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拡張性を有する学習支援システムアーキテクチャに基づく作問学習支援環境の試作

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(1)Vol.2014-CLE-14 No.5 2014/10/25. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 拡張性を有する学習支援システムアーキテクチャに基づく 作問学習支援環境の試作 仲林 清†1. 森本容介†2. 拡張性を有する学習支援システムアーキテクチャ ELECOA による作問学習支援環境の開発について述べる.ELECOA の特徴は,教材オブジェクトと呼ぶプログラムモジュールを追加することで,機能拡張性とコンテンツ再利用性を両 立させた柔軟な学習環境を提供することにある.今回は教材ツリーへの教材オブジェクトの動的追加機能など,作問 学習に必要な機能を追加し,グループ学習型作問学習支援環境のプロトタイプを試作した.これにより,ELECOA の 基本的な設計を大きく変更せずに,グループ学習支援環境が構築できる見通しを得た.. Development of Question-Generation Learning Environment based on Extensible Learning Support System Architecture KIYOSHI NAKABAYASHI†1. YOSUKE MORIMOTO†2. This paper describes a prototype development of a learning environment where problems are posed by learners applying the Extensible Learning Environment with Courseware Object Architecture (ELECOA). ELECOA is aiming to provide a flexible learner-adaptive system that ensures both function extensibility and content reusability. To achieve this goal, the concept of a “courseware object” has been introduced to allow incremental implementation of various educational functionalities. This paper reports the results of a prototype implementation of ELECOA in an environment for learning by problem posing. This prototype implementation features some new ELECOA functionalities including dynamic addition of courseware objects. The results imply that the learning environment could be developed without modifying basic ELECOA framework.. 1. はじめに 近年,学習者自身が問題を作ることで,学習領域に関す る理解を深めることを狙いとした,作問学習と呼ばれる学 習方法が注目されている[1]~[5].作問学習の研究は,問題 解決能力や創造性といった心理学的な立場からのものと,. 独習型環境における連携通信パターンが,グループ型の作 問学習環境構築にもそのまま適用できる見通しを得た.. 2. 拡張性を有する学習支援システムアーキテ クチャ 2.1 提案アーキテクチャの構成. 作問学習を支援する教育システムを開発するものに大別さ. 独習型学習のための学習支援システムは,コンテンツと. れる[2].作問学習支援システムの研究は,さらに,システ. プラットフォームを分離する構成を採ることが一般的であ. ムにドメイン知識を持たせて作問の支援や診断を行うもの. る[6].これによって,学習内容に依存しない共通的な機能. [3]と,グループ学習の課題として,作った問題を学習者相. はプラットフォーム側に持たせて,コンテンツ開発を容易. 互に共有・レビューさせるもの[4],[5]とに分類される.. にし,両者間のインターフェースを規格化して相互運用性. 本研究では,これらのうち,後者のグループ学習の一種. を図ることができる.このような構成の問題点は機能拡張. としての作問学習を対象としている.筆者らは,拡張可能. 性の欠如にある.すなわち,プラットフォームは事前に定. な学習支援システムアーキテクチャ ELECOA (Extensible. められた機能に従って開発するため,後から新規機能を追. Learning Environment with Courseware Object Architecture). 加しようとしても,プラットフォームの修正が困難であっ. [6]~[8] を提案し,その作問学習環境への適用検討を行っ. たり,不用意な改造で既存のコンテンツが動作しなくなる. てきた[9]~[11].これまで,作問学習環境は個別の学習設. といった問題が発生する.このように,既存の構成で機能. 計に基づいてそれぞれのシステムが作成されてきたが,本. 拡張性と相互運用性を両立させることは非常に困難である.. 研究では,これらに共通的な基本機能を抽出し ELECOA の. この問題を解決するため,筆者らは「教材オブジェクト」. 機能拡張性を活かして,種々の学習設計に対応可能とする. [6]と呼ぶ概念を取り入れた学習支援システムアーキテク. ことを目標としている.ELECOA では,後述するように,. チャ ELECOA[7], [8]を提案した.教材オブジェクトは,学. 教材オブジェクトと呼ぶプログラム部品を連携させて機能. 習者に適した教材の選択や表示,学習履歴の記録,などの. を実現するが,今回のプロトタイプ実装によって,従来の. プラットフォームで実装されていた様々な教育的な機能を 取り出したプログラム部品である.プラットフォームを教. †1 千葉工業大学 Chiba Institute of Technology †2 放送大学 The Open University of Japan. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 材オブジェクトに分解してモジュール化することで,機能 拡張性と相互運用性の両立を図る.. 1.

(2) Vol.2014-CLE-14 No.5 2014/10/25. 情報処理学会研 情 研究報告 IP PSJ SIG Techniical Report 図 1 に ELEC COA の構成を示す.教材オブ ブジェクトはプ プラ. て提供すべきイ インターフェー ースを特定する.このような して. ットフォームと ッ と明確に分離さ されている.新 新たな機能を実 実現. 考 え 方 で , 学習 者 適 応 コ ン テ ン ツ の標 準 規 格 で あ る. する際は,新規 す 規の教材オブジ ジェクトを追加 加する.既存 コン. SCO ORM 2004 の仕 仕様を実装した た.SCORM 2004 2 3rd Editiion. テンツは既存の テ の教材オブジェ ェクトを用いて て動作するため め,. に従 従って実装を進 進め,同規格の のテストスイートで正しく動. 新たな機能追加 新 加の影響を受け けない.このた ため,カスタマ マイ. 作す することを確認 認した[8].. ズが格段に容易 ズ 易になり,機能 能拡張性を向上 上できる.また た,. 2.3 グループ学習 習環境への適用 用. コンテンツと一 コ 一緒に教材オブ ブジェクトを流 流通させるこ とで,. グループ学習に グ に関する標準規 規格である Learning L Desiign (LD D) 規格[12], [13]を対象に検 検討を進めてき きた[14], [15] .. 相互運用性,流 相 流通再利用性を を確保できる.. LD 規格の主要な な構成要素は は,「活動(activity)」,「役 割 コンテンツ コ 教 教材内容・構造・順 順序 教 教材オブジェクトの の 組 組合せの記述. 既存 既存 新規 規 新規 コンテンツ ツ コンテンツ コンテンツ コンテンツ 1 2 4 3. 動 作 可. ole)」, 「環境(eenvironment)」である.活動は は「構造(activity (ro stru ucture)」を有し しており,活動 動の集約がさらに上位の活動 とな なる階層構造と となっている. .活動において ては, 「学習オ オブ. 教材オブジェクト 教 学 学習者適応機能・ 表 表示機能・ 履 履歴記録機能 プ プラットフォーム 実 実行時の 教 教材オブジェクト連 連携. O Obj.A Obj.C C. Obj.B Obj.D. Obj.F Ob bj.E. Obj..G. ジェ ェクト(learnin ng object)」や や「サービス(service)」など の複 複数の環境が使 使用される.学 学習オブジェクトの代表例は ビスの代表例はチャットや掲 Web b 上の教材やテ テスト,サービ. な機能を後から追加 加可能 プラット トフォーム 必要な 既存 存機能には影響しな ない. 図1 F Figure 1. ELE ECOA の構成 ELE ECOA framewo ork.. 示板 板である.活動 動には「学習者(learner)」や「スタッフ(stafff)」 など どの役割を持つ つ「人々(perrson)」が参加 加する.LD 規格 規 では は,アクティビ ビティの進行に に対して人やグループのプロ パテ ティに応じた制 制御条件を記述 述できる. EL LECOA で LD D 規格に基づく くグループ学習環境を実現 現す るた ために,図 3 のような構成 成を検討した[14].独習型の場 合と と同様,個々の の学習者の学習 習の流れは,ツリーの各ノー ドに に配置された教 教材オブジェク クトが制御する.チャットや 掲示 示板などの学習 習サービスは, ,独習型の場合 合の学習資源と 同様 様,末端ノードに配置して複 複数の学習者で共有する.さ らに に,複数学習者 者の状態に応じ じて個々の学習 習者の学習制御 を行 行うため,教材 材オブジェク トが,他の学習 習者の教材オ オブ. 図2. ELECOA の独習型環境へ への適用. Figure F 2 Appliccation of ELEC COA to self-learrning environm ment. 2..2 独習型環境 境への適用 ELECOA を,階層型(木構 構造型)コンテ テンツを用い る独 習型学習環境に 習 に適用した.E ELECOA の目的 的を達するため めに は,複数の開発 は 発者が別個に作 作成する教材オ オブジェクトが が相 互に連携して動 互 動作することが が求められる.そのため,教 教材 オブジェクトの オ の役割分担,保 保持情報,教材 材オブジェク ト間. ジェ ェクトと情報交 交換を行う.こ これによって,他の学習者 者の 学習 習進捗状況も勘 勘案して次に学 学習者に提示す する末端ノード (学 学習資源)を決 決定するように にする.このような複数学 学習 者の の状態集約交換 換のための拡張 張は,階層構造の親子の教 教材 オブ ブジェクトとの のメッセージの のやりとりや語 語彙には影響 響を 与え えないので,2 2.1, 2.2 で述べ べた ELECOA の基本的な枠 枠組 みを を変更する必要 要はない.これ れまでこのような考え方でジ グソ ソー法の実装を を行った[15].. 通信インターフ 通 フェースなどを を標準化する必 必要がある.そ そこ. 学習者 者A. で,階層型のコ で コンテンツに対 対して,図 2 のようにツリー の ーの. 学習 習者B. I1+L1. 各ノードに教材 各 材オブジェクト トを配置し,教 教材オブジェク クト. I1+L1. 学習状 状況 集約 約. I2+L1. は,配置された は たノードを頂点 点とするサブツ ツリーの学習者 者適. I3+L2. I3+L2. I2+L1. I3+L2. I3+L2. 応動作を制御す 応 するものとした た.すなわち,サブツリーの の範 囲内の学習者の 囲 の進捗・習得状 状態を管理し,これに基づい いて. I4+L3. I5+L3. I4+L3. I5+L3. U1. U2. U1. U2. 提示するコンテ 提 テンツを決定す するシーケンシ シング動作の制 制御. 学習サービス ケーション コミュニケ ツール ルなど. を行う.これに を によりサブツリ リーごとに異な なる教授戦略に に基 づく学習者適応 づ 応動作を実装で できる.また,教材オブジェ ェク 図3. ト間のメッセー ト ージのやりとり りは親子間に限 限定する.これ れに よって,メッセ よ セージ伝搬のパ パターンとメッ ッセージの意味 味を. Figu ure. 明確化し,教材 明 材オブジェクト トが他の教材オ オブジェクトに に対. environment.. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 3. ELE ECOA のグルー ープ学習環境へ への適用 Application. of. E ELECOA. to. group-learniing. 2.

(3) Vol.2014-CLE-14 No.5 2014/10/25. 情報処理学会研 情 研究報告 IP PSJ SIG Techniical Report. 3. 作問学習 習環境への適 適用. する議論や学習 習の制御 3.3 問題に付随す. 3..1 グループ学 学習型作問学習 習環境の必要機 機能 本研究では, グループ学習 習型の作問学 学習を対象とす する. 学習者が問題を 学 を作成し,その の問題を他の学 学習者や教員が が共 有・レビューし 有 し,場合によっ っては,作成し した問題を教材 材と して授業などで し で利用する形態 態である[4],[5 5].グループ学 学習 型の作問学習環 型 環境は,これま まで,個別の学 学習設計に基づ づく 機能要件に沿っ 機 って個々のシス ステムが作成さ されてきたが, ,こ こでは共通的 な基本機能を抽出し,それを反映し た ELECOA の教材 材オブジェクトを設計して,その組み合わ わせ で種々の学習設 で 設計に対応する ることを目標と としている. グループ学習 習型の作問学 学習で必要とさ される機能は大 大き. 前節で述べた 前 問題教材オブ ブジェクトと議 議論教材オブ ジ ェク クトは,内部の の状態遷移マシ シンで議論や問題修正の進行 を管 管理している. 作問学習では は,問題を作成した学習者と, その の他の学習者お および教員の役 役割が異なっていて,議論の 順序 序に制限が加わ わることもある る[5].したがって,作成され た問 問題や利用者の の役割ごとに異 異なる議論の制 制御を行うこと が求 求められる.作 作問学習におけ ける学習制御の状態遷移の例 [5]を を示す.この例 例では,作問 問者が他学習者 者と議論を行い い, 問題 題を修正してい いく.また,教 教員にコメントを求めること もで できる.ただし し,問題の修正 正は必ず作問者 者自身が行うよ うに になっている.このように実 実現したい制御 御に対応する状 態遷 遷移を,問題教 教材オブジェク クトと議論教材 材オブジェクト. く以下のように く に整理できる. (1 1) 問題や問題 題に付随する議 議論の動的な追 追加 (2 2) 問題に付随 随する議論や学 学習の制御. に実 実装する. 3.4 問題の教材と としての提供 ・利用 学習者が学習中 学 中に動的に作成 成した問題を,実際に演習問. (3 3) 問題の教材 材としての提供 供・利用 それぞれにつ ついて以下の各 各節で説明する る.. 題教 教材として提供 供し,複数の学 学習者に解答させることが考 えら られる.演習問 問題の提供・解 解答・履歴記録 録は従来の独習. 3..2 問題や議論 論の動的な追加 加 問題や議論の の動的な追加は は,作問学習環 環境に特有の機 機能 である. で これま まで ELECOA では, で コンテン ンツや学習制御 御の 階層構造,およ 階 よび,学習資源 源は,学習開始 始前にすべて定 定義. 型環 環境と同様の機 機能であるが, ,このような問題を動的に追 加・ ・提供すること とは,やはり作 作問学習環境に特有の機能で ある る.. されていること さ とを前提として ていた.作問学 学習では,学習 習時. 議論 論. に複数の学習者 に 者が動的に問題 題を作成し,そ それらを相互に に共. 作問 問. 解答 答. 評価 価. 作問要 要求. 修正 正. 議論 論. 議論 論. 教員 員 コメン ント. 教員コ コメ ント要求 求. 有して,議論・ 有 ・修正を行う機 機能が必要とな なる. このような機 機能を実現する るために,図 4 に示すような な教 材オブジェクト 材 トを用意する. 「問題リスト」という教材オ オブ 「問 ジェクトの下に ジ に, 「問題」教材 材オブジェクト トが複数あり, 「議 題」教材オブジ 題 ジェクトには「問題内容」の の学習資源と,. :問題 題作成者. 論」教材オブジ 論 ジェクト, 「議論 論内容」学習資 資源が付随して てい る.学習に参加 る 加しているすべ べての学習者に にこの構造が割 割り. :他 他学習者. :教員. の状態遷移の例 例[5] 図 5 作問学習の. 当てられる.問 当 問題リスト教材 材オブジェクトは,問題の新 新規. Figu ure 5. 作成,一覧,選 作 選択といったコ コマンドを受け け取り実行す る.. learrning [5].. Example of state ttransition for problem posiing. によ 問題教材オブジ 問 ジェクトは, 「問 問題」の新規作 作成コマンドに って,問題リス っ ストの配下に生 生成される.問 問題教材オブジ ジェ クトは,問題編 ク 編集,問題閲覧 覧,問題提出な などのコマン ドを 実行する.議論 実 論教材オブジェ ェクトは,コメ メント編集, コメ ント閲覧などの ン のコマンドを実 実行する. 問 問題リスト 問題1 問題 内容. 議論 議論 内容. 図4 Fiigure 4. 問題2 問題 内容. 議論 論 議論 論 内容 容. 作問学習の教 教材オブジェク クト構成. Couurseware objecct structure fo or problem poosing. 図6 Figure 6. 試作シ システム画面. Screenshots of pprototype impleementation.. leearning environnment.. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 3.

(4) Vol.2014-CLE-14 No.5 2014/10/25. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 3.5 プロトタイプの試作. 語のメソッド呼び出しとして実装されているので,通信ル. 以上のような要求条件を踏まえて,ELECOA における作問. ートに沿って返り値が返却される.. 学習環境のプロトタイプを試作した.図 6 に画面例を示す.. (1) シーケンシング処理. 現在,上記の機能のうち,問題の作成・議論・修正という. 学習者からの学習コマンド(例えば「次画面」)を受け. 一部の機能を実装し[9], [10],試行的に大学の授業で活用し. 取り,学習状態に応じて,次に提示する学習資源(に対応. た[11].. する葉の教材オブジェクト)を決定する.提示学習資源の 決定は各教材オブジェクトに実装された学習戦略によって. 4. 教材オブジェクト間通信に関する考察. 行われる.もし,学習コマンドを受け取った教材オブジェ. 前節で述べたような学習制御を,図 4 のような教材オブ. クトが,その学習コマンドに対応する処理を実装していな. ジェクト構成で実行するための教材オブジェクト間通信パ. い場合や,処理の結果,適切な提示学習資源を選択できな. ターンについて検討する.一般的な状況として,図 7 のよ. かった場合は,学習コマンドを親の教材オブジェクトに転. うな教材オブジェクト組合せの構成を考える.. 送して処理を委譲する.これを繰り返し,最終的には,次. 二人の学習者 A と B が作問学習を行っており,同じ教材. に提示する学習資源へのポインタが返却され,カレントオ. オブジェクトツリーが割り当てられている. 「問題」教材オ. ブジェクトが移動する.. ブジェクトと「議論」教材オブジェクトは内部の状態遷移. (2) ロールアップ処理. マシンで学習の流れを制御する.その際に,自学習者の状. カレントオブジェクトに対応した演習問題コンテンツ. 態だけでなく,他学習者の「作問状態」,「議論状態」も参. などに対する学習者の応答から,ツリーの各ノードの学習. 照する.問題には,階層構造を持つ独習型の「教材」も付. 状態を更新する.カレントオブジェクトは学習状態の変化. 属しており,学習者は作問を要求される分野の基礎知識を. を親の教材オブジェクトに通知し,これに基づいて親も状. 学習して作問を行うものとする.. 態を更新する.これをツリーのルートノードまで繰り返す.. 学習者A. 学習者B. 問題リスト. 問題リスト. 教材. 問題 内容. 議論 議論 内容. 図7 Figure 7. 議論 状態. 学習者からの学習コマンドを学習状態に応じて変更す る.例えば,学習者が先に進もうとして「次画面」とコマ. 作問 状態. 問題. (3) ポストコンディションルール処理. 問題 議論. 問題 内容. ンドを入力しても,学習状態が満足でない場合は,補習対 教材. 議論 内容. 一般的な教材オブジェクト連携の構成. Generic structure of courseware object combination.. 象コンテンツを含むサブツリーを「再試行」するコマンド に置き換える,というように用いられる.コマンドの置き 換えルールは,各ノードで記述することができ「If ノード の学習状態 Then 実行学習コマンド」という形をしている. 置き換えルールは,カレントオブジェクトからルートノー ドへの経路上のルートに近いものが優先されることになっ ている.このため,置き換えルールをカレントオブジェク. 独習型教材は,2.2 節で説明した ELECOA の独習型学習. トから順次評価し,ルールが成り立った場合は,ルールに. 環境で動作するものをそのまま再利用することとする.. 書かれた学習コマンドを親の教材オブジェクトに送り,親. ELECOA の独習型学習環境では,基本となる 4 つの通信パ. の教材オブジェクトは,自身のルールが成り立った場合は,. ターンが定義されており[8],独習型教材を図 7 のようなグ. 受け取った学習コマンドを自身の学習コマンドで置き換え. ループ学習環境でもそのまま再利用するためには, この 4. て,さらに自身の親に送るようにしている.これを繰り返. つの通信パターンがそのまま保たれる必要がある.以下,4. し,最終的には,次に実行すべき学習コマンドがカレント. つの通信パターンと,その通信パターンによってグループ. オブジェクトに返却される.. 学習での動作シナリオも実行可能であることを説明する.. (4) 学習コマンドリスト生成処理. 4.1 独習型学習環境の通信パターン. (1)で述べたように,学習コマンドは,順次,親の教材オ. ELECOA の独習型学習環境では,以下の 4 つの通信パタ. ブジェクトに送られて処理される.そこで,学習者に,そ. ーンで様々な学習制御が行えることを示した[8].ELECOA. の時点で選択可能な学習コマンドを提示するために,カレ. では,教材オブジェクト間の通信は,ツリー構造の親子間. ントオブジェクトからルートノードへの経路上の各教材オ. に限定しており,現在,学習者に提示されている学習資源. ブジェクトで処理が定義されている学習コマンドのリスト. に対応する葉の教材オブジェクト(これをカレントオブジ. を作成する.各教材オブジェクトは実行可能なコマンドを. ェクトと呼ぶ)から,親の教材オブジェクトに順次通信を. リストに追加して親教材オブジェクトに転送する.これを. 行う.以下の 4 つの通信パターンも,この親子間通信を基. 繰り返し,最終的には,選択可能な学習コマンドのリスト. 本としている.なお,通信は実際にはオブジェクト指向言. がカレントオブジェクトに返却される.. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 4.

(5) Vol.2014-CLE-14 No.5 2014/10/25. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 以上の動作は,実際には,学習者がカレントオブジェク トに対して学習コマンドを入力した後,. ル処理が実行される.このとき,学習者 B の「問題」ノー ドに共有された「作問状態」に応じた学習コマンド書き換. . ロールアップ処理で学習状態を更新する.. えルールを記述しておけば,学習者 B が入力した,教材内. . ポストコンディションルール処理で必要に応じて学. を移動する学習コマンドを,問題内容ノードに移動するコ. 習コマンドを置き換える. . シーケンシング処理で次に提示する学習資源にカレ ントオブジェクトを移動する.. . コマンドリスト生成処理で次に入力可能なコマンド を提示する.. マンドに書き換えることができる. また,別の例として,図 7 では,問題教材オブジェクト と議論教材オブジェクトで状態遷移の制御を行っているが, 例えば,議論教材オブジェクトで特定の状態になった時に, 問題教材オブジェクトに制御を移す,といった処理は,前. という順で実行される.. 節のシーケンシング処理で述べた,親の教材オブジェクト. 4.2 グループ学習動作シナリオの実現. への処理の委譲によって実現できる.. 前節で説明した独習型学習環境では,ツリーの各ノード. さらに,学習コマンドリスト生成処理により,独習型教. が学習状態を保持しており,葉ノードの状態の変化によっ. 材自体を修正しなくても,独習型教材の画面には,「問題」. て,親のノードの状態が変化する.また,各ノードは,ノ. ノードで定義された作問学習用のコマンドも表示され,学. ードに記述されたルールに応じて,自身の状態を参照して,. 習者にこれらのコマンドを選択させることが可能となる.. 提示する学習資源の選択や学習コマンドの置き換えを行う.. このように,ELECOA の独習型学習環境で規定した 4 つ. 図 7 に示したグループ学習型の作問学習環境が,独習型. の通信パターンをまったく変更せずに,グループ学習型の. 学習環境と最も大きく異なるのは,学習者自身に割り当て. 作問学習環境が実現できる見通しが得られた.上記の例で. られたツリーの状態だけでなく,他の学習者の状態も参照. は,ひとつの学習シナリオに沿って説明を行ったが,一般. して学習制御を行う必要があることである.. に,他学習者の学習状況を参照する教材オブジェクトに,. 例として以下のような学習シナリオを考える.学習者 A. 学習コマンドを変更する書き換えルールを記述しておけば,. と B は,まず,図 7 中の独習教材を用いて学習を行う.こ. ポストコンディションルール処理によって,当該教材オブ. の際の動作は,既存の ELECOA の独習型学習環境に従う.. ジェクト配下の動作を自由に制御できることがわかる.ま. ここで,一方の学習者が学習を終了して作問を行ったら,. た,上位のノードで定義されたコマンドが,学習コマンド. 他の学習者は学習を中断して,他の学習者が作成した問題. リスト生成処理によりカレントオブジェクトで表示される. に解答しなくてはならないものとする.例えば,学習者 A. ので,既存の教材を下位のノードとして修正せずに利用で. が学習を終了して作問を行ったとすると,学習者 B も教材. きる.このように,独習型学習環境で規定した通信パター. を抜けて,問題内容ノードに移動しなくてはならない.. ンはまったく変更されていないので,ELECOA の独習型学. ここで,独習教材は,既存の独習型学習環境で動作する ように作成したものをそのまま再利用しており,他の学習 者の状況に応じて,学習を中断するような機能は組み込ま れていない.しかし,前節で述べた通信パターンを図 7 の 構成にそのまま適用することで,独習教材に手を加えずに. 習環境で動作する既存の独習型教材を,グループ学習型の 作問学習環境でそのまま再利用することができる.. 5. まとめ 学習者適応機能の機能拡張性とコンテンツの流通再利. 他の学習者の状況を考慮した動作を実現することができる.. 用性の両立を図る学習支援システムアーキテクチャ. この動作を行う際にポイントとなるのは,ポストコンデ. ELECOA の作問学習への適用について述べた.ELECOA で. ィションルール処理である.前節で述べたように,ポスト. は, 「教材オブジェクト」というプログラムモジュールによ. コンディションルール処理では,各ノードに記述されたコ. って様々な学習支援機能を実装する.今回は,グループ学. マンド置き換えルールを,カレントオブジェクトからルー. 習型の作問学習環境への適用について検討した.また,既. トノードへの経路上で評価し,ルートに近いものを優先し. 存の独習型学習環境で規定した通信パターンで,グループ. て使用する.また,学習者が学習コマンドを入力すると,. 学習型の作問学習の学習制御も実現可能であり,既存の独. ロールアップ処理の後,ポストコンディションルール処理. 習型教材を,グループ学習型の作問学習環境でそのまま再. によって,実際に実行されるコマンドが決定する.. 利用することができる可能性を示した.今後,作問学習に. 従って,上に述べた,「学習者 A が学習を終了して作問. おける複数の学習制御の事例について適用性を検討し,シ. を行うと,学習者 B も教材を抜けて問題内容ノードに移動. ステムの実装を行って,本アーキテクチャの有用性の検証. する」という状況では,まず,学習者 A が学習を終了して. を進める.. 作問を行うと,学習者 B と共有された「作問状態」が変化 する.ここで,学習者 B が教材内を移動する学習コマンド. 謝辞. を入力すると,それを契機に,ポストコンディションルー. 受けた.. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 本研究は科研費(26280128, 26242013)の助成を. 5.

(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2014-CLE-14 No.5 2014/10/25. 参考文献 1) Yu, F-.Y. and Wu, C-.P.: Student Question- Generation: The Learning Processes Involved and Their Relationships with Students’ Perceived Value,”J. Research in Education Science, Vol.57, No.4, pp.135-162 (2012). 2) 小島一晃,三輪和久,松居辰則:産出課題としての作問学習 支援のための実験的検討,教育システム情報学会誌,Vol.27, No.4, pp.302-315 (2010). 3) 東本崇仁,市将治,平嶋宗,竹内章:多桁減算を対象とした 作問学習支援環境の設計,日本教育工学会論文誌,Vol.31, No.1, pp.61-68 (2007). 4) 高木正則,田中充,勅使河原可海:協調的に作問する過程で 競争可能なオンラインテストシステムの実装と評価,教育システ ム情報学会誌,Vol.24, No.1, pp.13-25 (2007). 5) 平井祐樹,櫨山淳雄,井上智雄:学習者による作問に基づく 学習支援システムの分散非同期環境への適用とその効果,教育シ ステム情報学会誌,Vol.27, No.1, pp.62-73 (2010). 6) 仲林清,永岡慶三:拡張性向上のための教材オブジェクトア ー キ テ ク チ ャ を 用 い た WBT シ ス テ ム の 開 発 , 信 学 論 (D-I), Vol.J88-D-I, No.6, pp.1104-1114 (2005). 7) Nakabayashi, K., Morimoto, Y. and Hada, Y.: Design and Implementation of an Extensible Learner-Adaptive Environment, Knowledge Management & E-Learning: An International Journal (KM&EL), Vol.2, No.3, pp.246-259 (2010). 8) 仲林清, 森本容介,拡張性を有する適応型自己学習支援シス テムのためのオブジェクト指向アーキテクチャの設計と実装,教 育システム情報学会誌, Vol.29, No.1, pp.97-109 (2012). 9) 仲林清, 森本容介:拡張性を有する学習支援システムアーキ テクチャの作問学習環境への適用検討.電子情報通信学会技術研 究報告,ET2013-131 (2014). 10) Nakabayashi, K. and Morimoto, Y.: Applying an Extensible Learning Support System to Learning by Problem Posing, Proc. of 22nd Intl. Conf. Computers in Education, Nara, Japan, to appear (2014). 11) 森本容介,仲林清:Moodle で動作する協調作問学習システ ムの開発と実践,第 39 回教育システム情報学会全国大会講演論文 集,pp417-418 (2014). 12) Koper, R. and Tattersall, C. (Eds.), Learning Design: A Handbook on Modelling and Delivering Networked Education and Training, Springer (2005). 13) IMS Global Learning Consortium, IMS Learning Design Version 1.0 Final Specification (2003). 14) Nakabayashi, K., Morimoto, Y. and Aoki, K.: Application of Extensible Learning Support System Architecture to Collaborative Learning Environments, Proc. of 12th IEEE Intl. Conf. Advanced Learning Technology, pp.69-73, Rome, Italy (2012). 15) Nakabayashi, K. and Morimoto, Y.: Investigation on Function Extension of Extensible Learning Support System Architecture to Group Learning Environment, Proc. of IEEE Intl. Conf. Teaching, Assessment and Learning for Engineering, pp.335-339. Bali, Indonesia (2013).. ⓒ 2014 Information Processing Society of Japan. 6.

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イ小学校1~3年生 の兄・姉を有する ウ情緒障害児短期 治療施設通所部に 入所又は児童発達 支援若しくは医療型 児童発達支援を利

○水環境課長

支援級在籍、または学習への支援が必要な中学 1 年〜 3