ミツバチ科学 (1997)18(3):149-151
日本蜜蜂 の飼育
山中 清
平成7年の春 は順調 に採蜜,増殖が行われた が,冬季 に入 ると予期せぬ寒波 に見舞われ,忠 わぬ失敗が起 こった ことを近隣の飼育者 より聞 き及んだ.そ こで筆者が これまでに行 っている 日本蜜蜂の飼育法について紹介 したい. 飼育箱の改良 杉丸太や板箱 の巣箱を西洋式の巣箱 に切 り替 えると, 日々の管理 が非常 に楽に行 うことがで きる.その巣箱を山間地 に設置す ることもで き る.巣箱 は地面 に直接置かず, 30cm はど高 く してお く. 日本蜜蜂 はスムシに巣板 を害 されて ら,巣外 に追 い出そ うと しない.被害が広がる と巣 を見捨てて逃 げ山 して しまう欠点がある. そのため,1週間に一度,底板 の掃除を行 う ことで,次第 にスムシは減少す る. 西洋種式巣箱の作 り方 一般 に使 われて いる西洋種式 の8枚箱 また は10枚箱 と同 じ寸 法 で あ る.底板 の上 に 10 枚群の箱では高 さ10cm (図 1左),8枚群 の箱 では高 さ15cm (図1右) の箱を作 り, その上 に巣箱 を重ねた2段重ね とな っている. この 2 図1西洋種式10枚 (左)と8枚巣箱 (右) 段重ねにより巣箱およびスムシの掃除が非常 に 容易 にで きる.巣枠を1
枚 1枚ず らして巣箱 の 底を掃除す る場合 にはハチが驚 いて片方 に集合 して しま う. そのため早春時の内検や掃除の際 に,幼虫を冷や して しま う欠点がある.2段重 ね箱 に した場合 は,上段 の巣箱を横 に降ろす こ とで掃除ができる. 巣箱の内検 は4月,5月 の分割,採蜜時を除 き2か月に 1回程度であ るため,ハチの動揺 は 非常 に少ない. スムシの大部分 は底板の巣屑の 中や底板 と継箱の裏側 に潜んでいる,ハイプツ ールで掻 き取 り,新聞紙 に取 り込み消却す る, 掃除の回数が増す とスム シの数 も減少す る.棉 除 は1週 間 に 1回程度行 うのが よい と思 われ る. 西洋種式巣箱に切 り替え る場合 は, 4月初旬 ∼咋旬 頃が一番理想的である.分蜂の起 こる前 に針金を張 った巣枠 に旧巣箱か ら卵,幼虫のあ る巣板を取 り出 して張 り付 けて,針金で鉢巻状 に2か所を止める.大 きい巣板であれば 2枚程 皮,小 さければ巣枠一杯 になるように張 り付 け る (I望Ⅰ2).横張 りの針金 に添わせて裏側 よりカ ッターナイフで巣板 に切 り込みを入れると椅麗 にで きる.鉢巻状 に止 めた針金 は1週間後 に取 り除 く.ただ し,巣枠 に取 り付 けてある3本 の 横張 りの針金 は,巣板 の落下の原因 となるため 切断 しない. 分蜂群を西洋種式 に切 り替 える場合 は,4-5 枚 の巣礎 を張 った巣箱 に払 い入れ,一番外側 に 仕切板を挿入す る.巣 の盛 り上 げに注意す る. 野外 に花がある場合 は給餌 は不要である. 採蜜時に西洋種式 に切 り替え る場合 は,卵や 図2 自然巣板の巣枠への張り付け (点線 は針金 を示す)150 幼虫のある巣板 を張 り付 けるのは上記 と同 じで あ るが,一 番外 側 に給 餌 器 を入 れて給 餌 を行 う. 給餌飼料 の作 り方 水 1LZを沸騰 させ, 砂糖 1kgを溶かす, 冷え てか ら夕方 に給餌す る.昼 間 に給餌す ると盗蜂 発生 の原田 とな る.給餌器 には- チが溺れない よ うに英や水苔 などを入 れて浮か してお く. 人工分蜂 女王蜂の羽化 までの 日数 は,卵3日,幼虫 5 日,桶 7-8日である. 内検時 に王台がで きて いた ら, 日数 を逆算すれば女王誕当三予定 日が分 か る.女王誕生予定 Eは 記 した シールなどを巣 箱 の横 に張 り付 けてお く.女 王誕生 の2-3日 前 には,王台下部 に落花生 の豆 の薄皮 と同 じよ うな色 を した繭が現 れ る. その時点で,元巣箱 よ り旧女王 の付 いている巣板 を隣 に設 置 した新 巣箱 に入れ る. この際 に女王 の付 いている巣板 に も王台の有無 を十分 に確認 す る.万一王台が あれば切 り取 る, さ らに元巣箱 よ り一番外側 に あ る巣 板 と有 蓋巣房巣板 の合計3枚 を新巣箱 に移す. さらに巣礎枠 に蜜 を吹 き付 けて元 の巣 箱 に挿入す る. この枠 に多数 のハチが付着 した ら新巣箱の左右外側 に導入 す る.計5枚 で出発 す る.新巣箱 の巣門 は開 けたままに してお く. 外勤蜂 は元巣箱 に戻 って しまい,新巣箱 は旧女 王 と若 い働 き蜂 のみ とな る. そのため新巣箱 に はハチを多 目に取 り込 んでお く. この様 に して 分割すれば分蜂 も起 こらな い.蜂群 を増やすの を望 まない時 は予備群 と して秋 までお き,万一 の場合 は合同す る. 新聞紙合 同法 合 同 は季節 を問 わず新 聞紙 合 同 を行 って い る.3日連続 の内検 で巣房 に卵がない場合
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隣 の群 に合同す る.夕方,働 き蜂 が帰巣 した頃に 隣 の有 王群 に 1枚 の新 聞紙 を二 つ折 りに して 巣箱 の上 に置 き,釘で巣板 と巣板 の間 に小孔 を30
程閃 ける.その小孔 に蜜 を垂 らし,孔 を塞 ぐ よ うにす る.新聞紙 の上 に無王群 の継箱 を乗 せ 図3巣箱に付けたスズメバチ防除器 る. 無王群 の巣箱 の巣門 は閉 じてお く.3日程 す ると下段 の巣門か ら新聞紙 の破れが吹 き出 し て くると合同 は成功であ る. 採 蜜 巣板 は3-4年 は使用 で きる.蜜蓋 を切 り取 ってか ら分離器で採蜜す る. 日本種蜜蜂 は巣板 に樹脂 を混入 して いな い ため非常 に壊 れやす い. そのため分離器 を強 く回転 す るのは禁物で ある. 盛夏 の管理 梅雨期 に入 ると蜜源 も少 な くな り,貯蜜 も不 足 して くる.内検 して蜜が少 ない群 には給餌 を す る.6月,7月 は蜂群 の発展期 である.夏 の強 群が来期 の成功 につなが って くる. また暑 さ も 増す季節であるため E=塗を作 る. スズメバ チの防除 9月上旬 にな った ら巣箱 にスズメバチ防除器 を取 り付 ける, 日本蜂 はスズメバチの襲来 に対 して は西洋種 の様 に巣門 に出て交戦 す ることは な く, 巣内に隠れて しま う. そのため巣門を7 mm以 内 にす るとスズメバ チの進入 は止 め ら れ るが,防除器 を取 り付 ければさ らに安全であ る (図3). 貯蜜 と産卵 10月 に入 ると,- チ も日毎 に減 って くるの で産卵圏の拡大 に努 め る.秋季 は春季 と異 な り図4 日本種蜜蜂 の遠望 巣板 の中央部 に も貯蜜す る.11月上旬 まで は 産卵圏が少 しで も多 くな るように注意す る.拷 に貯蜜が多 い時 は空巣板 と交換す る.少 しづっ 全体 に貯蜜する時 は,仕切板の外 に巣板を出 し て蜜 の入 れ替 えを させ る.貯蜜巣板 が多 い時 は,巣箱 より取 り出 して越冬前 の飼料か,春先 の刺激奨励蜜 に使用す る. た とえ