138 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(45) オオ タ シロ ヤス ノリ太田代安律(昭和3
医学博士 乙第1123号平成2年10月19日
学位規則第5条第2項該当(博+の学位論文提出者)
直腸癌局所再発予防に対する術中放射線照射療法の意義に関する研究 (主査)教授 羽生富±夫(副査)教授浜野恭一,笠島群
論 文 内 容 の 要 旨
目的 進行直腸癌治癒切除症例に対する高エネルギー電子 線の術中照射療法の効果を,遠隔成績を中心に検討し, 特に局所再発予防に対する意義を明らかにする. 方法 検討対象は,1982年9月より1988年12月までの期間 に東京女子医科大学消化器病センターにおいて経験し た進行直腸癌治癒切除例に対する術中照射例43例であ る.これらはいずれも腫瘍の占居部位が大腸癌取扱い 規約の上部直腸(Ra)以下の領域に属する初発の単発癌で,進行程度は同取扱い規約のstage II, III, IV
(Dukes分類ではBおよびC)に属している.比較対照 群は同期間内の進行直腸癌治癒切除例のうち腫瘍の占 居部位および病期の進行程度が同じ61例である,照射
方法はNEC社製リニアックNELAC1018Bを用い
て,8~12MeVの電子線を15~20Gy照射した,遠隔成 績として次の項目に関して,照射群と非照射群を比較 検討した.すなわち,(1)累積生存率,(2)局所再発 率,(3)累積無再発率,(4)局所再発におけ’るdisease freeの期間,(5)合併症,の5項目である.遠隔成績 はKaplan-Meier法を用いて算出した. 結果 (1)累積5年生存率は,照射群80.0%,非照射群 66.1%であった.(2)局所再発率は,照射群で7.0%, 非照射群で19.7%であった.(3)局所再発に関する累 積無再発率は5年目で照射群85.8%,非照射群73.5% であった.進行度別・壁深達度別の比較では,Dukes C 治癒切除例のうち壁深達度a2以上の症例において,累 積5年無再発率が照射群88.9%,非照射群47.6%と有 意に改善を認めた(p<0.05).(4)初回手術から局所 再発が発見されるまでのdisease freeの期間は,照射 群で平均22.0カ,月,非照射群で平均12.6ヵ月であった. (5)術中照射自体に起因する重篤な合併症や副作用は 認められなかった.また,術後の遠隔転移に関しては, その発生率が照射野11.6%,非照射群11.5%であり, 照射の影響を認めなかった. 考察 骨盤領域における術中放射線照射は,小腸などの非 標的臓器を照射野からはずすことにより照射線量を大 きくすることができる.また1回照射の生物学的効果 が,術前照射をはじめとする通常の分割照射の2~2.5 倍に相当することからも,遺残癌組織を変性せしめる ためのきわめて有意義な補助療法である.しかし,今 回の検討で累積5年生存率での成績の改善が有意差を 得られなかったのは,局所再発は予防できても,血行 性転移や他病死により症例を失ったためと考え「られ る. 結語 進行直腸癌に対する術中放射線照射療法は,治癒切 除後の局所再発を予防する補助療法として有効であ る.特に,外科的剥離面に癌細胞の遺残が疑われる症 例においても,最もその効果が大ぎい. 一748一139