症性嚢胞では,自然消失例もあるが,治療に関しては,
嚢胞外痩術,内凄術,騨切除術いずれの術式でも良好
な成績にあったが,背景疾患との関連において,慢性
解炎を原因とする場合には,嚢胞の処置だけでは再手
術が必要となる症例があった.
腫虜性嚢胞においては,特に勝癌による二次的な嚢
胞では嚢胞により牌癌がmaskされる例もあり,勝癌
の存在を念頭においた充分な検索が必要であった.
勝嚢胞は単一な疾患ではなく,大部分は基礎疾患の
上に成り立つ現象としての病変である.したがって,
嚢胞にとらわれることなく,背景疾患に対する充分な
把握と,治療を考慮しなければならない.
7.肝細胞癌に対する Embolizationの臨床病理学
的検討
(消化器病センター外科〉上田 哲哉
術前に肝細胞癌のviabilityを低下させてから,切除
するという術前TAE併用切除療法の試みが,諸施設
において行われてきている.当センターでも16例施行
されており,その切除標本を病理組織学的に検討した
ので報告する.主結節に対するTAEの効果は認めら
れ, 15例中3例が100%壊死に陥り, 80%以上の壊死が
10例に認められた.被膜部腫蕩の残存は10例に認めら
れ,ほとんど効果を得られなかった.被膜外浸潤,門
脈腫蕩栓にも同様にほとんど効果は得られなかった.
娘結節に関しては,4mm程度の完全に被包化されたも
のには効果があったが,あまり効果は得られなかった.
それら効果のない腫蕩に対しての今後の検討が必要で
あると思われた.
8.胃病変における超音波内視鏡の有用性
(消化器病センター内科〉伊藤弥生
目的:正常胃壁の超音波解析を行ない,これに基づ
いた胃癌の深達度と病理組織上のそれを対比し,本法
の正診率を検討した.
結果:正常胃壁は,剥離実験・針刺入実験より 6層
構造として観察された.早期癌,進行癌を含めた39例
について検討したところ,進行癌の正診率はほぼ100%
であった.早期癌では隆起型の場合80%であったのに
対して陥凹型は32%だった.また誤診例中87%が実際
よりも深く読んで、いた.
考察.陥凹型早期癌に誤診が多い理由は,併存する
潰蕩や廠痕のために層の断裂や線維化,細胞浸潤を生
じ,これが超音波上癌浸潤との鑑別を困難とし,実際
よりも深く読んでいた.粘膜下腫蕩や胃外性圧排につ
いては,本法は最も良い適応であるが,胃癌について
57
は特に陥凹型の診断率をあげるために更に検討を加え
たい.
9
.
肝硬変患者における胃粘膜血行動態の検討
(消化器病センター内科〉足立ヒトミ
肝硬変に合変する胃病変の成因を追求するため胃粘
膜血行動態の検討を行なった.
方法:水素クリアンス法 (H法〉により体上部大湾
前庭部大湾の2点、で,臓器反射スペクトル法(S法〉を
用い胃内7点で測定した.また一部の例は両法を同時
測定した.
対象:control群(C群〉はH法35例, S法31例,同
時測定12例で, LC群は H法51例, S法35例,同時測定
16例である.
結果:H法ではLC群で体部血流が低下し前庭部と
差がなかったが,
S
法での
IHB
値(血液量〉は
C
群,
LC
群とも体部が前庭部に比べ高かった.また
LS0
2値
は
LC
群で低下傾向がみられた.同時測定例では
LC
群の体部大奪のみ血流量と
IHB
値の相関がなかった.
またLC群で体部発赤(+)群と(一〉群を比較すると
発赤(十〉群が血沈量が低下し
IHB
値が高かった.
結 論 :
LC
では胃体部血流低下の割に血液量は多く
酸素飽和度低下があり,胃体部血流うっ滞が示唆され
た.LCの体部粘膜発赤には血流うっ滞の関与がある
と思われた.
1
0
.
症候性および無症候性原発性胆汁性肝硬変症の
比較検討
(消化器病センター内科〕金子 篤子
昭和47年から59年に当科で観察した原発性胆汁性肝
硬変26例を症候性 (S),無症候性 (A)群に分け比較検
討した.S群14例A群12例.初診時S群47.9歳A群
51.0歳.男女比3対23.S群で総ビリルビン, ICG,血
清銅が,A群でIgMが高値.血清胆汁酸分画はS群 で
胆汁うっ滞パターンでA群はほぼ一常.組織はS群の
66.7%がScheuerのStage III以上, A群 は 全 例
Stage 1でplasma cellの浸潤が目立ったがIgMと
plasma cel1聞に相関はなかった.S群の36.7%が発症
後平均5.9年で死亡
. A
群の半数が肝障害発現後平均
1.9年で、症候性へ移行,他の半数は平均4.7年の経過期
間で無症候性状態が継続していた.
11.騨炎による高度食道狭窄を合併した早期食道癌
のl例
(中山記念胃腸科病院〉
山 本 雅 一 , 林 恒 男 , 田 中 精 一
矢 川 彰 治 , 辻 村 深 治
-677ー
5
8
(消化器病センター〕井手博子
患者は
4
8
歳,男性.主訴は心寓部痛,背部痛,っか
え感です.大酒家で,
s
革炎, 胃潰蕩にて,昭和
5
8
年
8
月より外来で経過を追っており,
5
9
年
6
月,外来内視
鏡検査にて表在型食道癌と診断.
7
月入院
.X
線像,
内視鏡検査にて,下部食道に良性炎症性疾患によると
思われる高度狭窄を合併し手術所見からも,豚炎によ
る食道狭窄と考えられた.繰り返した勝炎発作により,
炎症が大動脈,食道周囲の抵抗減弱部に沿って上行し
縦隔内へ達したと思われた症例を報告した.
1
2
.
食道癌治療ー食道抜去症例の検討一
(濁協医科大学第2外科〉
門 馬 公 経 , 門 脇 淳 , 田 島 芳 雄
教室で、経験した食道癌症例は
1
9
7
4
年以来
8
1
例で,切
除例は
5
1
例
(
6
3
.
0
%
)
と低率であるが,最近
3
年間で
は
75%
に向上した.その理由の
1
つに高齢者や低肺機
能例で,従来切除不能例とされていた中に食道抜去法
で主病巣の切除が可能となった事が挙げられる.
我々の経験した食道抜去法は9例で,
6
0
歳代4例,
7
0
歳以上5例である.病巣部位別ではCε3例, 1mEi
l例, EiあるいはEiEa5例である.食道抜去となっ
た理由は,喉食摘出後の再建が3例で,他の6例は肺
機能障害例か高齢に加え低肺機能のある症例であっ
た.術後合併症は, Ceで咽頭胃吻合を行なった3例は
経過良好であったが,胸部食道癌症例では4例に縦隔
出血,縦隔炎,肺合併症および循環系障害などの合併
症を併発した.手術死亡例はなく,手術後5例に両鎖
骨上富,上縦隔に対し放射線照射を行なった.
手術に際しては横隔膜食道裂孔部を十分に開大して
縦隔内操作を行なうことが重要である.
1
3
.
最近10年間の食道癌治療の経験
(都立駒込病院外科〉
岩 塚 油 雄 , 吉 田 操,増山 克
病院開設以来約
1
0
年間に当科に入院した食道癌症例
は
2
7
7
例で,そのうち切除し得た症例は
1
9
2
例,切除率
は
69%
である.直接死亡例は
1
0
年で直死率は
5.2%
で
あった.これら切除例の占居部位はやはり 1mが
9
7
例
54%
と多く,ついでEi,luの順であった.ほとんどが
右開胸であるが,下部食道癌などでは左開胸も
1
7
例あ
り,また,全身状態,年齢などを考慮して非開胸抜去
法によったものも
2
0
例を数える.
6
0
歳台が
44%
と多い
が,
8
0
歳以上の高齢者の切除も
3%
と多い.胸部食道
癌の
5
年生存率は
5
年以上経過例
6
6
例 で
7.2%
と悪い
が,これはStill,N例が多く,両者で
1
5
7
例,
85%
を
-678
占めることによると考えられる.最近は,遠隔成績向
上のため術前の化学療法を併用する例もあり,好成績
をおさめつつある.
1
4
.
ラット実験食道癌の応用
(日本医科大学第l外科〉
山 下 精 彦 , 笹 島 耕 二 , 田 久 保 海 誉
森 野 一 英 , 岡 崎 滋 樹 , 谷 口 善 郎
高井 淳 , 吉 松 信 彦 , 小 島 範 子
代 田 明 郎
私共はウイスター系ラットにN.sチルーN.アミルニ
トロサミン,
0
.
0
0
1
5
%
,
0
.
0
0
3
%
を
4-8
週間経口投与
し乳頭腫,早期癌,進行癌を食道のみに発生させ種々
なる検討を加えている.
治療面での検討ではOil-BLM,hinacの効果,特に
OHPの三者併用は明らかに有効であった.CDDP単
独と CDDP+OilBLMの併用投与では早期癌,進行癌
の発生を対照群より減少させ治療効果も認められたが
両者間の発生頻度と組織学的効果には差はなかった.
食道癌に対して各種のRiskfactorが考えられてい
るが喫煙とエタノールについて検討した.ニコチン投
与では対照群に比して癌腫の発生がやや多い傾向と大
きさも増大し,エタノールは対照群に比し腫蕩の発生
が高く,癌発生もみられ両者とも癌腫の発生に関与す
る有力なる根拠があると考えられた.
癌組織と嫌気性解糖とは密接なる関係があり各病変
について組織化学的染色と生化学的定量を試み検討し
た
1
5
.
消化性潰蕩に対する迷切術々後の合併症
(広田胃腸病院〉広田 和俊
十二指腸潰療による穿孔や出血症例に対して,幹迷
切 CTruncalV agotomy)がしだいに普及してきてL
、
る.著者の
2
3
年に及ぶこの術式の臨床から,手術手技
に関係した合併症の体験とその対策について述べた.
すなわち,術後裂孔ヘルニアの発生,食道下部液痕輸
による狭窄,絹糸による幽門成形部潰蕩とその出血,
牌門部出血,幽門成形部と肝との癒着による胃内容排
出障害, Stamm型胃痩のノミノレーンによる腸管閉塞,胃
痩周聞のリーケイジ,ホリーのキャセター抜去困難症,
食道穿孔などの実例を提示し,その対策及び防止を手
術手技の面から具体的に論じた.
1
6
.
胃アニサキス症
6
例の経験
(鈴木胃腸病院〕
鈴 木 重 弘 , 鈴 木 千 秋 , 鈴 木 重 雄
最近5年 間 に6例8匹の胃アニサキス症を経験し