動 を展 開し てい く こ とが要請 さ れてい る。 そ の中 に は環 境 問題 や 開 発 問 題 に関 す るこ とが 相当 な比 重 を 占 めてお り、 科 学 教育 、 環境 教育 、 開発 教育 に対 する 影響 力 は大 き く、 また 密接 な関 係 を持 って い るの であ る。 医 学 に「パ ラ・メディ カル 」とい う 広い 関係 分 野が近 年広 が っ たの と同 様 に、 科学 の世 界 に も「 パ ラ・ サ イ エ ンス」 の 分野 が生 成発 展し 、 広 が りつ つあ る と考 え ら れ る。 科 学 コ ミュニ ケ ー ショ ン に 関 する サ イエ ン ス・ イン タ ープ リ ター とか サ イエ ンス・ プロ デ ュ ーサ ー と呼 ばれ るよ う な新 らし い 人 材 のニ ー ズが社 会的 に 高 まっ て きてい るこ とは その証左 にほ か なら ない。 学 校教 員 や教 育 委員 会 職 員 はこ れら の新 しい パ ラ・ サ イエ ン ス分 野 の人 材と協 力し て 、科 学 ・環 境 ・開発 とい う21世 紀 の グロ ー バ ル な課題 に 取 り組 んでい く若い 人 材 の育成 につ とめ なけ れば なら ない の であ る。 そ のた め に こ れま で の近代 的 教育 シ ステ ムを改 め て見 直 し て みるこ と も必要 となっ てい る。 第4 章 環 境 共 生 社 会 ・ 国 際 共 生 社 会 と 教 育1. 科 学 教育、 環 境 教育、 開 発 教育 に関 す る歴 史的 な位 置付 け 日本 の 科学 教育 は明 治 維新以 降 、 日本 が 近代 国家 の建 設 を目 標 とし て国 造 りを行 う に際 し て、 必 要 欠 くべ か らざ る要 件(必 要 条件 ) とし て 西欧 か ら移植 さ れ、整 備 さ れて き た もので あ る。 現 在 、 一 部 の産業 分 野で は日本 は世 界一 流 のレ ベ ル に達 する まで に、 科学 技術 先 進国 となっ て い る。 その 実現 の基 礎 となっ た 理数 科目 の学 習 達 成度 を測 る 初等中 等教 育レ ベ ル の数 学 と理 科 の国 際比 較 テ ス

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長 漬: 変 化 する時 代 の科学教 育 と環境 教育 ・開 発 教育 117 ト(IEA 注 )お よびOECD (注')が 実施 し てい る)に おい て は、 従 前 はト ップ・レ ベ ル の成 績 を誇 っ てい た が、近 年 のテ スト で はそ の地 位 を後 進の諸 国 に脅 かさ れる状 況 と なっ てい る。 そ の原因 のひ とつ として、 日本 の教育 は「 覚 え る学 習 」 が中 心で 「考 え る学 習」 が 不十 分 であ る から とい う指 摘 が行 わ れ てい る。 こ のこ とは、 近 年の グロ ーバ ル 化し た 国 際 (国家 間) 競争 にお いて は 、従 来 の貿易 競 争、 経 済力 競 争、 科学 技術 競争 な ど から、 次 第 に教育 力 競 争 の分野 に も及 んで きた こ とを示 し てい る。 す な わ ち、 教 育 政策 も明 治維 新期 と同 様 に 世 界的 な国 家戦 略 の一 部 とし て 位置 付 けな け れば なら な くなっ た もので あ る。 そ の意 味で 科学 教育 は もはや国 内 問題 で はな く、 国 際的 な 視野 に たっ た 見直 しが 必 要で あ り、 国 内 事 情 を政策 決定 の優 先事 項 にし て はな らな い状況 に なっ て い る。 現代 の 教育 が抱 えてい る諸 問 題 を世 界的 な 視野 で見 なが ら、 科学 教育 の内 容 や カリ キュ ラ ム、 す なわ ち科 学教 育 シ ステ ムを考 えて い く必 要が ある。 一 方、 環境 教育 は科学 教育 に比 較 す る とその一 般化 の歴 史 は比較 的新 し い。 日本 の場合 も多 くの 先進 国 と同様 に 経済成 長 期 にお け る「 公 害教 育」 を そ の契 機 とし てい る。多 くの地 域の学 校 が 「公 害教 育」 と取 り 組 む過程 で その 内 容 が充 実発 展 し、環 境 問題 が 次第 に深刻 に認 識 さ れ る中 で 「環 境 教育 」 へ と転 換 して きた ので あ る。 そ れら の教育 経験 を経 て文 部省 が 「環 境 教育 」 を学 習指 導 要領 の中 に正 式 に位 置付 けた の は1991年 の こ とで あ る。 その 後環境 教 育 は世界 的 な「 グ ロ ーバ ル な地 球環境 問題 」 の広 が り とと もに、 今 で は学校 教育 の 中 にし っ かり と根付 い て きてい る。 そし て「 環 境問題 」 に取 り組 む と きに は正確 な 科学 技術 の 知識 を前 提 とし た理 解 と、科 学的 な方 法 に よる 解決 手段 へ のア ク セス が 要求 さ れる ので あ る。 その 意味 で 「環境 教 育」 はし っ か り とし た 「 科学 教育 」 が前提 にな っ てい な け れば正 しい 教 育目 的 は達 せ ら れ ない ので あ る。 また 、日 本 にお け る「開 発教 育 」 の歴 史 は さら に新し く、1980年代 に入 って から 本格 的 に取 り上 げ ら れ るよう になっ た。 し かし 、 一 般 に普 及 を始 めた の は1990年 代 に入 っ て からで あ る。1950 年代 に始 まっ た「国 際理 解 教育 」を その 前史 とし てあげ る人 もい るが 、「 国 際理 解」 は「 開 発教育 」の 基 礎 とし て は必要 で あ るが、「開発 教 育 」はさ らに そ れを超 えた現 実 的 な問題 の 解決 を目 的 とし て い る。 こ こで は「科 学技術 」を社 会 に応 用し 、「 開発 」の た めに役 立 て てい く とい う「能 力 」の育成 が 必 要 とさ れ るので あ る。 さ ら に、「 開発 教育」の 背景 は広 が っ てお り 、学 校 とい う場 にお い て児 童 生徒 を対 象 と する ば かり で な く、 そ の父母 や地 域 の住民 を対 象 とする 生涯学 習 (社 会 教育 ) の場 で も展 開さ れ なけ れ ば なら ない。 さ らに そ れら を統 合し た 開発 政策 、 開 発計 画プ ロ ジェ クト の一環 とし て 展開 さ れ る とい う 役 割 を も担 って い るので あ る。 こ れ らの 観点 は 発展途 上 国 の教育 (社 会) 開 発援 助 のシ ス テム に もリ ン クし てお り、 先 進国 の 立場 で 「開 発 教育 」 に取 り組 んで い く場 合 に は看 過で きない 側面 で あ る。I 国 ある い はl 地 域 の開発 に か か わ る という こ とに なれ ば、 その 学習 に は当 然 そ の環境 と資 源開 発 の問 題 が重 要 な要件 とな り、ここ に も科 学技 術 の正し い 適 用 と利 用 の問題 が 入っ て く る。し た がっ

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118 国際 地域 学 研究 第8 号2005 年3 月 て、「 開発 教育」 も「 科学 教育 」を包摂 し た 内容 を含 んで い るので あ る。以 上 の よ うに「 科 学 教育 」、 「環 境 教 育」 お よび 「開 発教 育 」 を見 て く ると、 こ れら は「科 学教 育 」 を基 礎 とし て密 接 な関 係 を 有 して い る と言 わざ る をえ ない。 2 。 科 学 教育、 環 境 教育、 開発 教 育 の関 係 に関 する 視点 「環 境 教育 」は自然 に親 し み、 自 然 を理 解 す るこ とか ら出 発し 、 学年 が 進 むにつ れ て社 会 関 係( 構 造 ) や産 業 シス テム との関 係 を学 んで い く。 理 科 の時 間 に学 ぶ自 然 (科 学) に関 する知 識 は「社 会 科 」 や 「総 合的 学 習 の時間 」 な どの中 で多 様 な 知識 と結 び合 わ され る こ とに より、 初 めて 環 境 問題 をそ れ らし い知 識 体系 とし て、 子 ど もたち は身 に付 けて い くので あ る。 理 科教 育 にお け る個々 の教育 内 容 は「 モ ード1 型」 に近 い知 識 として の内 容 であ る が、 そ れが 環 境 学 習(問 題 )と結 びつ くこ とに よっ て、「 モード2 型」の知識 体 系 へ と発達 し てい く ので あ る。 ま た 、 環境 問 題 は グロ ーバ ルな課 題 であ るが、 身近 な環境 や 日 常的 な生 活問 題 とし て の話 題 から理 解 を深 め、 徐々 に視 野 を拡大 し てい く とい う道 筋 をた どる こ とが多 い。 そ れ に対 して 、「 開発 教育 」は(小 学 校で の 学習 を想定 する と)入 り 口 は身 近 な異 文化 (外国 人 居 住 者 等) の存在 か ら出発 す る こ とは あ る とし て も、 それ はす ぐに 外 国 (文化 ・人 間 ・環 境 等) の 存 在 とその 内 容 の認識 に広が って い く。 そし て「 開発教育 」 の ポイ ン ト は単 な る国 際理 解教育 で は な く、 外 国 (主 とし て発展 途 上国 ) の開 発問 題 を考 え、理 解 し、 さ ら に協力 する こ とまで を 含 む とい う こ とで あ る。 現 実に そ れを実 行 す る かどう か は別 とし て、「環 境 教育 」と同 様 にそ れ らの問 題 の 解 決 を目 標 とし て 何 か を実行 す るこ と を考 察 (練 習 )す る とこ ろ まで学 習 す るこ とが含 まれ る。 そ の場 合、 環境 教育 の場 合 は問題 自 身 の原 因究 明や 解決 策 の策 定 のた めに 科学 技術 の知識 がか な り直 接 的 に 役立 つ場 合 が多 く想 定 さ れ る。 もち ろ ん、 経 済的利 害 や社 会制 度 ・産業 シ ステ ムな どの 問題 が複 雑 に絡 む こ と も多 いが 、科 学 技術 の知 識 が問題 解 決 の見 通し を立 て るた めに は相当 役 立 っ て い る こ とが多 い と言 える。 そ れに 対し て、「 開発 教育 」 が対 象 と する開 発問題 に は、 グロ ーバ ル な世 界 の構 造 問題 (政 治的 、 経 済的 、 社会 的 、 歴史的 、 思想 的、 民 族的 、 文化 的、宗 教 的等 々 ) が より複 雑 に絡 んで く る ので あ る。 すな わ ち、 科学 技術 のレ ベ ルで の 原因 究明 や 解決 策 の見通 し があ る程 度 分 かっ てい て も、 そ れ 以 外 の上 記 の よう な諸問 題 が障 害 とな っ て全 ぐ 埓( らち)力J明 かな い”とい う事 例 が きわ めて(環 境 問 題以 上 に)多 い と考 え なけ れ ばな ら ない。 し かし 、 歴史 的 に見 て も開発 問題 が 科学 技術 の発達 に よる世 界 の近 代化(文 明 化:Civilization) の う ね り (産 業 革命 、経 済発 展 、植 民 地獲 得、 資 源 と富 の収 奪 、 政 治的・ 文 化的 支配 等々 ) が 引 き 起 こし て きた こと を考 え ると、 こ の問題 の解 決 の鍵 も科 学技 術 の 今後 の発 展 の方向 性 とそ れ を社会 的・経 済的・文化的 に どの ように 具体 的 に応 用 実施 して い くか (モ ード 論で 言 う社 会の 「 アプ リ ケ ー ショ ン」) とい う こ とに帰着 す る と考 え るこ とが でき る。 こ の よう な視 点 から見 ると、「 科 学 教育 」と「環境 教育 」、「 開 発教 育 」とは1 本 の筋 で つ なが っ て お り、 科 学 (自 然科 学 の みで はな く、 社会 科 学、 人文科 学 も含 め て) を総 合 的 に活 用し 、 発 展さ せ

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長 演: 変 化す る時 代 の科学教 育 と環境 教育 ・開 発 教育 目9 る こ とを視野 に 入 れた教 育課 程 の 編成 を 教育 の 分野で も工 夫 し 、 実行し てい く こ とを要請 さ れ てい る と言 え る。( 図3 ) 図3 科学教育・環境教育・開発教育の連携3. 科 学 教育、 環境 教育 、 開発 教 育 の今 後 の役割 現 在 の世 界 情勢 を考 え る とき、 我 々 は「 環 境共生 社 会」 と「 国 際共 生 社 会」 との両 方を同 時 並 行 的 に構 想 し、 実現 さ せて い かな け れば な らな い と考 える。 すな わち 、現 在 の世 界 が直 面し て い る最 も大 きな 問題 は、 ひ とつ は環 境問 題 で あ り、 もうひ とつ は世 界的 に多 発 し てい る紛 争 (国 家 間、 地 域間 、民族 間、部 族間、 宗教 間等 々 )問 題 だ か らで あ る。 これ ら の問題 の背景 には開 発 と富 の生 産・ 分 配 の問 題 (一 般 的 な表現 で は経 済的 利 害 の問 題 )が 横 た わっ てい る。 この よう な背景 に あ る問 題 の 解決 につ い て直 接論 ずる こ と は本 論 の 目的 で はな い が、 この こ と は 深 く認識 して お く必 要が あ る。 な ぜな ら、 そ れらの解 決 の た めに教 育 の分 野 か らの基 礎造 り を す る こ とが「 環境 教育 」 と「 開発 教 育」 の目的 だか らであ る。 その意 味で 、 そ れら の教育 の基 礎的 な理 解 や 知識 を自 然科 学 を基 礎 とし て提 供し 、 正 確で 客観 的 な もの の見 方 を準 備 す る「科 学 教育 」 の役割 は大変大 きい。 科 学教 育 の良 し悪 し、 そのレ ベ ル につ い て関 心 が高 まって い る現 在、 現代 お よび 未来 社会 に対 し て前 向 き に役 立 つ 内容 と方 向性 を持 つ教 育 課 程 (カ リ キュ ラム) を 編成 し、 実 施 し てい く ことが 最 も基 本的 な教育 課題 として 位 置付 け ら れ る と言 え よう。現今 、理 数教 育 に対 す る世 界 の 関心 が高 まっ て い る こ とは、そ の よう な認識 も高 まっ てい ると善 意 に解釈 し たい が、 現 実 に は経 済産業 上 の グロ ーバ ル な競 争 (メ ガ コンペ テ ィ ショ ン) へ の必 要性 か らだ と指摘 す る 方が的 を得 てい るで あ ろう 。 し かし 、 産業 経済 そ の もの が環境 問 題 や 開発問 題 の克 服 通じ て、「環 境 共生 社 会」と「 国際 共 生 社 会」 の実 現 へ と向 かっ て行 かざ るを得 ない状 況 が作 り出 さ れ れば、 こ れに越 し た こと はない 。 そし て、 そ の ような世 界 の動向 の 流 れの中 に「 科学教 育」、「 環境 教 育」、「 開発 教 育」 を 内容 的 に も量的

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